JP3709613B2 - 蓄熱材 - Google Patents

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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なトランス-1,4- ポリブタジエンに関する。更にそれを用いた蓄熱材、特に、大きな潜熱を有し、低温領域で利用可能な有機高分子蓄熱材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、物質の転移、融解を利用する潜熱蓄熱材としてAlCl3 、AlCl3/FeCl3 混合物、NaOH-NaNO3あるいはNaOH-NaNO2の水酸化物系の二元系混合溶融塩などの無機化合物、尿素、ネオペンチルグリコール、2,2-ジメチル-1,3- プロパンジオール、2-ハイドロオキシメチル2-メチル-1,3- プロパンジオールなどの有機化合物、高密度ポリエチレンなどの有機高分子物が知られている。
【0003】
有機高分子物は、蓄熱材としては、軽量であり、潜熱が大きく、材料として安価で、成形加工が容易であるなどの特徴を有している。一方、熱安定性や熱伝導が劣り、特に融解熱を利用する場合に融着しやすく、液体としての取扱いなどでの問題点がある。液化融着の欠点を解決する目的で、例えば、日本産業技術振興協会技術資料, 1983年, 129 巻, 18頁、特開昭58-27773号公報などに、シリコンカップリング剤によるシリコーングラフト重合、アルゴンプラズマによる表面架橋が提案されている。しかし、こうした処理のために特別の装置を必要とするため経済的ではない。さらに蓄熱材の使用温度が100 ℃以上であるものが多く、比較的100 ℃以下の低温で利用できる蓄熱材は少ない。
【0004】
有機高分子物の結晶転移を利用する蓄熱方法は固体・液体の相変化がなく、比較的体積変化も少なく、また可逆的であり過冷却が小さく、融解熱よりは優位な点が多い。これまでポリマーの結晶転移の例としては、月間フィジクス, 第4巻, No.9, 1983年, 566 頁などに開示されている様に、α型 Polyamides (Nylon66 ,610 ,7など)、Poly-P-Xylylene 、Poly(vinylidene fluoride) などの多くのものが知られている。しかし、主として100 ℃以上の温度下で使用する必要がある。
【0005】
J.Macromol.Sci.-Phys.,B4(1),39-46(1970) には、トランス-1,4- ポリブタジエンは100 〜141 ℃に融点、50〜80℃に低温結晶構造から高温結晶構造への結晶転移があることが報告されている。しかし、蓄熱材としてのトランス-1,4- ポリブタジエンの物性についての記載はなく、蓄熱材への適用については何らの開示もない。
【0006】
【発明の解決しようとする課題】
本発明は、特定の物性値を有する新規なトランス-1,4- ポリブタジエン及び大きな潜熱を有し、低温領域で利用可能な有機高分子蓄熱材を提供するものである。
【0007】
【課題解決のための手段】
本発明は、(1)トランス−1,4−結合の含有量が95モル%以上、(2)重量平均分子量1万〜10万、及び、(3)示差走査型熱量計で測定された低温結晶構造から高温結晶構造への結晶転移エンタルピー変化ΔHが90〜150J/g以上であるトランス−1,4−ポリブタジエンを用いることを特徴とする蓄熱材に関する。
【0009】
【発明の実施の態様】
本発明のトランス-1,4- ポリブタジエンは、トランス-1,4結合の含量がIRスペクトル、あるいは1H-NMR、13C-NMR 等スペクトルからの算出で、95モル% 以上、好ましくは98% 以上、さらに好ましくは99% 以上である。トランス-1,4結合の含有率が上記の範囲よりも低くなる、即ちポリマーの立体規則性が小さくなると結晶化度が下がり、従って結晶転移エンタルピー変化ΔH が小さくなるため、大きな結晶転移潜熱が得られない。
【0010】
本発明のトランス-1,4- ポリブタジエンは重量平均分子量が、1万〜10万である。ここで重量平均分子量とは、スチレンを標準物質としゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、溶媒としてo−ジクロロベンゼンを用いて求めたものである。一般に、ポリマーの結晶化度は、立体規則性以外に分子量にも依存し、特定の分子量範囲において最大値を持つ。本発明では重量平均分子量が上記範囲外であると、結晶化度が急激に下がり、従って結晶転移潜熱が小さくなる。
【0011】
また、本発明のトランス-1,4- ポリブタジエンは、低温結晶構造から高温結晶構造への結晶転移温度が50〜80℃であり、分子量、ミクロ構造などによって変えることができる。かつ、2つの結晶構造間の転移速度が速い。従って、一定温度での蓄熱が可能となる。
【0012】
本発明のトランス−1,4−ポリブタジエンは、融解エンタルピー変化ΔHfが好ましくは40J/g以上、より好ましくは60J/g以上である。上記範囲外であると、蓄熱材として使用量が多くなり、装置を大きくする必要があり好ましくない。本発明のトランス−1,4−ポリブタジエンは、結晶転移エンタルピー変化ΔHが90〜150J/gである。上記範囲外であると、蓄熱材として使用量が多くなり、装置を大きくする必要があり好ましくない。
【0013】
ここで、融点、結晶転移点は示差走査型熱量計(DSC )を用いて測定した。窒素雰囲気下、まず一定温度で昇温し、200 ℃で完全に融解させた後、一定温度で30℃まで降温し再結晶化し、再度200 ℃まで昇温する。2 回目の昇温時の示差熱を測定し融解に相当するピークのピーク点、結晶転移に相当するピークのピーク点を融点、結晶転移点とする。融解エンタルピー変化ΔHf、及び結晶転移エンタルピー変化ΔH は、上述のそれぞれのピークにおいて、160 ℃以上のほぼ直線と見なされる示差熱曲線をベースラインとし、その低温側への延長線と示差熱曲線との間に挟まれた領域の面積から求められるそれぞれの熱量をサンプル重量で換算して求めた値である。
【0014】
本発明のトランス-1,4- ポリブタジエンは融点が 130〜140 ℃付近である。比較的低温であるため、ペレット、薄板、金属板とのラミネーション、中空糸、構造体、キャストフィルム等への成形加工が可能である。
【0015】
また、本発明の蓄熱材は、熱媒体中に懸濁させ、スラリーとすることにより、液状の蓄熱体として使用できる。熱媒体としては、水、シリコンオイル、エチレングリコールなどのグリコール類、流動パラフィンなどが挙げられる。シリコンオイル、エチレングリコールなどはトランス-1,4- ポリブタジエンの溶解性を小さく、それらを熱媒体として利用することができる。さらに、窒素密閉雰囲気においては長時間連続使用できる。
【0016】
本発明のトランス-1,4- ポリブタジエンには、アミン−ケトン系、芳香族第2級アミン系、モノフェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系ベンツイミダゾール系、ジチオカルバミン酸系、チオウレア系、亜リン酸系、有機チオ酸系、特殊ワックス系、また2種類以上の混合系等の抗酸化剤、光安定剤、熱安定剤等を、約0.01〜4phr添加することによってポリマーの安定性、寿命を伸ばすことができる。これらは、たとえばトリス(ノニルフェニル)ホスファイト、2,6-ジ-tert-ブチル-4- メチルフェノールなどである。
【0017】
さらに、有機系核剤、無機系核剤、または高融点ポリマー核剤などの結晶核剤を0.01〜6wt%添加することによって結晶化度、転移潜熱を高めることができる。有機系核剤としては、例えば芳香族カルボン酸の金属塩、ソルビトール系誘導体、及び有機リン酸塩、アルミニウムヒドロキシジパラt-ブチルベンゾエート、環状トリエチレングリコールテレフタレート、ソジウムフェニルフォスフィネート、メラミン、チミン、コーヒドロキシベンズイミダゾール、ソジウム6-ニトロベンズイミダゾール等含窒素高融点物、ブロム化ビフェニルエーテル、顔料/ε- カプロラクタム、Terylene&Nylon 繊維、Dechloraue Bなどが挙げられる。
【0018】
無機系核剤としては、例えばタルク、カオリン、シリカ、アルミナ、アルミナム、TiO2、CaO 、Pb3(PO4)2 、NaH2PO4 、Na2P5O16、微小粒金属、ガラス繊維などが挙げられる。
【0019】
高融点ポリマー核剤としては、例えばナイロン66、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリビニルシクロアルカン、ポリ3-メチルブテン-1、ポリアルケニルシランなどが挙げられる。
【0020】
また、通常の条件で、融点以下の温度でアニーリングすることにより、結晶化度を高めることで、融解エンタルピー変化ΔHf及び結晶転移エンタルピー変化ΔH を大きくすることができる。このことにより、蓄熱剤としての効果を大きくすることができる。
【0021】
また、トランス-1,4- ポリブタジエンを弱架橋、もしくは、一部又は表面を架橋することにより、ポリマーの安定性、機械的強度、形状安定性、耐薬品性を高めることができる。
【0022】
本発明のトランス-1,4- ポリブタジエンは、公知の重合方法によって製造することができる。以下に具体例を示す。
触媒として、バナジウムトリアセチルアセトナート、三塩化バナジウムTHF錯体、オキシ三塩化バナジウム、ナフテン酸バナジウムなどのバナジウム化合物、助触媒としての周期律表第I 乃至III 族主元素金属の有機金属化合物、有機金属ハロゲン化合物、水素化有機金属化合物、またはアルモキサンからなる触媒系を用いることができる。
【0023】
助触媒の有機金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム、ジブチルマグネシウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどが挙げられる。有機金属ハロゲン化合物としては、例えば、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどが挙げられる。水素化有機金属化合物としては、例えば、ジエチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
【0024】
アルモキサンとは、一般式(-Al(R)O-)m で示される直鎖状、あるいは環状重合体である(R は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/ 又はRO基で置換されたものも含む。m は重合度であり5 以上、好ましくは10以上である)有機アルミニウムオキシ化合物である。R としてはメチル、エチル、プロピル、イソブチル基が挙げられるが、メチル基が好ましい。
【0025】
上記において、各触媒成分の接触は、通常0 〜100 ℃、10〜180 分行う。各成分の使用量は、助触媒/遷移金属化合物のモル比は通常0.1 〜 10000、好ましくは1 〜3000、アルモキサンの場合はAl/遷移金属化合物のモル比は、通常10〜5000、好ましくは10〜1000である。さらに有機金属化合物を共用する場合には、有機金属化合物/遷移金属化合物のモル比は通常0.1 〜10000 、好ましくは 1〜1000である。重合体の分子量は水素添加、重合温度、触媒濃度によって制御することができる。
【0026】
重合法として溶媒を用いて行う溶液重合、触媒を担体に担持して用いる気相重合、ブタジエンモノマーを媒体とするバルク重合など採用できる。溶液重合で使用できる溶媒としては例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、クロロホルム、メチレンクロライド、ジクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、ミネラルオイルなどが挙げられる。
【0027】
気相重合などでの担体としての無機化合物としては、無機酸化物、無機塩化物、無機水酸化物が好ましく、少量の炭酸塩、硫酸塩を含有したものも採用できる。特に好ましいものは無機酸化物であり、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、カルシアなどを挙げことができる。これらの無機酸化物は、平均粒子径が 5〜150 μ、比表面積が2 〜800m2/g の多孔性微粒子が好ましく、例えば100 〜800 ℃で熱処理して用いることができる。
【0028】
有機高分子化合物としては、側鎖に芳香族環、置換芳香族環、あるいはヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基、ハロゲン原子などの官能基を有するものが好ましい。具体例としては、エチレン、プロピレン、ポリブテンなどの化学変成によって前記官能基を有するαオレフィンホモポリマー、αオレフィンコポリマー、アクリル酸、メタクリル酸、塩化ビニル、ビニルアルコール、スチレン、ジビニルベンゼンなどのホモポリマー、共重合体、さらにそれらの化学変成物を挙げることができる。これらの有機高分子化合物は、平均粒子径が 5〜250 μの球状微粒子が用いられる。遷移金属化合物及び/又は助触媒を担持することによって、触媒の重合反応器への付着による汚染を防止することができる。
【0029】
各々の重合方法においては、重合時間が10分〜12時間、好ましくは30分〜6 時間、重合温度が0 〜100 ℃、好ましくは10〜50℃で行うことができる。
【0030】
本発明においては、特に限定されないが、前記の触媒系でブタジエンの重合を行うことができる。ただし、ポリマー物性を損なわない範囲において少量の異種オレフィン、共役ジエン、又は非共役ジエンとの共重合を行ってもよい。オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン-1、4-メチルペンテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1、ノルボルネン、シクロペンテン、トリメチルビニルシランなどが挙げられる。共役ジエンとしては、イソプレン、2,3-ジメチルブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3- ペンタジエン、4-メチル-1,3- ペンタジエン、2,4-ヘキサジエンなどが挙げられる。非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2- ノルボルネン、あるいは1,5-ヘキサジエンなどが挙げられる。
【0031】
【実施例】
実施例において、
「重合活性」とは、バナジウムトリアセチルアセトナートV(AA)3含有触媒固体成分1mmol 当たりの生成ポリマーの収量(g)である。
【0032】
「重量平均分子量」は以下のように求めた。スチレンを標準物質としWaters製150C型(カラムは昭和電工製Shodex HT-806M2本、プレカラムとしてShodex HT-800P1本を使用)のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC )により、溶媒O-ジクロロベンゼン、カラム温度135 ℃で、同一条件で標準ポリスチレンの測定を行い校正曲線を作成し校正して求めたGPC 曲線より求めたものを示す。
【0033】
「トランス-1,4結合の含量」とは、日本電子製回折格子赤外分光光度計(FT-IR)JIR-5500 を用い、KBr 錠剤法で求めたIRスペクトルから算出した。すなわち、トランス-1,4結合に相当する966cm -1付近のピーク、シス-1,4結合に相当する730cm -1付近のピーク、及びビニル結合に相当する912cm -1付近のピークの各面積を求め、各ピーク面積の和でトランス-1,4結合に相当するピーク面積を割ったものをトランス-1,4結合の含量とした。
【0034】
「融点」及び「結晶転移点」は以下のように求めた。セイコー電子工業株式会社製SSC 5200の示差走査型熱量計(DSC )を用い、アルミ製サンプルパンに試料10mgを入れシールしたものを、窒素雰囲気下、まず室温より10℃/分で昇温し、200 ℃5 分加熱することにより完全に融解させた後、-10 ℃/分で30℃まで降温し5 分間再結晶化し、再度10℃/分で200 ℃まで昇温した。2 回目の昇温時の示差熱を測定し融解に相当するピークのピーク点、結晶転移に相当するピークのピーク点をそれぞれ「融点」、「結晶転移点」とした。
【0035】
「融解エンタルピー変化ΔHf」及び「結晶転移エンタルピー変化ΔH 」は、上述のそれぞれのピークにおいて、160 ℃以上のほぼ直線と見なされる示差熱曲線をベースラインとし、その低温側への延長線と示差熱曲線との間に挟まれた領域の面積から求められるそれぞれの熱量をサンプル重量で換算して求めたものである。
【0036】
(実施例1)
十分に窒素置換したオートクレーブ中にトルエン300ml を入れ、ブタジエン100ml を加えた後、触媒としてバナジウムトリアセチルアセトナートV(AA)3を0.1mmol 、助触媒としてエチルアルミニウムセスキクロライドEASCを1mmol 、ジエチルアルミニウムクロライドを14mmolを順次加え重合を開始した。重合は窒素雰囲気下、40℃で60分間行った。老化防止剤としてトリス(ノニルフェニル)ホスファイトを0.65g 、チバガイギー製イルガノックス1076を0.35g 再沈用エタノール400ml に加えたものに、重合溶液を加え、重合体を沈殿させ、回収した。この時これにより得られたポリブタジエンは活性70g/mmol、重量平均分子量は8.2 万、トランス含量は99.9%であった。融点及び融解エンタルピー変化ΔHfは138 ℃、70J/g 、結晶転移点、及び結晶転移エンタルピー変化ΔH はそれぞれ、77℃、140J/gであった。
【0037】
(実施例2)
十分に窒素置換したオートクレーブ中にトルエン300ml を入れ、ブタジエン100ml を加えた後、触媒としてバナジウムトリアセチルアセトナートV(AA)3を0.1mmol 、助触媒としてジエチルアルミニウムクロライドを15mmolを順次加え重合を開始した。重合は窒素雰囲気下、10℃で60分間行った。重合体の回収は、実施例1と同様に行った。この時これにより得られたポリブタジエンは活性27g/mmol、重量平均分子量は6 万、トランス含量は100 %であった。融点及び融解エンタルピー変化ΔHfは137 ℃、79J/g 、結晶転移及び結晶転移エンタルピー変化ΔH はそれぞれ、77℃、147J/gであった。
【0038】
(実施例3)
十分に窒素置換したオートクレーブ中にトルエン300ml を入れ、ブタジエン100ml を加えた後、触媒としてバナジウムトリアセチルアセトナートV(AA)3を0.1mmol 、助触媒としてエチルアルミニウムセスキクロライドEASCを15mmolを順次加え重合を開始した。重合は窒素雰囲気下、20℃で60分間行った。重合体の回収は、実施例1と同様に行った。この時これにより得られたポリブタジエンは活性218g/mmol 、重量平均分子量は80万、トランス含量は100 %であった。融点及び融解融解エンタルピー変化ΔHfは136 ℃、63J/g 、結晶転移点、及び結晶転移エンタルピー変化ΔH はそれぞれ、60℃、92J/g であった。
表1に実施例1〜3のポリブタジエンの特性値をまとめた示した。
【0039】
(実施例4)
実施例1で得られたポリブタジエンを200 ℃でプレスして、フィルム化し、これを約5mm 角に切りチップ状とした。50mlビーカーに、イオン交換水20mlに攪拌子とチップ状ポリマー4gを入れ、バーナーで加熱して1 分間沸騰させた。これを火から下ろした時点を測定開始時間とし、ビーカーを保温材で包み、攪拌しながら、系内の温度変化を測定した。図1に放冷中の系内の温度変化を示す。これより、約62℃付近でのポリマーの蓄熱による保温効果が約2 分間認められた。
表2に実施例4による沸騰水の放冷による温度変化を示した。
【0040】
(実施例5、6)
実施例2、3で得られたものについても実施例4と同様の実験を行った。実施例2の重合体では約62℃付近でのポリマーの蓄熱による保温効果が約3 分間はっきりと見られた。実施例3の重合体では約50℃付近で約1.5 分間保温効果が認められた。
【0041】
(実施例7〜9)
実施例1において、重合条件を変えてポリブタジエンを合成した。表3に、物性値をまとめて示した。
【0042】
(実施例10)
熱安定性評価として、実施例1で得られたポリブタジエンを窒素雰囲気下、20℃から 100℃へ20℃/min.で昇温した後、 100℃から20℃へ -20℃/min.で降温する操作を繰り返し1500回行ったところ、結晶転移温度及び結晶転移熱はほとんど変化はなかった。
図2に結晶転移温度(Ttr)、図3に結晶転移熱(ΔH)の変化を示した。
【0043】
(実施例11)
酸素雰囲気下での耐熱性試験として実施例1で得られたポリブタジエンを酸素雰囲気下で、85℃で約 9時間保持し、その後15時間室温に保持する操作を約20日間繰り返したところ、結晶転移温度及び結晶転移熱はほとんど変化はなかった。表4に、融点、融解熱量、結晶転移点、転移熱量の変化を示した。
【0044】
【表1】
Figure 0003709613
【0045】
【表2】
Figure 0003709613
【0046】
【表3】
Figure 0003709613
【0047】
【表4】
Figure 0003709613
【0048】
【発明の効果】
本発明はトランス-1,4- ブタジエンの結晶転移による潜熱を利用するものであり、成形加工が容易で使用中にその形状を保ち、低温下、一定温度での蓄熱が可能な蓄熱量の大きい新規な蓄熱材を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4の沸騰水の放冷による温度変化を示したものである。
【図2】実施例10の熱安定性評価における結晶転移温度の変化を示したものである。
【図3】実施例10の熱安定性評価における結晶転移熱の変化を示したものである。

Claims (1)

  1. (1)トランス−1,4−結合の含有量が95モル%以上、(2)重量平均分子量1万〜10万、及び、(3)示差走査型熱量計で測定された低温結晶構造から高温結晶構造への結晶転移エンタルピー変化ΔHが90〜150J/gであるトランス−1,4−ポリブタジエンを用いることを特徴とする蓄熱材。
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