JP3692481B2 - 空調ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば車両等に用いられる空調ユニットであって、特にブロワからの空気吐出方向と、熱交換器とがほぼ直交するように配置されたものに関する
【0002】
【従来の技術】
近年において、車両等に用いられる空調ユニットの小型化を図るために、実開平6−71222号公報に示される様に、ケース14内に少なくともエバポレータ15とヒータコア16とが隣接して収納すると共に前記エバポレータ15の上流側にスペースを設け、このスペースにブロワユニットから送られてきた空気が流入するように、ケースの側部側にブロワユニットから延びるダクトと接続する嵌合口9を有する温調ユニットを採用する場合が多くなっている。
【0003】
そして、上記の様な構成の温調ユニットに対し、ブロワユニットをダクトを介して接続した場合には、図5(a)に示される様に、ブロワユニット100の吹出口101の向きが温調ユニット102に収納されたエバポレータ103に対し略直交したものとなっていた。
【0004】
これにより、ブロワユニット100の吹出口101から吹き出された空気は、図5(a)に示される様に、エバポレータ103のブロワユニット側(図面上L側)よりも、反ブロワユニット側(図面上R側)の方へより多く流れ込むこととなり、風量に不均等が生ずる。また、図5(b)で示されるエバポレータ前側の空気の圧力の相違から判るように、ブロワユニット側(L側)よりも反ブロワユニット側(R側)の方が風速も大きくなり、風圧分布に不均等が生ずる。
【0005】
よって、エバポレータ103のブロワユニット側(L側)と反ブロワユニット側(R側)とでは、熱交換能力に差異を生じ、通過する部位によって空気の冷却される温度が相違するので、車室内に吹き出す空気の温調を正確に行うことができないという不具合を生じていた。
【0006】
上記不具合を解決する手法としては、図6(a)に示される様に、空調ユニットに対し、ブロワユニット100からエバポレータ103に流れる空気の通風路104の途中部位を階段状にして渦を発生させることで、エバポレータ103に流れる空気の風量及び風速分布を均等化することが考えられる。
【0007】
また、上記不具合を解決する手法としては、図7(a)に示される様に、空調ユニットに対し、ブロワユニット100の吹出口101とエバポレータ103の上流側面との角度を緩和して、できるだけ吹出口101とエバポレータ103の上流側面とを対向させることで、エバポレータ103に流れる空気の風量及び風速分布を均等化することが考えられる。
【0008】
尚、図5乃至図7中、104はヒータコア、105は吹出モード切換装置である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、先述の空調ユニットの構造では、図6(b)のエバポレータ前側の空気の圧力の相違で判る様に、図5(a)及び(b)に示される空調ユニットよりは、ブロワユニット側(L側)と反ブロワユニット側(R側)との風量及び風速分布の不均等を是正することができるが、完全に均等化することはない。しかも、通風路を階段状とすることにより、通気抵抗が増加すると共に、騒音が生ずるという新たな不具合も生ずることとなる。
【0010】
また、後述の空調ユニットの構造でも、図7(b)のエバポレータ前側の空気の圧力の相違で判る様に、エバポレータのブロワユニット側(L側)と反ブロワユニット側(R側)との風量及び風速分布を完全に均等化することはない。しかも、できるだけ吹出口とエバポレータの上流側面とを対向させようとするので、空調ユニットが大型化し、初期の空調ユニットの小型化という目的に反することとなる。
【0011】
以上のことから鑑みるに、温調ユニットのエバポレータ上流側のスペースに側方からブロワユニットより延びるダクトを接続する構造の空調ユニットにおいては、エバポレータのブロワユニット側(L側)と反ブロワユニット側(R側)との風量及び風速分布を完全に均等化することは極めて困難であり、風量及び風速分布の不均等をある程度許容せざるを得ないと思われる。
【0012】
そこで、この発明は、ブロワからの空気吐出方向と熱交換器の上流側面とがほぼ直交するように配置された場合に、熱交換器のブロワ側と反ブロワ側との風量又は風速分布に不均等があっても、熱交換器を通過し、吹き出される空気の温度に差異が生ずることを防止した空調ユニットを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
しかして、この発明に係る空調ユニットは、空気を車室内外から導入して下流側に吐出するブロワと、前記ブロワより吐出された空気を取り入れて熱交換器により熱交換することにより温調した後、車室内に吹き出す温調部とを備え、前記ブロワと温調部とは、前記ブロワからの空気吐出方向と、前記熱交換器とがほぼ直交するように配置される空調ユニットにおいて、前記熱交換器は、タンクが複数の画室に区画され、これらの画室のうち反ブロワ側に位置する画室には、入口部を介して熱交換媒体が外方より流入し、前記ブロワ側に位置する画室からは、出口部を介して熱交換媒体が外方に流出すると共に、これら画室に対し各々下流側に位置して熱交換媒体通路を介して連通する画室は、相互にも連通することで前記ブロワ側の画室と反ブロワ側の画室とで異なるパスのフローが形成されたものである(請求項1)。
【0014】
上記熱交換器は、ブロワより吐出された空気を最初に熱交換するものであれば良く、通常の空調ユニットの配置ではエバポレータが該当する。そして、熱交換媒体である冷媒が外方に流出されるタンクの画室側よりも熱交換媒体が外方から流入されるタンクの画室側の方が、熱交換媒体通路を通過した時間が短く、あまり液冷媒がガス化されていないので、相対的に熱交換媒体の温度は低くなっている。
【0015】
これにより、熱交換器のブロワ側よりも反ブロワ側の方が風量が多く、また風速が大きい場合であっても、熱交換器のブロワと反対側の方が熱交換器のブロワ側よりも熱交換媒体の熱交換能力が高くなるので、実質的にブロワ側を通過する空気とブロワと反対側を通過する空気との温度差は解消される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面により説明する。
【0017】
図1乃至図4において、この発明に係る車両等に用いられる空調ユニット1を構成するブロワ2と温調部9とが示されている。このうち、ブロワ2は、内外気切換装置3とファン6とをケーシング7に収納したものとなっている。
【0018】
そして、内外気切換装置3は、車室内と連通する内気導入口4と、車室外と連通する外気導入口5とが形成されると共に、図示しないインテークドアの開度を調整することにより、後述するエバポレータ11側に送られる空気を内気と外気とに適宜選択できるようになっている。
【0019】
また、ファン6は、前記内外気切換装置3の直下に配置されたもので、このファン6には例えばシロッコファン等が用いられると共に、ファン6のモータには例えばブラシレスモータ等が用いられている。
【0020】
そして、ブロワ2のケーシング7には、ファン6により吸引された空気をエバポレータ11側に吐出するための吐出口8が開口している。
【0021】
温調部9には、ケーシング10内に、エバポレータ11、ヒータコア12、吹出モード切換装置13とが収納されている。
【0022】
このうち、エバポレータ11は、最上流側に配置されるもので、図示しないエクスパンジョンバルブ、コンデンサ、コンプレッサと配管結合されて、熱交換媒体循環サイクルを構成しており、前記ブロワ2から導入された空気を冷却するようになっている。
【0023】
また、ヒータコア12は、エバポレータ11の後方に近接して配置されておりエバポレータ11により冷却された空気を加熱するようになっている。尚、エバポレータ11とヒータコア12との間には、図示しないがエアミックスドアが設けられて、ヒータコア12により加熱される空気とヒータコア12をバイパスする空気との割合を調整している。
【0024】
そして、吹出モード切換装置13は、ヒータコア12よりも更に下流側、即ち最下流側に配置されたもので、前記ヒータコア12により加熱された空気とバイパスした空気とを混合した温調空気を、図示しない吹出ドアにより適宜選択して所望の吹出口から車室内に吹き出すことができるようになっている。
【0025】
ところで、このブロワ2内に収納されたファン6から吹き出される空気の方向(図1の矢印方向)と、温調部10内に収納されたエバポレータ11の向きとは図1で示される様に略直交したものとなっており、このためファン6から吹き出された空気をエバポレータ11に送り込める様に、一方がブロワ2の吐出口8と接続すると共に、その側方が温調部10の上流側と連通した通風路14が設置されている。
【0026】
そして、この通風路14は、吐出口8から吹き出された空気をエパポレータ11側に導きやすくするために、エバポレータ11の上流側面に対し対向側に位置する側壁14aが、ブロワ2の吐出口8側から吐出口8の反対側にかけて、エバポレータ11側に傾斜したものとなっている。
【0027】
しかしながら、例えば、エバポレータ11前の圧力は、エバポレータ11のブロワ側を通過する空気の圧力を100%とした場合、図2のAとして示される領域では102%、Bとして示される領域では105%、Cとして示される領域では109%、Dとして示される領域では112%、Eとして示される領域では116%というようなっており、この結果として、ブロワ2より遠方側の方が風量が多く、風速も大きくなっている。
【0028】
これに対し、エバポレータ11は、図1に示される様に、タンクが4つの画室即ちタンク群I 乃至IVに区画されていると共に、ブロワの反対側に位置するタンク群I とII、ブロワ側に位置するタンク群III とIV、そしてタンク群IIとIII は各々連通するが、タンク群I とタンク群IVが非連通となっている。この様にタンクが区画されるには、エバポレータ11は、例えば、図3(a)及び(b)に示される様な構成をなす必要がある。このエバポレータ11の構成について、図3(a)及び(b)に基づいて説明する。
【0029】
当該エバポレータ11は、例えば、チューブエレメント19,20をコルゲート状のフイン21を介して積層し、積層方向の両端にエンドプレート22,22を配すると共に、チューブエレメント19の積層方向途中において入口部15と出口部17とが配設されたものとなっている。
【0030】
そして、チューブエレメント19は、略矩形状で、2枚の成形プレート23,23を最中合わせに接合して構成され、その一端側に各々独立したタンク24,25が形成されていると共に、このタンク24,25が形成された一端側から他端側に向けて該タンク24,25に通ずる略U字状の熱交換媒体通路16が形成されている。そして、タンク24,25には、図示しないが、両側壁に開口部が形成され、隣合うチューブエレメント19のタンク24と24、及びタンク25と25とが連通するようになっている。
【0031】
また、チューブエレメント20は、その基本形態においてチューブエレメント19と異ならないが、タンクの構造が異なっている。即ち、前記タンク24の代わりに、入口部15側の開口部を盲板により閉塞することにより又は開口部自体を形成しないことにより成る盲タンク26が用いられている。
【0032】
しかして、図3に示されるエバポレータ11は、タンク24乃至26とタンク25とを独立したものとし、且つタンク24,24間又はタンク25,25間は開口部にて連通しているが、タンク26が隣合う入口部15側のタンク24と連通しないものとすることにより、複数の画室、即ちタンク群I 乃至IVが形成されている共に、タンク24乃至26とタンク25とが熱交換媒体通路16を介して連通したものとなっている。
【0033】
以上の構成によれば、図4に示される様に、入口部15がブロワの反対側、出口部17がブロワ側となる向きに設置した場合には、熱交換媒体は、まず入口部15からタンク群I に流入された後、熱交換媒体通路16を通ってその下流側のタンク群IIに流れ、次ぎに、タンク群IIからブロワ側のタンク群III に流れ、更に、タンク群III から熱交換媒体通路16を通ってその上流側のタンク群IVに流入した後、タンク群IVから出口部17より流出する4パスのフローが形成される
【0034】
そして、熱交換媒体が出口部17より流出されるタンク群IV及びかかるタンク群IVと熱交換媒体通路16を介して連通するタンク群III よりも、入口部15より流入されるタンク群I 及びかかるタンク群I と熱交換媒体通路16を介して連通するタンク群IIの方が、熱交換媒体通路16を通過した時間が短く、あまり液冷媒がガス化されていないので、例えばタンク群IV側が摂氏4度から5度であるのに対しタンク群I 側が摂氏0度というように、比較的熱交換媒体の温度は低くなっている。
【0035】
しかして、図2に示される様に、エバポレータ11のブロワ側よりもブロワの反対側を通過する空気の風量が多く、また風速が大きい場合であっても、ブロワ側よりもブロワの反対側の方が熱交換能力が高くなるので、相対的にエバポレータ11のブロワ側を通過した空気とブロワの反対側を通過した空気との温度を等しくすることができる。
【0036】
尚、上記エバポレータ11の説明において、積層方向の途中に出入口パイプ15,18を配設として説明してきたが、必ずしもこれに限定されず、エンドプレート23側に出入口部15,18を設けると共に、入口部15とタンク群I とは直接連通しているが、タンク群IVと出口部とは連通パイプを介して連通する構造としても良い。
【0037】
また、タンクをチューブエレメントの長手方向の片側だけに形成するものだけでなく、両側にタンクを形成するものであっても良い。更に、チューブエレメントとタンクとを別体に構成してチューブエレメントの先端部をタンクの孔に挿入する構造とすると共に、タンクを仕切り板により仕切ることで、複数の画室に仕切るようにしても良い。
【0038】
そして、熱交換器がエバポレータの場合には、ブロワ側よりブロワ側の反対側の方が熱交換媒体の温度が低くなるフローであれば良く、またヒータコアの場合には、ブロワ側よりブロワ側の反対側の方が熱交換媒体の温度が低くなるフローであれば良いもので、必ずしも上述するような4パスのフローでなくても良い。
【0039】
【発明の効果】
以上の様に、請求項1に記載の空調ユニットによれば、ブロワからの空気吐出方向と、熱交換器とがほぼ直交するように配置されることにより、熱交換器のブロワ側とブロワの反対側とで風量又は風速分布が不均等であっても、熱交換器のブロワの反対側の方が熱交換器のブロワ側よりも熱交換能力に優れているので、実質的に、熱交換器のブロワ側とブロワと反対側とを通過する空気の温度に差異が生じないため、車室内に吹き出す空気の温調を正確に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、この発明に係る空調ユニットの全体構成を上方から示した平面図である。
【図2】 図2は、上記空調ユニットのエバポレータの前面側における空気の圧力分布を示した平面図である。
【図3】 図3(a)は、上記空調ユニットに用いられるエバポレータの構成を示す正面図、図3(b)は、同上のエバポレータの底面図である。
【図4】 図4は、上記空調ユニットに用いられるエバポレータの熱交換媒体のフローを示す斜視図である。
【図5】 図5(a)は、ブロワからの吐出方向と、熱交換器とがほぼ直交するように配置された場合の従来の空調ユニットの構成を示す平面図で、図5(b)は、この空調ユニットに備えられたエバポレータ前側の空気の圧力を示した特性線図である。
【図6】 図6(a)は、図5に示される従来の空調ユニットに対し通風路を階段状に改良した場合の空調ユニットの構成を示す平面図で、図6(b)は、この空調ユニットに供えられたエバポレータ前側の空気の圧力を示した特性線図である。
【図7】 図7(a)は、図5に示される従来の空調ユニットに対しブロワからの吐出空気の方向とエバポレータとが対向するように改良した場合の空調ユニットの構成を示す平面図で、図7(b)は、この空調ユニットに供えられたエバポレータ前側の空気の圧力を示した特性線図である。
【符号の説明】
1 空調ユニット
2 ブロワ
9 温調部
11 エバポレータ(熱交換器)
15 入口部
16 熱交換媒体通路
17 出口部
24 タンク
25 タンク
26 盲タンク
Claims (1)
- 空気を車室内外から導入して下流側に吐出するブロワと、前記ブロワより吐出された空気を取り入れて熱交換器により熱交換することにより温調した後、車室内に吹き出す温調部とを備え、
前記ブロワと温調部とは、前記ブロワからの空気吐出方向と、前記熱交換器とがほぼ直交するように配置される空調ユニットにおいて、
前記熱交換器は、タンクが複数の画室に区画され、これらの画室のうち反ブロワ側に位置する画室には、入口部を介して熱交換媒体が外方より流入し、前記ブロワ側に位置する画室からは、出口部を介して熱交換媒体が外方に流出すると共に、これら画室に対し各々下流側に位置して熱交換媒体通路を介して連通する画室は、相互にも連通することで、前記ブロワ側の画室と反ブロワ側の画室とで異なるパスのフローが形成されたものであることを特徴とする空調ユニット。
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Family Applications (1)
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1996
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