JP3711373B2 - 中空体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空体およびその成形加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、中空体を成形する方法としては、成形型内に溶融状態の樹脂を供給して成形するブロー成形やインジェクション成形などが良く知られている。
また、他の成形方法としては、板状の樹脂を成形型により押圧するスタンピング成形を行って、中空体の半分の形状に加工素材を形成させ、この加工素材どうしを接着して成形する方法も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のブロー成形およびインジェクション成形は、溶かした樹脂を膨らませたり、型内の狭い空間に充填させたりすることが可能な樹脂材料に限定され、紙屑や繊維屑などを混入したリサイクル材を用いることが難しく、コスト低減に限りがあるという問題があった。
【0004】
また、後者のスタンピング成形を用いる方法の場合、溶融樹脂を膨らませたり射出させたりしないため、材料の選択自由度は高くなるが、接着により複数の加工素材を接着させる工程が必要であり、製造に手間がかかり、この方法にあっても、コスト的に不利である。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目して成されたものであり、中空体を製造するにあたり、その素材としてリサイクル材の使用を可能とするなど使用素材の自由度を高めるとともに、製造工数も少なくすることを可能として、手間およびコストの削減を図ることのできる、新規な中空体およびその製造方法を提供することを主たる目的とし、さらに、中空体の表面の加飾を同時に行うことを可能とし、中空体の加飾を行うことを安価に達成することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため本発明は、熱可塑性樹脂を含む第1板状素材および第2板状素材と、前記板状素材の熱可塑性樹脂と実質的に異質の素材であって、前記板状素材の熱可塑性樹脂よりも融点または熱分解点が高く、前記両板状素材の間に配置される中間素材とを、金型により圧縮成形をする前に前記両板状素材を相互に溶着可能となる温度まで加熱した後、前記両板状素材の融点よりも低い温度の金型により圧縮成形し、次いで前記圧縮を解放することを特徴とする手段とした。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の中空体の製造方法において、前記圧縮成形時において、板状素材の少なくとも一方の表面に、型の表面形状を転写する加工、または表面材を一体に溶着させる加工からなる加飾表面加工を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の中空体の製造方法において、前記圧縮成形の金型温度が80℃以上で加飾表面加工を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の中空体の製造方法において、前記中間素材が、木片、紙、衣服、プラスチック片、繊維強化樹脂片、羊毛、磁気テープ、籾殻、グラスウールおよびロックウールの少なくとも一種類を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の中空体の製造方法において、前記中間素材が、短冊状または連続した扁平の紙を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の中空体の製造方法において、前記第1板状素材または第2板状素材が、平均繊維長5mm以上の強化繊維を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の中空体の製造方法において、前記第1板状素材または第2板状素材が、強化繊維が実質的に1方向に配列された線材状、ペレット状、またはテープ状の形態をなす長繊維強化熱化塑性樹脂基材(以後、L−FRTPという)を含有させて成型したものであって、前記L−FRTPの平均径が0.1〜1.5mm(テープ状においては幅が1〜15mm)であり、強化繊維含有率が15〜85wt%であり、平均長が5〜150mmであることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の中空体の製造方法において、前記第1板状素材または第2板状素材が、木片、紙、衣服、プラスチック片、繊維強化樹脂片、羊毛、磁気テープ、タルクおよび籾殻の少なくとも一種類を含むことを特徴とする。
【0018】
【発明の作用および効果】
本発明の中空体の製造方法では、熱可塑性樹脂を含む第1板状素材および第2板状素材と、前記板状素材の熱可塑性樹脂と実質的に異質の素材であって、前記板状素材の熱可塑性樹脂よりも融点または熱分解点が高く、前記両板状素材の間に配置される中間素材とを、金型により圧縮成形をする前に第1・第2両板状素材を相互に溶着可能となる温度まで加熱した後、第1・第2両板状素材の融点よりも低い温度の金型により圧縮成形した時に、中間素材が前記板状素材と実質的に異材料を用いるため、実質的に両板状素材が当接すること、および溶着することが妨げられ、また、中間素材は両板状素材よりも融点または熱分解点が高いことから、両板状素材と中間素材とが溶着することがない。したがって、圧縮(型締め)工程において、中空部を形成する部位にあっては、両板状素材が絶縁されて溶着することがないとともに、両板状素材の間に空気が閉じこめられ、さらに、この空気が暖められた型により加熱されて、膨張力を有して閉じこめられる。
【0019】
よって、その後、一方の型を他方の型から離反させて前記圧縮を解放させる型開き工程を行って、両板状素材に与えられていた加圧力が取り除かれると、中間素材が投入されていた部位に閉じこめられていた空気の膨張力により、両板状素材のうち移動させた一方の型に配置されている側の板状素材が、他方の板状素材から離反し、両板状部材の間に中空部が形成される。すなわち、この中空部の一側面は、上型と下型との両型のうち、型開きの際に移動させない他方の型の形状に形成され、その反対側の面は、空気の膨張力に基づく形状となる。
【0020】
以上のように本発明では、板状素材を上型と下型とで型締めして成形するスタンピング加工などの圧縮成形により、しかも、分割された部材を接着する接着工程を用いることなしに中空体を製造するようにしたため、従来のブロー成形やインジェクション成形に比べて、中空体を形成する素材の制約が少なくなり、紙屑や繊維屑やタルクなどが混入したリサイクル材を素材として用いることも可能となって、コストダウンを図ることができる。しかも、従来のスタンピング加工を用いて中空体を成形するのに比べると、圧縮成形時に、中空部の周囲に存在する両板状素材が一体となり、別体となった素材を接着させる接着工程が不要である分、手間および製造に要する時間を削減でき、これによってもコストダウンを図ることができる。
【0021】
さらに、圧縮成形の工程において、加熱手段により両型を加温しているため、中空部に閉じこめられた空気の膨張力を高くすることができて、中空体の成形性を良好とすることができるとともに、中空体の表面品質を良好にできるもので、特に、請求項2に記載の発明のように、板状素材の少なくとも一方の表面に、型の表面形状を転写する加工あるいは、表面材を一体に溶着させる加工から成る加飾表面加工を行うようにすることにより、よりいっそうの表面品質の向上を図ることができる。
【0022】
また、請求項3に記載の発明のように、前記圧縮成形時における型を加温する前記所定温度を80℃以上として加飾表面加工を行うようにすることで、型の温度を80℃未満の所定温度とするのに比べて、型表面の表面形状が中空体の表面に転写される転写性能の向上を図ることができるとともに、表面材を中空体の表面に一体に溶着させるにしても、溶着性が良好となり、表面品質のさらなる向上を図ることができる。
さらに、上記製造方法により得られる中空体は、中空部に比較的嵩高の中間素材が収容されているため、断熱性や反発性に優れた中空体である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
この実施の形態1は、中空体として公園のベンチやあるいは野球場などのスタジアムの観客席のシートクッションを例に採ったもので、その製造方法の一例を示す。
【0024】
図1は、中空体としてのシートクッション1を示す断面図であり、このシートクッション1は、外周に臀部を包み込むようなフランジ1fが形成され、このフランジ1fの内周部には、クッション性を有した中空部1aが設けられ、この中空部1aの上側に、上側に湾曲面形状に膨らんだ膨出部1bが形成されている。また、前記中空部1aの内部には後述するが、中間素材2が収容されている。
【0025】
次に、上述したシートクッション1を形成する手順、すなわち、本発明の実施の形態1を図2〜5により説明する。
【0026】
本発明の第1板状素材11と第2板状素材12は、ポリプロピレンやポリエチレンなどの熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂をベースとして、木片、紙、衣服、プラスチック片、繊維強化樹脂片、羊毛、磁気テープ、タルクおよび籾殻などの廃材または新材による充填材が混合されていることが好ましく、材料コストの点から廃材を用いることが好ましい。
【0027】
また、前記板状素材11,12には、中空体(シートクッション1)の機械的強度を向上させるために、強化繊維が含有されていることが好ましく、前記強化繊維は中空体中に、平均繊維長が5mm以上であることが好ましい。強化繊維は、ガラス繊維や炭素繊維などが挙げられ、ガラス繊維がコストの点から好ましい。
【0028】
前記板状素材11,12は、熱可塑性樹脂に充填材や強化繊維を混合させる場合、充填材または線材状、ペレット状、テープ状などからなる熱可塑性樹脂繊維基材を、押出成形、射出成形または圧縮成形などにより得ることができる。
【0029】
前記基材は、強化繊維が実質的に一方向に配列しているL−FRTPを用いることが成形後の中空体の繊維長を長く維持させることができるため好ましく、さらに、前記L−FRTPは、前記L−FRTP平均径0.1〜1.5mm(テープ状においては幅が1〜15mm)であり、強化繊維含有率が15〜85wt%であり、平均長が5〜150mmであると、強化繊維の含有量を多くさせることが可能であり、中空体の強度をより向上させることができるため、特に、自動車用バンパなどの衝撃性、反発性を有する材料に好適である。
【0030】
前記中間素材2は、第1板状素材11および第2板状素材12の熱可塑性樹脂と実質的に異質の素材であって、前記板状素材11,12の熱可塑性樹脂よりも融点または熱分解点が高く、前記板状素材11,12の間に配置されるものである。前記異質の素材とは、例えば、同じ熱可塑性樹脂どおしであっても、構造式が異なれば異質とするものである。さらに、前記中間素材2は、前記板状素材11,12の熱可塑性樹脂よりも融点または熱分解点が高いことが重要である。これにより、前記板状素材11,12と中間素材2とは、溶着がされにくくなり、容易に中空部1aを形成することが可能となる。
【0031】
前記中間素材2の形状は、特に限定しないが、線状、短冊状または連続した扁平状のものが好ましく、線材状、テープ状、リボン状、カール状、螺旋状、ジグザグなどの形態が、中空部1aでは嵩高になりやすく、膨張性に優れ好ましい。なお、中間素材2の分量は、中空部1aの容量に応じて適宜設定する。また、中間素材2としては、上記のように両板状素材11,12と実質的に異質の素材であり、両板状素材11,12よりも融点または熱分解点が高ければ特に限定はしないが、木片、紙、衣服、プラスチック片、繊維強化樹脂片、羊毛、磁気テープ、籾殻、ポリエステルなどの勇樹繊維、グラスウールおよびロックウールの少なくとも一種類が含まれていることが、前述した形状となり易くなる点なども含めて、膨張性、成形性に優れ、得られる中空体(シートクッション1)も、断熱性、反発性を有し好ましい。さらに、前記中間素材2は、廃材や新材を用いることが可能であり、コストの点からシュレッダー屑などの廃材を用いることが好ましい。
【0032】
そこで、製造方法を順に説明すると、まず、図2に示す加熱工程を実行する。前記板状素材11,12は、図2(a)で示すように、板状素材11,12を単独でオーブン3で加熱した後、中間素材2を第1板状素材11と第2板状素材12の間に積層する方法や、図2(b)で示すように、予め、中間素材2を第1以上素材11と第2板状素材12の間に積層した後、オーブン3で板状素材11,12を加熱する方法が採用される。
【0033】
この加熱工程では、ポリプロピレンやポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をベースとして、紙屑、繊維屑およびタルクなどの増量材が混合されたリサイクル材により形成された第1板状素材11と第2板状素材12とを、それぞれオーブン3にくぐらせて加熱する工程である。
この加熱工程にあっては、本実施の形態では、200℃で70秒ほど加熱して、雰囲気温度300℃程度の中で、両板状素材11,12を180℃の溶着可能な温度として軟化させる。なお、各素材の板厚は、成形品であるシートクッション1に必要な板厚から計算して投入重量を求めるとともに、後述する成形型21,22とのクリアランスに応じて設定する。
また、本実施の形態では、オーブン3で加熱しているが、高温のエアを吹き付けるようにしてもよい。
【0034】
次に、図3に示す型セット工程を実行する。
すなわち、スタンピング成形は、軟化した状態の両板状素材11,12を上型21と下型22との間で加圧して、両者を一体とするとともに、両型21,22の成形面21a,22aに応じた形状に成形するものである。なお、本実施の形態では、上型21の成形面21aに、図示は省略するが、シートクッション1の表面仕上げとしての「シボ」模様が形成されている。
【0035】
前記上型21および下型22には、それぞれ、成形面21a,22aの近傍に加熱手段としての温調パイプ21p,22pが設けられ、両型21,22を、両板状素材11,12の融点(本実施の形態では185℃とする)よりも低い予め設定された所定温度に加温しておくもので、80℃以上に加温することが好ましい。本実施の形態1では、この所定温度は100℃程度とする。
【0036】
前記中間素材2は、第1板状素材11および第2板状素材12の熱可塑性樹脂と実質的に異質の素材であって、前記板状素材11,12の熱可塑性樹脂よりも融点または熱分解点が高く、前記板状素材11,12の間に配置されるものである。前記異質の素材とは、例えば、同じ熱可塑性樹脂どおしであっても、構造式が異なれば異質とするものである。さらに、前記中間素材2は、前記板状素材11,12の熱可塑性樹脂よりも融点または熱分解点が高いことが重要である。これにより、前記板状素材11,12と中間素材2とは、溶着がされにくくなり、容易に中空部を形成することが可能となる。
【0037】
前記中間素材2の形状は、特に限定しないが、線状、短冊状または連続した扁平状のものが好ましく、線材状、テープ状、リボン状、カール状、螺旋状、ジグザグなどの形態が、中空部では嵩高になりやすく、膨張性に優れ好ましい。
なお、中間素材2の分量は、中空部1aの容量に応じて適宜設定する。また、中間素材2としては、上記のように両板状素材11,12と実質的に異質の素材であり、両板状素材11,12よりも融点または熱分解点が高ければ特に限定はしないが、木片、紙、衣服、プラスチック片、繊維強化樹脂片、羊毛、磁気テープ、籾殻、ポリエステルなどの勇樹繊維、グラスウールおよびロックウールの少なくとも一種類が含まれていることが、前述した形状となり易くなる点なども含めて、膨張性、成形性に優れ、得られる中空体(シートクッション1)も、断熱性、反発性を有し好ましい。さらに、前記中間素材2は、廃材や新材を用いることが可能であり、コストの点からシュレッダー屑などの廃材を用いることが好ましい。
【0038】
次に、図4に示す圧縮成形(型締め工程)を実行する。
この型締め工程では、図示のように、下型22に対して上型21を下降させて型締めを行い第1板状素材11と第2板状素材12とを挟む。この型締め工程で、第1板状素材11と第2板状素材12とは、溶着されて一体となるが、中間素材2が配置されている部分では、図示のように両板状素材11,12の間に中間素材2が挟まれたサンドイッチ状となり、このとき、中間素材2を投入した部位では、両板状部材11,12が触れないために溶着されないとともに、この部位に空気が残って閉じこめられる。この残った空気は、両型11,12により暖められることで、膨張しようとするが、型締めにより膨張が規制される。
さらに、この型締め工程にあっては、同時に、上型21の成形面21aに形成されている「シボ」模様を第1板状素材11の表面に転写させる加飾表面加工が実行される。
なお、上型21および下型22は、実施の形態では、上下に配置し、上型21が上下に移動しているようにしているが、これらは、左右に並べて一方が左右に動くようにしてもよい。
【0039】
次に、図5に示す圧縮解放(型開き)工程を実行する。
この圧縮解放工程は、上述の型締め工程を30〜40秒程度実行した後に、下型22に対して上型21を上昇させることで行う。
この型締め工程の実行により、中間素材2が配置されている部位に残っていた空気が膨張可能となり、上型21の拘束から解放された第2板状素材12は、空気の膨張により図示のように膨らんで、中空部1aが形成されるとともに、その上側に膨出部1bが形成されて、シートクッション1が成形される。
また、型締め工程時に、両型21,22を100℃程度に加温していることにより転写性が高く、上型21の成形面21aに形成されている「シボ」模様が、シートクッション1の膨出部1bの表面にきれいに転写される。
【0040】
その後、冷却工程を実行することにより、成形品の形状が固まる。この冷却工程は、自然冷却でもよいし、あるいは、エアや水などの冷却流体を吹き付けて冷却させてもよい。
【0041】
以上のように本実施の形態1では、スタンピング加工により上型21と下型22とで第1板状素材11と第2板状素材12を重ねた素材を型締めして成形し、しかも、分割された部材を接着する接着工程を用いることなしに中空体であるシートクッション1を製造するようにしたため、従来のブロー成形やインジェクション成形に比べて、成形材料の制約が少なくなり、紙屑や繊維屑やタルクなどが混入したリサイクル材を素材として用いることも可能となって、コストダウンを図ることができる。しかも、従来のスタンピング加工を用いて中空体を成形するのに比べると、型締め工程時に、中空部1aを形成する両板状素材11,12が端部の縁で一体となり、別体の素材を接着させる接着工程が不要である分だけ、手間および製造に要する時間を削減でき、これによってもコストダウンを図ることができる。
【0042】
さらに、型締め工程において、加熱手段としての温調パイプ21p,22pにより両型21,22を加温するようにしているため、中空部1aに閉じこめられた空気の膨張力を高くすることができて、中空部1aの成形性を良好とすることができるとともに、成形面21aに形成されている「シボ」模様のシートクッション1への転写性を高くして、表面品質を高くすることができる。
【0043】
加えて、実施の形態1にあっては、中間素材2として、リボン状の紙屑を用いることとして廃材を用いているため、製造コストを低く抑え得ることができる。また、得られる中空体としてのシートクッション1は、クッション性(反発性)に優れ、かつ、断熱性に優れるものである。
【0044】
(他の実施の形態)
以下に、他の実施の形態について説明する。
これら他の実施の形態を説明するにあたり、実施の形態1と共通する構成については、実施の形態1と同じ符号を付けて説明を省略することとし、実施の形態1との相違点についてのみ説明する。
【0045】
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1と加飾表面加工を異ならせた例である。
本実施の形態2にあっては、シートクッション1の上側表面を、モケット状繊維などの表皮材4により覆うようにしている。この表皮材4の裏面には、第1板状部材11の融点以下の温度で溶融する樹脂素材が使用されている。
【0046】
そこで、本実施の形態2にあっては、図6に示すセット工程において、表皮材4を第1板状素材11の上側に重ねてセットする。
【0047】
また、本実施の形態2にあっては、上型21の成形面21aには、「シボ」模様は形成されていないものとする。
【0048】
したがって、その後の圧縮成形(型締め)工程において、表皮材4が第1板状素材11の上側に溶着されて一体となる。
よって、この実施の形態2にあっては、表皮材4を接着する工程を用いることなく、表皮材4をシートクッション1の表面に設けることができ、安価にシートクッション1の表面品質を向上させることができるという効果が得られる。
【0049】
なお、実施の形態1で述べた、従来のブロー成形やインジェクション成形に比べて、成形材料の制約が少なくなり、リサイクル材を素材として用いることも可能となって、コストダウンを図ることができるという効果、従来のスタンピング成形と比べて、接着工程が不要である分だけ、手間および製造に要する時間を削減でき、コストダウンを図ることができるという効果、中間素材2として、廃材を用いることでコストダウンを図ることができるという効果は、この実施の形態2にあっても同様に得ることができる。
【0050】
(実施の形態3)
実施の形態3は、中空体として、車両用シートのシートバック用芯材5を形成するようにしたものである。
図7はシートバック用芯材5を示す斜視図であり、板状の背板51と、この背板51の左右両端部から前方に折曲されたフランジ状のサイドサポート部52と、このサイドサポート部52の下端部に設けられて図外のシートクッションのリクライニングデバイスに回動可能に取り付けられるヒンジ部53と、前記背板51の上端部に設けられて図外のヘッドレストに設けられた支持ロッドを挿通するロッド受部54とを備えている。そして、前記背板51の中央下部に乗員の腰を弾性的に支持するための中空クッション部55が設けられている。
【0051】
図8は図7のS8−S8断面であり、中空クッション部55は、図示のように前方に湾曲形状に膨らんだ膨出面55bを有している。また、中空クッション部55には、実施の形態1で示した中間素材2が収容されている。
【0052】
ところで、シートバック用芯材5において、ヒンジ部53は、強度が必要なために、シートバック用芯材5を形成する実施の形態1で示した両板状素材11,12とは別体の、例えば、無機繊維と樹脂との複合素材あるいは金属などの素材が用いられている。そこで、本実施の形態では、図示は省略するが、型セット工程において、このヒンジ部53を形成する素材を予め上型にセットし、次の型締め工程を実行した際に、このヒンジ部53を形成する素材が、両板状素材11,12と一体となる。
【0053】
このように、実施の形態3では、強度が必要な部位には、強度の高い素材を一体に設けることができる。
また、実施の形態1で述べた、従来のブロー成形やインジェクション成形に比べて、成形材料の制約が少なくなり、リサイクル素材を素材として用いることも可能となって、コストダウンを図ることができるという効果、従来のスタンピング成形と比べて、接着工程が不要である分だけ、手間および製造に要する時間を削減でき、コストダウンを図ることができるという効果、中間素材2として、廃材を用いることでコストダウンを図ることができるという効果は、この実施の形態3にあっても同様に得ることができる。
【0054】
以上、図面により実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0055】
例えば、本発明は、実施の形態で示したシートクッションやシートバック用芯材以外にも、例えば、バンパ用のビームなどの他の中空体の成形に適用することができる。
【0056】
また、中間素材としても、要は、両板状素材よりも融点または熱分解点が高い素材であれば、実施の形態で示した紙屑以外のものも用いることができる。
【0057】
また、実施の形態にあっては、型締め工程において上型21および下型22を加温する所定温度として100℃程度とした例を示した。この場合、中空部を形成する部位における空気の膨張力を高めることができる点、および転写性能を高めることができる点で優れているが、型を加温する前記所定温度としては、一般的なスタンピング加工において型を加温する温度である30〜40℃程度の温度としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の製造方法により成形する中空体としてのシートクッションを示す一部を破断した斜視図である。
【図2】実施の形態1における加熱工程を示す概念図である。
【図3】実施の形態1におけるセット工程を示す断面図である。
【図4】実施の形態1における型締め工程を示す断面図である。
【図5】実施の形態1における型開き工程を示す断面図である。
【図6】実施の形態2の製造方法におけるセット工程を示す断面図である。
【図7】実施の形態3の製造方法により成形する中空体としてのシートバック用芯材を示す斜視図である。
【図8】図7のS8−S8断面図である。
【符号の説明】
1 シートクッション
1a 中空部
1b 膨出部
1f フランジ
2 中間素材
3 オーブン
4 表皮材
11 第1板状素材
12 第2板状素材
21 上型
21a 成形面
21p 温調パイプ
22 下型
22a 成形面
22p 温調パイプ
5 シートバック用芯材
51 背板
52 サイドサポート部
53 ヒンジ部
54 ロッド受部
55 中空クッション部
55b 膨出面

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂を含む第1板状素材および第2板状素材と、前記板状素材の熱可塑性樹脂と実質的に異質の素材であって、前記板状素材の熱可塑性樹脂よりも融点または熱分解点が高く、前記両板状素材の間に配置される中間素材とを、金型により圧縮成形をする前に前記両板状素材を相互に溶着可能となる温度まで加熱した後、前記両板状素材の融点よりも低い温度の金型により圧縮成形し、次いで前記圧縮を解放することを特徴とする中空体の製造方法。
  2. 前記圧縮成形時において、板状素材の少なくとも一方の表面に、型の表面形状を転写する加工、または表面材を一体に溶着させる加工からなる加飾表面加工を行うことを特徴とする請求項1に記載の中空体の製造方法。
  3. 前記圧縮成形の金型温度が80℃以上で加飾表面加工を行うことを特徴とする請求項2に記載の中空体の製造方法。
  4. 前記中間素材が、木片、紙、衣服、プラスチック片、繊維強化樹脂片、羊毛、磁気テープ、籾殻、グラスウールおよびロックウールの少なくとも一種類を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の中空体の製造方法。
  5. 前記中間素材が、短冊状または連続した扁平の紙を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の中空体の製造方法。
  6. 前記第1板状素材または第2板状素材が、平均繊維長5mm以上の強化繊維を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の中空体の製造方法。
  7. 前記第1板状素材または第2板状素材が、強化繊維が実質的に1方向に配列された線材状、ペレット状、またはテープ状の形態をなす長繊維強化熱化塑性樹脂基材(以後、L−FRTPという)を含有させて成型したものであって、前記L−FRTPの平均径が0.1〜1.5mm(テープ状においては幅が1〜15mm)であり、強化繊維含有率が15〜85wt%であり、平均長が5〜150mmであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の中空体の製造方法。
  8. 前記第1板状素材または第2板状素材が、木片、紙、衣服、プラスチック片、繊維強化樹脂片、羊毛、磁気テープ、タルクおよび籾殻の少なくとも一種類を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の中空体の製造方法。
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