JP2003284495A - コーヒー風味劣化防止方法及びコーヒー風味劣化防止装置 - Google Patents

コーヒー風味劣化防止方法及びコーヒー風味劣化防止装置

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修一 平吹
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久典 森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加温状態で長時間保存した場合でも、そのコ
ーヒー抽出液の風味劣化を抑制し得る装置を合理的に構
成する。 【解決手段】 電解質を含む水溶液25を貯留する内部
空間に陽電極22を配置し、外面に陰電極23を備え、
底面に塩橋24を備えてプローブPを構成すると共に、
このプローブPの陰電極23と塩橋24とをコーヒー抽
出液Rの液面下に位置させた状態で、陽電極22と陰電
極23との間に直流電力を供給することで、コーヒー抽
出液Rの水素イオンを陰電極23の側から水素ガスとし
て放出するよう構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コーヒー風味劣化
防止方法及びコーヒー風味劣化防止装置に関し、詳しく
は、コーヒー抽出液をコーヒーウオーマー等で加熱状態
で保存する際において風味の劣化を防止する技術に関す
る。
【0002】
【従来の技術】コーヒーの風味が劣化する現象について
考えるに、例えば、コーヒーメーカー等で抽出したコー
ヒー抽出液をデカンタに満たし、コーヒーウオーマーで
加温する状態において、コーヒー抽出液中の水素イオン
濃度に着目すると、時間経過に伴って水素イオンが増加
(pH値の減少)し、酸度が増大し、結果として、味覚
的にコーヒー抽出液の風味が低下し、酸味が増大して飲
用価値を損なうものとなっている。この現象は、特に加
温の温度が高温であるほど風味の低下と酸味の増大とが
顕著に現れることとして知られている。このように風味
が低下し、酸味が増大する原因として、コーヒー抽出液
中において、りんご酸、ぎ酸、クエン酸、酢酸、グリコ
ール酸、リン酸等、ロースティング中に生成したエステ
ル及びキナ酸ラクトンの加水分解による生成物の作用が
推定されている。このように抽出液の風味が低下し、酸
味が増大する不都合を抑制するために、コーヒー抽出液
に対してpH調整剤(炭酸水素ナトリウム等)を添加し
てpH値の低下を抑制する技術も存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の技
術で説明したように、コーヒー抽出液に対してpH調整
剤を添加する技術を考えるに、pH調整剤を添加する際
にはコーヒーのpH値を計測し、この計測値に基づいて
pH調整剤の添加量を求めて適正な量を添加する必要が
あるものの、このような形態で添加する場合には等手間
が掛かり過ぎる点において非現実的である。
【0004】本発明の目的は、コーヒー抽出液をデカン
タ等で加温状態で長時間保存した場合でも、そのコーヒ
ーの風味劣化を抑制し得る方法、及び、装置を合理的に
構成する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
コーヒー風味劣化防止方法の特徴、作用・効果は次の通
りである。 〔特徴〕コーヒー抽出液に通電を行い、この通電により
コーヒー抽出液中の水素イオン濃度の増大を抑制する点
にある。
【0006】〔作用・効果〕上記特徴によると、コーヒ
ー抽出液に対して通電を行うことでコーヒー抽出液中の
水素イオン濃度の増大を抑制するので、従来の技術で説
明したようにpH調整剤を添加する必要が無く、pH値
の増大を抑制する際の操作も容易となる。その結果、p
H調整剤を用いずとも極めて簡単な処理でコーヒーの風
味劣化を抑制し得る方法が得られた。
【0007】本発明の請求項2に係るコーヒー風味劣化
防止方法の特徴、作用・効果は次の通りである。 〔特徴〕請求項1記載のコーヒー風味劣化防止方法にお
いて、電解質を含む水溶液を貯留する容器内に陽電極を
配置し、この容器内とコーヒー抽出液との界面にイオン
通過体を配置し、コーヒー抽出液中に陰電極を配置し、
陽電極と陰電極との間に通電してコーヒー抽出液中の水
素イオン濃度の増大を抑制する点にある。
【0008】〔作用・効果〕上記特徴によると、陽電極
と陰電極との間に通電することにより、コーヒー抽出液
に接触する陰電極の側から水素イオンを水素ガスとして
放出除去して水素イオンの低減することでpH値を増大
させることが可能となり、風味を低下させる原因物質
や、酸味を増大させる原因物質の生成を抑制できる。そ
の結果、コーヒー抽出液中の水素イオンを積極的に除去
してコーヒーの風味劣化を良好に抑制し得る方法が得ら
れた。ここで、イオン通過体とはイオンを通過させる機
能を有するものの総称であり、例えば、寒天(Aga
r)に塩化カリウム(KCl)を含ませた塩橋ばかりで
なく、多孔性高分子膜、イオン交換膜、素焼き板、グラ
スフィルタ等を、イオン通過体として、これらの使用が
可能である。
【0009】本発明の請求項3に係るコーヒー風味劣化
防止装置の特徴、作用・効果は次の通りである。 〔特徴〕電解質を含む水溶液を貯留する内部空間に陽電
極を配置し、外部に陰電極を配置し、内部空間と外部と
の間にイオン通過体を配置した筒状体を備えてプローブ
を構成すると共に、このプローブの陰電極とイオン通過
体とをコーヒー抽出液の液面下に位置させた状態で、前
記陽電極と陰電極との間に電力を供給する電力供給部を
備えている点にある。
【0010】〔作用・効果〕上記特徴によると、コーヒ
ー抽出液を貯留したデカンタ等の内部にプローブをセッ
トし、このプローブに対して電力供給部から電力を供給
することで、プローブの筒状体の内部の陽電極と、筒状
体の外部の陰電極との間に電流が流れ、これにより、筒
状体の外面の陰電極からの電流が流れるコーヒー抽出液
中の水素イオンを水素ガスとして放出除去してpH値を
増大させるものとなる。その結果、コーヒー抽出液中の
水素イオンを積極的に除去してコーヒーの風味劣化を良
好に抑制し得る装置が合理的に構成された。
【0011】本発明の請求項4に係るコーヒー風味劣化
防止装置の特徴、作用・効果は次の通りである。 〔特徴〕請求項3記載のコーヒー風味劣化防止装置にお
いて、前記コーヒー抽出液のpH値を計測するセンサ部
を有すると共に、このセンサ部で計測されるpH値に基
づいて、前記陽電極と陰電極との間に電力を供給するよ
う前記電力供給部における制御形態を設定してある点に
ある。
【0012】〔作用・効果〕上記特徴によると、例え
ば、コーヒー抽出液のpH値が所定値以下に低下した場
合に通電を行うよう電気供給部の制御形態を設定した場
合には、この通電によりコーヒーのpH値を所定値より
低下させる不都合を解消できる。つまり、コーヒーにお
けるpH値の時間経過に伴う変化はコーヒー抽出液の濃
度や加温温度やコーヒー豆の焙煎度等によって影響を受
けるものであるが、本発明によるとコーヒーの濃度や加
温温度等の要因に左右されずにコーヒーのpH値を精度
高く調整できる。その結果、精度高くコーヒーの風味劣
化を抑制できるものとなった。
【0013】本発明の請求項5に係るコーヒー風味劣化
防止装置の特徴、作用・効果は次の通りである。 〔特徴〕請求項3記載のコーヒー風味劣化防止装置にお
いて、前記プローブの前記陽電極と陰電極との間に供給
する電力値を設定する人為入力部を備えると共に、この
人為入力部で設定された値の電力を前記陽電極と陰電極
との間に供給するよう前記電力供給部における制御形態
を設定してある点にある。
【0014】〔作用・効果〕上記特徴によると、人為入
力部で電力値を設定することにより、電力供給部が設定
された電力を陽電極と陰電極との間に供給する。つま
り、コーヒー抽出液のpH値の低下の特性を予め把握し
ているものでは、その特性に対応してpH値の低下を抑
制する制御も可能となる。その結果、特別にセンサ類を
備えずともコーヒー抽出液の風味劣化を抑制できるもの
となった。
【0015】本発明の請求項6に係るコーヒー風味劣化
防止装置の特徴、作用・効果は次の通りである。 〔特徴〕請求項3〜5のいずれか1項に記載のコーヒー
風味劣化防止装置において、棒状のケースの端部に前記
プローブを形成すると共に、このケースの内部に前記電
力供給部、及び、バッテリー電源を備えている点にあ
る。
【0016】〔作用・効果〕上記特徴によると、外部か
ら電力を供給しなくて済むので外部にコード類を備えず
に済み取り扱いが容易になる。その結果、デカンタ等の
容器に対しても簡単にセットして使用できるものとなっ
た。
【0017】本発明の請求項7に係るコーヒー風味劣化
防止装置の特徴、作用・効果は次の通りである。 〔特徴〕請求項3〜6のいずれか1項に記載のコーヒー
風味劣化防止装置において、前記プローブの陰電極とイ
オン通過体とを前記コーヒー抽出液の液面下に位置させ
る姿勢となるよう、このプローブ、あるいは、プローブ
に連設した部材に対して支持部材を備え、この支持部材
は、コーヒー抽出液を貯留する容器の開口部分、あるい
は、容器の蓋部分に対して取付け及び取外し自在に構成
されている点にある。
【0018】〔作用・効果〕上記特徴によると、支持部
材を容器の開口部分や容器の蓋部分に対して取付けるこ
とで、プローブの姿勢を安定させた状態で陰電極とイオ
ン通過体とをコーヒー抽出液の液面下に位置させてpH
値の調整を可能にする。その結果、例えば、棒状のプロ
ーブを縦に長い姿勢で使用する場合でも姿勢を安定させ
て適正にコーヒー抽出液の風味の劣化を抑制できる
【0019】本発明の請求項8に係るコーヒー風味劣化
防止装置の特徴、作用・効果は次の通りである。 〔特徴〕請求項3〜7のいずれか1項に記載のコーヒー
風味劣化防止装置において、前記コーヒー抽出液を貯留
する容器に熱を与えてコーヒーを保温する電気ヒータを
備えて成るコーヒーウオーマーからの電力が前記電力供
給部に供給されるよう構成されている点にある。
【0020】〔作用・効果〕上記特徴によると、コーヒ
ー抽出液を保存する際に一般的に使用されるコーヒーウ
オーマーからの電力を該コーヒー風味劣化防止装置の電
力供給部に供給するので、例えば、コンセントのAC電
源から電力を引き込むことや、電源バッテリーを備える
こと無く、pH値の調整を必要とする際に最も近接する
位置に存在するコーヒーウオーマーから供給される電力
によりpH値を調整できる。その結果、長いコード類を
用いずとも合理的に電力を供給してコーヒー抽出液の風
味の劣化を抑制できるものとなった。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、コー
ヒーの抽出と加熱とが可能なコーヒーメーカM(コーヒ
ーウオーマの一例)で抽出されたコーヒー抽出液Rを貯
留するデカンタDの内部にセットして使用される風味維
持装置A(コーヒー風味劣化防止装置の一例)が構成さ
れている。
【0022】前記コーヒーメーカMは、本体1に内蔵し
たタンク2に満たした水を電気加熱により沸騰させてフ
ィルター3内のコーヒー豆に注ぎ、ドリップする形態で
コーヒー豆から抽出したコーヒー抽出液Rを前記デカン
タDに貯留するよう構成された一般的な構造を有するも
のであり、このデカンタDを載置する面にはプレート状
の電気ヒータ4を備えている。このコーヒーメーカMは
外部のAC電源からの電力でタンク2の水を沸騰させて
フィルター3の部位に供給する作動系を備えると共に、
加温に適した温度となるよう電気ヒータ4に電力を供給
する制御系を備えており、本体1には電源ジャック5
(電気供給部の一例)を備え、本体1にはAC電源から
の電力を直流に変換して電源ジャック5に供給する電源
部6を内蔵している。
【0023】前記風味維持装置Aは、本発明のコーヒー
風味劣化防止装置の構成を具備し、又、本発明のコーヒ
ー風味劣化防止方法を実現するものである。
【0024】つまり、この風味維持装置Aは、図2及び
図5に示すように、ロッド状のケース11の端部にコー
ヒー抽出液Rに通電するプローブPと、コーヒー抽出液
RのpH値に対応した信号を出力する半導体型のセンサ
部Sとを備えると共に、ケース11の上端には前記電源
ジャック5からの電力を受けるプラグ12を有した電源
コード13を備えている。このケース11にはデカンタ
Dの開口に係合して該風味維持装置Aを縦長姿勢に安定
維持する支持部材10を備えている。
【0025】この支持部材10は、デカンタDの開口に
係合するよう鉤状に成型されているが、この支持部材7
を図3に示すようにデカンタDの蓋8に係合するアーム
状に構成することや、図4に示すように電源コード13
に形成したクリップ状のストッパーに構成することも可
能である。
【0026】前記ケース11の内部には、マイクロプロ
セッサを備えて成る主制御部15と、PWM制御により
プローブPに供給する電力を制御する電力供給部16
と、プローブPの先端に備えた前記センサ部Sからの信
号に基づいてコーヒー抽出液RのpH値を求めるpH値
判定部17とを備えると共に、ON/OFFスイッチ1
8と、発光ダイオード(LED)で成るパイロットラン
プ19とを備えて構成されている。
【0027】前記プローブPは、ガラス管のように電気
的に絶縁性が高く、化学的に安定した素材で成る筒状体
21(容器の一例)の内部に白金で成る陽電極22を配
置し、筒状体21の外面に螺旋状に巻き付ける状態で白
金で成る陰電極23を備え、底部にイオン通過体の一例
としての塩橋24を備え、筒状体21の内部に電解質を
溶解した水溶液25を貯留して構成され、陽電極22に
はプラス(+)、陰電極23にはマイナス(−)となる
よう極性を設定して電力供給部16から直流電力が供給
される。
【0028】前記塩橋24は筒状体21の内部空間とコ
ーヒー抽出液Rとの界面に配置されるものであり、寒天
(Agar)に塩化カリウム(KCl)を含ませたもの
を使用するが、この塩橋24に代えて多孔性高分子膜、
イオン交換膜、素焼き板、グラスフィルタ等のようにイ
オンを通過し得る機能を有するものの使用が可能であ
る。そして前記水溶液25に溶解される電解質として食
塩(NaCl)が使用されている。
【0029】このように構成された風味維持装置Aは、
デカンタDに貯留されたコーヒー抽出液Rの液面下に前
記塩橋24と、前記陰電極23の少なくとも一部を位置
させるよう支持部材10をデカンタDの開口部に係合支
持し、ON/OFFスイッチ18を操作して装置Aを稼
働させることで、コーヒー抽出液Rの風味を維持する制
御が実行される。
【0030】前記制御の概要を図6のフローチャートの
ように示すことが可能である。つまり、ON/OFFス
イッチ18を操作することで、制御が開始され、この制
御の開始により、主制御部15がパイロットランプ19
を点灯させて制御が開始されたことを使用する者に認識
させた後に、センサ部Sからの信号に基づいてpH値判
定部17が判定したpH値を示す信号を主制御部15が
取得し、主制御部15は、このpH値をイニシャル値P
として主制御部15のメモリやレジスタに保存する(#
101、#102ステップ)。
【0031】このようにイニシャル値(P)を保存した
後には、主制御部15は、予め設定されたインターバル
でpH値判定部17で判定されるpH値を取得して計測
値Qとして一時的に保存し、この計測値Qと、前述のよ
うに保存したイニシャル値Pとを比較演算により偏差Δ
Rを求める。この偏差ΔRはイニシャル値Pから計測値
Qを減ずる演算により求められる値であり、この偏差Δ
Rが予め設定れた基準値T以上である場合には、主制御
部15は電力供給部16を制御することで偏差ΔRに対
応した電力値を目標電力に設定し、この電力を両電極2
2、23の間に供給する(#103〜#106ステッ
プ)。尚、基準値Tは、所謂、不感帯を設定するための
数値であり、偏差ΔRが不感帯を超えた場合にのみ通電
を行うよう構成することで制御の頻度を低減している。
【0032】このように電力を供給する際には、偏差Δ
Rが大きいほど、より高い電圧の電力を供給して、結果
として大電力を両電極22、23の間に供給する制御が
実行される。そして、通電が行われた場合には、コーヒ
ー抽出液Rから水素イオンを水素ガスとして放出除去し
てpH値の低下を抑制することで、コーヒー抽出液Rの
風味を低下させ、かつ、酸味を増大させる原因物質の生
成を抑制するものにしているのである。尚、この通電が
行われた際には筒状体21の陽電極22の側から塩素ガ
スと酸素ガスとが発生して放出される。
【0033】〔時間経過に伴って変化するpH値の説
明〕加熱状態のコーヒー抽出液Rの風味が時間経過に伴
って劣化する現象をpH値の変化に基づいて説明するこ
とが可能である。その一例として、図7に「試験方法」
として示す条件で抽出されたコーヒー抽出液Rについて
説明すると、コーヒー豆の種類や抽出方法により多少の
差異があるものの、抽出された直後からのコーヒー抽出
液のpH値を時間経過に伴って計測すると、同図の「試
験結果」として示すようにpH値が時間経過に伴って低
下することを判別できる。そして、このように時間経過
に伴ってpH値が低下する場合には、図8に示すよう
に、コーヒー抽出液Rにおける水素イオンの濃度が増加
することも判別できる。
【0034】次に、加熱状態のコーヒー抽出液Rの風味
が時間経過と伴って劣化する現象を抑制する目的で、図
9に示す〔試験装置−1〕を用いて通電を行った際の試
験(試験1、試験2)を以下に説明する。この〔試験装
置−1〕は電気ヒータ4で加温可能なコーヒー容器31
にコーヒー抽出液Rを貯留し、水溶液容器32に電解質
を溶解した水溶液33を貯留し、水溶液容器32の内部
に白金製の陽電極34を配置し、コーヒー容器31の内
部に白金製の陰電極35を配置し、夫々の容器31、3
2に貯留したコーヒー抽出液Rと水溶液33との界面に
亘って塩橋36を配置し、夫々の電極34、35の間に
直流電流を供給する電源37を備えている。この〔試験
装置−1〕では塩橋36として塩化カリウム(KCl)
を含む寒天(Agar)を使用し、電解質としてNac
lを使用して水溶液の濃度を5%に設定している。
【0035】〔試験1〕図10に試験1の結果を示して
いる。この試験1では、前述した〔試験装置−1〕を使
用し、図中に「試験方法」として示すように条件を設定
して、異なる電圧を両電極34、35に印加して通電を
行った際において中和された水素イオン量を「試験結
果」としてグラフ化しており、このグラフから、両電極
34、35に陰画する電圧が高いほど、中和された水素
イオン量が多いことを判別できる。つまり、電圧を高め
るほど、両電極34、35に流れる電流値も比例的に増
大し、結果として大きい電力を供給するほど中和される
水素イオン量が増加することを判別できる。
【0036】〔試験2〕図11に試験2の結果を示して
いる。この試験2では、前述した〔試験装置−1〕を使
用し、図中に「試験方法」として示すように塩橋36の
断面積を設定して、両電極34、35に等しい電圧印加
した場合において中和された水素イオン量を「試験結
果」としてグラフ化しており、このグラフから塩橋36
の断面積が大きいほど、中和された水素イオンの量が多
いことを判別できる。つまり、塩橋36の断面積が大き
いほど塩橋36を通過し得る電流の増大が許され、その
結果として断面積が大きい塩橋36を使用することで中
和される水素イオン量を増大させることを判別できる。
【0037】〔官能評価〕図12に官能評価を結果を示
している。この官能評価では、前述した〔試験装置−
1〕を使用し、図中に「試験方法」として示すように、
試験方法を設定して得たコーヒー抽出液Rを人の味覚に
基づき官能評価したものであり、同図の「試験結果」と
して示すように熱劣化抑制品(本発明の風味維持装置A
の原理に基づいて劣化を抑制してもの)はイニシャルよ
り、僅かな劣化を認めれれるものであることが判別でき
る。
【0038】つまり、加熱状態のコーヒー抽出液Rの風
味が時間経過と伴って劣化する現象は、既に説明したよ
うに、りんご酸、ぎ酸、クエン酸、酢酸、グリコール
酸、リン酸等、ロースティング中に生成したエステル及
びキナ酸ラクトンの加水分解による生成物の作用が考え
られており、pH値を調整することで風味の低下を抑制
できることも考えられていたものの、コーヒー抽出液R
に対してpH調整剤(炭酸水素ナトリウム等)を添加す
ることは非現実的であった。これに対して、本発明の風
味維持装置Aは、コーヒー抽出液Rを加温して保存する
場合には、コーヒー抽出液Rを保存するデカンタD等に
セットして稼働させるだけで、稼働直後のコーヒー抽出
液RのpH値(イニシャル値)を自動的に保存し、時間
経過に伴ってコーヒー抽出液RのpH値(計測値)が低
下した場合には、pH値の低下量が大きいほど、大きい
電力を両電極22、23間に通電を行ってpH値の変化
率に拘わらず必要とする量の水素イオンを中和してpH
値の低下を阻止し、結果として、〔官能評価〕に示すよ
うに、風味の劣化を阻止して良好な風味を長時間維持で
きるものにしているのである。特に、この風味維持装置
Aは、コーヒーメーカMからの電力で稼働するので、A
C電源から電力を得るための長いコードを備えずに済む
ものにしている。
【0039】〔別実施の形態〕本発明は上記実施の形態
以外に、例えば、以下にように構成して実施することも
可能である(この別実施の形態では前記実施の形態と同
じ機能を有するものには、実施の形態と共通の番号、符
号を付している)。
【0040】図13に示すように、この風味維持装置A
は、棒状のケース11の端部にプローブPを備えて成
り、ケース11の内部には、マイクロプロセッサを備え
て成る主制御部15と、PWM制御によりプローブPに
供給する電力を制御する電力供給部16とを備えると共
に、複数のスイッチを備えて成るスイッチユニット41
(人為入力部の一例)と、液晶ディスプレイ42(LC
D)と、これらに電力を供給するバッテリー電源43と
を備えて構成されている。前記プローブPは前記実施の
形態に記載したものと基本的に変わるところは無い。こ
の風味維持装置Aでは図14のフローチャートに示す制
御を実行するよう主制御部15の処理形態が設定されて
いる。
【0041】つまり、スイッチユニット44の操作で該
装置Aを起動した場合には、液晶ディスプレイ45に対
して制御モードの選択を促す表示を行い、この表示に基
づいてスイッチユニット44を操作することによりモー
ドが設定されると(#201、#202ステップ)、プ
ローブPの両電極22、23間に供給する電力の値(目
標値)を設定し、この設定が終了すると、設定された制
御モードに従って電力の供給を行い、この電力の供給状
態をスイッチユニット44のOFF操作で制御が解除さ
れるまで継続するのである(#203〜#206ステッ
プ)。モードについて説明すると、前述したようにコー
ヒー抽出液Rの風味の時間経過に伴う変化は、コーヒー
豆の種類、抽出形態により固有の特性を有するものであ
り、この特性から通電すべき電力も異なる。このことか
ら、この複数種の通電形態をデータ化して予めメモリに
セットしたものをモードと称しているのであり、このよ
うに設定された複数種のモードから、コーヒー抽出液R
に対応した1つを選択することにより、時間経過に伴っ
て最適な通電が実行され、風味が劣化する現象を抑制す
るものにしているのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】コーヒーメーカ、デカンタ、風味維持装置を示
す側面図
【図2】デカンタにセットした風味維持装置を示す側面
【図3】風味維持装置のセット例を示す側面図
【図4】風味維持装置のセット例を示す側面図
【図5】風味維持装置の構成を示す模式図
【図6】風味維持装置の風味維持装置の制御動作を示す
フローチャート
【図7】コーヒー抽出液の時間経過に伴うpH値の変化
を説明する図
【図8】コーヒー抽出液の水素イオン濃度を説明する図
【図9】試験装置−1の構成を示す図
【図10】コーヒー抽出液に対する通電と中和された水
素イオンとの関係を説明する図
【図11】塩橋の断面積と中和された水素イオンとの関
係を説明する図
【図12】官能評価を説明する図
【図13】別実施の形態の風味維持装置の構成を示す模
式図
【図14】別実施の形態の風味維持装置の制御動作を示
すフローチャート
【符号の説明】
4 電気ヒータ 5 電気供給部 8 蓋 11 ケース 16 電力供給部 22・34 陽電極 23・35 陰電極 21・31 容器 25・33 水溶液 41 人為入力部 43 バッテリー電源 D 容器 M コーヒーウオーマー P プローブ R コーヒー抽出液 S センサ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神田 昌志 大阪府高槻市辻子3丁目1番4号 ユーシ ーシー上島珈琲株式会社R&Dセンター内 Fターム(参考) 4B004 BA42 BA50 CA30 4B027 FB21 FC02 FE06 FQ11 FQ20 4B035 LC01 LE03 LP49

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コーヒー抽出液に通電を行い、この通電
    によりコーヒー抽出液中の水素イオン濃度の増大を抑制
    するコーヒー風味劣化防止方法。
  2. 【請求項2】 電解質を含む水溶液を貯留する容器内に
    陽電極を配置し、この容器内とコーヒー抽出液との界面
    にイオン通過体を配置し、コーヒー抽出液中に陰電極を
    配置し、陽電極と陰電極との間に通電してコーヒー抽出
    液中の水素イオン濃度の増大を抑制する請求項1記載の
    コーヒー風味劣化防止方法。
  3. 【請求項3】 電解質を含む水溶液を貯留する内部空間
    に陽電極を配置し、外部に陰電極を配置し、内部空間と
    外部との間にイオン通過体を配置した筒状体を備えてプ
    ローブを構成すると共に、このプローブの陰電極とイオ
    ン通過体とをコーヒー抽出液の液面下に位置させた状態
    で、前記陽電極と陰電極との間に電力を供給する電力供
    給部を備えているコーヒー風味劣化防止装置。
  4. 【請求項4】 前記コーヒー抽出液のpH値を計測する
    センサ部を有すると共に、このセンサ部で計測されるp
    H値に基づいて、前記陽電極と陰電極との間に電力を供
    給するよう前記電力供給部における制御形態を設定して
    ある請求項3記載のコーヒー風味劣化防止装置。
  5. 【請求項5】 前記プローブの前記陽電極と陰電極との
    間に供給する電力値を設定する人為入力部を備えると共
    に、この人為入力部で設定された値の電力を前記陽電極
    と陰電極との間に供給するよう前記電力供給部における
    制御形態を設定してある請求項3記載のコーヒー風味劣
    化防止装置。
  6. 【請求項6】 棒状のケースの端部に前記プローブを形
    成すると共に、このケースの内部に前記電力供給部、及
    び、バッテリー電源を備えている請求項3〜5のいずれ
    か1項に記載のコーヒー風味劣化防止装置。
  7. 【請求項7】 前記プローブの陰電極とイオン通過体と
    を前記コーヒー抽出液の液面下に位置させる姿勢となる
    よう、このプローブ、あるいは、プローブに連設した部
    材に対して支持部材を備え、この支持部材は、コーヒー
    抽出液を貯留する容器の開口部分、あるいは、容器の蓋
    部分に対して取付け及び取外し自在に構成されている請
    求項3〜6のいずれか1項に記載のコーヒー風味劣化防
    止装置。
  8. 【請求項8】 前記コーヒー抽出液を貯留する容器に熱
    を与えてコーヒーを保温する電気ヒータを備えて成るコ
    ーヒーウオーマーからの電力が前記電力供給部に供給さ
    れるよう構成されている請求項3〜7のいずれか1項に
    記載のコーヒー風味劣化防止装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011097832A (ja) * 2009-11-04 2011-05-19 T Hasegawa Co Ltd 焙煎植物原料水性エキスの酢酸低減方法
KR101886406B1 (ko) * 2017-02-14 2018-08-09 그래메디스 주식회사 수소 커피 제조장치

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