JP3691992B2 - バックドアストライカ取付部のボデー構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はバックドアストライカ取付部のボデー構造に係り、特に、自動車等の車両におけるバックドアストライカ取付部のボデー構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等の車両のバックドアストライカ取付部のボデー構造としては、図3に示される様な構造が知られている。
【0003】
図3に示される如く、このバックドアストライカ取付部のボデー構造では、車幅方向に沿って配設された側面視L字状のクロスメンバインナパネル70と、このクロスメンバインナパネル70の車両後側に配設されたクロスメンバアウタパネル72とによって、開口部を上方に向けたクロスメンバ74が形成されている。このクロスメンバ74の上方開口部はリヤフロアパネル76によって閉塞されている。また、クロスメンバ74の内周部には、側面視L字状のストライカリインフォースメント78が配設されており、このストライカリインフォースメント78は、クロスメンバ74の下壁部74Aと後壁部74Bに沿って配設されている。クロスメンバ74の後壁部74Bにおける後面側には、ストライカベーズ80の取付部80Aがボルト82によって固定されており、このボルト82は、クロスメンバ74の後壁部74B及びストライカリインフォースメント78の縦壁部78Aを挟んで配設されたストライカリテーナ84に固定されたウエルドナット86に螺合している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このバックドアストライカ取付部のボデー構造では、側面視でL字状に屈曲したストライカベーズ80における取付部80Aの反対側の端部80Bにロックストライカ88が固定されている。この結果、ロックストライカ88への入力(図3の矢印Fに対して)ストライカベーズ80の取付点P1が車体上方にオフセットした構造となっている。このため、ロックストライカ88への入力により、ストライカベーズ80の取付点P1には剥離方向(図3の矢印M方向)の力が作用し、強度上不利な構造となっている。従って、これを補いロックストライカ88の支持剛性を向上するためには、ストライカベーズ80、ストライカリインフォースメント78、ストライカリテーナ84等の板厚を厚くする必要があり、コスト及び重量が大幅に増加する。なお、関連する従来技術としては実開昭62−22119がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、コスト及び重量の増加を抑え且つロックストライカの支持剛性を向上できるバックドアストライカ取付部のボデー構造を得ることが目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、クロスメンバによって形成される閉断面構造と、
該閉断面構造に対して串刺し状態に配設されたストライカリテーナと、
該ストライカリテーナに固定されたロックストライカと、
前記ストライカリテーナに形成され、前記ロックストライカへの入力方向に対して直線的に延びる平板部と、
該平板部に形成され、前記ロックストライカへの入力を剪断方向で受ける前記閉断面構造との接合部と、
該平板部に形成された前記ロックストライカの取付部と、
を有することを特徴とする。
【0007】
従って、ロックストライカへの入力は、ロックストライカからストライカリテーナを介して閉断面構造に伝達されるが、この際、ストライカリテーナが閉断面構造に対して串刺し状態に配設されており、ストライカリテーナがロックストライカの入力方向に対して直線的に延びる平板部を有し、該平板部にロックストライカへの入力を剪断方向で受ける閉断面構造との接合部とロックストライカの取付部とが形成されているため、ロックストライカへの入力をストライカリテーナの平板部と閉断面構造との接合面において、この接合面の剪断方向で受けることができる。この結果、強度上有利な構造となり、ストライカリテーナ及び閉断面構造を構成する部材の板厚を厚くすることなく、即ち、コスト及び重量の増加を抑え且つロックストライカの支持剛性を向上できる。
【0008】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載のバックドアストライカ取付部のボデー構造において、前記閉断面構造がクロスメンバアウタパネルとクロスメンバインナパネルとストライカリインフォースメントから成り、前記平板部の一方の端部が前記閉断面構造の内周部に固定されており、前記平板部の中間部が前記クロスメンバアウタパネルと前記ストライカリインフォースメントとの接合部に挟持されており、前記平板部の他方の端部に前記ロックストライカが固定されていることを特徴とする。
【0009】
従って、請求項1記載の内容に加えて、簡単な構成によって、閉断面構造とされたクロスメンバに対してストライカリテーナを串刺し状態に配設することができる。この結果、組付け作業性が向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のバックドアストライカ取付部のボデー構造の一実施形態を図1及び図2に従って説明する。
【0011】
なお、図中矢印FRは車両前方方向を、矢印UPは車両上方方向を示す。
【0012】
図2に示される如く、本実施形態では、車体後部に車幅方向に沿って配設された側面視L字状のクロスメンバインナパネル10と、このクロスメンバインナパネル10の車両後側に配設されたクロスメンバアウタパネル12とによって、開口部を上方に向けたクロスメンバ14が形成されている。
【0013】
クロスメンバインナパネル10の縦壁部10Aの上端部には前方へ向けてフランジ10Bが形成されている。クロスメンバインナパネル10の下壁部10Cは、車両後方斜め下方に向けて傾斜しており、後端部には下方へ向けてフランジ10Dが形成されている。一方、クロスメンバアウタパネル12は略上下方向に延びる板状とされた縦壁部12Aの上端部に後方へ向けてフランジ12Bが形成されており、縦壁部12Aにおける下端縁部12Cの前面にクロスメンバインナパネル10のフランジ10Dが接合されている。
【0014】
クロスメンバ14の上方開口部はリヤフロアパネル16によって閉塞されており、クロスメンバインナパネル10のフランジ10B及びクロスメンバアウタパネル12のフランジ12Bはそれぞれリヤフロアパネル16の下面16Aに接合されている。また、クロスメンバ14の車幅方向中央部には、ロックストライカ20がストライカリテーナ22を介して取り付けられている。
【0015】
図1に示される如く、クロスメンバ14の車幅方向中央部においては、クロスメンバアウタパネル12における縦壁部12Aの下端部に斜め後側上方へ向かってフランジ12Dが形成されており、クロスメンバアウタパネル12における縦壁部12Aの下方には、ストライカリインフォースメント24が配設されている。ストライカリインフォースメント24は略上下方向に延びる板状とされた縦壁部24Aの上端部に斜め後側上方へ向かってフランジ24Bが形成されており、縦壁部24Aにおける下端縁部24Cの前面にクロスメンバインナパネル10のフランジ10Dが接合されている。
【0016】
図2に示される如く、ストライカリテーナ22は、その車幅方向中央部に平板部22Aを備えており、この平板部22Aを挟んで車幅方向両側部には、三角形状の補強部22Bがそれぞれ形成されている。また、ストライカリテーナ22における平板部22A及び補強部22Bの各前後方向中央部は、それぞれクロスメンバアウタパネル12のフランジ12Dとストライカリインフォースメント24のフランジ24Bとに挟持された状態で三者が接合されている。
【0017】
従って、図1に示される如く、クロスメンバ14の車幅方向中央部においては、クロスメンバインナパネル10、クロスメンバアウタパネル12、リヤフロアパネル16及びストライカリインフォースメント24によって、閉断面構造29が形成されており、この閉断面構造29をストライカリテーナ22の平板部22Aが串刺しした構造になっている。また、ストライカリテーナ22の平板部22Aの前端縁部にはフランジ22Cが形成されている。
【0018】
図2に示される如く、ストライカリテーナ22のフランジ22Cは、左右の補強部22Bの前端縁部に延設され平面視でコ字状となっており、フランジ22Cは、クロスメンバインナパネル10における下壁部10Cの上面に接合されている。
【0019】
図1に示される如く、ストライカリテーナ22における平板部22Aの後端部の上面には、ロックストライカ20が左右2本のビス25によって固定されており、これらのビス25は、平板部22Aの裏面(下面)側に配設されたストライカセットリテーナ30の螺子部30Aに螺合している。
【0020】
なお、バックドア32のドアインナパネル32A側には、二点鎖線で示す周知のラッチ部材40が配置されており、バックドア32の閉じ回動とともに、このラッチ部材40がロックストライカ20と係合するようになっている。また、この時の入力は、図1の矢印F方向に作用するようになっており、ストライカリテーナ22の平板部22Aはロックストライカ20の入力方向(図1の矢印F方向)に対して直線的に延設されている。
【0021】
なお、図1の符号42はフィニッシュブレードを、符号44はフロアマットを、符号46はクリップを、符号48は樹脂バンパを、符号50はドアトリムを、符号52はウエザーストリップを、符号54はリインフォースメントを示している。
【0022】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0023】
本実施形態では、ロックストライカ20への入力は、ロックストライカ20からストライカリテーナ22を介して閉断面構造29に伝達されるが、この際、ストライカリテーナ22が閉断面構造29に対して串刺し状態に配設されており、ストライカリテーナ22がロックストライカ20への入力方向(図1の矢印F方向)に対して直線的に延びる平板部22Aを有し、この平板部22Aにクロスメンバ14との接合部とロックストライカ20の取付部とが形成されている。即ち、ストライカリテーナ22における平板部22Aの前後方向中央部がクロスメンバアウタパネル12のフランジ12Dとストライカリインフォースメント24のフランジ24Bとに挟持された状態で三者が接合されており、ストライカリテーナ22のフランジ22Cがクロスメンバインナパネル10における下壁部10Cの上面に接合されていると共に、ストライカリテーナ22における平板部22Aの後端部にロックストライカ20が固定されている。
【0024】
この結果、ロックストライカ20への入力をストライカリテーナ22の平板部22Aとクロスメンバアウタパネル12のフランジ12D、ストライカリインフォースメント24のフランジ24Bとの接合面において、この接合面の剪断方向で受けることができると共に、ストライカリテーナ22のフランジ22Cとクロスメンバインナパネル10の下壁部10Cとの接合面においても、略接合面の剪断方向で受けることができる。この結果、強度上有利な構造となり、ストライカリテーナ22及び閉断面部29を構成する、クロスメンバアウタパネル12、ストライカリインフォースメント24等の板厚を厚くすることなく、即ち、コスト及び重量の増加を抑え且つロックストライカ20の支持剛性を向上できる。
【0025】
また、本実施形態では、ストライカリテーナ22における平板部22Aの前後方向中央部を、クロスメンバアウタパネル12のフランジ12Dとストライカリインフォースメント24のフランジ24Bとに挟持した状態で三者を接合し、ストライカリテーナ22のフランジ22Cをクロスメンバインナパネル10における下壁部10Cの上面に接合したため、簡単な構成によって、閉断面構造29に対してストライカリテーナ22を串刺し状態に配設することができる。この結果、組付け作業性が向上する。
【0026】
また、図3に示される従来構造におけるストライカリインフォースメント78に相当する部材を無くすことができるため、ボルト82及びウエルドナット86も無くすことができ、この点においてもコスト及び重量の増加を抑え且つ組付け作業性を向上することができる。
【0027】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、閉断面構造29を形成する部材及びその断面形状は本実施形態に限定されない。また、本実施形態ではストライカリテーナ22の平板部22Aを挟むんで車幅方向両側部に、三角形状の補強部22Bを形成したが、ストライカリテーナ22の形状はこれに限定されず他の形状でも良く、平板部22Aのみで補強部22Bを有しない形状としても良い。
【0028】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明は、クロスメンバによって形成される閉断面構造と、閉断面構造に対して串刺し状態に配設されたストライカリテーナと、ストライカリテーナに固定されたロックストライカと、ストライカリテーナに形成され、ロックストライカへの入力方向に対して直線的に延びる平板部と、平板部に形成され、ロックストライカへの入力を剪断方向で受ける閉断面構造との接合部と、平板部に形成されたロックストライカの取付部と、を有するため、コスト及び重量の増加を抑え且つロックストライカの支持剛性を向上できるという優れた効果を有する。
【0029】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載のバックドアストライカ取付部のボデー構造において、閉断面構造がクロスメンバアウタパネルとクロスメンバインナパネルとから成り、平板部の一方の端部が閉断面構造の内周部に固定されており、平板部の中間部がクロスメンバアウタパネルとクロスメンバインナパネルとの接合部に挟持されており、平板部の他方の端部にロックストライカが固定されているため、請求項1記載の効果に加えて、構成が簡単になり組付け性が向上するという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2の1−1線に沿った拡大断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るバックドアストライカ取付部のボデー構造を示す車両斜め後方から見た斜視図である。
【図3】従来のバックドアストライカ取付部のボデー構造を示す側断面である。
【符号の説明】
10 クロスメンバインナパネル
10C クロスメンバインナパネルの下壁部
12 クロスメンバアウタパネル
12D クロスメンバアウタパネルのフランジ
14 クロスメンバ
16 リヤフロアパネル
20 ロックストライカ
22 ストライカリテーナ
22A ストライカリテーナの平板部
22C ストライカリテーナのフランジ
24 ストライカリインフォースメント
24B ストライカリインフォースメントのフランジ
29 閉断面構造
30 ストライカセットリテーナ
Claims (2)
- クロスメンバによって形成される閉断面構造と、
該閉断面構造に対して串刺し状態に配設されたストライカリテーナと、
該ストライカリテーナに固定されたロックストライカと、
前記ストライカリテーナに形成され、前記ロックストライカへの入力方向に対して直線的に延びる平板部と、
該平板部に形成され、前記ロックストライカへの入力を剪断方向で受ける前記閉断面構造との接合部と、
該平板部に形成された前記ロックストライカの取付部と、
を有することを特徴とするバックドアストライカ取付部のボデー構造。 - 前記閉断面構造がクロスメンバアウタパネルとクロスメンバインナパネルとストライカリインフォースメントから成り、前記平板部の一方の端部が前記閉断面構造の内周部に固定されており、前記平板部の中間部が前記クロスメンバアウタパネルと前記ストライカリインフォースメントとの接合部に挟持されており、前記平板部の他方の端部に前記ロックストライカが固定されていることを特徴とする請求項1に記載のバックドアストライカ取付部のボデー構造。
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