JP3692222B2 - 地磁気シールド特性の良好な高強度冷延鋼板および高強度めっき鋼板とその製造方法 - Google Patents

地磁気シールド特性の良好な高強度冷延鋼板および高強度めっき鋼板とその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地磁気シールド特性の良好な高強度冷延鋼板および高強度めっき鋼板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
家庭電気製品や自動車、家具、建築などの用途に薄鋼板を使用する場合、強度、防錆性等が必要とされる特性の代表的なものであるが、TVブラウン管の防爆バンドやサポートフレーム等の部品にはその部品によって構成される空間内を電子ビームが通過する際に偏向しないよう地磁気の影響をシールドすることが要求される。ここで地磁気シールド性が良好とは地磁気に相当する0.3エールステッド前後の直流磁場における比透磁率が大きいことを意味し、電子制御化の進展が著しい自動車でもこのような鋼板を使用することにより、機器の誤作動を抑制できる可能性がある。
【0003】
地磁気シールド性を良好なものとすることは、一般にJIS C2552に規定されるような無方向性電磁鋼板を用いることで容易に実現できるが、必要とされるのは地磁気に相当する0.3エ−ルステッド前後の直流磁場における比透磁率を大きくすることだけであり、回転機のような高磁場における特性は必要とせず、プレス加工用の薄鋼板と同一設備で製造できれば製造可能な板厚範囲も広く、製造コストも低減できる。地磁気に相当する0.3エ−ルステッド前後の直流磁場における比透磁率を大きくするためには鋼中に存在する微細な析出物を減じ、またフェライト結晶粒を粗大化して磁壁の移動を容易とすることが有効なことが知られており、例えば、特開平3−61330号公報では低Alキルド鋼を用いてオ−プンコイル脱炭焼鈍することにより結晶粒を粗大化する方法が、また特公平8−6134号公報や特開平8−27520号公報ではCを0.01%以下とし、不純物を少なくした鋼を連続焼鈍することにより結晶粒を粗大化する方法が記載されているが、かかる発明による鋼板では降伏点はたかだか250MPaに過ぎないと推定される。
【0004】
一方、軽量化やライフサイクルアセスメント(LCA)の観点から鋼材使用量を低減しようとする場合には、例えば250〜300MPa以上の高い降伏点が要求され、固溶強化、細粒強化、析出強化、加工強化のうち一つまたは二つ以上の手段を組み合わせて降伏点を高める必要があるが、いずれの場合も降伏点の増加にともなって地磁気シールド特性は急激に劣化し目的を達することはできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来技術の問題点を解決し、地磁気シールド特性の良好な高強度冷延鋼板および高強度めっき鋼板とその製造方法を提供することを課題とする。
ここで、冷延鋼板およびめっき鋼板とはTVブラウン管の防爆バンドやサポートフレームをはじめとした家庭電気製品や自動車、家具、建築などの用途に使用されるものであり、表面処理をしない狭義の冷延鋼板、防錆のために例えばZnやZn−Ni等の合金をめっきした電気めっき鋼板や、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板と、さらにはプレス成形性と防錆の一層の改善のためにめっき層の合金化や上層に有機皮膜処理などを施した表面処理鋼板を含むものを言う。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく、地磁気に相当する0.3エールステッド前後の直流磁場における比透磁率を大きくすることと降伏点で代表されるような強度を高めることの両立には、Cが0.0050%以下の極低炭素鋼を用いて、析出強化によらず、フェライト結晶粒を微細化せずに固溶強化することが肝要であることに着目し、鋭意検討を加えた結果、Ti、Sを複合添加したうえで、主としてSi、Mnにより固溶強化し、熱間圧延の際の温度を制御することによってフェライト結晶粒径が10〜30μmで0.3エールステッドの直流磁場における比透磁率が500以上となり、地磁気シールド特性を優れたものとできることを見出した。すなわち、本発明はこのような新知見に基づいて構成された従来にはない全く新しい鋼板であり,その要旨とするところは以下のとおりである。
【0007】
(1)重量%で、C:0.0008〜0.0050%、Si:0.3〜1.8%、Mn:0.5〜1.8%、P:0.12%以下、S:0.002〜0.020%、Al:0.020〜0.060%、Ti:0.01〜0.06%、N:0.0030%以下を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、その金属組織においてフェライト結晶粒径が10〜30μmであることを特徴とする、0.3エールステッドの直流磁場における比透磁率が500以上の地磁気シールド特性の良好な高強度冷延鋼板。
(2)重量%で、C:0.0008〜0.0050%、Si:0.3〜1.8%、Mn:0.5〜1.8%、P:0.12%以下、S:0.002〜0.020%、Al:0.020〜0.060%、Ti:0.01〜0.06%、N:0.0030%以下を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼板上に亜鉛系めっき層を有し、その金属組織においてフェライト結晶粒径が10〜30μmであることを特徴とする、0.3エールステッドの直流磁場における比透磁率が500以上の地磁気シールド特性の良好な高強度亜鉛系めっき鋼板。
【0008】
(3)前記(1)に記載の化学成分よりなるスラブを1150℃未満で加熱炉より取り出して仕上温度800℃〜980℃で熱間圧延し、700℃以上の温度で巻き取り、酸洗後、60〜90%の冷間圧延を施してから連続焼鈍設備で750℃以上Ac3点以下の温度範囲で焼鈍し、その金属組織においてフェライト結晶粒径が10〜30μmであることを特徴とする、0.3エールステッドの直流磁場における比透磁率が500以上の地磁気シールド特性の良好な高強度冷延鋼板の製造方法。
【0009】
(4)前記(2)に記載の化学成分よりなるスラブを1150℃未満で加熱炉より取り出して仕上温度800℃〜980℃で熱間圧延し、700℃以上の温度で巻き取り、酸洗後、60〜90%の冷間圧延を施してからライン内焼鈍式の連続溶融亜鉛めっき設備で750℃以上Ac3点以下の温度範囲で焼鈍し、その後、亜鉛系めっきを施し、その金属組織においてフェライト結晶粒径が10〜30μmであることを特徴とする、0.3エールステッドの直流磁場における比透磁率が500以上の地磁気シールド特性の良好な高強度亜鉛系めっき鋼板の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、C、Si、Mn、P、S、Al、Ti、及びNの限定理由について述べる。
Cは固溶強化あるいは析出強化により降伏点を高める極めて重要な元素であるが、0.0050%を超えるとTiで固定されずに残存するCが微細炭化物として時効析出するのにともなって地磁気シールド特性が劣化する。一方、Cを0.0008%未満とすることは真空脱ガスに極めて長い時間が必要となり、製造コストの増大が著しいため好ましくないばかりか、本発明の特徴とするTi、Sの複合添加を行った場合にも、析出物が粗大化せず、地磁気シールド性を良好なものとできない。
【0011】
Siはフェライト結晶粒径を大きく変化させずに、結晶中に固溶してFe原子を置換し、結晶格子を歪ませることにより、降伏点を高める。一方で地磁気シールド特性への悪影響が小さいため、降伏点を高める目的で0.3%以上添加する。しかし、その添加量が1.8%を超えと、鋼板の表層に内部酸化層を生じて、表面欠陥の一因となり、また溶融亜鉛めっきを行う場合には表層にSiO2 の被膜が形成されるためにめっき密着性を劣化する。
【0012】
MnはSiと同じようにフェライト結晶粒径を大きく変化させずに、結晶中に固溶してFe原子を置換し、結晶格子を歪ませることにより、降伏点を高める。一方で地磁気シールド特性への悪影響が小さいため、降伏点を高める目的で0.5%以上添加する。しかし、その添加量が1.8%を超えるとフェライト結晶粒の微細化が顕著となり、地磁気シールド特性が大きく劣化するばかりか、C量を本発明範囲とすることと両立するには極めて高コストとなる。
【0013】
Pはフェライト結晶粒を微細化するため、同じ固溶強化元素とされるSiやMnと比べて地磁気シールド性への悪影響が大きいが、特に降伏点強度を高める必要がある場合には、析出強化や加工強化に比べれば地磁気シールド性の劣化が許容できるものであるため、最大0.12%まで添加することができる。その量が0.12%を超えると、フェライト結晶粒の微細化が顕著となり、地磁気シールド特性が大きく劣化するばかりか、中心偏析が著しいため冷間圧延性の劣化や二次加工脆化を生じる。
【0014】
Sは本発明では粗大なTi4 2 2 を形成することにより、磁壁の移動やフェライト結晶粒の成長を阻害し、地磁気シ−ルド特性に悪影響を及ぼさないようにしているが、その量が0.020%を超えるとMnSが形成されやすく、磁壁の移動が阻害されるとともにフェライト結晶粒成長が抑制されるため、地磁気シ−ルド性が劣化する。一方、0.002%未満にすることは製造コストを極めて高くするので好ましくない。
【0015】
Alは鋼の脱酸のために用いられるが、本発明ではTiを添加してNをTiNとして固定するため、Oを捕捉するのに過剰であったAlが微細なAlNとして析出し、磁壁の移動を阻害したり、フェライト結晶粒成長を抑制して地磁気シ−ルド特性を劣化させることがない。このため表面性状の欠陥を生じることがないよう0.02%以上添加する。一方、0.06%を超える添加はコスト増となるため好ましくない。
【0016】
TiはCと共にSを粗大なTi4 2 2 として固定し、MnSが析出するのを抑制するとともに、またNをTiNとして固定し、微細なAlNとして析出するのを抑制することにより、磁壁移動を比較的容易にすると同時に、フェライト結晶粒成長が阻害されにくくし、地磁気シ−ルド性を良好とする。その添加量が0.01%未満だとその効果が認められない。一方、0.06%を超す添加はコスト増となるばかりか、Pと微細な化合物を形成するため磁壁の移動が阻害されるとともに、フェライト結晶粒の成長も抑制され、地磁気シ−ルド特性が劣化する。
【0017】
Nは本発明ではTiを添加し、TiNとして析出させることにより地磁気シ−ル特性の劣化を抑制しているが、残存Nが微細析出物となって磁壁の移動を阻害し、またTiNも過剰になると磁壁の移動に障害となる程度が顕著となるため0.0030%以下とする。
これらを主成分とする鋼にNb、Cu、Sn、Zr、Mo、W、Cr、Ni、及びB等の不可避的不純物を含むが、本発明の目的とする地磁気シールド特性と高強度を両立するためには好ましくない場合が多く、その含有量は合計で0.3%未満とすることが好ましい。
【0018】
次に、製造条件の限定理由について述べる。
熱間圧延に供するスラブは特に限定するものではない。すなわち、連続鋳造スラ薄スラブキャスター等で製造したものであればよい。熱間圧延の条件も特定すもではない。熱間圧延を開始する以前にC、S、Nの多くをTi4 2 2 、TiNとして固定し、地磁気シールド特性への悪影響を最小とするため、スラブを加熱炉から取り出す温度は1150℃未満とする。また仕上温度は800〜980℃とする。仕上温度が800℃未満の場合には未再結晶状態の組織が残存し、冷延性を悪化させるとともに、冷延、焼鈍後のフェライト結晶粒を10μm以上とすることが容易ではなく、地磁気シールド特性が劣る。一方、980℃を超えるような温度で熱延を仕上げるには加熱温度を著しく上げることが必要となり好ましくない。特に冷延、焼鈍後のフェライト結晶粒の成長を容易にするという観点からは800℃以上Ar3点以下とすることが望ましい。熱延後の冷却方法および巻取温度は特に限定しないが、残存しているC、Nが微細析出し、磁壁移動を阻害したり、フェライト結晶粒の成長を抑制し、地磁気シ−ルド特性を劣化させないよう700℃以上とする。
【0019】
冷間圧延は通常の条件でよく、特に効率よくスケ−ルの酸洗を行う目的から、その圧延率は60%以上とする。一方、90%を超す圧延率で冷間圧延を行うことは多大な冷延負荷が必要となるため現実的ではない。
連続焼鈍設備またはライン内焼鈍式の連続溶融亜鉛めっき設備で焼鈍する際、その焼鈍温度は750℃以上Ac3 点以下とする。焼鈍温度が750℃未満では再結晶が不十分であり、加工組織が残存するため地磁気シ−ルド特性が著しく劣化する。地磁気シ−ルド特性は焼鈍温度が上昇し、フェライト結晶粒が成長するとともに向上するが、Ac3 点を超すような温度で焼鈍し、変態による混粒組織が生じると低下することがあるため、避けることが望ましい。
【0020】
この後、必要により防錆のために例えばZnめっきやZn−Niをはじめとした合金めっきなどの表面処理、さらにはその上に有機皮膜処理などを施しても、本発明の特徴とする地磁気シ−ルド特性への影響は見られない。
また、焼鈍後、調質圧延や鋼板の剪断、部品形状への加工に伴って0.3エ−ルステッド前後の直流磁場における比透磁率は低下するが、TVブラウン管の防爆バンドやサポ−トフレ−ムは約600℃から強制冷却した時の熱収縮により圧縮した、すなわち焼きばめ状態で使用されるため、600℃に再加熱される過程で付加されたひずみの多くが解放され、地磁気シ−ルド特性、すなわち0.3エ−ルステッド前後の直流磁場における比透磁率は焼鈍直後の状態と大きくは違わない。すなわち、地磁気シ−ルド特性が良好なことと降伏点で代表されるような強度が高いことを両立できる。
【0021】
【実施例】
次に本発明を実施例にて更に詳細に説明する。
(実施例1)
表1に示す組成からなる鋼を表2に示す条件により3.0mm〜6.0mm厚に熱間圧延し、酸洗後、冷間圧延を施して0.7mm〜1.6mm厚の冷間圧延鋼帯とした後、連続焼鈍設備を用いて表2に示すような条件の熱処理を行い、さらに伸び率0.3%の調質圧延を行った。このようにして製造された鋼帯から圧延方向に平行にJIS5号試験片を切り出し、常温での引張試験を行うことにより、降伏強さ(YP)、引張強さ(TS)を求めた。また同じ鋼帯から切り出した30mm×300mmの試料を組み合わせ、JIS C2550に準拠した直流エプスタイン法により、0.3エ−ルステッドの直流磁場における比透磁率を求めた。さらに断面を腐食後、倍率100倍で光学顕微鏡観察することにより、フェライト結晶粒の平均粒径を求めた。結果を表2に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003692222
【0023】
【表2】
Figure 0003692222
【0024】
この表からも明らかなように、本発明に規定する化学組成を有し、フェライト結晶粒径が10〜30μmである試料No2、4、6、7、13、15、及び16は降伏点が300MPa以上の高強度冷延鋼板であると同時に、0.3エ−ルステッドの直流磁場において500以上の比透磁率を有し、地磁気シ−ルド特性に優れたものとなっている。
これに対し試料No3、5、8、9、及び14のように、本発明に規定する化学組成を有していても、製造条件が不適切であり、フェライト結晶粒径が10〜30μmの範囲になく、特に未再結晶粒が含まれていたり、混粒組織となる時には0.3エ−ルステッドの直流磁場における比透磁率は500未満となり、地磁気シ−ルド特性に劣ったものとなっている。
【0025】
また、本発明で規定する化学組成以外の鋼では、試料No10、11のようにSiやMnの添加量が少ないと0.3エ−ルステッド直流磁場において500以上の比透磁気率を有していても300MPa以上の降伏点を得ることが難しく、あるいは試料No1、12、及び17〜20のように過剰にMn、P添加されていたり、C、S、Tiの添加量が不適切であると降伏点が300MPa以上であってもフェライト結晶粒径を10〜30μmとすることが難しいために、一方、試料No21のようにCが0.0040%を超えると時効による微細炭化物が析出し易く、0.3エ−ルステッドの直流磁場における比透磁率は500未満であり、地磁気シ−ルド特性に劣っている。
【0026】
(実施例2)
表1に示す組成からなる鋼Cを表3に示す条件により3.5〜6.0mm厚に熱間圧延し、酸洗後、0.8〜1.6mm厚に冷間圧延した後、ライン内焼鈍式の連続溶融亜鉛めっき設備を用いて表3に示すような条件の熱処理を行いながらその表層に溶融亜鉛めっきを付した鋼帯に、さらに伸び率0.3%の調質圧延を行った。このようにして製造された鋼帯から圧延方向に平行にJIS5号試験片を切り出し、常温での引張試験を行うことにより、降伏強さ(YP)、引張強さ(TS)を求めた。また、同じ鋼帯から切り出した30mm×300mmの試料を組み合わせ、JIS C2550に準拠した直流エプスタイン法により0.3エ−ルステッドの直流磁場における比透磁率を求めた。さらに断面を腐食後、倍率100倍で光学顕微鏡観察することによりフェライト結晶粒径を求めた。結果を表3に示す。
【0027】
【表3】
Figure 0003692222
【0028】
この表から明らかなように、本発明に規定する化学組成を有し、フェライト結晶粒径が10〜30μmである試料No1及び2は降伏点が300MPa以上の高強度冷延鋼板であると同時に、0.3エ−ルステッドの直流磁場において500以上の比透磁率を有し、地磁気シ−ルド特性に優れたものとなっている。これに対し、試料No3〜5のように、本発明に規定する化学組成を有していても製造状件が不適切でフェライト結晶粒径が10〜30μmの範囲になく、特に未再結晶粒が含まれていたり、混粒組織となる時には0.3エ−ルステッドの直流磁場における比透磁率は500未満であり、地磁気シ−ルド特性に劣ったものとなっている。
【0029】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は地磁気に相当する0.3エ−ルステッド前後の直流磁場における比透磁率が大きく、地磁気シ−ルド特性が良好なことと降伏点で代表されるような強度が高いことを両立させた高強度冷延鋼板及び高強度めっき鋼板とそれらの製造方法を提供するものであり、またプレス加工用の薄鋼板が製造されるのと同じ連続焼鈍設備またはライン内焼鈍式の連続溶融亜鉛めっき設備を用いて容易に製造できるため、TVブラウン管の防爆バンドやサポ−トフレ−ムのみならず、家庭電気製品や自動車、家具、建築など薄鋼板が用いられる広い用途に適用でき、産業上極めて大きな効果を有する。

Claims (4)

  1. 重量%で、
    C:0.0008〜0.0050%、
    Si:0.3〜1.8%、
    Mn:0.5〜1.8%、
    P:0.12%以下、
    S:0.002〜0.020%、
    Al:0.020〜0.060%、
    Ti:0.01〜0.06%、
    N:0.0030%以下
    を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、その金属組織においてフェライト結晶粒径が10〜30μmであることを特徴とする、0.3エールステッドの直流磁場における比透磁率が500以上の地磁気シールド特性の良好な高強度冷延鋼板。
  2. 重量%で、
    C:0.0008〜0.0050%、
    Si:0.3〜1.8%、
    Mn:0.5〜1.8%、
    P:0.12%以下、
    S:0.002〜0.020%、
    Al:0.020〜0.060%、
    Ti:0.01〜0.06%、
    N:0.0030%以下
    を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼板上に亜鉛系めっき層を有し、その金属組織においてフェライト結晶粒径が10〜30μmであることを特徴とする、0.3エールステッドの直流磁場における比透磁率が500以上の地磁気シールド特性の良好な高強度亜鉛系めっき鋼板。
  3. 請求項1に記載の化学成分よりなるスラブを1150℃未満で加熱炉より取り出して仕上温度800℃〜980℃で熱間圧延し、700℃以上の温度で巻き取り、酸洗後、60〜90%の冷間圧延を施してから連続焼鈍設備で750℃以上Ac3点以下の温度範囲で焼鈍し、その金属組織においてフェライト結晶粒径が10〜30μmであることを特徴とする、0.3エールステッドの直流磁場における比透磁率が500以上の地磁気シールド特性の良好な高強度冷延鋼板の製造方法。
  4. 請求項2に記載の化学成分よりなるスラブを1150℃未満で加熱炉より取り出して仕上温度800℃〜980℃で熱間圧延し、700℃以上の温度で巻き取り、酸洗後、60〜90%の冷間圧延を施してからライン内焼鈍式の連続溶融亜鉛めっき設備で750℃以上Ac3点以下の温度範囲で焼鈍し、その後、亜鉛系めっきを施し、その金属組織においてフェライト結晶粒径が10〜30μmであることを特徴とする、0.3エールステッドの直流磁場における比透磁率が500以上の地磁気シールド特性の良好な高強度亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
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