JP3709548B2 - 銅系摺動材料 - Google Patents
銅系摺動材料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3709548B2 JP3709548B2 JP08487594A JP8487594A JP3709548B2 JP 3709548 B2 JP3709548 B2 JP 3709548B2 JP 08487594 A JP08487594 A JP 08487594A JP 8487594 A JP8487594 A JP 8487594A JP 3709548 B2 JP3709548 B2 JP 3709548B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- copper
- less
- sliding material
- based sliding
- resistance
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Sliding-Contact Bearings (AREA)
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、銅系摺動材料に関するものであり、さらに詳しく述べるならば、特に、トランスミッション用ブシュもしくはワッシャ、ピストンピンブシュ、カムブシュ、バランサ軸受(ブシュメタル)あるいはターボチャージャ用各種部品、例えば、フローティングブシュ、スラストワッシャ等の硫黄含有潤滑油による潤滑下で使用される部品用摺動材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来上記摺動材料としては鉛青銅あるいはりん青銅などが使用されてきた。
また、これらの銅合金の耐焼付性を向上させるために、P,AlなどのCuマトリックスを強化する元素を添加する、なじみ性が優れたBiなどを添加するなどの提案がなされ、それなりの成果を達成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、鉛青銅もしくはりん青銅は硫黄分が多い潤滑油中かつ/または高温で使用されると、表面に黒色の硫化銅が生成し、この硫化銅層は強度が弱くかつ母材に密着していないために容易に剥離する腐食摩耗を起こし、この結果焼付もしくは異常摩耗を起こしていることが分かった。また、腐食によって材料の強度劣化や疲労も起こっていることが分かった。
また潤滑油が少なく混合―境界潤滑領域中の摺動条件では鉛青銅及びりん青銅が容易に焼付を招いていた。
【0004】
したがって、本発明は第一に、耐硫化性に優れた銅系摺動材料を提供することを目的とする。
第二に、本発明は耐焼付性に優れた銅系摺動材料を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述のような観点から銅系摺動材料の特性を改良するための研究を行い、少量のAg及び適量のZnの添加が耐硫化性及び耐焼付性を飛躍的に高めることを発見して完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明の第一は、重量百分率で0.1〜5%(以下特記しない限り百分率は「重量百分率」を表すものとする)のAg及び7〜35%のZnを含有し、残部が実質的にCu及び不可避的不純物からなり、硫黄含有潤滑油の潤滑下最高油温150 〜200℃の条件で使用されることを特徴とする耐硫化性に優れた銅系摺動材料であり、
本発明の第二は、第一発明の成分の他に、10%以下の Sn、 0.4 %以下の P、 0.5 %以下の Al, 0.9 %以下の Si、 3 %以下の Mn、 2 %以下の Cr, 2 %以下の Ni, 2 %以下の Sb、0.01 %以下の S、 1 %以下の Mgからなる群から選択された1種又は2 種を、さらに含有することを特徴とする耐硫化性に優れた銅系摺動材料であり、
本発明の第三は、第一発明及び第二発明の成分の他に、総量で1 5%以下のPb 及びBiからなる群から選択された1種又は2種をさらに含有する耐硫化性に優れた銅系摺動材料である。
【0007】
以下本発明の構成を説明する。
本発明の第一から第三に共通する添加元素であるZnはCu合金に関して潤滑油中のS成分による硫化に伴う黒変化を起こし難くする成分である。したがって、硫化銅は生成され難くなり、硫化銅が原因となる腐食摩耗は起こり難くなる一方で硫化銅の優れた耐焼付性は利用できなくなる。Znの黒変化抑制の効果は7%以上で発揮されるが、35%を超えると摺動特性が劣化する。したがって、Zn含有量は7〜35%であり、好ましいZnの含有量は15〜25%である。
【0008】
AgはCuマトリックスに固溶して耐焼付性を高める元素である。特に、摺動材料の摺動条件が流体潤滑から境界潤滑に移行して焼付易い潤滑状態となると、Agの効果が顕著になる。Agの含有量が0.1%以上でこの効果が発揮され、含有量が5%を超えると析出するAgが多くなりかつAg粒子が粗大析出するようになるのでその効果が失われる。5%を超えるAgを含有する銅合金は特殊な急冷鋳造をしなければAgを固溶することができない。したがってAgの含有量は0.1〜5%とし、好ましくは0.2〜2%である。
【0009】
上記組成の残部はFe、S,Oなどの銅に通常含まれる不純物である。銅の純度は竿銅、電気銅、電解精製銅,OFHCなどいずれであってもよい。
【0012】
本発明の第二において銅に添加されるSn,P,Al,Si,Mn,Cr,Ni、Mg及びSbはCuマトリックスを強化する元素であり、マトリックス強化により耐焼付性及び耐摩耗性を向上させることができる。これらの機能に加えて、SiはMnと金属間化合物を形成して耐摩耗性及び耐焼付性を改善する。またPは銅の脱酸材として使用されるが、鋳造銅中に残存して潤滑油との親油性を改善して摺動面での潤滑油分布を良好にする。さらに、Al,Si及びMgは高温における摺動面の酸化を抑制する。最後にSbは高温での凝着を起こし難くする。
【0013】
上記添加元素にあっては、 Sn は 10 % , P は 0.4 % , Al は 0.5 % ,Si は 0.9%,Mn は 3 % , Cr は 2 % , Ni は 2 % , Sb は 2 % , S は 0.01 %を超え、 Mg は 1%を超えるとCuの延性が損なわれるので、これらの値を含有量上限とする必要がある。
【0014】
本発明の第二において添加されるSは、摺動材料使用中に潤滑油による黒変化を阻止する元素である。すなわち、予めSを均一に銅合金母材に合金元素として添加して置くとAgとSが結合してAg 2 Sを形成し、最表面である摺動面ではAg 2 Sが薄く延びて表面を覆い、CuSの形成を遅らせる。また表面のAg2Sは摺動特性が良い。さらに潤滑油との親油性を改善する効果もある。しかしながらSの含有量が0.01 %を超えると、銅合金の強度が低下するために好ましくない。
【0015】
本発明の第三に添加されるPb及びBiは高温における耐焼付性、なじみ性、切削性及び異物埋収性を高める元素である。Pb 及びBiの含有量が総量で15 %を超えると、強度と耐食性が劣化する。好ましい含有量は0.5〜15%である。耐食性がさらに要求される場合は0.5 〜10%が望ましい。
【0016】
本発明の銅系摺動材料の成分元素の機能を発揮するためには鋳造もしくは鋳造後焼鈍を行えばよい。部品の形状を得るために塑性加工及び/又は機械加工を適宜行うことができる。
【0017】
【作用】
銅系摺動材料の黒変化はCuよりもSに対する親和力が大きいZnを添加することにより防止できたが、摺動特性、特に耐焼付性は著しく劣化した。従来銅系摺動材料の摺動性能はケルメットに見られるようにPbなどの軟質金属が重要な役割をすると認識されていたが、Agを少量添加することによりケルメットを凌ぐ耐焼付性を発揮が達成できた。
またPbは黒変化を防止せずかつ摺動特性向上の効果はAgほどでないことも分かった。
【0018】
一方Agのみの添加では黒変化も十分に防止できず摺動特性もケルメットを大幅に上回ることができなかった。Znの添加により硫化銅の生成を防止することができるので、硫化亜鉛が生成していると考えられるが、確証は得られなかった。このようなZn添加とAg添加を同時に行うことにより黒変化を防止しかつ摺動特性もケルメット以上に著しく改良することができた。すなわち、硫化銅生成量が少ないと耐焼付性が低くなるという欠点はCuに添加された Ag が解消する。
【0019】
以下、実施例により本発明をより詳しく説明する。
【0020】
【実施例】
実施例1
表1に示す含有量となるよう電気銅に各種元素を添加した合金を高周波炉で溶製し金型鋳造した素材をターボチャージャー用のフローティングブシュに機械加工し、直列4気筒、2000ccディーゼルエンジンに組み込んで試験を行った。運転条件は、全負荷×4000rpmで5分間運転後急停止し、5分後に再び全負荷を行うサイクルを300時間繰り返すものであった。
全負荷運転中の推定最高油温は150〜180℃であるが急停止時のターボハウジング部は300〜350℃に達している。
【0021】
試験条件は、耐硫化性1は試料の外観観察により試験し、○は試験前とほとんど変化なし、△は黒化しているが銅色も見える、×は黒変化しているの三段階で評価した。耐硫化性2はCuS−X線強度(cps)を測定したものである。
【0022】
耐焼付性試験は次の条件で行ったものである。
試験機:図1に示すもの
すべり速度:15m/s
荷重:荷重漸増(ステップ式)50kgf/10min
油種:10W−30CC級(S含有量0.5%)
油温:室温
相手材:S55C焼入れ(Hv550〜650)、粗さ;0.5〜0.8μmRz
図1において、1は給油パッド、2は油圧シリンダー、3はテストピース、4はディスク、5はバランスウェイト、6はロードセルである。
試験結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
表において*符号を付した試料は比較例である。比較例5はリン青銅であり、耐硫化性が劣りかつ焼付荷重が低く耐焼付性が著しく不良である。比較例1、2は従来の鉛青銅軸受(JIS LBC−3相当)に相当する材料であり、同様に耐硫化性と耐焼付性が不良である。比較例4はZnの添加により耐硫化性が改善されているが、焼付荷重はむしろ低下している。ただし、比較例4の表面は荒れ始めており、焼付のおそれがあった。これに対してZnとAgを共存させた本発明実施例材料1〜11は耐硫化性及び耐焼付性が顕著に改善されている。
【0025】
実施例2
表1の本発明材料No5及び比較例材料No2をオートマチックトランスミッションのサンギヤブシュに加工し、実車のオートマチックトランスミッションに組み込んで30000kmの走行試験を行った。使用したトランスミッションオイルは(キャッスルデクスロンII−商品名)であり、S含有量は1.5%、使用中の推定最高温度は150〜200℃であった。なお走行期間中トランスミッションオイルの交換は行わなかった。
本発明材料を使用したブシュは試験後も表面は銅色を呈していたが、比較例材料を使用したブシュは黒変しておりまた摩耗量が前者の3倍であった。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の銅系摺動材料は潤滑油中の硫黄による耐硫化性腐食に優れておりしかも耐焼付性は従来の鉛青銅やりん青銅よりも優れているという画期的材料である。したがって本願冒頭で説明した各種部品に本発明の銅系摺動材料は極めて適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 焼付試験機の図である。
【符号の説明】
1 給油パッド
2 油圧シリンダー
3 テストピース
4 ディスク
5 バランスウェイト
6 ロードセル
Claims (4)
- 0.1〜5重量%のAg及び7〜35重量%のZnを含有し、残部が実質的にCu及び不可避的不純物からなり、硫黄含有潤滑油の潤滑下最高油温150 〜200℃の条件で使用されることを特徴とする耐硫化性に優れた銅系摺動材料。
- 10 重量%以下の Sn、 0.4 重量%以下の P、 0.5 重量%以下の Al, 0.9 重量%以下の Si、 3 重量%以下の Mn、 2 重量%以下の Cr, 2 重量%以下の Ni, 2 重量%以下の Sb、0.01 重量%以下の S、 1 重量%以下の Mgからなる群から選択された1種又は2 種を、さらに含有することを特徴とする請求項1記載の耐硫化性に優れた銅系摺動材料。
- 総量で1 5重量%以下のPb 及びBiからなる群から選択された1種又は2種をさらに含有することを特徴とする請求項1又は2記載の耐硫化性に優れた銅系摺動材料。
- 鋳造材を機械加工したことを特徴とする請求項1から3までの何れか1項記載の耐硫化性に優れた銅系摺動材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08487594A JP3709548B2 (ja) | 1994-04-22 | 1994-04-22 | 銅系摺動材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08487594A JP3709548B2 (ja) | 1994-04-22 | 1994-04-22 | 銅系摺動材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07292428A JPH07292428A (ja) | 1995-11-07 |
JP3709548B2 true JP3709548B2 (ja) | 2005-10-26 |
Family
ID=13842973
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08487594A Expired - Lifetime JP3709548B2 (ja) | 1994-04-22 | 1994-04-22 | 銅系摺動材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3709548B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4468781B2 (ja) * | 2004-10-05 | 2010-05-26 | 大豊工業株式会社 | 銅合金系すべり軸受 |
WO2007126006A1 (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-08 | Kaibara Corporation | 軸受性に優れた摺動材料用銅合金 |
KR20100017146A (ko) * | 2007-04-24 | 2010-02-16 | 에누티에누 가부시키가이샤 | 구름 베어링 |
JP5139890B2 (ja) * | 2008-06-17 | 2013-02-06 | 株式会社イズミフードマシナリ | 乳化分散装置 |
-
1994
- 1994-04-22 JP JP08487594A patent/JP3709548B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07292428A (ja) | 1995-11-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4452866A (en) | Aluminum-based alloy bearing | |
JP5143827B2 (ja) | Pbフリー銅合金摺動材料を製造する方法 | |
JP3507388B2 (ja) | 銅系摺動材料 | |
US5938864A (en) | Sliding material and surface treating method thereof | |
EP0795693B1 (en) | Copper-alloy and sliding bearing having improved seizure resistance | |
KR900007784B1 (ko) | 알루미늄계 베어링합금 및 이를 소재로 한 베어링 | |
JP3570607B2 (ja) | 摺動部材 | |
JPH04254539A (ja) | 耐摩耗性銅合金 | |
JP3560723B2 (ja) | 耐焼付性にすぐれた銅合金及びすべり軸受 | |
EP2135964B1 (en) | Copper-based sliding material | |
JP3709548B2 (ja) | 銅系摺動材料 | |
GB2277935A (en) | Copper-lead based bearing material | |
US5000915A (en) | Wear-resistant copper alloy | |
JP2950478B2 (ja) | 滑り軸受合金 | |
US5246509A (en) | Copper base alloy superior in resistances to seizure, wear and corrosion suitable for use as material of sliding member | |
US4994235A (en) | Wear-resistance aluminum bronze alloy | |
US5925315A (en) | Aluminum alloy with improved tribological characteristics | |
JPS627258B2 (ja) | ||
US5069874A (en) | Method for reducing high-load, low-speed wear resistance in sliding members | |
JP3375802B2 (ja) | 黄銅系摺動材料 | |
JP4427410B2 (ja) | 耐焼付性に優れたPbフリー銅合金摺動材 | |
JPH10330871A (ja) | 摺動部材 | |
KR102103327B1 (ko) | 무연 고강도 동합금 | |
JPH04173935A (ja) | 耐摩耗性アルミニウム合金 | |
JPH0235020B2 (ja) | Allsnnpbkeijikukegokin |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050624 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050729 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110819 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110819 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120819 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120819 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130819 Year of fee payment: 8 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |