JP3698156B2 - 炭素繊維 - Google Patents

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本発明は、5×10-2Ωcm以上という高い電気抵抗を有しながら、かつ90kg/mm2以上の引張強度を有する炭素繊維に関するものである。この炭素繊維は熱可塑性樹脂
強化用の炭素繊維として特に有用である。
炭素繊維は、その原料によりPAN(ポリアクリロニトリル)系、ピッチ系等に区別される。このうちピッチ系炭素繊維は、その原料の調製方法により、高性能炭素繊維と、汎用炭素繊維に大別されている。高性能炭素繊維は石炭、石油等より得られるピッチを原料とし、これに加熱等の手段を適用して、炭素構造の前駆体である液晶性の光学的異方性部分を生じさせ、これを紡糸し、酸化性雰囲気で不融化、ついで炭化、必要に応じて黒鉛化を行うことにより得られる。ここで、光学的異方性部分を生じさせる理由は、液晶性を有する光学的異方性部分が良い配向性を有するために、得られた炭素繊維も配向性の優れたものとなり、高強度、高弾性率を発現し易くなるためである。これに反して、汎用グレードとして用いられているピッチ系炭素繊維は、光学的に等方性のピッチを紡糸、不融化、焼成を行うために高特性を得にくいということが知られている。
従来、炭素繊維を短繊維として各種のマトリックスに混合、分散させて成る繊維強化樹脂組成物は、高強度、高剛性、低比重、高電気伝導性、高耐摩耗性等の機械的特性が評価され、工業的に重要な材料として様々な用途に使用されてきた。一般に炭素繊維を各種樹脂に混合、分散させて繊維強化樹脂材料を得る場合、炭素短繊維の取扱性を容易にして混合、分散の工程における作業性を高めるに、あらかじめ多数の炭素短繊維をサイジング剤等により集束させて成る炭素短繊維集合体が用いられている。
ところが最近、特に電子部品の帯電防止用の材料として、従来の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の電気抵抗(10-1〜10-2Ωcm程度)を上回る電気抵抗(105Ωcm以上)
を有する繊維強化熱可塑性樹脂組成物が求められており、その補強用繊維として高電気抵抗であり、かつ高強度を有する炭素繊維の開発が望まれていた。炭素化温度と電気抵抗の関係は従来から知られており、炭素化温度を上げるにしたがって電気抵抗は低下してくる(非特許文献1参照)。しかしながら、従来の原料を用いた場合は、所望の電気抵抗が得られる範囲の焼成温度で炭素繊維を製造した際、その温度が低いために、ピッチ系炭素繊維では、高い引張強度が得られず、またPAN系炭素繊維では、窒素が抜けきらずに炭素含有率の低い繊維となってしまい、所望の炭素繊維を得ることができなかった。
近代編集社刊"炭素繊維"p.83
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討した結果、強度低下の原因と成りうる欠陥を発生させる要因を徹底的に排除してやること、及び紡糸ピッチの光学的異方性割合を特定し、焼成温度が低いにもかかわらず高強度が発現する製造条件を見つけて、高電気抵抗、かつ高強度の炭素繊維を見いだした。
すなわち、光学異方性割合80%以上、かつ炭素含有率93%以上、かつ灰分量30ppm以下の液晶ピッチを紡糸、不融化後、700〜1000℃で焼成する事により、引張強度が90kg/mm2以上、かつ引張弾性率が3ton/mm2以上、かつ電気抵抗が5×10-2Ωcm〜3.5Ωcmであり、炭素含有率85%以上の炭素繊維を得ることができたものである。

本発明に係る炭素繊維を用いれば、例えば電子部品の帯電防止用の材料として要求されている高い電気抵抗を有しながら、かつ高強度の炭素繊維強化樹脂組成物を得ることができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明に係る高い電気抵抗を有し、かつ高い引張強度を有する繊維を製造するためには、(イ)繊維中で物理的/化学的に強度低下の原因となる灰分を徹底的に除去する、(ロ)炭素の結晶として強度低下の原因となる紡糸ピッチ段階における光学的に等方性の部分の割合を低下させることによって強度を向上させ、かつ強度発現のために必要最低限の温度で焼成し高い電気抵抗を維持することが必要である。
本発明に係る炭素繊維の製造に用いられる原料ピッチとしては、例えば、石炭系のコールタール、コールタールピッチ、石炭液化物、石油系の重質油、ピッチ、石油樹脂やその熱重縮合反応生成物、ナフタレンやアントラセンの触媒反応による重合反応生成物等の炭素質原料が挙げられる。また、前記炭素質原料を、例えば加熱処理した後、特定溶剤で可溶分を抽出するといった方法、あるいは、水素供与性溶剤、水素ガスの存在下に水添処理するといった方法で予備処理を行なっておいてもよい。
通常、原料ピッチ中には不溶性物質として、灰分(Ash成分)が含まれている。これは、その後、原料ピッチを加熱処理して炭素繊維の前駆体となる光学的に異方性の液晶ピッチ化をする際に、不均一性の原因となり乱れた組織の前駆体を与える。また紡糸後、不融化、焼成して得られた繊維中に物理的な欠陥を生じ、強度、弾性率に悪影響を及ぼす。
本発明において、紡糸に供するピッチの段階で、灰分量を通常30ppm以下、好ましくは20ppm以下に精製したピッチを用いることにより、炭素繊維の引張強度を著しく向上させることができる。
30ppmを超える灰分を有する紡糸ピッチから製造した炭素繊維は、不融化反応における周りの空気雰囲気との酸化反応において、灰分が触媒作用を呈し繊維表面に露出している灰分の周りが選択的に酸化されて、いわゆる“ピット”を生成し、強度低下の原因となる欠陥を生じてしまう。
灰分を除去するタイミングは紡糸前であれば何時でもよく、例えば原料ピッチの段階、または紡糸ピッチの段階で除去しても構わない。灰分の除去方法については、特に限定せず、周知の方法を用いればよい。例えば、重力沈降法、遠心分離法、濾過法、吸着法、酸、アルカリ、溶媒による洗浄法などがあるが、それぞれを単独で行ってもよく、ピッチの形態によりそれぞれに適した除去法を組み合わせて、また繰り返し行ってもよい。また、除去の効率を上げるために多孔性無機物(濾過助剤等)等を加えても構わない。工業的には、重力沈降法、遠心分離法、濾過法を用いることが、連続的、また大量に処理できることから好ましい。
上記のように精製したピッチは、常法にしたがって光学的に異方性を呈する液晶ピッチに転換される。本発明においては、紡糸に供するピッチの光学的異方性割合は80%以上であることが必要であり、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
光学的異方性割合が80%を下回ると、炭素繊維の強度が低下し、必要な引張強度を得ようとすれば、焼成温度を上げねばならず、そのために、必然的に電気抵抗が低下してしまい、所望の高電気抵抗、高強度の炭素繊維を得ることはできない。
本発明でいうピッチの光学的異方性割合は、常温下、偏光顕微鏡下でピッチ試料中の光
学的異方性を示す部分を面積割合として求めた値である。具体的には、例えばピッチ試料を数mm角に粉砕した物を常法にしたがって、約2cm直径の樹脂の表面のほぼ全面に試料片を埋め込み、表面を研磨した後、表面全体をくまなく偏光顕微鏡(倍率100倍)下で観察し、試料の全表面積に占める光学的異方性部分の面積割合を測定することによって求める。
光学的異方性の液晶ピッチを製造する方法は特に限定されず、周知の方法を用いればよい。例えば、精製されたピッチを、通常350〜500℃、好ましくは380〜450℃で2分から50時間、好ましくは5分〜5時間の間、窒素、アルゴン、水蒸気等の不活性ガス雰囲気下、あるいは吹き込み下、または減圧下に加熱処理する方法がある。他の例を上げると、ナフタレン等の縮合多環炭化水素類をHF/BF3等の触媒の存在下で重合さ
せる方法、または原料ピッチをある特定の溶解度パラメーターを有する溶媒を用いて溶剤分割を行い、所望のピッチを得る方法がある。
また、紡糸ピッチの炭素含有率は93%以上であり、好ましくは95%以上である。炭素含有率が93%に満たないと前述の灰分同様、異元素である窒素、硫黄、酸素等が強度低下の要因となり、炭素繊維の引張強度を低下させる。
上記の様な紡糸ピッチを用いて溶融紡糸しピッチ繊維を得る。このピッチ繊維は単繊維としての破断強度が低いため、ガイド、ローラー等での毛羽の発生を防止するために、1000本〜20000本のピッチ繊維を集束剤で集束してピッチ繊維トウを得る。ここで集束剤としては、ピッチ繊維の一部を溶解したり、不融化処理の際に繊維同士を接着、または融着させることの少ないものを用いることが必要であり、例えばシリコーン油の水エマルションが好ましい。また、融着の回避をより効果的に行うために、集束剤中にカーボンブラック、SiC等の無機微粒子を添加しても構わない。
次に、上記ピッチ繊維トウは、連続/回分処理により酸化性ガス雰囲気中で、通常160〜400℃に加熱して不融化処理を行う。
得られた不融化繊維トウは、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で焼成処理を行う。本発明において所望の炭素繊維を得るためには、焼成は通常700〜1000℃、好ましくは730〜900℃、さらに好ましくは、750〜850℃で行われる。焼成温度が、700℃より低いと、電気抵抗は高いものが得られるものの、引張強度の発現が十分でなく、また、焼成温度が1000℃を超えると、引張強度は高いものの、電気抵抗が低い炭素繊維しか得られない。
本発明に係る炭素繊維は通常、上記の方法により得られ、この様にして得られた炭素繊維は、高強度、高電気抵抗という性質を合わせ持つが、通常、引張強度が90kg/mm2以上、好ましくは100kg/mm2以上であり、さらに好ましくは110kg/mm2
以上であり、引張弾性率は3ton/mm2以上、好ましくは4ton/mm2以上、さらに好ましくは5ton/mm2以上であり、体積固有電気抵抗は5×10-2Ωcm以上、
好ましくは1×10-1Ωcm以上である。引張強度が90kg/mm2、引張弾性率が3
ton/mm2に満たないと、樹脂強化用炭素繊維として用いたときに樹脂の補強効果が
小さいために、得られる成形材料は充分な強度、弾性率を有することができない。また、体積固有電気抵抗が5×10-2Ωcmよりも小さいと、同様に成形材料としたとき、その電気抵抗が小さく、つまり導電性が向上してしまい、目的とする帯電防止用の材料として使用することができなくなる。なお、ここでいう引張強度、引張弾性率は、JIS R7601により単繊維試料を用いて測定した値であり、体積固有電気抵抗は、JIS R7601によりヤーン試料により測定した値である。
次にこの炭素繊維から樹脂強化用の炭素短繊維集合体を製造する方法につい説明する。この様にして得られた炭素繊維トウは、サイジング剤を炭素繊維全量に対して、通常0.
2〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%添着して集束させる。サイジング剤の添着量が0.2重量%未満では炭素繊維の集束性が劣り、後で1〜30mmの短繊維にきりそろえたときに嵩密度の小さい、取扱性の不良な炭素短繊維集合体しか得られず、また、10重量%を超えると、同様に後で得られる炭素短繊維集合体の集束性が良すぎて、かえって樹脂中での分散性が低下し炭素短繊維強化熱可塑性樹脂の物性が低下するため好ましくない。
サイジング剤の添着方法としては、1,000〜20,000本の炭素繊維トウにサイジング剤を含浸させた後、乾燥させるという方法がある。含浸させるときのサイジング剤の形態は、適当な溶剤に溶解させるか、界面活性剤を用いてエマルションとして水に分散させておけばよい。用いる溶剤としては、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタン等がある。
サイジング剤としては、この目的で通常用いられる任意の物が使用でき、その中から炭素繊維トウの集束性の良いものを選択すればよい。具体的には、エポキシ化合物、飽和または不飽和ポリエステル、ポリフェニレンサルファイト、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂などのホモポリマー、またはコポリマー等が挙げられる。このうち特にエポキシ化合物、水溶性ポリアミド化合物、またはポリウレタン化合物が好ましい。
炭素短繊維集合体は、サイジング剤により集束された炭素繊維トウを周知の切断方法を用いて切りそろえたもので、通常1〜30mm、好ましくは3〜10mmの任意の長さ、またはその範囲内の長さの混合物である。繊維長が1mmよりも短いと、カッテング時に繊維トウにかかる剪断力により糸が最低単糸レベルにまでバラケてしまい、集束した短繊維集合体を得ることができず、また、30mmを超えると、熱可塑性樹脂強化用として用いた場合に、樹脂との混合の際に均一な混合物を得ることが困難になる。
また、得られた炭素短繊維集合体は、特に熱可塑性樹脂強化用として用いる場合には、嵩密度が通常300g/l以上、好ましくは350g/l以上、さらに好ましくは400g/l以上であることが望ましい。嵩密度が300g/lより小さいとその嵩高さのために樹脂とのブレンドを行う際のフィード性が低下してしまう。
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、実施例に限定されるものではない。
コールタール1重量部に、沸点範囲が240〜290℃の予め水添された芳香族油を1重量部加え混合した後に、濾過助剤として、市販の珪藻土濾過助剤“セライト505”(商品名、セライト社製)を0.01重量部加え、目開き10μmのキャンドルフィルターを通して、濾過を行なった。得られた濾液を、温度450℃、水素圧力150kg/cm2に維持されたオートクレーブに連続的に供給した。平均滞留時間は60分とした。得ら
れた反応物を目開き0.5μの焼結フィルターを通してさらに濾過を行った後、濾液を減圧下、蒸留して水添ピッチを得た。得られた水添ピッチを窒素ガスバブリング下、430℃で140分加熱処理し、光学的異方性割合100%、メトラー軟化点302℃で、炭素含有率96重量%、灰分量20ppmの紡糸ピッチを調製した。
次いで、該紡糸用ピッチをシリコン系油剤で集束させながら口金温度330℃で紡糸し、フィラメント数8000本、繊維径13μmの連続長ピッチ繊維トウを得た。
次いで、ピッチ繊維トウを空気中で不融化処理後、窒素ガス中770℃、滞留時間2分の条件で焼成し炭素繊維を調製した。得られた炭素繊維は、炭素含有率89%、繊維径1
2.4μ、引張強度100kg/mm2、引張弾性率5.0ton/mm2であり、3.5Ωcmという高い体積固有電気抵抗を示した。得られた炭素繊維にエポキシ系サイジング剤を6重量%添着した後、カッテング装置に連続的にフィードして、カット長6mmの炭素短繊維集合体を得た。得られた物の嵩密度は510g/lであった。
この炭素短繊維集合体15重量部とポリカーボネート樹脂ペレット85重量部とをドライブレンドした後、スクリュー押し出し機に仕込み、溶融混合してストランド状に押し出し、水冷後ペレット状に切断した。押し出し機への仕込みはスムースで、かつ炭素短繊維集合体と樹脂とは均一な分散状態であった。この様にして得られた炭素短繊維強化成形材料を90℃、4時間乾燥させた後、射出成形し試験片を作成した。この試験片の曲げ強度(ASTM−D790による)は1350kg/cm2、体積固有電気抵抗は、1×108Ωcmであった。
実施例1と全く同様にして調製した不融化繊維トウを、窒素ガス中820℃、滞留時間2分の条件で焼成し炭素繊維を調製した。得られた炭素繊維は、炭素含有率91%、繊維径12.3μ、引張強度120kg/mm2、引張弾性率6.5ton/mm2であり1.7×10-1Ωcmという高い体積固有抵抗を示した。
得られた炭素繊維にエポキシ系サイジング剤を5重量%添着した後、カッテング装置に連続的にフィードして、カット長6mmの炭素短繊維集合体を得た。得られた物の嵩密度は500g/lであった。
また、実施例1と同様にして調製した、この繊維をポリカーボネート樹脂中に15重量%分散させて成る炭素短繊維強化成形材料の曲げ強度は1400kg/cm2 、体積固
有電気抵抗は、2×107Ωcmであった。
実施例1と全く同様にして調製した不融化繊維トウを、窒素ガス中950℃、滞留時間0.07分の条件で焼成し炭素繊維を調製した。得られた炭素繊維は、炭素含有率91%、繊維径12.2μ、引張強度120kg/mm2、引張弾性率6.2ton/mm2であり1.8×10-1Ωcmという高い体積固有抵抗を示した。
得られた炭素繊維にエポキシ系サイジング剤を5重量%添着した後、カッテング装置に連続的にフィードして、カット長6mmの炭素短繊維集合体を得た。得られた物の嵩密度は520g/lであった。
比較例1
実施例1と同様にして得られた水添ピッチを窒素ガスバブリング下、430℃で40分加熱処理し、光学的異方性割合30%、メトラー軟化点280℃で、炭素含有率91重量%、灰分量20ppmの紡糸ピッチを調製した。
次いで、この紡糸ピッチをシリコン系油剤で収束させながら口金温度310℃で紡糸し、フィラメント数8000本、繊維径13μmの連続長ピッチ繊維を得た。
次いで、ピッチ繊維を空気中で不融化処理後、窒素ガス中820℃、滞留時間2分の条件で焼成し炭素繊維を調製した。得られた炭素繊維の引張強度は40kg/mm2と低い
ものであった。引張弾性率は3.0ton/mm2、体積固有抵抗は3.5Ωcmであっ
た。
得られた炭素繊維にエポキシ系サイジング剤を5重量%添着した後、カッティング装置に連続的にフィードして、カット長6mmの炭素短繊維集合体を得た。得られた物の嵩密度は490g/lであった。
また、実施例1と同様にして調製した、上記繊維をポリカーボネート樹脂中に15重量%分散させて成る炭素繊維強化成形材料の曲げ強度は1150kg/cm2、体積固有電
気抵抗は、3×108Ωcmであり、炭素繊維の強度が低いために補強効果が小さかった

比較例2
水添反応後の0.5μ焼結フィルターによる濾過を行わなかった以外は、実施例3と全く同様にして炭素繊維を調製した。紡糸ピッチの物性は光学的異方性割合100%、メトラー軟化点302℃で、炭素含有率96重量%、灰分量80ppmであった。この紡糸ピッチから得られた炭素繊維の引張強度は60kg/mm2と低いものであった。引張弾性
率は6.0ton/mm2、体積固有抵抗は1.7×10-1Ωcmであった。
得られた炭素繊維にエポキシ系サイジング剤を5重量%添着した後、カッティング装置に連続的にフィードして、カット長6mmの炭素短繊維集合体を得た。得られた物の嵩密度は490g/lであった。
また、実施例1と同様にして調製した、この繊維をポリカーボネート樹脂中に15重量%分散させて成る炭素短繊維強化成形材料の曲げ強度は1250kg/cm2、体積固有
電気抵抗は、2×107Ωcmであり、炭素繊維の強度が低いために補強効果が小さかっ
た。
比較例3
実施例1と全く同様にして調製した不融化繊維トウを、窒素ガス中1200℃、滞留時間7秒の条件で焼成し炭素繊維を調製した。得られた炭素繊維は、炭素含有率99%、繊維径11.5μ、引張強度200kg/mm2、引張弾性率19.0ton/mm2であり、体積固有電気抵抗は2×10-3Ωcmであった。
得られた炭素繊維にエポキシ系サイジング剤を6重量%添着した後、カッテング装置に連続的にフィードして、カット長6mmの炭素短繊維集合体を得た。得られた物の嵩密度は510g/lであった。
また、実施例1と同様にして調製した、この繊維をポリカーボネート樹脂中に15重量%分散させて成る炭素繊維強化成形材料の曲げ強度は1450kg/cm2、体積固有電
気抵抗は、1×10-2Ωcmであり、強度は高いものの電気抵抗が低い物しか得られなかった。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0003698156

Claims (4)

  1. 引張強度が90kg/mm2以上、引張弾性率が3ton/mm2以上であり、かつ電気抵抗が5×10-2Ωcm〜3.5Ωcmである、炭素含有率が85%以上の炭素繊維。
  2. 引張強度が100kg/mm2以上、引張弾性率が4ton/mm2以上であり、かつ電気抵抗が1×10-1Ωcm〜3.5Ωcmである、炭素含有率が85%以上の炭素繊維。
  3. 引張強度が90〜120kg/mm2、引張弾性率が3〜6.5ton/mm2であり、かつ電気抵抗が5×10-2〜3.5Ωcmである、炭素含有率が85%以上の炭素繊維。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の炭素繊維を1000〜20000本集束させてなる炭素繊維トウ。
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