JP3703314B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば複写機あるいはプリンタ等とされる電子写真方式あるいは静電記録方式の画像形成装置に関し、特に、クリーナレス構成の画像形成装置に関するものであり、被帯電体表面を帯電する接触タイプの帯電装置及び現像装置等の作像プロセスに特徴を有する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば電子写真装置や静電記録装置において、電子写真感光体、静電記録誘電体等の像担持体(被帯電体)を所要の極性・電位に一様に帯電処理(除電処理も含む)する帯電装置として、コロナ帯電器(コロナ放電器)がよく利用されてきた。
【0003】
コロナ帯電器は非接触型の帯電装置であり、ワイヤ電極等の放電電極と放電電極を囲むシールド電極とを備え、放電開口部を被帯電体である像担持体に対向させて非接触に配設し、放電電極とシールド電極に高圧を印加することにより生じる放電電流(コロナシャワー)に像担持体面をさらすことで像担持体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0004】
又、近年における中・低速機種の画像形成装置にあっては、像担持体等の被帯電体の帯電装置として、コロナ帯電器に比べて低オゾン・低電力等の利点があることから、接触帯電装置が多く提案され、且つ実用化されている。
【0005】
接触帯電装置は、像担持体等の被帯電体に、ローラ型(帯電ローラ)、ファーブラシ型、磁気ブラシ型、ブレード型等の導電性の帯電部材(接触帯電部材・接触帯電器)を接触させ、この接触帯電部材に所定の帯電バイアスを印加して被帯電体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0006】
接触帯電の帯電機構(帯電のメカニズム、帯電原理)には、▲1▼放電帯電機構と、▲2▼直接注入帯電機構の2種類の帯電機構が混在しており、どちらが支配的であるかにより、各々の特性が現れる。
【0007】
▲1▼放電帯電機構
この機構は、接触帯電部材と被帯電体との隙間に生じる放電現象による放電生成物で被帯電体表面が帯電する系である。
【0008】
放電帯電系は接触帯電部材と被帯電体に一定の放電しきい値を有するため、帯電電位より大きな電圧を接触帯電部材に印加する必要がある。又、コロナ帯電器に比べて発生量は格段に少ないけれども放電生成物を生じることが原理的に避けられないため、オゾン等の活性イオンによる弊害は避けられない。
【0009】
▲2▼直接注入帯電機構
この機構は、接触帯電部材から被帯電体に直接に電荷が注入されることで被帯電体表面が帯電する系である。直接帯電あるいは注入帯電と称される。
【0010】
より詳しくは、中抵抗の接触帯電部材が被帯電体表面に接触して、放電現象を介さずに、つまり放電を基本的に用いないで被帯電体表面に直接電荷注入を行うものである。よって、接触帯電部材への印加電圧が放電しきい値以下の印加電圧であっても、被帯電体を印加電圧相当の電位に帯電することができる。
【0011】
この直接帯電系はイオンの発生を伴わないため、放電生成物による弊害は生じない。しかし、直接帯電であるため、接触帯電部材の被帯電体への接触性が帯電性に大きな影響を与える。そのため、接触帯電部材はより密に構成し、且つ被帯電体との速度差を大きくとり、より高い頻度で被帯電体に接触する機会を付与する構成をとる必要がある。
【0012】
以下に、接触帯電部材による帯電機構とその特徴について記述する。
【0013】
(A)ローラ帯電
接触帯電装置は、接触帯電部材として導電ローラ(帯電ローラ)を用いたローラ帯電方式が帯電の安定性という点で好ましく、広く用いられている。
【0014】
このローラ帯電における帯電機構は上記の▲1▼放電帯電機構が支配的である。
【0015】
帯電ローラは、導電性あるいは中抵抗のゴム材料あるいは発泡体を用いて作製される。更にこれらを積層して所望の特性を得たものもある。
【0016】
帯電ローラは被帯電体(以下、「感光体」という)との一定の接触状態を得るために弾性をもたせているが、そのため摩擦抵抗が大きく、多くの場合、感光体に対して従動あるいは若干の速度差をもって駆動される。従って、直接帯電しようとしても、絶対的帯電能力の低下や接触性の不足やローラ上のムラや感光体の付着物による帯電ムラは避けられないため、従来のローラ帯電ではその帯電機構は放電帯電機構が支配的である。
【0017】
図6は接触帯電における帯電効率の例を表したグラフである。横軸に接触帯電部材に印加したバイアス(印加DC電圧(−V))を、縦軸にはその時に得られた感光体帯電電位(−V)を表している。
【0018】
ローラ帯電の場合の帯電特性はAで表される。即ち凡そ−500Vの放電しきい値を過ぎてから帯電が始まっている。従って、−500Vに帯電する場合は−1000Vの直流電圧を印加するか、あるいは、−500V直流の帯電電圧に加えて、放電しきい値以上の電位差を常に持つようにピーク間電圧1200Vを印加して感光体電位を帯電電位に収束させる方法が一般的である。
【0019】
より具体的に説明すると、厚さ25μmのOPC感光体に対し帯電ローラを加圧当接させた場合には、約640V以上の電圧を印加すれば感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対して傾き1で線形に感光体表面電位が増加する。このしきい値電圧を帯電開始電圧Vthと定義する。
【0020】
つまり、電子写真に必要とされる感光体表面電位Vdを得るためには帯電ローラにはVd+Vthという必要とされる以上のDC電圧が必要となる。このようにして、DC電圧のみを接触帯電部材に印加して帯電を行う方法を「DC帯電方式」と称する。
【0021】
しかし、DC帯電においては環境変動等によっては接触帯電部材の抵抗値が変動するため、又、感光体が削れることによって膜厚が変化するとVthが変動するため、感光体の電位を所望の値にすることが難しかった。
【0022】
そこで更なる帯電の均一化を図るため、特開昭63−149669号公報に開示されるように、所望のVdに相当するDC電圧に2×Vth以上のピーク間電圧を持つAC成分を重畳した電圧を接触帯電部材に印加する「AC帯電方式」が用いられる。これは、ACによる電位のならし効果を目的としたものであり、感光体の電位はAC電圧のピークの中央であるVdに収束し、環境等の外乱には影響されることはない。
【0023】
ところが、このような接触帯電装置においても、その本質的な帯電機構は、接触帯電部材から感光体への放電現象を用いているため、先に述べたように接触帯電部材に印加する電圧は感光体表面電位以上の値が必要とされ、微量のオゾンは発生する。
【0024】
また、帯電均一化のためにAC帯電を行った場合には更なるオゾンの発生、AC電圧の電界による接触帯電部材と感光体の振動騒音(AC帯電音)の発生、又、放電による感光体表面の劣化等が顕著になり、新たな問題点となっていた。
【0025】
(B)ファーブラシ帯電
ファーブラシ帯電は、接触帯電部材として導電性繊維のブラシ部を有する部材(ファーブラシ帯電器)を用い、その導電性繊維ブラシを感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0026】
このファーブラシ帯電もその帯電機構は上記▲1▼放電帯電機構が支配的である。
【0027】
ファーブラシ帯電器は固定タイプとロールタイプが実用化されている。固定タイプは中抵抗の繊維を基布に折り込みパイル状に形成したものを電極に接着したもので、ロールタイプはパイルを芯金に巻き付けて形成したものである。繊維密度としては100本/mm2 程度のものが比較的容易に得られるが、直接帯電により十分均一な帯電を行うにはそれでも接触性は不十分であり、直接帯電により十分な帯電を行うには感光体に対し機械構成としては困難なほどに速度差を持たせる必要があり、現実的ではない。
【0028】
このファーブラシ帯電の直流電圧印加時の帯電特性は図6のBに示される特性をとる。従って、ファーブラシ帯電の場合も、固定タイプとロールタイプのどちらも多くは、高い帯電バイアスを印加し、放電現象を用いて帯電を行っている。
【0029】
(C)磁気ブラシ帯電
磁気ブラシ帯電は、接触帯電部材としては導電性磁性粒子をマグネットロール等で磁気拘束してブラシ状に形成した磁気ブラシ部を有する部材(磁気ブラシ帯電器)を用い、その磁気ブラシ部を感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0030】
この磁気ブラシ帯電の場合はその帯電機構は上記▲2▼直接注入帯電機構が支配的である。
【0031】
磁気ブラシ部を構成させる導電性磁性粒子として粒径5〜50μmのものを用い、感光体と十分速度差を設けることで、均一に直接帯電を可能にする。
【0032】
図6の帯電特性グラフのCにあるように、印加バイアスとほぼ比例した逓伝電位を得ることが可能にある。
【0033】
しかしながら、機器構成が複雑であることや、磁気ブラシ部を構成している導電性磁性粒子が脱落して感光体に付着する等、他の弊害もある。
【0034】
特開平6−3921号公報等には感光体表面にあるトラップ準位又は電荷注入層の導電粒子等の電荷保持部材に電荷を注入して直接注入帯電を行う方法が提案されている。この方法は、放電現象を用いないため、帯電に必要とされる電圧は所望の感光体表面電位分のみであり、オゾンの発生もない。更に、AC電圧を印加しないので、帯電音の発生もなく、ローラ帯電方式と比べると、オゾンレス、低電力の優れた帯電方式である。
【0035】
(D)トナーリサイクルシステム(クリーナレスシステム)
転写方式の画像形成装置においては、転写後の感光体(像担持体)に残存する転写残りの現像剤(トナー)はクリーナ(クリーニング装置)によって感光体面から除去されて廃トナーとなるが、この廃トナーは環境保護の面からも出ないことが望ましい。そこでクリーナをなくし、転写後の感光体上の転写残トナーを現像装置によって「現像同時クリーニング」で感光体から除去し現像装置に回収して、再利用する装置構成にしたトナーリサイクルシステム(又は、トナーリサイクルプロセス)の画像形成装置も出現している。
【0036】
現像同時クリーニングとは、転写後に感光体上に残留したトナーを次工程以降の現像時にかぶり取りバイアス(現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vback)によって回収する方法である。
【0037】
この方法によれば、転写残トナーは現像装置に回収されて次工程以後に再利用されるため、廃トナーをなくし、メンテナンスに手を煩わせることも少なくすることができる。又、クリーナレスであることで、スペース面での利点も大きく、画像形成装置を大幅に小型化できるようになる。
【0038】
トナーリサイクルシステムは上記のように転写残トナーを専用のクリーナによって感光体から除去するのではなく、帯電手段を経由させて現像装置に至らせて再度現像プロセスに利用するものであるため、感光体の帯電手段として接触帯電を用いた場合においては、感光体と接触帯電部材との接触部に絶縁性であるトナーが介在した状態で如何にして感光体を帯電するかが問題となっている。
【0039】
上記のように、ローラ帯電やファーブラシ帯電においては、感光体上の転写残トナーを拡散し非パターン化するとともに、大きなバイアスを印加し、放電による帯電を用いることが多い。他方、磁気ブラシ帯電においては接触帯電部材として粉体を用いるためその粉体である導電性磁性粒子の磁気ブラシ部が感光体に柔軟に接触し感光体を帯電できる利点があるが、機器構成が複雑であること、磁気ブラシ部を構成している導電性磁性粒子の脱落による弊害が大きい。
【0040】
(E)接触帯電部材に対する粉末塗布
接触帯電装置について、帯電ムラを防止し安定した均一帯電を行うために、接触帯電部材の被帯電体面との接触面に粉末を塗布する構成が特公平7−99442号公報に開示されているが、接触帯電部材が被帯電体に対する従動帯電であり、スコロトロン等のコロナ帯電器と比べるとオゾン生成物の発生は格段に少なくなっているものの、帯電機構は前述のローラ帯電の場合と同様に依然として放電帯電機構を主としている。特に、より安定した帯電均一性を得るためにはDC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加するために、放電によるオゾン生成物の発生はより多くなってしまう。よって、装置を長期に使用した場合や、クリーナレスの画像形成装置を長期に使用した場合において、オゾン生成物による画像流れ等の弊害が現れやすい。
【0041】
このような背景から、本出願人は帯電促進粒子を用いた帯電装置を創案し、特願平10−73528号にて出願中である。これは、帯電部材と被帯電体との間に帯電促進粒子と称する1012Ω・cm以下の微粒子を介して直接注入帯電を行うものである。帯電促進粒子の役割の一つは帯電部材と被帯電体表面の摩擦力の低減にある。前述した帯電ローラ等、被帯電体との摩擦力が大きな帯電部材は帯電部材との被帯電体の周速差を設けることができず十分な接触機会を得ることができなかった。しかしながら、帯電促進粒子を介在させることにより、前述した帯電ローラと被帯電体の摩擦力を下げ、周速差をもたせることが可能になる。第二に、帯電促進粒子は帯電部材の凹凸を埋め被帯電体に対する接触性を向上させることができる。
【0042】
帯電促進粒子は帯電動作とともに被帯電体に付着し帯電部材に存在する帯電促進粒子量は減少しいずれはなくなっていく。従って、帯電促進粒子は何らかの方法によって帯電器周辺に供給する必要がある。
【0043】
この方法としては、帯電部材に帯電促進粒子を塗布供給する方法、感光体に塗布して帯電促進粒子に供給する方法などであるが、中でも、上記クリーナレスシステムとの適合を考慮して、現像工程を通してトナーとともに帯電促進粒子を感光体上に現像し、感光体から帯電部材に帯電促進粒子を供給することにより、ドラムクリーナを排除し、トナーの循環と帯電促進粒子の供給を行える利点を有する。
【0044】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、長期使用が進むにつれて帯電器の帯電能力の低下から画像不良を生じる問題がある。反転現像系における画像記録においては帯電電位の低下からかぶりが生じ、さらに転写残りトナーを増加させる。その結果、帯電部材に転写残りトナーが付着し、帯電能力を更に低下させるという悪循環が生じ、帯電器を含めた画像記録システムが破綻してしまうという問題がある。
【0045】
従って、本発明の目的は、長期使用においても、帯電装置の帯電能力を適正に保持できるクリーナレス方式の画像形成装置を提供することである。
【0046】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、像担持体と、その回りに配置された帯電装置、現像装置、転写装置、及び被記録体上の画像を定着する定着装置とを有し、転写工程後の前記像担持体表面に残留した現像剤を少なくとも前記帯電装置に一時担持し、前記像担持体を通して再度前記現像装置に回収する画像形成装置において、前記帯電装置は、前記像担持体に速度差をもって接触して前記像担持体の表面を帯電し、その帯電部材と前記像担持体とのニップに体積抵抗1012Ω・cm以下の帯電促進粒子を介在させ、前記現像装置内には前記帯電促進粒子と現像剤とを含む混合剤が蓄えられ、前記帯電促進粒子と前記現像剤であるトナーとは摩擦帯電極性が互いに逆極性であり、前記現像装置内の前記混合剤は、前記現像装置の開口部に回転可能に支持された現像剤担持体に接触して循環する現像前混合剤と、前記現像剤担持体に接触せずに蓄えられた補給用混合剤とを含むことを特徴とする画像形成装置である。
【0047】
本発明に一実施態様によれば、前記現像前混合剤と前記補給用混合剤は各々隔離されて収容されており、前記補給用混合剤の収容室から前記補給用混合剤を一方的に前記現像前混合剤の収容室に補給するものである。
【0048】
又、前記現像前混合剤は前記現像前混合剤収容室である現像室内に、前記補給用混合剤は前記補給用混合剤収容室であるホッパー容器内に収容され、前記ホッパー容器内の前記補給用混合剤は一方的に前記現像室に補給される。別の態様によれば、前記現像装置は、少なくとも現像室と、トナー補給室との2つの領域に分けられ、前記現像前混合剤は前記現像室に、前記補給用混合剤は前記トナー補給室にそれぞれ備えられ、前記トナー補給室内の前記補給用混合剤を一方的に前記現像室に補給する。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0050】
実施例1
図1には、本発明に係る画像形成装置の第1実施例が示される。本実施例の画像形成装置は、転写式電子写真プロセス、直接注入帯電方式、及びトナーリサイクルプロセス(クリーナレスシステム)を利用したレーザプリンタである。
【0051】
(1)プリンタの全体的構成
本実施例の像担持体1は、直径30mmの回転ドラム型の負極性OPC感光体(ネガ感光体、以下「感光ドラム」という)であり、図中矢印の時計方向に周速度50mm/sec(=プロセススピードPS、印字速度)の一定速度で回転駆動される。
【0052】
帯電手段である帯電ローラ2は感光ドラム1に所定の押圧力をもって接触させて当接した接触帯電部材としての導電性弾性ローラである。感光ドラム1と帯電ローラ2との当接部には帯電ニップ部nが形成されている。
【0053】
帯電ローラ2は、その外周面に、帯電促進を目的とした導電性粒子である帯電促進粒子mを保持しており、上記の帯電ニップ部nには帯電促進粒子mが介在している。
【0054】
帯電ローラ2はこの帯電ニップ部nにおいて感光ドラム1の回転方向と逆方向(カウンター方向)に回転駆動され、感光ドラム1面に対して速度差をもって接触する。又、プリンタの画像記録時には帯電ローラ2に帯電バイアス印加電源S1から所定の帯電バイアスが印加される。これにより、感光ドラム1の周面が直接注入帯電方式で所定の極性・電位に一様に接触帯電処理される。本実施例では印加電源S1による印加バイアスをDC電圧−700Vとした。
【0055】
尚、上記帯電ローラ2、帯電促進粒子m、直接注入帯電については下記にて詳しく説明する。
【0056】
レーザダイオード、ポリゴンミラー等を含むレーザビームスキャナ(露光装置)4は、目的の画像情報の時系列ディジタル画像信号に対応して強度変調されたレーザ光Lを出力し、レーザ光Lで回転感光ドラム1の一様帯電面を走査露光する。この走査露光により回転感光ドラム1の面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0057】
回転感光ドラム1面の静電潜像は現像装置5により現像部位aにてトナー画像として現像される。
【0058】
現像装置5内には現像剤tに帯電促進粒子mを添加した混合剤tmが収容されている。更に、混合剤tmは現像容器5d内の現像前混合剤tm1と、現像容器5dに連結されたホッパー容器5g内に蓄えられた補給用混合剤tm2とからなり、印字を繰り返すとともにホッパー容器5g内の混合剤tm2が現像容器5d内に補給される。現像装置5については下記にて詳述する。
【0059】
接触転写手段である中抵抗の転写ローラ6は感光ドラム1に所定の圧で当接され、転写ニップ部bを形成している。この転写ニップ部bに不図示の給紙部から所定のタイミングで被記録体としての転写材Pが給紙され、且つ転写ローラ6に転写バイアス印加電源S3から所定の転写バイアス電圧が印加されることにより、感光ドラム1側のトナー像が転写ニップ部bに給紙された転写材Pの面に順次転写されていく。
【0060】
本実施例の転写ローラ6は、芯金6aに中抵抗発泡層6bを形成したローラ抵抗値5×108 Ωのものであり、+2.0kVの電圧を芯金6aに印加して転写を行った。転写ニップ部bに導入された転写材Pはこの転写ニップ部bを挟持搬送されて、その表面側に回転感光ドラム1の表面に形成担持されているトナー画像が順次に静電気力と押圧力にて転写されていく。
【0061】
転写ニップ部bに給紙されて感光ドラム1側のトナー画像の転写を受けた転写材Pは回転感光ドラム1の面から分離されて、熱定着方式の定着装置7に導入され、トナー画像の定着を受けて画像形成物(プリントコピー)として装置外へ排出される。
【0062】
本実施例のプリンタはクリーナレスであり、転写材Pに対するトナー画像転写後の回転感光ドラム1面に残留した転写残トナーは専用のクリーナ(クリーニング装置)で除去されることなく、感光ドラム1の回転に伴い、帯電ニップ部nを経由して現像部位aに至り、現像装置4において現像同時クリーニングにて回収・再利用される。
【0063】
(2)帯電ローラ
本実施例における接触帯電部材としての帯電ローラ2は芯金2aと、芯金2a上に形成されたゴムあるいは発泡体の中抵抗層2bとから構成される。中抵抗層2bは樹脂(例えばウレタン)、導電性粒子(例えばカーボンブラック)、硫化剤、発泡剤等により処方され、ローラ状に形成される。その後、必要に応じてその表面を研磨して直径12mm、長さ200mmの導電性弾性ローラである帯電ローラを作製した。
【0064】
本実施例の帯電ローラ2のローラ抵抗を測定したところ100kΩであった。このローラ抵抗は、帯電ローラ2の芯金2aに総圧1kgの荷重がかかるように外径30mmのアルミドラムに帯電ローラ2を圧着した状態で、芯金2aとアルミドラムとの間に100Vを印加し、計測した。
【0065】
ここで、接触帯電部材である帯電ローラ2は電極として機能することが重要である。つまり、弾性をもたせて被帯電体との十分な接触状態を得ると同時に、移動する被帯電体を充電するに十分低い抵抗を有することが必要である。一方では被帯電体にピンホール等の耐圧欠陥部位が存在した場合に電圧のリークを防止する必要がある。被帯電体として電子写真感光体を用いた場合、十分な帯電性と対リーク性を得るには104 〜107 Ωの抵抗が望ましい。
【0066】
帯電ローラ2の表面は帯電促進粒子mを保持できるようにミクロの凹凸があるものが望ましい。
【0067】
帯電ローラ2の硬度は、硬度が低すぎると形状が安定しないために被帯電体との接触性が悪くなり、高すぎると被帯電体との間に帯電ニップ部nを確保できないだけでなく、被帯電体表面への緻密な接触性が得られなくなるので、アスカーC硬度で25度〜50度が好ましい範囲である。
【0068】
帯電ローラ2の材質としては、弾性発泡体に限定するものではなく、弾性体の材料として、EPDM、ウレタン、NBR、シリコーンゴムや、IR等に抵抗調整のためのカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、これらを発泡させたものが挙げられる。又、特に導電性物質を分散せずにイオン導電性の材料を用いて抵抗調整することも可能である。
【0069】
帯電ローラ2は感光ドラム1に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設し、本実施例では幅数mmの帯電ニップ部nを形成させてある。
【0070】
又、本実施例では、この帯電ローラ2を帯電ニップ部nにおいて帯電ローラ表面と感光ドラム表面とが互いに逆方向に等速で移動するように凡そ80rpmで矢印の時計方向に回転駆動させた。即ち、接触帯電部材としての帯電ローラ2の表面は被帯電体としての感光ドラム1の面に対して速度差を持たせるようにした。
【0071】
(3)現像装置
本実施例の現像装置5は現像剤tとして一成分磁性トナー(ネガトナー)を用いた反転現像器である。現像装置5内には現像剤(トナー)tと帯電促進粒子mの混合剤tmを備えている。
【0072】
現像装置5は、現像容器5dの開口部に感光ドラム1に対向して、マグネットロール5bを内包させた現像剤担持体としての非磁性回転現像スリーブ5aを備えている。現像容器5d内に備える現像前混合剤tm1内のトナーtは回転現像スリーブ5a上を搬送される過程において、規制ブレード5cで層厚規制及び電荷付与を受ける。
【0073】
回転現像スリーブ5aにコートされたトナーtは現像スリーブ5aの回転により、感光ドラム1と現像スリーブ5aの対向部である現像部位(現像領域部)aに搬送される。又、現像スリーブ5aには現像バイアス印加電源S2より現像バイアス電圧が印加される。
【0074】
本実施例において、現像バイアス電圧はDC電圧−500VにAC電圧=ピーク間電圧1600V、周波数1.8kHz、矩形波の重畳電圧とした。
【0075】
これにより、感光ドラム1側の静電潜像がトナーtにより反転現像される。
【0076】
印字と共に現像容器5d内の現像前混合剤tm1の量は減少するが、その減少に応じてホッパー容器5gからスクリュー5fを回転させることにより、ホッパー容器5g内の補給用混合剤tm2を現像容器5d内に供給することで、現像容器5d内の現像前混合剤tm1の量をある一定範囲内に調整する。
【0077】
印字初期において、混合剤tmはホッパー容器5gに全て蓄えられており、印字前に現像容器5d内へスクリュー5fにより供給され、それぞれtm1、tm2となる。
【0078】
a)トナーt:現像剤である一成分磁性トナーtは、結着樹脂、磁性体粒子、電荷制御剤を混合し、混練、粉砕、分級の各工程を経て作製し、更に帯電促進粒子mや流動化剤等を外添剤として添加して作製されたものである。トナーの平均粒径(D4)は7μmであった。
【0079】
b)帯電促進粒子m:本実施例では、帯電促進粒子として、比抵抗が106 Ω・cm、平均粒径3μmの導電性酸化亜鉛を用いた。そして、帯電促進粒子mとしての酸化亜鉛分を、分級後のトナーt100重量部に対して3重量部添加し、混合機により均一に分散させて現像装置5内に収容した。
【0080】
帯電促進粒子mの材料としては他の金属酸化物等の導電性無機粒子や有機物との混合物、あるいは、これらに表面処理を施したものなど各種導電性粒子が使用可能である。
【0081】
粒子抵抗は粒子を介した電荷の授受を行うため比抵抗としては1012Ω・cm以下であることが必要であり、1010Ω・cm以下が望ましい。
【0082】
抵抗測定は、錠剤法により測定し正規化して求めた。即ち、底面積2.26cm2 の円筒内に促進粒子試料を0.5g入れ、上下電極に15kgの加圧を行うと同時に100Vの電圧を印加して、抵抗値を計測し、その後、正規化して比抵抗を算出した。
【0083】
粒径は良好な帯電均一性を得るために50μm以下が望ましい。本実施例において、粒子が凝集体を構成している場合の粒径は、その凝集体としての平均粒径として定義した。粒径の測定には、電子顕微鏡による観察から100個以上抽出し、水平方向最大弦長をもって体積粒径分布を算出し、その50%平均粒径をもって決定した。
【0084】
帯電促進粒子mは一次粒子の状態で存在するばかりでなく二次粒子の凝集した状態で存在することもなんら問題はない。どのような凝集状態であれ、凝集体として帯電促進粒子mの機能が実現できればその形態は重要ではない。
【0085】
帯電促進粒子mは特に感光体の帯電に用いる場合に潜像露光の妨げにならないように白色又は透明に近いことが望ましい。更に、帯電促進粒子mが感光体上から記録材Pに一部転写されてしまうことを考えると、カラー記録では無色あるいは白色のものが望ましく、又、画像露光時に粒子による光散乱を防止するためにもその粒径は構成画素サイズ以下であることが望ましい。粒径の下限値としては粒子として安定に得られるものとして10nmが限界と考えられる。
【0086】
(4)帯電促進粒子存在量
感光体1と帯電ローラ2とのニップ部nにおける帯電促進粒子の介在量は、少なすぎると、粒子による潤滑効果が十分に得られず、帯電ローラ2と感光体1との摩擦が大きく帯電ローラ2を感光体1に速度差をもって回転駆動させることが困難である。つまり、駆動トルクが過大となり、無理に回転させると帯電ローラ2や感光体1の表面が削れてしまう。更に、帯電促進粒子による接触機会増加の効果が得られないこともあり、十分な帯電性能が得られない。一方、この介在量が多すぎると、帯電促進粒子mの帯電ローラ2からの脱落が著しく増加し、作像上に悪影響が出る。
【0087】
本実施例では、混合剤tm中に含む帯電促進粒子mの量を調整して存在量を調整した。
【0088】
実験によると帯電部材2bと感光体1の間の介在量は1×103 個/mm2 以上が望ましい。1×103 個/mm2 より少ないと十分な潤滑効果と接触機会増加の効果が得られず帯電性能の低下が生じる。より望ましくは1×103 〜5×105 個/mm2 の介在量が好ましい。5×105 個/mm2 を超えると、帯電促粒子mの感光体1へ脱落が著しく増加し、帯電促進粒子自体の光透過性を問わず、感光体への露光量不足が生じる。5×105 個/mm2 以下では脱落する粒子量も低く抑えられ、この悪影響を改善できる。一方、帯電促進粒子供給手段通過後の感光体上には1×102 〜1×105 個/mm2 の帯電促進粒子を塗布した。より好ましくは1×103 〜1×104 個/mm2 の帯電促進粒子を供給することが望ましい。
【0089】
又、帯電後の感光体上に脱落した粒子存在量を測ると1×102 〜1×105 個/mm2 であったことから、作像上弊害がない存在量としては1×105 個/mm2 以下が望まれる。
【0090】
介在量及び感光体上の存在量の測定方法について述べる。介在量は帯電ローラ2と感光体1の接触面部を直接測ることが望ましいが、帯電ローラ2に接触する前に感光体1上に存在した粒子の多くは逆方向に移動しながら接触する帯電ローラ2に剥ぎ取られることから、本実施例では、接触面部に到達する直前の帯電ローラ表面の粒子量をもって介在量とした。
【0091】
具体的には、帯電バイアスを印加しない状態で感光体1及び帯電ローラ2の回転を停止し、感光体1及び帯電ローラ2の表面をビデオマイクロスコープ(OLYMPUS製OVM1000N)及びデジタルスチルレコーダ(DELTIS製SR−3100)で撮影した。得られたデジタル画像から個々の粒子を領域分離するため、あるしきい値をもって2値化処理し、粒子の存在する領域の数を所望の画像処理ソフトを用いて計測した。又、感光体上の存在量についても感光体上を同様のビデオマイクロスコープにて撮影し同様の処理を行い計測した。
【0092】
(5)直接注入帯電
現像装置5に収容されたトナーtと帯電促進粒子mの混合剤tmは感光体1の静電潜像のトナー現像時にトナーとともに適当量が感光体1に移行する。
【0093】
感光体1上のトナー画像は転写ニップ部bにおいて転写バイアスの影響で転写材P側に引かれて積極的に移行するが、他方、感光体1上の帯電促進粒子mは導電性であることにより転写材P側には積極的に移行するものの、感光体1上に実質的に付着保持されて残留する。又、感光体1面に実質的に付着保持される帯電促進粒子mの存在によりトナー画像の感光体1側から転写材P側への転写効率が向上する効果が得られる。
【0094】
そしてトナーリサイクルプロセスの画像形成装置はクリーナを用いないため、転写後の感光体1面に残存する転写残トナー及び残存帯電促進粒子は感光体1と帯電ローラ2の帯電ニップ部nに感光体1の回転でそのまま持ち運ばれて帯電ローラ2に付着混入する。
【0095】
従って、感光体1と帯電ローラ2とのニップ部nにこの帯電促進粒子mが存在した状態で感光体1の接触帯電が行われる。尚、印字初期においては帯電ローラ表面に接触促進粒子mが供給されず帯電が行えないので帯電ローラ表面には予め帯電促進粒子mを塗布しておくことを可とする。
【0096】
この帯電促進粒子mの存在により帯電ローラ2にトナーが付着混入した場合でも、帯電ローラ2の感光体1への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、接触帯電部材が帯電ローラのような簡易な部材であり、しかも帯電ローラの転写残トナーによる汚染に関わらず帯電ローラ2による感光体1への直接注入帯電を行わせることができる。
【0097】
つまり、帯電ローラ2が帯電促進粒子mを介して密に感光体1に接触して、帯電ローラ2と感光体1のニップ部nに存在する帯電促進粒子mが感光体1表面を隙間なく摺擦することで、帯電ローラ2による感光体1の帯電は帯電促進粒子mの存在により放電現象を用いない安定かつ安全な直接注入帯電が支配的であり、一般的に用いられているローラ帯電などでは得られなかった高い帯電効率が得られ、帯電ローラ2に印加した電圧とほぼ同等の電位を感光体1に与えることができる。
【0098】
又、帯電ローラ2に付着・混入した転写残トナーは帯電ローラ2から徐々に感光体1上に吐き出されて感光体1面の移動とともに現像部位aに至り、現像装置5において現像同時クリーニング(回収)される(トナーリサイクルプロセス)。
【0099】
現像同時クリーニングは前述したように、転写後に感光体1上に残留したトナーを引き続く画像形成工程の現像時、即ち引き続き感光体1を帯電し、露光して潜像を形成し、その潜像の形成時において現像装置のカブリ取りバイアス、即ち現像装置に印加する直流電圧と感光体表面電位間の電位差であるカブリ取り電位差Vbackによって回収するものである。本実施例におけるプリンタのように反転現像の場合では、この現像同時クリーニングは、感光体の暗部電位から現像スリーブにトナーを回収する電界と、現像スリーブから感光体の明部電位へトナーを付着させる電界の作用でなされる。
【0100】
又、帯電ローラ2から帯電促進粒子mが脱落しても、画像形成装置が稼働されることで、現像装置5の現像前混合剤tm1に含有する帯電促進粒子mが現像部aで感光体1面に移行し、感光体1の回転により転写ニップ部bを経て帯電ニップ部nに持ち運ばれて帯電ローラ2に逐次に供給され続けるため、帯電促進粒子mの存在による良好な帯電性が安定して維持される。
【0101】
かくして、直接注入帯電方式、転写方式、トナーリサイクルプロセスの画像形成装置において、接触帯電部材としての帯電ローラを使って、しかも帯電ローラ2の転写残トナーによる汚染にも拘わらず、低印加電圧でオゾンレスの直接注入帯電を長期に渡り安定に維持させることができ、均一な帯電性を与えることができ、オゾン生成物による障害、帯電不良による障害等のない、簡易な構成、低コストの画像形成装置を得ることができる。
【0102】
又、帯電ローラ2と感光体1とのニップ部nに帯電促進粒子mを介在させることにより、帯電促進粒子mの潤滑効果(摩擦低減効果)により帯電ローラ2と感光体1との間に容易に効果的に速度差を設けることが可能となる。
【0103】
帯電ローラ2と感光体1との間に速度差を設けることにより帯電ローラ2と感光体1のニップ部nにおいて帯電促進粒子mが感光体1に接触する機会を格段に増加させ、高い接触性を得ることができ、容易に直接注入帯電を可能にする。
【0104】
上記の速度差を設ける構成として、好ましくは帯電部材に持ち運ばれる感光体1上の転写残トナーを帯電ローラ2に一時的に回収させるために、帯電ローラ2を回転駆動し、更に、その回転方向は感光体1表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することが望ましい。即ち、逆方向回転で感光体1上の転写残トナーを一旦引き離し、帯電を行うことにより優位に直接注入帯電を行うことができる。
【0105】
実施例2
次に、本発明の第2実施例について図2により説明する。本実施例のプリンタは、上記第1実施例の構成と概略同様の構成を備えているが、現像装置のみ、下記に説明するように第1実施例の現像装置と異なっている。
【0106】
図2において、非磁性回転現像スリーブ5aはマグネットロール5bを内包し、現像装置5A内の現像剤t及び帯電促進粒子mは回転現像スリーブ5a上を搬送される過程において規制ブレード5cで層厚規制及び電荷付与を受ける。
【0107】
現像バイアス電圧、及びトナーtと帯電促進粒子mの処方は第1実施例の通りである。
【0108】
現像装置5A内には現像剤tと帯電促進粒子mを混合した混合剤tmを収容している。混合剤tmは現像装置5A内で二つの状態に分けられる。一つは現像容器5dの現像室R1内にあり、現像スリーブ5aと接触しながら順次現像されていく現像前混合剤tm1の状態、そして、他方はトナー室R2内において攪拌され、順次現像室R1に供給されていく補給用混合剤tm2である。
【0109】
印字により現像剤t及び帯電促進粒子mが現像スリーブ5aから感光体1に移行するとともに現像室R1内の混合剤tm1は減少する。現像前混合剤tm1の量が減少するとトナー室R2に収容・攪拌されている補給用混合剤tm2が現像室R1に搬送される。
【0110】
ここで、上記第1及び第2実施例に対する第1〜第3比較例について説明する。
【0111】
比較例1
第1比較例のプリンタとしては、図3に示すように、感光ドラム1、帯電ローラ2、レーザビームスキャナ4、現像装置105、転写ローラ6、及び定着器7を備えたクリーナレス方式のプリンタであり、第1実施例と同様の構成及び機能を備えている。
【0112】
現像装置105は、現像容器105dの開口部に感光ドラム1に対向して、マグネットロール105bを内包させた非磁性回転現像スリーブ5aを備えた反転現像器である。現像容器5d内には帯電促進粒子を含まない一成分磁性トナーtのみを収容している。トナーtは回転現像スリーブ105a上を搬送される過程において、規制ブレード105cで層厚規制及び電荷付与を受ける。
【0113】
回転現像スリーブ105aにコートされたトナーtは現像スリーブ105aの回転により、感光ドラム1と現像スリーブ105aの対向部である現像部位(現像領域部)aに搬送される。又、現像スリーブ105aには現像バイアス印加電源S2から現像バイアス電圧が印加され、感光ドラム1上の静電潜像がトナーtによりトナー像として現像される。転写後、感光ドラム1上に残存したトナーtは、 引き続く画像形成工程の現像時、即ち引き続き感光ドラム1を帯電し、露光して潜像を形成し、その潜像の形成時において現像装置のカブリ取りバイアス、即ち現像装置に印加する直流電圧と感光体表面電位間の電位差であるカブリ取り電位差Vbackによって一部が回収される。
【0114】
比較例2
第2比較例としては、第1比較例において、現像容器105d内に現像剤tに加え帯電促進粒子mを現像剤であるトナーtに対して3重量部添加し、混合体tmを構成し、現像容器105d内に収容した。
【0115】
比較例3
第3比較例としては、第2比較例において、帯電促進粒子mの混合量を10重量部に処方した。
【0116】
「評価結果」
下記の表1に第1、第2実施例、及び第1〜第3比較例の評価結果を示すと共に、第1、第2実施例の有効性について説明する。
【0117】
【表1】
【0118】
a)帯電特性の評価
帯電性の評価はゴースト画像の劣化で評価した。各例のプリンタは反転現像系で画像記録を行っているので、ここで意味するゴースト画像とは、感光体1の1周目における画像露光下部分(トナー画像部)が、感光体2周目で帯電不足を起こすため、感光体上の前回の画像パターンのところがより強く現像され、ゴースト画像が発生することをいう。
【0119】
ここでは、その画像評価を以下の基準で行った。
【0120】
×:ベタ黒後の白地部においてゴーストが見られる。
【0121】
○:ベタ黒後の白地部においてゴーストは見られないが、中間調部において若干ゴーストパターンが見られる。
【0122】
◎:ベタ黒後の白地部及び中間調部のいずれにおいてもゴーストが見られない。
【0123】
尚、評価は500枚後から4000枚後まで行った。
【0124】
画像パターンの印字率は5%、長手方向の印字率に差がないパターンを用いて印字テストを行った。
【0125】
b)画像欠陥評価
画像欠陥評価は中間調画像を出力して画像の欠陥数から評価を行った。
【0126】
各例のプリンタにおいて600dpiレーザスキャナを使用し画像記録を行った。
【0127】
本評価において中間調画像とは主走査方向の1ラインを記録し、その後2ラインを非記録とする縞模様を意味し、全体として中間調の濃度を再現している。
【0128】
各例のプリンタは反転現像系で画像記録を行っているので画像露光が阻害された場合、或いは現像時にリークが生じた場合、いずれも、白点として画像に現れる。これらの欠陥部位の数を以下の基準で評価した。
【0129】
特に本実施例では中間調画像の均一性を重視し、0.3mm以上の欠陥を評価した。
【0130】
×:中間調画像中に直径0.3mm以上の白点が50個以上存在する。
【0131】
○:中間調画像中に直径0.3mm以上の白点が5〜50個以上存在する。
【0132】
◎:中間調画像中に直径0.3mm以上の白点が5個以下しか存在しない。
【0133】
尚、評価はA4紙を用い、初期50枚後で評価した。
【0134】
上記表1から本発明の優位性について述べる。
【0135】
まず、第1比較例であるが、本比較例は現像容器内に帯電促進粒子を有していないため、帯電促進粒子の現像装置からの供給を得られず、帯電ローラがトナーで汚染されるとともに帯電不足による画像不良が印字枚数初期から発生し評価不能であった。
【0136】
又、第2比較例は帯電促進粒子を3重量部添加してあるものの、印字を続けるとともに帯電促進粒子を現像装置から供給する供給量が低下し、帯電特性が低下した。
【0137】
現像剤tと帯電促進粒子mの混合剤tmにおいて、現像剤であるトナーは負に摩擦帯電しやすく、一方、帯電促進粒子mは正に摩擦帯電しやすい。正摩擦帯電した帯電促進粒子mは、現像バイアスと感光体の非画像部電位(つまり、帯電電位)との間に設定したカブリ取りバイアスで現像スリーブから感光体に移行する。このとき、帯電促進粒子が現像スリーブから感光体に移行する割合が、トナーが現像されていく割合より多くなり、現像容器内の帯電促進粒子は長期使用とともに減少する。従って、印字を繰り返すにつれて現像容器内の帯電促進粒子とトナーとの混合比が変わり、帯電促進粒子のドラム供給量が減少し、その結果、帯電ニップ部に供給される帯電促進粒子が減少することから帯電特性の低下が生じる。
【0138】
更に、第3比較例は帯電促進粒子mの含有量を増加させ帯電促進粒子を多く供給することにより帯電特性は持続したものの帯電促進粒子量が印字初期において多すぎるために画像欠陥が生じた。又、印字枚数を延ばすことができるがいずれ現像容器内の帯電促進粒子の混合比の低下から帯電特性の低下が生じることとなる。
【0139】
一方、第1実施例においては、初期の画像欠陥もなく、又帯電特性も4000枚まで問題なく持続することが可能であった。本実施例の現像装置は現像容器内の現像前混合剤の消費とともに、新たにホッパー容器に蓄えた補給用混合剤を適宜加えていく混合剤補給方法を採用している。従って、現像容器内に収容した現像前混合剤tm1に含まれる帯電促進粒子が、感光ドラムを介して帯電ローラに供給される。供給される帯電促進粒子は現像容器内に収容した現像前混合剤に含まれる粒子に限られるため過剰に帯電促進粒子が供給されることがなく、且つ、印字と共にホッパー容器から帯電促進粒子を一定量含んだ補給用混合剤が供給され、帯電促進粒子の含有量を一定に保つことが可能になる。
【0140】
又、第2実施例においては、現像容器として一つの容器を構成するが、内部で現像室と補給用混合剤を蓄えるトナー室とに分けて構成することで、帯電促進粒子の安定供給を可能にしたものである。現像室内にある現像前混合剤に含まれる帯電促進粒子が供給され、その後印字に応じてトナー室から供給される補給用混合剤を現像室に供給することにより、一定量の帯電促進粒子を現像室、更には帯電ローラに供給することが可能となる。その結果、帯電促進粒子の安定供給を可能とし、帯電特性を長期に亘り良好に維持することが可能になる。
【0141】
蛍光X線分光装置(Rigaku社製R1X3000)による混合剤中の酸化亜鉛の定量によると、印字初期から4000枚印字にかけて、トナー室内の酸化亜鉛量は第1実施例はもちろん、第2実施例においてもほぼ一定に保たれており、現像室内の混合剤についても初期の3重量部相当が2部相当に低下するにとどまっていた。
【0142】
一方、比較例の4000枚印字後においては、いずれも1重量部相当以下にまで減少し、混合剤全体の帯電促進粒子が消費されていた。
【0143】
実施例3
次に、本発明の第3実施例について図4を参照して説明する。
【0144】
本発明は、例えば第1あるいは第2実施例のプリンタ等において、感光体1の表面に電荷注入層を設けて感光体表面の抵抗を調節した方が好ましい。
【0145】
図3において、負極性の感光体を用いた場合で説明する。図3は、表面に電荷注入層を設けた感光体1’の層構成の模式図である。
【0146】
感光体1’は、アルミドラム基体(Alドラム基体)11上に下引き層12、正電荷注入防止層13、電荷発生層14、電荷輸送層15、の順に重ねて塗工された一般的な有機感光体に電荷注入層16を塗布することにより、帯電性能を向上したものである。
【0147】
電荷注入層16は、バインダーとして光硬化型のアクリル樹脂に、導電性樹脂(導電フィラー)としてのSnO2 超微粒子16a(径が約0.03μm)、重合開始剤等を混合分散し、塗工後、光硬化法により膜形成したものである。又、加えて4フッ化エチレン樹脂(商品名テフロン)等の滑剤も内包させることにより、ドラム表面エネルギーを抑えて、帯電促進粒子の付着を全般的に抑える効果がある。
【0148】
電荷注入層16として重要な点は、表層の抵抗にある。電荷の直接注入による帯電方式においては、被帯電体側の抵抗を下げることでより効率良く電荷の授受を行えるようになる。一方、感光体として用いる場合には静電潜像を一定時間保持する必要があるため、電荷注入層16の体積抵抗値として1×109 〜1×1014(Ω・cm)の範囲が適当である。
【0149】
又、本構成のように、電荷注入層16を用いていない場合でも、例えば電荷輸送層15が上記抵抗範囲にある場合は同等の効果が得られる。
【0150】
更に、表層の体積抵抗が約1013Ω・cmであるアモルファスシリコン感光体等を用いても同様な効果が得られる。
【0151】
実施例4
次に、本発明の第4実施例について図5により説明する。
【0152】
図5に示すように、本実施例の現像装置5Bは、現像スリーブ5bに対し、トナー補給室R2を上方に配置している。このような構成においても、トナー補給室R2と現像室R1とに分けて構成し、順次トナー補給室R2内の補給用混合剤tm2が現像室R1に供給される構成をとることにより、現像装置5B内全体に混合剤tm1が循環し、混合剤全体の帯電促進粒子量が減少することを防止し、印字耐久を通して安定した帯電促進粒子の供給が可能になる。
【0153】
上記実施例にて説明したように、現像装置内の現像剤と帯電促進粒子の混合剤tmを、現像スリーブに隣接し循環する帯電前混合剤の状態と、現像スリーブに接触することなく蓄えられた補給用混合剤の状態におくことにより、現像前混合剤から感光ドラムに移行する帯電促進粒子の速度を一定に保ち、供給過剰或いは供給不足に陥ることなく安定した帯電促進粒子の供給と、帯電特性の維持を可能にできる。
【0154】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、帯電装置が、像担持体に速度差をもって接触して前記像担持体の表面を帯電し、その帯電部材と前記像担持体とのニップに体積抵抗1012Ω・cm以下の帯電促進粒子を介在させ、現像装置内には前記帯電促進粒子と現像剤とを含む混合剤が蓄えられ、前記帯電促進粒子と前記現像剤であるトナーとは摩擦帯電極性が互いに逆極性であり、前記現像装置内の前記混合剤は、前記現像装置の開口部に回転可能に支持された現像剤担持体に接触して循環する現像前混合剤と、前記現像剤担持体に接触せずに蓄えられた補給用混合剤とを含むことにより、長期使用においても、帯電装置の帯電能力を適正に保持でき、高品質画像を得ることのできるクリーナレス方式の画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例のプリンタを示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る第2実施例のプリンタを示す概略構成図である。
【図3】第1比較例を示す概略構成図である。
【図4】本発明に係る第3実施例の感光体の層構成を示す断面図である。
【図5】本発明に係る第4実施例のプリンタを示す概略構成図である。
【図6】ローラ帯電器(A)、ファーブラシ帯電器(B)、及び磁気ブラシ帯電器(C)における印加電圧とドラム電位の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 感光ドラム(像担持体)
2 帯電装置
2a 帯電部材
5、5A、5B 現像装置
5a 現像スリーブ(現像剤担持体)
5d 現像容器
5g ホッパー容器
m 帯電促進粒子
mt 混合剤
mt1 現像前混合剤
mt2 補給用混合剤
t トナー(現像剤)
Claims (4)
- 像担持体と、その回りに配置された帯電装置、現像装置、転写装置、及び被記録体上の画像を定着する定着装置とを有し、転写工程後の前記像担持体表面に残留した現像剤を少なくとも前記帯電装置に一時担持し、前記像担持体を通して再度前記現像装置に回収する画像形成装置において、
前記帯電装置は、前記像担持体に速度差をもって接触して前記像担持体の表面を帯電し、その帯電部材と前記像担持体とのニップに体積抵抗1012Ω・cm以下の帯電促進粒子を介在させ、前記現像装置内には前記帯電促進粒子と現像剤とを含む混合剤が蓄えられ、前記帯電促進粒子と前記現像剤であるトナーとは摩擦帯電極性が互いに逆極性であり、前記現像装置内の前記混合剤は、前記現像装置の開口部に回転可能に支持された現像剤担持体に接触して循環する現像前混合剤と、前記現像剤担持体に接触せずに蓄えられた補給用混合剤とを含むことを特徴とする画像形成装置。 - 前記現像前混合剤と前記補給用混合剤は各々隔離されて収容されており、前記補給用混合剤の収容室から前記補給用混合剤を一方的に前記現像前混合剤の収容室に補給する請求項1の画像形成装置。
- 前記現像前混合剤は前記現像前混合剤収容室である現像室内に、前記補給用混合剤は前記補給用混合剤収容室であるホッパー容器内に収容され、前記ホッパー容器内の前記補給用混合剤は一方的に前記現像室に補給される請求項1又は2の画像形成装置。
- 前記現像装置は、少なくとも現像室と、トナー補給室との2つの領域に分けられ、前記現像前混合剤は前記現像室に、前記補給用混合剤は前記トナー補給室にそれぞれ収容され、前記トナー補給室内の前記補給用混合剤を一方的に前記現像室に補給する請求項1又は2の画像形成装置。
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JP2000081760A (ja) | 2000-03-21 |
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