JP3692931B2 - 潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維およびその製造方法 - Google Patents

潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた捲縮発現能力により布帛に適度な伸縮性を与えることのできる潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルは機械的特性をはじめ、様々な優れた特性を有しているため衣料用途のみならず幅広く展開されている。また、近年のストレッチブームによりポリエステル系布帛にもストレッチ性を与えるため、種々の方法が採用されている。
【0003】
例えば、織物中にポリウレタン系の弾性繊維を混用し、ストレッチ性を付与する方法がある。しかしながら、ポリウレタン系繊維を混用した場合、ポリウレタン固有の性質として風合いが硬く、織物の風合いやドレープ性が低下すると共に、ポリエステル用の分散染料には染まり難く、汚染の問題がつきまとう。そのため、還元洗浄の強化など染色工程が複雑になるばかりか、所望の色彩に染色することが困難であった。
【0004】
一方、ポリウレタン系繊維を用いない方法として、サイドバイサイド複合を利用した潜在捲縮発現性ポリエステル繊維が種々提案されている。潜在捲縮発現性ポリエステル繊維とは、熱処理により捲縮が発現するか、あるいは熱処理前より微細な捲縮が発現する能力を有するポリエステル繊維のことを言う。
【0005】
例えば、特公昭44−2504号公報や特開平4−308271号公報には固有粘度差あるいは極限粘度差を有するポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)のサイドバイサイド複合繊維、特開平5−295634号公報にはホモPETとそれより高収縮性の共重合PETのサイドバイサイド複合繊維が記載されている。このような潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を用いれば、確かにある程度のストレッチ性を得ることはできるが、織物にした際のストレッチ性が不充分となり、満足なストレッチ性織物が得られにくいという問題があった。これは、上記したようなサイドバイサイド複合繊維は織物拘束中での捲縮発現能力が低い、あるいは捲縮が外力によりヘタリ易いためである。サイドバイサイド複合繊維はポリウレタン系繊維のように繊維自身の伸縮によるストレッチ性を利用しているのではなく、複合ポリマ間の収縮率差によって生じる3次元コイルの伸縮をストレッチ性に利用している。このため、例えば、ポリマーの収縮が制限される織物拘束下で熱処理を受けるとそのまま熱固定され、それ以上の収縮能を失うためコイルが十分に発現せず、上記問題が発生すると考えられる。
【0006】
また、特公昭43−19108号公報や特開平11−158733号公報にはポリトリメチレンテレフタレートを利用したサイドバイサイド型の短繊維が記載されている。本願記載の方法を用いれば、適度なストレッチ性を与えることができるが、短繊維間のコイル捲縮が会合し合う傾向が強いために布帛表面にシワや斑が発現しやすく、品位が悪いものしかできないという問題がある。また、特公昭43−19108号公報に記載の方法を本発明者らが追試したところ、紡糸速度が低いことに起因すると思われる糸斑により染色斑が発生した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、紡糸、延伸等の製糸性やカード工程通過性が良好で、ポリウレタン混用で問題となる染料汚染がなく、従来のポリエステル系潜在捲縮性繊維で問題となっている織物拘束下での捲縮発現能力を改善し、伸縮性に優れるとともに、布帛表面のシワや斑、染め斑の発生が少ない高品位の布帛を得ることができる潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するため本発明は、次の構成を採用する。すなわち、
(1)2種類のポリエステル系重合体A及びBが繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維において、ポリエステル系重合体Aがポリトリメチレンテレフタレートを主体としたポリエステルであり、ポリエステル系重合体Bが平均粒子径0.01〜2μmの粒子を0.1重量%以上含有する繊維形成性ポリエステルであって、該複合繊維の断面形状が短軸方向に複合界面を有する扁平形状であるとともに、断面の長軸/短軸の比で表される扁平度が1.4〜6であることを特徴とする潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維。
【0010】
)収縮応力の極大を示す温度が110℃以上で、かつ収縮応力の極大値が0.15cN/dtex以上であることを特徴とする(1)記載の潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維。
【0011】
)カット長が3〜150mmであり、繊度が0.5〜6dtexであることを特徴とする(2)記載の潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維。
【0012】
)繊維断面の形状が、ポリエステル系重合体Bの外周形状が略円形であり、ポリエステル系重合体Aの外周形状が略楕円形又は略方形である扁平断面であることを特徴とする()〜()のいずれか1項記載の潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維。
【0013】
)ポリエステル系重合体Bがポリトリメチレンテレフタレートを主体としたポリエステルであることを特徴とする(1)〜()のいずれか1項記載の潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維。
【0014】
)ポリエステル系重合体Bがポリブチレンテレフタレートを主体としたポリエステルであることを特徴とする(1)〜()のいずれか1項記載の潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維。
【0015】
)ポリエステル系重合体Aにポリトリメチレンテレフタレートを主体としたポリエステルを配し、ポリエステル系重合体Bに平均粒子径0.01〜2μmの粒子を0.1重量%以上含有する繊維形成性ポリエステルを配して複合紡糸するに際し、各々の固有粘度(IV)が次式(1)〜(3)を満たす組み合わせで複合流を形成し、該複合流をスリットの短軸方向が複合界面になるようスリットしてから吐出して引き取り、延伸工程で処理温度110〜200℃で熱処理した後、油剤を付与し、カット長3〜150mmにカットすることを特徴とする潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維の製造方法
【0016】
0.30X≦Y≦0.45X+0.30 ・・・(1)
0.45≦Y ・・・(2)
0.8≦X≦2.0 ・・・(3)
(ただし、Y:ポリエステル系重合体Bの固有粘度(IV)
X:ポリエステル系重合体Aの固有粘度(IV))
)(1)〜()のいずれか1項記載の潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維を少なくとも一部に用いて成ることを特徴とする伸縮性に優れたポリエステル系布帛。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル系短繊維は、粘度の異なる2種類のポリエステル系重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた特定の形状を有する扁平断面繊維である。粘度が異なる重合体を前記複合形態にすることによって、紡糸、延伸時に高粘度側に応力が集中するため、各成分間で内部歪みが異なる。そのため、延伸後の弾性回復率差および布帛の熱処理工程での熱収縮率差により高粘度側が大きく収縮し、単繊維内で歪みが生じて3次元コイル捲縮の形態をとる。この3次元コイルの径および単位繊維長当たりのコイル数は、高収縮成分と低収縮成分との収縮差(弾性回復率差と熱収縮率差を足し合わせた値)によって決まるといってもよく、収縮差が大きいほどコイル径が小さく、単位繊維長当たりのコイル数が多くなる。
【0018】
ストレッチ素材として要求されるコイル捲縮は、コイル径が小さく、単位繊維長当たりのコイル数が多い(伸長特性に優れ、見映えが良い)、コイルの耐へたり性が良い(伸縮回数に応じたコイルのへたり量が小さく、ストレッチ保持性に優れる)、さらにはコイルの伸長回復時におけるヒステリシスロスが小さい(弾発性に優れ、フィット感がよい)等である。これらの要求を満足しつつ、ポリエステルとしての特性を有することで、トータルバランスに優れたストレッチ素材とすることができる。
【0019】
ここで、前記のコイル特性を満足するためには高収縮成分(本発明ではポリエステル系重合体A)の特性が重要となる。コイルの伸縮特性は、低収縮成分を支点とした高収縮成分の伸縮特性が支配的となるため、高収縮成分に用いる重合体には特に高い伸長性および回復性が要求される。そこで、本発明者らはポリエステルの特性を損なうことなく前記特性を満足させるために鋭意検討した結果、ポリエステル系重合体Aにポリトリメチレンテレフタレート(以下PTTと略記する)を主体としたポリエステルを用いることを見出した。PTT繊維は、代表的なポリエステル繊維であるポリエチレンテレフタレート(以下PETと略記する)やポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略記する)繊維と同等の力学的特性や化学的特性を有しつつ、伸長回復性が極めて優れている。これは、PTTの結晶構造においてアルキレングリコール部のメチレン鎖がゴーシュ−ゴーシュの屈曲構造であること、さらにはベンゼン環同士の相互作用(スタッキング、並列)による拘束点密度が低く、フレキシビリティーが高いことから、メチレン鎖の回転により分子鎖が容易に伸長・回復するためと考えている。
【0020】
ここで、本発明のPTTとは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、1,3−プロパンジオールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。ただし、20モル%、より好ましくは10モル%以下の割合で他のエステル結合の形成が可能な共重合成分を含むものであってもよい。共重合可能な化合物として、例えばイソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのジオール類を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
また、本発明の低収縮成分(本発明ではポリエステル系重合体B)には高収縮成分であるPTTとの界面接着性が良好で、製糸性が安定している繊維形成性ポリエステルであれば特に限定されるものではない。ただし、力学的特性、化学的特性および原料価格を考慮すると、繊維形成能のあるPTT、PET、PBTが好ましい。さらにポリエステル系重合体A(高収縮成分)との融点、ガラス転移点を合わせることで、紡糸工程でより高収縮成分に応力を集中させ、収縮率差を大きくできる点で、PTT、PBTがより好ましい。また、PTTやPBTとすることで繊維のヤング率を低くできるので、よりソフトで弾発性に優れた布帛が得られるという利点もある。なお、本発明でいう粘度とは固有粘度(IV)を指し、オルソクロロフェノール中に試料を溶かして測定した値である。
【0022】
また、製糸やカード通過性、テキスタイル加工での工程通過性を高めて安定した製造を行うために、滑剤としてコイル捲縮の外側成分となるポリエステル系重合体Bに平均粒子径0.01〜2μmの粒子を0.1重量%以上含有することが必要である。平均粒子径が0.01μm未満では、滑剤としての効果が小さく、工程通過性を改善することができない。一方、平均粒子径が2μm以上では粒子が欠点として働いて繊維強度が低くなるため、製糸での糸切れ頻度が高くなる。
【0023】
また、粒子含有量が0.1重量%未満では、前記の工程通過性を向上させる効果が小さく、粒子含有量が3重量%を越えると製糸におけるパックライフの短縮や、ガイド、ローラー等の摩耗が激しくなる等の問題が発生する。好ましい粒子含有量は0.2〜3.0重量%であり、より好ましい粒子含有量は0.3〜2.0重量%である。粒子種としては、二酸化チタン、シリカ、アルミナ、カオリナイト、炭酸カルシウム等の微粒子が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。また、さらなる工程通過性の向上や、防透け性を高めるために、コイルの内側成分となるPTTにも粒子を含有させることが好ましい。また、抗酸化剤としてヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを添加してもよい。
【0024】
また、本発明の複合繊維は短軸方向に複合界面を有する扁平形状で、断面の長軸/短軸の比で表される扁平度が1.4〜6であることが必要である。扁平断面繊維は丸断面繊維と異なり、曲げに対して断面異方性を有しており、扁平断面の短軸方向に曲がりやすく、長軸方向には曲がりにくいといった特徴をもつ。よって短軸方向に複合界面を与えた場合、曲げ剛性の高い方向に収縮差に伴う曲げが生じるため、コイル捲縮にねじれが加わる。そのため単繊維間でコイル捲縮の会合が生じにくく、各々独立して捲縮が発現するため、嵩高度が高く、適度なふくらみを与えるとともに、ソフトで反発感のある布帛とすることができる。また、隣り合う繊維間で捲縮位相がずれることで、コイル捲縮によるトルクの分散効果を高めることができるため、シワや斑のないフラットで高品位な布帛とすることができる。
【0025】
また、扁平度は前記の位相ずらし効果を与えつつ、製糸やテキスタイル加工での工程通過性、強度等の機械的特性、良好な発色性を満足するために、好ましくは扁平度1.5〜6であり、より好ましくは1.6〜4、さらに好ましくは1.7〜2.5である。
【0026】
また、繊維間会合の抑制による位相ずらし効果は、2種類のポリエステル系重合体間で非対称形状となるような特定の断面とすることでより発揮される。図1は本発明の好ましい実施態様を示した繊維断面であるが、例えば2種類のポリエステル系重合体A(図の白抜き部)及びポリエステル系重合体B(図の斜線部)は、ポリエステル系重合体Bの外周形状が略円形であり、ポリエステル系重合体Aの外周形状が略楕円形又は略方形である扁平断面である。このような断面とすることで、図2に示すように繊維間で断面が同方向に揃うことなく、外力による再配列(断面が同方向に並び、繊維間で会合が進む)を抑制することができるため、製品のライフサイクルを飛躍的に伸ばすことができる。
【0027】
また、2成分間の複合比率は製糸性および繊維長さ方向のコイルの寸法均質性の点で、高収縮成分:低収縮成分=70:30〜35:65(重量%)の範囲が好ましく、60/40〜45/55の範囲がより好ましい。
【0028】
また、布帛拘束力に打ち勝って、安定的にコイル捲縮を発現させるためには、収縮応力および収縮応力の極大を示す温度が重要な特性となる。収縮応力は高いほど布帛拘束下での捲縮発現性がよく、収縮応力の極大を示す温度が高いほど仕上げ工程での取り扱いが容易となる。したがって、布帛の熱処理工程で捲縮発現性を高めるには、収縮応力の極大を示す温度は好ましくは110℃以上であり、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。また、収縮応力の極大値は好ましくは0.15cN/dtex以上であり、より好ましくは0.20cN/dtex以上、さらに好ましくは0.25cN/dtex以上である。
【0029】
また、本発明のポリエステル系短繊維は、ヤング率が60cN/dtex以下、伸度3〜10%での微分ヤング率の最小値が15cN/dtex以下であることが好ましい。これら諸特性はすべて布帛におけるソフト性、反発性、弾性回復性に関わっており、いずれの特性もソフトストレッチ性を与えるためには低い値であるほうがよい。そのため、ヤング率は40cN/dtex以下であることがより好ましい。同様に、伸度3〜10%での微分ヤング率の最小値は10cN/dtex以下であることがより好ましい。
【0030】
また、本発明者らの実験では、結晶化度が高いほど捲縮回復能が高く、伸縮弾性率も高くなることがわかっている。したがって、結晶化度は高いほどよく、好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上である。
【0031】
ここで、結晶化度の測定はJIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法)7.14.2の密度勾配管法に従い密度を測定し、結晶化度は次式によって求めた(ただし、dc、daの値はPTTのものであり、ポリエステル系重合体A及びポリエステル系重合体Bの両成分がPTTのときの結晶化度である)。
【0032】
Xc[%] = {dc×(d−da)}/{d×(dc−da)}×100
Xc:結晶化度(%)、
d:実測糸密度、
dc:完全結晶部の密度
da:完全非晶部の密度
ここで、dc:1.387g/cm3 、da:1.295g/cm3 を用いた。
【0033】
本発明のポリエステル短繊維のカット長は、3〜150mmであることが好ましく、10〜100mmであることがより好ましい。この範囲とすることで、カード工程や紡績工程での通過性を向上させるとともに、繊維末端からの素抜けを抑制し、製品とした際に良好な強度を保持することができる。また、繊度はカード通過性を良好にするために0.5dtex以上にすることが好ましく、柔軟性のある風合いとするために6dtex以下にすることが好ましい。より好ましくは1〜4dtexである。
【0034】
本発明のポリエステル系短繊維の160℃における乾熱収縮率は18%以下であることが好ましい。乾熱収縮率が18%を越えると、布帛にした際に収縮が入りすぎて粗硬感のある風合いとなってしまう。より好ましい収縮率は15%以下である。
【0035】
また、高速化が要請されるカードに対応するためには、強度は2.5cN/dtex以上が好ましく、3cN/dtexがより好ましい。更にウェブの絡合性を十分にし、ウェブ切れを抑制するために捲縮率は10%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。
【0036】
こうして得られた本発明のポリエステル系短繊維は、布帛の一部あるいは全部に用いることにより、ソフト性、ふくらみ感、適度な反発感、ストレッチ性を与えることができる。また、本発明のポリエステル系短繊維は、本発明の繊維とは異なる合成繊維や化学繊維、綿、麻、レーヨン、ポリノジックやキュプラ等のセルロース繊維、絹、ウールと混用することで、他繊維の風合いや吸放湿性、吸水性、制電性、保温性を付与でき、着用快適性が向上するため好ましい。
【0037】
本発明の布帛形態は、織物、編物、不織布、さらにはクッション材など、目的に応じて適宜選択でき、インナーやシャツ、ブラウス、パンツ、スーツ、ブルゾン、スポーツウェア、裏地、抄紙等に好適に用いることができる。
【0038】
次に、本発明のポリエステル系短繊維の好ましい製法を説明する。
【0039】
本発明のポリエステル系短繊維は、2種類のポリエステル系重合体からなるサイドバイサイド複合繊維である。高収縮成分となるポリエステル系重合体AにはPTTを主体としたポリエステルを配し、低収縮成分となるポリエステル系重合体Bにはポリエステル系重合体Aよりも低粘度であり、平均粒子径0.01〜2μmの粒子を0.1重量%以上含有する繊維形成性を有するポリエステルを配し、例えば図3に示すような構造を有する口金を用い、吐出孔上部で合流させ、サイドバイサイド複合流を形成させた後、所望の断面形状を得るための吐出孔、例えば図4に示すスリットの短軸方向に複合界面が形成される様に吐出することで得られる。ただし、本発明の断面形状が得られるのであれば、口金形状はこれに限定されるものではない。また、吐出された糸条は冷風等により強制冷却され、固化した後、ローラーによって引き取られ未延伸糸を得る。
【0040】
ここで、本発明の目的を達成しつつ、安定して紡糸するためには、各成分として用いるポリマの固有粘度および、各成分間の固有粘度差が重要となってくる。複合繊維といえども、片側成分の粘度が低すぎて繊維形成能がなかったり、逆に高すぎて特殊な紡糸装置が必要になるようでは実用的ではない。また、各成分間の粘度差により、吐出孔直下での糸条のベンディング(曲がり現象)の度合いが決まる。吐出孔直下でのベンディングが大きいと、吐出流の不整脈(ピクツキ)が生じやすく、紡糸性を悪化させる原因になる。そのため、本発明の目的を達成しつつ、製糸性を良好なものにするために、各成分の固有粘度(IV)は、次式を満たす組み合わせであることが好ましい。
【0041】
0.30X≦Y≦0.45X+0.30 ・・・(1)
0.45≦Y ・・・(2)
0.8≦X≦2.0 ・・・(3)
(ただし、Y:ポリエステル系重合体Bの固有粘度(IV)
X:ポリエステル系重合体Aの固有粘度(IV))
複合紡糸を行う際、繊維形成性のポリエステル系重合体Bの固有粘度(IV)を0.45以上にすることで、安定した製糸性が得られ好ましい。より好ましくは0.50以上である。さらに高い捲縮特性を得るためには、0.7以下であることが好ましい。一方、ポリトリメチレンテレフタレートを主体としたポリエステル系重合体Aを安定して溶融押出するために、固有粘度は0.8〜2.0の範囲が好ましく、より好ましくは1.1〜1.7である。
【0042】
また、2成分の固有粘度の組み合わせとして、Y=0.30XよりもYの値を大きくすることで、紡糸糸条が高粘度成分側に過度にベンディングするのを抑え、長時間に渡って安定して製糸することができるため好ましい。一方、Y=0.45X+0.30よりもYの値を小さくすることで、得られる糸の捲縮特性を目的とするレベルにすることができ好ましい。
【0043】
また、紡糸温度はポリエステル系重合体BがPTTやPBTの場合で245〜270℃、PETの場合で265〜290℃とすることが好ましく、必要に応じて口金下に2〜20cmの加熱筒やモノマー、オリゴマー等の吸引装置、ポリマ酸化劣化あるいは口金孔汚れ防止用の空気、スチーム、N2などの不活性ガス発生装置を設置してもよい。
【0044】
また、糸の太さ斑を小さくし、品位の高い布帛を得るために、紡糸速度は1000m/分以上にすることが好ましく、より好ましくは1200m/分以上、さらに好ましくは1400m/分以上である。
【0045】
延伸は、本発明の目的である高い伸縮性を付与するために、高倍率で行うことが有効となる。したがって、延伸倍率は最大延伸倍率の65%以上の倍率で延伸することが好ましく、70%以上の倍率で延伸することがより好ましい。ここで、最大延伸倍率とは複合紡糸によって得られた未延伸糸をオリエンテック(株)社製引張試験機UCT−100にて常温で低速延伸し、強度が最大を示す点の伸度(%)から次式によって求めた値である。なお、測定は5回行い、平均伸度をEとした。
【0046】
最大延伸倍率(倍)=(E/100)+1
また、延伸は2段以上の多段で行うことが好ましく、液浴温度50〜100℃で延伸し、延伸トウとする。液浴温度はポリエステル系重合体BがPTTやPBTの場合で50〜80℃、PETの場合で60〜98℃とすることが好ましい。
【0047】
また、本発明の狙いとする収縮応力のピーク温度及び乾熱収縮率とするために、延伸後に熱処理を行う必要がある。処理温度は110〜200℃で行うことが好ましく、130〜180℃で行うことがより好ましい。PTTの融点は230℃近傍にあるため、糸温度が210℃を越える条件では実質熱処理は不可能である。延伸して得たトウは、油剤を付与し必要に応じて座屈捲縮を付与し、さらにこのトウを使用目的に合わせたカット長(3〜150mm)に切断し、短繊維とする。
【0048】
本発明のポリエステル系繊維の表面処理用油剤としては、例えばポリアルキレングリコール及び/またはその誘導体を挙げることができる。ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド等が好ましく用いられる。上記誘導体としては、それらの末端に酸成分を縮重合したものであり、酸成分としては、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、ベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩成分、高級脂肪酸成分、モノカルボン酸成分等が例示できる。
【0049】
【実施例】
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
【0050】
A.固有粘度
オルソクロロフェノール(以下OCPと略記する)10ml中に試料ポリマを0.8g溶かし、25℃にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを下式により求め、IVを算出した。
【0051】
ηr=η/η0 =(t×d)/(t0 ×d0
IV=0.0242ηr+0.2634
ここで、η:ポリマ溶液の粘度、
η0 :OCPの粘度、
t:溶液の落下時間(秒)、
d:溶液の密度(g/cm3 )、
0 :OCPの落下時間(秒)、
0:OCPの密度(g/cm3 )。
【0052】
B.収縮応力
カネボウエンジニアリング(株)社製熱応力測定器で、昇温速度150℃/分で測定した。サンプルは10cm×2のループとし、初期張力は繊度(dtex)×0.9×(1/10)gfとした。
【0053】
C.強伸度、ヤング率(初期引張抵抗度)
単糸をオリエンテック(株)社製 TENSILON UCT−100でJIS L1015(化学繊維ステープル試験方法)に示される定速伸長条件で測定した。なお、破断伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。また、ヤング率はJIS L1015(化学繊維ステープル試験方法)の初期引張抵抗度に示される条件で測定した。
【0054】
D.微分ヤング率
C項で得られたS−S曲線の各点の応力を図5のように伸度で微分して求めた。
【0055】
E.結晶化度
JIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法)7.14.2の密度勾配管法に従い密度を測定し、結晶化度は次式によって求めた。
【0056】
Xc[%] = {dc×(d−da)}/{d×(dc−da)}×100
Xc:結晶化度(%)、
d:実測糸密度、
dc:完全結晶部の密度
da:完全非晶部の密度
ここで、dc:1.387g/cm3、da:1.295g/cm3を用いた。
【0057】
F.溶融粘度
東洋精機(株)社製キャピログラフ1Bを用い、チッソ雰囲気下において温度280℃、歪み速度1216sec-1での測定を3回行い平均値を溶融粘度とした。
【0058】
G.最大延伸倍率
未延伸糸をオリエンテック(株)社製 TENSILON UCT−100で伸長させ、得られたS−S曲線における最大強力を示した点の伸度Eから求めた。なお、伸長条件は、つかみ間隔50mm、引張速度400mm/分とし、測定は5回行いその平均をEとした。
【0059】
最大延伸倍率(倍)=(E/100)+1
H.50%伸長回復率
短繊維をスラリー濃度が0.15%となるように水中に分散させた後、水を抜き、シート状とする。その後ウォーターパンチによって繊維を交絡させた後、160℃で1分間熱処理を行い、目付約30g/m2、 厚み約0.3mmの伸縮性不織布を作成する。作成した不織布を25×200mmの試験片とし、オリエンテック(株)社製TENSILON UCT−100でつかみ間隔100mm、引張速度100mm/分で50mm引っ張り、同速度で元の位置に戻しヒステリシスカーブを描かせ、戻り点の伸びa(荷重ゼロ点)を用い、次式から50%伸長回復率を求めた。
【0060】
50%伸長回復率(%)=(50−a)/50×100
実施例1
平均粒子径が0.4μmの酸化チタンを0.35重量%含有した固有粘度(IV)が1.50(溶融粘度1340poise)のホモPTTをポリエステル系重合体Aとし、平均粒子径が0.4μmの酸化チタンを0.35重量%含有した固有粘度(IV)が0.52(溶融粘度570poise)のホモPETをポリエステル重合体Bとして、それぞれ別々に溶融し、紡糸温度275℃で図3に示す構造を有する口金装置及び図4(a)に示す吐出孔を有する複合紡糸口金から複合比(重量%)50:50で吐出し、紡糸速度1400m/分で引取り、サイドバイサイド型複合構造未延伸糸を得た。またその断面形状は、図1(a)に示すPTTの外周形状が略楕円形、PETの外周形状が略円形である非対称性の扁平形状であり、その扁平度(長軸/短軸の比)は1.8であった。また、該未延伸糸の最大延伸倍率は4.8倍であった。さらに未延伸糸を70℃の温浴中で延伸倍率3.15倍で延伸、引き続いてスチームによる100℃の湿熱下で1.02倍に延伸(1段目、2段目合わせて最大延伸倍率の67%)し、さらに160℃で緊張熱処理を行い、ポリエチレンオキシドを主成分とする油剤を付与し、繊維長35mmにカットして2.5dtexの短繊維を得た。
【0061】
該短繊維は沸騰水処理を行うことでコイル径が約250μmの細かい捲縮を呈した。さらに不織布として50%伸長回復率を測定したところ、81%と極めて良好な伸長回復性を示した。
【0062】
実施例2、実施例3
平均粒子径が0.4μmの酸化チタンを0.35重量%含有した固有粘度(IV)が0.48(溶融粘度450poise)のホモPET、又は平均粒子径が0.4μmの酸化チタンを0.35重量%含有した固有粘度(IV)が0.65(溶融粘度1190poise)のホモPETをポリエステル系重合体Bに用いた以外は実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。固有粘度(IV)が0.48のホモPETを用いた実施例2は、実施例1同様、良好な伸縮性を示した。また、固有粘度(IV)が0.65のホモPETを用いた実施例3は、口金直下のベンディングも小さく、紡糸性が良好であった。また、実施例1と比較してやや伸縮性に劣るが、従来品のPET/PET系バイメタル糸よりも優れていた。
【0063】
実施例4
艶消し剤として平均粒子径0.4μmの酸化チタンを0.1重量%含有した固有粘度(IV)が1.02(溶融粘度900poise)のホモPTTをポリエステル系重合体Aに用いた以外は実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。実施例4は紡糸、延伸とも製糸性は良好であり、糸切れは発生しなかった。また、実施例1と比較して伸縮特性はやや劣っていたが、ストレッチ素材として十分使用できるポテンシャルを有していた。
【0064】
実施例5
艶消し剤として平均粒子径0.4μmの酸化チタンを0.1重量%含有した固有粘度(IV)が1.72(溶融粘度1420poise)のホモPTTをポリエステル系重合体Aとし、1段目の延伸倍率を3.0倍(最大延伸倍率の68%)とした以外は実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。実施例5は紡糸、延伸とも製糸性は良好であり、糸切れは発生しなかった。また、実施例1と同様、優れた伸縮特性を示した。
【0065】
比較
口金の吐出孔を円形とした以外は実施例3と同じ方法で評価した。比較の断面形状はほぼ円形(扁平度1)であった。比較は紡糸、延伸とも製糸性は良好であり、糸切れは発生しなかった。また、実施例1と同様、優れた伸縮特性を示した。ただし、不織布表面には部分的にシワが発生し、品位面で若干劣るものであった。
【0066】
比較例
延伸工程での緊張熱処理の温度を35℃とした以外は実施例1と同様の方法で評価した。比較例の原糸は160℃の乾熱収縮率が23%と高く、収縮応力の最大値を示すピーク温度も92℃と低いため、不織布の乾熱処理工程で急激な収縮が入ってシワが寄り、表面品位の悪いものとなった。また、得られた不織布は粗硬感があるとともに伸縮特性も低く、ストレッチ素材としてのポテンシャルに欠けるものであった。
【0067】
比較例
平均粒子径が0.4μmの酸化チタンを0.35重量%含有した固有粘度(IV)が0.4のホモPET(溶融粘度250poise)をポリエステル重合体Bとした以外は実施例1と同様の方法で評価した結果を表1に示す。比較例のポリマ組み合わせでは口金直下でのベンディングがひどく、安定して紡糸することができなかった。
【0068】
実施例
艶消し剤として平均粒子径が0.4μmの酸化チタンを0.35重量%含有した固有粘度(IV)が0.65のホモPTT(溶融粘度260poise)をポリエステル系重合体Bに用い、紡糸温度265℃で紡糸、さらに未延伸糸を60℃の温浴中で延伸倍率3.0倍(最大延伸倍率の70%)とした以外は実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。実施例6の製糸性は良好であった。また、原糸の低いヤング率及び微分ヤング率に起因するソフトな伸縮性(ソフトストレッチ性)を有しているとともに、実施例1よりも50%伸縮回復率が高いものであった。
【0069】
実施例
艶消し剤として平均粒子径が0.4μmの酸化チタンを0.1重量%含有した固有粘度(IV)が0.75のホモPBT(溶融粘度440poise)をポリエステル系重合体Bに用いた以外は実施例7と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。実施例8の製糸性は良好であった。また、ソフトストレッチ性、50%伸長回復率が実施例1よりも優れていた。
【0070】
実施例8
吐出孔形状を図4(d)とした以外は実施例1と同様の方法で評価した結果を表1に示す。実施例の断面形状は図1(d)に示すようにPETの外周形状が略円形、PTTの外周形状が略方形である非対称性の扁平形状であり、その扁平度は1.6であった。実施例は実施例1と比較してややソフト性が低いものであったが、表面品位は良好であった。
【0071】
実施例
紡糸速度を920m/分としてサイドバイサイド型複合構造未延伸糸とし、延伸工程での1段目の延伸倍率を3.7倍(最大延伸倍率の69%)とした以外は実施例1と同様の方法で評価した。実施例は実施例1と同様、優れたソフト性およびストレッチ特性を示したが、不織布を染色すると糸斑に起因すると思われる染め斑が発生し、品位面でやや劣るものであった。
【0072】
比較例
平均粒子径が0.4μmの酸化チタンを0.35重量%含有した固有粘度(IV)が0.85(溶融粘度3000poise)のホモPETをポリエステル系重合体Aとし、紡糸温度290℃で紡糸、90℃の温浴中で延伸した以外は実施例1と同様の方法で評価した。比較例3は紡糸性、延伸性は良好であるものの、ソフト性、伸縮特性ともに低く、ストレッチ素材としてのポテンシャルに欠けるものであった。
【0073】
比較例5
ポリエステル系重合体A及びポリエステル系重合体Bに粒子を添加しなかった(粒子含有量ゼロ)以外は実施例1と同様の方法で評価した。比較例は製糸工程でのガイド、ローラーに対する摩擦抵抗が大きいために糸切れが多発するとともに、ガイド、ローラー表面の摩耗が大きいものであった。また、カード通過性が悪く、ネップが発生しやすかった。
【0074】
【表1】
Figure 0003692931
【0075】
【発明の効果】
本発明のポリエステル系短繊維を用いることにより、ソフトタッチで優れたストレッチ性を与えるとともに、ポリウレタン混用で問題となる染料汚染がなく、高品位な布帛を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合糸を構成する単繊維の繊維横断面形状を示す図である。
【図2】本発明の複合糸の断面方向の配列を示す図である。
【図3】本発明の繊維を製造するために好ましく用いられる口金の縦断面図である。
【図4】本発明の繊維を製造するために好ましく用いられる吐出孔形状を示す図である。
【図5】本発明(実施例1)の繊維の応力及び微分ヤング率−伸度曲線である。

Claims (8)

  1. 2種類のポリエステル系重合体A及びBが繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維において、ポリエステル系重合体Aがポリトリメチレンテレフタレートを主体としたポリエステルであり、ポリエステル系重合体Bが平均粒子径0.01〜2μmの粒子を0.1重量%以上含有する繊維形成性ポリエステルであって、該複合繊維の断面形状が短軸方向に複合界面を有する扁平形状であるとともに、断面の長軸/短軸の比で表される扁平度が1.4〜6であることを特徴とする潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維。
  2. 収縮応力の極大を示す温度が110℃以上で、かつ収縮応力の極大値が0.15cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1記載の潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維。
  3. カット長が3〜150mmであり、繊度が0.5〜6dtexであることを特徴とする請求項2記載の潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維。
  4. 繊維断面の形状が、ポリエステル系重合体Bの外周形状が略円形であり、ポリエステル系重合体Aの外周形状が略楕円形又は略方形である扁平断面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維。
  5. ポリエステル系重合体Bがポリトリメチレンテレフタレートを主体としたポリエステルであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維。
  6. ポリエステル系重合体Bがポリブチレンテレフタレートを主体としたポリエステルであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維。
  7. ポリエステル系重合体Aにポリトリメチレンテレフタレートを主体としたポリエステルを配し、ポリエステル系重合体Bに平均粒子径0.01〜2μmの粒子を0.1重量%以上含有する繊維形成性ポリエステルを配して複合紡糸するに際し、各々の固有粘度(IV)が次式(1)〜(3)を満たす組み合わせで複合流を形成し、該複合流をスリットの短軸方向が複合界面になるようスリットしてから吐出して引き取り、延伸工程で処理温度110〜200℃で熱処理した後、油剤を付与し、カット長3〜150mmにカットすることを特徴とする潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維の製造方法
    0.30X≦Y≦0.45X+0.30 ・・・(1)
    0.45≦Y ・・・(2)
    0.8≦X≦2.0 ・・・(3)
    (ただし、Y:ポリエステル系重合体Bの固有粘度(IV)
    X:ポリエステル系重合体Aの固有粘度(IV))
  8. 請求項1〜のいずれか1項記載の潜在捲縮発現性を有するポリエステル系短繊維を少なくとも一部に用いて成ることを特徴とする伸縮性に優れたポリエステル系布帛。
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