JP3701251B2 - コーヒー風味劣化防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コーヒー風味劣化防止装置に関し、詳しくは、コーヒー抽出液をコーヒーウオーマー等で加熱状態で保存する際において風味の劣化を防止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
コーヒーの風味が劣化する現象について考えるに、例えば、コーヒーメーカー等で抽出したコーヒー抽出液をデカンタに満たし、コーヒーウオーマーで加温する状態において、コーヒー抽出液中の水素イオン濃度に着目すると、時間経過に伴って水素イオンが増加(pH値の減少)し、酸度が増大し、結果として、味覚的にコーヒー抽出液の風味が低下し、酸味が増大して飲用価値を損なうものとなっている。この現象は、特に加温の温度が高温であるほど風味の低下と酸味の増大とが顕著に現れることとして知られている。このように風味が低下し、酸味が増大する原因として、コーヒー抽出液中において、りんご酸、ぎ酸、クエン酸、酢酸、グリコール酸、リン酸等、ロースティング中に生成したエステル及びキナ酸ラクトンの加水分解による生成物の作用が推定されている。このように抽出液の風味が低下し、酸味が増大する不都合を抑制するために、コーヒー抽出液に対してpH調整剤(炭酸水素ナトリウム等)を添加してpH値の低下を抑制する技術も存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の技術で説明したように、コーヒー抽出液に対してpH調整剤を添加する技術を考えるに、pH調整剤を添加する際にはコーヒーのpH値を計測し、この計測値に基づいてpH調整剤の添加量を求めて適正な量を添加する必要があるものの、このような形態で添加する場合には手間が掛かり過ぎる点において非現実的である。
【0004】
本発明の目的は、コーヒー抽出液をデカンタ等で加温状態で長時間保存した場合でも、そのコーヒーの風味劣化を抑制し得る装置を合理的に構成する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明コーヒー風味劣化防止装置においては、コーヒー抽出液に通電を行い、この通電によりコーヒー抽出液中の水素イオン濃度の増大を抑制する。
【0006】
ーヒー抽出液に対して通電を行うことでコーヒー抽出液中の水素イオン濃度の増大を抑制するので、従来の技術で説明したようにpH調整剤を添加する必要が無く、pH値の増大を抑制する際の操作も容易となる。その結果、pH調整剤を用いずとも極めて簡単な処理でコーヒーの風味劣化を抑制し得る。
【0007】
上記構成において、電解質を含む水溶液を貯留する容器内に陽電極を配置し、この容器内とコーヒー抽出液との界面にイオン通過体を配置し、コーヒー抽出液中に陰電極を配置し、陽電極と陰電極との間に通電してコーヒー抽出液中の水素イオン濃度の増大を抑制する。
【0008】
これにより、陽電極と陰電極との間に通電することにより、コーヒー抽出液に接触する陰電極の側から水素イオンを水素ガスとして放出除去して水素イオンの低減することでpH値を増大させることが可能となり、風味を低下させる原因物質や、酸味を増大させる原因物質の生成を抑制できる。その結果、コーヒー抽出液中の水素イオンを積極的に除去してコーヒーの風味劣化を良好に抑制し得る。ここで、イオン通過体とはイオンを通過させる機能を有するものの総称であり、例えば、寒天(Agar)に塩化カリウム(KCl)を含ませた塩橋ばかりでなく、多孔性高分子膜、イオン交換膜、素焼き板、グラスフィルタ等を、イオン通過体として、これらの使用が可能である。
【0009】
具体的には、本発明の請求項に係るコーヒー風味劣化防止装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
電解質を含む水溶液を貯留する内部空間に陽電極を配置し、外部に陰電極を配置し、内部空間と外部との間にイオン通過体を配置した筒状体を備えてプローブを構成すると共に、このプローブの陰電極とイオン通過体とをコーヒー抽出液の液面下に位置させた状態で、前記陽電極と陰電極との間に電力を供給する電力供給部を備えている点にある。
【0010】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、コーヒー抽出液を貯留したデカンタ等の内部にプローブをセットし、このプローブに対して電力供給部から電力を供給することで、プローブの筒状体の内部の陽電極と、筒状体の外部の陰電極との間に電流が流れ、これにより、筒状体の外面の陰電極からの電流が流れるコーヒー抽出液中の水素イオンを水素ガスとして放出除去してpH値を増大させるものとなる。その結果、コーヒー抽出液中の水素イオンを積極的に除去してコーヒーの風味劣化を良好に抑制し得る装置が合理的に構成された。
【0011】
本発明の請求項に係るコーヒー風味劣化防止装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項記載のコーヒー風味劣化防止装置において、前記コーヒー抽出液のpH値を計測するセンサ部を有すると共に、このセンサ部で計測されるpH値に基づいて、前記陽電極と陰電極との間に電力を供給するよう前記電力供給部における制御形態を設定してある点にある。
【0012】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、例えば、コーヒー抽出液のpH値が所定値以下に低下した場合に通電を行うよう電気供給部の制御形態を設定した場合には、この通電によりコーヒーのpH値を所定値より低下させる不都合を解消できる。つまり、コーヒーにおけるpH値の時間経過に伴う変化はコーヒー抽出液の濃度や加温温度やコーヒー豆の焙煎度等によって影響を受けるものであるが、本発明によるとコーヒーの濃度や加温温度等の要因に左右されずにコーヒーのpH値を精度高く調整できる。その結果、精度高くコーヒーの風味劣化を抑制できるものとなった。
【0013】
本発明の請求項に係るコーヒー風味劣化防止装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項記載のコーヒー風味劣化防止装置において、前記プローブの前記陽電極と陰電極との間に供給する電力値を設定する人為入力部を備えると共に、この人為入力部で設定された値の電力を前記陽電極と陰電極との間に供給するよう前記電力供給部における制御形態を設定してある点にある。
【0014】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、人為入力部で電力値を設定することにより、電力供給部が設定された電力を陽電極と陰電極との間に供給する。つまり、コーヒー抽出液のpH値の低下の特性を予め把握しているものでは、その特性に対応してpH値の低下を抑制する制御も可能となる。その結果、特別にセンサ類を備えずともコーヒー抽出液の風味劣化を抑制できるものとなった。
【0015】
本発明の請求項に係るコーヒー風味劣化防止装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項のいずれか1項に記載のコーヒー風味劣化防止装置において、棒状のケースの端部に前記プローブを形成すると共に、このケースの内部に前記電力供給部、及び、バッテリー電源を備えている点にある。
【0016】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、外部から電力を供給しなくて済むので外部にコード類を備えずに済み取り扱いが容易になる。その結果、デカンタ等の容器に対しても簡単にセットして使用できるものとなった。
【0017】
本発明の請求項に係るコーヒー風味劣化防止装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項のいずれか1項に記載のコーヒー風味劣化防止装置において、前記プローブの陰電極とイオン通過体とを前記コーヒー抽出液の液面下に位置させる姿勢となるよう、このプローブ、あるいは、プローブに連設した部材に対して支持部材を備え、この支持部材は、コーヒー抽出液を貯留する容器の開口部分、あるいは、容器の蓋部分に対して取付け及び取外し自在に構成されている点にある。
【0018】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、支持部材を容器の開口部分や容器の蓋部分に対して取付けることで、プローブの姿勢を安定させた状態で陰電極とイオン通過体とをコーヒー抽出液の液面下に位置させてpH値の調整を可能にする。その結果、例えば、棒状のプローブを縦に長い姿勢で使用する場合でも姿勢を安定させて適正にコーヒー抽出液の風味の劣化を抑制できる
【0019】
本発明の請求項に係るコーヒー風味劣化防止装置の特徴、作用・効果は次の通りである。
〔特徴〕
請求項のいずれか1項に記載のコーヒー風味劣化防止装置において、前記コーヒー抽出液を貯留する容器に熱を与えてコーヒーを保温する電気ヒータを備えて成るコーヒーウオーマーからの電力が前記電力供給部に供給されるよう構成されている点にある。
【0020】
〔作用・効果〕
上記特徴によると、コーヒー抽出液を保存する際に一般的に使用されるコーヒーウオーマーからの電力を該コーヒー風味劣化防止装置の電力供給部に供給するので、例えば、コンセントのAC電源から電力を引き込むことや、電源バッテリーを備えること無く、pH値の調整を必要とする際に最も近接する位置に存在するコーヒーウオーマーから供給される電力によりpH値を調整できる。その結果、長いコード類を用いずとも合理的に電力を供給してコーヒー抽出液の風味の劣化を抑制できるものとなった。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、コーヒーの抽出と加熱とが可能なコーヒーメーカM(コーヒーウオーマの一例)で抽出されたコーヒー抽出液Rを貯留するデカンタDの内部にセットして使用される風味維持装置A(コーヒー風味劣化防止装置の一例)が構成されている。
【0022】
前記コーヒーメーカMは、本体1に内蔵したタンク2に満たした水を電気加熱により沸騰させてフィルター3内のコーヒー豆に注ぎ、ドリップする形態でコーヒー豆から抽出したコーヒー抽出液Rを前記デカンタDに貯留するよう構成された一般的な構造を有するものであり、このデカンタDを載置する面にはプレート状の電気ヒータ4を備えている。このコーヒーメーカMは外部のAC電源からの電力でタンク2の水を沸騰させてフィルター3の部位に供給する作動系を備えると共に、加温に適した温度となるよう電気ヒータ4に電力を供給する制御系を備えており、本体1には電源ジャック5(電気供給部の一例)を備え、本体1にはAC電源からの電力を直流に変換して電源ジャック5に供給する電源部6を内蔵している。
【0023】
前記風味維持装置Aは、本発明のコーヒー風味劣化防止装置の構成を具備するものである。
【0024】
つまり、この風味維持装置Aは、図2及び図5に示すように、ロッド状のケース11の端部にコーヒー抽出液Rに通電するプローブPと、コーヒー抽出液RのpH値に対応した信号を出力する半導体型のセンサ部Sとを備えると共に、ケース11の上端には前記電源ジャック5からの電力を受けるプラグ12を有した電源コード13を備えている。このケース11にはデカンタDの開口に係合して該風味維持装置Aを縦長姿勢に安定維持する支持部材10を備えている。
【0025】
この支持部材10は、デカンタDの開口に係合するよう鉤状に成型されているが、この支持部材7を図3に示すようにデカンタDの蓋8に係合するアーム状に構成することや、図4に示すように電源コード13に形成したクリップ状のストッパーに構成することも可能である。
【0026】
前記ケース11の内部には、マイクロプロセッサを備えて成る主制御部15と、PWM制御によりプローブPに供給する電力を制御する電力供給部16と、プローブPの先端に備えた前記センサ部Sからの信号に基づいてコーヒー抽出液RのpH値を求めるpH値判定部17とを備えると共に、ON/OFFスイッチ18と、発光ダイオード(LED)で成るパイロットランプ19とを備えて構成されている。
【0027】
前記プローブPは、ガラス管のように電気的に絶縁性が高く、化学的に安定した素材で成る筒状体21(容器の一例)の内部に白金で成る陽電極22を配置し、筒状体21の外面に螺旋状に巻き付ける状態で白金で成る陰電極23を備え、底部にイオン通過体の一例としての塩橋24を備え、筒状体21の内部に電解質を溶解した水溶液25を貯留して構成され、陽電極22にはプラス(+)、陰電極23にはマイナス(−)となるよう極性を設定して電力供給部16から直流電力が供給される。
【0028】
前記塩橋24は筒状体21の内部空間とコーヒー抽出液Rとの界面に配置されるものであり、寒天(Agar)に塩化カリウム(KCl)を含ませたものを使用するが、この塩橋24に代えて多孔性高分子膜、イオン交換膜、素焼き板、グラスフィルタ等のようにイオンを通過し得る機能を有するものの使用が可能である。そして前記水溶液25に溶解される電解質として食塩(NaCl)が使用されている。
【0029】
このように構成された風味維持装置Aは、デカンタDに貯留されたコーヒー抽出液Rの液面下に前記塩橋24と、前記陰電極23の少なくとも一部を位置させるよう支持部材10をデカンタDの開口部に係合支持し、ON/OFFスイッチ18を操作して装置Aを稼働させることで、コーヒー抽出液Rの風味を維持する制御が実行される。
【0030】
前記制御の概要を図6のフローチャートのように示すことが可能である。つまり、ON/OFFスイッチ18を操作することで、制御が開始され、この制御の開始により、主制御部15がパイロットランプ19を点灯させて制御が開始されたことを使用する者に認識させた後に、センサ部Sからの信号に基づいてpH値判定部17が判定したpH値を示す信号を主制御部15が取得し、主制御部15は、このpH値をイニシャル値Pとして主制御部15のメモリやレジスタに保存する(#101、#102ステップ)。
【0031】
このようにイニシャル値(P)を保存した後には、主制御部15は、予め設定されたインターバルでpH値判定部17で判定されるpH値を取得して計測値Qとして一時的に保存し、この計測値Qと、前述のように保存したイニシャル値Pとを比較演算により偏差ΔRを求める。この偏差ΔRはイニシャル値Pから計測値Qを減ずる演算により求められる値であり、この偏差ΔRが予め設定れた基準値T以上である場合には、主制御部15は電力供給部16を制御することで偏差ΔRに対応した電力値を目標電力に設定し、この電力を両電極22、23の間に供給する(#103〜#106ステップ)。尚、基準値Tは、所謂、不感帯を設定するための数値であり、偏差ΔRが不感帯を超えた場合にのみ通電を行うよう構成することで制御の頻度を低減している。
【0032】
このように電力を供給する際には、偏差ΔRが大きいほど、より高い電圧の電力を供給して、結果として大電力を両電極22、23の間に供給する制御が実行される。そして、通電が行われた場合には、コーヒー抽出液Rから水素イオンを水素ガスとして放出除去してpH値の低下を抑制することで、コーヒー抽出液Rの風味を低下させ、かつ、酸味を増大させる原因物質の生成を抑制するものにしているのである。尚、この通電が行われた際には筒状体21の陽電極22の側から塩素ガスと酸素ガスとが発生して放出される。
【0033】
〔時間経過に伴って変化するpH値の説明〕
加熱状態のコーヒー抽出液Rの風味が時間経過に伴って劣化する現象をpH値の変化に基づいて説明することが可能である。その一例として、図7に「試験方法」として示す条件で抽出されたコーヒー抽出液Rについて説明すると、コーヒー豆の種類や抽出方法により多少の差異があるものの、抽出された直後からのコーヒー抽出液のpH値を時間経過に伴って計測すると、同図の「試験結果」として示すようにpH値が時間経過に伴って低下することを判別できる。そして、このように時間経過に伴ってpH値が低下する場合には、図8に示すように、コーヒー抽出液Rにおける水素イオンの濃度が増加することも判別できる。
【0034】
次に、加熱状態のコーヒー抽出液Rの風味が時間経過と伴って劣化する現象を抑制する目的で、図9に示す〔試験装置−1〕を用いて通電を行った際の試験(試験1、試験2)を以下に説明する。この〔試験装置−1〕は電気ヒータ4で加温可能なコーヒー容器31にコーヒー抽出液Rを貯留し、水溶液容器32に電解質を溶解した水溶液33を貯留し、水溶液容器32の内部に白金製の陽電極34を配置し、コーヒー容器31の内部に白金製の陰電極35を配置し、夫々の容器31、32に貯留したコーヒー抽出液Rと水溶液33との界面に亘って塩橋36を配置し、夫々の電極34、35の間に直流電流を供給する電源37を備えている。この〔試験装置−1〕では塩橋36として塩化カリウム(KCl)を含む寒天(Agar)を使用し、電解質としてNalを使用して水溶液の濃度を5%に設定している。
【0035】
〔試験1〕
図10に試験1の結果を示している。この試験1では、前述した〔試験装置−1〕を使用し、図中に「試験方法」として示すように条件を設定して、異なる電圧を両電極34、35に印加して通電を行った際において中和された水素イオン量を「試験結果」としてグラフ化しており、このグラフから、両電極34、35に陰画する電圧が高いほど、中和された水素イオン量が多いことを判別できる。つまり、電圧を高めるほど、両電極34、35に流れる電流値も比例的に増大し、結果として大きい電力を供給するほど中和される水素イオン量が増加することを判別できる。
【0036】
〔試験2〕
図11に試験2の結果を示している。この試験2では、前述した〔試験装置−1〕を使用し、図中に「試験方法」として示すように塩橋36の断面積を設定して、両電極34、35に等しい電圧印加した場合において中和された水素イオン量を「試験結果」としてグラフ化しており、このグラフから塩橋36の断面積が大きいほど、中和された水素イオンの量が多いことを判別できる。つまり、塩橋36の断面積が大きいほど塩橋36を通過し得る電流の増大が許され、その結果として断面積が大きい塩橋36を使用することで中和される水素イオン量を増大させることを判別できる。
【0037】
〔官能評価〕
図12に官能評価を結果を示している。この官能評価では、前述した〔試験装置−1〕を使用し、図中に「試験方法」として示すように、試験方法を設定して得たコーヒー抽出液Rを人の味覚に基づき官能評価したものであり、同図の「試験結果」として示すように熱劣化抑制品(本発明の風味維持装置Aの原理に基づいて劣化を抑制してもの)はイニシャルより、僅かな劣化を認めれるものであることが判別できる。
【0038】
つまり、加熱状態のコーヒー抽出液Rの風味が時間経過と伴って劣化する現象は、既に説明したように、りんご酸、ぎ酸、クエン酸、酢酸、グリコール酸、リン酸等、ロースティング中に生成したエステル及びキナ酸ラクトンの加水分解による生成物の作用が考えられており、pH値を調整することで風味の低下を抑制できることも考えられていたものの、コーヒー抽出液Rに対してpH調整剤(炭酸水素ナトリウム等)を添加することは非現実的であった。これに対して、本発明の風味維持装置Aは、コーヒー抽出液Rを加温して保存する場合には、コーヒー抽出液Rを保存するデカンタD等にセットして稼働させるだけで、稼働直後のコーヒー抽出液RのpH値(イニシャル値)を自動的に保存し、時間経過に伴ってコーヒー抽出液RのpH値(計測値)が低下した場合には、pH値の低下量が大きいほど、大きい電力を両電極22、23間に通電を行ってpH値の変化率に拘わらず必要とする量の水素イオンを中和してpH値の低下を阻止し、結果として、〔官能評価〕に示すように、風味の劣化を阻止して良好な風味を長時間維持できるものにしているのである。特に、この風味維持装置Aは、コーヒーメーカMからの電力で稼働するので、AC電源から電力を得るための長いコードを備えずに済むものにしている。
【0039】
〔別実施の形態〕
本発明は上記実施の形態以外に、例えば、以下にように構成して実施することも可能である(この別実施の形態では前記実施の形態と同じ機能を有するものには、実施の形態と共通の番号、符号を付している)。
【0040】
図13に示すように、この風味維持装置Aは、棒状のケース11の端部にプローブPを備えて成り、ケース11の内部には、マイクロプロセッサを備えて成る主制御部15と、PWM制御によりプローブPに供給する電力を制御する電力供給部16とを備えると共に、複数のスイッチを備えて成るスイッチユニット41(人為入力部の一例)と、液晶ディスプレイ42(LCD)と、これらに電力を供給するバッテリー電源43とを備えて構成されている。前記プローブPは前記実施の形態に記載したものと基本的に変わるところは無い。この風味維持装置Aでは図14のフローチャートに示す制御を実行するよう主制御部15の処理形態が設定されている。
【0041】
つまり、スイッチユニット44の操作で該装置Aを起動した場合には、液晶ディスプレイ45に対して制御モードの選択を促す表示を行い、この表示に基づいてスイッチユニット44を操作することによりモードが設定されると(#201、#202ステップ)、プローブPの両電極22、23間に供給する電力の値(目標値)を設定し、この設定が終了すると、設定された制御モードに従って電力の供給を行い、この電力の供給状態をスイッチユニット44のOFF操作で制御が解除されるまで継続するのである(#203〜#206ステップ)。モードについて説明すると、前述したようにコーヒー抽出液Rの風味の時間経過に伴う変化は、コーヒー豆の種類、抽出形態により固有の特性を有するものであり、この特性から通電すべき電力も異なる。このことから、この複数種の通電形態をデータ化して予めメモリにセットしたものをモードと称しているのであり、このように設定された複数種のモードから、コーヒー抽出液Rに対応した1つを選択することにより、時間経過に伴って最適な通電が実行され、風味が劣化する現象を抑制するものにしているのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 コーヒーメーカ、デカンタ、風味維持装置を示す側面図
【図2】 デカンタにセットした風味維持装置を示す側面図
【図3】 風味維持装置のセット例を示す側面図
【図4】 風味維持装置のセット例を示す側面図
【図5】 風味維持装置の構成を示す模式図
【図6】 味維持装置の制御動作を示すフローチャート
【図7】 コーヒー抽出液の時間経過に伴うpH値の変化を説明する図
【図8】 コーヒー抽出液の水素イオン濃度を説明する図
【図9】 試験装置−1の構成を示す図
【図10】 コーヒー抽出液に対する通電と中和された水素イオンとの関係を説明する図
【図11】 塩橋の断面積と中和された水素イオンとの関係を説明する図
【図12】 官能評価を説明する図
【図13】 別実施の形態の風味維持装置の構成を示す模式図
【図14】 別実施の形態の風味維持装置の制御動作を示すフローチャート
【符号の説明】
4 電気ヒータ
5 電気供給部
8 蓋
11 ケース
16 電力供給部
22・34 陽電極
23・35 陰電極
21・31 容器
25・33 水溶液
41 人為入力部
43 バッテリー電源
D 容器
M コーヒーウオーマー
P プローブ
R コーヒー抽出液
S センサ部

Claims (6)

  1. 電解質を含む水溶液を貯留する内部空間に陽電極を配置し、外部に陰電極を配置し、内部空間と外部との間にイオン通過体を配置した筒状体を備えてプローブを構成すると共に、このプローブの陰電極とイオン通過体とをコーヒー抽出液の液面下に位置させた状態で、前記陽電極と陰電極との間に電力を供給する電力供給部を備えているコーヒー風味劣化防止装置。
  2. 前記コーヒー抽出液のpH値を計測するセンサ部を有すると共に、このセンサ部で計測されるpH値に基づいて、前記陽電極と陰電極との間に電力を供給するよう前記電力供給部における制御形態を設定してある請求項記載のコーヒー風味劣化防止装置。
  3. 前記プローブの前記陽電極と陰電極との間に供給する電力値を設定する人為入力部を備えると共に、この人為入力部で設定された値の電力を前記陽電極と陰電極との間に供給するよう前記電力供給部における制御形態を設定してある請求項記載のコーヒー風味劣化防止装置。
  4. 棒状のケースの端部に前記プローブを形成すると共に、このケースの内部に前記電力供給部、及び、バッテリー電源を備えている請求項のいずれか1項に記載のコーヒー風味劣化防止装置。
  5. 前記プローブの陰電極とイオン通過体とを前記コーヒー抽出液の液面下に位置させる姿勢となるよう、このプローブ、あるいは、プローブに連設した部材に対して支持部材を備え、この支持部材は、コーヒー抽出液を貯留する容器の開口部分、あるいは、容器の蓋部分に対して取付け及び取外し自在に構成されている請求項のいずれか1項に記載のコーヒー風味劣化防止装置。
  6. 前記コーヒー抽出液を貯留する容器に熱を与えてコーヒーを保温する電気ヒータを備えて成るコーヒーウオーマーからの電力が前記電力供給部に供給されるよう構成されている請求項のいずれか1項に記載のコーヒー風味劣化防止装置。
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