JP3707236B2 - 可変バルブタイミング装置付dohcエンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カム軸に対するスプロケットやタイミングプーリ等の回転位相を変えて、バルブの開閉タイミングを変更するようにした可変バルブタイミング装置(以下、VVTという)付DOHCエンジンに関し、特に、吸排気性の向上及びコンパクト化のためにバルブの挟み角を狭めたものの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のVVT付エンジンとして、例えば、特開平9−250310号公報に開示されるように、吸気側のカム軸の一端部にアクチュエータを設け、このアクチュエータによりタイミングプーリとカム軸とを相対的に回動させるようにしたものが知られている。そして、一般に、上記アクチュエータとして、吸気側カム軸の端部に回転一体に連結された内側回動部材と、該内側回動部材に対し相対回転可能に外嵌合されて連結される一方、タイミングプーリに回転一体に連結された外側回動部材とを備え、上記内側回動部材を外側回動部材に対し油圧力によって正逆両側に回動させるようにした油圧式のものが用いられている。
【0003】
また、吸気バルブと排気バルブとの間のバルブ挟み角を例えば40度以下に狭めたDOHCエンジンは従来から知られており、このものでは、バルブが上下方向に延びるように配置されるので、吸気ポート及び排気ポートの形状の自由度が高くなり、そのポート形状の設計により流通抵抗を低減して、特に吸気性の向上を図れるという利点がある。また、バルブ挟み角の狭角化に伴い2本のカム軸同士の間隔が短縮されるので、シリンダヘッドを幅方向に短縮でき、また、タイミングプーリやスプロケットの張り出しが少なくなって、エンジン幅方向のコンパクト化が図られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のVVT付エンジンでは、カム軸の端部にかなり重量のあるVVTを片持ち支持する構造であるので、該VVTに最も近いカム軸のいわゆる1番ジャーナルの軸受部に大きな負担がかかり易く、バルブ挟み角を狭めたときには、以下のような信頼性の面での不具合が生じる。すなわち、バルブ狭角化に伴いバルブが上下方向に延びるように配置されるため、バルブを開閉作動させるときにカム軸を突き上げるバルブ反力が増大し、このことで、該カム軸に対し作用するタイミングベルトの張力が大きくなって、カム軸自体や軸受部への負担が過大なものになる虞れがある。
【0005】
また、2本のカム軸同士の間隔が短くなると、カム軸を支持する軸受部がシリンダヘッド上で相対的にエンジンの幅方向内側に配置されることになるので、シリンダヘッドをシリンダブロックに締結するヘッドボルトと上記軸受部との干渉の問題が生じる。そのため、上記1番ジャーナルの軸受部の負担を低減するためにその軸受面の面積を拡大して、面圧を低下させようとしても、上記の干渉の問題を回避しようとすれば、軸受面を十分に拡大することはできない。
【0006】
これに対し、上記1番ジャーナル部分の軸受径を拡大して軸受面積を増大させることも考えられるが、この場合には、1番ジャーナルの軸受部のみを同一のカム軸を支持する他の軸受部とは別に加工することになり、各軸受部の間で同心度を従来同様に高精度に維持することが難かしい上、生産コストの著しい上昇を招くという不具合がある。
【0007】
その他、例えば実開昭63−112号公報に開示されるように、カム軸の先端に支持されたVVTを反対側からも回転自在に支持して両持ちの構造とすることも考えられるが、この構造では、エンジンの長手方向の寸法が無用に大きくなるので、近年のエンジンに対するコンパクト化の要請に鑑みると、実現は困難である。
【0008】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、VVTを備えかつバルブ挟み角を狭角化したDOHCエンジンにおいて、VVTやカム軸軸受部の配置に工夫を凝らし、主にカム軸の1番ジャーナル及びその軸受部に加わる負担を低減することで、生産コストの著しい上昇やエンジン全長の無用の増大を招くことなく、信頼性の向上を図ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願の請求項1の発明では、シリンダヘッドの左右両側に配設され、かつクランク軸上の駆動輪に共通の無端伝動部材を介して駆動連結される従動輪が設けられ、クランク軸に同期して駆動されてそれぞれバルブを開閉作動させる第1及び第2の2本のカム軸と、該第1カム軸の端部に設けられ、該第1カム軸と上記従動輪とを相対回転させて、上記第1カム軸のクランク軸に対する回転位相を変更するバルブタイミング可変手段とを備えた可変バルブタイミング装置付DOHCエンジンを前提とする。そして、上記第1及び第2の各カム軸は、シリンダの左右両側に形成されたヘッドボルト孔の中心線方向から見て、該左右各側のヘッドボルト孔の中心線に重なるように配置されており、上記第1カム軸は、無端伝動部材の緩み側スパンが進入する従動輪を有する緩み側のカム軸とする。
【0010】
また、上記無端伝動部材の緩み側スパンには、該緩み側スパンを押圧して無端伝動部材の張力を調整するテンショナが設けられており、そして、該テンショナにより無端伝動部材に張力を加えたときに、加えない自由状態と較べ、無端伝動部材と各従動輪との係合範囲の変化量が従動輪中心に対する角度範囲で10°以下になるものとする。
【0011】
ここで、上記緩み側スパンとは、無端伝動部材が駆動輪と従動輪との間に張られて該駆動輪側から従動輪側へ移動する側のことであり、この緩み側スパンでは、反対に従動輪から駆動輪側へ移動する張り側スパンに較べて無端伝動部材の張力が小さくなる。
【0012】
したがって、上記請求項1の構成によれば、第1及び第2の2本のカム軸は互いに近くに配置されているので、吸気バルブと排気バルブの間のバルブ挟み角を狭めて、吸排気の流通抵抗の低減、及びエンジン幅方向のコンパクト化が可能になる。しかも、重量の大きいバルブタイミング可変手段が緩み側のカム軸に設けられているので、該バルブタイミング可変手段を反対の張り側のカム軸に設けた場合に較べて、無端伝動部材の張力増大によってカム軸や軸受部にかかる負担を小さくすることができ、よって、信頼性向上が図られる。
【0013】
特に前記構成では、テンショナにより無端伝動部材に張力を加えたときに、加えない自由状態と較べ、無端伝動部材と各従動輪との係合範囲の変化量が従動輪中心に対する角度範囲で10°以下になっており、換言すれば、無端伝動部材は、2つの従動輪とクランク軸に設けられた駆動輪との間に張架されたときに、自由状態であっても殆ど遊びのない状態になっている。
【0014】
そのため、テンショナにより張力が加えられた状態で、上記無端伝動部材は緩み側の第1カム軸の従動輪と駆動輪との間に略上下方向に延びるように張られていることになるので、上記無端伝動部材から各従動輪に対し作用する力の上下方向成分が大きくなり易く、第1カム軸及び軸受部の負担はかなり大きくなってしまう。従って、このような場合に、上述の如くカム軸や軸受部への負担を低減する作用が特に有効なものになる。
【0015】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、テンショナにより無端伝動部材に張力を加えたときに、加えない自由状態と較べ、無端伝動部材と各従動輪との係止範囲の変化量が該各従動輪の係合部の1ピッチ長以下となるものとする。
【0016】
この場合も、無端伝動部材から各従動輪に対し作用する力の上下方向成分が大きくなり易く、第1カム軸及び軸受部の負担がかなり大きくなってしまうので、カム軸や軸受部への負担を低減する作用が特に有効なものになる。また、上記無端伝動部材の遊びが極めて少ないので、従動輪との係合時に1ピッチ長以上ずれることはなく、よって、組み付け時の間違いに起因するバルブタイミングの狂いを回避できるという作用も得られる。
【0017】
請求項3記載の発明では、請求項1記載の発明において、第1カム軸の従動輪とクランク軸に設けられた駆動輪とに外接する接線の各接点間の長さをL1とし、上記テンショナにより無端伝動部材に張力を加えた状態で、上記接線の各接点間に張られた無端伝動部材の長さをL2としたとき、該長さL1と長さL2との差は、上記従動輪の係合部の1ピッチ長以下になるものとする。
【0018】
すなわち、上記長さL1と長さL2との差は、従動輪と駆動輪との間に張られた無端伝動部材の自由状態での遊びの長さに相当する。従って、この発明でも、上述の如く、テンショナにより張力が加えられた状態で、上記無端伝動部材が第1カム軸の従動輪とクランク軸の駆動輪との間に略上下方向に延びるように張られていることになり、第1カム軸及び軸受部の負担がかなり大きくなってしまうので、該第1カム軸や軸受部への負担を低減する作用が特に有効なものになる。また、請求項2記載の発明と同様、組み付け時の間違いに起因するバルブタイミングの狂いを回避できる。
【0019】
請求項4記載の発明では、請求項3記載の発明における無端伝動部材はタイミングベルトであり、バルブタイミング可変手段は、第1カム軸に回転一体に連結された内側回動部材と、該内側回動部材に対し相対回転可能に外嵌合されて連結される一方、上記従動プーリに回転一体に連結されてカム軸軸線方向に延びる円筒状の外側回動部材とを有するものである。そして、上記外側回動部材外周の直径を長さD1とし、上記従動プーリの歯底円の直径を長さD2とし、上記タイミングベルトの歯たけを長さt1としたとき、
D2−t1≦D1<D2+t1 の関係が満たされるものとする。
【0020】
すなわち、上記請求項3の発明では、タイミングベルトの長さが、2つの従動プーリと駆動プーリとの間に張架されたときに自由状態であっても殆ど遊びがない長さなので、タイミングベルトをプーリに係合させて張架する作業は困難なものになるが、これに対し、請求項4の発明では、上記バルブタイミング可変手段の外側回動部材が第1カム軸の従動プーリにカム軸軸線方向に延びるように配設されており、その外周径が上記従動プーリの歯先円の直径よりも小さくかつ歯底円の直径に近い値に設定されているので、上記タイミングベルトを、まず、バルブタイミング可変手段のケーシングに引っかけておいて、該タイミングベルトの歯と従動プーリの歯とを合わせて係合させるようにすれば、上記のタイミングベルトの張架作業を容易に行うことができる。
【0021】
請求項5記載の発明は、シリンダヘッドの左右両側に配設され、かつクランク軸上の駆動プーリに共通のタイミングベルトを介して駆動連結される従動プーリが設けられ、クランク軸に同期して駆動されてそれぞれバルブを開閉作動させる第1及び第2の2本のカム軸と、該第1カム軸の端部に設けられ、該第1カム軸と上記従動プーリとを相対回転させて、第1カム軸のクランク軸に対する回転位相を変更するバルブタイミング可変手段とを備えた可変バルブタイミング装置付DOHCエンジンを前提とする。そして、上記第1カム軸は、タイミングベルトの緩み側スパンが進入する従動プーリを有する緩み側のカム軸であり、上記タイミングベルトの緩み側スパンには、該緩み側スパンを押圧してタイミングベルトの張力を調整するテンショナが設けられ、該第1カム軸の従動プーリ及び駆動プーリに外接する接線の各接点間の長さをL1とし、上記テンショナによりタイミングベルトに張力を加えたときに上記各接点間に張られたタイミングベルトの長さをL2としたとき、該長さL1と長さL2との差はタイミングベルトの歯たけt1以下とされている。そして、上記バルブタイミング可変手段は、第1カム軸に回転一体に連結された内側回動部材と、該内側回動部材に対し相対回転可能に外嵌合されて連結される一方、上記従動プーリに回転一体に連結されてカム軸軸線方向に延びる円筒状の外側回動部材とを有し、上記外側回動部材外周の直径を長さD1とし、上記従動プーリの歯底円の直径を長さD2としたとき、
D2−t1≦D1<D2+t1 の関係が満たされる構成とする。
【0022】
この構成によれば、重量の有るバルブタイミング可変手段が緩み側の第1カム軸に設けられているので、請求項1記載の発明と同様に信頼性向上が図られる。
【0023】
また、上記請求項2〜4の発明と同様に、タイミングベルトの長さが、2つの従動プーリと駆動プーリとの間に張架されたときに自由状態であっても殆ど遊びがない長さなので、タイミングベルトをプーリに係合させて張架する作業は困難なものになるが、請求項4の発明と同じく、上記タイミングベルトを、まず、バルブタイミング可変手段のケーシングに引っかけておいて、該タイミングベルトの歯と従動プーリの歯とを合わせて係合させるようにすれば、上記のタイミングベルトの張架作業を容易に行うことができる。
【0024】
請求項6記載の発明では、請求項4又は5のいずれかに記載の発明において、外側回動部材外周の直径D1と、第1カム軸に設けられた従動プーリの歯底円の直径D2と、タイミングベルトの歯たけt1との間には、
D2−t1≦D1<D2 の関係が満たされるものとする。
【0025】
このことで、外側回動部材の外周径が従動プーリの歯底円の直径よりも小さい値に設定されているので、タイミングプーリを外側回動部材に引っかける作業が容易になり、よって、タイミングベルトの張架作業のさらなる容易化が図られる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
(実施形態1)
図1〜図3は、本発明の実施形態に係る可変バルブタイミング装置(以下、VVTという)付DOHCエンジンEを示し、このエンジンEは直列4気筒ガソリンエンジンであって、4つの気筒が車幅方向に一列に並ぶように車両のエンジンルーム内に横置き配置されるものである。
【0027】
上記図2において、1はシリンダヘッドであり、このシリンダヘッド1の上部には、吸気バルブを開閉作動させる吸気側のカム軸(第1カム軸)2と、排気バルブを開閉作動させる排気側のカム軸(第2カム軸)3とが、それぞれ5カ所の軸受部4,4,…により回転可能に支持されている。上記2本のカム軸2,3のエンジン前側の端部(同図の左端部)には、図3に示すように、それぞれカムプーリ(従動輪)5,6が取り付けられ、該2つのカムプーリ5,6と、クランク軸7に嵌合されたクランクプーリ(駆動輪)8との間にはタイミングベルト(無端伝動部材)9が張架されていて、このタイミングベルト9を介してクランク軸7の回転力がカムプーリ5,6に伝達され、2本のカム軸2,3が回転駆動されるようになっている。
【0028】
上記吸気側のカム軸2は、タイミングベルト9の緩み側スパンが進入するカムプーリ5を有する緩み側のカム軸なので、該第1カム軸2に作用するタイミングベルト9の張力は張り側のカム軸3よりも相対的に小さい。そして、本発明では、上記吸気側のカム軸2の端部に後述の如くカム軸2とカムプーリ5とを油圧力により相対回転させて、カム軸2のクランク軸7に対する回転位相を変更するバルブタイミング可変手段としてのVVT10(図6参照)が設けられている。また、上記タイミングベルト9の張り側スパン(図3の右側)にはアイドラプーリ11が設けられる一方、緩み側スパンにはベルト張力を調整するテンショナ12が設けられている。このテンショナ12は、テンショナスプリング13により支点14を中心に同図の右側に付勢されたもので、タイミングベルト9を上記カムプーリ5,6及びクランクプーリ8に取り付ける時にシリンダブロック15にボルト16により位置固定される初期張力調整用のものである。
【0029】
尚、図2における17,17,…は、燃焼室に連通されていて、図示しない点火プラグが装着されるプラグホールである。
【0030】
上記吸気側及び排気側の2本のカム軸2,3同士の間隔は、吸気側カムプーリ5の直径の1.1倍以下とされている。具体的には、上記吸気側及び排気側の2本のカム軸2,3は、図4に示すように、シリンダヘッド1に形成されたヘッドボルト孔20,20,…の中心線方向から見て、該中心線に重なるようにエンジン幅方向(同図の上下方向)に互いに近づいて配置されている。上記ヘッドボルト孔20,20,…は、シリンダヘッド1をシリンダブロック15の上面に締結するシリンダボルトが螺合されるもので、1つのシリンダボア(同図に仮想線で示す)の周りに等間隔に4つづつ配置されるように形成されたものである。また、21,21,…,22,22,…は、それぞれ吸気側及び排気側のバルブ駆動系が収容される孔部である。
【0031】
この孔部21,22には、図5に示すように、それぞれ吸気バルブ23及び排気バルブ24を閉状態になる側(同図の上側)に付勢するバルブスプリング25と、バルブ軸の先端に連結されて上記バルブスプリング25による押圧付勢力を受けるバケット型のバルブリフタ26とが収容されている。また、上記吸気バルブ23は、吸気ポート27と燃焼室28とを開閉する傘部23aと、該傘部23aから図の上方に延び、スリーブを介して上記孔部21内に至るバルブ軸23bとにより構成されており、一方、上記排気バルブ24は、吸気バルブ23と同様に傘部24aとバルブ軸24bとにより構成されている。そして、上記両バルブ23,24は、それぞれバルブリフタ26を介してカム軸2,3により直接駆動され、中心軸線x1,x2に沿って往復動するようになっており、このものでは、ロッカーアームを用いたものに較べてカム軸2,3へのバルブ反力を小さくすることができ、コンパクト化も容易になる。
【0032】
また、上記吸気バルブ23及び排気バルブ24は、それぞれ中心軸線x1,x2がシリンダ中心線yに対し互いに反対の側に約15度傾斜して配置されていて、それらの間の挟み角が約30°と狭く設定されている。すなわち、上記吸気バルブ23及び排気バルブ24はそれぞれ上下方向に延びるように配置されており、吸気ポート27が燃焼室28から滑らかに上方に延びるように形成されていて、吸気の流通抵抗の低減が図られている。また、バルブ23,24が上下方向に延びるように配置されているので、該バルブ23,24を開閉作動させるときにカム軸2,3に作用するバルブ反力の上下方向成分は大きくなり易い。
【0033】
上記タイミングベルト9は、図3に示すように、吸気側及び排気側の2つのカムプーリ5,6の間で略水平に延びる一方、上記各カムプーリ5,6とクランクプーリ8との間では上下方向に延びるように張られており、上記各カムプーリ5,6との係合範囲はテンショナ12により張力を加えられた状態でいずれもプーリ中心に対して約110度の角度範囲とされている。そのため、上記タイミングベルト9から各カムプーリ5,6に対して作用する力は、それぞれ同図に実線の矢印で示すように上下方向成分が大きくなっており、このことによって、同図に破線の矢印で示すようにバルブからの反力がカム軸2,3に作用したときに、該カム軸2,3及び軸受部4,4,…にかかる負担はかなり大きくなる。特に、ベルト張り側に位置する排気側のカムプーリ6では、タイミングベルト9から排気側のカム軸3に作用する力は、該排気側カム軸3に作用するバルブ反力と略正反対の向きになるので、カム軸3及び軸受部4,4,…の負担は極めて大きい。
【0034】
また、上記タイミングベルト9は、2つのカムプーリ5,6及びクランクプーリ8に張架されたときに、テンショナ12により張力を加えられていない自由状態であっても殆ど遊びのないような長さを有している。すなわち、テンショナ12により張力を加えた状態と加えない自由状態との間で、上記タイミングベルト9と各カムプーリ5,6との係合範囲の変化量は、プーリ中心に対する角度範囲で10°以下になっている。言い換えると、各カムプーリ5,6の歯数が36であるから、上記タイミングベルト9と各カムプーリ5,6との係合範囲の変化量は、該各カムプーリ5,6の歯(係合部)の1ピッチ長以下となっている。
【0035】
より詳しくは、上記吸気側のカムプーリ5及びクランクプーリ8に外接する接線(同図に仮想線で示す)の各接点P1,P2長さをL1とし、テンショナ12によりタイミングベルト9に張力を加えた状態で、上記接点P1と接点P2との間のタイミングベルト9の長さをL2とすれば、上記長さL1と長さL2との差は、上記カムプーリ5の歯の1ピッチ長以下になっている。
【0036】
このように、上記タイミングベルト9は遊びが極めて少ないので、カムプーリ5,6との係合時に1ピッチ長以上ずれることはなく、よって、組み付け時の間違いに起因するバルブタイミングの狂いを回避できる。
【0037】
次に、上記VVT10の構成について詳細に説明する。
【0038】
図6に示すように、シリンダヘッド1の上部に設けられたシリンダヘッドカバー30(図1参照)の内部において、吸気側のカム軸2の先端部(同図の左側の端部)には、1番ジャーナルの軸受部4よりも先端側の外周部にカムプーリ5が上記カム軸2に対し相対回転可能に取り付けられ、該カムプーリ5の外側には、VVT10が回転一体に連結されている。
【0039】
上記VVT10は、上記カム軸2の端面に回転一体に連結されたロータ(内側回動部材)31と、そのロータ31に対し相対的に所定角度だけ回動可能に連結される一方、上記カムプーリ5に回転一体に連結された円筒状のケーシング(外側回動部材)32とを備えている。上記ロータ31は、図7及び図8に示すように、円筒状のボス部の外周部から径方向外方に突出する4つのベーンが概ね等間隔に設けられたもので、座金部材33及びボルト34によりカム軸2に取り付けられて一体回転するようになっている。一方、上記ケーシング32は中空円筒状に形成され、円盤状の蓋部材35と共にボルト36により上記カムプーリ5に一体的に取り付けられ、このカムプーリ5と一体回転するようになっている。
【0040】
また、上記ケーシング32の外周径の長さD1は、カムプーリ5の歯底円の直径を長さD2とし、かつタイミングベルト9の歯たけ(歯底から歯先までの厚み)を長さt1としたとき、
D2−t1≦D1<D2
の関係が満たされる。つまり、上記VVT10のケーシング32の外径D1がカムプーリ5の歯底円の直径D2よりも僅かに小さくなるように設定されている。
【0041】
尚、上記ケーシング32外周径D1と、カムプーリ5の歯底円直径D2と、タイミングベルト9の歯たけt1との間の関係としては、
D2−t1≦D1<D2+t
の関係が満たされるようにしてもよい。
【0042】
上記ロータ31及びケーシング32は、カム軸2の軸線z1を中心とする同心位置に位置づけられ、ロータ31のベーンとケーシング32の突出壁部とが周方向に交互に配置されており、各ベーンの先端面がケーシング32の内周面に摺接する一方、各突出壁部の先端面がロータ31のボス部の外周面に摺接している。すなわち、上記カムプーリ5、ロータ31及びケーシング32の間には、ロータ31のベーンとケーシング32の突出壁部とにより周方向に並んで8つの受圧室(液圧室)10a,10b,10a,10b,…が区画形成されている。
【0043】
上記図7及び図8において、37,37,…はベーン及び突出壁部の各先端面に設けられたオイルシールである。また、図6において、32aはケーシング32と蓋部材35との間のオイル漏れを防止するための環状のオイルシールであり、さらに、32bは上記ケーシング32とカムプーリ5との間でのオイル漏れを防止するための環状のオイルシールである。
【0044】
尚、上記カムプーリ5は、内周側部材5aに外周側部材5bを嵌合したものであり、該外周側部材5bは精密な歯形を有するように焼結により成型されている。そのため、上記オイルシール32bをケーシング32とカムプーリ5の外周側部材5bとの間に設けたのでは相性が悪く、オイル漏れの生じる虞れがある。そこで、上記オイルシール32bは、ケーシング32とカムプーリ5の内周側部材5aとの間をシールするように内周側に設けられている。
【0045】
上記8つの受圧室10a,10b,10a,10b,…のうち、ロータ31の各ベーンに対しカム軸2の回転側に位置づけられた4つの受圧室(遅角側受圧室)10a,10a,…は、それぞれロータ31のボス部内に形成された油路31aに連通されており、この油路31aを介して供給される作動油圧が増大すれば、ロータ31がケーシング32に対しカム軸2の回転と反対側に回動され、これにより、吸気バルブ23の作動タイミングが遅角側に変更される。
【0046】
一方、上記ロータ31の各ベーンに対して遅角側受圧室10a,10a,…の反対側に位置づけられた4つの受圧室(進角側受圧室)10b,10b,…は、それぞれ、ロータ31のボス部内に形成された油路31bに連通されており、この油路31bを介して供給される作動油圧が増大すれば、ロータ31はケーシング32に対しカム軸2の回転する側に回動され、吸気バルブ23の作動タイミングが進角側に変更される。
【0047】
上述の如きVVT10の作動油圧の制御は、この実施形態では、エンジンEのシリンダヘッドカバー30の上面に配置された電磁式のオイルコントロールバルブ(以下OCVという)44により行われる。すなわち、作動油は、シリンダブロック15内のオイルギャラリ(図示せず)から、図1に示すように、オイルジョイント38と、エンジン外周に設けられたオイルパイプ39とを経由して、シリンダヘッドカバー30上面に設けられたバルブケース40に送られる。そして、図6に示すように、オイルジョイント41を介してユニオンボルト42内の油路に至り、ここからオイルフィルタ43を介して上記OCV44に供給される。
【0048】
上記OCV44は、図9に示すように、コイル45及びプランジャ46を有する電磁ソレノイド47と、一端部が上記プランジャ46に連結される一方、他端部がスプリング48により押圧されるスプール49と、該スプール49を収容するケーシング50とを備え、図示しないコントロールユニットからの出力信号を印加された電磁ソレノイド47により上記スプール49の位置が高精度にデューティ制御されて、供給される作動油の流量及び方向を制御するものである。尚、同図において、50aは、ケーシング50に形成され、供給される圧油を受け入れる供給ポート、50b,50bはVVT10側に接続されて作動油を給排する一対のアクチュエータポートであり、さらに、50c,50cはVVT10側から戻ってきた戻り油を排出するドレンポートである。
【0049】
そして、上記OCV44により油圧制御された作動油は、後述の中間部材52及び軸受部4内に形成された油路によりカム軸2に供給され、そのカム軸2内に形成された油路を流通してVVT10の各油圧室10a,10b,…に供給されるようになっている。
【0050】
詳しくは、図6に示すように、上記バルブケース40には、カム軸間方向に延びてOCV44を収容する配設孔40aが形成され、その配設孔40aに直交して略水平方向に延びるように形成されたインレット孔40bに上記ユニオンボルト42やオイルフィルタ43が内設されている。また、上記バルブケース40の配設孔40aを隔てた反インレット孔側には、上下方向に延びて下面に開口する嵌挿部40cと、その嵌挿部40cを配設孔40aに連通する2つのポート40d,40eとが形成されている。さらに、配設孔40aの側方から下方に亘って、シリンダヘッドカバー30上面に臨んで開口するドレン孔40fが形成されており、このドレン孔40fの下方に対向するシリンダヘッドカバー30の開口部30aに続く部位は、上記OCV44からリターンされる戻り油を開口部30aからシリンダブロック内に還流させるドレン受け部30bとされている。
【0051】
上記中間部材52は、図10に示すように逆T字形状とされ、上端部がシリンダヘッドカバー30の開口部30aを貫通して上方に突出して、バルブケース40の嵌挿部40cに嵌挿される一方、下端部が1番ジャーナルの軸受部4の上面に取り付け固定されている。すなわち、吸気側のカム軸2を支持する軸受部4,4,…は、それぞれシリンダヘッド1の上面に設けられた半割状の下側軸受部53(図4参照)と、この下側軸受部53の上面に配設され、セットボルト54,54により下側軸受部53に締結された半割状のカムキャップ55とにより構成されている。そして、上記軸受部4,4,…には互いに同一の軸受径を有する軸受面4aが形成されている。
【0052】
上記中間部材52には、図6にも示すように、バルブケース40の嵌挿部40cに嵌挿された状態で2つのポート40d,40eのうちの一方40dによりOCV44に連通する横向きの油路61と、この油路61に連通して斜め下方に延びる油路62と、上記他方のポート40eによりOCV44に連通する横向きの油路63と、この油路63に連通して上下方向に延びる油路64とが形成されている。また、1番ジャーナルのカムキャップ55には、図6に示すように、中間部材52の一方の油路62に連通して上下方向に延びる油路65と、上記中間部材52の他方の油路64に連通して斜め下方に延びる油路66とが形成されている。
【0053】
そして、1番ジャーナルの軸受面4aには、上記油路65,66にそれぞれ連通するようにカム軸2の軸線z1方向に互いに離れて周方向に開口する2つの輪溝(開口溝)67,68が形成されるとともに、上記軸受面4aの軸線z1方向の幅は上記輪溝67,68の分だけ大きくされている。このことで、軸受面4aの面積は輪溝67,68が形成されない場合と変わらないので、面圧の上昇が抑えられる。
【0054】
一方、カム軸2には、軸線z方向に延びていて、一端(図6の左側端)がカム軸2の端面に開口し、VVT10のロータ31の油路31aに連通する一方、他端(同図の右側端)がカム軸2の1番ジャーナル部の外周面に開口し、上記軸受面4aに形成された一方の輪溝67に連通する遅角側の油路(液路)70が形成されている。さらに、カム軸2には、上記油路70と同様に一端が上記ロータ31の油路31bに連通する一方、他端が上記軸受面4aに形成された他方の輪溝68に連通する進角側の油路(液路)71が形成されている。
【0055】
尚、上記図6において、73はカム軸2に設けられたセンシングプレート、74はシリンダヘッドカバー30に設けられたカムアングルセンサである。また、VVT10をカム軸2に固定するボルト34内には、該VVT10から漏れた作動油をシリンダヘッド1内に還流させるリターン通路75が形成され、上記の漏れ油をカム軸2内を介してシリンダヘッド1のリターン通路76へ導き、シリンダブロック15内に還流させる。さらに、カムプーリ5とカムキャップ52及びシリンダヘッド1との間には、オイルシール77が介設されている。
【0056】
このように構成されたVVT付エンジンEにおいては、例えばアイドル運転状態のようなエンジンEの極低負領域において、吸気バルブ23の作動タイミングを遅角側に変更するときには、OCV44のデューティ制御により遅角側の受圧室10a,10a,…への作動油圧を増大させる。すなわち、オイルギャラリ側から供給される作動油は、図6に矢印で示すように、OCV44からバルブケース40のポート40d、中間部材52の油路61,62及びカムキャップ55の油路65を流通して輪溝67に至り、その輪溝67に連通されるカム軸2内の遅角側の油路70を流通して、ロータ31の油路31aから4つの遅角側受圧室10a,10a,…に分配供給される。これにより、各遅角側受圧室10aの作動油圧が増大することで、ロータ31がケーシング32に対しカム軸2の回転と反対側に回動され、吸気バルブ23の作動タイミングが遅角側に変更されて、給排気のオーバーラップ量が小さくなる。
【0057】
その際、進角側受圧室10b,10b,…から排出された作動油は、ロータ31内の油路31bを経て、同図に矢印で示すようにカム軸2内の進角側の油路71を流通し、この油路71に連通される輪溝68からカムキャップ55内の油路66に流通する。そして、中間部材52の油路64,63及びバルブケース40のポート40eを通ってOCV44に戻り、ドレン孔40fから排出されて、シリンダヘッドカバー30のドレン受け部30bから開口部30aを介してシリンダブロック15側に還流される。
【0058】
反対に、例えばエンジンEの運転状態が高負荷域にあり、吸気バルブ23の作動タイミングを進角側に変更して給排気のオーバーラップ量を大きくしたいときには、OCV44のデューティ制御により、上記と反対の作動油の流れによって進角側受圧室10b,10b,…の作動油圧を増大させればよい。
【0059】
上記の構成により、この実施形態1では、バルブ挟み角を狭めたDOHCエンジンEにおいて、重量のあるVVT10を、吸気側及び排気側の2本のカム軸2,3のうち、タイミングベルト9の張力の上下方向成分が相対的に小さくなる緩み側の吸気側カム軸2に設けたので、張り側の排気側カム軸3に設けた場合に較べてカム軸2や軸受部4,4,…にかかる負担を低減することができ、よって、信頼性向上が図られる。
【0060】
すなわち、上記エンジンEにおいては、吸気バルブ23と排気バルブ24のバルブ挟み角が30度と狭く設定されており、上記各バルブ23,24がそれぞれ上下方向に延びるように配置されているので、該バルブ23,24からカム軸2,3へのバルブ反力の上下方向成分が大きくなる。しかも、上記エンジンEにおいては、2本のカム軸2,3にそれぞれ設けられたカムプーリ5,6とクランクプーリ8との間で、タイミングベルト9が上下方向に延びるように張られているので、タイミングベルト9から各カムプーリ5,6に対して作用する力の上下方向成分も大きくなる。加えて、シリンダブロック15側に位置固定される初期張力調整用のテンショナ12を用いているので、タイミングベルト9の張力のピーク値が大きくなり易い。したがって、上記両カム軸2,3、特にベルト張り側に位置する排気側のカム軸3では、バルブ反力が作用したときの負担が極めて大きくなってしまうので、この実施形態では、VVT10を緩み側の吸気側カム軸2に設けて、上記カム軸2及び軸受部4,4,…の負担を低減することの効果は極めて有効なものになるのである。
【0061】
また、この実施形態1では、上記VVT10を設けた吸気側カム軸2を支持する全ての軸受部4,4,…は、互いに同一の軸受径を有するものとしたので、生産コストの著しい上昇を招くことなく、各軸受部4の間の同心度を容易に維持することができる。
【0062】
さらに、上記エンジンEにおいては、上記タイミングベルト9が、2つのカムプーリ5,6とクランクプーリ8との間に張架されたときに殆ど遊びがない長さとされているので、通常、タイミングベルト9をプーリ5,6,8に係合させて張架する作業はかなり困難な作業になる。そこで、この実施形態では、上記VVT10のケーシング32の外周径D1をカムプーリ5の歯底円の直径D2よりも僅かに小さな値としている。このことで、まず、上記タイミングベルト9をVVT10のケーシング32に引っかけ、続いて、該タイミングベルト9の歯の位置とカムプーリ5の歯の位置とを合わせて係合させるようにすれば、タイミングベルト9の張架作業を極めて容易に行うことができる。
(実施形態2)
図11及び図12は、本発明の実施形態2に係るVVT付DOHCエンジンEを示し、このエンジンEは、VVT10を設ける側のカム軸2をエンジン幅方向外側にオフセット配置するとともに、吸気バルブ23及び排気バルブ24をそれぞれロッカーアーム80,85を介して駆動するものである。尚、この実施形態2におけるエンジンEの主要な構成は実施形態1の場合と同様なので、以下、同様の部分には同一の符号を付して、異なる部分のみを説明する。
【0063】
上記図11において、上記VVT10は、吸気バルブ23を開閉作動させる吸気側のカム軸2に設けられ、該カム軸2は、実施形態1と同様にタイミングベルト9の張力が相対的に低くなる緩み側に位置づけられている。また、上記吸気側のカム軸2は、シリンダヘッド1に設けられたヘッドボルト孔20,20,…よりもエンジン幅方向外側(同図の上側)に配置されていて、VVT10に最も近い1番ジャーナルの軸受部4は、軸受面4aの軸線z1方向の幅が大きくなるように、エンジンEの長手方向内側(同図の右側)に拡大されている。
【0064】
上記吸気側のカム軸2は、図12にも示すように、ロッカーアーム80を介して吸気バルブ23を駆動するものである。上記ロッカーアーム80は、カム軸2によりローラベアリング81を介して上方から押圧され、揺動支点82を支点として上下に動作して、吸気バルブ23をバルブ軸23bの軸線x1に沿って上下に往復動させる。また、上記ロッカーアーム80の吸気バルブ23との当接部分83は、カム軸2と摺接するローラベアリング81の位置(摺接位置)よりもエンジン幅方向内側に設けられており、このことで、吸気バルブ23のバルブ軸23bの軸線x1は、シリンダ中心線yに対し約10°の狭い角度とされている。つまり、上記吸気バルブ23は上下方向に延びるように配置されており、吸気ポート27は燃焼室28から滑らかに上方に延びるように形成されている。
【0065】
一方、排気バルブ24を開閉作動させる排気側のカム軸3は、ヘッドボルト孔20,20,…に干渉するように配置されていて、吸気側のカム軸2同様、揺動支点86を支点として動作するロッカーアーム85を介して排気バルブ24を駆動するものである。上記ロッカーアーム85の排気バルブ24との当接部分87は、カム軸2と摺接するローラベアリング88の位置(摺接位置)よりもエンジン幅方向外側に設けられて、排気バルブ24のバルブ軸24bの軸線x2は、シリンダ中心線yに対し約20°の角度とされている。
【0066】
したがって、上記実施形態2によれば、上記実施形態1と同様の作用効果が得られる上、VVT10が設けられた吸気側のカム軸2を支持する軸受部4,4,…のうち、最も負担のかかる1番ジャーナルの軸受部4をエンジン長手方向に拡大して、軸受面積を大きくすることで、該軸受面4aに作用する圧力を低減させて、カム軸3や軸受部4にかかる負担を小さくすることができる。しかも、上記1番ジャーナルの軸受部4をエンジン長手方向の内側に拡大しているので、エンジンEの長手方向寸法の無用の増大を防止できる。
【0067】
また、吸気バルブ23の配置上の自由度が高く、実施形態1よりもさらに上下方向に配置されているので、吸気ポート27を上記実施形態1よりも滑らかに燃焼室28に連通するように形成することができ、よって、吸気流通抵抗の低減作用を一層高めることができる。
【0068】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記各実施形態では、クランク軸7からの回転入力をタイミングベルト9及びカムプーリ5,6によりカム軸2,3に伝達するようにしているが、これに限らず、例えば、チェーン及びスプロケットにより伝達するようにしてもよい。
【0069】
また、VVTの構成としては、油圧力によりカム軸2,3の軸線z1,z2方向に進退するピストン部材を設け、このピストン部材の上記軸線z1,z2方向の相対変位をヘリカルスプラインにより回転方向の相対変位に変換して、カム軸2,3とカムプーリ5,6とを相対回転させるものとしてもよい。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜3記載の発明における可変バルブタイミング装置付DOHCエンジンによれば、吸気バルブ及び排気バルブの狭角化により、吸排気の流通抵抗の低減、及びエンジン幅方向のコンパクト化が図られる。しかも、重量の有るバルブタイミング可変手段を緩み側のカム軸に設けることで、無端伝動部材の張力増大によるカム軸や軸受部の負担を低減することができ、よって、信頼性を高めることができる。
【0071】
しかも、無端伝動部材から各従動輪に作用する力の上下方向成分が大きくなるので、カム軸や軸受部への負担を低減する効果が特に有効になる。
【0072】
請求項4記載の発明によれば、タイミングベルトをプーリに係合させて張架する作業の容易化が図られる。
【0073】
請求項5記載の発明における可変バルブタイミング装置付DOHCエンジンによれば、請求項1記載の発明と同様に信頼性向上が図られる上、請求項4記載の発明と同様にタイミングベルトの張架作業の容易化が図られる。
【0074】
請求項6記載の発明によれば、タイミングベルトの張架作業のさらなる容易化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1に係るエンジンEの構成を示す上面図である。
【図2】 図1のエンジンEのシリンダヘッド上部の構成を示す上面図である。
【図3】 カムプーリ及びクランクプーリにタイミングベルトを張架した構成を示すエンジンEの正面図である。
【図4】 2本のカム軸を省略して、軸受部とヘッドボルト孔との位置関係を示す図2の拡大図である。
【図5】 バルブの配置を示す説明図である。
【図6】 VVTの構成を示す図1の VI-VI 線における断面図である。
【図7】 図6の VII-VII 線におけるVVTの断面図である。
【図8】 図6の VIII-VIII 線におけるVVTの断面図である。
【図9】 OCVの構成を示す説明図である。
【図10】 カムキャップ及び中間部材の構成を示す説明図である。
【図11】 実施形態2に係る図4相当図である。
【図12】 実施形態2に係る図5相当図である。
【符号の説明】
E VVT付DOHCエンジン
1 シリンダヘッド
2 吸気側のカム軸(第1カム軸)
3 排気側のカム軸(第2カム軸)
4 軸受部
4a 軸受面
5,6 カムプーリ(従動輪)
7 クランク軸
8 クランクプーリ(駆動輪)
9 タイミングベルト(無端伝動部材)
10 バルブタイミング可変装置(バルブタイミング可変手段)
12 テンショナ
20 ヘッドボルト孔
23 吸気バルブ
24 排気バルブ
26 バルブリフタ
32 VVTのケーシング
67,68 輪溝(開口溝)
70 遅角側の油路(液路)
71 進角側の油路(液路)
80,85 ロッカーアーム
81,88 ローラベアリング(カム軸とロッカーアームとの摺接位置)
x1 吸気バルブのバルブ軸の軸線
x2 排気バルブのバルブ軸の軸線
y シリンダ中心線
z1 吸気側のカム軸の軸線
z2 排気側のカム軸の軸線
Claims (6)
- シリンダヘッドの左右両側に配設され、かつクランク軸上の駆動輪に共通の無端伝動部材を介して駆動連結される従動輪が設けられ、クランク軸に同期して駆動されてそれぞれバルブを開閉作動させる第1及び第2の2本のカム軸と、
上記第1カム軸の端部に設けられ、該第1カム軸と上記従動輪とを相対回転させて、上記第1カム軸のクランク軸に対する回転位相を変更するバルブタイミング可変手段とを備えた可変バルブタイミング装置付DOHCエンジンにおいて、
上記第1及び第2の各カム軸は、シリンダの左右両側に形成されたヘッドボルト孔の中心線方向から見て、該左右各側のヘッドボルト孔の中心線に重なるように配置されており、
上記第1カム軸は、無端伝動部材の緩み側スパンが進入する従動輪を有する緩み側のカム軸であり、
上記無端伝動部材の緩み側スパンには、該緩み側スパンを押圧して無端伝動部材の張力を調整するテンショナが設けられており、
上記テンショナにより無端伝動部材に張力を加えたときに、加えない自由状態と較べ、無端伝動部材と各従動輪との係合範囲の変化量が従動輪中心に対する角度範囲で10°以下であることを特徴とする可変バルブタイミング装置付DOHCエンジン。 - 請求項1において、
テンショナにより無端伝動部材に張力を加えたときに、加えない自由状態と較べ、無端伝動部材と各従動輪との係合範囲の変化量が該各従動輪の係合部の1ピッチ長以下であることを特徴とする可変バルブタイミング装置付DOHCエンジン。 - 請求項1において、
第1カム軸の従動輪とクランク軸の駆動輪とに外接する接線の各接点間の長さをL1とし、
テンショナにより無端伝動部材に張力を加えた状態で、上記各接点間に張られた無端伝動部材の長さをL2としたとき、
上記長さL1と長さL2との差は、上記従動輪の係合部の1ピッチ長以下であることを特徴とする可変バルブタイミング装置付DOHCエンジン。 - 請求項3において、
無端伝動部材はタイミングベルトであり、
バルブタイミング可変手段は、
第1カム軸に回転一体に連結された内側回動部材と、
上記内側回動部材に対し相対回転可能に外嵌合されて連結される一方、上記従動プーリに回転一体に連結されてカム軸軸線方向に延びる円筒状の外側回動部材とを有し、
上記外側回動部材外周の直径を長さD1とし、
上記従動プーリの歯底円の直径を長さD2とし、
上記タイミングベルトの歯たけを長さt1としたとき、
D2−t1≦D1<D2+t1 の関係が満たされている
ことを特徴とする可変バルブタイミング装置付DOHCエンジン。 - シリンダヘッドの左右両側に配設され、かつクランク軸上の駆動プーリに共通のタイミングベルトを介して駆動連結される従動プーリが設けられ、クランク軸に同期して駆動されてそれぞれバルブを開閉作動させる第1及び第2の2本のカム軸と、
上記第1カム軸の端部に設けられ、該第1カム軸と上記従動プーリとを相対回転させて、第1カム軸のクランク軸に対する回転位相を変更するバルブタイミング可変手段とを備えた可変バルブタイミング装置付DOHCエンジンにおいて、
上記第1カム軸は、タイミングベルトの緩み側スパンが進入する従動プーリを有するものであり、
上記タイミングベルトの緩み側スパンには、該緩み側スパンを押圧してタイミングベル トの張力を調整するテンショナが設けられ、
上記第1カム軸の従動プーリ及び駆動プーリに外接する接線の各接点間の長さをL1とし、上記テンショナによりタイミングベルトに張力を加えたときに上記各接点間に張られたタイミングベルトの長さをL2としたとき、上記長さL1と長さL2との差はタイミングベルトの歯たけt1以下とされており、
上記バルブタイミング可変手段は、
第1カム軸に回転一体に連結された内側回動部材と、
上記内側回動部材に対し相対回転可能に外嵌合されて連結される一方、上記従動プーリに回転一体に連結されてカム軸軸線方向に延びる円筒状の外側回動部材とを有し、
上記外側回動部材外周の直径を長さD1とし、
上記従動プーリの歯底円の直径を長さD2としたとき、
D2−t1≦D1<D2+t1 の関係が満たされていることを特徴とする可変バルブタイミング装置付DOHCエンジン。 - 請求項4又は5のいずれかにおいて、
外側回動部材外周の直径D1と、
第1カム軸に設けられた従動プーリの歯底円の直径D2と、
タイミングベルトの歯たけt1との間には、
D2−t1≦D1<D2 の関係が満たされていることを特徴とする可変バルブタイミング装置付DOHCエンジン。
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