JP3705806B2 - ヒト視床下部機能の変化の神経化学イニシエーターとしてのアンドロスタンステロイド及びそれに関する医薬組成物及び方法 - Google Patents

ヒト視床下部機能の変化の神経化学イニシエーターとしてのアンドロスタンステロイド及びそれに関する医薬組成物及び方法 Download PDF

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Description

背景
技術分野
一般的に、本発明はヒト視床下部機能に変化をもたらす医薬組成物及び方法に関し、それにより、個体の視床下部により媒介される一定の行動及び生理学(Physiology)を変化させる。より具体的には、本発明は、生理学及び行動の神経化学エフェクトエーター(effectuator)としての一定のアンドロステンステロイドの使用に関する。
関連技術の説明
本発明は、一定の化合物、即ちアンドロスタンステロイド、具体的にはアンドロスタンステロイド及び本明細書に記載する類縁化合物、ならびに視床下部機能を変えるためのヒトセミオケミカル(semiochemical)としてのこれらの化合物の使用方法に関し、それにより、一定の結果的な行動及び生理学、例えば不安の減少に影響を与える。アンドロスタンステロイドは、テストステロンにより代表され、それらは4つの環のステロイド構造、13位及び10位のメチル化により特徴づけられる。アンドロステンはアンドロスタンのサブセット(subset)であり、少なくとも一つの二重結合を有している。オーロフ(Ohloff,G.)ら(Helv.Chim,Acta(1983)66:192-217)(それは参考文献としてここに含まれているものとする)は、ステロイドのこのグループの幾つかが、異なる異性体型、ジアステレオ型、鏡像体型により変化する特徴(odor)を有することを示してきている。このグループの幾つかは、数種の哺乳類においてフェロモンとして、例えば、ブタにおいては、5α-アンドロスト-16-エン-3-オン及び5α-アンドロスト-16-エン-3α-オールが、作用することを報告している(メルローズ(Melrose,D.R.)Br.vet.J.(1971)127:497-502)。雄ブタにより産生されたこれら16-アンドロステン類は、発情期の雌ブタの交配行動を誘発する(クラウス(Claus)Experimentia(1979)35:1674-1675)。
幾つかの種において、一定の16-アンドロステン類(例えば、5α-アンドロスト-16-エン-3α2-オール及び5α-アンドロスト-16-エン-3-オンがあげられる)のさまざまな特徴、例えば濃度、代謝及び配置は、性的に(sexually)二形態(dimorphic)であると、幾つかの研究結果を示してきている(ブルックスバンク(Brooksbank)J.Endocr.(1972)52:239-251、クラウス(Claus)J.Endocr.(1976)68:483-484、クワン(Kwan)Med.Sci.Res.(1987)15:1443-1444)。例えば、5α-アンドロスト-16-エン-3α-オール及び5α-アンドロスト-16-エン-3-オンならびにアンドロスタ-4,16-ジエン-3-オンは、男性及び女性の抹消血、唾液及び腋窩分泌物に異なる濃度で見出されてきており(クワン(Kwan,T.K.)Med.Sci.Res.(1987)15:1443-1444)、選択及び判断に影響を及ぼす程度のヒトのフェロモンとしてのそれらの機能が示唆されてきている(同上、さらにゴワー(Gower)、“The Significance of Odorous Steroids in Axillary Odour”In Perfumery,68-72頁、Van Toller and Dodd,Eds.,Chapman and Hall,1988)、キルク-スミス(Kirk-Smith,D.A.)Res.Comm.Psychol.Psychiat.Behay.(1978)3:379を参照されたい)。アンドロステノール(5α-アンドロスト-16-エン-3α-オール)は、市販の男性用コロン及び女性用香水においてフェロモン様の活性を示すことが権利請求されてきている(Jovanによる男性用のAndronTM及び女性用のAndronTM)。日本の出願公開番号第2295916号は、アンドロステノール及び/又はその類縁体を含む香水組成物に言及している。また、5α-アンドロスタジエン-3β-オール(及び場合によっては3α-オール)は、ヒト腋窩分泌物中に同定されてきている(ゴワー(Gower)上記文献57-60頁。一方、どのような推定上のフェロモンが哺乳動物、特にヒトの性的又は生殖行動にどのような役割を実際に担っているかということについては、その文献中にほとんど対応するところがない。ボーチャンプ(Beauchamp,G.K.)、“The Pheromone Concept in Mammalian Chemical Communication:A Critique”、In:Mammalian Olfaction,Reproductive Processes and Behavior,Doty,R.L.,Ed.,Academic Press,1976を参照されたい)。また、ゴワー上記文献68〜73頁を参照されたい。
本発明の態様は、一定のアンドロスタン及びアンドロステンステロイドの非全身的、鼻腔内投与(nasal administration)に関し、ヒト対象者における特定の行動又は生理的応答、例えば、否定的感情の減少、気分及び性格の特徴に影響を与えることである。具体的には、鼻腔内投与は、鋤鼻器官として一般的に公知であって(“VNO”、また“ヤコブソン器官(Jacovson's organ)”として公知である)これまで理解が不十分であった神経内物質構造の神経化学レセプターと、一種以上のステロイド又はそのステロイドを含有する組成物との接触をもたらす。この器官には、最も高次の動物−ヘビからヒトまで−の鼻孔を介して到達(access)されるものであり、とりわけ、一定の種におけるフェロモンの受容と関連づけられてきている(一般的に、ミュラーシュワルツ及びシルバースタイン(Muller-Schwarze & Silverstein)、Chemical Signals、Plenum Press、ニューヨーク(1990)を参照されたい)。上顎(supral palatinal)に位置した鋤鼻器官の神経上皮の軸索は、鋤鼻神経を形成しており、副嗅球(accessory olfactory bulb)に直接シナプス結合し、そこから皮質内の扁桃様の基底前脳(cortico-medial amygdaloid basal forebrain)及び脳の視床下部の神経核に間接的に入っている(input)。また、末端の神経ニューロンの末梢の軸索は、VNOにおいて神経化学レセプターとして役立っていてもよい。ステンサーズ(Stensaas,L.J.)J.Steroid Biochem.and Mlec.Biol.(1991)39:553。この神経は、視床下部と直接的にシナプス結合している。
ジョンソン(Johnson,A.)J.Otolaryngology(1985)14:71-79)は、たいていのヒト成人における鋤鼻器官の存在に関する証拠を報告しているが、その器官はおそらく非機能的であると結論づけている。VNOは機能的な化学的感覚のレセプターであると示唆する相反する結果は、ステンサーズ(Stensaas,L.)上記文献により、またモラン(Moran,D.T.)、Garcia-Velasco,J.及びM.Nondragon;Monti-Bloch,L.及びB.GrosserすべてによりJ.Steroid Biochem. and Molac.Biol.(1991)39に報告されている。
ヒトセミオケミカル及びフェロモンを同定し合成すること、また医薬組成物及び視床下部機能に影響を与える使用方法を開発することが望ましいことは明らかである。ヒト対象者に鼻腔内投与した場合、一定の神経化学リガンド、具体的にはアンドロスタンステロイド、より具体的にはアンドロステンステロイド及びその類縁化合物又はアンドロスタン、アンドロステン又はその類縁化合物を含有する医薬組成物は、一定の鼻の神経上皮細胞の化学レセプターに特異的に結合しかつ、この結合は一連の神経生理学的応答を生じ、その結果として個体の視床下部機能の変化を生じるという、予期されない発見に本発明は関する。正確に投与した場合、視床下部上のこれらの化合物の一定の効果は、自律神経系の機能及び多様な行動又は生理学的現象、例えば不安、月経前のストレス、恐怖、攻撃性、飢餓、血圧及び視床下部により一般的に調節される他の行動及び生理学的機能に影響するのが、これらに限定されるものではない。オット アッペンゼラー(Otto Appenzeller)The Autonomic Nervous System.An introduction of basic and clinical concepts(1990);コーナー(Korner,P.I.)Central nervous control of autonomic cardiovascular function及びレビー(Levy, N.M.)及びマーチン(Martin,P.J.)Neural control of the heart, both in Handbook of Physiology:Section 2: Cardiovascular System- the heart,Vol I,ワシントンDC,1979,American Physiological Society; フィシュマン(Fishman,A.P.)ら編集、Handbook of Physiology.Section 3: Respiratory System.Vol.II.Control of breathing.Berhesda MD.1986.American Physiological Society。
ある場合においては、単一のアンドロスタンステロイド又はその類縁化合物を投与し、ある場合においてはアンドロスタンステロイド及び/又はその類縁化合物の組み合せを投与し、さらにある場合においては一種以上のアンドロスタンステロイドを一種以上のエストラン又はエストレンステロイド又はその類縁化合物と一緒に投与する。
発明の概要
従って、本発明は、ヒトセミオケミカル又はフェロモンを含有しかつ個体の鼻腔内投与に好適な医薬組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、これらの組成物を使用して個体の視床下部機能を変える方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、これらの組成物を使用して、視床下部により一般的に調節される個体の生理学及び行動の機能に影響を及ぼす方法を提供することを目的とする。
最後に、本発明は、以下の利点を有する視床下部機能を変える方法を提供することを目的とする:1)丸剤又は注射針(needle)を使用することのない、即ち非侵入的な、鼻道(nasal passage)及び鋤鼻器官の化学レセプターへの直接的投与、2)神経系を介するが循環系を介さない薬剤作用方法−従って血液脳関門を考慮することなく脳機能に影響を及ぼすことができる、3)視床下部に影響を及ぼす直接的な手段−フェロモンレセプターと視床下部間に唯一シナプス結合がある、さらに4)高特異性の薬物作用を提供し、それにより望ましくない副作用の可能性を大いに減少させる−これは感覚神経が脳内の特定の部位に位置(address)しているからである。
本発明のさらなる目的、利点及び新たな特徴は、以下の詳細な説明の部分に記載しており、またある程度は以下の考察により当業者にあきらかになるであろうし、あるいは本発明を実行することにより学ばれてもよい。
本発明の目的は、個体の鼻腔内投与に好適な医薬組成物を提供することにより達成される。その組成物は、医薬として許容され得る担体及び以下の一般式のアンドロスタンステロイドを含有する:
Figure 0003705806
(式中、P1は、オキソ、α-(β-)ヒドロキシ、α-(β-)アセトキシ、α-(β-)プロピオノキシ、α-(β-)メトキシ、α-(β-)低級アシルオキシ、α-(β-)低級アルキルオキシ及びα-(β-)ベンゾイルオキシからなる群より選ばれ、P2は、メチル、ヒドロキシメチル、アシルオキシメチル、アルコキシメチル、低級アルキル、ヒドロキシアルキル、アシルオキシアルキル及びアルコキシアルキルからなる群より選ばれ、P3はないかあるいはメチル、ヒドロキシメチル、アシルオキシメチル、アルコキシメチル、低級アルキル、ヒドロキシアルキル、アシルオキシアルキル及びアルコキシアルキルからなる群より選ばれ、P4は、水素、オキソ、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ及びアシルオキシからなる群から選ばれ、P5は一又は二置換基を表し、ここでP5は、一つ又は二つの水素原子、メチル、メチレン又は一つ又は二つのハロゲン原子を含み、P6は、水素又はハロゲンであり、“a”、“b”、“c”、“d”、“e”、“f”及び“h”は、任意の二重結合のための選択的部位である)。
好ましいステロイドの一つクラスは、“b”が二重結合であり、特に、“c”又は“d”も二重結合のものである。他の好ましいクラスは、“a”及び“c”が二重結合のものである。さらに、他の好ましいクラスは、P3がメチル基であり、“h”が任意に二重結合であり、かつP5がメチレン又は一つ又は二つの水素原子を表すものである。また、“a”又は“b”が二重結合のステロイドのクラスも好ましい。
ハロゲンは、F、Cl、Br又はIを意味する。低級アルキル、低級アルコキシ等の語句は、1〜6炭素原子の炭素鎖を包含することを意味し、好ましくは1〜4炭素原子である。
本発明の他の目的は、個体の視床下部機能及び/又は自律神経機能を変える方法を提供することにより達成される。鼻の神経上皮細胞の表面に示される化学レセプターに関するリガンドが提供され、ここで、その細胞は嗅覚上皮(olfactoryepithelia)とは異なる組織の一部であり、また、リガンドは、リガンドが化学レセプターに特異的に結合するように個体の鼻道内に投与され、その結果として個体の視床下部機能の変更を生じる。
本出願のすべての態様は、これらの態様に開示されたステロイド構造と機能的に同等なものに関しかつそれらを含み、また、改質されたステロイドが明白に開示されているか否かにかかわらず、その機能的同等性を示すそれらの改質ステロイドに関する。
【図面の簡単な説明】
図1は、アンドロスタ-4,16-ジエン-3-オン、アンドロスタ-4,16-ジエン-3α-オールおよびアンドロスタ-4,16-ジエン-3β-オールの合成を示す。
図2は、アンドロスタ-5,16-ジエン-3α-オール及びアンドロスタ-5,16-ジエン-3β-オールの合成を示す。
図3は、アンドロスタ-4,16-ジエン-3-オンの代わりの合成を示す。
図4は、女の被験者(4A)の鼻の鋤骨器官および嗅覚上皮(4C)へ特定のステロイドを局所投与したときのレセプター電位における電気生理学的効果のグラフを示す。図4Bは、男および女の被験者のVNOレセプター電位におけるアンドロスタンの効果の比較グラフである。
図5は、男(5A)および女(5B)の被験者の鼻の鋤骨器官へ特定のステロイドの局所投与の電気生理学的効果のグラフを示す。
図6は、女の被験者のアンドロスタンに対する様々な自律神経反応を示す。A=鼻鋤骨の神経上皮のレセプター電位;B=電気エンツェファログラムの皮質α活性における変化(%);C=皮膚電気反応における変化(K-Ω);D=末梢動脈パルスにおける変化(カウント/分);E=皮膚温度における変化(℃);およびF=呼吸回数における変化(カウント/分)。
図7は、二つの異なったアンドロスタンを5人の女の被験者に暴露した後のVNOのレセプター電位における変化を示す。
図8は、ボメロフェリンによるVNOの刺激に対する局所および自律神経反応における性別二型性を示す。様々なボメロフェリン(200fmole)および薄めた対照物を、記載のように、30人の男および30人の女の被験者(20−45歳)へ投与した。バーは集団の平均反応を示す。
図8AおよびB:EVG反応を男(A)および女(B)の被験者において記載のように測定した。
図8CおよびD:電気皮膚活性を記載のように測定した。各被験者のVNOヘボメロフェリンを伝達することによる反応の変化(x Ω)を男(C)および女(D)の被験者において測定した。
図8EおよびF:α皮質活性を記載のように測定した。男(E)および女(F)の被験者のVNOへボメロフェリンの伝達による反応の変化を測定した。
図8GおよびH:皮膚温度(ST)を記載のように測定した。各被験者のVNOへボメロフェリンを伝達することによる反応の変化を男(G)および女(H)の被験者において示す。
グラフにおける化合物は以下のようである:
A=1,3,5(10),16-エストラテトラエンテトラエン-3-イル アセテート
B=アンドロスタ-4,16-ジエン-3-オン
C=1,3,5(10),16-エストラテトラエン-3-オール
D=3-メトキシ-エストラ-1,3,5(10),16-テトラエン
E=アンドロスタ-4,16-ジエン-3α-オール
F=アンドロスタ-4,16-ジエン-3β-オール
図9は、嗅覚物およびボメロフェリンAでOEを刺激することにより引き起こされる男および女の被験者の電気味覚試験のグラフを示す:嗅覚物1-カルボンおよびシネオール400fmoleならびにボメロフェリンA,B,C,DおよびF 200fmole;および立体異性体Eを20人の被験者(男と女の両方)のOEへ1/2のパルスとして別々に与え、各EOG反応を記載のように記録した。嗅覚物ならびにEおよびBは著しい(p<0.01)局所反応を生じた。嗅覚物1-カルボンおよびシネオール400fmoleは男と女の被験者のVNOへ伝達した場合、著しいEVG反応を引き起こさない。
図10は20人の女の被験者の鼻の鋤骨器官における以下のボメロフェリンの電気生理学的効果を示す:
G=アンドロスタ-4-エン-3-オン
H=アンドロスタ-4,16-ジエン-3,6-ジオン
J=10,17-ジメチルゴナ-4,13(17)-ジエン-3-オン
K=1,3,5(10),16-エストラテトラエン-3-オール-メチルエーテル
L=1,3,5(10),16-エストラ-3-イル-プロピオネート
EVG=電気-鋤鼻器官反応(Electro-vomeronasogram)
GSR=皮膚電気反応
=電気皮膚活性、EDA
ST=皮膚温度
図11は、男の被験者20人の鼻の鋤骨器官におけるボメロフェリンの電気生理学的効果を示す。
M=1,3,5(10)-エストラトリエン-3-オール
本発明の詳細な説明
I.定義
“感情”とは、一時的情動状態である。代表的な否定的感情は、神経不安定、緊張、恥、不安、過敏、怒り、激怒などである。“気分”とは、より長く続く情動状態であり、たとえば罪悪感、悲嘆、絶望、価値のないこと、後悔、惨め、不幸などである。“性格”は、個々の人格のさらに不変の面である。代表的な否定的性格は、神経過敏、未練がましさ、非難、強情、怒りっぽさ、敵意、臆病、寂しさなどである。
“アンドロスタンステロイド”とは、10-および13-位がメチル化されている4個の環のステロイド構造が特徴的な脂肪族多環式炭化水素である。アンドロステンとは、化合物が少なくとも一つの二重結合を有すると通常理解されるアンドロスタンの派生群である。普通、化合物がゴナンとして記載されてない限り、化合物は18炭素群を有する理解される。しかしながら、ここでは18-ノル-アンドロスタンは16-アンドロスタンステロイドとみなすものである。さらに、前記の構造的特徴を有する誘導体の全てはまたアンドロスタンステロイドとして一般に言及される。
“化学レセプター”とは、特定の一つまたはそれ以上のリガンドと立体特異的に結合する“化学品感受性(chemosensory)”神経上皮細胞の表面において示されるレセプター分子である。この特異的結合は求心性神経インパルスを開始するシグナル変換を開始する。化学レセプターは中でも味蕾、嗅覚上皮および鼻鋤骨組織において見出される。
ここで使用される用語として“エストレンステロイド”は、4個の環のステロイド構造で、A環に少なくとも一つの二重結合を有し、10位がメチル化されておらず、そして3-位がオキソ、ヒドロキシまたはヒドロキシ誘導体たとえばアルコキシ、エステル、ベンゾエート、サイピオネート(cypionate)、スルフェートまたはグルクロニドである脂肪族多環式炭化水素である。これらの構造的特徴を含む誘導体はまた一般にエストレンステロイドとして言及される。
以下の構造式はアンドロスタンおよびエストレンステロイドと共通の4環式ステロイド構造を示す。基および置換基の位置を記載するにあたり、以下の番号システムが使用される:
Figure 0003705806
“雌雄二形性”は、同一種の雄と雌の間の薬剤の効果またはこれに対する反応における差に関する。
薬剤の“有効量”は、薬剤を必要とする個体に投与した場合、所望の生理学的および/または心理学的効果をもたらす量および/または濃度の範囲である。この場合、必要とする個体は、視床下部により通常調節される生理学的または行動的性格を有するものであり、ここで視床下部の機能または性格に影響を与えることが望まれる。投与される薬剤の有効量は、影響を与える機能、所望の効果、投与経路などにより変化するであろう。たとえば、ステロイドを被験者の顔面皮膚に溶液として投与する場合、有効濃度は1μg/ml-100μg/ml、好ましくは10μg/ml-50μg/mlおよび最も好ましくは20μg/ml-30μg/mlである。ステロイドを直接VNOへ導入する場合、有効量は約1ピコグラム-約1ナノグラム、より好ましくは約10ピコグラム-約50ピコグラムである。軟膏、クリームまたは噴霧などによりステロイドを鼻孔へ導入する場合、有効量は約100ピコグラム-約100ミクログラム、好ましくは約1ng-約10ミクログラムである。幾つかの薬品が、ある経路で投与された場合有効であるがしかし他の経路で投与された場合有効ではないことが追跡されている。
“視床下部”は、視床下部溝の下方で第三脳室の側壁からなる間脳の一部であり、脳室床を形成する構造を含み、視神経交差、結節状灰白***、漏斗および乳頭状本体とからなる。視床下部は自律神経系を調節し、幾つかの生理学的および行動的機能たとえばいわゆる好戦的および逃避的反応、性的動機、水分バランス、糖および脂肪の代謝、空腹、体温の調節、ホルモン分泌などをコントロールする。視床下部はまた血圧を調節するバソプレッシンおよび出産および乳汁分泌を起こすオキシトシンの供給源でもある。視床下部機能のすべては、場合によりここに記載した情報物質治療により調節されうる。
ここで使用される“リガンド”は、レセプター細胞の表面に表示されたレセプター分子へ特異的に結合することにより化学的シグナルとして働き、これにより細胞表面を横切ってシグナル変換を引き起こす分子である。リガンドの化学品感受性(chemosensory)レセプターとの結合を測定することができる。化学品感受性組織たとえば鼻鋤骨神経上皮または嗅覚神経上皮は、多数の神経レセプター細胞を含みその各々が少なくとも一つの細胞表面レセプターを表示する。レセプター分子の多くは同一のリガンド特異性を有する。それゆえ、組織が特異性を有するリガンドに晒される(たとえばVNOの情報物質への暴露)と、細胞表面レセプター電位における合計した変化が測定されうる。
ここで使用する“低級アルキル”は、炭素原子1-4個の枝分かれまたは非枝分かれの飽和炭化水素鎖であり、たとえばメチル、エチル、n-プロピル、i-ブチルなどである。ここで使用する“アルコキシ”は、基-OR(式中、Rはここで定義したアルキルである)を意味する一般的感覚で使用される。
“フェロモン”は、分泌および鼻での受入れを介して同一種の構成員間の交流の化学的手段を提供する物質である。哺乳動物において、フェロモンは通常鼻の鋤骨器官におけるレセプターにより検知される。一般に、フェロモン効果は発達し、再生産しそして行動に関連する。“情報物質(semiochemical)”は、フェロモンを含み化学品感受性メッセンジャーとして機能するいずれかの供給源からの物質を記述する包括的用語であり、特異的神経上皮レセプターと結合しそして生理学的または行動的効果を引き起こす。“ボメロフェリン”は、その生理学的効果が鼻の鋤骨器官を介して仲介される情報物質である。
ピコグラム(pg)は、.001ナノグラム(ng)と等しい。ngは、.001μgと等しい。μgは、.001ミリグラムと等しい。
II.本発明の実施の形態
A.本発明に使用されるアンドロスタン
本発明は特定のアンドロスタンステロイドの一群に関する。テストステロン(17-ヒドロキシ-アンドロスタ-4-エン-3-オン)は代表的アンドロスタンである。
アンドロスタンは、特に本発明に使用されるのに適するものであり、ここで独立して、p1=オキソ、α-ヒドロキシ、β-ヒドロキシ、p2=メチル、低級アルキル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシアルキル、p3=水素またはメチル、p4=水素、ヒドロキシまたはオキソ、p5=水素またはメチルであり、少なくとも一つの二重結合が通常は4-または16-位にあるものである。
好ましいアンドロスタンは、アンドロスタ-4,16-ジエン-3-オン(p1=オキソ、a=二重結合、p2=メチル、p3,p4,p5=水素、ステラロイド社(Steraloid Inc.)から入手可能)、アンドロスタ-4,16-ジエン-3β-オール(p1=β-OH、a=二重結合、p2=メチル、p3,p4,p5=水素)および6-ケト-アンドロスタ-4,16-ジエン-3-オン(p1=オキソ、a=二重結合、p2=メチル、p3,p5=水素、p4=オキソ)であり、これらの合成をここに記載する。
この群のあるグループのアンドロスタンは新規と考えられる。チャートにおいて指示した以下の化合物の合成をここに記載する:17-メチレン-アンドロスト-4-エン-3β-オール(A3/N3)、17-メチレン-アンドロスト-4-エン-3α-オール(A4/N3)、17-メチレン-6-オキソ-アンドロスト-4-エン-3-オン(A6/N3)、および6β-OH-アンドロスタ-4,16-ジエン-3-オン(A11/N1)。
チャート1は、本発明が目指すアンドロスタンを含むが、しかしその範囲に限定されない。以下の合成表は、これらのアンドロスタンの調製のための中間体および構成合成を示す。
チャート1:アンドロストラン
Figure 0003705806
基本構造体の合成
前記表を参考にして、以下は、与えられた縦列(A1〜A11)または横列(N1-N4)における中間体の合成例である。
A 型
Figure 0003705806
Figure 0003705806
これは、たとえばデヒドロエピアンドロステロン(DEHYDRO EPI ANDROSTERONE)の市販され入手可能な基本構造体である。
Figure 0003705806
(ミチオ マツイ(Michio Marui)およびデビット ケイ フクシマ(David K. Fukushima), J. Org. Chem., 1970, Vol. 35, No.3, p561-564)。
Figure 0003705806
オローフ ジィ(Ohloff, G.)ら、(Helv. Chim. Acta(1983)66: 192-217)
Figure 0003705806
ドイツ国特許出願公開第2,631,915号。
Figure 0003705806
ジェイ.レーマー(J.Romer)、エッチ.ワグナー(H.Wagner)およびダブリュ.シハデ(W.Sihade),Steroids,1988,51/5-6,p.577-581)。
Figure 0003705806
(ハバーメール(Habermehl)ら、Z.Naturforsch.(1980)256:191-195)。
Figure 0003705806
―実施例15参照―
Figure 0003705806
オローフ ジィ.(Ohloff,G.)ら、(Helv.Chim.Acta(1983)66:192-217)。
Figure 0003705806
ヴィ.アイ.メルニコバ(V.I.Mel'nikova)およびケイ.ケイ.ピブニツキ(K.K.Pivnitskii)、Zhurmal Organickeskoi Khisnii,1972,Vol.8, No.1.pp.58-74)。
Figure 0003705806
―実施例19参照―
N 型
Figure 0003705806
Figure 0003705806
1. ロバート エッチ.シャピロ(Robert H.Shapiro)およびカール ディジェラシー(Carl Djerassi)、J.Am.Chem.Soc.,1964.86,2825.
2. ピラール ルポン(Pilar Lupon)、フランセス シィ.キャナルス(Frances C.Canals)、アルセニオ イグレシアス(Arsenio Iglesias)、ジョアン シィ.フェレール(Joan C.Ferrer)、アルバート パロマア(Albert Palomar)およびジョアン-ジュリオ ボネ(Juan-Julio Bonet)、J.Org.Chem.1988.53,2193-2135.
Figure 0003705806
1.ギユンター ドレファール(Gunther Drefahl)、クルト ポノルド(Kurt Ponold)およびハンス シック(Hans Schick),Berichte,1965,98,604.
2.リチャード エッチ.ペーターズ(Richard H.Peters)、デビッド エフ.クラウス(David F.Crows)、ミッチェル エー.アベリー(Mitchell A.Avery)、ウェスレー ケー.エム.チョン(Wesley K.M.Chong)およびマサコ タナベ(Masako Watanabe),J.Med.Chem,1989,32,1642.
Figure 0003705806
1. フランツ ソンドハイマー(Franz Sondheimer)、オー.マンセラ(O.mancera)、エム.ウルクイザ(M.Urqiza)およびジィ.ローゼンクランツ(G.Rosenkranz),J.Am.Chem Soc.,1955,77,4145.
2. ウィリアム エフ.ジョーンズ(William F.Johns),J.Org.Chem.,1961,26,4583.
メチルアンドロステン
ドイツ国特許出願公開第2,631,915号は、次の位置:1α,2α,4,6α,6β,7αおよび16のいずれか一つにメチル基を有する次の化合物の調製を示している。
Figure 0003705806
ドイツ国特許出願公開第2,428,679号
17-メチルアンドロステンの合成:
Figure 0003705806
ダニエル ベルチン(Daniel Bertin)およびルシエン ネデラック(Lucien Nedelac),Memoires Presentes a 1a Societe Chimique,No.345. .2140.
それゆえ合成可能な化合物は、たとえば、1α,2α,4,6α,6β,7α,16および17にメチル基を有するN1とA1,A3,A4,A5,A8,A9,A10またはA11ならびに17-メチルを有するA2またはA6を組み合わせたものから誘導体されるものを含む。
ハロアンドロステン
Figure 0003705806
米国特許第3,413,321号
Figure 0003705806
ドイツ国特許出願公開第2,631,915号
Figure 0003705806
ヨーロッパ特許出願第208,497号
それゆえ合成可能な化合物は、たとえば(4-クロロ、4-ブロモ、6α-クロロ、6α-ブロモ、6β-クロロ、6β-ブロモまたは6β-ヨード)A1とN1,N2,N3またはN4とを組み合わせたものから誘導されるものを含む:さらに、(17-フルオロ-、17-クロロ、17-ブロモまたは17-ヨード)N1とA1,A2,A3,A4,A5,A6,A8,A9,A10またはA11との組み合わせたものから誘導されるものも含む。
B. 本発明に有用なエストレン
本発明はさらに、構造的にエストラジオール(ここでも1,3,5(10)-エステトラトリエン-3,17β-ジオールとして言及)と類似の特定エストレンステロイドと前記アンドロスタンステロイドの組合せを含む組成および方法を目指すものである。本発明に使用されるエストレンステロイドは次の構造式を有する:
Figure 0003705806
式中、R1は1又は2個の水素原子、メチル、メチレン、及び1又は2個のハロ原子から本質的になる群から選択される;R2は存在しないか、又は水素原子及びメチルから本質的になる群から選択される;R3はオキソ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アシルオキシ、ベンゾイル、シピオニル(cypionyl)、グルクロニド及びスルホニルから本質的になる群から選択される;R4は水素、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アシルオキシ及びハロから本質的になる群から選択される;R5は存在しないか、又は水素、ヒドロキシ、低級アルコキシ、及び低級アシルオキシから本質的になる群から選択される;R6は水素又はハロである;並びに『a』は前記ステロイドの環Aの任意の芳香族不飽和物を表し、『b』、『c』及び『d』は各々任意に二重結合であり、『e』、『f』、『g』、『h』、『i』及び『j』は各々任意に二重結合である。本態様において、ステロイドは、1以上の医薬許容坦担体を含む医薬組成物の形態で投与されるのが好ましい。好ましい化合物の種類は、『a』が存在し、『g』、『h』又は『i』が任意に二重結合であるものである。『h』及び『i』が双方共に二重結合である種類も好ましい。他の好ましい種類には、二重結合としての『b』、『c』又は『j』が含まれる。しかし、他の種類には、二重結合として『c』及び『d』が含まれる。また他の種類には、メチルとしてR2及び(1)二重結合として『e』、(2)R1がメチレン又は1個の水素、(3)『f』が二重結合であるのも含まれる。
好ましいエストレンには、1,3,5(10)-エストラトリエン-3,17β-ジオール;1,3,5(10)-エストラトリエン-3,16α,17β-トリオール;1,3,5(10)-エストラトリエン-3-オール-17-オン;1,3,5(10),16-エストラテトラエン-3-オール;1,3,5(10),16-エストラテトラエン-3-オール メチルエーテル;1,3,5(10),16-エストラテトラエン-3-イル・アセテートが挙げられる。
これらのステロイド並びにそのグルクロニド、スルフェート、シピオネート及びベンゾエート誘導体の多くは、当業界で既知の化合物であり、例えば、シグマ化学会社(Sigma Chemical Co.)及びアルドリッチ化学会社(Aldrich Chemical Co.)などから市販入手可能である。アルコキシ誘導体及びその合成は当業界で既知であり、米国特許第2,984,677号に示されている。
1,3,5(10),16-エストラテトラエン-3-オールはリサーチ・プラス社(Research Plus, Inc)及びステラロイド社(Steraloids, Inc)から入手可能である。この化合物の他の合成法並びにアセテート及びプロポネート誘導体の合成法は、共に譲渡し、共に係属中の、一部継続出願U.S.S.N.07/903,525、又は、一部継続出願U.S.S.N.07/707,862に記載されており、参考文献として本明細書に含まれる。
C.合成方法
1.3-、5-、6-、18-及び19-位誘導体の調製
本発明の方法に用いる化合物は、3-、5-、6-、18-及び19-位が置換されるアンドロスタンステロイドである。多くの3-置換及び5-置換ステロイドは、17-ヒドロキシ−及び17-オキソ−ステロイド(例えばアルドリッチ化学会社から市販購入可能)から、脱離又は還元によってΔ16類似体へ誘導することができる既知の化合物である。これらの化合物のたいていのものの合成は、オーロフ(上記)に記載されている。図1に示されるように、ピリジン中の17β-ヒドロキシ-5α−アンドロスタン-3-オン(I)及びメチルクロロホルメート(a)により、メチルカーボネート、即ち、5α−アンドロスト-16-エン-(3-オン及び3-オール)の出発材料を提供する17β-メトキシカルボニルオキシ-5α-アンドロスタン-3-オン(II)を生じる(オーロフ、上記200頁)。
アルコキシ誘導体は、それに対応するヒドロキシステロイドを、トリメチルオキソニウムフルオロボレート、トリエチルオキソニウムフルオロボレート又はメチルフルオロスルホネートのようなアルキル化剤と、塩化メチレンのような不活性クロロカーボン溶媒中で反応させることによって調製する。また、アルキルハライド、アルキルトシレート、アルキルメシレート及びジアルキルスルフェートのようなアルキル化剤を、NaH、KMもしくはKOButのような塩基、酸化銀又は酸化バリウムと共に、DMF、DMSO及びヘキサメチルホスホルアミドのような極性で非プロトン性溶媒中で用いることができる。
ステロイドの合成反応の一般的な手法は当業者に既知である。反応時間及び温度を決定しなければならないとき、日常の方法論によって決定することができる。必要な試薬を入れた後、混合物を不活性雰囲気で撹拌し、アリコートを一定時間間隔で採取する。このアリコートをクロマトグラフィーで分析し、出発材料の消失をモニターする。この点を検査手順の手始めとする。出発材料が24時間以内に消滅しなかったら、混合物を加熱還流し、前述のように、出発材料が消滅するまで、時間毎にアリコートを分析する。この場合、検査手順を始める前に混合物を冷却しておく。
生成物の精製は、当業者に既知であるようなクロマトグラフィー及び/又は結晶化によって行う。
2.19-OH誘導体の調製
19-OH-アンドスタ-4,16-ジエン-3-オンの合成
本化合物は、19-オキソ-3-アザ-A-ホモ-5B-アンドロスタンの合成の中間体として開示されている(ハーバーメール(Habermehl)ら、Z.Naturforsch.(1970年)25b巻、191-195頁)。本化合物の合成法が提供されている。
D.医薬化合物及び使用法
対象となる発明の態様は、個体の視床下部機能を変える方法である。他の態様は、個体の自律神経機能を変えるものである。これらの自律神経機能には、心拍数、呼吸速度、脳波パターン(アルファ皮質活動パーセント)、体温が挙げられるが、それらに限られるものではない。他の態様には、個体の情緒不安(negative affect)、気分が悪いこと(nagative mood)又は消極的な性格特定(negative character trait)を軽減する方法が挙げられるが、それらに限られるものではない。他の態様には、女性月経前ストレスを処置する方法がある。これらの具体例はすべて、ある16-アンドロステンステロイド、16-アンドロステンステロイドの組合せ及び1以上の16-アンドロステンステロイドと1以上のエストレンステロイドの組合せを、非全身性であって鼻から投与することによって達成される。
この投与の特定のモードは、経口摂取又は注射のようなそれに代わるモードとさまざまな重要な点で区別され、その点としてステロイド・リガンドを鼻から投与することによって提供されるVNOとの直接接触による点などがある。本発明の方法において、適切なリガンドが鼻孔(nasal passage)及び鋤鼻器官の化学受容体へピル又は針を用いずに、即ち、非浸入性により直接投与される。薬の作用は、鼻、好ましくはVNOの神経上皮細胞により示される特定の受容体と本明細書に記述するリガンドとが結合することにより媒介される。さらに、この薬の作用のモードは、神経系を通してであり、循環系を通してではない。ゆえに、血液脳関門を考慮せずとも脳の機能は影響され得る。フェロモン受容体と視床下部との間には唯一のシナプス結合しかないので、この処置法は神経系を通して視床下部に影響を与える直接的な手段を提供する。知覚神経は、脳の特定の箇所に向かっているので、この方法は特異的医薬効果が高く、これにより不所望な潜在的副作用を大いに軽減する。
VNOは化学受容体機能/フェロモン機能を伴うので、VNO接触は重要である。VNOは、鼻の隔膜の下縁にある一対の隠れた管状憩室から成る。VNOは、神経上皮及びその軸索を含み、神経上皮から扁桃体に直接つながるシナプス及びそこから視床下部に直接つながるシナプスを有する。VNOの存在は、個体の胎児を含む、多くの陸生脊椎動物に見られることが記録されているが、個体成人には、一般に痕跡量であると考えられる(ジョンソン(Johnson)ら、上記を参照のこと)。
本明細書に記載されるリガンド物質、又はそのサルフェート、シピオネート、ベンゾエート、プロピオネートもしくはグルクロネート誘導体は、直接投与することができるが、組成物として投与するのが好ましい。これらは、例えば、液状又は懸濁剤などのような液状調剤形態で調製され、正確な投与量の単回服用に好適なユニット調剤形態であるのが好ましい。液状調剤は、点鼻(nose drop)又はエアロゾルとして投与することができる。また、活性化合物はクリーム又は軟膏組成物として調製でき、鼻腔内に局所的に施用することができる。他のものとして、シリコーンのような合成ポリマー並びにゼラチン及びセルロースのような天然ポリマーを用いて、バルク又は微視的レベルでカプセル化することにより、これらの薬剤の制御徐放によって、供給(delivery)することができる。この徐放速度は、拡散速度を制御するのに用いるポリマー系の適切な選択によって制御することができる(ランガー(Langer, R.S.)及びペッパス(Peppas, N.A.)、Biomaterials、2巻、201頁(1981年))。ゼラチン及びセルロースのような天然ポリマーはおよそ分単位〜時間単位でゆっくりと溶解する一方、シリコーンは1カ月間完全なままでいる。組成物は、従来の医薬坦体又は賦形剤、式Iの16-アンドロステン化合物(類)を1以上を含むであろうし、その組成物は、任意に1以上のエストレンステロイドを含んでも、含まなくともよい。また、組成物は他の医薬剤、製薬剤、担体及び補助剤などを含んでいてもよい。
情報物質(semiochemical)リガンドの伝達の最も有り得る手段は、他人の肌で自然発生するフェロモンを吸入することである。5α−アンドロスト-16-エン-3α-オール及び5α−アンドロスト-16-エン-3α-オン、4,16-アンドロスタジエン-3β-オール、並びにおそらく5α−アンドロスタジエン-3α-オールを含むさまざまな16-アンドロステンステロイドは、個体に自然発生し、その肌に存在することができる。個体の肌で自然発生する16-アンドロステンステロイドの最大濃度は、2〜7ng/cm2である。直に触れる際、個体は自然発生するステロイド700ng以下に暴露されるであろうと概算される。これらの化合物は比較的不揮発性であるので、直に触れる際であっても、対象である個体は、他人の肌から自然発生するステロイド0.7pg以下を吸入するであろうと概算される。吸入量のうち、ほんの約1%だけが鋤鼻器官の受容体に到達するであろう。ゆえに、自然製造されるフェロモンへの最大の自然暴露概算量は、0.007pgであろう。
投与される情報物質リガンド量はもちろん、処置される患者、苦悩のつらさ、投与形態、投与頻度、及び処方する医師の判断に依存するであろう。しかし、少なくとも約10ピコグラムの単回投与は、鋤鼻器官の内腔に直接供給され、一過性の自律神経反応を誘発するのに有効である。鼻腔に投与されるとき、投与量は約100ピコグラム〜約100マイクログラムであり、約1ナノグラム〜約10マイクログラムが好ましく、より好ましくは約10ナノグラム〜約1マイクログラムがよい。投与頻度は、時間毎投与〜月毎投与の範囲が好ましく、好ましくは8回/日〜2日に1回であり、より好ましくは日に1回〜3回である。例えば水、塩水、水溶性デキストロース、グリセロール及びエタノールなどのような坦体内に、1以上の有効化合物及び任意の医薬補助剤を含む軟膏は、例えば石油ゼリー、ラード又はラノリンのような基剤を用いて調製できる。
液状医薬投与組成物は、上記で定義した有効化合物及び任意の医薬補助剤を、例えば水、塩水、水溶性デキストロース、グリセロール及びエタノールなどのような坦体に溶解、分散などして、それによって溶液又は懸濁液を形成することによって調製できる。所望であれば、投与すべき医薬組成物は、加湿剤又は乳化剤及びpH緩衝剤などのような非毒性補足物質、例えば酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンナトリウムアセテート及びトリエタノールアミンオレエートなどを少量含んでもよい。そのような調剤形態を調製する実際の方法は既知であるか、又は当業者にとって明らかであろう。例えば、Reminton's Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.、Easton、PA、15thEd.(1975年))を参照のこと。投与されるべき組成物又は配合物は、処置すべき患者の症状を軽減するために、ともかく、1以上の有効化合物(群)を有効量で含むであろう。
エアロゾル投与において、有効成分は、界面活性剤及び噴射剤といっしょに微粉末状で供給されるのが好ましい。有効成分の代表的なパーセンテージは、0.001〜2重量%であり、0.004〜0.10重量%が好ましい。
界面活性剤は、もちろん、非毒性でなければならず、噴射剤に溶解するのが好ましい。そのような薬剤の代表的なものとして、例えばカプロン酸、オクタン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノレイン酸、オレステアリン酸及びオレイン酸と、例えばエチレングリコール、グリセロール、エリトリトール、アラビトール、マニトール、ソルビトール及びソルビトールから誘導されるヘキシトール無水物などの脂肪多価アルコール又はその環状無水物との、炭素原子を6〜22個含む脂肪酸のエステル又は部分エステル(ソルビタンエステルは商標名『スパンズ(Spans)』で売られている)、これらのエステルのポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン誘導体が挙げられる。混合又は天然グリセリドのような混合エステルを用いることができる。好ましい界面活性剤として、オレエート又はソルビタン、例えば、商標名『アーラセルC("Arlacel C”)』(ソルビタンセスキオレエート)、『スパン80("Span80")』(ソルビタンモノオレエート)及び『スパン85("Span85")』(ソルビタントリオレエート)で販売されているものが挙げられる。この界面活性剤は、組成物の0.1〜20重量%で含んでよく、0.25〜5重量%とするのが好ましい。
組成物のバランスは普通噴射剤である。液状化噴射剤は典型的に周囲条件でガスであり、加圧下で凝縮される。好適な液状化噴射剤として、ブタン及びプロパンのような炭素原子5個までを含む低級アルカン;商標名『フレオン("Freon”)』で販売されているようなフッ素化又はフッ素塩素化アルカンが挙げられる。上記の混合物を用いることもできる。
エアロゾルを製造する際、好適なバルブを備える容器に適当な噴射剤を満たし、微粉末有効成分及び界面活性剤を入れる。この成分は、ゆえに、バルブの動きによって解放されるまで、加圧下で維持される。
他の投与手段として個体の肌、特に顔の肌への揮発性液体組成物の局所施用がある。この組成物は、普通エタノール又はイソプロパノールのようなアルコールを含むであろう。その組成物に、好ましいにおい物質を含めることもできる。
F.情緒、気分及び性格特性の測定
情緒、気分及び性格特性を伴う感情状態は一般に質問用紙を用いて測定する。例えば感情状態に関する多くの形容詞を有する質問用紙を個人に与えることによってできる。その人は、形容詞で記述される彼又は彼女の感情状態を評価し、感情の強度を数値スケールに見積る。関連する形容詞を集めて、各々の形容詞の患者の評価の統計分析によって、さまざまな感情状態の測定のための基礎を提供する。
また、感情状態は、うそ発見評価器で用いられるような自律神経系(電気皮膚反応及び脈拍数など)の変化によって測定することができる。キャバナック(Cabanac,M.)、Annual Review of Physiology、37巻、415頁(1975年);ハーディー(Hardy,J.D.)、『Boby Temperature Regulation』、59章、1417頁、Medical Physiology、II巻、Ed:VB Mountcastle(1980年);Wolfram Bouscein. Electrodermal Activity(Plenum Press 1992年)。さらに、顔の表情や態度のような非単語による手がかりを評価することができる。
G.あるタイプの精神障害の処置の方法
局所及び/又は10鼻腔内投与に好適な組成物であって、本明細書で記載するステロイド物質を1以上含む組成物は、あるタイプの精神障害、特にあるタイプのノイローゼの処置に有効な治療として有用である。ある好ましい態様として、全身性効果を引き出すことを意図する他の薬配合物と異なり、治療薬としての本組成物の物質の作用のモードは、鼻の、特にVNOの神経受容体の刺激によるものであるので、組成物は粘膜又は経皮吸収の見込みを最小限にするように配合される。本発明の組成物は、全身性循環の結果としてではなく、VNOの情報受容体の刺激の結果として、有効であるので、吸収及びそれに付随する有効成分の全身性循環への取り込みは効果がないばかりか、副作用の見込みが実際増加するであろう。この組成物のエストレン又は16-アンドロステンの1以上が患者のVNOに提供されるような方法で投与されるとき、これらの組成物は有用である。
処置可能なノイローゼは、急性及び/又は一過性であるか、又はそれらが持続性又は再発性のものである。これらは一般に、気分変化(不安、パニック、抑うつ)又は思考(強迫観念、不合理な恐怖)もしくは行動(儀式又は強迫行為、偽神経症又はヒステリックな転換徴候)の制限された異常を含まれ得る異常な徴候がある。このような障害では、これらの組成物は、特に関連する不安又は抑うつなどを修正することにより、短期間である有益な効果をあげることができる。
他の性格学上の障害も、本発明の組成物の鼻腔内投与により処置可能である。これらの状態には、固有の人格スタイル、例えば妄想症、ひきこもり、精神障害及び心気症など;又は社会の期待に反して生じるのかもしれない行動パターン、例えばアルコールもしくは他の物質の乱用、社会的逸脱又は倒錯行動などが挙げられる。
ある身体的又は生理学的状態、即ち、正常状態(月経のような)及び病気又はケガに関連する状態(慢性病のような)は、精神医学的障害、神経障害、又は不安もしくは抑うつ情態(affect or mood)として現れる心理学的成分を有するのかもしれない。これらの状態も、本発明の組成物のエストレン又はアンドロステンの1以上を患者のVNOへ提供するような本発明の組成物の投与法によって処置可能である。
i.不安
不安は、困惑、迫りくる危険、憂慮又は緊張という感情により特徴づけられる不愉快な感情状態である。鼻腔内投与に好適な組成物であって、本明細書に記載される1以上のエストレンステロイドを含む組成物は、不安を軽減するのに有効な治療として有用である。この障害には、軽い狼狽から無能力にする症候群までの範囲で、多くの顕示がある。不安は、多くの精神障害の主要な徴候であるだけでなく、多くの正常な精神学上及び社会状況の1成分でもある。また、不安の徴候は、普通抑うつを伴い、特に気分変調障害(神経症的抑うつ)及び多くの人格障害を伴う。不安障害は分類することができ、これにはパニック障害、恐怖症及び一般化不安障害、後トラウマ性ストレス及び強迫神経疾患があげられる。
ii.不安の処置に用いる医薬
薬処置は、不安の主な処置法であり、しばしば行動治療とともに用いられる。不安を処置するのに最もよく用いられる薬は、ベンゾジアゼピン(benzodiazepines)である。ベンゾジアゼピンは催眠、鎮静、抗不安、抗けいれん及び筋弛緩作用を有する。したがって、これは、不安障害というよりも多くの処方及び多くの異なる状態に用いられる(例えば、不眠症、アルコール禁断症状、筋けいれん、てんかん、知覚麻ひ及び内視鏡手法のための鎮静)。この薬は比較的安全であり、先に用いられたバルビツレート(barbiturates)と比較すると利点を有する。これは作用が即座に発現し、多幸感をもたらす。しかし、その良好な安全性にもかかわらず、ベンゾジアゼピンは、鎮静、運動失調、記憶障害、運動協調減少及び常習効果の危険性、特にアルコールと一緒に用いるときなど、その使用を制限する多くの特性を伴う。医師及び患者の双方が、徐々にこの常習潜在性に気づき、傾向ではないが、その長期間の使用を避けようとする事実がある。
最近、非ベンゾジアゼピン抗不安薬の新種、即ちアザスピロデカンジオン(azaspirodecanediones)が承認された。これはより選択的な抗不安特性を有している。この種類で第1に市販されたものはブスピロンである。この化合物は、一般化不安障害の処置においてベンゾジアゼピンと同じほど有効であるとの報告がある。ベンゾジアゼピンと比較して、ブスピロンは鎮静作用が乏しく、エタノールの効果を低レベルにし、常習可能性が低い。しかし、通常の臨床使用では、ベンゾジアゼピンを既に処方されている患者においてベンゾジアゼピンをブスピロンに置換することは困難であることがわかった。というのは、ブスピロンは多幸感を生ぜず、ベンゾジアゼピンを摂取したときと同じような満足感を患者が味わえないからである。また、ブスピロンのゆっくりとした作用の発現(1〜3週間)のため、急性の不安を処置する際にその有効性が制限される。全身性投与ブスピロン抗不安薬は、CNSセロトニン5-HT受容体に対して高い結合性を有することがわかっており、これが抗不安作用のモードであると考えられる。
新しい抗不安薬の他の種類には、全身性投与ベンゾフラン誘導体がある。この物質はCNSドーパンミンD2受容体に対して高い親和性を示す。
iii.気分(情緒)障害
本発明の組成物は、あるタイプの気分障害のある徴候の処置にも有用である。主にうつ及び躁のような気分障害は、第1臨床発現としての気分変化によって特徴づけられる。極端な気分は精神病を伴い、病気の妄想的思考及び知覚によって特徴づけられ、しばしば支配的な気分と一致する。逆に、精神病は、関連するか、又は第2の気分変化を有するのかもしれない。同様に、正常な悲嘆、悲哀及び失望、並びに医学上の病気又は月経前ストレスのような正常な周期的な機能不全に伴う不快又は意気消沈も、本発明の組成物の鼻腔内施用によって、緩和することができる。
iv.本発明の組成物の作用のモード
本発明の組成物の作用のモードは、これまで報告されている、いかなる処置ともきわめて異なる。本発明に記載されている、活性ステロイド及びステロイド様化合物は、VNOの受容体を刺激するか、及び/又は結合して、局所施用に直接適用できる。CNS受容体への直接的なアクセスは必要ではない。これらの受容体の刺激はその時、神経経路を通過して伝達されるシグナルを発生し、患者の脳の視床下部領域にあるような、神経心理反応を誘発する。この反応は脈拍数、呼吸数、E.E.G.パターン、誘発電位、体温、電気皮膚反応及び瞳孔径を含むが、これらに限られない、さまざまな自律神経機能に不連続な変化として明らかになる。この反応は、情緒不安及び気分が悪いことの測定可能な減少としても明らかとなる。
視床下部機能の修正と精神病の処置との間の関係は完全に理解されていないが、本発明の組成物は、自己評価できる消極性、即ち気分が悪いこと及び消極的な性格の軽減に有効であることは明らかである。これらの変化は、全身性変化を伴い、視床下部によって実行され、副交感神経の調子の増加(又は交換神経の調子の減少)と一致する。
本発明の有効化合物はその特異性においてフェロモン様であるので、この化合物はその刺激及び作用に種特異性を示し、ゆえに効果を動物モデルで例示することができない。
III. 実施例
以下の実施例は、本発明の具体例を示すものであるが、それに限定されるものではない。
実施例において用いる略語として、以下のものがある。aq.=水溶性;RT.=室温;PE=石油エーテル(b.p.50〜70℃);DMF=N,N-ジメチルホルムアミド;DMSO=ジメチルスルホキシド;THF=テトラヒドロフラン。
実施例1−アンドロスタ−4,16−ジエン−3−オン(4)
この合成を図1に示す。テストステロンをアンドロスタ−4,16−ジエン−3−オンに変換するために数種の方法が既知である(Brooksbankら,Biochem.J.(1950)AZ:36)。また、テストステロンのメチルカーボネートを熱分解(460°)すると、アンドロスタ−4,16−ジエン−3−オンが90%の収率で得られる。17B−メトキシカルボニルオキシ−アンドロスト−4−エン−3−オン(IV)は、テストステロン(III.Fluka)からメチルクロロホーメート/ピリジン(a)を用いて76%の収率で調製した(MeOHから再結晶した後)。M.p.140-141°,[a]D=+95.4°(c=1.10)-IR.(CDCl3):1740s,1665s,1450s,1280s,-1H-NMR.(360MHz):0.87(s,3H);1.20(s,3H);3.77(s,3H);4.53(br,t,J8,1H);5.75(s,1H)。トルエン中メチルカーボネートIVの溶液はIに記載されたように熱分解した(b)。粗生成物をRTでアセトンから再結晶して純粋なケトン4を90%の収率で得た。M.p.127-129.5°,(a)D+118.9°(c=1.32)([3]:m.p.131.5-133.5°(ヘキサン),[a]D 16=+123±3.5°(c=1.03)).-IR.(CDCl3):3050w,1660s,1615m.-1H-NMR.(360MHz):0.82(s,3H);1.22(s,3H);5.70(m,1H);5.73(s,1H);5.84(m,1H)。
実施例2−アンドロスタ−4,16−ジエン−3α−オール(5)及び−3β−オール(6)
これらの合成を図1に示す。アンドロスタ−4,16−ジエン−3−オン(4)を、2の調製に記載されたようにTHF中リチウムトリス(1,2−ジメチルプロピル)ヒドリドボレート(c)を用いて−55°で還元した(図1)。CH2Cl2/酢酸エチル9:1を用いてシリカゲルによりクロマトグラフィー処理して純粋なアキシアルアルコール5(収率48%)及び純粋なエクアトリアルアルコール6(収率48%)を得た。分析用試料を再結晶で更に精製した(5の場合、−30°でPEから、6の場合、RTでシクロヘキサンから)。
5のデータ.M.p.77-79°,[a]D+120.6°(c=1.26)-IR.(CDCl3):3620m,3440m br.,1660m,1595w.-1H-NMR.(360HMz):0.79(s,3H);1.02(s,3H);4.70(m,W1/2≒10,1H);5.48(d×d,J5 & 2,1H);5.71(m,1H);5.85(m,1H)。
6のデータ.M.p.116-119°,[a]D+53.9°(c=1.28)([47]):m.p.116-118°,[g]D+59.3°(c=0.4)-IR.(CDCl3):3610m,3420m br.,3050m,1660m,1590w.-1H-NMR.(360MHz):0.78(s,3H);1.08(s,3H);4.15(m,W1/2≒20,1H);5.30(m,W1/2≒5,1H);5.71(m,1H);5.85(m,1H)。
実施例3−アンドロスタ−5,16−ジエン−3α−オール(7)
この合成を図2に示す。N2下0℃のアセトン(100ml)中アルコール8(545mg、2.0ミリモル)の溶液にジョーンズ試薬(i、1.5ml、約4ミリモル)を迅速に加えた。5分後、混合液を希リン酸バッファー(pH7.2、1200ml)に注ぎ入れ、エーテルで抽出した。抽出液をNaCl飽和水溶液で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、蒸発して主にアンドロスタ−5,16−ジエン−3−オンを油状物として得た(567mg)。粗生成物をTHF(7ml)に溶解し、2の調製に記載されたように55°でリチウムトリ(1,2−ジメチルプロピル)ヒドリドボレート(c)を用いて還元した。粗生成物(530mg)をCH2Cl2/酢酸エチル4:1を用いてシリカゲルによりクロマトグラフィー処理して280mg(51%)の純粋なa−アルコール7(最初に溶離)及び13mgの出発アルコール8を得た。少量の7の試料をRTでアセトン/水から再結晶した。M.p.138°,[g]D77.5°(c=1.2)-IR(CDCl3):3580m,3430m,1665w,1590w,-1H-NMR.(360HMz):0.80(s,3H);1.06(s,3H);4.02(m,W1/2≒8,1H);5.44(m,1H);5.72(m,1H);5.86(m,1H)。
実施例4−アンドロスタ−5,16−ジエン−3B−オール(8)
市販(Fluka)の3B−ヒドロキシ−アンドロスト−5−エン−17−オン(VII)から既知の手順(Marx,A.F.ら,ドイツ公開明細書第2,631,915号;Chem.Abst.87:23614p(1977))により、この化合物を73%の収率で調製した。M.p.137°,[a]D=-71.9°(c=1.5)([48]:m.p.140-141°[a]D=68°-IR.(CDCl3):3600m,3420m br.,1670w,1590w,-1H-NMR.(360MHz):0.80(s,3H);1.05(s,3H);3.53(m,W1/2≒22,1H);5.38(m,1H);5.72(m,1H);5.86(m,1H)。この合成を図4に示す。
実施例5−アンドロスタ−4,16−ジエン−3−オンの別の合成(25)
下記の合成方法を図3に示す。
デヒドロエピアンドロステロンp−トルエンスルホニルヒドラゾン(23)
乾燥メタノール(300ml)中デヒドロエピアンドロステロン(VII)(14.4g、50.0ミリモル)及びp−トルエンスルホニルヒドラジド(12.75g、68.5ミリモル)を20時間加熱還流した。混合液を三角フラスコに移し、冷却した。結晶性生成物を吸引ろ過し、メタノール(50ml)で洗浄した。更に、ろ液を75mlと20mlまで連続して蒸発し、その度に結晶化することにより生成物の収量を得た。全収量は21.6g(95%)であった。
アンドロスタ−5,16−ジエン−3β−オール(24)
乾燥テトラヒドロフラン(1.0リットル)中デヒドロエピアンドロステロンp−トルエンスルホニルヒドラゾン(23)(22.8g、50.0ミリモル)をドライアイス/イソプロパノール浴中で冷却した。混合液を攪拌しつつn−ブチルリチウム(ヘキサン中125mlの1.6M溶液、200ミリモル)を加えた。この混合液を室温に温め、24時間攪拌した。氷で冷却しながら水(50ml)を加えた。この混合液を塩化アンモニウム飽和溶液/氷(500ml)に注ぎ入れ、エーテルで抽出した(×2)。有機層を重炭酸ナトリウム飽和溶液(500ml)及び塩化ナトリウム飽和溶液(500ml)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で蒸発して粗生成物を得た。これを酢酸エチル/ヘキサン(20:80→50:50)で溶離する190gのシリカゲル60、230〜400メッシュによるフラッシュクロマトグラフィーで精製して結晶性物質を得た。生成物をメタノール(45ml)/3%過酸化水素(8ml)から再結晶し、メタノール(30ml)/水(8ml)で洗浄して純粋な生成物を得た(6.75g、50%)。
アンドロスタ−4,16−ジエン−3−オン(25)
475ccのトルエン及び75ccのシクロヘキサノン中10gのアンドロスタ−5,16−ジエン−3β−オール(24)の溶液を蒸留して(約50ccの留出物を集めた)水分を除去し、50ccのトルエン中5gのAl(OPri3を加え、その溶液を1時間還流した。次いで、水を加え、水蒸気蒸留で揮発性成分を除去し、残留物をクロロホルムで抽出した。乾燥した抽出液を蒸発した後、残留物をクロロホルム−ヘキサンから結晶化して7.53gのアンドロスタ−4,16−ジエン−3−オン(25)を得た。母液を中性アルミナによりクロマトグラフィー処理して他の0.97g(全量、8.5g、86%)を得た。
実施例6−アンドロスタ−3,5,16−トリエン−3−イルメチルエーテル(12
2,2−ジメトキシプロパン(5.0ml、41ミリモル)及び5mlDMF中アンドロスタ−4,16−ジエン−3−オン(1.00g、3.70ミリモル)の部分溶液にメタノール(0.2ml)とp−トルエンスルホン酸1水和物(26.4mg、0.139ミリモル)を加えた。混合液を5時間還流した後、冷却し、重炭酸ナトリウム(152.5mg)を加えた。懸濁液を50mlの氷水と50mlの酢酸エチルに分配した。有機層を50mlずつの水で2回と50mlの食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留油状物を50mlの熱ヘキサンに溶解し、150mlの熱へキサンを用いてシリカゲル60の12mm×30mmカラムでろ過した。合わせたろ液を減圧下で濃縮し、アセトン/メタノールから再結晶して白色結晶を得た(468.0mg、1.645ミリモル、44%)、m.p.83-92℃。
実施例7−17−メチレン−アンドロスト−4−エン−オール
5mlのメタノール中20−ホモアンドロスタ−4,17−ジエン−3−オン(119.0mg、0.4184ミリモル)に水素化ホウ素ナトリウム(6.0mg、0.16ミリモル)と77μlの水を加えた。2時間攪拌した後、更に水素化ホウ素ナトリウム(32.0mg、0.846ミリモル)を加え、混合液を一晩攪拌した。減圧下で濃縮した後、残留物を分取用TLC(シリカゲルによる5%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して極性の大きい(59.8mg)及び極性の小さい(1.7mg)生成物を得た。
実施例8−17−メチレン−6−オキソ−アンドロスタ−4−エン−3−オンの合成
50mlのアセトン中20−ホモアンドロスタ−5,17−ジエン−3−オール(399.4mg、1.394ミリモル)の冷却溶液に2.67Mのジョーンズ試薬(2.0ml、5.3ミリモル)を加えた。1時間攪拌した後、反応液をイソプロパノール(1.0ml、13ミリモル)で冷却し、100mlの水に注ぎ入れた。混合液を50mlずつの酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機抽出液を50mlの重炭酸ナトリウム飽和液と50mlの食塩水で洗浄した。次いで、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を95%エタノールから再結晶してほとんど白色の粉末(177.8g、0.5958ミリモル、43%)を得た、m.p.113-115℃。
実施例9−6B−OH−アンドロスタ−4,16−ジエン−3−オンの合成
5mlの1,2−ジメトキシエタン(DME)及び1mlの水中アンドロスタ3,5,16−トリエン−3−イルメチルエーテル(12)(200.5mg、0.7049ミリモル)の溶液に5mlのDMEと1mlの水と0.40gの5%(w/w)NaOH中に懸濁したm−クロロ過安息香酸(MCPBA、77.4%、173.2mg、0.776ミリモル)を攪拌しつつ90分かけて滴下した。18時間攪拌した後、更に10ミリモルのDMEと2mlの水と0.8gの5%(w/w)NaOHに懸濁したMCPBA(247.0mg、1.11ミリモル)を攪拌しつつ1.5時間かけて滴下した。反応混合液を1/2時間攪拌し、次いで25mlの重炭酸ナトリウム飽和液に注ぎ入れた。水性混合液を25mlのエーテルで3回抽出し、合わせた有機抽出液を50gの5%(w/w)チオ硫酸ナトリウムと50mlずつの食塩水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、セライトでろ過し、減圧下で濃縮した。得られた結晶性残留物を分取用TLC(シリカゲルによる35%酢酸エチル/ヘキサン)で精製した後、水性エタノールから2倍に再結晶して光沢のある白色板状晶(102.3mg、0.3571ミリモル、51%)を得た、m.p.165-166℃。
実施例10−ヒトVNO及び嗅上皮のアンドロスタン刺激の電気生理学
ヒト鋤鼻器(VNO)及び嗅上皮(OE)からの局所電位を記録するために、非侵入法を用いた。マルチチャンネル薬剤送達系に接続した特別に設計したカテーテル/電極を用いて種々の距離で両鼻の組織に限局性のガス刺激を加えた。この電極と送達系は、Monti & Grosser(J.Steroid Biochem.and Molec.Biol.(1991)39:573)及びその中に参考として引用された共通所有の同時係属中の米国出願第07/771,414号に記載されている。VNO及びOEの局所応答は、リガンド刺激の濃度との相互関係を示した。
試験は、年齢が18〜85才の10人の臨床的に正常な(選抜した)志願者−男性2人女性8人で行った。試験は、全身又は局所麻酔せずに行った。
カテーテル/電極は、限局性の刺激を送り同時に応答を記録するように設計された。VNO記録の場合には、被検者の右鼻を鼻鏡nasoscope(nasal specule)を用いて調べ、鋤鼻孔を鋤骨と鼻床の前端の交点の近くに特定した。カテーテル/電極をVNO孔を通ってゆるやかに進め、電極の先端を孔から1〜3mmの鋤鼻器の管腔に入れた。次いで、鼻鏡を取り出した。OEの場合には、カテーテル/電極の配置を内側の鼻涙管の外側部分に深くゆるやかに置き、嗅粘膜に達した。
カテーテル/電極を介して限局性のガス刺激を行った。室温できれいな、臭いのない、増湿した空気の一定の流れを刺激系のチャンネルを介して連続的に通過させた。刺激リガンド物質をプロピレングリコールに希釈し、増湿した空気と混合し、カテーテル/電極を介して1〜2秒間吹いた。この投与により鼻腔に約25pgのステロイドリガンドが供給されることが推定される。
この試験の結果を図4A、4B及び4Cに示す。応答はミリボルト−秒(mV×s)で測定される。アンドロスタ−4,16−ジエン−3−オンは、女性において他の試験化合物より顕著に強いVNO応答をもたらしている(図4)。更に、アンドロスタ−4,16−ジエン−3−オンに対するVNO応答は、性的二形態である−女性は男性の2倍強い(図4B)。対照的に、男性及び女性双方におけるOE応答は、クローブのような強い香料に比べて低い(図4C)。
実施例11−種々のステロイドに対する応答におけるVNOの神経上皮の受容器電位の測定又は変化
5種類の異なったリガンドに対する応答における受容器電位の変化を40人の女性(図5A)及び40人の男性(図5B)被検者で測定した。各被検者に図に示された7種類の物質を各々60ng投与した。実施例10に記載された手順を用いて物質を1秒間別個に投与した。VNOの神経上皮の電位の経時変化を記録し、40人の被検者の各々の電位変化の積分を平均した。結果は図に示されている。図5A及び5Bを比較すると、各ステロイドはその活性が性的二形態であること及びあるリガンド物質は男性が強いが他のものは女性が強いことがわかる。
実施例12−VNOの16−アンドロスタン刺激に対する測定又は自律応答
アンドロスタ−4,16−ジエン−3−オンを実施例10に記載された手順を用いて40人の女性被検者に投与した種々の自律パラメターをモニターした。また、対照としてプロピレングリコールを投与した。リガンドを1秒パルスとして投与した。自律機能の変化をまず2秒以内に記し、45秒まで続けた。図6に示されるように、プロピレングリコール対照に比べた場合、アンドロスタンはVNO(6A)、電流皮膚応答(6B)、皮膚温度(6C)、脳波で測定した皮質α波活性の割合(6D)、末梢動脈パルス(6E)及び呼吸数(6F)において積分受容器電位の顕著な変化を生じた。
実施例13−2種類のアンドロスタンステロイドによって生じた受容器電位の変化の比較
60ピコグラムの各リガンドステロイド及びプロピレングリコール対照を実施例10に記載された5人の女性被検者に投与した。図7に示されるように、アンドロスタ−4,16−ジエン−3β−オールによりアンドロスタ−4,16−ジエン−3−オンより大きい受容器電位の変化が生じた。
実施例14−VNOのアンドロスタン刺激の精神生理学的作用
VNOのアンドロスタン刺激の精神生理学的作用をフェロモンの協調投与及び投与前後の被検者の調査票によって測定した。調査票は、Derogatis Sexual Inventory標準評価の一部として用いた付属パネルを含むものとした。
被検者は、20〜45才の全員健康状態のよい40人の女性とした。女性を無作為に割り当て、上記実施例10に記載されたように投与した20人をプラセボに曝し、20人を約20ピコグラムのアンドロスタ−4,16−ジエン−3−オンに曝した。被検者は70項目の調査票が与えられ、プラセボ或いは試験物質の投与直前及び30分後の感情の状態を評価した。調査票の70項目を無作為に行い、引き続き各々の気分、感情又は性格に対する関連性に基づいて評価を纏めた。結果は次の通りであった:投与前から投与30分後までの社会的思いやり、人格的な健康、刺激/興奮及び攻撃の変化は、対照の投与から生じる変化に比べて16−アンドロステンに曝したものに意味がなかった。しかしながら、否定的感情(神経過敏、緊張、恥ずかしい、心配、短気、腹立ち、激怒−Tテスト:p<0.0001、Anova:p<0.04)、否定的気分及び性格(敏感、後悔、非難、罪の意識、良心の呵責、悲しみ、絶望、憤慨、価値がない、惨め、不幸、苦痛、臆病−Tテスト:p<0.0004、Anova:p<0.06)及び全否定(感情及び性格の組合わせ−Tテスト:p<0.0003、Anova:p<0.05)の減少は、対照の投与に比べて16−アンドロステン投与後に非常に顕著であった。
全体として、これらの結果は、鼻内に投与した場合のアンドロスタ−4,16−ジエン−3−オンの鎮静作用及び/又は抗不安作用及び/又は抗うつ作用を示すものである。
実施例15−女性の月経前ストレスの治療
月経前ストレス(PMS)の症状の経験のある女性に、経鼻投与に適したアンドロスタンステロイド(好ましくはアンドロスタ−4,16−ジエン−3−オン又はアンドロスタ−4,16−ジエン−3α(β)−オール)の医薬製剤を与えた。このステロイドは、約1マイクログラム/mlの濃度の軟膏として与えられ、0.1mlが塗布される。この軟膏を毎日3回各鼻孔の鼻道内に適切に塗布する。PMS治療の同様の方法は、同様のステロイドのエアゾル製剤を使用するものである。このエアゾルを毎日3回各鼻孔に噴霧する。
実施例16−電気生理学的試験
下記の電気生理学的試験を年齢が20〜45才の60人の臨床的に正常なヒト志願者又は男女(男性30人女性30人)で行った。麻酔を用いず、女性の被検者が妊娠している場合は除いた。
刺激及び記録系は、別に記載されている“多機能ミニプローブ”からなる(Monti-Bloch,L. & Grosser,B.l.(1991)“ヒト鋤鼻器及び嗅上皮の電気的活性に関する推定上のフェロモンの影響”,J.Steroid Biochem.Molec.Biol.39:573-582)。記録電極は、テフロン(Teflon)▲C▼で絶縁した細い(0.1mm)銀ワイヤに連結した0.3mmの銀球であり、電極の表面をまず塩化銀の界面を生じるように処理し、次にゼラチンで被覆する。これを電極の先端が約2mmはみ出るように小さな口径のテフロン▲C▼カテーテル(直径=5mm)内に配置する。テフロン▲C▼カテーテルは長さが10cmであり、化学感覚刺激の目立たないパルスをもつ連続的空気流れを送るマルチチャンネル送達系の末端拡張部を構成する。空気流れはまず小さな室を通り、ボメロフェリン或いは希釈剤中の嗅素或いは希釈剤単独を含む溶液に吹き込まれる。室から室をバイパスする経路まで空気流れを急速に向け直すのにソレノイドを用いる。これにより、空気流れ中刺激剤の目立たないパルスが生じる。直径2mmの第2外部テフロン▲C▼管がカテーテル−電極組み立て物を取り囲み、その中心端が3ml/sの連続溶液を与えるアスピレーターに接続される。外部吸引管のこの中心を共有する配置は、化学感覚刺激を“ミニフィールド”と我々が呼ぶ面(直系=約1mm)に特定することを可能にし、意図した刺激部位の外側の面或いは呼吸系への物質の拡散が回避される。全体の刺激及び記録組み立て物はVNO内の神経感覚上皮或いは嗅上皮又は呼吸上皮の表面上に配置される。
エレクトロボメロナゾグラム(EVG):記録は、仰向けになった被検者のいる静かな部屋で行われる。最初に前室に置かれた鼻牽引子を用いて鼻腔内に多機能ミニプローブを固定する。参照電極及び接地電極は銀円板(8mm)からなり、共に眉間に配置される。
VNO或いは鋤鼻窩への侵入は、まず鼻孔及び前室を拡張することにより確認される。次いで、ハロゲン照射による6倍に拡大する双眼ルーペを用いてテフロン▲C▼カテーテルと記録電極組み立て物の先端をVNO孔に入れ、鋤鼻道内にほぼ1mmの深さに固定する。記録電極が最適に配置されると、試験物質に対する応答において適切な減極を試験した後に信号が送られる。
記録電極からの電気信号は、DC増幅器に送られ、その後デジタル化され、コンピュータでモニターされ、記憶される。信号のピークピーク振幅を測定し、コンピュータスクリーン及びデジタルオシロスコープ双方で信号を連続的にモニターしながら減極波によって区域を積分する。被検者が口咽頭を閉じながら口呼吸を実施することを訓練することにより、呼吸運動によって生じた人為的な結果が消される。
化学感覚刺激剤:嗅覚試験物質はシネオール及び1−カルボンであり、ボメロフェリンはA、B、C、D、E及びFである。25〜800フェムトモル濃度のボメロフェリンの試料を300ミリ秒から1秒間連続空気流れで送る。通常、3〜5分間隔により各々の短い試験パルス系が分けられる。試験刺激をもつラインの成分は全てテフロン▲C▼、ガラス又はステンレス鋼でできており、各々使用前に注意深く洗浄及び滅菌される。
エレクトロオルファクトグラム(EOG):嗅覚記録は、VNOに用いたものと同様の刺激及び記録多機能ミニプローブを用いた。記録電極が嗅粘膜に触れるまで先端を徐々に入れた。適切に配置されると、放臭試験物質のパルスに対する応答において減極による信号が送られる。
皮質誘発活性はボルメロフェリンによるVNO刺激により生じ、放臭剤による嗅覚刺激は300ms空気パルスで送られた。国際10120系のCz−Al及びTz−Alの位置に配置された標準脳波(EEG)電極を用いて記録し、接地電極を乳様突起上に配置した。電気皮膚活性(EDA)は、導電性ゲル界面を介して中指と左手の薬指の手掌の皮膚に接触させた8mmの標準銀電極を用いて記録した。皮膚温度(ST)は、右の耳たぶに配置された小さな(1.0mm)サーミスタープローブによって記録した。末梢動脈パルス(PAP)は、人さし指の先に付けた血量計でモニターした。呼吸数(RF)は、下の方の胸の周囲に配置された調整可能なひずみゲージで測定した。電気信号は全てDC増幅され、デジタル化(MP-100,Biopac Systems)され、コンピュータを用いて連続的にモニターされた。
統計的分析:他のパラメータのEVG又はEOG、ピークピーク変化及び周波数変化を測定し、統計的に分析した。結果の重要性は、対のtテスト或いは分散分析(ANOVA)を用いて求めた。
EVGによるボメロフェリンの作用:ボメロフェリンの各々は、性的二形態受容器電位を生じることがわかった(図8A−B)。EVGの記録は、30人の男性と30人の女性で行った(年齢20〜45才)。ボメロフェリンを希釈し、1秒パルスとしてパルス間をb分間隔でVNOに加えた。質問された場合、被検者は“臭い”がしないか或いはボメロフェリンを意識的に検出することができなかった。この知見は、VNOに送られた嗅覚或いはボメロフェリン試験刺激が送達濃度で知覚できる感覚を生じないことが示された以前に報告されている結果(Monti-Bloch,L. & Grosser,B.l.(1991)“ヒト鋤鼻器と嗅上皮の電気的活性に関する推定上のフェンロモンの影響”J.Steroid Biochem.Molec.Biol.39:573-582.)と一致する。
図8Aは、希釈剤及び等モル量(100フェムトモル)の5種類のボメロフェリン(A、B、C、D及びF)及びE、Fの立体異性体に対する男性被検者(20〜38才)の平均応答を示すものである。各物質に対する応答のプロファイルは、年齢に関係なく全ての被検者で同じであり、tテスト或いは分散分析によって有意な差はなかった。例えば、A、C及びDは顕著な効果を生じ(M15=11.4mV、SD=3.6mV、M76=6.4mV、SD2.5mV及びM84=15.1mV、SD=4.9mV;p<0.01)、個々の場合に全て一致した。他のボメロフェリンは、非常にわずかな程度までであるが、個体から個体まで一致した平均応答振幅でVNO受容器を減極した。男性被検者に活性なボメロフェリンは希釈剤より大きな応答を生じた(p<0.001)。B、F及び同じ濃度の嗅素は男性VNOにおいて応答の顕著な低下を生じた(図8A及び図9)。
同様の試験プロトコールを30人の女性被検者で行った(20〜45才)。ボメロフェリンの中で、F(100フェムトモル)がグループの中で最も顕著な差を生じた(図8B)。ここで、AはFと著しく異なる小さな作用を生じた(p<0.01)。双方の被検者集団において、活性ボメロフェリンは標準偏差の大きい受容器応答を生じた(図8)。A及びFの作用の周波数分布を男性及び女性において各々試験すると、二頂分布が見出された。この観察の重要性は、この点で試験されていることである。
E、Fの立体異性体は、Fが刺激する女性被検者においてVNOを刺激しない(図8B)。これは、ボメロフェリンのVNOの特異性の証明である。この点で、Fは優れたボメロフェリンであるが、EがFより強い嗅覚作用を生じることが認められることは興味深いことである(図8B及び図9)。
EOGによるボメロフェリンの作用:嗅上皮(OE)からの合計受容器電位を20人の被検者:男性10人女性10人で記録した。VNOのボメロフェリンに対する感受性と対照的に、OEはこれらの物質に対する感受性が低い。これは、男性及び女性双方に事実である(図9A)。平均受容器電位の振幅は、2.3〜0.78mVの範囲であった。この試験において、BがOEにおいて効果が著しい唯一のボメロフェリンであった(p<0.02)。各々の刺激を与えた後、放臭感覚について質問した被検者の中で、16人が無嗅感を報告したが、3人の男性と1人の女性が不快な臭いとしてBを記載した。この知見は、我々の試験において用いられた濃度でほとんどのボメロフェリンが嗅覚受容器の有効な刺激剤ではないが、鋤鼻受容器についての効果は明確である。
EVG及びEOGによる嗅素の作用:ボメロフェリンと対照的に、嗅素1−カルボン及びシネオールはVNOにおいてわずかな局所応答しか生じない(図9B)。これは、男性及び女性の双方に事実である。予想されたように、これらの嗅素はOEに局所適用した場合男性及び女性の双方において強い応答を生じた(p<0.01)(図9A)。希釈剤はシネオール又は1−カルボンより低い程度まで嗅覚受容器を減極し(p<0.01)、嗅感を生じなかった。
ボメロフェリンの反射作用:VNOのボメロフェリン刺激に対する中枢神経系(CNS)反射応答を求めるために試験を行った。ボメロフェリンによって生じた性的二形態局所応答(図8A及びB)は、男性及び女性被検者の自律応答に反映した。男性被検者において(図8C)、A及びCは皮膚耐性を低下させた(電気皮膚活性=EDA)(p<0.01、n=30)。女性被検者において(図8B)、F及びBはA又はCよりEDAの低下が大きかった(p<0.01、n=30)。
ボメロフェリンA及びCは、30人の男性被検者において皮膚温度(ST)の顕著な上昇(図8G)を生じた(p<0.01)が、Dは顕著な温度降下を生じた(p<0.01)。30人の女性被検者において(図8H)、B及びFはA及びCに比べて皮膚温度(ST)の顕著な上昇を生じた(p<0.01)。女性被検者において、ボメロフェリンは男性より標準偏差の大きいEDA及びSTの変化を生じた。
皮質活性は、200フェムトモルのボメロフェリンを含む空気パルス(1秒に対して300ms)をVNOへ加えて男性及び女性被検者のCz及びTzから記録した(図8G及びH)。男性において(図8E)、A、C及びDは270〜380msの潜伏でα皮質活性を顕著に増大した。D及びAは最も強い効果を生じた(p<0.01)。EEGの同時発動は、活性物質の単一パルスを加えた後に1.5〜2.7分間維持した。女性において(図8F)、VNOに加えたB又はFの単一パルス(200フェムトモル)は嗅覚受容器の応答と無関係にα皮質活性を増大した。ヒトVNO及び嗅上皮の応答における特徴的な特異性は、CNSに対して別個の関係を有する独立した機能系であることが見出された(Brookover,C.(1914)成人男性における神経終末.J.Comp.Neurol.24:131-135)。また、鼻中隔の呼吸上皮に局所麻酔(2%リドカイン)を適用するとEVGを遮断も減少もしないので、EVGは三叉神経有害受容器終末と関係がないことが予備的に証明され(Monti-Bloch,L. & Grosser,B.l.(1991)“ヒト鋤鼻器及び嗅上皮の電気的活性に関する推定上のフェロモンの影響”J.Steroid Biochem.Molec.Biol.39:573-582.)、また、被検者は任意の刺激方法の結果として痛みの感覚を報告しなかった。
VNO受容器は試験した嗅素よりボメロフェリンの方が感受性があることは明らかであり、嗅覚受容器の場合は正に反対である。OEはあるボメロフェリンに対して受容器部位を有するが、VNOの応答特異性は明らかに異なる。
男女の差は、ボメロフェリン、A、CとD及びBとFの2つのグループの特異性及び効果が認められた。これは、受容器関連の性的二形性の可能性を示すものである。これらの知見は、VNOのボメロフェリン刺激による、ヒト成人における自律神経系の成分活性化を示すものである。
更に、結果は、VNOのボメロフェリンによる刺激がEEGの同時発動を生じることを示すものである(図8G及びH)。即ち、本明細書において、鋤鼻系が種々の化学感覚刺激に応答しかつ自律反射活性を誘起することができるものがあることが証明される。

Claims (3)

  1. ヒト患者の鋤骨鼻器官への鼻腔内投与用の、アンドロスタ-4,16-ジエン-3β-オールの治療上有効な量および製薬的に許容できる担体を含む、精神病、抑うつ症、不安または女性の月経前ストレスの症状軽減剤。
  2. 液体、軟膏またはエアロゾルとして製剤化された請求項1に記載の症状軽減剤。
  3. アンドロスタ-4,16-ジエン-3β-オールを含む、請求項1または2記載の不安症状軽減剤。
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