JP3693577B2 - トルクセンサ用軸材及び該軸材を用いているトルクセンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、被測定軸に加えられるトルクを磁気的に検出するために利用される磁歪式トルクセンサの内、被測定軸の材質とその材質を用いているトルクセンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁歪式トルクセンサの分野では、磁性鋼を被測定軸として使用し、磁性鋼が有する磁歪効果を利用して、被測定軸にかかる弾性トルクを磁気的に検出する手法が用いられている。
図1はトルクセンサの出力特性図を示す。トルクセンサの特性は、弾性トルク(入力信号)に対する出力電圧の傾きS(以下、感度と記す。)と、弾性トルクを除去した後の出力電圧の初期値からのずれh(以下、ヒステリシスと記す。)によって評価される。感度(図1のS)が大きく、かつヒステリシス(図1のh)が小さい程、トルクセンサ特性は優れたものとなる。
この様なトルクセンサの被測定軸には、磁性とともに機械的強度が要求されるので、従来JISのSK材、SCM材、SNCM材等の構造用鋼が使用されることが多い。これらの構造用鋼は、Feが有する磁歪効果を持ち、かつ安価なので好んで使用される。ところが、磁歪が小さい為に感度が小さく、かつヒステリシスも大きいので、正確なトルク検出を行えないという問題があった。
【0003】
上述の問題を解決する為、従来から被測定軸用の材料開発に関し、多くの検討が行われている。例えば、特許2132909号には、質量%でC:0.1〜0.5%、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下及び、Ni:5.0%以下とCr:5.0%以下のいずれか一方または両方を含有し残部がFeと不可避不純物の組成からなる材料をトルクセンサの軸材として使用する技術が開示されている。また特許2697846号には、特許2132909号の材料を更に改良した組成として、C:0.1〜1.5%、Si:0.5〜4.0%、Mn:0を超え3.0%以下、Al:0を超え3.0%以下及び、Ni:5.0%以下とCr:5.0%以下のいずれか一方または両方を含有し残部がFeと不可避不純物の組成からなる材料をトルクセンサの軸材として使用する技術が開示されている。これらの技術は、合金元素の添加によって材料の強度、硬さを確保するとともに、各添加元素の特徴を生かし、JISSK材、SCM材、SNCM材等よりも感度が大きく、かつヒステリシスが小さくなる様に合金成分を調整しているという点で優れた材料技術である。
【0004】
また、特許2132587号には磁歪が大きく、強度が高いマルエ−ジング鋼を磁歪式トルクセンサの軸材として使用する技術が開示されている。この技術は、磁歪が大きいFe−Ni系合金に着目することによりトルクセンサの感度を高め、更にマルエ−ジング鋼のマルテンサイト組織とAl、Ti等の析出強化元素によって材料の強度、硬さを確保できるという点で優れた技術である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らの検討によると、上述した特許2132909号や特許2697846号、更に特許2132587号に開示されている技術は、トルクセンサ軸材の磁性や磁歪を改善することによって、トルクセンサの感度を上げるという点では有利であるものの、ヒステリシスをゼロ近傍にまでは小さく出来ないという問題がある。その為、被測定軸のゼロ点安定性という点で問題があった。
本発明の目的は、上述の問題を解決し、ヒステリシスをゼロ近傍にまで低減したトルクセンサ用軸材とその軸材を用いたトルクセンサを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述したトルクセンサ用軸材のヒステリシスの問題に関して、軸材の磁気特性と金属組織の観点から、ヒステリシスに及ぼす材料因子の影響を調査した。その結果、軸材の残留磁束密度を0.6T(テスラ)以下とすることによって、ヒステリシスが低減することを見出した。更にトルクセンサ用軸材に要求される機械的強度を満たした上で、上述の磁気特性を満足するためには、軸材の金属組織として、強磁性であって且つ強度が高いマルテンサイトを主体としたマトリックス(基地)中に、所定範囲に調節した非磁性の残留オ−ステナイトを残すことが有効であることを見出し、これらの磁気特性と金属組織を満足するための最適な材料組成をも検討した結果、本発明に到達した。
【0007】
すなわち本発明は、質量%でC:0.30〜1.50%、Si:0.1〜4.0%、Mn:0.1〜4.0%、Cr:5.0%を超えて20.0%以下、残部が実質的にFeから成り、マルテンサイト主体の組織で組織中に含有する残留オ−ステナイト量が5.0〜40.0%であるとともに、残留磁束密度が0.6T(テスラ)以下のトルクセンサ用軸材である。
好ましくは、更にNi:0.1〜5.0%、Al:0.1〜4.0%、Co:0.1〜4.0%、Mo:0.1〜4.0%の1種以上を含有する上述のトルクセンサ用軸材である。
好ましくは、ロックウェル硬さが45HRC以上である上述何れかのトルクセンサ用軸材である。
更に本発明は、上述何れかのトルクセンサ用軸材を用いているトルクセンサである。
【0008】
【発明の実施の形態】
上述したように、本発明は、トルクセンサのヒステリシスをゼロ近傍にまで低減する為に、トルクセンサ用軸材の磁気特性と金属組織を所定の範囲に調整したものであり、これらを満足する最適な材料組成を見出したことにある。
【0009】
まずトルクセンサ用軸材の成分元素の内、必須元素の含有量を限定した理由を述べる。
C:0.30〜1.50%
Cは、軸材の機械的強度、硬さを確保するために必要な元素である。また本発明のトルクセンサ用軸材の金属組織において、マルテンサイトと残留オ−ステナイトを得るために必要な元素である。但し、0.30%未満では効果が小さく、逆に1.50%を超えると靭性や塑性加工性が悪くなるので、上述の範囲とした。
Si:0.1〜4.0%
Siは、0.1〜0.5%の組成範囲では製鋼時の脱酸剤として作用する元素である。また0.5〜4.0%の範囲では軸材の応力に対する感度を高める効果がある。但し、4.0%を超えると靭性や塑性加工性が悪くなるので、上述の範囲とした。
【0010】
Mn:0.1〜4.0%
Mnは、Si同様、製鋼時に脱酸剤として作用する元素である。また磁気特性と残留オーステナイト量を本発明の範囲内に調整する上で有効な元素である。但し、0.1%未満では脱酸剤としての効果も小さく、逆に4.0%を超えると加工性が悪くなるので、上述の範囲とした。
Cr:5.0%を超えて20.0%以下
Crは、焼入れ性を良くして本発明のトルクセンサ用軸材の硬さを上げるとともに、磁気特性と残留オーステナイト量を本発明の範囲内に調整する上で重要な元素である。また自動車部品として使用されるトルクセンサの軸材には、耐食性が要求されることが多く、耐食性を確保する為にも重要な元素である。但し、5.0%以下では耐食性を確保する効果が小さく、また20.0%を超えると加工性が悪くなるので上述の範囲とした。
【0011】
本発明のトルクセンサ用軸材には、応力に対する感度を上げるためにNi,Al,Co,Moの1種以上を添加することができる。ここで、これらの元素の組成範囲とその限定した理由を述べる。
Ni:0.1〜5.0%
NiはFe基合金中で磁歪を大きくする効果があるので、軸材の応力に対する感度を高めるのに有効な元素である。またCrと同様、磁気特性と残留オーステナイト量を本発明の範囲内に調整する上で有効な元素である。但し、0.1%未満では効果が小さく、逆に5.0%を超えると、軸材の金属組織は非磁性のオーステナイト主体となって感度が下がるので、上述の範囲に限定した。
Al:0.1〜4.0%
AlはSiとよく似た作用を持つ元素であり、軸材の応力に対する感度を高める効果がある。但し0.1%未満では効果が小さく、逆に4.0%を超えると加工性が悪くなるので、上述の範囲に限定した。
【0012】
Co:0.1〜4.0%
CoはNi同様、磁歪を高める作用があるので、軸材の応力に対する感度を高める効果がある。但し0.1%未満では効果が小さく、逆に4.0%を超えると加工性が悪くなるので、上述の範囲に限定した。
Mo:0.1〜4.0%
Moも軸材の応力に対する感度を高める効果がある。但し0.1%未満では効果が小さく、逆に4.0%を超えると加工性が悪くなるので、上述の範囲とした。
本発明においては、上述したNi,Al,Co,Moの内の1種を選択添加しても良いし、これらの内の2種以上を複合添加しても良い。
尚、本発明の軸材は不可避不純物としてP,S,Oを、軸材の感度、ヒステリシス特性を劣化させない範囲として、各0.1%までは含有しても良い。
【0013】
本発明のトルクセンサ用軸材は、トルクセンサの入力信号に対する出力電圧のヒステリシスが小さい。特にヒステリシスの絶対値が0.5%以下となっているものである。この小さいヒステリシスを得るには、軸材の磁気特性として残留磁束密度が0.6T(テスラ)以下である必要がある。以下にその理由を述べる。磁歪を有する材料は、磁場中で弾性変形を起こす。トルクセンサは磁歪の逆現象を利用している。すなわち弾性トルクを掛けることによって発生する軸材の透磁率の変化をセンサ部が検出するので、外力(弾性トルク)を掛けることによって軸材を磁化していると考えることができる。
ここで、本発明者らは図1に示すトルクセンサの入力信号(弾性トルク)に対する出力電圧の関係を、図2に示す軸材の磁化曲線に置き換えて考察した。上述した様にトルクセンサ用軸材では、外力(弾性トルク)は、軸材を磁化する際の外部磁場に置き換えて考えることが出来る。更にトルクセンサの出力電圧に生じるヒステリシス(初期値からのずれ)は、強磁性材料を磁化した後、外部磁場をゼロに戻した場合の残留磁束密度Brに相当すると考えることが出来る。以上の観点から、本発明では軸材の残留磁束密度Brを小さくすることが、トルクセンサのヒステリシスを低減する上で有効であると考えた。残留磁束密度Brを0.6T(テスラ)以下としたのは、これを超えるとヒステリシスが特に大きくなるので、残留磁束密度を0.6T以下としている。
【0014】
次にトルクセンサ用軸材の金属組織を規定した理由を述べる。上述した通り、本発明軸材には残留磁束密度0.6T以下の磁気特性が要求される。
鉄鋼材料の組織には、フェライト、マルテンサイト、オ−ステナイト等があるが、強磁性の組織であって、かつトルクセンサ用軸材に必要な機械的強度、硬さを満足するためには、マトリックス(基地)組織はマルテンサイトを主体とする必要がある。ところがマトリックス(基地)が強磁性のマルテンサイト100%の組織になっていると、磁化曲線は磁場に対して飽和し易い特性となり、それに伴って残留磁束密度は高くなる。これは、軸材のヒステリシス増大に繋がる。
このため本発明では、強磁性のマルテンサイト組織中に非磁性の残留オーステナイトを所定量含有する組織とすることにより、軸材の残留磁束密度ひいてはヒステリシスを低減できるという新規な知見をもとに、残留オーステナイト量を5.0〜40.0%の範囲に規定した。この理由は、5.0%未満では上述の残留磁束密度ひいてはヒステリシスを低減する効果が小さく、逆に40.0%を超えると非磁性組織が多くなり過ぎて、軸材の感度が落ちるからである。
【0015】
本発明のトルクセンサ用軸材は、ロックウェル硬さ45HRC以上であることが好ましい。この硬さは構造体の強度として最低限必要な硬さである。望ましい硬さは50HRC以上である。
本発明のトルクセンサ用軸材は、優れたヒステリシスを示すので、本発明のトルクセンサ用軸材を用いてトルクセンサとすれば、磁歪式トルクセンサ用途として、特に使い易い材質である。
【0016】
【実施例】
本発明では、トルクセンサ用軸材の組成と磁気特性、残留オ−ステナイト量が特に重要であり、硬さも重要なものである。種々の組成を有する21種の鋼塊を真空溶解炉で作製した。実験材の化学組成を表1に示す。
【0017】
【表1】
Figure 0003693577
【0018】
表1の各素材の組成について説明する。No.1〜3は、本発明の範囲内でCとCrを変動させた組成である。No.4〜19は、No.3の組成を基本として、それぞれCを低減した組成(No.4〜5)、Siを増量した組成(No.6〜7)、Niを添加した組成(No.8〜10)、Alを添加した組成(No.11〜13)、Coを添加した組成(No.14〜16)、Moを増量した組成(No.17〜19)である。No.1〜19は、いずれも本発明の組成である。
No.20〜21は比較例の組成である。No.20は質量%でFe−4%Ni−0.35%Cを基本組成とする合金であり、これは特許2132909号に開示されるトルクセンサ用軸材の組成に含まれる。またNo.21は質量%でFe−18%Ni−9.2%Co−0.1%Al−0.5%Tiを基本組成とするマルエ−ジング鋼であり、特許2132587号に開示されるトルクセンサの軸材質に相当する。
【0019】
得られた鋼塊を1220℃でソ−キングした後、1100℃で熱間鍛造し、直径22mmの丸棒を得た。次に870℃の炉内で4h保持後、20℃/hの冷却速度で600℃まで冷却した後、炉内で室温まで冷却した。この焼鈍処理により素材は軟らかくなり、実際にトルクセンサ軸を作製する場合の塑性加工が可能となる。本実施例では、材料特性の評価用サンプルとして、この素材より下記の3種の試験片を採取した。
a) 丸棒:直径10mm×長さ80mm(両端ネジ加工)
b) 板:板厚1mm×幅8mm×長さ100mm
c) 円板:板厚7mm×直径22mm
上記a)丸棒は、トルクセンサ特性である感度とヒステリシスを測定するための試験片である。上記b)板は磁性測定片であり、上記c)円板は残留オ−ステナイト量と硬さを測定するための測定片である。
【0020】
上記a)〜c)の試験片を、各素材が最も硬くなる条件で熱処理を行った。
各素材の磁気特性は、上記b)の板サンプルに対し、40,000A/mの直流磁場を印加した後の残留磁束密度Brを測定した。また各素材の残留オ−ステナイト量は、上記c)の円板を用いて、X線回折により測定した。また硬さは、ロックウェル硬度計により測定した。
【0021】
本実施例では作製した素材のトルクセンサ特性を簡易的に評価する手法として上記a)の試験片を使い、引張試験機とLCRメ−タを用いて評価した。以下、評価方法を述べる。
まず、磁気検出用のサ−チコイルとして、内径10mmの円筒状の空芯コイル(コイル長さ20mm)を作製した。コイル巻数は100回とした。このサ−チコイルを上記a)の試験片に被せ、試験片の両端は引張試験機に、サ−チコイルの両端はLCRメ−タに接続した。LCRメ−タの設定は、周波数80kHz、電流値8mAとした。試験片に印加した磁場は56.6A/mである。
【0022】
この状態で、引張応力を掛ける前のインダクタンスの初期値L0をLCRメ−タで測定した。次に、素材の弾性限内で引張応力を掛け、応力を負荷した時のインダクタンスの値(L負荷時)を測定した。続いて引張応力を除荷し、応力ゼロに戻した時のインダクタンスの値(L除荷時)を測定した。引張応力の値を素材の弾性限内で徐々に上げて行き、上記の測定を繰り返した。測定例として、本発明の素材No.4のインダクタンス−応力特性を図3に示す。また比較例として素材No.20のインダクタンス−応力特性を図4に示す。
図3〜4から、本発明の素材No.4では除荷時のインダクタンス(図3の〇印)が初期値の近傍で安定しているのに対し、比較例の素材No.20では除荷時のインダクタンス(図4の〇印)が応力増加とともに初期値からずれて行くことが分かる。
【0023】
引張応力σ[MPa]を印加した時の感度Sは、次式(1)で評価した。
S=(L負荷時−L0)/σ [μH/MPa]…(1)
また、引張応力σ[MPa]を印加した後、除荷した時のヒステリシスhは、次式(2)で評価した。
h=100×(L除荷時−L0)/L0[%]…(2)
各素材の熱処理条件と磁気特性、残留オ−ステナイト量、ロックウェル硬さ、及び250MPaの応力を掛けた場合の各素材の感度S[μH/MPa]と、250MPaの応力を掛けた後、応力を除荷した時の各素材のヒステリシスh[%]を表2にまとめて示す。
【0024】
【表2】
Figure 0003693577
【0025】
本発明では、優れたヒステリシスの指標として、ヒステリシスの絶対値が0.50%以下であることとしている。ヒステリシスの絶対値が0.50%以下であれば、トルクセンサ被測定軸のゼロ安定性は良く、トルク検出を行う上での支障は無いと判断できる。
本発明のトルクセンサ用軸材であるNo.1〜19では、いずれもヒステリシスの絶対値が0.50%以下の特性を満足しており、トルクセンサ軸材としてゼロ点の安定性が優れていると判断できる。一方、比較例のNo.20〜21では、ヒステリシスの絶対値は0.50%を超え、約1%まで大きくなっている。
【0026】
ここで各軸材の残留磁束密度と残留オ−ステナイト量を見ると、本発明のNo.1〜19では、いずれも残留磁束密度0.6T以下、残留オ−ステナイト量5.0〜40.0%の範囲を満足している。一方、比較例のNo.20〜21では、残留磁束密度は0.6Tを超え、残留オ−ステナイト量は5%未満となっている。また本発明のNo.1〜19では、いずれもロックウェル硬さ45HRC以上の硬さを有している。
本実施例から、素材の組成、残留磁束密度、残留オ−ステナイト量を本発明の範囲内に調節することにより、トルクセンサ軸材として優れたヒステリシスが得られることが分かる。本発明のトルクセンサ軸材は、優れたゼロ点安定性を有するトルクセンサとして使用できることが明らかである。
【0027】
【発明の効果】
本発明によればトルクセンサ軸材の組成、残留磁束密度、残留オ−ステナイト量を所定の範囲内に調整することにより、トルクセンサのヒステリシスを飛躍的に低減することができる。本発明はゼロ点安定性に優れたトルクセンサを実現するに当たって欠くことのできない技術である。
【図面の簡単な説明】
【図1】トルクセンサの出力特性図である。
【図2】トルクセンサ軸材の磁化曲線の模式図である。
【図3】本発明のトルクセンサ用軸材のインダクタンス−応力特性を示す図である。
【図4】比較例のインダクタンス−応力特性を示す図である。

Claims (4)

  1. 質量%でC:0.30〜1.50%、Si:0.1〜4.0%、Mn:0.1〜4.0%、Cr:5.0%を超えて20.0%以下、残部が実質的にFeから成り、マルテンサイト主体の組織で組織中に含有する残留オ−ステナイト量が5.0〜40.0%であるとともに、残留磁束密度が0.6T(テスラ)以下であることを特徴とするトルクセンサ用軸材。
  2. 更にNi:0.1〜5.0%、Al:0.1〜4.0%、Co:0.1〜4.0%、Mo:0.1〜4.0%の1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のトルクセンサ用軸材。
  3. ロックウェル硬さが45HRC以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトルクセンサ用軸材。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載のトルクセンサ用軸材を用いているトルクセンサ。
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