JP3699329B2 - 水栓における部品接続構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、上下に回転可能な吐水ヘッドと、これを回転可能に保持するヘッドホルダとを備えた水栓に適用して好適な水栓における部品接続構造に関する。
【0002】
【発明の背景】
従来、吐水口を有する吐水ヘッドをヘッドホルダにて回転可能に保持し、その吐水ヘッドを上向きとして、即ち吐水口を上向きとして上方吐水可能となした水栓が公知である。
この場合の吐水ヘッドとヘッドホルダとの接続構造として、弾性クリップによりそれらを軸方向に抜止状態に結合する接続構造、或いは弾性係止爪と係止孔との係止作用にてそれらを接続する構造が考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前者のクリップ止めによる接続構造の場合、部品点数が多くコストアップをもたらす。
一方弾性係止爪と係止孔との係止作用による後者の接続構造の場合、使用者が吐水ヘッドに触れたときに誤って弾性係止爪に不意の力が加わって、弾性係止爪と係止孔との係止が外れてしまう恐れがある。
【0004】
一方で吐水ヘッドとヘッドホルダとを分解不能に組み付けてしまうと、吐水ヘッド又はヘッドホルダ内部の部品交換の必要が生じたときに部品交換ができなくなってしまう。
以上回転可能な吐水ヘッドとヘッドホルダとの接続を例として説明したが、同様の問題は水栓における水路構成部材の接続に際して生じ得る。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の水栓における部品接続構造はこのような課題を解決するために案出されたものである。
而して請求項1のものは、水栓における水路構成部材としての第1部材と水路構成部材又は水路構成部材を保持する第2部材とを、それらに設けた雄管部と雌管部とを嵌合させた状態で、それら雄管部と雌管部との一方に設けた弾性係止爪と他方に設けた係止孔との軸方向の係止作用で抜止状態に接続して成る水栓部品の接続構造において、予め定めた特定の回転位置において前記弾性係止爪と係止孔との係止を解除可能、他の回転位置で実質上解除不能となして、それら第1部材と第2部材とを該特定の回転位置でのみ軸方向に分解可能、他の回転位置で分解不能となし、前記雄管部にはスリーブと、該スリーブに回転可能に且つ軸方向に抜止状態で嵌入された筒状の嵌入部とを具備させて該スリーブに前記弾性係止爪を形成するとともに、該嵌入部における外周面に前記特定の回転位置において該弾性係止爪を凹入可能な凹陥部を形成し、該凹陥部への該弾性係止爪の凹入により、該弾性係止爪を前記係止孔に対して係止解除可能となしてあることを特徴とする。
【0006】
請求項2のものは、請求項1において、前記スリーブには止め輪が弾性的に脱着可能に嵌め合わされていて、該止め輪により該スリーブと前記嵌入部とが軸方向に抜止めされており、且つ該止め輪に前記弾性係止爪が設けられていることを特徴とする。
【0007】
【作用及び発明の効果】
【0008】
以上のように請求項1のものは、水栓における部品としての第1部材と第2部材とを弾性係止爪と係止孔との係止作用で抜止状態に接続するとともに、予め定めた特定の回転位置においてそれら弾性係止爪と係止孔との係止を解除可能、他の回転位置で解除不能となしたもので、このようにすれば特定の回転位置でのみ第1部材と第2部材とを軸方向に分解でき、他の回転位置でそれらが誤って軸方向に分解されてしまうのを防止することができる。
【0009】
この場合において第1部材又は第2部材の雄管部を、スリーブと、そこに嵌入される筒状の嵌入部とを有するように構成しそのスリーブに弾性係止爪を、また雌管部に係止孔を形成する一方、嵌入部には特定の回転位置において弾性係止爪を凹入可能な凹陥部を形成しておき、特定回転位置においてその凹陥部に弾性係止爪を凹入させることで、弾性係止爪と係止孔との係止を解除するようになしておく。
このようにすることで、特定回転位置において第1部材と第2部材とを分解可能となし、他の回転位置において分解不能に接続する構造を容易に実現することができる。
【0010】
更にこの場合において、スリーブには止め輪を弾性的に且つ脱着可能に嵌め合せておき、その止め輪によりスリーブと嵌入部とを軸方向に抜止めする一方、その止め輪に弾性係止爪を設けておくことができる(請求項2)。
本発明は、吐水ヘッドとこれを回転可能に保持するヘッドホルダとの接続に適用して特に好適なものである。
【0011】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基いて詳しく説明する。
図1は上方吐水可能な水栓の一例を示したもので、図中10は取付基体としてのカウンターであり、このカウンター10に対し水栓本体12と吐水部14とが互いに離隔した位置において取付固定されている。
【0012】
水栓本体12には水と湯とのサプライ管16が接続されており、それらサプライ管16を通じて水栓本体12に水と湯とが供給される。
水栓本体12は供給された水と湯とをハンドル18の回転操作により所定比率で混合し、その混合水を流出管20を通じて外部に流出する。
流出管20には可撓性のホース22が接続されており、流出管20からの混合水がこのホース22を通じて後述の吐水ヘッド24へと導かれる。
【0013】
吐水部14はこの吐水ヘッド24と、これを回転可能に保持する管状且つ湾曲形状のヘッドホルダ26を有している。
ヘッドホルダ26にはスライド管28が一体的に昇降する状態で連結されており、そのスライド管28が、外周面に雄ねじを有するガイド管30内にスライド可能に挿通されている。
吐水ヘッド24は下面に吐水口32を備えており、下向き状態においてその吐水口32から吐水を下向きに吐出し、また吐水口32を上向きにした状態でその吐水口32から吐水を上向きに吐出する。
【0014】
図2,図3及び図4に吐水ヘッド24とヘッドホルダ26との接続部分の構造が具体的に示してある。
これらの図に示しているように、吐水ヘッド24は雄管部34を有している。一方ヘッドホルダ26の先端部には雌管部36が設けられており、それら雄管部34と雌管部36とが弾性シールリング(Oリング)38を介して水密に嵌合している。
吐水ヘッド24にはまた小径管部40が設けられており、この小径管部40において上記ホース22の先端部が締結具42によって嵌合状態で締結接続されている。
【0015】
この雄管部34には、周方向所定位置に弾性係止爪44が設けられており、この弾性係止爪44が、雌管部36の側に形成された係止孔46に弾性的に係止し、それら弾性係止爪44と係止孔46との軸方向の係止によって、吐水ヘッド24がヘッドホルダ26から抜け防止されている。
【0016】
図5及び図6に示しているように、雄管部34は円筒形状のスリーブ48と嵌入部50とを有しており、その嵌入部50がスリーブ48内部に回転可能且つ弾性シールリング38を介して水密に嵌合されている。
上記小径管部40は、このスリーブ48に一体的に形成されている。
【0017】
スリーブ48にはまた、その一部をなし且つスリーブ本体とは別体をなす止め輪52が装着されている。そしてこの止め輪52に上記弾性係止爪44が一体的に形成されている。
尚このスリーブ48における上記弾性係止爪44に対応する部分は、径方向の貫通穴54とされている。
【0018】
この止め輪52は、図6及び図7に示しているように弾性係止爪44の両側において概略円弧形状をなす弾性アーム56を備えており、また一方上記スリーブ48と嵌入部50とのそれぞれには、弾性アーム56に対応する軸方向位置において切欠き58と環状溝60とが設けられており、止め輪52における一対の弾性アーム56がスリーブ48の切欠き58に、更にこの切欠き58を通じて嵌入部50の環状溝60に係入し、それらに対して軸方向に係合している。
そしてこれら止め輪52における一対の弾性アーム56と切欠き58及び環状溝60との軸方向の係合作用に基づいて、スリーブ48と嵌入部50とが軸方向に結合されている。
【0019】
図3,図6及び図7に示しているように、嵌入部50には環状溝60に続いて止め輪52における弾性係止爪44に対応する大きさの、平面形状が矩形状の凹陥部62が周方向所定位置に形成されており、この凹陥部62に弾性係止爪44が凹入可能とされている。
この凹陥部62は、図8(II)に示しているように弾性係止爪44を凹陥部62に凹入させたときに、ヘッドホルダ26の係止孔46に対する係止が解除可能な深さで形成されている。
【0020】
ここで凹陥部62は、図8(II)に示しているように吐水ヘッド24をヘッドホルダ26に対し丁度横向きとなる位置に回転させたとき、凹陥部62が弾性係止爪44に対向する位置となるようにその周方向位置が選ばれている。
即ちこの例では、吐水ヘッド24をヘッドホルダ26に対し横向きとなる位置に回転させたとき、弾性係止爪44を係止孔46を通じて雄管部34の軸心側に押し込んで係止孔46との係止を解除可能となしてあり、その他の回転位置においては実質的に係止の解除が不能となしてある。
即ち吐水ヘッド24が横向き以外の回転位置にあるとき、弾性係止爪44を軸心側に押し込んでも、弾性係止爪44が嵌入部50の外面に当ってそれ以上軸心側に弾性変形できないようになしてある。
【0021】
次に本例の接続構造の作用を図8及び図9に基いて具体的に説明する。
図8(I)及び図9(III)は吐水ヘッド24がヘッドホルダ26に対し軸方向に離脱不能に接続された状態を表している。
このとき、吐水ヘッド24における雄管部34に設けられた弾性係止爪44は、ヘッドホルダ26の係止孔46に軸方向に係止した状態にあり、そしてその雄管部34の一部をなす嵌入部50の矩形の凹陥部62はその弾性係止爪44に対し周方向に90°隔たった位置に位置している。
【0022】
従って図8(I)に示す状態、即ち吐水ヘッド24の吐水口32が下向きをなしている状態、或いはまた図9(III)に示しているように吐水口32が上向きをなしている状態の下では、たとえ誤って弾性係止爪44に対し押込方向の力を加えてしまった場合でも、弾性係止爪44が軸心方向に弾性変形できないことから、それら弾性係止爪44と係止孔46との係止が外れることはない。即ち吐水ヘッド24がヘッドホルダ26から誤って抜き出されてしまうといったことは生じない。
【0023】
一方、図8(I)或いは図9(III)に示す状態から吐水ヘッド24を図8(II)に示す横向き状態となる位置まで回転操作すると、ここにおいて嵌入部50における凹陥部62が弾性係止爪44に対向する状態となり、従ってこの状態で弾性係止爪44に軸心方向の押込力を加えると、弾性係止爪44が凹陥部62内に凹入して係止孔46との係止が外れ、従ってこの状態で吐水ヘッド24に対し引張力を加えることで、吐水ヘッド24をホース22とともにヘッドホルダ26から抜き出すことができる。
【0024】
以上のように本例の接続構造によれば、特定の回転位置でのみ、具体的には吐水ヘッド24が通常使用されない横向き状態にあるときにのみヘッドホルダ26と軸方向に分解可能であり、通常使用される下向きの回転位置及び上向きの回転位置を含む他の回転位置では分解することができない。
【0025】
従って本例の接続構造によれば、通常使用状態において使用者が吐水ヘッド24に手を触れ、その際に誤って弾性係止爪44と係止孔46との係止を解除してしまうといったことがなく、誤って吐水ヘッド24がヘッドホルダ26から抜き出されてしまうといった不都合を防止することができる。
一方において分解が必要となったときには、吐水ヘッド24を横向き位置まで回転操作することで、容易にこれをヘッドホルダ26から軸方向に抜き出し、分解することができる。
【0026】
また本例では、吐水ヘッド24側の雄管部34に弾性係止爪44を設ける一方、ヘッドホルダ26の側に係止孔46を設けてそれらを軸方向に係止させるとともに、その雄管部34の一部をなす嵌入部50に凹陥部62を設けて、そこに弾性係止爪44を凹入させることで係止解除可能となしているため、特定回転位置において吐水ヘッド24とヘッドホルダ26とを分解可能となし、他の回転位置において分解不能な接続構造を容易に実現することができる。
【0027】
次に図10及び図11は本発明の他の実施例を示している。
この例において64は水栓本体で、この水栓本体64の下面からパイプ状をなす吐水管66が水平回転可能に延び出している。
水栓本体64の後面からはシャワーエルボ68が延び出しており、そのシャワーエルボ68に対してシャワーホース70が接続されている。
このシャワーホース70の先端部には図示を省略するシャワーヘッドが接続されている。
【0028】
図11はその水栓本体64とシャワーエルボ68との接続構造を示したもので、その接続構造は基本的に上記第1の実施例における吐水ヘッド24とヘッドホルダ26との接続構造と同様のものである。
ここでは対応する部分に符号のみを示して詳しい説明は省略する。
【0029】
シャワーエルボ68は、通常の使用状態では上向きとなるようなことはなく、そこでこの実施例ではシャワーエルボ68が丁度上向きとなったときに(この例ではスリーブ48がシャワーエルボ68とともに嵌入部50に対して相対回転する)、嵌入部50に設けた凹陥部62が丁度弾性係止爪44に対向する状態となり、同回転位置において弾性係止爪44と係止孔46との係止が解除可能となしてある。
またその他の回転位置においては弾性係止爪44と係止孔46との係止が解除不能となしてある。
【0030】
この実施例においても、通常の使用状態の下で誤ってシャワーエルボ68が水栓本体64から抜けてしまうのを防止でき、また必要が生じたときにはシャワーエルボ68を上向き位置まで回転操作することで、容易に係止解除し得てシャワーエルボ68を水栓本体64から抜き出すことができる。
【0031】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば図11では水栓本体64の側に雄管部34を、シャワーエルボ68の側に雌管部36を設けているが、これらを逆の側に、即ちシャワーエルボ68の側に雄管部を、水栓本体64の側に雌管部を設けて、それらを図1〜図9に示す接続構造で接続するようになす(但しシャワーエルボ68が上向き位置で係止解除可能)こともできるし、また本発明は吐水ヘッドとヘッドホルダとの接続或いは水栓本体とシャワーエルボとの接続以外の水栓部品の接続に適用することが可能であるなど、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である接続構造を含む水栓の一例を示す図である。
【図2】 同じ実施例の吐水ヘッドとヘッドホルダとの接続構造とその周辺部を拡大して示す断面図である。
【図3】 図2の吐水ヘッドをヘッドホルダから抜き出した状態を示す断面図である。
【図4】 図2の吐水ヘッドをヘッドホルダから抜き出した状態を示す斜視図(但しホースは図示省略されている)である。
【図5】 同じ実施例の吐水ヘッドとその周辺部を各部材に分解して示す断面図である。
【図6】 同じ実施例の吐水ヘッドにおける雄管部を構成する嵌入部とスリーブと止め輪とを分解した状態で示す図である。
【図7】 図6の分解状態を斜視図で示す図である。
【図8】 本発明の接続構造の作用説明図である。
【図9】 図8とは異なる作用状態を示す図である。
【図10】 本発明の他の実施例の接続構造を含む水栓の一例を示す図である。
【図11】 図10の接続構造を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
24 吐水ヘッド
26 ヘッドホルダ
34 雄管部
36 雌管部
44 弾性係止爪
46 係止孔
48 スリーブ
50 嵌入部
52 止め輪
62 凹陥部
Claims (2)
- 水栓における水路構成部材としての第1部材と水路構成部材又は水路構成部材を保持する第2部材とを、それらに設けた雄管部と雌管部とを嵌合させた状態で、それら雄管部と雌管部との一方に設けた弾性係止爪と他方に設けた係止孔との軸方向の係止作用で抜止状態に接続して成る水栓部品の接続構造において、
予め定めた特定の回転位置において前記弾性係止爪と係止孔との係止を解除可能、他の回転位置で実質上解除不能となして、それら第1部材と第2部材とを該特定の回転位置でのみ軸方向に分解可能、他の回転位置で分解不能となし、
前記雄管部にはスリーブと、該スリーブに回転可能に且つ軸方向に抜止状態で嵌入された筒状の嵌入部とを具備させて該スリーブに前記弾性係止爪を形成するとともに、該嵌入部における外周面に前記特定の回転位置において該弾性係止爪を凹入可能な凹陥部を形成し、該凹陥部への該弾性係止爪の凹入により、該弾性係止爪を前記係止孔に対して係止解除可能となしてあることを特徴とする水栓における部品接続構造。 - 請求項1において、前記スリーブには止め輪が弾性的に脱着可能に嵌め合わされていて、該止め輪により該スリーブと前記嵌入部とが軸方向に抜止めされており、且つ該止め輪に前記弾性係止爪が設けられていることを特徴とする水栓における部品接続構造。
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