JP3691913B2 - 研磨工具用材料およびそれを用いた研磨定盤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Siウエハ等の半導体基板、酸化物単結晶基板、石英ガラス等のラッピングに使用される研磨定盤等に用いられる研磨工具用材料、およびそれを用いた研磨定盤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、Siウエハ、GaAs、InP等の半導体基板、LiTaO3 等の酸化物単結晶基板、石英フォトマスク等のラッピング加工においては、上下の定盤と被加工物との間にスラリー状の砥粒を供給し、加工圧力を加えながら定盤の回転運動を利用して、研磨剤がもつ刃先で被加工物から必要量の削り代を取り除き、これにより定盤が有する平坦度を被加工物に転写する方法が採用されている。
このような研磨はSiウエハ等に限らず、ガラス、宝石、金属、セラミックス等の被加工物の表面を平坦にする目的で多く用いられているが、特に最近、Siウエハ等の半導体基板はULSIの急激な集積度の増大に伴って、ますます平坦度が厳しく要求されるようになってきており、ラッピングに用いる研磨定盤の平坦度維持が重要になっている。
【0003】
ところで、Siウエハ用のラッピング定盤は、Siウエハと同様に砥粒によって研磨されていくが、定盤の回転により砥粒量の分布と回転の角速度は外周側が大きくなるため、下定盤の外周側の研磨量が大きくなる。つまり、研磨作業時間の経過と共に研磨定盤の平坦度が変化し、下定盤の研磨面は上に凸となるように変化する傾向を有している。
【0004】
このように、研磨定盤の平坦度は研磨作業時間の経過と共に変化する傾向を有しているが、上述したようにSiウエハ等の平坦度要求が高まるにつれて、研磨定盤の平坦度変化を低く抑えることが重要な技術課題となってきたことから、 Siウエハ用の研磨定盤における従来の常識を覆して、硬さがHv 200以上の材質からなる研磨定盤が提案されており(特開昭60-59850号公報、特開平 5- 307069号公報参照)、実際にSiウエハの研磨に実用されている。
【0005】
上述したような高硬度の研磨定盤としては、鋳鉄系材料の基地組織を焼入れ・焼戻し処理やオーステンパー処理および焼ならし処理等の溶体化処理後の急冷熱処理によって、硬い組織(マルテンサイト組織、ベイトナイト組織、パーライト組織等)に制御したものが実用化されている。一方、Siウエハの大きさは外径 8インチ(約203mm)が主力となっており、さらに12インチ以上のウエハの開発も進められている。このようなSiウエハの大口径化に伴って、研磨定盤はますます大型化する傾向にあり、直径 1.5〜2.0m(厚さ40〜60mm)が標準となりつつある。このような大型の研磨定盤では、上記したような冷却速度の速い急冷熱処理で高硬度化すると形状変形が顕著となったり、また均一な組織を得ることが難しい等の問題を招いている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、Hv 200以上というような高硬度の研磨定盤は、平坦度変化を低く抑えることが可能であることから、平坦度に関する要求が高まっている半導体ウエハのラッピング作業用等として期待されている。しかし、半導体ウエハの大口径化等に伴って大型化された研磨定盤については、上記したような硬度を得るための急冷熱処理では変形を抑制したり、また組織を均一化することが困難な状況になりつつある。
【0007】
このようなことから、特に大型化された研磨定盤においては急冷熱処理を行うことなく、高硬度を達成することが課題とされている。また、半導体ウエハ用の研磨定盤材料には、ウエハの傷の原因となる粗大な炭化物等の硬質析出物がほとんど存在せず、また硬さの均一性に優れることも同時に要求されている。
【0008】
本発明は、このような課題に対処するためになされたもので、急冷熱処理等を行うことなく、高硬度を達成した研磨工具用材料およびそれを用いた研磨定盤、さらには粗大な硬質析出物がほとんど存在しないと共に、硬さの均一性に優れる研磨工具用材料およびそれを用いた研磨定盤を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の研磨工具用材料は、請求項1に記載したように、 0.8〜 3.5重量% のC、 1〜 7重量% のSi、 5〜14重量% のNi、および 1重量% 以下のMnを含む鉄系材料からなり、前記鉄系材料は黒鉛組織を有すると共に、硬さがHv 250以上であることを特徴としている。また、請求項2に記載したように、前記鉄系材料はさらに 0.1重量% 以下のMg、CaおよびCeから選ばれる少なくとも 1種を含むことを特徴としている。
【0010】
本発明の研磨定盤は、請求項3に記載したように、上述した本発明の研磨工具用材料からなることを特徴としている。本発明の研磨定盤は、特に請求項4に記載したように、前記研磨工具用材料の金属組織は、面積比で 30%以上のマルテンサイト組織を有し、かつ黒鉛球状化率が 70%以上であることを特徴としている。本発明の研磨工具用材料は、Niを比較的高濃度に含む組成をベースとし、鋳造組織(as cast組織)でマルテンサイト組織が出現する組成としていると共に、黒鉛組織が出現する炭素量組成としているため、急冷熱処理等を行うことなく、Hv 250以上という高硬度を達成することができる。すなわち、急冷熱処理に伴う変形や組織の不均一化等を解消することが可能となり、例えば大型の研磨定盤であっても形状精度の向上や硬さの均一化等を図ることができる。また、黒鉛組織により研磨砥粒等の補足サイトを提供することができ、半導体基板等の研磨加工性を十分に付与することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0012】
本発明の研磨工具用材料は、基本的には 0.8〜 3.5重量% のC、 1〜 7重量% のSi、 5〜14重量% のNi、および 1重量% 以下のMnを含み、さらに必要に応じて 0.1重量% 以下のMg、CaおよびCeから選ばれる少なくとも 1種を含み、残部が実質的にFeからなり、かつ黒鉛組織を有する鉄系材料からなるものである。本発明の研磨工具用材料は、後に詳述するように、研磨定盤材料や研磨定盤の修正治具材料等として使用されるものである。
【0013】
上述した鉄系材料からなる研磨工具用材料は、球状黒鉛、擬球状黒鉛、片状黒鉛、共晶状黒鉛等のラッピング砥粒の補足サイトを供する黒鉛組織を有し、かつ例えば 1073K以上の温度からの急冷熱処理(焼入れ処理等)を施すことなく、 Hv 250以上の硬さを実現するために、as cast の状態(鋳造組織)で金属組織中にマルテンサイト組織が出現する組成としている。以下に、鉄系材料組成の詳細について説明する。
【0014】
C(炭素)は、鉄系材料において高強度および高硬度を得るための元素であると共に、黒鉛組織を出現させるために必須の元素であり、図1に示すように、 C量を 0.8重量% 以上とすることで黒鉛組織を出現させることができる。ただし、Cの含有量が 3.5重量% を超えると、球状黒鉛の形状がくずれて球状化率が低下するため、その含有量は 3.5重量% 以下とする。このCに基く黒鉛組織は、上述したようにラッピング砥粒の補足サイトを提供するものであり、本発明の鉄系材料の組成によればas cast の状態で黒鉛組織を得ることができる。
【0015】
Si(ケイ素)は、鋳造性の向上に寄与すると共に、黒鉛化促進元素として働く。このような効果を得る上で、Siの含有量は 1.0重量% 以上とする。ただし、Siを 7.0重量% 以上含有すると、FeやNi等の元素と金属間化合物(M3 Si:MはFeやNi)を形成し、硬度や強度等の機械的特性の低下原因となる。従って、本発明ではSi含有量は 1.0〜 7.0重量% の範囲とする。
【0016】
Niは、約76重量% までFeと広範囲に固溶体を形成し、図2のSchaefflerの組織図で知られているように、Fe中のNi量(当量)とCr量(当量)との関係から基地組織の相構成、例えばマルテンサイト組織とオーステナイト組織との比率を決定する。Schaefflerの組織図におけるNi当量およびCr当量は以下の式で表される。ただし、実際の鋳造組織においては、凝固の際に偏析等が生じてSchaefflerの組織図よりもマルテンサイト組織の領域が若干広がる傾向にある。
Ni当量(重量%)=Ni重量% +30×C重量% + 0.5×Mn重量%
Cr当量(重量%)=Cr重量% + 1.5×Si重量% +Mo重量%
図2から分かるように、本発明の研磨工具用材料としての鉄系材料は、C含有量、Si含有量、後述するMn含有量等を考慮して、as cast の状態で金属組織中にマルテンサイト組織を出現させることができるNi含有量、すなわち 5.0〜14.0重量% の範囲のNi含有量としている。マルテンサイト組織は高硬度を有しており、Hv 250以上という硬さを実現することができる。
【0017】
Mnは機械的強度を改善する効果を有するが、あまり含有量が多すぎると炭化物の形成を避けることができなくなり、またオーステナイト化元素として働くため、その含有量の上限は 1.0重量% とする。Mnは微量添加によっても、その添加量に応じた効果を発揮するため、Mnの含有量は 0〜 1.0重量% (ただし 0は含まず)の範囲とする。
【0018】
Mg、CaおよびCeから選ばれる少なくとも 1種の元素は、黒鉛組織を球状や擬球状とするための添加元素であり、必要に応じて添加するものとするが、これらの元素の添加量が 0.1重量% を超えると、これらの元素の化合物が析出するおそれがあるため、その含有量は 0.1重量% 以下とする。
【0019】
上述したように、本発明の研磨工具用材料は、as cast 状態でマルテンサイト組織を出現させた基地組織を有し、これにより急冷処理を施すことなくas cast 組織でHv 250以上の硬さを実現している。このように、as cast の状態でHv 250以上の硬さを実現することによって、急冷熱処理に伴う変形や組織の不均一化等の問題を回避することができる。
【0020】
金属組織中のマルテンサイト組織は、面積比で 30%以上となるように、各成分の組成や後述する熱処理の有無等を設定することが好ましい。より好ましいマルテンサイト組織が占める面積率は 60%以上である。すなわち、適性なNi当量およびCr当量の設定により、基地組織の30%(面積比)以上をマルテンサイト組織とすることによって、 70%を超えるオーステナイト組織主体の鉄系材料に比べ、硬度(耐摩耗性)や剛性(弾性率)等を増大させることができ、Hv 250以上という硬さを再現性よく実現することが可能となる。マルテンサイト組織は、後に詳述するように、鋳造後の焼きなまし処理や焼き戻し処理によっても増大させることができる。また、マルテンサイ卜組織はオーステナイト組織に比べて熱膨張係数が低く、低熱膨張性が得られることから、研磨工具用材料の熱変形の抑制にも寄与する。本発明の研磨工具用材料を研磨定盤に適用する場合、熱変形の抑制は研磨精度の向上につながる。
【0021】
上述した組成を有する鉄系材料は、as cast の状態では多少の残留オーストナイト組織が存在する場合がある。この残留オーストナイト組織は黒鉛と同様に、研磨定盤に用いる場合に砥粒の補足サイトとして機能して、加工速度の向上に寄与する場合もあるが、例えば半導体基板の研磨加工において、加工圧力を高めに設定した際に研磨定盤から生じるバリが問題となる場合がある。
【0022】
このような場合には、上述した鉄系材料からなる研磨工具用材料、具体的にはこの研磨工具用材料からなる研磨定盤等に、一旦1073〜 1223Kの温度で溶体化処理を施した後、空冷以下の遅い冷却速度で室温まで冷却する焼きなまし処理や、 573〜973Kの温度で焼戻し処理を施すことによって、残留オーステナイトのないマルテンサイト組織を得ることができる。マルテンサイト組織は伸びがほとんど零であるために、研磨作業中に定盤のバリや連続した研磨屑の発生を阻止することができ、被加工物表面のキズ発生を防止することが可能なとる。
【0023】
上述した焼きなまし処理や焼戻し処理は、硬さの調節や組織、歪等の均質化に対しても有効であり、必要に応じて実施するものとする。例えば、本発明の研磨工具用材料は、組成によってはas cast の状態で硬さが大きくなりすぎ、研磨工具用材料自体の加工性が低下する場合がある。このような場合には、 as cast材でHv 400以下の比較的硬度の低い材料を選択し、 as cast材の段階で加工を施した後に焼戻し処理を施すことによって、二次硬化によりHv 400を超える高硬度の材料、さらにはHv 500以上の材料を得ることができる。ラッピング定盤の特別な仕様においては硬さHv 500以上が要求される場合があるが、上記した焼戻し処理によれば後述する格子状スリット等の加工を容易にした上で、そのような高硬度を満足させることができる。
【0024】
また、本発明の研磨工具用材料は、上述したようにas cast の状態で黒鉛組織を有している。この黒鉛組織としては、前述したように球状黒鉛、擬球状黒鉛、片状黒鉛、共晶状黒鉛等のいずれであってもよいが、Siウエハ等の半導体基板の研磨作業に適用する場合には球状黒鉛が好ましく、具体的には黒鉛球状化率が 70%以上であることが好ましい。
【0025】
ここで、最近のSiウエハ等の研磨作業では、ほとんど球状黒鉛組織が採用されているが、ダイヤモンド等の宝石の研磨には片状黒鉛や共晶状黒鉛が採用されている。このように、被加工物により研磨定盤の適切な黒鉛組織は異なるが、黒鉛組織はMg、CaおよびCeから選ばれる少なくとも 1種の元素を 0.1重量% 以下の範囲で制御することによって、所望の黒鉛組織を得ることができる。
【0026】
本発明の研磨工具用材料は上述した鉄系材料組成を基本とするものであるが、粒径が20nm以上の粗大な硬質析出物が形成されない範囲内であれば、 1.0重量% 以下のCrやMo、Nb、Ti、V、Al、Cu等を含んでいてもよい。特に、Crは耐食性の向上等に寄与するが、Cr炭化物として析出するおそれがあると共に、鉄系材料の金属組織に影響を与えることから、これらを考慮して含有量を決定する必要があり、その含有量は 1.0重量% 以下とする。
【0027】
上述したような研磨工具用材料は、例えば研磨定盤の構成材料として使用される。図3は、本発明の一実施形態による研磨定盤の構成を示す図であり、同図に示す研磨定盤1は上述した本発明の研磨工具用材料からなるものである。研磨定盤1は、その表面(研磨面)に格子状スリット2が形成されていると共に、中央部に砥粒供給孔3が設けられている。なお、格子状スリット2は研磨面の精度を確保する上で、通常研磨定盤1の形状加工の前に形成される。
【0028】
上述した実施形態の研磨定盤は、as cast 組織でマルテンサイト組織を有する本発明の研磨工具用材料からため、急冷熱処理を施すことなく、as cast の状態でHv 250以上の硬さを実現することができる。よって、例えば直径 1.2〜2.0mというような大型の研磨定盤においても、急冷熱処理に伴う変形や組織の不均一化等を解消することが可能となる。急冷熱処理に伴う変形の回避は、研磨定盤の形状付与のための加工コストの低減や、格子状スリット2の形状確保に伴う長寿命化等に寄与する。さらに、急冷熱処理を行わない分だけ、研磨定盤1の製造コストや製造工数を低減することができる。
【0029】
また、急冷熱処理を施すことなくHv 250以上の硬さを実現しているため、研磨定盤1の組織や硬さを均一化することができ、さらに、粗大炭化物等の硬質析出物が生じない組成としているため、半導体基板等の加工精度を高めることができると共に、キズ等の発生を防止することが可能となる。なお、組織や硬さの均一性は前述した焼戻し処理等を施すことによって、一層向上させることができる。
上述した研磨定盤1は、Siウエハ、GaAs、InP等の半導体基板、LiTaO3 等の酸化物単結晶基板、石英フォトマスク、ガラス、宝石、金属、セラミックス等の各種被加工物の表面加工(表面平坦化加工)に適用し得るものであるが、特に大口径化が進められているSiウエハのラッピング加工に対して好適である。
【0030】
なお、本発明の研磨工具用材料は上述した研磨定盤に限らず、研磨定盤の修正治具、被加工物の固定治具等の構成材料としても有効に使用し得るものである。
【0031】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0032】
実施例1
表1に組成を示す球状黒鉛鋳鉄を鋳造し、鋳物寸法で外径1400mm、内径 400mm、厚さ60mmの図1に示した研磨定盤1を作製した。定盤形状への加工および幅 2mm、深さ15mm、形成ピッチ40mmの格子状スリット2や直径 8mmの砥粒供給孔3等の加工は、 as cast組織の状態で実施し、その後673K× 4時間の条件で焼戻し処理を施した。
【0033】
上記した研磨定盤は、 as cast材の段階で表面の硬さがHv 280で、金属組織中のマルテンサイト組織が占める面積率は 30%であり、また as cast材の段階で黒鉛組織を有していた。焼戻し処理後の硬さは、深さ方向および研磨面内においてほぼ均一であり、Hv 450が得られた。また、焼戻し処理後のマルテンサイト組織が占める面積率は 90%であり、さらに黒鉛の球状化率は約 80%であった。焼戻し処理による熱変形はほとんどなく、焼戻し後に研磨して平坦度10μm の研磨定盤に仕上げた。
【0034】
また、本発明との比較例1として、表1に組成を示す鋳鉄材料に焼入れ、焼戻し処理を施して、硬さがHv 450の研磨定盤を作製した。この研磨定盤にも上記実施例と同一形状の格子状スリットおよび砥粒供給孔を、実施例と同様に as cast組織の状態で形成した。
【0035】
上述した実施例1および比較例1による各研磨定盤を、それぞれラッピング装置に搭載し、 8インチのSiウエハのラッピング(ラッピング砥粒:#1200)を実施した。Siウエハの平坦度の精度およびキズ発生量は同等の値を示し、上記実施例1による研磨定盤は従来の研磨定盤(比較例1)と遜色がないことを確認した。ただし、焼入れ、焼戻し処理を施した比較例1の研磨定盤は、焼入れ時に熱変形した分だけ格子状スリットの溝深さが浅くなり、約 8mmであった。一方、実施例1の研磨定盤は、加工時の15mmの深さがそのまま維持され、最終的に研磨定盤の寿命(ウエハ研磨枚数)は約46万枚で、比較例1の約30万枚に比べて約 1.5倍に向上した。
【0036】
実施例2
表1に組成を示す鋳鉄を用いて、実施例1と同形状の研磨定盤を作製した。この実施例2の組成は、球状黒鉛を晶出させるために 2.0重量% の炭素を含有しているが、Crを 0.8重量% 添加しても黒鉛化促進元素であるSiとNiをそれぞれ 4.5重量% 、10重量% も含有しているために、粒径20μm 以上の粗大な遊離炭化物は析出していなかった。
【0037】
上記した研磨定盤は、 as cast材の段階で硬さがHv 430で、金属組織中のマルテンサイト組織が占める面積率は 85%であり、また as cast材の黒鉛の球状化率は約 90%であった。この研磨定盤を焼戻し処理等を施すことなく、 as cast材のままで実施例1と同様なラッピング装置に搭載し、 8インチのSiウエハのラッピング(ラッピング砥粒:#1200)を実施した。Siウエハの平坦度の精度およびキズ発生量は実施例1と同等であり、また最終的に研磨定盤の寿命(ウエハ研磨枚数)も約43万枚と、実施例1と同等の特性を有していることを確認した。
【0038】
【表1】
Figure 0003691913
実施例3
表2に組成を示す鋳鉄を用いて、実施例1と同形状の研磨定盤を作製した。この実施例3の組成は as cast材での硬さがHv 370であり、 as cast材で最終研磨を除く加工を行った。その後、703Kで 4時間加熱処理し、空冷にて室温まで冷却した。この703Kでの二次硬化熱処理(焼戻し処理)後の硬さはHv 550まで上昇した。また、この二次硬化熱処理による定盤の酸化および熱変形は微小であり、その後に行った最終的な平面研磨加工で、定盤の平坦度の精度は30μm を確保することができた。このように、溝を有する研磨定盤では通常不可能な硬さ(Hv 550)の高硬度研磨定盤を得ることができた。この研磨定盤を用いて、実施例1と同様なSiウエハのラッピングを行ったところ、研磨定盤の寿命(ウエハ研磨枚数)は約60万枚であり、比較例1の研磨定盤の約 2倍であった。
【0039】
【表2】
Figure 0003691913
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の研磨工具用材料によれば、急冷熱処理等を行うことなく、Hv 250以上という高硬度を達成することができ、また粗大な硬質析出物がほとんど存在しないと共に、優れた組織および硬さの均一性等を得ることができる。従って、このような研磨工具用材料からなる本発明の研磨定盤によれば、各種被加工物の研磨作業を高精度に実施することができると共に、研磨定盤の長寿命化および低コスト化を達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 鉄系材料中の全炭素量と固溶炭素量との関係を示す図である。
【図2】 鉄系材料のNi当量およびCr当量による相組織を示すSchaefflerの組織図である。
【図3】 本発明の一実施形態による研磨定盤の構成を示す図である。
【符号の説明】
1……研磨定盤

Claims (4)

  1. 0.8〜 3.5重量% のC、 1〜 7重量% のSi、 5〜14重量% のNi、および 1重量% 以下のMnを含む鉄系材料からなり、前記鉄系材料は黒鉛組織を有すると共に、硬さがHv 250以上であることを特徴とする研磨工具用材料。
  2. 請求項1記載の研磨工具用材料において、
    前記鉄系材料は、さらに 0.1重量% 以下のMg、CaおよびCeから選ばれる少なくとも 1種を含むことを特徴とする研磨工具用材料。
  3. 請求項1または請求項2記載の研磨工具用材料からなることを特徴とする研磨定盤。
  4. 請求項3記載の研磨定盤において、
    前記研磨工具用材料の金属組織は、面積比で 30%以上のマルテンサイト組織を有し、かつ黒鉛球状化率が 70%以上であることを特徴とする研磨定盤。
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