JP3691354B2 - ピックアップ傾き調整機構を有するディスク記録又は再生装置及びその調整機構を位置決めする方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスクの信号面に対してピックアップを傾ける傾き調整機構を具えたディスク記録又は再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来のディスク記録又は再生装置の斜視図である。シャーシ(1)上には、周知の如くディスク(7)が載置されるターンテーブル(13)と、該ターンテーブル(13)に接近離間可能に設けられたピックアップ(2)を具える。ピックアップ(2)は上面に対物レンズ(22)を具え、シャーシ(1)上の2本のガイド軸(4)(4)に移動を案内される。各ガイド軸(4)の両端部は、シャーシ(1)上のブラケット(9)(9)に嵌まる。
シャーシ(1)上の側部には、モータ(M)が設けられ、該モータ(M)は歯車機構(21)を介して、ピックアップ(2)の側部に設けられたラック(20)に連繋する。モータ(M)に通電すると、歯車機構(21)の各ギアが回転し、ピックアップ(2)が移動する。
【0003】
図8は、ディスク(7)の裏面図である。ディスク(7)の信号面には、円周方向に沿って複数のピット(73)(73)が凹設され、該ピット(73)にレーザー光を当てたときと、ピット(73)以外の箇所にレーザー光を当てたときとでは反射光の強さが異なる。これにより、0と1からなるデジタル信号を再生する。
近年、ディスク(7)には信号が高密度記録されるものがある。該ディスクでは図8に示すディスク半径方向のピット(73)(73)の間隔Hが狭い。
この為、レーザー光の光軸がディスク(7)の信号面に対して僅かに傾いた場合、誤った位置のピット(73)を照射し、信号を正しく再生できない虞れがある。
そこで、シャーシ(1)上にピックアップ(2)の傾きを調整する機構を設け、ディスク記録又は再生装置を製造する工程に於いて、ピックアップ(2)の傾きを微調整し、高密度記録されたディスクをスムーズに再生することが提案されている。
【0004】
図9は、調整機構(5)の側面断面図である。シャーシ(1)にはガイド軸(4)の一端部が嵌まる凹部(90)が設けられたブラケット(9)が載置され、該ブラケット(9)はシャーシ(1)に螺合する止めビス(30)により取り付けられる。
凹部(90)内には、ガイド軸(4)を上向きに付勢する圧縮バネ(50)が設けられ、ブラケット(9)には、圧縮バネ(50)に抗してガイド軸(4)を押し込む調整ネジ(6)が螺合している。調整ネジ(6)を回すと、ガイド軸(4)の端部が昇降するから、ガイド軸(4)は、ピックアップ(2)の移動方向を含みシャーシ(1)に直交する面内にて傾く。これにより、ピックアップ(2)の傾きを微調整できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来にあっては、ブラケット(9)をシャーシ(1)にビス(30)止めする際に、ブラケット(9)がシャーシ(1)に平行な面内、即ち水平面内にて振れ移動する虞れがある。これでは、ピックアップ(2)の傾きは正確に調整できても、ガイド軸(4)が水平面内にて振れ移動する虞れがあり、ピックアップ(2)がディスク中心に向かって正確に移動できない。
また、ガイド軸(4)は凹部(90)に嵌まっており、凹部(90)とガイド軸(4)との間には側方に僅かな隙間がある。従って、調整ネジ(6)がガイド軸(4)を正確に下方に押し込まないと、ガイド軸(4)が該隙間内にて振れ移動する虞れがある。本発明の目的は、ピックアップの傾き調整機構をシャーシ上に正確に位置決めし、且つガイド軸がシャーシに略平行な面内にて不用意に振れ移動することを防ぐことにある。
【0006】
【課題を解決する為の手段】
ピックアップ(2)の移動方向を含みシャーシ(1)上面に直交した面内にてガイド軸(4)の傾き角度を変える調整機構(5)は、シャーシ(1)上にてブラケット(9)の位置を定める第1の位置決め機構(3)と、シャーシ(1)面に略平行な面内にて調整ネジ(6)の位置を定め、調整ネジ(6)の進行方向をガイド軸(4)の中心Cに正確に向ける第2の位置決め機構(8)を具え、
第1の位置決め機構 ( 3 ) は、ブラケット ( 9 ) に設けられた舌片 (91) をシャーシ ( 1 ) に開設された透孔 (10) に嵌めて構成され、ブラケット ( 9 ) は舌片 (91) を透孔 (10) のビス (30) 回転側の端縁 (11) に当接させて位置決めされ、
第2の位置決め機構 ( 8 ) は、調整ネジ ( 6 ) が螺合しブラケット ( 9 ) にビス (85) 止めされる受け板 (80) と、ブラケット ( 9 ) 上の位置決め突起 (92) を具え、受け板 (80) はビス (85) 回転側の切欠き (81) を位置決め突起 (92) に当接させて位置決めされる。
【0007】
【作用及び効果】
第1の位置決め機構(3)によりブラケット(9)はシャーシ(1)上の正確な位置に取り付けられるから、ガイド軸(4)がシャーシ(1)に平行な面内にて振れ移動する虞れはない。
また、第2の位置決め機構(8)により、調整ネジ(6)はその進行方向がガイド軸(4)の中心Cを向く。これにより、ガイド軸(4)がシャーシ(1)に略平行な面内にて不用意に振れ移動することは防止される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一例を図を用いて詳述する。
図1は、ディスク記録又は再生装置の平面図である。本願にあっては、ガイド軸(4)の傾き調整機構(5)を位置決めする点に特徴がある。
従来と同様に、シャーシ(1)に開設された開口(14)の側方には、ディスク(7)を回転させるターンテーブル(13)が設けられ、ディスク(7)にビームを発射する対物レンズ(22)を具えたピックアップ(2)がターンテーブル(13)に接近離間可能に配備されている。
ピックアップ(2)は、両端部をブラケット(9)(9)に支持されたガイド軸(4)(4)に嵌まって、レンズ(22)とターンテーブル(13)の夫々の中心を結ぶ仮想線L上を本来移動する。
シャーシ(1)上にて開口(14)の側方には、モータ(17)が設けられ、該モータ(17)は中間ギア(15)を介してピックアップ(2)に連繋する。モータ(17)に通電すると、ピックアップ(2)が移動する。
シャーシ(1)の外周縁は上向きに折曲されて立壁(12)(12)を構成し、該立壁(12)がシャーシ(1)の外方に配備されるキャビネット(図示せず)に取り付けられる。
【0009】
図2は、ブラケット(9)を図1のA方向から見た側面断面図である。ブラケット(9)はシャーシ(1)の下方から螺合する止めビス(30)によりシャーシ(1)に取り付けられる。ブラケット(9)にはガイド軸(4)の端部が嵌まる凹部(90)が設けられ、該凹部(90)内にはガイド軸(4)の上向きに付勢する圧縮バネ(50)が配備されている。
ブラケット(9)の天面には、受け板(80)が被さり、該受け板(80)は板止めビス(85)によりブラケット(9)に取り付けられる。該受け板(80)には調整ネジ(6)が螺合し、該調整ネジ(6)の下端がガイド軸(4)の上端に接する。調整ネジ(6)の進行方向は、本来ガイド軸(4)の中心Cを通る。
【0010】
図3は、ブラケット(9)、ガイド軸(4)、受け板(80)の分解斜視図であり、シャーシ(1)を一部破断している。シャーシ(1)には、ブラケット(9)の一部が嵌まる透孔(10)が開設されており、ブラケット(9)からは透孔(10)に嵌まる舌片(91)が突出している。舌片(91)は上面がシャーシ(1)上面と同一面内に位置する、即ち、舌片(91)はガイド軸(4)よりも下方に配備される。舌片(91)は円弧状に形成されて、透孔(10)の端縁(11)に接することによりブラケット(9)のシャーシ(1)面に於ける水平位置が決定される。
【0011】
凹部(90)は、ガイド軸(4)が僅かに余裕を持って嵌まる幅に形成された案内部(93)と、圧縮バネ(50)が嵌まり案内部(93)よりも膨らんで形成された収納部(94)を連ねて設けている。ブラケット(9)の上面には、受け板(80)に嵌まる位置決め突起(92)(92a)が突出し、該位置決め突起(92)(92a)の側方には、板止めビス(85)が螺合するネジ孔(82)が設けられている。
受け板(80)には、位置決め突起(92)(92a)に嵌まる切欠き(81)(81)が開設され、受け板(80)上にて切欠き(81)(81)の両側には、調整ネジ(6)が螺合するビス孔(82)及び板止めビス(85)が通る貫通孔(83)が開設されている。
【0012】
ブラケットの取付け
(第1の位置決め機構)
ブラケット(9)をシャーシ(1)に取り付けるには、以下の手順にて行なう。
図4は、シャーシ(1)の裏面図である。先ず、シャーシ(1)を裏返して、ブラケット(9)をシャーシ(1)の下方から透孔(10)に挿入する。舌片(91)が透孔(10)に嵌まった状態にて、ブラケット(9)を治具(98)にて固定し、ブラケット(9)の水平面内に於ける回転を規制する。
止めビス(30)をシャーシ(1)を通って、ブラケット(9)に螺合させる。止めビス(30)は締め付けに伴って時計方向に回転するから、止めビス(30)の頭部がシャーシ(1)に接すると、シャーシ(1)が止めビス(30)の頭部との摩擦により、時計方向に回転する。透孔(10)の端縁(11)が舌片(91)に接し、これによりブラケット(9)はシャーシ(1)上にて位置決めされる。舌片(91)は円弧状に形成されているから、舌片(91)は必ず端縁(11)上の1点にて当接し、位置決めされる。即ち、ブラケット(9)の舌片(91)と端縁(11)とによって第1の位置決め機構(3)を構成する。ブラケット(9)を止めビス(30)にて締結するのと同時に、ブラケット(9)のシャーシ(1)上の位置が決定されるので、位置決めの手間が省ける。
【0013】
(第2の位置決め機構)
次に、図3に示すように、シャーシ(1)を上下反転し、圧縮バネ(50)及びガイド軸(4)が挿入されたブラケット(9)に受け板(80)を被せ、貫通孔(83)を通って板止めビス(85)をブラケット(9)のビス孔(82)に螺合させる。板止めビス(85)は締め付けに伴って時計方向に回転し、板止めビス(85)の頭部が受け板(80)に接すると、受け板(80)が板止めビス(85)の頭部との摩擦により、時計方向に回転する。
図5は、受け板(80)の平面図であるが、受け板(80)の時計方向側の切欠き(81)が位置決め突起(92)に接し、これにより受け板(80)はシャーシ(1)面に平行な面内にて位置決めされる。即ち、位置決め突起(92)と受け板(80)の切欠き(81)によって、第2の位置決め機構(8)を構成する。受け板(80)を板止めビス(85)によって締結するのと同時に、受け板(80)のシャーシ(1)に略平行な面内に於ける位置が決定されるので、位置決めの手間が省ける。
ブラケット(9)を取り付けた後に、調整ネジ(6)を回転させると、ガイド軸(4)はピックアップ(2)の移動方向を含みシャーシ(1)に直交する面内にて傾き調整される。
【0014】
図6は、図3をC−C線を含む面内にて破断した断面図である。受け板(80)をシャーシ(1)面に平行な面内にて位置決めすることにより、調整ネジ(6)の進行方向はガイド軸(4)の中心Cを向く。
仮に、受け板(80)がシャーシ(1)面に平行な面内にて正確に位置決めされないと、図6に一点鎖線で示すように、調整ネジ(6)の進行方向がガイド軸(4)の中心Cから外れる。前記の如く、凹部(90)の案内部(93)とガイド軸(4)との間には僅かな隙間があるが、調整ネジ(6)の進行方向がガイド軸(4)の中心Cからズレると、調整ネジ(6)はガイド軸(4)の偏心箇所を押すから、ガイド軸(4)が該隙間内で、ガイド軸(4)に沿う方向に直交して横振れする。
ピックアップ(2)はガイド軸(4)に沿って移動するから、これでは、ピックアップ(2)の移行路は、図1に示すようにディスク中心を向いた仮想線Lからズレる。従って、調整ネジ(6)の進行方向をガイド軸(4)の中心Cに正確に向け、ガイド軸(4)が案内部(93)内にてガイド軸(4)に沿う方向に直交して横振れすることを規制している。
【0015】
斯種装置は小型化が所望されており、特にディスク外周部側のブラケット(9)の近傍にはシャーシ(1)の立壁(12)が立設している。ブラケット(9)を位置決めするには、ブラケット(9)をガイド軸(4)に沿う方向に長くすればよいが、装置の小型化に反するので、上記の如く第1の位置決め機構(3)を設けている。これにより、装置の小型化を達成している。
また、第1の位置決め機構(3)を構成する舌片(91)の上面がシャーシ(1)上面と同一面内に位置することにより、舌片(91)はピックアップ(2)の移行路よりも下方に配備される。これにより、第1の位置決め機構(3)を設けても、装置全体が厚くならない。
本例にあっては、圧縮バネ(50)によりガイド軸(4)を上向きに付勢し、調整ネジ(6)にてガイド軸(4)を下向きに押すとしている。これに代えて、圧縮バネ(50)によりガイド軸(4)を下向きに付勢し、調整ネジ(6)をシャーシ(1)の下方から螺合させて、該調整ネジ(6)にてガイド軸(4)を上向きに押してもよい。
【0016】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディスク記録又は再生装置の平面図である。
【図2】ブラケットを図1のA方向から見た側面断面図である。
【図3】ブラケット、ガイド軸、受け板の分解斜視図である。
【図4】シャーシの裏面図である。
【図5】受け板の平面図である。
【図6】図3をC−C線を含む面内にて破断した断面図である。
【図7】従来のディスク記録又は再生装置の斜視図である。
【図8】ディスクの裏面図である。
【図9】調整機構の側面断面図である。
【符号の説明】
(1) シャーシ
(2) ピックアップ
(3) 第1の位置決め機構
(4) ガイド軸
(5) 調整機構
(6) 調整ネジ
(7) ディスク
(8) 第2の位置決め機構
(9) ブラケット
(10) 透孔
(11) 端縁
(80) 受け板
(92) 位置決め突起
Claims (3)
- シャーシ(1)上にディスク(7)中心に対して接近離間可能に設けられたピックアップ(2)と、該ピックアップ(2)の移動方向に延びピックアップ(2)が嵌まるガイド軸(4)と、ピックアップ(2)の移動方向を含みシャーシ(1)上面に直交した面内にてガイド軸(4)の傾き角度を変える調整機構(5)を設け、該調整機構(5)はガイド軸(4)の端部を保持し、シャーシ ( 1 ) にビス (30) 止めされるブラケット(9)と、該ガイド軸(4)を上向き又は下向きに付勢するバネ体と、バネ体に抗してガイド軸(4)を押し込む調整ネジ(6)を具えたディスク記録又は再生装置に於いて、
調整機構(5)はシャーシ(1)上にてブラケット(9)の位置を定める第1の位置決め機構(3)と、シャーシ(1)面に略平行な面内にて調整ネジ(6)の位置を定め、調整ネジ(6)の進行方向をガイド軸(4)の中心Cに正確に向ける第2の位置決め機構(8)を具え、
第1の位置決め機構 ( 3 ) は、ブラケット ( 9 ) に設けられた舌片 (91) をシャーシ ( 1 ) に開設された透孔 (10) に嵌めて構成され、ブラケット ( 9 ) は舌片 (91) を透孔 (10) のビス (30) 回転側の端縁 (11) に当接させて位置決めされ、
第2の位置決め機構 ( 8 ) は、調整ネジ ( 6 ) が螺合しブラケット ( 9 ) にビス (85) 止めされる受け板 (80) と、ブラケット ( 9 ) 上の位置決め突起 (92) を具え、受け板 (80) はビス (85) 回転側の切欠き (81) を位置決め突起 (92) に当接させて位置決めされることを特徴とするディスク記録又は再生装置。 - 第1の位置決め機構(3)を構成する舌片 (91) は、シャーシ ( 1 ) と同一面内に位置する請求項1に記載のディスク記録又は再生装置。
- シャーシ(1)上にディスク(7)中心に対して接近離間可能に設けられたピックアップ(2)と、該ピックアップ(2)の移動方向に延びピックアップ(2)が嵌まるガイド軸(4)と、ピックアップ(2)の移動方向を含みシャーシ(1)上面に直交した面内にてガイド軸(4)の傾き角度を変える調整機構(5)を設け、該調整機構(5)はガイド軸(4)の端部を保持し、シャーシ(1)にビス(30)止めされるブラケット(9)と、該ガイド軸(4)を上向き又は下向きに付勢するバネ体と、バネ体に抗してガイド軸(4)を押し込む調整ネジ(6)を具え、ブラケット(9)はシャーシ(1)に開設された透孔(10)に嵌まる舌片(91)を有し、ブラケット(9)上には調整ネジ(6)が螺合する受け板(80)がビス(85)止めされたディスク記録又は再生装置の調整機構(5)を位置決めする方法であって、
舌片(91)を透孔(10)に嵌める工程と、
ビス(30)をシャーシ(1)を通ってブラケット(9)に螺合させ、舌片(91)を透孔(10)のビス(30)回転側の端縁(11)に当接させる工程と、
ブラケット(9)に受け板(80)を被せる工程と、
ビス(30)を受け板(80)を通ってブラケット(9)に螺合させ、受け板(80)のビス(85)回転側の切欠き(81)を、ブラケット(9)上の位置決め突起(92)に当接させる工程を具えた調整機構(5)を位置決めする方法。
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