JP3709418B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等に適用されるトロイダル型無段変速機、特に入出力ディスク間に挟圧されるパワーローラのベアリング支持構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用無段変速機は、その滑らかさ、運転のしやすさ及び燃費向上の期待もあって近年研究開発が進められている。
そのなかで、油膜のせん断によって動力を伝達するトラクションドライブ式トロイダル型無段変速機(以下、トロイダル型CVT)が知られている。
【0003】
トロイダル型CVTは、その形状から、フルトロイダル型とハーフトロイダル型に分類できる。両型のうち、フルトロイダル型CVTでは、パワーローラにスラスト力がかからない。一方、ハーフトロイダル型CVTでは、パワーローラにスラスト力がかかり、この力を受けるためにベアリングを必要とする。このベアリング性能が効率に大きな影響を及ぼす。しかしながら、ハーフトロイダル型CVTは、ディスクとパワーローラとの2つの接触点に引いた接線が交点を持ち、その交点の軌跡が全変速範囲において回転軸の近傍にあることから、スピン損失がフルトロイダル型CVTに比べて小さく、これらの得失を考えてハーフトロイダル型CVTが選択されている。
【0004】
このハーフトロイダル型CVTの変速動作は、パワーローラ支持部材であるトラニオンにパワーローラ回転軸とディスク回転軸に垂直な方向に僅かな変位を与えることによってサイドスリップ力を発生し、傾転力を得る機構になっている。
【0005】
このようなトロイダル型CVTの入出力ディスク間に動力伝達可能に挟圧されるパワーローラのベアリング支持構造としては、例えば、特開平11−51139号公報の図4に記載されたものが知られている。
【0006】
この従来公報には、図8に示すように、入出力ディスク間に動力伝達可能に挟圧されるパワーローラと、パワーローラを支持軸により回転可能に支持するトラニオンと、パワーローラと外輪に挟持され、パワーローラ及び外輪に設けられた軌道溝内を転動する複数個の転動体と、パワーローラ回転軸方向に貫通する複数個のポケット穴を有し、該ポケット穴に転動体を軌道溝から脱落しないよう転動可能に保持する保持器とが記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のパワーローラのベアリング支持構造にあっては、図8に示すように、保持器の内周面とポケット穴との間の内側肉厚tiと、保持器の外周面とポケット穴との間の外側肉厚toとがほぼ同じ、もしくは、ti<toという関係になっているため、転動体の中心を結ぶ円の直径である転動体ピッチ径が小さくなるという問題がある。
【0008】
この結果、同じ大きさの転動体で周方向の間隔を短くしないようにすると、転動体ピッチ径が小さいと転動体の数が少なくなり、パワーローラ及び外輪の軌道溝を転動疲労寿命が短くなる。一方、同じ大きさで同じ数の転動体の場合、転動体ピッチ径が小さいほど隣接する転動体の周方向間隔が短くなるという問題がある。
【0009】
すなわち、パワーローラ及び外輪の軌道溝を転動疲労寿命の観点より考えると、転動体の数は多い程良く、転動体の数を増やすためには、転動体のピッチ径を大きくする必要がある。一方、保持器外径を大きくすると、図10に示すように、入出力ディスクと接触するため、保持器外径はそのままで、内側肉厚tiより外側肉厚toを厚くすると、必然的に転動体ピッチ径が小さくなる。
【0010】
そこで、保持器外径はそのままで、転動体のピッチ径を大きくするには、外側肉厚toを内側肉厚tiより薄くすることになるが、従来のパワーローラベアリング支持構造にあっては、ポケット穴と転動体との径方向の内側隙間δiと、ポケット穴と転動体との径方向の外側隙間δoとが同じ隙間となっているため、保持器のポケット穴と転動体とは図9に示すような位置関係になる。
【0011】
よって、振動等により保持器が半径方向に偏心すると、図11に示すように、肉厚が薄く強度的に弱い外側肉厚部に転動体が衝突する可能性があり、保持器強度が不足するという問題がある。
【0012】
また、一般の軸受において、図12に示すように、保持器の構造として、転動体と軸受中心の間にある円環部と、該円環部と結合され各転動体の間に配置される柱状部からなるもの、つまり、外側肉厚ゼロのものが知られている。しかし、この軸受では、急加減速し転動体と保持器の柱状部が衝突した場合、柱状部は片持ち支持であるため、根元部の応力が高くなり強度が不足するという問題がある。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、保持器外径はそのままで転動体ピッチ径を大きく確保しながら、振動等により保持器が半径方向に偏心しても高い保持器強度を発揮することができるパワーローラベアリング支持構造を備えたトロイダル型無段変速機を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明では、同軸に対向配置された入力ディスク及び出力ディスクと、
これら入出力ディスク間に動力伝達可能に挟圧したパワーローラと、
前記入力ディスク、或いは、出力ディスクのうち、一方のディスクの背面に配置され、他方のディスク方向へ押圧する押圧手段と、
前記パワーローラを、回転可能に支持しつつ、ピボットシャフトと直交する首振り軸線の周りに傾転可能なパワーローラ支持部材と、
前記パワーローラと外輪に挟持され、該パワーローラ及び外輪に設けられた軌道溝内を転動する複数個の転動体と、
パワーローラ回転軸方向に貫通する複数個のポケット穴を有し、該ポケット穴に前記転動体を軌道溝から脱落しないよう転動可能に保持する保持器とを備えたトロイダル型無段変速機において、
前記保持器の内周面とポケット穴との間の内側肉厚を、保持器の外周面とポケット穴との間の外側肉厚よりも厚くし、
かつ、ポケット穴と転動体との径方向の内側隙間を、ポケット穴と転動体との径方向の外側隙間より小さく設定したことを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の発明では、請求項1記載のトロイダル型無段変速機において、前記転動体の中心を結ぶ円の直径である転動体ピッチ径よりも、前記ポケット穴の中心を結ぶ円の直径であるポケット穴ピッチ径を大きくしたことを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明では、請求項1記載のトロイダル型無段変速機において、前記ポケット穴の周方向穴径を、ポケット穴の径方向穴径よりも長くした穴としたことを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の発明では、請求項1記載のトロイダル型無段変速機において、前記転動体として玉を使用し、
前記ポケット穴の保持器内径側の曲率半径を、他の部分より小さくしたことを特徴とする。
【0018】
【発明の作用および効果】
本発明のうち請求項1記載の発明にあっては、まず、保持器には、内周面と内側肉厚を外周面との外側肉厚よりも厚くして複数個のポケット穴が設けられる。すなわち、パワーローラ及び外輪の軌道溝を転動疲労寿命の観点より考えると、転動体の数は多い程良く、転動体の数を増やすためには、転動体のピッチ径を大きくする必要がある。一方、保持器外径を大きくすると入出力ディスクと接触するため、入出力ディスクを含めて全面的な設計変更を行わない限り保持器外径を大きくすることができない。
これに対し、外側肉厚を薄くすることで、保持器外径はそのままでも転動体ピッチ径を大きくすることができる。
また、保持器の各ポケット穴にそれぞれ転動体を保持し、組み付け時、パワーローラの軌道溝と外輪の軌道溝とに転動体がはめ込まれ、組み付け完了状態で、ポケット穴と転動体との径方向の内側隙間が、ポケット穴と転動体との径方向の外側隙間より小さくなるように設定される。
よって、振動等により保持器が半径方向に偏心しようとしても、ポケット穴と転動体との径方向の内側隙間が外側隙間より小さいため、先に接触する肉厚の厚い内径側で偏心力が支持されることになり、内径側での発生応力が低く、破損に至ることがなく、高い保持器強度を発揮することができる。
【0019】
本発明のうち請求項2記載の発明にあっては、転動体の中心を結ぶ円の直径である転動体ピッチ径よりも、ポケット穴の中心を結ぶ円の直径であるポケット穴ピッチ径が大きくされる。
すなわち、パワーローラの軌道溝と外輪の軌道溝が、ポケット穴ピッチ径より小さな転動体ピッチ径となるように設定される。つまり、転動体ピッチ径が軌道溝により予め規定される。
よって、ポケット穴を設定するにあたっては、転動体ピッチ径より大きなポケット穴ピッチ径を持つ設定であれば、ポケット穴の形状を楕円等の複雑な形状にすることなく、単純な真円形状で請求項1記載の構成、つまり、ポケット穴と転動体との径方向の内側隙間を外側隙間より小さく設定する構成を実現することができ、製造原価を抑えることができる。
【0020】
本発明のうち請求項3記載の発明にあっては、ポケット穴の周方向穴径が、ポケット穴の径方向穴径よりも長くした穴とされる。
すなわち、動力伝達による径方向荷重がパワーローラに作用すると、パワーローラが外輪に対して傾転軸方向に変位するため、転動体とパワーローラ及び外輪の軌道溝との接触角が円周上で異なる値となる。このとき、転動体の公転回転数が接触角の大きさにより変化するのに対し、保持器の公転数は一定であるため、転動体と保持器の間に円周方向の接触力が発生する。
よって、転動体とポケット穴との間に円周方向のクリアランスが確保され、パワーローラに径方向荷重が作用しても、転動体と保持器との間の円周方向接触力の発生を防止することができる。
一方、転動体と保持器との間の隙間が大きくなるため、振動等による転動体と保持器の衝突力が大きくなる。しかし、ポケット穴と転動体との径方向の内側隙間が外側隙間より小さいため、振動等により保持器が半径方向に移動し、偏心力が作用しても、肉厚の厚い内径側で偏心力を支持できる。
【0021】
本発明のうち請求項4記載の発明にあっては、転動体として玉が使用され、ポケット穴の保持器内径側の曲率半径が、他の部分より小さくされる。
すなわち、振動等により保持器が半径方向に偏心する場合、内径側で転動体との接触により偏心力が受けられることになるが、ポケット穴の保持器内径側の曲率半径が他の部分より小さいことで、この曲率半径を転動体である玉の曲率半径とほぼ一致させることができ、これにより接触面積が拡大し、ポケット穴の保持器内径側と玉との面圧を低くすることができる。
よって、ポケット穴の保持器内径側と玉との面圧が低くなり、大きな半径方向の偏心力や高頻度で偏心力が作用しても、転動体による保持器の摩耗や焼き付きを防止することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
実施の形態1は請求項1,2に記載の発明に対応するトロイダル型無段変速機である。
【0023】
[全体構成]
図1は実施の形態1のトロイダル型無段変速機を示す全体構成図で、10はトロイダル型無段変速機を示し、図外のエンジンからの回転駆動力がトルクコンバータ12を介して入力される。トルクコンバータ12は、ポンプインペラ12a,タービンランナ12b,ステータ12c,ロックアップクラッチ12d,アプライ側油室12e,及びリリース側油室12f等からなり、その中心部をインプットシャフト14が貫通している。
【0024】
前記インプットシャフト14は、前後進切換機構36と連結され、該機構36は、遊星歯車機構42,前進用クラッチ44及び後進用ブレーキ46などを備える。遊星歯車機構42は、ダブルピニオンを支持するピニオンキャリヤ42aとダブルピニオンの夫々と噛合するリングギヤ42b,サンギヤ42cを有してなる。前記遊星歯車機構42のピニオンキャリヤ42aはトルク伝達軸16に連結され、該トルク伝達軸16には、第1無段変速機構18及び第2無段変速機構20が変速機ケース22内の下流側にタンデム配置される(デュアルキャビティ型)。尚、符号64で示すベースに、コントロールバルブ系のボディを配置する。
【0025】
前記第1無段変速機構18は、対向面がトロイド曲面に形成される一対の入力ディスク18a及び出力ディスク18bと、これら入出力ディスク18a,18bの対向面間に挟圧配置されると共にトルク伝達軸16に関し対称配置される一対のパワーローラ20c,18dと、これらパワーローラ20c,18dをそれぞれ傾転可能に支持する支持部材及び油圧アクチュエータとしてのサーボピストン(図2)を備える。第2無段変速機構20も同様、対向面がトロイド曲面に形成される一対の入力ディスク20a及び出力ディスク20bと、一対のパワーローラ20c,20dと、その支持部材及びサーボピストン(図2)を備える。
【0026】
トルク伝達軸16上において両無段変速機構18,20は、出力ディスク18b,20bが対向するように互いに逆向きに配置され、第1無段変速機構18の入力ディスク18a,20aは、トルクコンバータ12を経た入力トルクに応じた押圧力を発生するローディングカム装置34によって図中軸方向右側に向かって押圧される。このローディングカム装置34は、ローディングカム34aを有し、スライドベアリング38を介し軸16に支持される。第1無段変速機構18の入力ディスク18a及び第2無段変速機構20の入力ディスク20aは、皿ばね40により図中軸方向左側に向かって押圧付勢されている。なお、ローディングカム装置34及び皿ばね40は、特許請求の範囲に記載の押圧手段に相当する。そして、各入力ディスク18a,20aは、ボールスプライン24,26を介して伝達軸16に回転可能かつ軸方向に移動可能に支持される。
【0027】
上記機構において、各パワーローラ20c,20dは後述する作動により変速比に応じた傾転角が得られるようにそれぞれ傾転され、入力ディスク18a,20aの入力回転を無段階(連続的)に変速して出力ディスク18b,20bに伝達する。出力ディスク18b,20bは、トルク伝達軸16上に相対回転可能に嵌合された出力ギヤ28とスプライン結合され、伝達トルクは該出力ギヤ28を介し、出力軸(カウンタシャフト)30に結合したギヤ30aに伝達され、これらギヤ28,30aはトルク伝達機構32を構成する。また、出力軸30,50上に設けたギヤ52,56とこれらにそれぞれ噛合するアイドラギヤ54とよりなる伝達機構48を設け、出力軸50はこれをプロペラシャフト60に連結する。
【0028】
[変速制御系の構成]
上記パワーローラ18c,18d,20c,20dを変速比に応じた傾転角が得られるようにそれぞれ傾転させる変速制御系について、図2に示す概略図により説明する。
【0029】
まず、各パワーローラ18c,18d,20c,20dは、トラニオン17a,17b,27a,27b(パワーローラ支持部材)の一端に、ピボットシャフト15a,15b,25a,25bを中心として回転可能に支持されている。このトラニオン17a,17b,27a,27bの他端部には、トラニオン17a,17b,27a,27bを軸方向に移動させて各パワーローラ18c,18d,20c,20dを傾転させる油圧アクチュエータとしてサーボピストン70a,70b,72a,72bが設けられている。
【0030】
前記サーボピストン70a,70b,72a,72bを作動制御する油圧制御系として、ハイ側油室に接続されるハイ側油路74と、ロー側油室に接続されるロー側油路76と、ハイ側油路74を接続するポート78aとロー側油路76を接続するポート78bを有する変速制御弁78とが設けられている。前記変速制御弁78のライン圧ポート78cには、オイルポンプ80及びリリーフ弁82を有する油圧源からのライン圧が供給される。前記変速制御弁78の変速スプール78dは、トラニオン17aの軸方向及び傾転方向を検知し、変速制御弁78にフィードバックするレバー84及びプリセスカム86と連動する。前記変速制御弁78の変速スリーブ78eは、ステップモータ88により軸方向に変位するように駆動される。
【0031】
前記ステップモータ88を駆動制御する電子制御系として、CVTコントローラ110が設けられ、このCVTコントローラ110には、スロットル開度センサ112、エンジン回転センサ114、入力軸回転センサ116、出力軸回転センサ(車速センサ)118等からの入力情報が取り込まれる。
【0032】
[パワーローラのベアリング支持構造]
上記各パワーローラ18c,18d,20c,20dから代表として選んだパワーローラ20cのベアリング支持構造について、図3によりその構成を説明する。尚、他のパワーローラ18c,18d,20dについても同様の構造を採用する。
【0033】
前記トラニオン27aは、一端部に凹設されたパワーローラ収納部90の位置に、ピボットシャフト25aを中心として回転可能にパワーローラ20cを支持している。また、トラニオン27aは、ピボットシャフト25aと直交する首振り軸線の周りに傾転可能である。
【0034】
前記パワーローラ20cは、複数個の玉91を介して外輪92に回転可能に支持されると共に、ラジアル軸受93を介してピボットシャフト25aに回転可能に支持されたている。そして、前記外輪92は、ピボットシャフト25aに固定され、外輪92とパワーローラ収納部90との間には、外輪92のスライド動作を許容するスラスト軸受94が介装されている。
【0035】
前記複数個の玉91は、パワーローラ20cと外輪92との間に挟持され、パワーローラ20cと外輪92に形成されたパワーローラ側軌道溝95と外輪側軌道溝96に沿っては転動する。また、パワーローラ20cと外輪92との間には保持器97が配置され、この保持器97には、パワーローラ回転軸方向に貫通する複数個のポケット穴98を等間隔に有し、このポケット穴98のそれぞれに1個ずつ玉91を転動可能に保持している。
【0036】
図4により玉91と軌道溝95,96と保持器97とポケット穴98との関係について説明する。
【0037】
複数個の玉91の中心を結ぶ円の直径であり、軌道溝95,96により規定される転動体ピッチ径dmbを大きくしている。これにより、玉91の数現状よりも増している。そして、保持器97については、その外径は現状と同じにしているが、図4に示すように、転動体ピッチ径dmbよりも保持器97のポケット穴98の中心を結ぶ円の直径であるポケット穴ピッチ径dmcを大きくし設定し、かつ、保持器97の中心穴径を、ピボットシャフト25aとの干渉が問題とならないレベルで小さな径に設定している。
【0038】
この結果、玉91と軌道溝95,96と保持器97によるベアリング部分だけを設計変更するだけで、図4に示すように、保持器97の内周面とポケット穴98との間の内側肉厚tiを、保持器97の外周面とポケット穴98との間の外側肉厚toよりも厚くし、かつ、ポケット穴98と玉91との径方向の内側隙間δiを、ポケット穴98と玉91との径方向の外側隙間δoより小さく設定した。
【0039】
次に、作用を説明する。
【0040】
[変速比制御作用]
トロイダル型CVTは、パワーローラ18c,18d,20c,20dを傾転させることによって変速比を変える。つまり、ステップモータ88を回転させるとによって変速スリーブ78eが変位すると、サーボピストン70a,70b,72a,72bの一方のサーボピストン室に作動油が導かれ、他方のサーボピストン室から作動油が排出され、パワーローラ18c,18d,20c,20dの回転中心がディスク18a,18b,20a,20bの回転中心に対してオフセットする。このオフセットによってパワーローラ18c,18d,20c,20dに傾転力が発生し、傾転角が変化する。
この傾転運動およびオフセットは、プリセスカム86及びレバー84を介して変速スプール78dに伝達され、ステップモータ88により変位する変速スリーブ78eとの釣り合い位置で静止する。
尚、ステップモータ88は、CVTコントローラ90からの目標変速比が得られる駆動指令により変速スリーブ78eを変位させる。
【0041】
[パワーローラのベアリング支持作用]
【0042】
まず、保持器97には、内周面と内側肉厚tiを外周面との外側肉厚toよりも厚くして複数個のポケット穴98が設けられる。
【0043】
すなわち、パワーローラ20c及び外輪92の軌道溝95,96を転動疲労寿命の観点より考えると、玉91の数は多い程良く、玉91の数を増やすためには、転動体ピッチ径dmbを大きくする必要がある。一方、保持器外径を大きくすると、図3から明らかなように、入出力ディスク20a,20bと接触するため、入出力ディスク20a,20bを含めて全面的な設計変更を行わない限り保持器外径を大きくすることができない。
【0044】
これに対し、外側肉厚toを薄くすることで、保持器外径はそのままでも転動体ピッチ径dmbを大きくすることができる。
【0045】
また、保持器97の各ポケット穴98にそれぞれ玉91を保持し、組み付け時、パワーローラ側軌道溝95と外輪側軌道溝96とに玉91がはめ込まれる。そして、複数個の玉91の中心を結ぶ円の直径である転動体ピッチ径dmbよりも、保持器97のポケット穴98の中心を結ぶ円の直径であるポケット穴ピッチ径dmcを大きくし設定することで、組み付け完了状態で、ポケット穴98と玉との径方向の内側隙間δiが、ポケット穴98と玉91との径方向の外側隙間δoより小さくなるように設定される。
【0046】
よって、振動等により保持器97が半径方向に偏心しようとしても、ポケット穴98と玉91との径方向の内側隙間δiが外側隙間δoより小さいため、先に接触する肉厚の厚い内径側で偏心力が支持されることになり、内径側での発生応力が低く、破損に至ることがなく、高い保持器強度を発揮することができる。
【0047】
また、パワーローラ側軌道溝95と外輪側軌道溝96により転動体ピッチ径dmbが予め規定されるため、ポケット穴98を設定するにあたっては、転動体ピッチ径dmbより大きなポケット穴ピッチ径dmcを持つ設定であれば、ポケット穴98の形状を楕円等の複雑な形状にすることなく、単純な真円形状とすることで、ポケット穴98と玉91との径方向の内側隙間δiを外側隙間δoより小さく設定する構成を実現することができる。
【0048】
次に、効果を説明する。
(1) 保持器97の内周面とポケット穴98との間の内側肉厚tiを、保持器97の外周面とポケット穴98との間の外側肉厚toよりも厚くし、かつ、ポケット穴98と玉91との径方向の内側隙間δiを、ポケット穴98と玉91との径方向の外側隙間δoより小さく設定したため、保持器外径はそのままで転動体ピッチ径dmbを大きく確保しながら、振動等により保持器97が半径方向に偏心しても高い保持器強度を発揮することができる。
(2) 玉91の中心を結ぶ円の直径である転動体ピッチ径dmbよりも、ポケット穴98の中心を結ぶ円の直径であるポケット穴ピッチ径dmcを大きくしたため、ポケット穴98の形状を単純な真円形状の構成とすることで、ポケット穴98と玉91との径方向の内側隙間δiを外側隙間δoより小さく設定する構成を実現することができ、この結果、ポケット穴98の形状を楕円形状等とする場合に比べ、製造原価を抑えることができる。
【0049】
(実施の形態2)
実施の形態2は請求項3に記載の発明に対応するトロイダル型無段変速機である。
【0050】
この実施の形態2は、図5に示すように、保持器97に形成される複数個のポケット穴を、周方向穴径Lcが径方向穴径Lrよりも長くした穴によるポケット穴98’としたものである。なお、他の構成は、実施の形態1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0051】
作用を説明すると、パワーローラ20cには、図6に示すように、入出力ディスク20a,20bからの押付力による軸方向荷重(スラスト荷重)に加えて、動力を伝達することによる半径方向荷重(ラジアル荷重)が働く。このため、外輪側軌道溝96と玉91のHerzt接触部が弾性変形し、パワーローラ20cが外輪92に対して傾転軸方向に変位するため、玉91とパワーローラ20c及び外輪92との接触角αが、例えば、図6のα1とα2というように異なる値をとる。このとき、文献によると、玉91の公転回転数Nbは、
Nb={1−(cosα/(dm/da))}・(Ni/2)
dm:玉のピッチ径,da:玉径,Ni:パワーローラ回転数
となり、接触角αの大きさにより変化するのに対し、保持器97の公転数は一定であるため、玉91と保持器97の間に円周方向の接触力が発生する。
【0052】
これに対し、周方向穴径Lcが径方向穴径Lrよりも長くした穴によるポケット穴98’としたことで、玉91とポケット穴98’との間に円周方向のクリアランスが確保され、パワーローラ20cに径方向荷重が作用しても、玉91と保持器97との間の円周方向接触力の発生を防止することができる。
【0053】
この場合、玉91とポケット穴98’との隙間が大きくなるため、車両振動等による玉91と保持器97の衝突力が大きくなる。
しかしながら、本実施の形態2においては、ポケット穴98’と玉91との径方向の内側隙間δiが外側隙間δoより小さいため、振動等により保持器97が半径方向に移動して偏心力が作用しても、肉厚の厚い内径側で偏心力を支持するため、保持器97の破損には至らない。
【0054】
効果を説明すると、実施の形態2では、ポケット穴98’を、周方向穴径Lcを径方向穴径Lrよりも長くした穴としたため、パワーローラ20cに径方向荷重が作用しても、玉91と保持器97との間の円周方向接触力の発生を防止することができる。
【0055】
(実施の形態3)
実施の形態3は請求項4に記載の発明に対応するトロイダル型無段変速機である。
【0056】
この実施の形態3は、図7に示すように、転動体として玉91を使用し、ポケット穴98”を、保持器内径側の曲率半径riを、他の部分の曲率半径roより小さくしたものである。なお、他の構成は、実施の形態1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0057】
作用を説明すると、車両の振動等により保持器97が半径方向に偏心する場合、保持器97の内径側で玉91との接触により偏心力が受けられることになるが、ポケット穴98”の保持器内径側の曲率半径riが他の部分の曲率半径roより小さいことで、この曲率半径riを転動体である玉91の曲率半径とほぼ一致させることができ、これにより接触面積が拡大し、ポケット穴98”の保持器内径側と玉91との面圧を低くすることができる。
【0058】
効果を説明すると、実施の形態3では、転動体として玉91を使用し、ポケット穴98”を、保持器内径側の曲率半径riを他の部分の曲率半径roより小さくした穴としたため、大きな半径方向の偏心力や高頻度で偏心力が作用しても、玉91による保持器97の摩耗や焼き付きを防止することができる。
【0059】
(他の実施の形態)
以上、実施の形態1〜実施の形態3について説明してきたが、具体的な構成については、これら実施の形態に記載したものに限定されることはなく、請求項1に記載の構成要素を持つものであれば本発明に含まれる。
【0060】
例えば、実施の形態1〜3では、パワーローラを軸(ピボットシャフト)により回転可能に支持する例を示したが、軸を用いることなく転動体により回転可能に支持する軸無しタイプのものにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のトロイダル型無段変速機を示す全体システム図である。
【図2】実施の形態1のトロイダル型無段変速機を示す変速制御系システム図である。
【図3】実施の形態1のトロイダル型無段変速機におけるパワーローラのベアリング支持構造を示す断面図である。
【図4】実施の形態1のベアリング支持構造における保持器及び転動体としての玉を示す図である。
【図5】実施の形態2のベアリング支持構造における保持器及び転動体としての玉を示す図である。
【図6】実施の形態2のベアリング支持構造においてパワーローラから受ける荷重をベアリング部にて支持する状態を示す作用説明図である。
【図7】実施の形態3のベアリング支持構造における保持器及び転動体としての玉を示す図である。
【図8】従来のトロイダル型無段変速機におけるパワーローラのベアリング支持構造を示す断面図である。
【図9】従来のベアリング支持構造における保持器及び転動体を示す図である。
【図10】従来のベアリング支持構造において入出力ディスクと保持器外径との関係及び転動体ピッチ径と肉厚を示す図である。
【図11】従来のベアリング支持構造において偏心力が作用する転動体と保持器の衝突を示す図である。
【図12】一般の軸受構造として知られているベアリング支持構造を示す図である。
【符号の説明】
20a 入力ディスク
20b 出力ディスク
20c パワーローラ
25a ピボットシャフト
27a トラニオン(パワーローラ支持部材)
34 ローディングカム装置(押圧部材)
40 皿ばね(押圧部材)
90 パワーローラ収納部
91 玉(転動体)
92 外輪
93 ラジアル軸受
94 スラスト軸受
95 パワーローラ側軌道溝
96 外輪側軌道溝
97 保持器
98 ポケット穴
ti 内側肉厚
to 外側肉厚
δi 内側隙間
δo 外側隙間

Claims (4)

  1. 同軸に対向配置された入力ディスク及び出力ディスクと、
    これら入出力ディスク間に動力伝達可能に挟圧したパワーローラと、
    前記入力ディスク、或いは、出力ディスクのうち、一方のディスクの背面に配置され、他方のディスク方向へ押圧する押圧手段と、
    前記パワーローラを、回転可能に支持しつつ、ピボットシャフトと直交する首振り軸線の周りに傾転可能なパワーローラ支持部材と、
    前記パワーローラと外輪に挟持され、該パワーローラ及び外輪に設けられた軌道溝内を転動する複数個の転動体と、
    パワーローラ回転軸方向に貫通する複数個のポケット穴を有し、該ポケット穴に前記転動体を軌道溝から脱落しないよう転動可能に保持する保持器とを備えたトロイダル型無段変速機において、
    前記保持器の内周面とポケット穴との間の内側肉厚を、保持器の外周面とポケット穴との間の外側肉厚よりも厚くし、
    かつ、ポケット穴と転動体との径方向の内側隙間を、ポケット穴と転動体との径方向の外側隙間より小さく設定したことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 請求項1記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記転動体の中心を結ぶ円の直径である転動体ピッチ径よりも、前記ポケット穴の中心を結ぶ円の直径であるポケット穴ピッチ径を大きくしたことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  3. 請求項1記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記ポケット穴の周方向穴径を、ポケット穴の径方向穴径よりも長くした穴としたことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  4. 請求項1記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記転動体として玉を使用し、
    前記ポケット穴の保持器内径側の曲率半径を、他の部分より小さくしたことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
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