JP3697277B2 - セラミックス基板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はセラミックス基板およびその製造方法に係り、特に液相の染み出しによる外観不良や接合不良等の欠陥の発生が少なく、また基板特性を部分的に変化させることが可能なセラミックス基板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIの高集積化および高速化などに伴って、半導体素子の発熱量や発熱密度は非常に増大化する傾向にある。そのために、半導体素子を搭載するセラミックス基板やヒートシンクは、熱伝導性が高く、半導体素子との熱膨脹差が小さいことが求められている。窒化アルミニウム(AlN)セラミックスは、金属アルミニウム並みの熱伝導性と、シリコンチップに近い熱膨脹率を有しているため、アルミナ(Al2 3 )などの従来のセラミックス基板と比較して高性能の半導体基板として優れている。
【0003】
上記窒化アルミニウムセラミックス基板は、AlN原料粉末にY2 3 などの焼結助剤およびバインダなどの添加剤を添加して調製した原料混合体をシート成形法やプレス成形法により所定形状の成形体とし、得られた成形体を脱脂後、焼成炉において適切な雰囲気および温度圧力条件下で焼結して製造されている。上記焼結操作において緻密化と高熱伝導化とが促進され、高強度で放熱性に優れたAlNセラミックス基板が得られている。
【0004】
窒化アルミニウムセラミックスに特有な高熱伝導性の発現は焼結時における以下のような機構によって達成されると考えられている。すなわち周期律表上のIIa族やIII a族の化合物を焼結助剤として添加しており、この添加助剤は、窒化アルミニウムの原料粉末表面のアルミニウム酸化物相と反応して、複合酸化物の液相を形成し、この液相によって、緻密化焼結が進行するとともに粒界構成相によるAlN粒子内の酸素のトラップや、基板表面における粒界構成相の還元による低酸素化や、AlN結晶粒子の成長というプロセスにより熱伝導率が上昇する。
【0005】
上記のような焼結メカニズムには上記液相の挙動が大きく作用しており、特にCOxを含む還元雰囲気や残留炭素の多少によって液相組成が大きく影響を受ける。例えば焼結助剤としてY2 3 を使用した窒化アルミニウムを焼結する場合において、AlN焼結体の熱伝導率は、焼結体の粒界相に残留するY2 3 ・Al2 3 型の化合物の種類によって大きく変化する。一般に液相組成が3Y2 3 ・5Al2 3 (YAG)、Y2 3 ・Al2 3 (YAL)、2Y2 3 ・Al2 3 (YAM)、Y2 3 と変化するに従って、すなわち化合物中のAl2 3 の割合が減少するに従って焼結体の熱伝導率は高くなる傾向がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような焼結操作によって得られたAlNセラミックス基板は、各基板ごとにより熱伝導率が多少異なることはあっても、その内部の粒界構成相がほぼ均一に存在しているため、同一基板内であれば、熱伝導率はほぼ等しい状態であった。従って同一基板内において熱伝導率が異なる部分を有するセラミックス基板を意図的に形成することは困難であった。
【0007】
また焼結時における液相の反応挙動は、前記の通り、COxを含む還元雰囲気や残留炭素の影響を大きく受けて様々に変化する。特に還元雰囲気の影響は、焼成炉の種類、炉内における成形体の位置、成形体の処理量等の他の影響要因との関連性をも含めて、一様かつ均一に制御することが困難であった。そのため上記各変動要因により、液相の反応が不均一になり、特に基板表面に部分的な粒界相構成成分の析出を招き、表面性状の不均一による外観不良や、接合強度の不均一が発生し易いという問題が提起されていた。また従来、上記不均一層を研摩研削して除去していたため、セラミックス基板の製造コストが増加するという難点もあった。
【0008】
一方、窒化物セラミックス基板上に、MoやWなどの高融点金属を含有するメタライズペーストを印刷塗布し、焼成炉中で焼付けることにより、メタライズ層を一体に形成するセラミックス基板においては、焼結時の温度(メタライズ温度)を1500〜1900℃程度と高く設定する必要がある。しかしながら、基板内の液相成分が、上記メタライズ温度近傍で反応し始めるため、液相成分が部分的に変質したり、基板表面に不均一に析出したり、さらにはメタライズ層そのものの接合特性やめっき特性にも大きな影響を与える場合が多い。
【0009】
これらの影響は必ずしも否定的なものばかりではないが、時として基板の外観性状を損ねたり、次工程のろう付け工程において接合不良を発生したりする不具合をもたらすことが多い。さらには過剰量の液相成分の基板表面への析出は、めっき性の低下を招く場合が多く、いずれにしろ高品質のセラミックス基板を安定して製造することが困難となる問題点があった。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、液相の染み出しや析出による外観不良や接合不良等の欠陥の発生が少なく、また基板特性を同一基板内において部分的に変化させることが可能なセラミックス基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記目的を達成するため、基板特性に大きな影響を及ぼす液相の挙動を適正に制御することにより液相に起因する弊害を除去できると考え、その制御方法を種々比較検討した。
【0012】
その結果、窒化物セラミックス基板表面に酸化アルミニウム(Al2 3 )などの金属酸化物粉末を載置して焼成したときに、液相に対する残留炭素や還元雰囲気の影響を遮断することが可能であり、液相の挙動を効果的に制御できることが判明した。
【0013】
すなわち、焼結助剤としてY2 3 を含有するAlNセラミックス基板の表面に部分的にAl2 3 などの金属酸化物粉末を載置した状態で焼成すると、金属酸化物粉末を載置した部位は、3Y2 3 ・5Al2 3 (YAG)を主体に
2 3 ・Al2 3 (YAL)を含んだ低熱伝導性の構成相が形成される一方、金属酸化物粉末を載置しない部位は、2Y2 3 ・Al2 3 (YAM)を主体にY2 3 ・Al2 3 (YAL)を含んだ高熱伝導性の構成相が形成される結果、同一基板内であっても平面方向に熱伝導率が異なる部位を有するセラミックス基板が得られることが判明した。
【0014】
また金属酸化物粉末を載置して焼成した基板表面は3Y2 3 ・5Al2 3 (YAG)粒子によって均一に被覆され、表面が平滑化される一方、金属酸化物粉末を載置しなかった基板表面には、同一条件で焼成した場合においても、粒界構成成分が不均一に析出しており、外観不良が多発することが判明した。
【0015】
さらに窒化物セラミックス基板上に高融点金属を含有するメタライズペーストを印刷塗布し、このメタライズパターン上にAl2 3 などの金属酸化物粉末を載置して焼成することにより、金属酸化物粉末を載置した表面部位には、液相の過剰な染み出しや析出がなく、極めて平滑な基板面が得られることが判明した。
【0016】
これらの事実から、メタライズパターン上にAl2 3 粉末等を載置して焼成する方法は、高融点金属メタライズ基板を製造する際にも極めて有効であることが判明した。本発明はこれらの一連の知見に基づいて完成されたものである。
【0017】
すなわち本発明に係る第1のセラミックス基板は、焼結助剤を含有した窒化物セラミックス基板において、セラミックス基板表面の一部に金属酸化物粉末を載置した状態で焼成することによってセラミックス基板の平面方向に熱伝導率が異なる部分が存在することを特徴とする。また第1のセラミックス基板の製造方法は、焼結助剤を含有した窒化物セラミックス基板表面の一部に金属酸化物粉末を載置した状態で非酸化性雰囲気中にて焼成し、セラミックス基板の平面方向に熱伝導率が異なる部分を存在せしめることを特徴とする。
【0018】
さらに本発明に係る第2のセラミックス基板は、焼結助剤を含有した窒化物セラミックス基板表面にメタライズ層を一体に接合し、このメタライズ層の接合部を含む窒化物セラミックス基板表面の一部が、窒化物セラミックス基板の粒界構成成分によって均一に被覆されていることを特徴とする。また第2のセラミックス基板の製造方法は、焼結助剤を含有した窒化物セラミックス基板表面にメタライズパターンを形成し、このメタライズパターン形成部を含む窒化物セラミックス基板表面の一部に金属酸化物粉末を載置した状態で、非酸化性雰囲気中にて焼成することを特徴とする。特に窒化物セラミックスが窒化アルミニウム焼結体であり、金属酸化物粉末が酸化アルミニウム粉末で構成するとよい。
【0019】
ここで焼結助剤としては周期律表IIa族元素やIII a族元素の酸化物が使用され、焼結助剤の配合割合は、窒化物セラミックス原料粉末に対して1〜5重量%の範囲で含有される。また窒化物セラミックスとしては窒化アルミニウム(AlN) 、窒化けい素(Si3 4 )などが使用される。本発明で使用する窒化物セラミックス基板は、上記窒化物セラミックス原料粉末に上記焼結助剤、有機バインダー、を添加した原料混合体を通常方法で成形、脱脂、焼結して製造される。
【0020】
金属酸化物粉末としては、残留炭素や還元雰囲気と反応するものであれば、その種類は問わないが、窒化物セラミックス基板としてAlN焼結体を使用する場合には、酸化アルミニウム(Al2 3 )粉末を使用することが望ましい。上記金属酸化物粉末を載置した状態で焼成する際の雰囲気は、AlN等と反応しない非酸化性雰囲気であれば良く、特に窒素ガスやアルゴンガス雰囲気が好ましい。
また焼成時の温度は1500〜1900℃の範囲に設定するとよい。
【0021】
ここで本発明に係るセラミックス基板およびその製造方法において、同一基板内において熱伝導率が異なるものが得られる理由、粒界構成成分により基板表面が覆われ均一で平滑な平面を有する基板が得られる理由および基板表面における液相の過剰な染み出しや析出が抑制される理由として以下のような機構が考えられる。
【0022】
すなわち1500〜1900℃程度の高温度で焼成を行う際に、金属酸化物粉末を載置しない部位においては、セラミックス基板に添加された焼結助剤成分を含有する第2相酸化物が、残留炭素や還元雰囲気成分と反応して還元される。この還元反応は、セラミックス基板表面近傍で生じるものと考えられる。この還元反応の進行によって第2相酸化物は、窒化物セラミックス基板内部から表面に染み出し、染み出した第2相酸化物が順次還元され、酸素含有割合が少ない他の第2相酸化物に変化する。例えば、焼結助剤としてY2 3 を含むAlN基板においては、第2相酸化物が3Y2 3 ・5Al2 3 (YAG) から、よりAl2 3 成分が少ないY2 3 ・Al2 3 (YAL)や2Y2 3 ・Al2 3 (YAM) やY2 3 などの他の第2相酸化物への変態が起こる。このような還元反応機構により、熱伝導率の阻害要因となる不純物酸素が基板外に排出されるため、熱伝導率をさらに高めた部位が形成される。
【0023】
一方、Al2 3 などの金属酸化物粉末を載置した基板部位においては、残留炭素や還元雰囲気と基板の第2相酸化物とが還元反応を起こす前に、上記金属酸化物粉末が残留炭素や還元雰囲気と先に反応することにより、基板の第2相酸化物が基板表面において還元されることが抑制される結果、基板の粒界構成相の変態が発生しにくくなり、熱伝導性が低いYAG相がそのまま残留する。これによって同一基板内において粒界構成相が異なる部分が併存し、熱伝導率が異なった部位を有するセラミックス基板を意図的に製造することが可能となる。
【0024】
また金属酸化物粉末を載置した基板部位においては、焼成時に基板内部から粒界構成相が基板表面に微細に、かつ均一に析出されるため、表面近傍における粒界構成相の濃度が高くなる。そして金属酸化物粉末による第2相酸化物の還元反応が抑制されて粒界構成相の変態が防止される効果と、基板表面における粒界構成相の濃度上昇効果とが相まって、粒界構成相が基板の結晶粒子表面を均一に覆うものと考えられる。その結果、基板表面の一部または全面が、パターニングされた状態で基板内の粒界構成成分により均一に覆われ、表面が平滑なセラミックス基板が得られる。
【0025】
またセラミックス基板上にメタライズペーストを印刷塗布し、このメタライズパターン上に金属酸化物粉末を載置して焼成した場合には、基板内の第2相酸化物が残留炭素や還元雰囲気と反応する前に、上記金属酸化物粉末が残留炭素や還元雰囲気と反応するため、過剰量の第2相酸化物が基板表面に染み出すことが防止される。このため、メタライズ層表面に第2相酸化物の染み出しが少なく、良好な外観が得られると考えられる。
【0026】
さらに従来、基板表面に染み出した第2相酸化物の表面にめっき処理した場合にはピンホール等の欠陥が多発して実質的にめっき処理を施すことが不可能であったが、上記の染み出しが少ないことから、良好なめっき性も得ることができる。
【0027】
【作用】
上記構成に係るセラミックス基板およびその製造方法によれば、窒化物セラミックス基板上および/またはメタライズ層形成部を含む部分に金属酸化物粉末を載置した状態で焼成しているため、金属酸化物粉末によって液相の挙動を制御することが可能となり、基板表面やメタライズ層表面への液相の染み出しを効果的に防止でき、均一かつ平滑な表面を有し、良好な外観を有するセラミックス基板を得ることができる。
【0028】
また窒化物セラミックス基板表面の一部に金属酸化物粉末を部分的に載置して焼結することにより、載置した部分についてのみ、液相の反応を制御することができ、同一基板内において、例えば熱伝導率や表面粗さなどが異なる部位を有するセラミックス基板を意図的に製造することもできる。
【0029】
【実施例】
以下に本発明の一実施例を添付図面を参照してより具体的に説明する。
【0030】
実施例1
窒化物セラミックス基板として、170W/(m・K)の熱伝導率を有する縦横42mm×厚さ2.5mmの窒化アルミニウム(AlN)基板を用意した。このAlN基板の左半分の表面のみに、金属酸化物粉末としてのα−Al2 3 粉末をまぶすように載置し、この状態でカーボン製断熱材を配した焼成炉内に収容し、窒素ガス雰囲気中で温度1800℃で2時間焼成し、実施例1に係るセラミックス基板を調製した。
【0031】
図1は実施例1に係るセラミックス基板表面の粒子構造を示す外観写真であり、図2は実施例1のセラミックス基板においてAl2 3 粉末を載置して焼成した表面部分およびAl2 3 粉末を載置せずに焼成した表面部分のX線回析(XRD)の結果を示すグラフである。図1に示すように、Al2 3 粉末を載置して焼成した左半分の部分は緻密で平滑である一方、載置せずに焼成した右半分の部分は粗大であり、両者の表面状態は全く異なる。
【0032】
また図2に示すX線回析図からも明らかなように、Al2 3 粉末を載置した表面部分においては、YAGを主体とする低熱伝導性の粒界構成相の割合が大きい一方、Al2 3 粉末を載置しない表面部分においては、YAMやYALを主体とする高熱伝導性の粒界構成相の割合が大きくなっており、両部分の粒界構成相が異っていることが判明した。また上記両部分の熱伝導率を測定したところ、Al2 3 粉末を載置して焼成した部分では165〜173W/(m・K)であったのに対して、載置せずに焼成した部分では175〜187W/(m・K)と相対的に高い値を示した。
【0033】
比較例1
一方、Al2 3 粉末を全く載置しない点以外は実施例1と全く同一条件で焼成を実施して比較例1に係るセラミックス基板を調製した。比較例1のセラミックス基板の外観は、巨視的には均一であり、熱伝導率の場所毎のばらつきもほとんど認められなかった。
【0034】
本実施例によれば、同一基板の平面方向に熱伝導率が異なる部分を有するセラミックス基板を意図的に製造することができる。このようなセラミックス基板の好適な用途例としては、例えば動作温度が異なる複数のセンサーを搭載するためのヒータ基板などが考えられる。
【0035】
従来、動作温度が異なる複数のセンサーを搭載して複合センサーを製造する場合には、各センサーの動作温度に対応する熱伝導率を有するヒータ基板や各センサーを昇温するためのヒータを個別に調製して組み合わせる煩雑な工程が必要とされていたため、複合センサーが大型化する難点があった。しかるに本実施例のように熱伝導率が異なる部位を有し、各部位の熱伝導率を各ヒータの動作温度に対応する値に設定したセラミックス基板を使用することにより、単一の基板上に複数のセンサーを一括して搭載することができ、また単一のヒータで複数のセンサーの昇温状態を一括して制御することも可能となるため、複合センサーの構造が簡素化され製造コストの低減を図ることもでき、かつ複合センサー全体を小型化することが可能になる。
【0036】
図3および図4は実施例1において、それぞれAl2 3 粉末を載置して焼成した表面部分および載置せずに焼成した基板の表面部分の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図3に示すように、Al2 3 粉末を載置して焼成した基板表面部分では、AlN結晶の粒界にYAGなどの第2相酸化物がのっぺりとした状態で多い一方、図4に示すようにAl2 3 粉末を載置しないで焼成した表面部分ではYAMなどの第2相酸化物が多い組織となり局在していた。このように、両表面部分の表面状態は異っている。このようにAl2 3 粉末を基板表面に部分的に載置して焼成することにより、当該表面部分が基板の粒界構成成分により均一に覆われ、かつ表面が平滑なセラミックス基板を製造することができた。
【0037】
一方、Al2 3 粉末を全く載置しないで焼成した比較例1のセラミックス基板においては、基板全体の外観は巨視的には均一であるが、微視的に観察すると、基板表面の各部分において粒界相が不均一に析出しており、高精度のパターニングは不可能な状態であった。
【0038】
本実施例のようにAl2 3 粉末を基板の一部または全面に載置した状態で焼成することにより、Al2 3 を載置した表面部分が、パターニングされた状態で基板内の粒界構成成分によって均一に覆われ、平滑な平面を有するセラミックス基板を作成することができる。このように同一基板内において表面性状が異なるセラミックス基板を使用することにより、表面性状によって接合強度に影響を受ける各種の接合剤の種類に応じて最大の接合強度を与える表面性状を選択することが可能となり、セラミックス基板全体としての接合性を高めることができる。すなわち、ある種のガラス接着剤、樹脂接着剤、ろう材によっては、液相成分が若干染み出た粗い基板表面の方が接合強度が大きくなる場合がある。このような場合は、当該接合面となる部位にはAl2 3 粉末を載置せずに焼成して表面粗さが大きい部位を形成する一方、他の表面部位にはAl2 3 粉末を載置して焼成することにより、粒界構成成分によって被覆された平滑な表面を形成するとよい。
【0039】
実施例2
窒化物セラミックス基板として、170W/(m・K)の熱伝導率を有する縦横42mm×厚さ2.5mmの窒化アルミニウム(AlN)基板を用意する一方、エチルセルロースをバインダーとしてMoとTiNとを含むメタライズペーストを調製した。次にメタライズペーストを上記AlN基板表面に印刷し、形成したメタライズパターン部分を一部含むAlN基板上に、α−Al2 3 粉末を載置し、この状態でカーボン製断熱材を配した焼成炉内に収容し、窒素ガス雰囲気中で温度1800℃で2時間焼成し、実施例2に係るセラミックス基板を調製した。
【0040】
図5は実施例2に係るセラミックス基板表面の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真であり、右上部がAl2 3 粉末を載置して焼成したメタライズ部分を示し、他の領域がAl2 3 粉末を載置せずに焼成したメタライズ部分およびAlN 基板の露出部である。図5に示す写真から明らかなように、Al2 3 粉末を載置して焼成した部分では、表面が緻密で均一な粒界構成成分によって被覆された平滑面を呈し、一方Al2 3 粉末を載置せずに焼成した部分においてはメタライズ層に凹凸が観察され、結晶組織が粗雑に形成されている。
【0041】
図6および図7は、それぞれ図5においてAl2 3 粉末を載置しない基板表面部および載置した基板表面部の粒子構造を拡大して示す電子顕微鏡写真である。図6に示すようにAl2 3 粉末を載置せずに焼成した基板のメタライズ表面部にはYAGなどの液相が黒い斑点状に析出している状態が観察される一方、図7に示すように、Al2 3 粉末を載置した部位には液相成分の染み出しが全く観察されず、外観不良がない均一な基板表面が形成されることが判明した。
【0042】
比較例2
一方Al2 3 粉末を全く載置しない点以外は実施例2と全く同一条件で焼成を実施して比較例2に係るセラミックス基板を調製し、メタライズ層表面部分を顕微鏡観察したところ、図6に示すものと同様にメタライズ層表面の各所に粒界相が析出した状態が観察された。
【0043】
上記実施例2において調製した多数のセラミックス基板について、Al2 3 を載置して焼成した部位の表面粗さを測定するとともに、外観の均一性を評価し、比較例2と比較した結果を下記表1に示す。また実施例2および比較例2のセラミックス基板のメタライズ層にそれぞれめっき処理を施し、めっき層に発生したピンホールによる不良率を計測した結果も表1に併せて示す。
【0044】
【表1】
Figure 0003697277
【0045】
表1に示す結果から明らかなように、本実施例によれば、均一な外観を呈し、表面が平滑なメタライズ層を有するセラミックス基板が得られた。さらにめっき処理にピンホールなどの欠陥の発生が少なく良好なめっき性も付与することができた。
【0046】
【発明の効果】
以上説明の通り本発明に係るセラミックス基板およびその製造方法によれば、窒化物セラミックス基板上および/またはメタライズ層形成部を含む部分に金属酸化物粉末を載置した状態で焼成しているため、金属酸化物粉末によって液相の挙動を制御することが可能となり、基板表面やメタライズ層表面への液相の染み出しを効果的に防止でき、均一かつ平滑な表面を有し、良好な外観を有するセラミックス基板を得ることができる。
【0047】
また窒化物セラミックス基板表面の一部に金属酸化物粉末を部分的に載置して焼結することにより、載置した部分についてのみ、液相の反応を制御することができ、同一基板内において、例えば熱伝導率や表面粗さなどが異なる部位を有するセラミックス基板を意図的に製造することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係るセラミックス基板表面の粒子構造を示す外観写真。
【図2】実施例1のセラミックス基板においてAl2 3 粉末を載置して焼成した表面部分および載置せずに焼成した表面部分のX線回析の結果を示すグラフ。
【図3】Al2 3 粉末を載置して焼成した基板の表面部分の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真。
【図4】Al2 3 粉末を載置せずに焼成した基板の表面部分の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真。
【図5】実施例2に係るセラミックス基板表面の粒子構造を示す電子顕微鏡写真。
【図6】図5においてAl2 3 粉末を載置しないで焼成した基板表面部の粒子構造を示す電子顕微鏡写真。
【図7】図5においてAl2 3 粉末を載置して焼成した基板表面部の粒子構造を示す電子顕微鏡写真。

Claims (6)

  1. 焼結助剤を含有した窒化物セラミックス基板において、セラミックス基板表面の一部に金属酸化物粉末を載置した状態で焼成することによってセラミックス基板の平面方向に熱伝導率が異なる部分が存在することを特徴とするセラミックス基板。
  2. 焼結助剤を含有した窒化物セラミックス基板表面の一部に金属酸化物粉末を載置した状態で非酸化性雰囲気中にて焼成し、セラミックス基板の平面方向に熱伝導率が異なる部分を存在せしめることを特徴とするセラミックス基板の製造方法。
  3. 焼結助剤を含有した窒化物セラミックス基板表面にメタライズ層を一体に接合し、このメタライズ層の接合部を含む窒化物セラミックス基板表面の一部が、窒化物セラミックス基板の粒界構成成分によって均一に被覆されていることを特徴とするセラミックス基板。
  4. 焼結助剤を含有した窒化物セラミックス基板表面にメタライズパターンを形成し、このメタライズパターン形成部を含む窒化物セラミックス基板表面の一部に金属酸化物粉末を載置した状態で、非酸化性雰囲気中にて焼成することを特徴とするセラミックス基板の製造方法。
  5. 窒化物セラミックスが窒化アルミニウム焼結体であることを特徴とする請求項1または3記載のセラミックス基板。
  6. 窒化物セラミックスが窒化アルミニウム焼結体であり、金属酸化物粉末が酸化アルミニウム粉末であることを特徴とする請求項2または4記載のセラミックス基板の製造方法。
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