JP3700039B2 - プラスチックフィルム製複室容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は複室容器、特に抗生物質等の酸素によって変質しやすい粉末剤を、酸化分解を起させずに長期間安定に保存可能とする、ガスバリア性外装フィルムに外装されてなるプラスチックフィルム製複室容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
抗生物質等の酸素によって変質しやすい粉末剤は、酸素の影響を除くためにガラス製容器に収容するのが一般的であったが、本願人らは、先にかかる抗生物質等を可撓性プラスチックフィルム容器(バッグ)に収容し、更に酸素の悪影響を回避するために、該容器本体をガスバリア性外装容器で外装(包装)し且つ上記本体容器と外装容器との空間部に脱酸素剤を収容させて流通させる手段(複室容器)を提供した(特開平4−364850号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この手段の採用では、製品の製造に、脱酸素剤収納工程が必須となり、そのための製品コストを上昇させる余分の繁雑な操作が必要となり、また該脱酸素剤の収納もれ等の起こる危険が懸念されたり、脱酸素剤の保存条件によっては、酸素吸収能にバラツキが生じる虞があり、更なる改善が要望された。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記複室容器に代わって、それに見られる弊害を解消し得、しかも充分な長期保存効果、殊に抗生物質等の粉末剤の酸化分解を長期に亘って防止可能な新しい複室容器を提供する点にある。
【0005】
本発明者らは鋭意研究の結果、上記目的が下記特定の複室容器により達成されることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明によれば、用時連通可能な隔壁機構を有する複数の室に区画されたプラスチックフィルム製容器の少なくとも一室に酸素により変質しやすい粉末剤を収納し、該室をガスバリア性外装フィルムにより密着包装し、該外装フィルムの少なくとも一部をガスバリア層の内側に酸素吸収性樹脂層を有するプラスチックフィルム積層材から構成することを特徴とするプラスチックフィルム製複室容器、及び用時連通可能な隔壁機構を有する複数の室に区画されたプラスチックフィルム製容器の少なくとも一室に酸素により変質しやすい粉末剤を収納し、少なくとも該室を酸素吸収性樹脂層を有するプラスチックフィルム積層材で構成し且つ該室をガスバリア性外装フィルムにより密着包装したことを特徴とするプラスチックフィルム製複室容器が提供される。
【0007】
更に本発明によれば、用時連通可能な隔壁機構を有する2室に区画された、吊り具部分を有するプラスチックフィルム製バッグの吊り具部分に隣接する一室に酸素により変質しやすい粉末剤を収納し、該室及び吊り具部分をガスバリア性外装フィルムにより被覆し、該室及び吊り具部分をガスバリア性外装フィルムにより被覆し、該室又は吊り具部分に対するガスバリア性外装フィルムの内側に酸素吸収性樹脂層を形成させることを特徴とするプラスチックフィルム製複室バッグ、及び用時連通可能な隔壁機構を有する2室に区画された、吊り具部分を有するプラスチックフィルム製バッグの吊り具部分に隣接する一室に酸素により変質しやすい粉末剤を収納し、該吊り具部分を酸素吸収性樹脂層を有するプラスチックフィルム積層材から構成し且つ酸素により変質しやすい粉末剤を収納した室と吊り具部分をガスバリア性外装フィルムにより密着包装したことを特徴とするプラスチックフィルム製複室バッグが提供される。
【0008】
本発明複室容器は、抗生物質等の粉末剤が使用されるまで、酸素による粉末剤の劣化を防止し、確実にその安定性を保証し得るものである。また、製造時、輸送時、保管時、廃棄時に極めて利便性を有するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明容器は、ガス透過性プラスチックフィルムで構成されているのがよく、特にポリオレフィン製可撓性バッグ形態であるのが好ましい。該容器の複室間を用時連通可能とする隔壁機構としては、特に限定されるものではなく、公知の各種の機構をいずれも採用することができる。その具体例としては、例えばイージーピールオープン性を有するシール(特開平2−4671号公報、実開平5−5138号公報等参照)や、仕切り部に溶着された中空の栓(特公昭63−20550号公報等参照)や、外側から挟み込んだクリップ(特開昭63−309263号公報等参照)を隔離手段とするものを例示できる。之等はいずれも使用時に外部からの操作により該隔離手段を破壊乃至開口して複室を連通させることができ、これによって内容物を外気にさらすことなく容易に混合できるものであり好ましい。
【0010】
上記容器内に収容される粉末剤は、酸素によって変質しやすい成分を含むものが少なくとも一室に収容されているものであれば特に制限はなく、該酸素によって変質しやすい成分を含むものの例としては、例えば抗生物質等の抗生剤、抗癌剤、ステロイド剤、血栓溶解剤、ビタミン剤等を挙げることができる。
【0011】
本発明複室容器の好ましい一実施形態としては、酸素によって変質しやすい粉末剤が収納されている特定の室の全体を完全に覆うようにして、表裏の両側にそれぞれガスバリア性外装フィルムを重ね合わせた状態で、その周縁部が容器本体と接着されてなり、該ガスバリア性外装フィルムの少なくとも1枚がガスバリア層の内側に酸素吸収性樹脂層を有するプラスチックフィルム積層材から構成されるものを挙げることができる。
【0012】
本発明複室容器の他の好ましい実施形態としては、例えば、
(1)外装フィルムがその最内層に酸素透過性シーラント層を有するもの、
(2)外装フィルムを構成するプラスチックフィルム積層材がその最外層に保護層を有するもの、
(3)外装フィルムを構成するプラスチックフィルム積層材がその最外層にガスバリア性プラスチックフィルム層を有し、該層がシリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート樹脂層をシリカ蒸着面を内側にして配置されたもの、
(4)保護層がポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン又はポリアミド層であり、ガスバリア層がポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン又はアルミニウム層であるもの、
(5)酸素吸収性樹脂内層が鉄、鉄化合物又は亜硫酸塩を混合されたポリオレフィン樹脂層であるもの、等を例示できる。
【0013】
更に、本発明複室容器の他の好ましい実施形態としては、該容器が用時連通可能な隔壁機構を有する2室に区画された、吊り具部分を有するプラスチックフィルム製バッグであり、吊り具部分に隣接する室に酸素により変質しやすい粉末剤を収納し、該室及び吊り具部分をガスバリア性外装フィルムにより密着被覆し、該吊り具部分のガスバリア層の内側に酸素吸収性樹脂層を形成させたものを例示できる。
【0014】
以下、本発明複室容器の構成、製法等につき詳述すれば、本発明複室容器本体は、下記素材を利用して製造できる。
【0015】
即ち、上記複室容器の本体は、ガス透過性プラスチックフィルム素材から構成できる。該素材の具体例としては、例えばポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン系エラストマー、電子線架橋されたエチレン・酢酸ビニル共重合体等及び之等の混合樹脂等を例示できる。また之等は多層として用いることもできる。本発明複室容器の隔壁機構がイージーピールオープン性を有するシールである場合は、直接シールに関与する樹脂が少なくとも2種のポリオレフィン系樹脂からなる樹脂混合物であるのが好ましい。上記容器本体の酸素透過率は、通常1000ml/m2 ・24hr・25μ・atm以上であるのが適当である。上記容器本体は、前述したように可撓性バッグ形態に成形されるのが好ましく、その製造は、一般的方法、例えばインフレーションフィルムにより製造する方法、Tダイフィルムにより製造する方法、ブロー成形法等により行なうことができる。
【0016】
また、容器の隔壁機構及び使用時の連通手段としては、イージーピールオープン性を有するシールを施しておき、使用時に外部からの操作でシール部を剥離させ連通させる方法、仕切り部に中空の栓を溶着しておき使用時に外側から栓を折ることによって連通させる方法、隔壁部を一部開通させておき外側からこの開通部分をクリップで挾み込んで隔離しておき使用時にこのクリップを撤去することにより連通させる方法等が好適に用いられる。
【0017】
本発明の特定の室が外装された複室容器を構成する外装フィルムは、ガスバリア性であることを必須とする。該ガスバリア性外装フィルムの素材は、後記するガスバリア層と同様であり、これは多層とすることもできる。その酸素透過率は、通常10ml/m2 ・24hr・25μ・atm以下、好ましくは1ml/m2 ・24hr・25μ・atm以下とされるのがよい。
【0018】
上記外装フィルムの少なくとも1部に利用される、ガスバリア層の内側に酸素吸収性樹脂層を有するプラスチックフィルム積層材及び吊り具部分又は酸素により変質しやすい粉末剤を収納した室を構成する酸素吸収性樹脂層を有するプラスチックフィルム積層材としては、以下のものを利用できる。
【0019】
即ち、酸素吸収性樹脂層は、例えば酸素吸収性物質を分散させた合成樹脂層とするのが適当である。該層に利用される酸素吸収性物質としては、例えば鉄、亜鉛、酸化第一鉄、塩化ナトリウム−鉄等の金属系のものや、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、ピロガロール、アスコルビン酸等の有機系のもの等の各種公知の酸素吸収物質でよく、之等の内では特に鉄や亜硫酸ナトリウムは、安全性や安定性が保証されており好ましい。また上記亜硫酸ナトリウムは、その利用によって積層材の透明性を維持させることができる利点がある。
【0020】
尚、上記酸素吸収性物質の合成樹脂中への分散量は、使用する酸素吸収性物質の種類やその酸素吸収能に応じて最適量を適宜決定できるが、通常酸素吸収性樹脂層中に1〜90重量%程度の酸素吸収性物質が混入される量とすることでき、上記最適量はこの範囲から選ぶことができる。
【0021】
該最適量は、また上記酸素吸収性樹脂層を利用して成形される積層材の層構成、各層の厚さ、その外装フィルムとしての利用の態様、該積層材にて外装される容器自体、該容器本体と外装フィルムとの間の空間部容積、該容器本体に収容される粉末剤の種類等に応じて適宜決定できる。
【0022】
上記酸素吸収性樹脂層の厚さはこれを利用して成形される積層材全体の約20〜90%程度とされるのが好ましい。
【0023】
一方、上記酸素吸収性樹脂層を構成する合成樹脂としては、酸素透過性の樹脂を用いるのがよく、特にポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー、無水マレイン酸変性ポリエチレン等のポリオレフィンは、可撓性、成形性、他の層を構成する樹脂との親和性等の面で有利である。
【0024】
上記酸素吸収性樹脂は、上述の樹脂を溶融し、そこに上記酸素吸収性物質を混合することにより製造できる。
【0025】
また、上記酸素吸収性樹脂層より外側に配置されるガスバリア層は、一般に酸素透過率が10ml/m2 ・24hr・25μ・atm以下、好ましくは1ml/m2 ・24hr・25μ・atm以下であるのがよく、これはより具体的には、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム及び之等のフィルムにシリカを蒸着したもの、アルミニウムフィルム、アルミラミネートフィルム等を素材とすることができ、更に之等各フィルムを積層したものであってもよい。特に、該ガスバリア層を積層材の最外層に配置する場合は、上記シリカ蒸着フィルムをそのシリカ蒸着面を内側にして配置するのが好ましい。
【0026】
かかるガスバリア層の厚みは、用いる素材の酸素透過性の程度に応じて適宜決定でき、特に限定されるものではないが、一般には、形成される積層材の全体の3〜30%程度の範囲とするのが好ましい。
【0027】
上記積層材は、公知の方法により製造することができる。該方法としては、例えばドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、エキストルージョンラミネート法、コーティング法(溶液型又はエマルジョン型)、共押出インフレーション法、共押出Tダイ法、ホットプレス法等の各種方法を例示できる。之等各方法は、隣接する各層の接着性により適宜選択してその単一法を採用しても、また2種以上の方法を組合せて採用することができる。更に、ホットプレス法を採用する場合は、積層材各層の接着性を高めるために、各層間に別の樹脂層、例えばポリエチレン等の接着性樹脂層を介在させることもできる。
【0028】
また本発明に利用する積層材は、例えば上記酸素吸収性樹脂層とそれより外側に配置されたガスバリア層との2層とし、更に之等に最内層としてのシーラント層を設けることもできる。該シーラント層を構成する樹脂としては、熱溶着が容易で酸素透過性を兼ね備える例えばポリエチレン(中、低密度)やポリプロピレンが好適である。
【0029】
更に、ガスバリア層にポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の吸湿性樹脂やアルミニウムを用いる場合は、最外層に之等ガスバリア層の保護層を設けるのが好ましい。該保護層を構成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド等を例示することができ、之等は未延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれでもよい。
【0030】
上記の層以外の層を構成する樹脂の種類や該層の厚さは、之等を適宜選択することにより、得られる積層材を利用した外装フィルムの可撓性乃至剛性を適当なものに変更することができる。
【0031】
本発明複室容器の特定の室の好ましい外装方法としては、例えば下記のような方法を例示することができる。
【0032】
即ち、該室(吊り具を有するバッグの場合には該吊り具部分と該室)の表裏の両側にそれぞれガスバリア層が外側になるようにして、2枚のガスバリア性外装フィルムと容器本体とを重ね合わせ、該外装フィルムの周縁部を容器本体とヒートシールすることにより、複室容器の特定室を外装する方法が挙げられる。
【0033】
このときの表裏2枚のガスバリア性外装フィルムは、同材質であってもよく異材質であってもよい。容器本体と外装フィルムは密着させるのが好ましいが、間に空間部が存在していてもよく、該空間部を窒素等の不活性ガスで置換してもよい。
【0034】
また、吊り具部分を含めて該室を外装する場合には、吊り具部分にのみ又は吊り具部分と該室を酸素吸収性樹脂層で形成し、その外側にガスバリア層を有する外装フィルムを重ね合わせて周縁部をヒートシールすることも可能である。尚、この場合、酸素吸収性樹脂層は、特に合成樹脂層である必要はなく、酸素吸収性物質を適当な袋状物に収容したシート状形態等であることができ、かかるシートを用いる場合、その固定のために特定室と吊り具部分との間を点状にヒートシールするのが好ましい。
【0035】
本発明複室容器の一方の室に粉末剤を収容し、他方の室には液剤、例えば5%ブドウ糖液、生理食塩水、注射用蒸留水等を収容する場合、その製造は、例えば以下の如くして実施できる。即ち、前記方法に従い製造した複室容器の一室に液剤を充填し、118℃、40分の条件で高圧上記滅菌を行なう。このとき、粉末剤を収容する室は密封状態としておく。上記滅菌終了後、粉末剤を収容する室を開封し、無菌条件下に粉末剤を充填して密封する。かくして、所望の本発明複室容器製品を得ることができる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を更に詳しく説明するため、本発明の複室容器の製造例を実施例として挙げ、次いでその効果を示す試験例を挙げる。
【0037】
【実施例1】
(1)酸素吸収性樹脂層を有するガスバリア性外装フィルムの製造
平均粒子径15μの還元鉄粉末10g、平均粒子径8μの塩化ナトリウム粉末0.5g及び溶融直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE;密度0.910、三井石油化学社製)50gを、ラボプラストミル(東洋精機社製)により窒素ガス雰囲気中で混和し、プレス成形機により厚さ50μのフィルムを成形した。
【0038】
このフィルムとLLDPEフィルム(密度0.920、三井石油化学社製、30μ)とのホットプレス積層フィルムとアルミフィルム(7μ、酸素透過率=0.05ml/m2 ・24hr・25μ・atm)及びポリエチレンテレフタレートフィルム(12μ)とを、この順序でポリウレタン系接着剤により接着して、図1に示す層構造の厚さ約110μの積層フィルムを得た。
【0039】
図1において、(1)はポリエチレンテレフタレートの保護層、(2)はアルミのガスバリア層、(3)は酸素吸収性樹脂層及び(4)はLLDPEのシーラント層である。
【0040】
(2)特定室が外装された複室容器の製造
容器の隔壁機構がイージーピールオープン性を有するシールで構成される2室からなるポリエチレン製バッグ(大塚製薬工場社製、酸素透過率=8000ml/m2 ・24hr・25μ・atm)の上室(吊り具部分を含む)の片面を完全に覆うようにして、上記(1)で得られた外装フィルムをLLDPE層を内側にして容器本体と密着するように重ね合わせ、外装フィルムの周縁部を容器本体とヒートシールにより融着させた。
【0041】
また該室の反対側の面を完全に覆うようにして、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート(12μ、尾池工業社製)/ポリエチレンテレフタレート(12μ)/LLDPE(40μ)で構成されるガスバリア性フィルムをLLDPE層を内側にして容器本体と密着するように重ね合わせ、同様にして容器本体とヒートシールにより融着して、特定の室が外装された複室容器を得た。
【0042】
(3)抗生剤及び輸液剤を収納した複室容器の製造
上記(2)で得た複室バッグの下室に5%ブドウ糖液100ccを充填し、該バッグを密封後、118℃、40分間加熱滅菌を行なった。
【0043】
また、無菌条件下に、上記複室バッグの上室(外装された室)を開封後、ここにセファゾリン2g力価となるようにセファゾリンナトリウムを充填し、密封して、図2(正面図)及び図3(断面図)に示す本発明最終製品を得た。
【0044】
各図において、(5)は外装された室を、(6)は外装されていない室を、(7)は容器本体を、(8)は酸素吸収性樹脂層を有する外装フィルムを、(9)は粉末剤(抗生剤)を、(10)は液剤(5%ブドウ糖)を、(11)は吊り具部分を、それぞれ示す。
【0045】
(4)抗生剤及び生理食塩水又は注射用蒸留水を収容した複室容器の製造
上記(3)において、下室の輸液剤に代えて、生理食塩水及び注射用蒸留水のそれぞれを用いて、同様にして118℃、40分間加熱滅菌後、一室に抗生剤、他室に生理食塩水又は注射用蒸留水を充填した本発明最終製品を得た。
【0046】
【実施例2】
実施例1における容器の隔壁機構がイージーピールオープン性を有するシールで構成される2室からなるポリエチレン製バッグ(大塚製薬工場社製、酸素透過率=8000ml/m2・24hr・25μ・atm)の吊り具部に、実施例1における酸素吸収性樹脂層をポリウレタン系接着剤により接着し、またガスバリア性外装フィルムとして実施例1において酸素吸収性樹脂層を除いたものを使用して、同様にして図4に示す本発明最終製品を得た。
【0047】
【比較例1】
実施例1において、鉄含有LLDPEの代わりにLLDPEを用いることの他は、実施例1と同様にして最終製品を得た。
【0048】
かくして得られたバッグを窒素雰囲気下で、118℃、40分間加熱滅菌して、最終製品を得た。
【0049】
【試験例1】
実施例1及び比較例1でそれぞれ製造した製品を、40℃、相対湿度75%の条件で保存し、製造直後、1ケ月後、3ケ月後及び6ケ月後の各粉末剤の色調を判定した。その結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
表1より、実施例1で得た本発明複室容器の利用によれば、抗生剤は6ケ月後でも殆ど着色が認められず、長期保存安定性に優れているのに対して、比較例1のものは、経時的に酸化分解を受け、6ケ月保存後の粉末は肉眼でも着色が認められることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の(1)で製造した本発明複室容器に用いるガスバリア性外装フィルムの層構成を示す概略断面図である。
【図2】実施例1の(3)で製造した本発明複室容器の正面図である。
【図3】実施例1の(3)で製造した本発明複室容器の縦断面図である。
【図4】実施例2で製造する本発明複室容器の概略図である。
【符号の説明】
(1)…ポリエチレンテレフタレートの保護層
(2)…アルミニウムのガスバリア層
(3)…酸素吸収性樹脂層
(4)…LLDPEのシーラント層
(5)…外装された室
(6)…外装されていない室
(7)…複室輸液容器本体
(8)…酸素吸収性樹脂層を有する外装フィルム
(9)…粉末剤
(10)…液剤
(11)…吊り具部分
Claims (4)
- 用時連通可能な隔壁機構を有する2室に区画された、吊り具部分を有するプラスチックフィルム製バッグであって、その吊り具部分に隣接する一室には酸素により変質しやすい粉末剤が収納され、該バッグの上記粉末剤収納室及び吊り具部分の表裏面のいずれか片面は、内側に酸素吸収性樹脂層を有するガスバリア性外装フィルムにより被覆され、また該バッグの上記粉末剤収納室の他方の片面はガスバリア性外装フィルムにより被覆され、且つ上記酸素吸収性樹脂層は、鉄、鉄化合物又は亜硫酸塩を混合されたポリオレフィン樹脂層であることを特徴とする外装されたプラスチックフィルム製複室バッグ。
- 用時連通可能な隔壁機構を有する2室に区画された、吊り具部分を有するプラスチックフィルム製バッグであって、該吊り具部分には酸素吸収性樹脂層が形成され、該吊り具部分に隣接する一室には酸素により変質しやすい粉末剤が収納され、該バッグの上記粉末剤収納室及び酸素吸収性樹脂層を有する吊り具部分の表裏面のいずれか片面は、内側に酸素吸収性樹脂層を有するガスバリア性外装フィルムにより被覆され、また該バッグの上記粉末剤収納室の他方の片面はガスバリア性外装フィルムにより被覆されており、且つ上記酸素吸収性樹脂層は、鉄、鉄化合物又は亜硫酸塩を混合されたポリオレフィン樹脂層であることを特徴とする外装されたプラスチックフィルム製複室バッグ。
- 酸素により変質しやすい粉末剤が抗生物質を含むものである請求項1または 2に記載の外装されたプラスチックフィルム製複室バッグ。
- 請求項 1 又は 2 に記載の外装されたプラスチック製複室バッグの製造方法であって、用時連通可能な隔壁機構を有する2室に区画された、吊り具部分を有するプラスチックフィルム製バッグを、ガスバリア性外装フィルムにより被覆後に高圧蒸気滅菌する工程、及び上記滅菌工程後に無菌条件下に吊り具部分に隣接する一室に酸素により変質しやすい粉末剤を充填して密封する工程を含むことを特徴とする方法。
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