JP3704169B2 - アクリレート基を用いて変性されたオルガノポリシロキサンおよび該オルガノポリシロキサンからなる硬化可能な結合剤および被覆材料 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、末端および/または側面に式:
【0002】
【化5】
【0003】
および/または
【0004】
【化6】
【0005】
および/または
【0006】
【化7】
【0007】
で示される少なくとも1個の基並びに架橋成分を介して前記の基に結合した少なくとも1個のアクリレート基を有するオルガノポリシロキサンに関する。
【0008】
【従来の技術】
アクリル酸エステル基(アクリレート基)で変性されたオルガノポリシロキサンは、高エネルギー照射で硬化可能な結合剤として、例えば印刷インキのためおよび紙、木材表面および金属表面のための塗料結合剤または被覆剤を製造するために有利であることが判明した。該オルガノポリシロキサンは、殊に接着性被覆材料として使用することができる。硬化は、殊に公知の開始剤、例えばベンゾフェノンおよびその誘導体の添加後に、UV−照射または電子線照射硬化によって極く短時間で行われる。
【0009】
アクリレート基を有する基とオルガノポリシロキサンの骨格とは、SiOC−またはSiC−結合を介して結合することができる。これに関しては、広範な公知技術水準が存在し、次の特許明細書が、前記公知技術水準の典型的な例として選択される。
【0010】
アクリレートエステル含有有機基がSiOC−結合を介してポリシロキサン骨格と結合しているオルガノポリシロキサンは、ドイツ連邦共和国特許第2747233号明細書に記載の方法により、−COH−基を有する(メト)アクリル酸エステルと、SiX−基(但し、Xは、アルコキシ基、ヒドロキシ基または塩素原子である)を有するオルガノポリシロキサンとの反応によって、オルガノポリシロキサンとして、式:
【0011】
【化8】
【0012】
〔式中、
R1は、C−原子1〜4個を有するアルキル基および/またはフェニル基であり;
Xは、塩素またはOR22−基であり;
R2は、C−原子1〜4個を有するアルキル基および/または水素を表し;
aは、1.0〜2.0であり;
bは、0.02〜1.6であり;
a+bは、≦2.66である〕で示され、この場合、シロキサン分子が、Si−原子3〜100個を有するものを使用し、かつ(メト)アクリル酸エステルとしてペンタエリトリットトリ(メト)アクリレートを使用し、この場合、COH−基およびSiX−基に対して、ペンタエリトリットエステル0.05モルないし等モル量を使用することによって製造することができる。
【0013】
前記方法の変法の場合、ドイツ連邦共和国特許2948708号明細書の記載に相応して、式:
【0014】
【化9】
【0015】
〔式中、R1は、炭素原子1〜4個を有するアルキル基、ビニル基および/またはフェニル基であり、但し、基R1の少なくとも90モル%がメチル基であり;aは、1.8〜2.2の値であり;bは、0.004〜0.5の値である〕で示されるオルガノポリシロキサンを、まず、SiCl−基に対して、アルキル基がそれぞれC−原子3〜5個を有し、かつ窒素に隣接したC−原子は、多くとも、それぞれ1個の水素原子を有するジアルキルアミン少なくとも2モルの量と反応させ、かつ反応生成物を、少なくとも等モル量のペンタエリトリットトリアクリレートまたはペンタエリトリットトリメタクリレートと反応させ、次に、該処理生成物を前記反応生成物中で懸濁した固体成分から自体公知の方法で分離する方法で実施する。
【0016】
アクリレートエステル含有有機基がSiC−結合を介してポリシロキサン骨格と結合しているオルガノポリシロキサンは、典型的な方法で、水素シロキサンにオレフィン系二重結合を有するアルコール、例えばアリルアルコール、を、白金触媒の存在下に付加し、次に、前記アルコールのOH−基を、アクリル酸またはアクリル酸と別の場合によっては飽和した酸との混合物と反応させることによって製造することができる。前記処理方法は、例えばドイツ連邦共和国特許第3810140号明細書に記載されている。
【0017】
変性した基のSiC−結合を有するアクリレート変性されたポリシロキサンの製造のもう1つの方法は、水素シロキサンに、アリルグリシドエーテルまたはオレフィン系二重結合を有する1つの別の適当なエポキシドを付加し、かつ付加反応後に、エポキシドをアクリル酸でエポキシド環を開環しながらエステル化することにある。前記処理方法は、ドイツ連邦共和国特許第3820294号明細書に記載されている。
【0018】
ドイツ連邦共和国特許第3710238号明細書の記載から、一般式:
【0019】
【化10】
【0020】
で示される化合物は公知である。この場合、
R1は、炭素原子1〜4個を有するアルキル基、フェニル基または一般式:
【0021】
【化11】
【0022】
(式中、R4は、同一かまたは異なり、水素原子、炭素原子1〜12個を有するアルキル基、ハロゲン原子であり、
R5は、炭素原子1〜8個を有する直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であり、この場合、前記の基は、平均分子中で互いに存在していてもよい)で示されるアルカリル基であり、
R2は、エーテル基を有していてもよく、かつ側面で(メト)アクリル酸エステルに結合していてもよい炭素原子1〜20個を有する(c+1)価の炭化水素架橋であり、
Qは、1個だけヒドロキシル基を減少し、該ジオールまたはポリオールの残りのヒドロキシル基は、(メト)アクリル酸でエステル化され、この場合、ジオールまたはポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリットの群から選択されたジオールまたはポリオールの基および分子間縮合によって生じた該ジオールまたはポリオール二量体または重合体であり、この場合、場合によっては、前記ポリオールに酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンが付加されていてもよく、
aは、1.6〜2.2であり、
bは、0.001〜1.6であり、
cは、1〜4であり、
a+bは、≦3である。
【0023】
前記化合物は、
a)一般式:
【0024】
【化12】
【0025】
〔R1、R2、a、bおよびcは既に定義されたものと同様である〕で示されるオルガノポリシロキサンと、OH基に対して、少なくとも等モル量の一般式:
【0026】
【化13】
【0027】
〔R3は、塩素原子または炭素原子1〜4個を有するアルコキシ基である〕で示される化合物とを反応させ、場合によっては過剰量の化合物:
【0028】
【化14】
【0029】
で示される化合物を除去し、かつ得られた反応生成物を、R3基に対して、一般式:Q−OH〔Qは、既に定義されている〕と反応させるかまたは
b)まず、式:Q−OHで示される化合物を、式:
【0030】
【化15】
【0031】
で示される化合物と反応させ、かつ該反応生成物を、オルガノポリシロキサンの等モル量と、その他はa)と同じ反応条件下で反応させることによって製造することができる。
【0032】
更に、米国特許第4725630号明細書の記載から、メルカプトプロピル基と、アクリル酸エステル、例えばペンタエリトリットトリアクリレートまたはペンタエリトリットテトラアクリレートと反応させることは公知である。この方法では、確かにアクリレート基を直接メルカプトプロピル基に付加することは可能であるが、しかし、この方法は、費用がかかり、かつ生成物が極めて不快な匂いを有するので実地の意味を有していない。
【0033】
アクリレート基を有する有機基がSiC−結合を介してシロキサン骨格と結合しているアクリレート変性されたオルガノポリシロキサンが、加水分解安定性に関して、SiOC−結合を介して結合している化合物を凌駕していることは、当業者には周知である。
【0034】
もし、少なくとも2個のアクリレート基を有する化合物を、直接水素シロキサンにヒドロシリル化して付加することができれば、SiC−結合しかつアクリレート基で変性されたオルガノポリシロキサンの製造にとって著しく有利であろう。
【0035】
定期刊行物“Journal of Applied Polymaer Science”第47巻、第1309〜1314頁(1993年)中には、有機ポリアクリレートを水素シロキサンとヒドロシリル化して反応させる方法が記載されている。この場合、有機ポリアクリレート、即ち、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートまたはトリメチロールプロパントリアクリレートは、著しい過剰量で使用されなければならず、ひいては2個もしくは3個のオレフィン系基の1個だけが水素シロキサンと反応する。この反応は、白金触媒の存在下に行われなければならない。前記の作業の場合に、ヒドロシリル化またはその後の貯蔵の間に生成物のゲル化を回避するために、ポリアクリレートの過剰量が必要であることが報告される。この処理生成物は、照射によって硬化することができるが、しかし、貯蔵の際に剥離作用の著しい減少を示す。従って、この種の生成物は、接着性被覆材料として工業的に使用不可能である。
【0036】
刊行物に相応して、反応は次の反応式により進行する:
【0037】
【化16】
【0038】
しかしながら、前記処理方法の後加工は、反応が前記のものとは別の方法で進行することが明らかであった。前記反応式には、Si−C結合下でのC=Cの二重結合への1,2−付加反応が基礎の置かれているのに対して、就中、分光試験は、記載された処理条件下に、C=Oの二重結合への付加反応は、1,2−Si−O−C−結合した反応生成物および1,4−Si−O−C−結合した反応生成物を形成しながら行われることが明らかであった。
【0039】
【化17】
【0040】
前記刊行物中に記載された方法の場合、SiOC−結合を有する生成物が得られ、かつSiC−結合を有するアクリレート基で変性された望ましいオルガノポリシロキサンは得られない。≡Si−O−C−結合した生成物は、老化の際のゲル化および剥離作用の減少の原因であると推測される。
【0041】
本発明は、次の反応式による1,2−付加反応下での水素シロキサンへのポリアクリレートの直接付加反応の工業的問題に関連している:
【0042】
【化4】
【0043】
β−付加反応生成物(−SiCH2−CH2−COORおよび−Si−CH=CH−COOR)は、熱動力学的に特に安定性であり、従って、有利な付加反応生成物である。
【0044】
驚異的なことに、触媒としてロジウム触媒を使用する場合には望ましいSi−C−結合が行われることが見出された。その上、有利なβ−1,2−付加反応生成物に対する選択性は極めて高い。
【0045】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、末端および/または側面に式:
【0046】
【化19】
【0047】
および/または
【0048】
【化20】
【0049】
および/または
【0050】
【化21】
【0051】
で示される少なくとも1個の基並びに架橋成分を介して前記の基に結合した少なくとも1個のアクリレート基を有し、少なくとも1個のSiH−基を有するオルガノポリシロキサンと、少なくとも2個のアクリレート基を有する化合物と、当量で、60〜130℃、好ましくは80〜110℃の温度でロジウム触媒の存在下にヒドロシリル化することによって得られるオルガノポリシロキサンである。
【0052】
【課題を解決するための手段】
ロジウム触媒としては、好ましくは、RhX3・xH2O、RhX3(SR2 3)3、RhX(R3 3P)3、RhX(CO)(R3 3P)3、RhH(R3 3P)4、RhR4 3、Rh(CO)2R4[RhX(オレフィン)]2〔この場合、
Xは、ハロゲン原子、好ましくは塩素原子を表し、
R3は、炭素原子1〜20個を有するアルキル基、炭素原子2〜20個を有するアルケニル基または基R3 3SiQ(但し、Qは、炭素原子1〜6個を有する二価の脂肪族基である)を表し、
R4は、2,4−ペンタンジオネート基を表し、
オレフィンは、シクロオクタジエンまたはノルボルナジエンを表し、
xは、0〜4の数を表す〕で示される群から選択されている触媒を使用する。
【0053】
ヒドロシリル化を、次のロジウム触媒:RhCl(Ph 3P)3(但し、Phは、フェニル基である)、RhCl3・3H2O、[RhCl(エチレン)2]2または[RhCl(シクロオクタジエン)]2の存在下に実施するのは特に有利である。
【0054】
1H−NMR−分光器、13C−NMR−分光器および29Si−NMR−分光器による処理生成物の試験から明らかなように、ロジウム触媒されたヒドロシリル化反応の場合、望ましいSiC−結合した生成物を形成しながら、実際に専ら、1,2−付加反応が行われる。
【0055】
この反応は、反応成分の等モル量を用いて実施され、即ち、少なくとも2個のアクリレート基を有する化合物がSiH−基に相応する。この反応温度は、約60〜130℃、好ましくは80〜110℃である。
【0056】
この反応は、不活性溶剤、例えばトルオールの存在下に行うことができる。しかしながら、好ましくは、溶剤の使用は回避される。
【0057】
重合開始剤として作用する安定化剤の添加は、製造の場合に有利である。この場合、フェノチアジン、メトキシフェノール、ヒドロキノンおよびその誘導体並びに銅および銅化合物が使用される。
【0058】
好ましくは、一般式:
【0059】
【化22】
【0060】
〔式中、基は、
R1が、同一かまたは異なり、炭素原子1〜4個を有するアルキル基またはフェニル基であり、この場合、しかしながら、基R1の少なくとも90%がメチル基であり、
R2は、基R1の意味を有するかまたは水素原子であり、この場合、しかしながら、少なくとも1個の基R2は、水素原子であり、
係数は、
aが、0〜100の平均値を有し、かつ
bは、0〜5の平均値を有する〕で示される水素ポリシロキサンを用いるヒドロシリル化を行う。
【0061】
分子中で同一かまたは異なっていてもよい基R1は、炭素原子1〜4個を有するアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基であるかまたはフェニル基である。しかしながら、基1の少なくとも90%がメチル基であるという意味を充足されていなければならない。
【0062】
少なくとも1個の基R2は、水素原子でなければならない。従って、その他の基R2は、基R1の意味を有している。SiH−基2〜10個を有するポリシロキサンは、有利である。
【0063】
係数aは、0〜200の平均値、好ましくは1〜50の平均値を有し、bは、0〜5、好ましくは0〜2の平均値を有する。
【0064】
適当な有機アクリレートの例は、次のものである:(EO=−C2H4O−)
a)ジアクリレート
【0065】
【化23】
【0066】
b)トリアクリレート
【0067】
【化24】
【0068】
c)テトラアクリレート
【0069】
【化5】
【0070】
d)多官能性アクリレート
【0071】
【化6】
【0072】
特に有利に、アクリレート基含有化合物として、二価ないし六価の脂肪族直鎖状または分枝鎖状アルコールのアクリル酸エステルを、オルガノポリシロキサンのSiH−基へ付加する。
【0073】
特に有利に、アクリレート基含有化合物として、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、グリセリントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートまたはペンタエリトリットテトラアクリレートを付加する。
【0074】
本発明の利点は、以下にまとめられる:
1.容易に入手可能な出発物質およびSi−C−結合した付加反応生成物、殊にβ−1,2−生成物に対して高い選択性である。
【0075】
2.ヒドロシリル化の際のアクリレート成分の過剰量は不用である。
【0076】
3.該生成物は、傑出した長時間貯蔵安定性を有する。
【0077】
4.支持材料上での生成物の硬化は、高速で可能である。
【0078】
5.分離値(Trennwert)の増大によって確認可能な貯蔵の際の硬化した生成物の接着性の変化は、生じないかまたは僅かな範囲でのみ生じる。
【0079】
1,2−付加反応および1,2−付加反応によって行われたSiC−結合に基づき、変性する基を分離せずに、環式シロキサンを有する処理生成物を酸触媒作用下に任意の鎖長に平衡させることは可能である。
【0080】
本発明による化合物は、照射硬化塗料または被覆材料としてまたはこの種の系中での添加剤として使用することができる。該化合物は、常法では、硬化開始剤、充填剤、顔料および別の常用の添加剤を用いて配合することができる。本発明による化合物は、三次元的に、遊離基によって架橋されていてもよく、例えば過酸化物を添加しながらかまたは高エネルギー照射、例えばUV−照射または電子線照射の作用下に、極めて短時間に熱硬化して、本発明の化合物の適当な組成の場合に予め決定可能な接着性の性質を有する機械的かつ化学的抵抗能の層になる。照射厳としてUV−光が使用される場合、架橋は、好ましくは光開始剤および/または光増感剤、例えばベンゾフェノンおよびその誘導体またはベンゾインおよび相応する置換されたベンゾイン誘導体の存在下に行われる。
【0081】
光開始剤および/または光増感剤は、本発明によるオルガノポリシロキサン含有素生物中で、好ましくは、それぞれアクリレート官能性オルガノポリシロキサンの重量に対して、0.01〜10重量%、殊に0.1〜5重量%の量で使用される。
【0082】
以下の実施例は、本発明による化合物の製造並びにその使用技術的性質を詳説する。
【0083】
【実施例】
例 1
平均の全鎖長N=8および一般式:
HMe2SiO(SiMe2O)8SiMe2H
で示される末端にSiH−官能化されたポリジメチルシロキサン50.1g(0.09モル、0.18val SiH)を、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)[RhCl(Ph3P)3]19.2mg(=Rh20ppm)並びにフェノチアジン20mgと一緒に、撹拌機、滴定漏斗、温度計および還流冷却器を備えた250mlの4つ口フラスコ中に装入し、かつ撹拌しながら80℃に加熱する。前記温度で、トリメチロールプロパントリアクリレート(LaromerTMPTA;BASF社)52.1g(0.176モル、0.53val C=C)を30分間で滴加する。添加の完結後に、官能混合物を、更に、80℃で約5時間後に>99%の変換率が達成されるまで撹拌する。この場合、変換率性は1時間毎のSiH−値測定が使用される。
【0084】
次に、この反応を中断し、かつ触媒残分を反応混合物から濾別する。オイルポンプによる真空中での蒸留によって、揮発性副生成物を除去する。93%の収率で得られた反応生成物は、清澄で僅かに帯赤色に着色され、かつ20℃で420mPa・sの粘度を有する。暗所で70℃で>4週間の熱貯蔵は、生成物の物理的外形に影響を及ぼし、ゲル化は生じない。
【0085】
1H−NMR、13C−NMRおよび29Si−NMRを用いる分析試験は、期待された構造を証明し、かつ出発成分の付加反応生成物が式I(分光器のデータに相応する)によって記載することができることを示している:
【0086】
【化27】
【0087】
但し、
【0088】
【化28】
【0089】
(β−1,2−付加反応生成物)
分光器のデータ:
1H−NMR(CDCl3):δ=0.85(m,a)、2.35(t,b)
29Si−NMR(CDCl3):δ=7.5(Si−CH2−CH2)
または
【0090】
【化29】
【0091】
(β−1,2−脱水化する付加反応、(E)−3−シリルプロペノエート)
分光器のデータ:
1H−NMR(CDCl3):δ=6.25(d,a’)、7.16(d,b’)29Si−NMR(CDCl3):δ=−3.9(Si−CH=CH−)
である。
【0092】
この場合、TMPTAの双方の付加反応生成物の比は、約1:1である。α−1,2−付加反応生成物は、検出不可能であった(≦1%)。
【0093】
例 2
例1に記載されたのと同様の方法で、平均の全鎖長N=30の末端でSiH−官能性化されたポリジメチルシロキサン96.9g(0.044モル)を、トリメチロールプロパントリアクリレート26.1g(0.088モル)と、触媒としてクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)[RhCl(Ph3P)3]22.3mg並びに重合阻害剤としてフェノチアジン25mgを使用しながら、ヒドロシリル化反応中で互いに反応させる。処理後に、700mPa・sの粘度を有する清澄な反応生成物115g(理論値の95%に相応する)が得られ、該反応生成物は、分光器によるデータに相応して式II:
【0094】
【化30】
【0095】
によって記載することができる。
【0096】
例 3
平均の全鎖長N=50の末端でSiH−官能性化されたポリジメチルシロキサン200g(0.053モル)、トリメチロールプロパントリアクリレート、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)[RhCl(Ph3P)3]20.8mg(=Rh10ppm)並びに重合阻害剤としてのフェノチアジン40mgを、室温で500mlの4つ口フラスコ中に装入する。この後、該混合物を、撹拌しながら100℃に加熱する。>99%(約2時間後)の変換率の達成後に、該反応生成物を上記の方法で処理する。750mPa・sの粘度を有する黄色の反応生成物216g(理論値の94%に相応する)が得られ、該反応生成物は、分光器によるデータに相応して一般式:
【0097】
【化7】
【0098】
によって記載することができる。
【0099】
例 4
一般式:
【0100】
【化32】
【0101】
で示されかつ平均全鎖長N=27の側面でSiH−官能性化されたポリジメチルシロキサン70.0g(0.036モル)を、トルオール40mlおよびクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)[RhCl(Ph3P)3]22.1mg(=Rh20ppm)並びにフェノチアジン24mgと一緒に、撹拌機、滴定漏斗、温度計および還流冷却器を備えた250mlの4つ口フラスコ中に装入し、かつ撹拌しながら100℃に加熱する。前記温度で、30分間で1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(Laromer HDDA、BASF)40.4g(0.177モル)を、中程度の発熱反応が生じるにもかかわらず110℃の温度を超えないような程度に滴加する。添加の終了後に、反応混合物を、SiH−値に関する反応制御がHDDAが完全にヒドロシリル化する付加反応したことを示すまでの間100℃で撹拌する。>99%の変換率の場合、反応を中断する。この後、該反応混合物を濾過し、かつ蒸留によって溶剤および揮発性の副生成物を除去する。
【0102】
アクリレート官能性のシロキサン共重合体反応生成物は、1310mPa・sの粘度を有し、かつ分析結果による期待すべき平均組成式:
【0103】
【化33】
【0104】
〔但し、
【0105】
【化34】
【0106】
(β−付加反応生成物)
または
【0107】
【化35】
【0108】
((E)−3−シリルプロペノエート)〕
に相応する。
【0109】
例 5
例1からの反応生成物20.0g(0.017モル)を、デカメチルシクロペンタシロキサン117.2g(0.31モル)およびトリフルオルメタンスルホン酸0.39g(0.3重量%)と一緒に6時間、窒素雰囲気下で100℃で撹拌する。該反応混合物を冷却する間に、Na2CO32.6gおよび蒸留したH2O0.5gを添加し、かつ酸痕跡に関する混合物の試験がマイナスになるまでの間撹拌する。濾過後に、揮発性の成分を80℃および2トルで留去する。1520mPa・sの粘度を有する黄色の若干混濁した生成物123g(理論値の90%に相応する)が得られ、該生成物は、NMR−分光器を用いる分析によれば、平均鎖長100を有し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)の場合には、モノモードの分子量分布のための均一なピークを有し、かつ式:
【0110】
【化36】
【0111】
によって記載することができる。
【0112】
例 6
平均全鎖長N=8および一般式:HMe2SiO(SiMe2O)8SiMe2Hで示される末端でSiH−官能性化されたポリジメチルシロキサン34.3g(0.06モル、0.12val SiH)を、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)[RhCl(Ph3P)3]8.2mg(=Rh15ppm)並びにフェノチアジン12mgと一緒に、撹拌機、滴定漏斗、温度計および還流冷却器を備えた250mlの4つ口フラスコ中に装入し、かつ撹拌しながら90℃に加熱する。前記温度で、1,4−ブタンジオールジアクリレート23.7g(0.12モル、0.24val C=C)を、20分間で、発熱反応にもかかわらず、温度が100℃を超えないような程度に滴加する。更に、添加の終了後に、該反応混合物を約2時間後に>99%の変換率が達成されるまでの間、100℃で撹拌する。
【0113】
冷却および後処理後に、95%の収率で、清澄で低粘度の反応生成物が得られ、該反応生成物は、期待された構造式:
【0114】
【化37】
【0115】
〔但し、
【0116】
【化38】
【0117】
(β−付加反応生成物)
または
【0118】
【化39】
【0119】
((E)−3−シリルプロペノエート)〕
の分光器データに相応する。
【0120】
本発明によらない実施例
例 7
例1の作業方法を繰返すが、ロジウム触媒の代わりに、カルステット触媒(Karstedt-Katalysator)の白金20ppmに相応する量をヒドロシリル化触媒として使用することを変更した。この場合、液状の反応生成物は得られなかった。その代りに、付着部分は、約3時間の反応時間後にゲル化した。
【0121】
例 8
例7の作業方法を繰返すが、トリメチロールプロパントリアクリレート過剰量を用いて作業することを変更した。こうして、例1と同様に、平均全鎖長N=8の末端でSiH−官能性化されたポリジメチルシロキサン50.1g(0.09モル、0.18val SiH)を、カルステット触媒の形での白金20ppmに相応する量並びにフェノチアジン20mgを装入し、80℃に加熱後に撹拌しながらTMPTA60.1g(0.203モル、0.61val C=C)を30分間で滴加する。更に、添加の終了後に、該反応混合物を、約4時間後に>90%の変換率が達成されるまでの間、更に80℃で撹拌する。濾過による触媒残分の除去後に、970mPa・sの粘度を有する乳白色の反応生成物が得られる。例1からの本発明による生成物とは異なり、この生成物は貯蔵安定性ではない。また、室温で暗所貯蔵の場合、貯蔵時間の延長とともに粘度が増大し、かつ約5日後に、該反応生成物は、軟質で白色のゲル物質になった。
【0122】
1H−NMR、13C−NMRおよび29Si−NMRを用いる分析試験は、出発成分の付加反応生成物(分光器データに相応する)は、本質的に、1,4−付加反応から生じるSi−O−C−結合した生成物から記載することができることおよび反応物質中のSi−C−結合した生成物の含量は、10重量%を下廻っていることを示す。
【0123】
例 9
例7および8の処理方法を、Journal of Applied Polymer Science、第47巻、第1309〜1314頁(1993年)中の指示と同様に作業し、即ち、TMPTA対SiHのモル比を、更に1.5:1の値に増大させ、かつ反応を少量のトルオールを添加しながら実施するように変更した。既に2時間の反応時間後に、変換率>99%を達成した。勿論、1H−NMR、13C−NMRおよび29Si−NMRを用いる乳白色の反応生成物の分析試験は、今回も出発成分の付加反応生成物(分光器データに相応する)が、本質的に、1,4−付加反応から生じるSi−O−C−結合した生成物からなることを示す。また、この生成物も、長時間の貯蔵安定性ではない。より高いTMPTA含量によるより高い稀釈度に基づき、粘度の増大は、確かに僅かに際立っているが、しかし、ここでもまた、反応生成物は、室温で約14日間の暗所貯蔵後に完全にゲル化される。
【0124】
使用技術的試験
本発明により使用すべき物質の使用技術的性質の試験のために、実施例の生成物並びに本発明によらない比較例を、平板上の支持体(配向されたポリプロピレン薄膜)の上に塗布し、かつ2Mラドの電子照射(ESH)の作用によって硬化させるかもしくは光開始剤(Darocure(登録商標)1173、チバガイギィ(Ciba Geigy)社)の添加後に、120W/cmを有する紫外線光(UVH)の作用によって、20m/分の軌道速度(Bahngeschwindigkeiten)で硬化させる。塗布量は、全ての場合に、約0.8g/m2である。
【0125】
分離値
分離値の測定のために、バイヤードルフ社(Firma Beiersdorf)の種々の25mm幅の粘着テープ、詳細には、TESA(登録商標)7475の名称で市販により入手可能であるアクリレート粘着剤で被覆された粘着テープ並びにTESA(登録商標)7476およびTESA(登録商標)4154の名称で市販により入手可能であるゴム粘着剤で被覆された粘着テープを使用する。粘着性の測定のために、前記粘着テープを下地の上に巻き取り、引続き、TESA(登録商標)4154の場合には70℃で、TESA(登録商標)7475およびTESA(登録商標)7476の場合には40℃で70g/cm2の重量で貯蔵する。24時間後に、それぞれの粘着テープを30cm/分の速度で、下地に対して180°の剥離角度で剥がすために必要とされる力を測定する。前記の力を、分離値と呼称する。一般的な試験手順は、本質的に、FINAT 試験法 No.10に相応する。老化挙動の試験のために、7日間および14日間、上記条件下で貯蔵する。
【0126】
ループ試験
ループ試験は剥離被覆の硬化度合いの迅速な測定のために用いられる。このために TESA という名称で市販されている約20cm長のテープを下地の上で3回ローラで引き延ばし、直ちに再度はぎ取る。次いで接着テープの末端を統合させることによってループを形成し、その結果、両方の末端の接着面は約1cmの区間で接触を有する。次いでそれらの末端を再び手で両方へ引っ張るが、その際、該接触面は接着テープの中央へと移動するべきである。粗悪に硬化された剥離材料で汚染されている場合には、接着バンドの接着力はもはや、その接触面を末端の両方向への引張の際に一つにまとめるのに不十分である。この場合に該試験を不合格とする。
【0127】
残留粘着力(Restklebkraft)
残留粘着力の測定を、FINAT Testvorschrift No.11の記載により行う。このために、バイヤードルフ社の粘着テープ TESA(登録商標)7475を下地の上に巻き取り、引続き、70℃で70g/cm2の重量で貯蔵する。24時間後に、該粘着テープを下地から分離し、かつ鋼板の上に巻き取る。1分後に、粘着テープを30cm/分の速度で、鋼板に対して180°の剥離角度で剥がすために必要とされる力を測定する。こうして測定された値は、未処理の粘着テープが、その他の点で同じ試験条件下に生じる値によって割った。この結果を残留粘着力と呼称し、通常、百分率で記載する。
【0128】
本発明による例1〜6並びに比較例8および9の残留粘着力およびループ試験
【0129】
【表1】
【0130】
本発明による例1〜6の測定された分離値
【0131】
【表2】
【0132】
【表3】
【0133】
【表4】
【0134】
【表5】
【0135】
【表6】
【0136】
【表7】
【0137】
【表8】
Claims (4)
- 末端および/または側鎖に式:
- アクリレート基を有する化合物として、二価ないし六価の脂肪族の直鎖状または分枝鎖状アルコールのアクリル酸エステルを用いる、請求項1または2に記載の方法。
- アクリレート基を有する化合物として、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、グリセリントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートまたはペンタエリトリットテトラアクリレートを用いる、請求項3に記載の方法。
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