JP3692675B2 - クラッチ装置 - Google Patents

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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クラッチ装置に係り、特に、自動車に搭載される自動変速機におけるクラッチ装置の改良に関する。
【0002】
【従来技術】
一般に、自動車に搭載される自動変速機は、複数のクラッチ装置26を有しており、このようなクラッチ装置26は、従来、図6に示すように、エンジンの回転駆動力を出力軸へ伝達する入力軸10と、上記入力軸10からの回転駆動力を更に伝達する出力軸18とを有し、上記入力軸10上を摺動するピストン12により、クラッチ27を作動させて、入力軸10の回転駆動力を出力軸18へ伝達し、又は回転駆動力の伝達を停止するように構成されている。
【0003】
即ち、上記クラッチ27は、入力軸10に固定された外殻部材11に、軸方向に移動可能に嵌合された複数枚のセパレータプレート14と、出力軸18に対し、軸方向に移動可能に嵌合された複数枚のクラッチディスク15とにより構成されており、上記ピストン12により押圧してセパレータプレート14とクラッチディスク15とを接合させることにより、入力軸10の回転駆動力を出力軸18へ伝達すると共に、上記ピストン12の押圧を解除することにより、セパレータプレート14とクラッチディスク15とを離間させ、回転駆動力の伝達を停止するように構成されている。
【0004】
上記外殻部材11にはスナップリング22を介して固定され、外殻部材11と共にクラッチ27のハウジング28を形成する蓋部材17が設けられ、上記外殻部材11内のクラッチ27の入力軸10側には、上記ピストン12が配設されている。上記ピストン12と外殻部材11との間には、ピストン12を作動させるための作動油圧を供給させる作動油が充填された油圧室21が形成されている。
【0005】
このピストン12の出力軸18側には、入力軸10上にリターンスプリング13が配置され、上記ピストン12を常時、油圧室21方向へ押圧している。
上記蓋部材17の回転半径方向の内方端部には、出力軸18との間にベアリング58が設けられ、ベアリング58はベアリングアウターレース24及びベアリングインナーレース25とベアリングアウターレース24及びベアリングインナーレース25の間に配置されたボール16とにより形成されている。
【0006】
上記ベアリングアウターレース24は上記蓋部材17に固定されると共にベアリングインナーレース25は出力軸18に固定されており、クラッチ27の係合が解除されている状態の場合には、入力軸10、外殻部材11及び蓋部材17が、上記出力軸18のベアリングインナーレース25上をベアリング16を介して回転するように構成されている。
【0007】
上記入力軸10は固定部材44に回転可能に設けられており、固定部材44内には、上記油圧室21へオイルポンプ(図示せず)により作成された作動油圧を油圧制御バルブを介してピストン12へ供給する油圧供給路20が設けられている。この油圧供給路20は上記入力軸10に開設された油圧供給孔23を介して油圧室21へ開口している。なお、油圧供給孔23の周囲にはシール部材45が設けられている。
【0008】
一方、上記出力軸18内には、上記クラッチ27への潤滑油を供給する潤滑油供給路19が設けられている。
ところで、このように構成された従来のクラッチ装置26においては、クラッチディスク15は、常時、摩擦係合を繰り返されるため、使用期間の経過と共に磨耗する。このように、クラッチディスク15が磨耗した場合には、ピストン12がセパレータプレート14へ当接し、上記蓋部材17との間でクラッチディスク15を押圧するまでの距離が変化し、その結果、クラッチ27の係合開始点が異なってくることとなる。
【0009】
このように、ピストンのストローク量が増大することによって、いわゆるクラッチの応答性が低下した場合には、自動車に搭載された自動変速機にあっては、変速の際に、クラッチに係合していない状態が発生し、エンジンの急激な回転上昇の状態が発生する場合もあった。
このような、いわゆるエンジンの吹き上がりの状態が発生した場合には、その後、クラッチが係合する際には高回転で係合するため、クラッチディスク15の磨耗が激しく、クラッチ33の耐久性を著しく低下させると共に乗員の走行フィーリングを損ねる可能性がある。
【0010】
また、一方で、クラッチのピストンのストローク量は、クラッチのパッククリアランスや、油圧、油圧回路中にある絞りの大きさ、油圧を制御する調圧バルブ、又は可変油圧ソレノイドバルブの個体間の誤差により左右され、自動変速機毎に異なっている。
従って、これらの自動変速機の構成部品個体の製造誤差から発生するピストンストローク時間の違いから、クラッチの応答性を一律に制御することが難しく、その結果、円滑なシフトが行われない場合もある。
【0011】
そこで、このようなクラッチの応答性の制御を向上させるため、従来、ピストンの作動油を排出する排出油路に連通する制御油路を設けると共に、この制御油路に、常態においては制御油路を閉状態とすると共にピストンが作動油圧によりクラッチディスクに当接する直前の状態位置にまで予め移動した場合には上記制御油路を開状態とする開閉弁を設け、上記排出油路には電気信号により排出油路を開閉制御する制御弁を設けた技術が開示されている。
【0012】
このような技術にあっては、上記ピストンが作動油圧によりクラッチディスクに当接する直前の状態位置にまで移動した場合には、ピストンとクラッチディスクとの相対位置を検出して、上記制御弁及び開閉弁を作動させて制御油路及び排出油路を開き、一時的に作動油圧を排圧して、ピストンの移動を停止して待機させ、ピストンの作動油圧が供給された場合には、即時に、ピストンがクラッチプレートを押圧し、クラッチが係合するように構成されている(例えば、特開昭62−237120号公報参照)。
【0013】
しかしながら、以上のように構成された従来の技術にあっては、上記電気的に制御される制御弁及び排出油路を開閉する開閉弁を設けなければならず、クラッチ装置全体の構造が複雑になると共に構成部品点数が増大し、クラッチ装置の製造コストが嵩む、という不具合が存していた。
また、従来より、自動車の自動変速機のクラッチの応答に関する制御性を向上させる観点から、ピストンの作動を電子的に制御してファーストフィルを行い、ピストンを係合直前の位置にまで予め速やかに移動させた後に係合させるように構成された、いわゆる、ファーストフィル制御や、エンジン出力を、スロットルアクチュエータによりスロットル開速度を遅く制御する技術も開示されている。
【0014】
しかしながら、上記ファーストフィル制御にあっては、上記のようなクラッチディスクの磨耗によるファーストフィル時間の変更が必要となり、いわゆる学習制御を行う必要があることから、制御が複雑となり、上記同様に製造コストが嵩む、という不具合が存していた。
また、上記スロットルアクチュエータにより制御する場合には、エンジンの出力性能が結果的に低下してしまう、という不具合が存していた。
【0015】
そこで、請求項1及び2記載の発明の技術的課題は、製造コストを嵩ませることがないと共にエンジンの出力性能を低下させることなく、クラッチの応答制御性を向上させる点にある。
請求項3記載の発明の技術的課題は、請求項1及び2記載の発明の技術的課題に加えて、自動車に搭載される自動変速機のクラッチ装置において、クラッチの応答制御性を向上させる点にある。
【0016】
請求項4記載の発明の技術的課題は、請求項3記載の発明の技術的課題に加えて、クラッチの潤滑油に高低二種類の遠心油圧を発生させ、作動油に発生した遠心油圧との間の差圧によりピストンを作動させ、ピストンのクラッチへの近接状態を維持させる点にある。
請求項5記載の発明の技術的課題は、請求項4記載の発明の技術的課題に加えて、潤滑油において低い遠心油圧をより確実に発生させる点にある。
【0017】
請求項6記載の発明の技術的課題は、請求項4記載の発明の技術的課題に加えて、クラッチ係合時に潤滑油の流出を防止する点にある。
請求項7記載の発明の技術的課題は、請求項3記載の発明の技術的課題に加えて、自動車の自動変速機の変速時に、クラッチが係合しない状態により発生する、エンジンの急激な回転の上昇を有効に防止する点にある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
このような技術的課題解決のため、請求項1記載の発明にあっては、図1に示すように、入力軸10と出力軸18とを有し、油圧の供給又は供給の停止によりピストン32を作動させてクラッチ33を係合させ又はクラッチ33の係合を解除し、入力軸10の回転駆動力の出力軸18への伝達し又は伝達の停止を行うクラッチ装置において、上記入力軸10の回転の際にピストン32を作動させる作動油に発生する遠心油圧及びクラッチ33の潤滑油室34に供給される油に発生する遠心油圧により上記ピストン32を作動させて、クラッチ係合直前の状態位置にピストン32を配置させることを特徴とする。
【0019】
なお、上記クラッチ33の潤滑油室34に供給される油とは、請求項2に記載されているように、好ましくは例えば、クラッチ33の潤滑油である。
従って、請求項1記載の発明にあっては、クラッチ33が係合している場合には、油圧室21内に充填された作動油に作用する遠心力により遠心油圧が発生し、この遠心油圧により生じた推力がピストン32に対して出力軸18方向に作用するが、同時に、上記潤滑油に作用する遠心力により遠心油圧が発生し、この遠心油圧により生じた推力がピストン32に対して入力軸10方向に作用する。
【0020】
従って、クラッチ33の非係合状態の場合には、上記作動油に発生した遠心油圧により生じ、出力軸18方向へ作用する推力と、上記潤滑油に作用する遠心力により遠心油圧が発生し、この遠心油圧により生じた入力軸10方向へ作用する推力とのバランスにより、ピストン32をクラッチ33の係合直前の状態位置に配置させるものである。
【0021】
その結果、請求項1記載の発明にあっては、ピストンの作動油及び潤滑油に発生する遠心油圧を利用して、ピストンをクラッチ33の係合直前の状態位置に配置させるものであるため、製造コストを嵩ませることがないと共にエンジンの出力性能を低下させることなく、クラッチの応答制御性を向上させることができる。
【0022】
また、請求項2記載の発明にあっては、クラッチ33の潤滑油室34に供給される上記油は潤滑油であって、この潤滑油を排出しうる二つの孔部37,51が、異なる回転半径位置において設けられ、一方の孔部を開閉操作することにより異なる潤滑油流路が形成され、上記作動油に発生した遠心油圧よりも高い遠心油圧及び上記作動油に発生した遠心油圧よりも低い遠心油圧を交互に発生させ、潤滑油に発生した遠心油圧と作動油に発生する遠心油圧との間の差圧によりピストン32を入力軸10方向又は出力軸18方向へ作動させ、上記高い遠心油圧と低い遠心油圧との間において形成される所定の遠心油圧により、作動油に発生する遠心油圧との間の均衡状態を形成し、クラッチ係合直前の状態位置にピストンを配置させることを特徴とする。
【0023】
従って、請求項2記載の発明にあっては、一方の孔部を開閉操作することにより、異なる潤滑油流路が形成され、異なる潤滑油流路により大きさの異なる遠心油圧が交互に発生し、発生した夫々の遠心油圧と作動油に発生する遠心油圧との間の差圧により自動的にピストン32を作動させ、クラッチ33の近接位置にピストン32を配置させる。
【0024】
その結果、ピストン32の作動油及び潤滑油に発生する遠心油圧を利用して、ピストン32をクラッチ33の係合直前の状態位置に配置させるものであるため、製造コストを嵩ませることがないと共にエンジンの出力性能を低下させることなく、クラッチ33の制御応答性を向上させることができる。
また、請求項3記載の発明にあっては、上記クラッチ装置30は自動車の自動変速機内に設けられ、自動車のエンジンの回転駆動力を伝える入力軸10と、入力軸10の回転駆動力がクラッチ33を介して伝達される出力軸18とを有し、上記入力軸10には、クラッチ33を内部に収容するハウジング28を形成する外殻部材11が固定されると共に、軸方向に沿って入力軸10上を摺動して上記クラッチ33を係合させ又はクラッチ33の係合を解除させうるピストン32が設けられ、上記外殻部材11の出力軸18側には、上記外殻部材11と共にハウジング28を形成し、上記ピストン32がクラッチ33を係合させる際には、ピストン32との間にクラッチ33を保持する保持部50を有する蓋部材17が固定され、上記ピストン32の入力軸10側には、上記外殻部材11との間に、上記ピストン32の作動油圧を伝達する作動油が充填された油圧室21が設けられると共に、上記入力軸10側には、入力軸10周面部に開設された油圧供給孔23を介して上記油圧室21へ連通し、上記油圧室21へピストン32の作動油圧を供給する油圧供給路20が設けられ、上記ピストン32の出力軸18側には、上記クラッチ33の潤滑油が供給される潤滑油室34が形成されていると共に、上記出力軸18内には、潤滑油室34に潤滑油を供給する潤滑油供給路19が設けられ、上記クラッチ33は、上記外殻部材11に軸方向に沿って移動可能に取り付けられた複数のセパレータプレート14と、出力軸18に対して軸方向に移動可能に嵌合されると共に上記セパレータプレート14の間に配設された複数のクラッチディスク15とにより構成されていることを特徴とする。
【0025】
従って、請求項3記載の発明にあっては、自動車に搭載される自動変速機に内装されたクラッチ装置30において、ピストン32の入力軸10側において作動油に発生し、ピストン32に対して出力軸18方向に作用する遠心油圧、及び、ピストン32の出力軸18側において潤滑油に発生し、ピストン32に対して入力軸10方向へ作用する遠心油圧との間の差圧により生ずる推力を利用して、ピストンをクラッチ33の係合直前の状態位置に配置させる。
【0026】
従って、クラッチ33を係合させようとする場合には、上記作動油に作動油圧を供給した場合には、ピストン32はクラッチ33に対して係合直前の状態位置に配置されているため、迅速にクラッチ33を押圧し、クラッチ33を係合させることが可能となる。
その結果、請求項3記載の発明にあっては、自動車に搭載される自動変速機に内装されたクラッチ装置30において、製造コストを嵩ませることがないと共にエンジンの出力性能を低下させることなく、クラッチの応答制御性を向上させることができる。
【0027】
請求項4記載の発明にあっては、第1図及び第2図に示すように、上記蓋部材17のクラッチ保持部50には、第一の潤滑油排出孔51が設けられると共に上記蓋部材17の回転半径方向における内方端部と出力軸18との間には第二の潤滑油排出孔37が設けられ、上記入力軸10は上記出力軸18よりも径大に形成され、上記油圧供給孔23は上記第二の潤滑油排出孔37よりも、回転半径方向において、軸心から外方の部位に設けられていると共に上記第一の潤滑油排出孔51は上記油圧供給孔23よりも、回転半径方向において、軸心29から外方の部位に設けられており、上記第一の潤滑油排出孔51は、クラッチ33の係合時には閉状態となり、潤滑油が第二の潤滑油排出孔37から排出される潤滑油流路が形成されると共に、クラッチ33の非係合時には開状態となり、潤滑油が第一の潤滑油排出孔51から排出される潤滑油流路が形成されることを特徴とする。
【0028】
従って、請求項4記載の発明にあっては、上記第一の潤滑油排出孔51とピストン32の外方端部40との間の間隔寸法L1は、上記油圧供給孔23とピストン32の外方端部40との間の間隔寸法Lよりも小さく形成されており、上記第二の上記潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間の間隔寸法L2は、上記油圧供給孔23とピストン32の外方端部40との間の間隔寸法Lよりも大きく形成されている。
【0029】
請求項4記載の発明にあっては、上述のように、クラッチ33の係合時に上記第一の潤滑油排出孔51が閉状態となり、潤滑油が上記第二の潤滑油排出孔37から排出される場合、油圧供給孔23とピストン32の外方端部40との間Lに亘って作動油が油圧室21内に充填されている一方、潤滑室34内には第二の上記潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間L2に潤滑油が溜まっており、L<L2であるため、作動油に発生する遠心油圧Pは潤滑油に発生する遠心油圧P2よりも小さくなる。
【0030】
一方、クラッチ33の非係合時に、上記第一の潤滑油排出孔51が開状態となり、潤滑油が上記第一の潤滑油排出孔51から排出される場合には、潤滑油の貯留状態は、第二の上記潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間L2から第一の潤滑油排出孔51とピストン32の外方端部40との間L1へと移行する。
【0031】
従って、この場合、L>L1であるため、潤滑油に発生する遠心油圧P1は作動油に発生する遠心油圧Pよりも小さくなる。
以下、請求項4記載の発明における作用をより具体的に説明する。
請求項4記載の発明において、クラッチ33を係合させる場合には、油圧制御バルブを開状態とし、上記油圧供給路20を介して作動油圧を油圧室に供給し、ピストン32を作動させる。ピストン32は作動油圧により出力軸18方向へ押圧されて出力軸18方向へ前進し、クラッチ33を押圧する。従って、クラッチ33はクラッチ保持部50に押しつけられるため、セパレータプレート14の内、最も蓋部材17に近接して配置されたセパレータプレート14aは、クラッチ保持部50の内表面部に密接し、上記第一の潤滑油排出孔51はセパレータプレート14aにより閉塞された状態となる。
【0032】
この状態で、入力軸10の回転駆動力はクラッチ33を介して出力軸18に伝達され、潤滑油は潤滑油供給孔38から潤滑油室34内に流入し上記第二の潤滑油排出孔37からクラッチ装置33外方へ排出され、潤滑油供給孔38から第二の潤滑油排出孔37へ至る潤滑油の流路が形成され、上述のように、第二の上記潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間L2に潤滑油が貯留されており、L<L2であるため、潤滑油に発生する遠心油圧P2は作動油に発生する遠心油圧Pよりも大きい状態となっている。
【0033】
一方、クラッチ33の係合を解除しようとする際には、上記油圧制御バルブの作動により上記作動油圧が減じられ、上記作動油に発生しピストン32に対して出力軸18方向に作用している遠心油圧Pよりも、潤滑油室34側において発生して入力軸10方向に作用する遠心油圧P2の方が大きいことから、その差圧により発生する推力によりピストン32は押されて入力軸10方向へ後退し、クラッチ33の接合は解除される。上記蓋部材17の内側面側に押圧されていたセパレータプレート14aは、ピストン32が後退した場合には、蓋部材17のクラッチ保持部50から離間する。
【0034】
従って、セパレータプレート14aにより閉塞されていた第一の潤滑油排出孔51が開口するため、クラッチ係合時には第二の潤滑油排出孔37からクラッチ装置30外部へ流出していた潤滑油は、上記第一の潤滑油排出孔51からクラッチ装置30外方へ流出するようになり、潤滑油供給孔38から第一の潤滑油排出孔51へ至る新たな潤滑油の流路が形成される。
【0035】
この場合、上述のように、潤滑油室34内の潤滑油の貯留状態は、第一の潤滑油排出孔51とピストン32の外方端部40との間L1へと移行し、L>L1であるため、潤滑油に発生する遠心油圧P1は作動油に発生する遠心油圧Pよりも小さくなり、ピストン32は再度、出力軸18方向へ前進する。
このピストン32の前進により再度クラッチ33が係合開始位置に配置される。セパレータプレート14aが蓋部材17のクラッチ保持部50に当接した場合には、上記第一の潤滑油排出孔51を再度閉塞し、潤滑油は潤滑油排出孔37から排出されることとなり、潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間L2に潤滑油が溜まることとなる。
【0036】
その結果、潤滑油側の遠心油圧P2の方が再度、作動油側の遠心油圧Pよりも大きくなり、この差圧により生ずる推力によりピストン32は入力軸10方向へ押され、セパレータプレート14aはクラッチ保持部50から離間し、第一の潤滑油排出孔51は開放され、潤滑油は第一の潤滑油排出孔51から排出され、潤滑油側の遠心油圧は低下する。
【0037】
ピストン32は、作動油に発生する遠心油圧Pによりピストン32に対して出力軸18方向へ作用する推力F(1)、第一の潤滑油排出孔51から流出する際の遠心油圧P1によりピストン32に対して入力軸10方向へ作用する推力F(2)、及び第二の潤滑油排出孔37から流出する際の遠心油圧P2によりピストン32に対して入力軸10方向へ作用する推力F(3)との間で、均衡状態がとれる位置で停止することとなる。
【0038】
この場合、上記過程を繰り返す中で、セパレータプレート14aが第一の潤滑油排出孔51に非常に近接し、第一の潤滑油排出孔51を半ば覆った状態となった場合には、潤滑油は第一の潤滑油排出孔51から流出しにくい状態となり、潤滑油室34内の潤滑油は遠心油圧P1,P2の略中間の遠心油圧を発生することとなり、作動油側に発生した遠心油圧Pとの間で均衡状態が保持されて停止するものである。このようにしてピストン32が停止する位置は、クラッチ33に圧接してはいないが、非常に近接した状態位置にある。
【0039】
その結果、請求項4記載の発明にあっては、請求項3記載の発明の効果に加えて、クラッチ33の潤滑油に高低二種類の遠心油圧P2,P1を発生させ、作動油に発生した遠心油圧Pとの間の差圧によりピストンを作動させ、上記高低二種類の遠心油圧P2,P1の中間の遠心油圧により、作動油側に発生した遠心油圧Pとの間で均衡状態を形成し、ピストンのクラッチへの近接停止状態を維持することが可能となる。
【0040】
また、潤滑油に発生する遠心油圧を利用してピストン32を復帰させるため、リターンスプリングを配設する必要がなく、クラッチ装置30の軸方向における長さ寸法を低減することができ、クラッチ装置30の配置の自由度を確保することが可能となる。その結果、クラッチ装置30全体の大きさを低減することができ、クラッチ装置30の構成部品点数を減少させることができ、製作コストを低減させることができる。
【0041】
請求項5記載の発明にあっては、図3に示すように、上記第一の潤滑油排出孔51には、クラッチ33をピストン32方向へ付勢する弾性体52が内装され、ピストン32が作動してクラッチ33を蓋部材17の保持部50に対して押圧した際には、クラッチ33をピストン32方向へ付勢するように構成されていることを特徴とする。
【0042】
なお、上記弾性体52はコイルスプリングが好ましいが、リーフスプリング等も採用しうる。弾性体52はセパレータプレート14aをピストン32方向へ付勢しうる部材であればよい。
クラッチ33の係合時に、ピストン32がクラッチ33を押圧し、セパレータプレート14aがクラッチ保持部50に圧接した場合には、第一の潤滑油排出孔51はオリフィスを形成するため、第一の潤滑油排出孔51内の圧力は潤滑油圧よりも低くなる。その結果、ピストン32が潤滑油に発生する遠心油圧により後退した場合であっても、セパレータプレート14aが蓋部材17のクラッチ保持部50に密着したままとなり、潤滑油が第一の潤滑油排出孔51から流出しにくい場合がある。
【0043】
この場合、請求項5記載の発明にあっては、第一の潤滑油排出孔51に内装された弾性体52によりセパレータプレート14aが入力軸10方向へ押圧されるため、ピストン32の推力が解除された場合には、速やかに、セパレータプレート14aは蓋部材17から離間するため、潤滑油は確実に第一の潤滑油排出孔51から流出し始め、潤滑油に発生する遠心油圧は小さくなる。
【0044】
その結果、請求項5記載の発明にあっては、ピストン32の後退時には潤滑油は第一の潤滑油排出孔51から速やかに流出し始め、低い遠心油圧に変化するため、ピストン32を確実に係合直前の状態位置へ移動させることが可能となる。また、上記弾性体52が配設されているため、クラッチ33の係合時には、弾性体52の付勢力によりピストン32方向へ押圧されることとなりクラッチ33の係合力も安定する。
【0045】
請求項6記載の発明にあっては、図4に示すように、上記第一の潤滑油排出孔51には、クラッチ33の係合時における潤滑油の流出を防止しうるオイルシール部材53が配設されていることを特徴とする。
従って、請求項6記載の発明にあっては、クラッチ33の係合時にクラッチ33がピストン32により蓋部材17の保持部50に押圧された場合に、上記オイルシール部材53がセパレータプレート14aに圧接して第一の潤滑油排出孔51からの潤滑油の流出を防止するものである。
【0046】
その結果、クラッチ33の係合解除の際には、セパレータプレート14aにより第一の潤滑油排出孔51は閉塞され第二の潤滑油排出孔37から潤滑油は排出されるため、潤滑油に発生する遠心油圧は第二の潤滑油排出孔37からピストン32の外方端部40との間で発生し、ピストン32は確実に後退動作を行う。
その結果、請求項6記載の発明にあっては、クラッチ33の係合時におけるオイルのシール性を向上させることができ、ピストン32を安定してクラッチ33の近接位置に配置することができる。
【0047】
請求項7記載の発明にあっては、図5に示すように、上記入力軸10は上記出力軸18と略同径に形成され、上記油圧供給孔23は上記第二の潤滑油排出孔37よりも、回転半径方向において、軸心29に近接した部位に設けられていると共に、上記油圧供給孔23とピストン32の外方端部40との間L3は上記第二の潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間L5よりも大きく形成されており、上記入力軸10には上記ピストン32を油圧室21方向へ付勢して、所定回転数以下で入力軸が回転した際に作動油に発生する遠心油圧による出力軸18方向への推力を、潤滑油側に発生する入力軸10方向への推力と共に解消しうるリターンスプリング56が配設されていることを特徴とする。
【0048】
従って、請求項7記載の発明にあっては、上記リターンスプリング56のバネ定数及びストロークは、所定回転数以下で入力軸10が回転する際に作動油側に発生する遠心油圧を、潤滑油側に発生する入力軸10方向への推力と共にキャンセルできる大きさに設定されている。
この場合、潤滑油側に発生する入力軸10方向への推力とは、潤滑油に発生する遠心油圧及び潤滑油が供給される際の潤滑圧により、ピストン32に対して入力軸10方向へ作用する推力をいう。
【0049】
その結果、クラッチ33の係合を解除する際に、作動油圧の供給が減じられた場合には、油圧供給孔23とピストン32の端部40との間L3に充填された作動油においては、入力軸10が所定回転数で回転することにより発生した遠心油圧により出力軸18方向へ作用する推力のみがピストン32に対して働いている。
【0050】
この場合、クラッチ33の係合時には、上記第一の潤滑油排出孔51はセパレータプレート14aにより閉塞された状態となっていることから、潤滑油供給孔38から第二の潤滑油排出孔37へ至る潤滑油の流路が形成されており、上述のように、第二の上記潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間L5に潤滑油が流れており、L3>L5であるため、作動油に発生する遠心油圧P4は潤滑油に発生する遠心油圧P3よりも大きい。
【0051】
しかしながら、上述のように、上記潤滑油の遠心油圧P3、潤滑圧及びリターンスプリング56の付勢力の合計により生じ、ピストン32に対して入力軸10方向へ作用する推力は、上記作動油に発生した遠心油圧P4により生ずる出力軸18方向へ作用する推力よりも上回るため、作動油に発生した遠心油圧P4により生ずる推力はキャンセルされ、さらに、ピストン32は押されて入力軸10方向へ後退する。
【0052】
そして、ピストン32が後退し、上記セパレータプレート14aが蓋部材17のクラッチ保持部50から離間した場合には、上記第一の潤滑油排出孔51が開口することから、潤滑油は第一の潤滑油排出孔51から流出し始め、潤滑油は、上記第一の潤滑油排出孔51とピストン32の外方端部40との間L4のみに溜まり、この潤滑油には、第二の潤滑油排出孔37から潤滑油が流出していた際に発生した遠心油圧P3よりも小さい遠心油圧P5が発生する。
【0053】
この場合、上記L3>L4であるため、作動油に発生した遠心油圧P4から生ずる推力によりピストン32は出力軸18方向へ前進する。
このピストン32の前進により、再度クラッチ33が係合開始位置に配置され、クラッチプレート14aはクラッチ保持部50へ接触し、第一の潤滑油排出孔51を閉塞するため、潤滑油は第二の潤滑油排出孔37から流出するようになると共に、ピストン32はリターンスプリング56のストローク内に至る。
【0054】
この結果、第二の上記潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間L5に溜まった潤滑油に発生する遠心油圧P3、リターンスプリング56の付勢力及び潤滑油の潤滑圧が、再度ピストン32に作用し、その合計の推力により、ピストン32は再度、入力軸10方向へ後退するが、上記同様、クラッチプレート14aが第一の潤滑油排出孔51を開放することから潤滑油側の遠心油圧は低下する。
【0055】
ピストン32は、作動油に発生する遠心油圧P4によりピストン32に対して出力軸18方向へ作用する推力、第一の潤滑油排出孔51から流出する際の遠心油圧P5によりピストン32に対して入力軸10方向へ作用する推力、第二の潤滑油排出孔37から流出する際の遠心油圧P3によりピストン32に対して入力軸10方向へ作用する推力、上記リターンスプリング56の付勢力、及び潤滑油の潤滑圧から生ずる推力との間で、均衡状態が生ずる位置で停止することとなる。
【0056】
即ち、上記過程を繰り返す中で、セパレータプレート14aが第一の潤滑油排出孔51に非常に近接し、第一の潤滑油排出孔51を半ば覆った状態となった場合には、潤滑油は第一の潤滑油排出孔51から流出しにくい状態となり、潤滑油室34内の潤滑油は上記遠心油圧P3及びP5の中間圧となり、この中間圧、上記リターンスプリング56の付勢力及び潤滑油圧の合計の推力と、作動油側に発生した遠心油圧Pから生ずる推力との間で均衡状態が保持されることとなる。
【0057】
このピストン32が停止する位置は、クラッチ33に圧接してはいないが、非常に近接した状態位置にある。
その結果、請求項7記載の発明にあっては、エンジン回転数が所定回転数以下の場合には、上記のように、ピストン32はクラッチ33に圧接してはいないが、非常に近接した状態位置にあるが、エンジン回転数が高まり、入力軸10の回転数が所定回転以上に上昇し、作動油側の遠心油圧が一定以上に増大した場合には、ピストン32はリターンスプリング56の付勢力、潤滑油に発生している遠心油圧及び潤滑圧の合計から生ずる入力軸10方向への推力に打ち勝ち、出力軸18方向へ移動するため、ピストン32はクラッチ33を押圧し、クラッチ33は自動的に係合する。
【0058】
従って、請求項7記載の発明にあっては、遠心クラッチに類似する作用を行わせることが可能となり、例えば、自動車の高速段用のクラッチとして使用した場合には、クラッチーツークラッチ変速の場合に、低速段側のクラッチから高速段用側のクラッチへ変速する際に、エンジン回転数が上昇した場合には、自動的に高速段側のクラッチが係合することとなり、高速段側のクラッチ及び低速段側のクラッチの何れにも係合しない状態において発生する、エンジンの急激な回転上昇の事態を有効に防止することが可能となる。
【0059】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づき、本発明に係るクラッチ装置を自動車の自動変速機に適用した場合を例に詳細に説明する。なお、従来と同一部材には同一番号を付してその説明を省略する。
図1は、本発明に係るクラッチ装置を示し、第一の実施の形態に係るクラッチ装置の構造を示す断面図、図2は、本発明に係るクラッチ装置を示し、第一の実施の形態に係るクラッチ装置の係合時及び非係合時における、作動油及び潤滑油に発生する遠心油圧を示す断面図、図3は、第二の実施の形態に係るクラッチ装置の構造を示す断面図、図4は、本発明に係るクラッチ装置を示し、第三の実施の形態に係るクラッチ装置の構造を示す断面図、図5は、本発明に係るクラッチ装置を示し、第四の実施の形態に係るクラッチ装置の構造を示す断面図、図6は、従来のクラッチ装置を示す断面図である。
【0060】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係るクラッチ装置30は、自動車のエンジンの回転駆動力を伝える入力軸10と出力軸18とを有し、油圧の供給又は供給の停止によりピストン32を作動させてクラッチ33を係合させ又はクラッチ33の係合を解除し、入力軸10の回転駆動力の出力軸18への伝達又は伝達の停止を行うものであり、入力軸10の回転の際に、上記ピストン32を作動させる作動油に発生する遠心油圧及びクラッチ33に供給される潤滑油に発生する遠心油圧により上記ピストン32を作動させて、クラッチ係合直前の状態位置にピストン32を配置させるように構成されている。
即ち、本実施の形態に係るクラッチ装置30にあっては、上記潤滑油を排出しうる二つの潤滑油排出口37,51が、異なる回転半径において設けられ、一方の潤滑油排出孔51を開閉操作することにより異なる潤滑油流路が形成され、上記作動油に発生した遠心油圧よりも高い遠心油圧及び上記作動油に発生した遠心油圧よりも低い遠心油圧を交互に発生させ、発生した遠心油圧と作動油に発生する遠心油圧との間の差圧によりピストン32を入力軸10方向又は出力軸18方向へ作動させ、上記高い遠心油圧と低い遠心油圧との間において形成される所定の遠心油圧により、作動油に発生する遠心油圧との間の均衡状態を形成し、クラッチ係合直前の状態位置にピストン32を配置させるように構成されている。
【0061】
上記クラッチ装置30にあっては、上記入力軸10には、クラッチ33を内部に収容するハウジング28を形成する外殻部材11が固定されると共に、軸方向に沿って入力軸10上を摺動して上記クラッチ33を係合させ又はクラッチ33の係合を解除させうるピストン32が設けられている。
上記外殻部材11の出力軸18側には、上記外殻部材11と共にハウジング28を形成し、上記ピストン32がクラッチ33を係合させる際には、ピストン32との間にクラッチ33を保持する保持部50を有する蓋部材17が固定されている。
【0062】
上記ピストン32の入力軸10側には、上記外殻部材11との間に、上記ピストン32の作動油圧を伝達する作動油が充填された油圧室21が設けられると共に、上記入力軸10が外周に回転可能に設けられた固定部材44内には、入力軸10周面部に開設された油圧供給孔23を介して上記油圧室21へ連通し、上記油圧室へ21ピストン32の作動油圧を供給する油圧供給路20が設けられている。
【0063】
上記油圧室21の、ピストン32を挟んだ出力軸18側には、上記クラッチ33の潤滑油が供給される潤滑油室34が形成されていると共に上記出力軸18内には、潤滑油室34内に潤滑油を供給する潤滑油供給路19が設けられている。
上記蓋部材17の肉厚に形成されたクラッチ保持部50には、第一の潤滑油排出孔51が設けられると共に上記蓋部材17の回転半径方向における内方端部と出力軸18との間には第二の潤滑油排出孔37が設けられている。
【0064】
本実施の形態にあっては、上記第一の潤滑油排出孔51は所定の同一径の円筒状孔部として形成され、上記第二の潤滑油排出孔37は出力軸18の外方側部に設けられた溝部により形成されており、ベアリング58と出力軸18との間に設けられている。
このベアリング58は、ボール16と、このボール16を抱持するベアリングインナーレース25及びベアリングアウターレース24とにより形成されている。これらのベアリングインナーレース25及びベアリングアウターレース24の間には、ベアリングの内方側及び外方側にシール部材36,36が配設され、ベアリングアウターレース24及びベアリングインナ−レース25の間から潤滑油が流出しないように構成されている。
【0065】
上記入力軸10は上記出力軸18よりも径大に形成され、上記油圧供給孔23は上記第二の潤滑油排出孔37よりも、回転半径方向において、軸心29から外方の部位に設けられていると共に、第二の上記潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間の間隔寸法L2は、上記油圧供給孔23とピストン32の外方端部40との間の間隔寸法Lよりも大きく形成されている。
【0066】
上記第一の潤滑油排出孔51は上記油圧供給孔23よりも、回転半径方向において、軸心29から外方の部位に設けられていると共に、上記第一の潤滑油排出孔51とピストン32の外方端部40との間の間隔寸法L1は、上記油圧供給孔23とピストン外方端部40との間の間隔寸法Lよりも小さく形成されている。また、上記第一の潤滑油排出孔51は、クラッチ33の係合時には閉状態となり、潤滑油が第二の潤滑油排出孔37から排出される潤滑油流路が形成されると共に、クラッチ33の非係合時には開状態となり、潤滑油が第一の潤滑油排出孔51から排出される潤滑油流路が形成されるように構成されている。
その他の構成は従来のクラッチ装置26と同一である。
【0067】
以下、第一の実施の形態に係るクラッチ装置30の作用について説明する。
図2に示すように、本実施の形態に係るクラッチ装置30にあっては、上述のように、クラッチ33の係合時に上記第一の潤滑油排出孔51が閉状態となり、潤滑油が上記第二の潤滑油排出孔37から排出される場合、油圧供給孔23とピストン32の外方端部40との間Lに亘って作動油が油圧室21内に充填されている一方、潤滑室34内には第二の上記潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間L2に潤滑油が溜まっており、L<L2であるため、作動油に発生する遠心油圧Pは潤滑油に発生する遠心油圧P2よりも小さい。
【0068】
一方、クラッチ33の非係合時に、上記第一の潤滑油排出孔51が開状態となり、潤滑油が上記第一の潤滑油排出孔51から排出される場合には、潤滑油の貯留状態は、第二の上記潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間L2から第一の潤滑油排出孔51とピストン32の外方端部40との間L1へと移行する。
【0069】
従って、この場合、L>L1であるため、潤滑油に発生する遠心油圧P1は作動油に発生する遠心油圧Pよりも小さい。
この関係を以下、数式を用いて説明する。
図2に示すように、ピストン32に作用する作動油圧の内、作動油に発生する遠心油圧をF(1)、潤滑油が潤滑油室34内においてL2に亘って貯留された際に発生する遠心油圧をF(3)、潤滑油が潤滑油室34内においてL1に亘って貯留された際に発生する遠心油圧をF(2)とした場合、ピストン32に作用する遠心油圧は、それぞれ、以下の式により表される。なお、rd1は第一の潤滑油排出孔の回転半径、rd2は第二の潤滑油排出孔の回転半径、rp1はピストンの回転半径、rp2は、油圧供給孔の回転半径、rp3は入力軸の回転半径、ρは、オイル密度、ωは回転数を表す。
遠心油圧F(1)
F(1)=π/4ρω2(rp 2−rp 2)(rp 2+rp 2−2rp 2
遠心油圧F(2)
F(2)=π/4ρω2(rp 2−rp 2)(rp 2+rp 2−2rd 2
遠心油圧F(3)
F(3)=π/4ρω2(rp 2−rp 2)(rp 2+rp 2−2rd 2
この場合、rd>rp>rd であることから、遠心油圧F(1),遠心油圧F(2),及び遠心油圧F(3)の間には、F(3)>F(1)>F(2)の関係が成立する。
【0070】
また、ピストン32に作用する作動油圧Fpは、以下のとおりである。なお、PL は油圧供給路20内の圧力を指す。
Fp=π(rp1 2−rp3 2)×PL
従って、ピストン32へ作用する出力軸18方向への推力FR
F(1)+Fp であり、一方、ピストン32へ作用する入力軸10方向への推力FLは、F(2)>FL>F(3)である。
【0071】
従って、ピストン32は、上記 FR=FL の関係が成立した時点で、ピストン32は停止することとなる。
また、作動油圧の供給により、PL の値が大きくなり、FR>FL となった場合には、ピストン32はクラッチ33へ圧接し、クラッチ33は係合状態となる。
【0072】
本実施の形態において、クラッチ33を係合させる場合には、油圧制御バルブを開状態とし、上記油圧供給路20を介して作動油圧を油圧室に供給し、ピストン32を作動させる。ピストン32は作動油圧により出力軸18方向へ押圧されて出力軸18方向へ前進し、クラッチ33を押圧する。従って、クラッチ33はクラッチ保持部50に押しつけられるため、セパレータプレート14の内、最も蓋部材17に近接して配置されたセパレータプレート14aは、クラッチ保持部50の内表面部に密接し、上記第一の潤滑油排出孔51はセパレータプレート14aにより閉塞された状態となる。
【0073】
この状態で、入力軸10の回転駆動力はクラッチ33を介して出力軸18に伝達され、潤滑油は潤滑油供給孔38から潤滑油室34内に流入し上記第二の潤滑油排出孔37からクラッチ装置33外方へ排出され、潤滑油供給孔38から第二の潤滑油排出孔37へ至る潤滑油の流路が形成され、上述のように、第二の上記潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間L2に潤滑油が貯留されており、L<L2であるため、潤滑油に発生する遠心油圧P2は作動油に発生する遠心油圧Pよりも大きい状態となっている。
【0074】
一方、クラッチ33の係合を解除しようとする際には、上記作動油圧の供給が減じられた場合、上記作動油に発生しピストン32に対して出力軸18方向に作用している遠心油圧Pよりも、潤滑油室34側において発生して入力軸10方向に作用する遠心油圧P2の方が大きいことから、その差圧により発生する推力によりピストン32は押されて入力軸10方向へ後退し、クラッチ33の接合は解除される。
【0075】
そして、上記蓋部材17の内側面側に押圧されていたセパレータプレート14aは、ピストン32が後退した場合には、蓋部材17のクラッチ保持部50から離間する。
これにより、セパレータプレート14aにより閉塞されていた第一の潤滑油排出孔51が開口するため、クラッチ係合時には第二の潤滑油排出孔37からクラッチ装置30外部へ流出していた潤滑油は、上記第一の潤滑油排出孔51からクラッチ装置30外方へ流出するようになり、潤滑油供給孔38から第一の潤滑油排出孔51へ至る新たな潤滑油の流路が形成される。
【0076】
この場合、上述のように、潤滑室34内の潤滑油の貯留状態は、第一の潤滑油排出孔51とピストン32の外方端部40との間L1へと移行し、L>L1であるため、潤滑油に発生する遠心油圧P1は作動油に発生する遠心油圧Pよりも小さくなる。
従って、上記のように、ピストン32が反出力軸18方向へ後退した場合には、セパレータプレート14aが蓋部材17のクラッチ保持部50の内側面から離間した場合のピストン32に対して入力軸10方向へ作用する遠心油圧P1は、作動油側に発生した遠心油圧Pよりも小さくなるため、ピストン32は再度、出力軸18方向へ前進する。
【0077】
このピストン32の前進により再度クラッチ33が係合開始位置に配置される。セパレータプレート14aが蓋部材17のクラッチ保持部50に当接した場合には、上記第一の潤滑油排出孔51を再度閉塞し、潤滑油は潤滑油排出孔37から排出されることとなり、潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間L2に潤滑油が溜まることとなる。
【0078】
その結果、潤滑油側の遠心油圧P2の方が再度、作動油側の遠心油圧Pよりも大きくなり、この差圧により生ずる推力によりピストン32は入力軸10方向へ押され、セパレータプレート14aはクラッチ保持部50から離間し、第一の潤滑油排出孔51は開放され、潤滑油は第一の潤滑油排出孔51から排出され、潤滑油側の遠心油圧は低下するため、ピストン32は出力軸18方向へ移動する。
【0079】
従って、ピストン32は、作動油に発生する遠心油圧Pによりピストン32に対して出力軸18方向へ作用する推力F(1)、第一の潤滑油排出孔51から流出する際の遠心油圧P1によりピストン32に対して入力軸10方向へ作用する推力F(2)、及び第二の潤滑油排出孔37から流出する際の遠心油圧P2によりピストン32に対して入力軸10方向へ作用する推力F(3)との間で、均衡状態がとれる位置で停止することとなる。
【0080】
即ち、上記過程を繰り返す中で、セパレータプレート14aが第一の潤滑油排出孔51に非常に近接し、第一の潤滑油排出孔51を半ば覆った状態となった場合には、潤滑油は、第一の潤滑油排出孔51が完全に開放されている場合よりも流出しにくい状態となり、潤滑油室34内の潤滑油は上記遠心油圧P1及びP2の略中間の遠心油圧を発生することとなり、作動油側に発生した遠心油圧Pとの間で均衡状態が保持されることとなる。
【0081】
このようにしてピストン32が停止する位置は、クラッチ33に圧接してはいないが、非常に近接した状態位置にある。
その結果、本実施の形態に係るクラッチ装置30にあっては、クラッチ33の潤滑油に高低二種類の遠心油圧P2,P1を発生させ、作動油に発生した遠心油圧Pとの間の差圧によりピストンを作動させ、その結果、これら高低二種類の遠心油圧P2,P1を発生させると共に、その中間の遠心油圧により作動油側の遠心油圧Pとバランスさせてピストン32のクラッチ33への非接触近接状態を維持させることが可能となる。
【0082】
その結果、本実施の形態に係るクラッチ装置30にあっては、ピストン32の作動油に発生する遠心油圧P及び潤滑油に発生する遠心油圧P1,P2を利用して、ピストン32をクラッチ33の係合直前の状態位置に配置させるものであるため、ファーストフィル制御等の手段を施すことによる製造コストの上昇を来すことがなく、また、スロットルアクチュエータを設けることによるエンジンの動力性能の低下を来すこともなく、クラッチの応答制御性を向上させることができる。
【0083】
また、潤滑油に発生する遠心油圧を利用してピストン32を入力軸10方向へ復帰させる様に構成されているため、従来のようなリターンスプリングを配設する必要がなく、クラッチ装置30の軸方向における長さ寸法を低減することができ、クラッチ装置30の配置の自由度を確保することが可能となる。その結果、クラッチ装置30全体の大きさを低減することができ、クラッチ装置30の構成部品点数を減少させることができ、製作コストを低減させることができる。
【0084】
図3は本発明に係る第二の実施の形態に係るクラッチ装置を示す。
第二の実施の形態に係るクラッチ装置46にあっては、上記第一の潤滑油排出孔51には、クラッチ33をピストン32方向へ付勢するコイルスプリング52が内装され、ピストン32が作動されクラッチ33を蓋部材17の保持部50に対して押圧した際には、クラッチ33をピストン32方向へ付勢するように構成されている。
【0085】
即ち、上記第一の潤滑油排出孔51は上記実施の形態とは異なり、クラッチ保持部50の内側面部側に設けられた大径部49と、この大径部49に連続する小径部54とにより構成され、上記大径部49には、ピストン32のクラッチ33の押圧時にセパレータプレート14aに圧接するコイルスプリング52が収納されている。他の構成は上記実施の形態に係るクラッチ装置33と同様である。
【0086】
従って、本実施の形態に係るクラッチ装置46にあっては、クラッチ33の係合時に、ピストン32がクラッチ33を押圧し、セパレータプレート14aがクラッチ保持部50に圧接した場合には、第一の潤滑油排出孔51はオリフィスを形成するため、第一の潤滑油排出孔51内の圧力は潤滑油圧よりも低くなるため、クラッチ33の非係合時に、ピストン32が潤滑油に発生する遠心油圧P2による推力F(3)により後退した場合であっても、セパレータプレート14aが負圧により蓋部材17のクラッチ保持部50に密着したままとなり、潤滑油が第一の潤滑油排出孔51から流出しにくい、という事態を有効に防止しうる。
【0087】
即ち、本実施の形態に係るクラッチ装置46にあっては、第一の潤滑油排出孔51に内装されたコイルスプリング52によりセパレータプレート14aが入力軸10方向へ押圧されるため、作動油圧によるピストン32の推力が解除された場合には、速やかに、セパレータプレート14aは蓋部材17から離間し、潤滑油は確実に第一の潤滑油排出孔51から流出し始め、潤滑油に発生する遠心油圧は低くなる。
【0088】
その結果、本実施の形態に係るクラッチ装置46にあっては、ピストン32の後退時には潤滑油は第一の潤滑油排出孔51から速やかに流出し始め、高い遠心油圧P2から低い遠心油圧P1に変化するため、ピストン32を円滑に作動させることができ、ピストン32を確実に係合直前の状態位置へ移動させることが可能となる。
【0089】
また、上記コイルスプリング52が配設されているため、クラッチ33の係合時には、コイルスプリング52の付勢力によりクラッチ33はピストン32方向へ押圧されることとなりクラッチ33の係合力も安定する。
なお、上記弾性体52はコイルスプリングが好ましいが、リーフスプリング等も採用しうる。クラッチ33をピストン32方向へ付勢しうる部材であればよい。弾性体52を形成する素材は、金属に限定されない。
【0090】
また、図4は本発明に係る第三の実施の形態に係るクラッチ装置を示す。
本実施の形態に係るクラッチ装置47にあっては、上記コイルスプリング52が配設された第一の潤滑油排出孔51の周囲には、クラッチ33の係合時における潤滑油の流出を防止しうるオイルシール部材53が配設されている。
即ち、上記第一の潤滑油排出孔51の周囲には、凹部55が設けられ、この凹部55内にはオイルシール部材53が配設されており、クラッチ33の係合時にクラッチ33がピストン32により蓋部材17の保持部50に押圧された場合に、上記オイルシール部材53がセパレータプレート14aに圧接して第一の潤滑油排出孔51からの潤滑油の流出を防止するように構成されている。他の構成は上記各実施の形態の場合と同様である。
【0091】
従って、本実施の形態に係るクラッチ装置47にあっては、ピストン32より押圧してクラッチ33を係合する際には、セパレータプレート14aに上記オイルシール部材53が密接するため第一の潤滑油排出孔51は確実に閉塞され、第二の潤滑油排出孔37から潤滑油は排出されるため、潤滑油には、第二の潤滑油排出孔37及びピストン32の外方端部40との間で遠心油圧P2が発生し、クラッチ33の係合解除の際には、当初、遠心油圧P2により生ずる推力F(3)がピストン32に作用するため、ピストン32は確実に後退動作を開始する。
【0092】
その結果、本実施の形態に係るクラッチ部材47にあっては、クラッチ33の係合時におけるオイルのシール性を向上させることができ、高圧の遠心油圧P2を発生させることができるため、クラッチ33の係合解除時には、ピストン32を移動させてクラッチ33の近接位置に確実に配置することができる。
図5は本発明に係る第四の実施の形態に係るクラッチ装置を示す。
【0093】
第四の実施の形態に係るクラッチ装置48にあっては、上記入力軸10は上記出力軸18と略同径に形成され、上記油圧供給孔23は上記第二の潤滑油排出孔37よりも、回転半径方向において、軸心29に近接した部位に設けられていると共に、上記油圧供給孔23とピストン32の外方端部40との間の間隔寸法L3は上記第二の潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間の間隔寸法L5よりも大きく形成されていると共に、上記入力軸10には上記ピストン32を油圧室21方向へ付勢して、所定回転数以下で入力軸10が回転した際に、作動油に発生する遠心油圧による出力軸18方向への推力を、潤滑油側に発生する入力軸10方向への推力と共に解消しうるリターンスプリング56が配設されている。
【0094】
このリターンスプリング56はコイルスプリングにより構成されており、入力軸10の出力軸18側端部に支持部57を介して一端部が固定され、他端部は上記ピストン32の出力軸18側側面部に当接するように構成されている。
本実施の形態にあっては、上述のように、上記リターンスプリング56のバネ定数及びストロークは、入力軸10が所定回転数以下で回転した場合に、作動油側に発生する遠心油圧を、潤滑油側に発生する入力軸10方向への推力と共にキャンセルできる大きさ及び長さに設定されている。
【0095】
その結果、クラッチ33の係合を解除する際には、作動油圧の供給が減じられることから、ピストン32に対しては、油圧供給孔23とピストン32の端部40との間L3に充填された作動油に、入力軸10が所定回転数で回転することにより発生した遠心油圧により出力軸18方向へ作用する推力のみが作用する。
この場合、クラッチ33の解除前においては、上記第一の潤滑油排出孔51はセパレータプレート14aにより閉塞された状態となっていることから、潤滑油供給孔38から第二の潤滑油排出孔37へ至る潤滑油の流路が形成され、上述のように、第二の上記潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間L5に潤滑油が流れており、L3>L5であるため、作動油に発生する遠心油圧P4は潤滑油に発生する遠心油圧P3よりも大きい。
【0096】
しかしながら、上述のように、上記潤滑油の遠心油圧P3、潤滑圧及びリターンスプリング56の付勢力の合計により生じ、ピストン32に対して入力軸10方向へ作用する推力は、上記作動油に発生した遠心油圧により生ずる出力軸18方向へ作用する推力よりも上回るため、作動油に発生した遠心油圧により生ずる推力P4はキャンセルされ、更に、ピストン32は押されて入力軸10方向へ後退し、リターンスプリング56のストローク外へ至る。
【0097】
そして、ピストン32の後退によりクラッチ33の係合が解除され、上記セパレータプレート14aが蓋部材17のクラッチ保持部50から離間した場合には、上記第一の潤滑油排出孔51が開口することから、潤滑油は第一の潤滑油排出孔51から流出し始め、潤滑油は、上記第一の潤滑油排出孔51とピストン32の外方端部40との間L4のみに溜まり、この潤滑油には、第二の潤滑油排出孔37から潤滑油が流出していた際に発生した遠心油圧よりも小さい遠心油圧P5が発生する。
【0098】
この場合、上記L3>L4であるため、作動油に発生した遠心油圧P4から生ずる推力によりピストン32は出力軸18方向へ前進する。
このピストン32の前進により、再度クラッチ33の係合開始位置に配置され、クラッチプレート14aはクラッチ保持部50へ接触し、第一の潤滑油排出孔51を閉塞し始めるため、潤滑油は第二の潤滑油排出孔37から流出するようになると共に、ピストン32はリターンスプリング56のストローク内に至る。
【0099】
この結果、第二の上記潤滑油排出孔37とピストン32の外方端部40との間L5に溜まった潤滑油に発生する遠心油圧P3、リターンスプリング56の付勢力及び潤滑油の潤滑圧が、再度ピストン32に作用し、その合計の推力により、ピストン32は再度、入力軸10方向へ後退するが、上記同様、クラッチプレート14aが第一の潤滑油排出孔51を開放することから潤滑油側の遠心油圧は低下するため、ピストン32は出力軸18方向へ前進する。
【0100】
このように、ピストン32は、作動油に発生する遠心油圧P4によりピストン32に対して出力軸18方向へ作用する推力、第一の潤滑油排出孔51から流出する際の遠心油圧P5によりピストン32に対して入力軸10方向へ作用する推力、第二の潤滑油排出孔37から流出する際の遠心油圧P3によりピストン32に対して入力軸10方向へ作用する推力、上記リターンスプリング56の付勢力及び潤滑油の潤滑圧から生ずる推力との間で、均衡状態が生ずる位置で停止することとなる。
【0101】
即ち、上記過程を繰り返す中で、セパレータプレート14aが第一の潤滑油排出孔51に非常に近接し、第一の潤滑油排出孔51を半ば覆った状態となった場合には、潤滑油は第一の潤滑油排出孔51からは、完全に開放された状態の場合よりも流出しにくい状態となり、潤滑油室34内の潤滑油には上記遠心油圧P3及びP5の略中間の遠心油圧が発生する。
【0102】
従って、上記中間の遠心油圧と上記リターンスプリング56の付勢力と、更に、潤滑圧の合計から生ずる推力と、作動油側に発生した遠心油圧P4から生ずる推力との間で均衡状態が保持されることとなる。
このピストン32が停止する位置は、クラッチ33に圧接してはいないが、非常に近接した状態位置にある。
【0103】
その結果、本実施の形態に係るクラッチ48にあっては、エンジン回転数が所定回転数以下の場合には、上記のように、ピストン32はクラッチ33に圧接してはいないが、非常に近接した状態位置にあり、エンジン回転数が高まり、入力軸10の回転数が所定回転以上に上昇し、作動油側の遠心油圧が一定以上に増大した場合には、ピストン32はリターンスプリング56の付勢力、潤滑油に発生している遠心油圧及び潤滑圧の合計から生ずる入力軸10方向への推力に打ち勝ち、出力軸18方向へ移動するため、ピストン32はクラッチ33を押圧し、クラッチ33は自動的に係合する。
【0104】
以下に、以上の状態を数式で表す。
なお、r1は油圧供給孔の回転半径、r2は第二の潤滑油排出孔の回転半径、r3は入力軸の回転半径、r4はピストンの回転半径、r6は第一の潤滑油排出孔の回転半径を表す。
クラッチ33が係合している場合には、ピストン32に対して出力軸18方向へ作用する推力Fp0は以下のとおりである。
【0105】
P0=Pa×Sp−π/2ρω2(r1 2−r2 2)(r4 2−r3 2)−ks・x
この場合、Ksはリターンスプリング56のバネ定数、Xは同様にストローク代を表す。そして、r2>r1 であるため、
π/2ρω2(r1 2−r2 2)(r4 2−r3 2)<0 となる。
即ち、上記ピストン32にはリターンスプリング56が設けられ、常時、反出力軸18方向へ付勢されているため、リターンスプリング56は作動油に発生する遠心油圧をキャンセルしうるキャンセラーとして機能するものである。
【0106】
一方、クラッチ33が非係合状態にある場合には、ピストン32に対して出力軸18方向へ作用する推力 Fp0 は以下のとおりである。
この場合、作動油圧の供給は無くなるため、L5の間に貯留されていた潤滑油に発生した遠心油圧、上記リターンスプリング56の付勢力等の合計により生じた推力によりピストン32は入力軸10方向へ後退し、セパレータプレート14aは潤滑油排出孔51を開放するため、以下の式が成立する。なお、この場合、ω=Ne(エンジン回転数)である。
【0107】
Figure 0003692675
そして、 r6 を適宜決定することにより、ω2 の変化により、例えば、
ω2 の値が小さい場合には、FP0<0 となり、
ω2 =ks・x/[π/2ρ(r6 2−r1 2)(r4 2−r3 2)]の場合には、
P0=0 となる。
【0108】
また、ω2 の値が大きい場合には、FP0>0 となる。
従って、ω2 の値が大きくなる場合には、FP0>0 となり、ピストン32は出力軸18方向へ推され、クラッチ33は係合する。
その結果、エンジン回転数が大きくなった場合には、クラッチ33は自動的に係合する。
【0109】
従って、本実施の形態に係るクラッチ装置48にあっては、遠心クラッチに類似する作用を行わせることが可能となり、例えば、自動車の高速段用のクラッチとして使用した場合には、クラッチーツークラッチ変速の場合に、低速段側のクラッチから高速段用側のクラッチへ変速する際に、エンジン回転数が上昇した場合には、自動的に高速段側のクラッチが係合することとなり、高速段側のクラッチ及び低速段側のクラッチの何れにも係合しない状態において発生する、エンジンの急激な回転上昇の事態を有効に防止することが可能となる。
【0110】
上記各実施の形態において、上記第一の潤滑油排出孔51は発生する遠心油圧P3,P5,P4の大きさとの関係で、適宜部位に開設し、ピストン32のクラッチ33に対する、適宜の非係合近接位置を形成することができる。
その結果、第一の潤滑油排出孔51を適宜の部位に開設することにより、自動変速機を搭載した自動車に発進時において発生する、いわゆる、クリープ現象を、個体差無く、可及的に一定に制御することが可能となる。
【0111】
なお、上記各実施の形態にあっては、第一の潤滑油排出孔51をクラッチ33を構成するセパレータプレート14aにより開閉操作することにより、潤滑油の流路を変更することにより、遠心油圧の大きさを制御する場合を例に説明したが、上記実施の形態に限定されず、他の手段を別個設けても良い。
また、上記クラッチ装置30及び41を、自動車に搭載する自動変速機に適用した場合を例に説明した。
【0112】
しかしながら、上記各実施の形態に限定されず、自動車に搭載される自動変速機以外にも本発明を適用することは可能である。
【0113】
【発明の効果】
請求項1及び2記載の発明にあっては、製造コストを嵩ませることがないと共にエンジンの出力性能を低下させることなく、クラッチの応答制御性を向上させることが可能となる。
請求項3記載の発明にあっては、請求項1及び2記載の発明の効果に加えて、自動車に搭載される自動変速機のクラッチ装置において、クラッチの応答制御性を向上させる点にある。
【0114】
請求項4記載の発明にあっては、請求項3記載の発明の効果に加えて、クラッチの潤滑油に高低二種類の遠心油圧を発生させ、作動油に発生した遠心油圧との間の差圧による推力を作用させてピストンを作動させ、ピストンのクラッチへの近接状態を維持させることができる。
請求項5記載の発明にあっては、請求項4記載の発明の効果に加えて、潤滑油において低い遠心油圧をより確実に発生させることができる。
【0115】
請求項6記載の発明にあっては、請求項4記載の発明の効果に加えて、クラッチ係合時に潤滑油の流出を防止することができる。
請求項7記載の発明にあっては、請求項3記載の発明の効果に加えて、自動車の自動変速機の変速時に、クラッチが係合しない状態により発生する、エンジンの急激な回転の上昇を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るクラッチ装置を示し、第一の実施の形態に係るクラッチ装置の構造を示す断面図である。
【図2】本発明に係るクラッチ装置を示し、第一の実施の形態に係るクラッチ装置の係合時及び非係合時における、作動油及び潤滑油に発生する遠心油圧の状態を示す断面図である。
【図3】 本発明に係るクラッチ装置を示し、第二の実施の形態に係るクラッチ装置の構造を示す断面図である。
【図4】 本発明に係るクラッチ装置を示し、第三の実施の形態に係るクラッチ装置の構造を示す断面図である。
【図5】 本発明に係るクラッチ装置を示し、第四の実施の形態に係るクラッチ装置の構造を示す断面図である。
【図6】 従来のクラッチ装置の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
10 入力軸 11 外殻部材
12 ピストン 13 リターンスプリング
14 セパレータプレート 15 クラッチディスク
16 ボール 17 蓋部材
18 出力軸 19 潤滑油供給路
20 油圧供給路 21 油圧室
22 スナップリング 23 油圧供給孔
24 ベアリングアウターレース 25 ベアリングインナーレース
26 クラッチ装置 27 クラッチ
28 ハウジング 29 軸心
30 クラッチ装置 32 ピストン
33 クラッチ 34 潤滑油室
36 シール部材 37 第二の潤滑油排出孔
38 潤滑油供給孔 39 フランジ部
40 外方端部 41 クラッチ装置
42 作動油排出孔 43 ピストン
44 固定部材 45 シール部材
46 クラッチ装置 47 クラッチ装置
48 クラッチ装置 49 大径部
50 クラッチ保持部 51 第一の潤滑油排出孔
52 弾性体(コイルスプリング) 53 オイルシール材
54 小径部 55 凹部
56 リターンスプリング 57 支持部
58 ベアリング
L 油圧供給孔とピストンの外方端部との間(間隔寸法)
L1 第一の潤滑油排出孔とピストンの外方端部との間(間隔寸法)
L2 第二の潤滑油排出孔とピストンの回転半径方向における外方端部との間(間隔寸法)
L3 油圧供給孔とピストンの外方端部との間(間隔寸法)
L4 第一の潤滑油排出孔とピストンの外方端部との間(間隔寸法)
L5 第二の潤滑油排出孔とピストンの回転半径方向における外方端部との間(間隔寸法)
P 油圧室内の作動油に発生する遠心油圧
P1 第一の潤滑油排出孔とピストン外方端部との間において潤滑油室内に溜まった潤滑油に生ずる遠心油圧
P2 第二の潤滑油排出孔とピストン外方端部との間において潤滑油室内に溜まった潤滑油に生ずる遠心油圧
P3 第二の潤滑油排出孔とピストン外方端部との間において潤滑油室内に溜まった潤滑油に生ずる遠心油圧
P4 油圧室内の作動油に発生する遠心油圧
P5 第一の潤滑油排出孔とピストン外方端部との間において潤滑油室内に溜まった潤滑油に生ずる遠心油圧
F(1) 油圧室内の作動油に発生する遠心油圧により、ピストンに対して出力軸方向へ作用する推力
F(2) 第一の潤滑油排出孔とピストン外方端部との間に溜まる潤滑油に生ずる遠心油圧により、ピストンに対して入力軸方向へ作用する推力
F(3) 第二の潤滑油排出孔とピストン外方端部との間に溜まる潤滑油に生ずる遠心油圧により、ピストンに対して入力軸方向へ作用する推力
rd1 第一の潤滑油排出孔の回転半径
rd2 第二の潤滑油排出孔の回転半径
rp1 ピストンの回転半径
rp2 油圧供給孔の回転半径
rp3 入力軸の回転半径
r1 油圧供給孔の回転半径
r2 第二の潤滑油排出孔の回転半径
r3 入力軸の回転半径
r4 ピストンの回転半径
r6 第一の潤滑油排出孔の回転半径

Claims (7)

  1. 入力軸と出力軸とを有し、油圧の供給又は供給の停止によりピストンを作動させてクラッチを係合させ又はクラッチの係合を解除し、入力軸の回転駆動力の出力軸への伝達又は伝達の停止を行うクラッチ装置において、
    入力軸の回転の際に上記ピストンを作動させる作動油に発生する遠心油圧及び上記クラッチを潤滑するために供給される油に発生する遠心油圧により上記ピストンを作動させて、クラッチ係合直前の状態位置にピストンを配置させることを特徴とするクラッチ装置。
  2. クラッチを潤滑するために供給される上記油は潤滑油であって、この潤滑油を排出しうる二つの孔部が、異なる回転半径位置において設けられ、一方の孔部を開閉操作することにより異なる潤滑油流路が形成され、上記作動油に発生した遠心油圧よりも高い遠心油圧及び上記作動油に発生した遠心油圧よりも低い遠心油圧を潤滑油に交互に発生させて、潤滑油に発生した遠心油圧と作動油に発生する遠心油圧との間の差圧によりピストンを入力軸方向又は出力軸方向へ作動させ、
    上記高い遠心油圧と低い遠心油圧との間において形成される所定の遠心油圧により、作動油に発生する遠心油圧との間の均衡状態を形成し、クラッチ係合直前の状態位置にピストンを配置させることを特徴とする請求項1に記載のクラッチ装置。
  3. 上記クラッチ装置は自動車の自動変速機内に設けられ、自動車のエンジンの回転駆動力を伝える入力軸と、入力軸の回転駆動力がクラッチを介して伝達される出力軸とを有し、
    上記入力軸には、クラッチを内部に収容するハウジングを形成する外殻部材が固定されると共に、軸方向に沿って入力軸上を摺動して上記クラッチを係合させ又はクラッチの係合を解除させうるピストンが設けられ、
    上記外殻部材の出力軸側には、上記外殻部材と共にハウジングを形成し、上記ピストンがクラッチを係合させる際には、ピストンとの間にクラッチを保持する保持部を有する蓋部材が固定され、
    上記ピストンの入力軸側には、上記外殻部材との間に、上記ピストンの作動油圧を伝達する作動油が充填された油圧室が設けられると共に、入力軸周面部に開設された油圧供給孔を介して上記油圧室へ連通し、上記油圧室へピストンの作動油圧を供給する油圧供給路が設けられ、
    上記ピストンの出力軸側には、上記クラッチの潤滑油が供給される潤滑油室が形成されていると共に、上記出力軸内には潤滑油室に潤滑油を供給する潤滑油供給路が設けられ、
    上記クラッチは、上記外殻部材に軸方向に沿って移動可能に固定された複数のセパレータプレートと、出力軸に対して軸方向に移動可能に嵌合されると共に上記セパレータプレートの間に配設された複数のクラッチディスクとにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のクラッチ装置。
  4. 上記蓋部材のクラッチの保持部には、第一の潤滑油排出孔が設けられると共に上記蓋部材の回転半径方向における内方端部と出力軸との間には第二の潤滑油排出孔が設けられ、
    上記入力軸は上記出力軸よりも径大に形成され、上記油圧供給孔は上記第二の潤滑油排出孔よりも、回転半径方向において、軸心から外方の部位に設けられていると共に上記第一の潤滑油排出孔は上記油圧供給孔よりも、回転半径方向において、軸心から外方の部位に設けられており、
    上記第一の潤滑油排出孔は、クラッチの係合時には閉状態となり、潤滑油が第二の潤滑油排出孔から排出される潤滑油流路が形成されると共に、クラッチの非係合時には開状態となり、潤滑油が第一の潤滑油排出孔から排出される潤滑油流路が形成されることを特徴とする請求項3に記載のクラッチ装置。
  5. 上記第一の潤滑油排出孔には、クラッチをピストン方向へ付勢する弾性体が内装され、ピストンが作動されてクラッチを蓋部材の保持部に対して押圧した際には、クラッチをピストン方向へ付勢するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のクラッチ装置。
  6. 上記第一の潤滑油排出孔には、クラッチ係合時における潤滑油の流出を防止しうるオイルシール部材が配設されていることを特徴とする請求項4に記載のクラッチ装置。
  7. 上記蓋部材のクラッチの保持部には、第一の潤滑油排出孔が設けられると共に上記蓋部材の回転半径方向における内方端部と出力軸との間には第二の潤滑油排出孔が設けられ、
    上記入力軸は上記出力軸と略同径に形成され、上記油圧供給孔は上記第二の潤滑油排出孔よりも、回転半径方向において、軸心に近接した部位に設けられていると共に、上記油圧供給孔とピストン外方端部との間の間隔寸法は上記第二の潤滑油排出孔とピストン外方端部との間の間隔寸法よりも大きく形成されており、
    上記第一の潤滑油排出孔は、クラッチの係合時には閉状態となり、潤滑油が第二の潤滑油排出孔から排出される潤滑油流路が形成されると共に、クラッチの非係合時には開状態となり、潤滑油が第一の潤滑油排出孔から排出される潤滑油流路が形成され、
    記入力軸には上記ピストンを油圧室方向へ付勢し、入力軸が所定回転数以下で回転した際に、作動油に発生する遠心油圧による出力軸方向への推力を、潤滑油側に発生する入力軸方向への推力と共に解消しうるリターンスプリングが配設されていることを特徴とする請求項3に記載のクラッチ装置。
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