JP3696158B2 - 超電導素子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超電導素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
超電導体により形成されるSFQ回路(Single Flux Quantum:単一磁束量子素子)は、100GHzを超える周波数領域において動作可能な特性を持つことから、近未来の超高速論理回路作製に向けた要素技術として期待されている。SFQ回路の応用分野としては、インターネットルータに代表される次世代モバイル通信のインフラ構築、超高速性を生かした超ハイスループットコンピュータ用演算回路構築、ソフトウエア無線対応の論理回路構築などが考えられている。
【0003】
SFQ回路を構築するにあたっては、低温超電導体よりも高温酸化物超電導体を用いることが有利なのは明らかである。すなわち、Nb系に代表される従来の低温超電導体を用いたSFQ回路は液体ヘリウムなどの冷媒を要し、4.2Kでしか動作できなかった。これに対して、高温酸化物超電導体を用いたSFQ回路は30〜40Kにおいて動作し、GMクーラーなどのクライオクーラーにより冷却可能であるため冷却コストが極めて安価であるうえに、動作周波数500GHz程度のパフォーマンスが期待できる。
【0004】
高温酸化物超電導体を用いたSFQ回路の構成要素の1つであるジョセフソン接合の形態には、積層型、ランプエッジ型、粒界接合型、ステップエッジ型などがある。以下、代表例として、ランプエッジ型のジョセフソン接合を有する素子の製造方法を簡単に説明する。まず、絶縁基板上に第1の超電導層および層間絶縁層を積層する。次に、層間絶縁層および第1の超電導層を斜め方向にエッチング加工してランプエッジを形成する。このエッチング加工により第1の超電導層の表面には変質層が形成される。次いで、第2の超電導層を成膜して、第1および第2の超電導層間にジョセフソン結合を形成した後、第2の超電導層をパターニングする。その後、アニーリングなどを行う。
【0005】
高温超電導体を用いたSFQ回路において100GHzオーダーの高速動作を実現するためには、回路構成要素の1つであるジョセフソン接合においてIcRn値に代表される電気特性を最適化するのみならず、回路構成要素の1つである配線部分の配線インダクタンス(L)および配線容量(C)を所望の範囲内に設定し、配線長、配線幅、配線層厚み、などにおける回路設計マージンを向上させることが重要である。これらのうち配線容量は配線長などの設計マージンに直接影響を与えるため、極力低い値に抑えることが重要である。このためには、動作条件下での層間絶縁層の比誘電率(εr)を極力低下させることが重要である。また、薄膜成長の観点から、層間絶縁層には、超電導層との格子整合が良好で、格子対称性が類似しており、超電導層とのエピタキシャル成長に適していることが要求される。
【0006】
高温超電導SFQの動作温度として期待されている約40K以下の温度領域において、膜厚約300nmの絶縁層は40以下のεrを持つことが望ましいとされる。従来、2層の超電導層間の層間絶縁層には、格子整合などの観点から、SrTiO3(チタン酸ストロンチウム)が多用されてきた。しかし、SrTiO3は、GHz帯周波数領域において比誘電率が高く(εr:100〜1000)、特に高周波数帯域において用いられるデジタルデバイスに対しては不適切であった。
【0007】
また、薄膜成長の観点から、従来用いられてきた層間絶縁層には以下に述べるような種々の問題があった。
【0008】
例えば、従来多用されているSrTiO3をYBa2Cu3y上に積層した場合、SrTiO3表面の凹凸がYBa2Cu3y表面の凹凸より著しく増大するうえに、積層界面でSrTiO3が(110)配向したドメインを生じることが頻繁に観測されていた。これらを用いてグランドプレーン(G.P.)などの積層膜を作製した場合、SFQ回路の接合におけるIcなどの電気物性値のバラツキが非常に大きくなっていた。
【0009】
MgOは比誘電率が低い物質であるが、MgOを特にランプエッジ型素子の層間絶縁層として使用した場合には、MgO層間絶縁層の傾斜面上に成長する超電導層の(001)方向が傾斜面の法線方向と平行になり、傾斜面端部の超電導層中に発生した粒界により粒界接合が形成される現象が見られる。このため、特にランプエッジ接合を基本とする回路のように、層間絶縁層の傾斜面上に超電導層をエピタキシャル成長させる場合にMgOを用いるのは適していない。また、MgOは水分により分解する性質が強く、プロセス中における大気、有機溶剤などから吸湿することによって、分解反応や表面のアモルファス化を起こしやすく、この点でもMgOは層間絶縁層として適していない。
【0010】
CeO2は比誘電率が20〜25程度であるが、CeO2にも以下のような問題がある。YBa2Cu37などの超電導薄膜とCeO2とのエピタキシャル成長は、傾斜面上においてもMgOに比較して良好である。しかし、CeO2層上にYBa2Cu37を成長させた場合、成長初期過程において界面で反応が起こり、特に斜方晶ペロブスカイト型のBaCeO3が生成される。この反応生成物は、超電導接合部の一部やグランドプレーンと下部電極層との界面付近に存在するため、接合特性およびグランドプレーンと下部電極層とのコンタクトなどの電気特性に著しく悪影響を及ぼす。しかも、この反応生成物は、薄膜中の析出物密度を高め、配線部の断線の原因となり、接合特性の再現性やバラツキに大きな影響を与える。また、CeO2を基板上およびYBCO上に(001)配向させた場合、CeO2は(111)面をエネルギー的に安定な面として成長するため、表面には(001)面に加えて(001)面に対して傾斜した(111)面をファセットとして持つ部分が多数混入し、非常に凹凸の激しい島状成長のような成長様式を示す。これらの理由により、CeO2は超電導層とのエピタキシャル成長には不適である。
【0011】
上記のように、従来の超電導素子の層間絶縁層として用いられてきた物質には様々な問題点があり、これら問題点を総合的に解決する物質の開発が求められていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、膜厚が約300nm以上で酸化物超電導層との平坦なエピタキシャル成長が可能であり、かつ約40K以下の動作温度においてεrが40以下である層間絶縁層を有し、良好な特性を示す超電導素子およびその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様に係る超電導素子は、基板と、前記基板上に形成された、ジョセフソン接合をなす第1および第2の酸化物超電導層と、前記第1および第2の酸化物超電導層の配線部分間に形成された、下記化学式(1)
(Ca1-xSrx)Snyz (1)
(ここで、0≦x≦0.8、0.4≦y≦1.1、1.6≦z≦3.4である)で表される酸化物層間絶縁層とを有する。
【0014】
本発明の他の態様に係る超電導素子の製造方法は、基板上に、第1の酸化物超電導層および下記化学式(1)
(Ca1-xSrx)Snyz (1)
(ここで、0≦x≦0.8、0.4≦y≦1.1、1.6≦z≦3.4である)で表される酸化物層間絶縁層を形成し、前記第1の酸化物超電導層および酸化物層間絶縁層の一部にエッチング加工を施し、エッチング加工された前記第1の酸化物超電導層および酸化物層間絶縁層上に第2の酸化物超電導層を積層して、前記第1の酸化物超電導層と第2の酸化物超電導層との間にジョセフソン接合を形成することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態における超電導素子についてより詳細に説明する。
基板としては、SrTiO3、MgO、La−Sr−Al−Ta−O系酸化物(LSAT基板)、NdGaO3、LaAlO3、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)などが用いられる。
【0016】
ジョセフソン接合を形成する第1および第2の酸化物超電導層の材料としては、Ln−AE−Cu−O系(LnはYおよび希土類金属を表し、AEはアルカリ土類金属を表す)、Bi−Sr−Ca−Cu−O系、Tl−Ba−Ca−Cu−O系、(Ba,K)BiO3系などが用いられる。より具体的には、SFQ回路に一般的に用いられている銅系酸化物超電導体LnBa2Cu3z(ここで、LnはYおよび希土類金属からなる群より選択される少なくとも1種であり、6.0≦z≦8.0)、いわゆる123系超電導体が挙げられる。
【0017】
第1および第2の酸化物超電導層は、スパッタ法、レーザーアブレーション法、蒸着法、CVD法などにより成膜される。
【0018】
ジョセフソン接合の形態としては、積層型、ランプエッジ型、粒界接合型、ステップエッジ型などが挙げられる。
【0019】
本発明の実施形態において層間絶縁層として用いられる(Ca1-xSrx)Snyzはペロブスカイト型構造を持つ。この物質はバルク体で測定されたεrが約25程度であるため、SrTiO3などと比較して配線容量を著しく低下させることができる。また、この物質は固溶系を形成しており、酸化物超電導体とのエピタキシャル成長に適した格子対称性および格子整合性を持つため、複数のプロセスを経て形成される積層膜の結晶性、配向性、ならびに超電導転移温度(Tc)、配線部の巨視的臨界電流密度(Jc)などの電気特性を良好にすることができる。
【0020】
この(Ca1-xSrx)Snyzについて、0≦x≦0.8、0.4≦y≦1.1、1.6≦z≦3.4と規定したのは、以下のような理由による。すなわち、0≦x≦0.8の範囲をはずれると、超電導層上にこの酸化物からなる層間絶縁層を形成したときに表面の凹凸が増大し、さらに超電導層を積層した積層膜を作製した場合にSFQ回路の接合におけるIcなどの電気物性値のバラツキが生じやすくなる。また、0.4≦y≦1.1および1.6≦z≦3.4の範囲をはずれると、酸化物超電導体とのエピタキシャル成長に適した格子対称性および格子整合性が得られなくなる。yに関しては、0.5≦y≦1.0であることが好ましい。
【0021】
本発明の他の実施形態に係る超電導素子においては、第1および第2の酸化物超電導層ならびに酸化物層間絶縁層がいずれもアルカリ土類金属を含むことが好ましい。アルカリ土類金属としては、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1種が含まれていればよい。上記の各層に全て同一のアルカリ土類金属が含まれている必要はなく、これらのアルカリ土類金属のうちいずれかが含まれていればよい。
【0022】
ランプエッジ型、積層型などの素子を形成するには、第1の酸化物層および層間絶縁層を含む積層膜のエッチング加工、高温アニール、第2の酸化物超電導層の堆積などがなされる。これらのプロセスにおいて、エッチングが施された表面層はほとんどの場合アモルファス化し、かつエッチング前の組成から逸脱した組成を有する劣化した層となる。特に、アルカリ土類金属を含む酸化物をエッチング加工した場合には、アルカリ土類金属が欠損しやすい。この劣化層が高温アニール処理および上層の積層プロセスを経る間に異相へと再結晶化し上層とのエピ関係劣化の原因となる。
【0023】
これに対して、第1および第2の酸化物超電導層ならびに酸化物層間絶縁層がアルカリ土類金属を含んでいれば、高温過程中に下層において欠損したアルカリ土類金属を上層から補うことができ、表面本来の構造を回復することができる。逆に、アルカリ土類金属が豊富になったとしても、薄膜中にshear構造が形成され、過剰なアルカリ土類を結晶中に積層欠陥として取り込むことにより、積層膜としての品質が保たれる。また、表面のアモルファス層に含まれる金属のうち最も反応性に富むアルカリ土類金属を下層および上層で共通して持つことにより、上層形成時に界面の平坦性を良好なものとすることが可能である。
【0024】
全ての層が共通のアルカリ土類金属、例えばSrを含む場合には、上記の効果が得られることは言うまでもない。また、アルカリ土類金属同志ならば、上層と下層のアルカリ土類金属の組み合わせが、SrとBaの組み合わせまたはBaとCaの組み合わせなどでも、同様の効果が得られる。
【0025】
本発明の他の実施形態に係る超電導素子は、第1および第2の酸化物超電導層間に形成されるジョセフソン接合の法線方向と基板表面の法線方向とが10°≦α≦45°の角度αをなす、いわゆるランプエッジ型素子であることが好ましい。
【0026】
本発明の実施形態に係る超電導素子の製造方法では、基板上に、第1の酸化物超電導層および(Ca1-xSrx)Snyz酸化物層間絶縁層を形成し、第1の酸化物超電導層および酸化物層間絶縁層の一部にエッチング加工を施し、エッチング加工された第1の酸化物超電導層および酸化物層間絶縁層上に第2の酸化物超電導層を積層して、第1の酸化物超電導層と第2の酸化物超電導層との間にジョセフソン接合を形成する。さらに、第2の酸化物超電導層はパターニングされる。また、プロセス中に高温アニール処理が適宜行われる。
【0027】
【実施例】
実施例1
本実施例においては、(Ca1-xSrx)Snyzで表される各種の絶縁層を作製した。表1に、(Ca1-xSrx)Snyz系絶縁層の構造物性を示す。格子定数はa,b方向の平均値を示す。格子定数および抵抗率は室温での値である。超電導層との格子不整合はNdBa2Cu37の格子定数を0.38525、YBa2Cu37の格子定数を0.38935として計算した値である。図1に、CaSnO3とNdBa2Cu37との格子対称性を示す。
【0028】
【表1】
Figure 0003696158
【0029】
次に、(100)面のLSAT基板または(100)面のSrTiO3基板上に、超電導層としてNdBa2Cu37またはYBa2Cu37、絶縁層として(Ca1-xSrx)Snyzを積層した。超電導層の厚さは200nm、絶縁層の厚さは500nmとした。
【0030】
図2に、LSAT基板上に形成したCaSnO3/NdBa2Cu37積層膜のXRD回折の測定結果を示す。図2から、絶縁層および超電導層のいずれも(001)配向単相となり、かつ界面での反応生成物からの回折ピークは一切観測されず、良好なエピタキシャル積層膜が形成されていることが判明した。一方、絶縁層にSrTiO3やCeO2などを用いた場合には、良好なエピタキシャル積層膜は得られない。
【0031】
表2に、YBa2Cu37またはNdBa2Cu37の上に積層した(Ca1-xSrx)Snyz、MgOまたはSrTiO3の表面粗さを測定した結果を示す。図3に、表2の結果に基づく、格子不整合と表面粗さRaとの関係を示す。
【0032】
表面粗さRaは、N個の測定点について、i番目の測定点の高さをZi、平均高さをZとして、下記式により求めた。
【0033】
Ra=Σ|Zi−Z|/N
表2および図3より、(Ca1-xSrx)Snyz(0≦x≦0.8、0.4≦y≦1.1、1.6≦z≦3.4)で表される絶縁層の表面粗さRaは3nm以下と良好なことがわかる。
【0034】
【表2】
Figure 0003696158
【0035】
実施例2
本実施例においては、下部超電導層としてNdBa2Cu37、層間絶縁層としてCaSnO3、上部超電導層としてYBa2Cu37を用い、ランプエッジ型素子を作製した。
【0036】
図4(A)〜(C)にランプエッジ型素子の製造工程を示す。表3に各層の成膜条件またはエッチング条件を示す。
【0037】
【表3】
Figure 0003696158
【0038】
図4(A)に示すように、LSAT基板11上に、厚さ約200nmのNdBa2Cu37からなる下部電極層12をスパッタリングにより成膜した。下部電極層12上に、厚さ約600nmのCaSnO3からなる層間絶縁層13をスパッタリングにより成膜した。層間絶縁層13上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィーによりレジストパターン14を形成した。
【0039】
図4(B)に示すように、レジストパターン14をマスクとして層間絶縁層13に対して第1段のイオンエッチングを行った。レジストパターンの残渣を除去した後、下部電極層12に対して第2段のイオンエッチングを行った。これらのイオンエッチングにより、ランプエッジをなす層間絶縁層および下部電極のパターンを形成した。イオンエッチングにより下部電極の表面には変質層が形成されているものと推定される。
【0040】
図4(C)に示すように、全面に厚さ約300nmのYBa2Cu37からなる上部電極層15を成膜した。この結果、下部電極層12と上部電極層15との間にランプエッジ型のジョセフソン結合が形成される。上部電極層15上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィーによりレジストパターン(図示せず)を形成した。レジストパターンをマスクとして上部電極層15をイオンエッチングすることにより上部電極のパターンを形成した。その後、レジストパターンの残渣を除去した。さらに、金電極を形成した後、O2流量1000sccm、1気圧の雰囲気において400℃でアニールした。
【0041】
X線回折(XRD)の結果、形成された各層は全て(001)配向していることが判明した。また、各層間の界面において、反応層は全く観測されなかった。
【0042】
単一チップ内における100個の素子についてジョセフソン接合の電気特性を評価した。図5に作製されたランプエッジ型素子の電気特性を示す。Icの平均値は1.04mA、Rnの平均値は1.5Ω、Icの標準偏差は5.7%であった。上部電極および下部電極について、Tcはそれぞれ87K、88K、Jcはそれぞれ4.5×107A/cm2、2.5×107A/cm2であった。
【0043】
実施例3
本実施例においては、下部超電導層としてNdBa2Cu37、層間絶縁層としてCaSnO3、上部超電導層としてYBa2Cu37を用い、積層型素子を作製した。
【0044】
図6(A)〜(C)に積層型素子の製造工程を示す。表4に各層の成膜条件またはエッチング条件を示す。
【0045】
【表4】
Figure 0003696158
【0046】
図6(A)に示すように、LSAT基板21上に、厚さ約200nmのNdBa2Cu37からなる下部電極層22をスパッタリングにより成膜した。下部電極層22上に、厚さ約600nmのCaSnO3からなる層間絶縁層23をスパッタリングにより成膜した。層間絶縁層23上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィーによりレジストパターン24を形成した。
【0047】
図6(B)に示すように、レジストパターン24をマスクとして層間絶縁層23のイオンエッチングを行った。その後、レジストパターンの残渣を除去した。このイオンエッチングにより下部電極の表面には変質層が形成されているものと推定される。
【0048】
図6(C)に示すように、全面に厚さ約300nmのYBa2Cu37からなる上部電極層25を成膜した。この結果、下部電極層22と上部電極層25との間に積層型のジョセフソン結合が形成される。上部電極層25上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィーによりレジストパターン(図示せず)を形成した。レジストパターンをマスクとして上部電極層25をイオンエッチングすることにより上部電極のパターンを形成した。その後、レジストパターンの残渣を除去した。さらに、金電極を形成した後、O2流量1000sccm、1気圧の雰囲気において400℃でアニールした。
【0049】
X線回折(XRD)の結果、形成された各層は全て(001)配向していることが判明した。
【0050】
単一チップ内における100個の素子についてジョセフソン接合の電気特性を評価した。図7に作製された積層型素子の電気特性を示す。Icの平均値は1.04mA、Rnの平均値は1.5Ω、Icの標準偏差は5.7%であった。上部電極および下部電極について、Tcはそれぞれ87K、88K、Jcはそれぞれ4.5×107A/cm2、2.5×107A/cm2であった。積層型素子においてもエッジ型素子と同様の効果が得られており、従来の層間絶縁層を使用した場合に比べて電気特性は著しく向上していた。
【0051】
実施例4
本実施例においては、層間絶縁層としてCa0.5Sr0.5Sn0.52、下部および上部の超電導層としてNdBa2Cu37を用いたランプエッジ型素子を作製した。
【0052】
Ca0.5Sr0.5Sn0.52の構造物性は表1に示した通りである。この層間絶縁層は、全てのA−O層が2層積層された層状ペロブスカイト構造を示す。ランプエッジ型素子のシーケンスおよび製造条件は、実施例2と同様である。
【0053】
単一チップ内における100個の素子についてジョセフソン接合の電気特性を評価した。図8に作製されたランプエッジ型素子の電気特性を示す。Icの平均値は0.70mA、Rnの平均値は3.0Ω、Icの標準偏差は5.0%であった。上部電極および下部電極について、Tcはそれぞれ84K、87K、Jcはそれぞれ3.5×107A/cm2、3.5×107A/cm2であった。
【0054】
また、酸化物超電導層に(Ba,K)BiO3系、Bi系、Tl系、La214系などの結晶構造が123系と類似した他の超電導体を用いてランプエッジ型素子を作製した場合にも、上記実施例と同様の効果をもたらすことがスパッタ法による結果により判明した。
【0055】
また、スパッタ法に限らず、レーザーアブレーション法、CVD法、真空蒸着法などの他の成膜方法でも同様の効果が得られることが、これらの成膜方法を用いて素子を作製した結果により判明した。
【0056】
さらに、上記実施例で用いた絶縁層を基板と超電導層との間のバッファ層として用い、レーザーアブレーション法により作製した線材の電気特性を測定した結果、TcおよびJcの向上など、上記と同様の効果が得られた。このように著しく性能の優れた線材を作製することができ、電力応用に向けた線材の開発においても良好な結果を示すことが判明した。
【0057】
【発明の効果】
以上記述のように本発明によれば、膜厚が約300nm以上で酸化物超電導層との平坦なエピタキシャル成長が可能であり、かつ約40K以下の動作温度においてεrが40以下である層間絶縁層を有し、配線容量が小さく高速動作に適した超電導素子を提供できる。このため、高温超電導ジョセフソン接合の高速論理演算素子としての機能が飛躍的に向上し、通信インフラ技術の更なる高速化、通信容量の大型化に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】CaSnO3とNdBa2Cu37との格子対称性を示す図。
【図2】CaSnO3/NdBa2Cu37積層膜のXRD回折の測定結果を示す図。
【図3】層間絶縁層の超電導層に対する格子不整合と表面粗さとの関係を示す図。
【図4】実施例2におけるランプエッジ型超電導素子の製造方法を示す図。
【図5】実施例2におけるランプエッジ型超電導素子の電気特性評価結果を示す図。
【図6】実施例3における積層型超電導素子の製造方法を示す図。
【図7】実施例3における積層型超電導素子の電気特性評価結果を示す図。
【図8】実施例4におけるランプエッジ型超電導素子の電気特性評価結果を示す図。
【符号の説明】
11…基板
12…下部電極層
13…層間絶縁層
14…レジストパターン
15…上部電極層
21…基板
22…下部電極層
23…層間絶縁層
24…レジストパターン
25…上部電極層

Claims (3)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された、ジョセフソン接合をなす第1および第2の酸化物超電導層と、
    前記第1および第2の酸化物超電導層の配線部分間に形成された、下記化学式(1)
    (Ca1-xSrx)Snyz (1)
    (ここで、0≦x≦0.8、0.4≦y≦1.1、1.6≦z≦3.4である)で表される酸化物層間絶縁層と
    を有することを特徴とする超電導素子。
  2. 前記第1および第2の酸化物超電導層ならびに酸化物層間絶縁層がアルカリ土類金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の超電導素子。
  3. 基板上に、第1の酸化物超電導層、および下記化学式(1)
    (Ca1-xSrx)Snyz (1)
    (ここで、0≦x≦0.8、0.4≦y≦1.1、1.6≦z≦3.4である)で表される酸化物層間絶縁層を形成し、
    前記第1の酸化物超電導層および酸化物層間絶縁層の一部にエッチング加工を施し、
    エッチング加工された前記第1の酸化物超電導層および酸化物層間絶縁層上に第2の酸化物超電導層を積層して、前記第1の酸化物超電導層と第2の酸化物超電導層との間にジョセフソン接合を形成する
    ことを特徴とする超電導素子の製造方法。
JP2001388158A 2001-12-20 2001-12-20 超電導素子およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3696158B2 (ja)

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