JP3690842B2 - 排熱回収システム - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、コジェネレーションシステムなどに用いるために、ガスエンジンやディーゼルエンジンの冷却ジャケットといったエンジン冷却部と、温水吸収式冷凍機や給湯設備や暖房装置などの排熱回収部とを配管を介して接続するとともに、排熱回収部からエンジン冷却部への冷却水供給側配管に、三方弁とバイパス配管とから構成されるような放熱量変更手段を備えた放熱用熱交換器を設け、かつ、冷却水供給側配管の排熱回収部と放熱用熱交換器との間に冷却水の温度を測定する入口温度センサを設け、その入口温度センサで測定される冷却水の温度に基づいて放熱量変更手段を作動するように構成した排熱回収システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
排熱回収システムでは、通常、冷却水供給側配管のバイパス配管よりも下流側にエンジン冷却部に供給される冷却水の温度を測定する冷却水温度センサを設けるとともに、冷却水温度センサで測定される冷却水の温度が設定温度になるように放熱量変更手段を作動するフィードバック側制御手段を備え、エンジン冷却部に供給される冷却水の温度が設定温度になるように、放熱用熱交換器に分配供給する冷却水の量を制御している。これにより、冷却ジャケット内の冷却水の温度が上昇しすぎてエンジン保護回路が作動し、エンジンを自動的に停止する、いわゆるエンジントリップが発生することを回避できるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例では、例えば、温水吸収式冷凍機が急に停止するなどのように排熱需要量が急激に減少した場合、後流に三方弁などを介して水温を下げるための放熱用熱交換器を設けていても、水温が急上昇すると制御遅れのために放熱用熱交換器で熱が十分奪われず、冷却水の温度が設定温度よりもオーバーシュートし、高温の冷却水がエンジンに戻ってエンジンがトリップする。
【0004】
そのため、オーバーシュートによる最大温度を見込んで設定温度を低くしている。ところが、通常時においてエンジン冷却部から取り出される冷却水の温度が低くなってしまい、排熱回収効率が低下する欠点があった。
【0005】
そこで、冒頭に記載したように、排熱回収部から出た冷却水の温度を入口温度センサで測定し、その測定した温度に基づいて三方弁などの放熱量変更手段を作動するフィードフォワード制御を行い、早期に放熱量変更手段を作動してオーバーシュートを防止するものが提案されている。
【0006】
ところが、フィードフォワード制御を行う場合、排熱需要量が急激に減少したときには、入口温度センサが冷却水の温度上昇を感知して早期に放熱量変更手段を作動させ、放熱用熱交換器での放熱量を増加させるために対応できるが、逆に、排熱需要量が減少している状態から、温水吸収式冷凍機の運転が再開されるなどのように排熱需要量が増大したときには、入口温度センサによって冷却水の温度が低下したことを感知して放熱量変更手段を作動し、放熱用熱交換器での放熱量を減少してしまうと、放熱用熱交換器で放熱されずに高温のままの冷却水がエンジン冷却部に戻されてオーバーシュートを生じる問題があった。
【0007】
そこで、このような問題を解消するため、入口温度センサで測定された低温の冷却水が放熱量変更手段で制御される箇所に到達するに必要な時間を算出し、その時間だけ、放熱用熱交換器での放熱を継続することが考えられた。
【0008】
上述した冷却水が放熱量変更手段で制御される箇所に到達するに必要な時間は、配管の内径とそこを流れる冷却水の流速とから算出される。ところが、配管の内径は、使用に伴って、配管の内周面にスケールが付着するなど、経年変化する可能性がある。また、流速は、排熱回収部の運転や停止などに伴うシステム全体での流動抵抗の変化に起因して変動する。
【0009】
このようなことから、長期にわたって適切に遅れ時間を設定することが困難であり、また、制御の遅れ時間を制御構成に組み込むためにコストアップを招く欠点があり、更なる改善が望まれていた。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、請求項1に係る発明の排熱回収システムは、経年変化や流動抵抗の変化に影響されずに、排熱回収部での排熱需要量の増大に起因するオーバーシュートの発生を防止できるようにすることを目的とし、また、請求項2に係る発明の排熱回収システムは、それぞれ排熱回収部での排熱回収開始時における動作遅れに起因して制御が不安定になることを回避できるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、上述のような目的を達成するために、エンジン(1) のエンジン冷却部と排熱回収部(6),(7) とを配管(5),(8a),(8b) を介して接続するとともに、排熱回収部(6),(7) からエンジン冷却部への冷却水供給側配管(5) に、放熱量変更手段(12)を備えた放熱用熱交換器(14)を設け、かつ、冷却水供給側配管(5) の排熱回収部(6),(7) と放熱用熱交換器(14)との間に冷却水の温度を測定する入口温度センサ(16)を設け、その入口温度センサ(16)で測定される冷却水の温度に基づいて放熱量変更手段(12)を作動するように構成した排熱回収システムにおいて、冷却水供給側配管(5) の放熱用熱交換器(14)よりも下流側に設けられてエンジン冷却部に戻される冷却水の温度を測定する冷却水温度センサ(15)と、入口温度センサ(16)による測定温度が設定温度を越えたときに出力される放熱信号に基づいて、冷却水温度センサ(15)による冷却水の測定温度が設定温度よりも低くなるまで放熱制御信号を出力させるホールド手段(21)と、放熱制御信号に応答して、放熱量変更手段(12)の弁開度を前記エンジン(1) が定格運転し、かつ、排熱回収部(6),(7) の排熱需要が零のときに放熱用熱交換器(14)に供給すべき冷却水量を流す弁開度よりも小さい予め設定した設定弁開度になるように制御するフィードフォワード側制御手段(22)と、冷却水温度センサ(15)による冷却水の測定温度に基づいて、その測定温度が高くなるほど放熱量が増大するように放熱量変更手段(12)を制御するフィードバック側制御手段(23)とを備えて構成する。
【0012】
排熱回収部としては、温水吸収式冷凍機や給湯設備や暖房装置などが用いられる。
【0013】
また、請求項2に係る発明の排熱回収システムは、上述のような目的を達成するために、請求項1に係る発明の排熱回収システムにおけるホールド手段(21)を、入口温度センサ(16)による冷却水の測定温度がその設定温度(A) よりも低くなり、かつ、冷却水温度センサ(15)による冷却水の測定温度がその設定温度(B) よりも低くなるまで放熱制御信号を出力させるように構成する。
【0014】
【作用】
請求項1に係る発明の排熱回収システムの構成によれば、排熱回収部での排熱需要量が急激に減少したときに、それによって温度が急激に上昇した冷却水を入口温度センサが感知すると放熱信号を出力し、それに基づいてホールド手段から放熱制御信号を出力し、その放熱制御信号に応答してフィードフォワード側制御手段により放熱量変更手段を作動し、最大放熱量よりも小さい値に設定した設定放熱量になるようにし、全量よりも少ない量の冷却水を放熱用熱交換器に供給する。一方、フィードバック側制御手段では、冷却水温度センサの測定温度に基づき、その測定温度が高くなれば、放熱用熱交換器に供給する量が多くなるように、逆に、測定温度が低くなれば、放熱用熱交換器に供給する量が少なくなるようにそれぞれ放熱量変更手段を作動する。すなわち、フィードフォワード側制御手段からの制御出力とフィードバック側制御手段からの制御出力とが加算されたシステム全体の制御出力によって放熱量変更手段を作動する。そして、排熱回収部での排熱回収が再開されたときには、そのことを、冷却水温度センサによる冷却水の測定温度が設定温度よりも低くなることによって判断し、それに基づいてホールド手段の作用を解除し、フィードフォワード側制御手段からの制御出力だけでは放熱用熱交換器に冷却水が供給されないが、冷却水温度センサによる測定温度に基づいてフィードバック側制御手段からの制御出力が加算され、冷却水温度センサによる測定温度が設定温度を越えないように、放熱量変更手段を作動する。
より詳述すれば、排熱回収部での排熱需要が安定していて、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度変化が小さいときには、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度に基づくフィードバック側制御手段からの制御出力の加算分が有効に作用して放熱用熱交換器に供給する冷却水の量を制御する。
例えば、温水吸収式冷凍機の運転が停止されるなど、排熱回収部での排熱需要量が急激に減少したときには、そのことを入口温度センサで測定される冷却水の温度が設定温度を越えることにより感知し、ホールド手段の作用により、必要量を放熱するために必要な冷却水量の全量ではなく、予め設定したある程度の量(設定量)の冷却水を放熱用熱交換器に供給し、急激に温度が高くなった冷却水をエンジン冷却部に戻すことを回避するとともに、温度が上昇していない冷却水を必要以上に放熱用熱交換器に供給して必要以上に低温の冷却水をエンジン冷却部に戻すことを抑制し、かつ、設定量を越える範囲では、フィードバック側制御手段からの制御出力の加算分により、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度が設定温度を越えないように放熱用熱交換器に供給する冷却水の量を制御する。
また、排熱回収部での排熱回収が再開されると、その再開時点よりも遅らせて、前述したようにホールド手段の作用を解除し、冷却水温度センサによる測定温度に基づくフィードバック側制御手段からの制御出力の加算分の作用により、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度が設定温度を越えないように放熱用熱交換器に供給する冷却水の量を制御する。
【0015】
また、請求項2に係る発明の排熱回収システムの構成によれば、ホールド手段による作用の解除を、冷却水温度センサによる冷却水の測定温度が設定温度よりも低くなることに加えて、入口温度センサによる冷却水の測定温度が設定温度よりも低くなることに基づいて行う。例えば、排熱回収部での排熱回収の再開に際し、最初は、排熱回収部側に残存していた低温の冷却水が流れ、次いで、排熱回収部を経た冷却水が流れるものの、排熱回収部での動作遅れがある場合に、その動作遅れの間に排熱回収部を経た冷却水の温度は低くなっていない。このため、冷却水温度センサが最初の低温の冷却水を感知することに基づいてホールド手段による作用を解除すると、その直後に動作遅れに起因した高温の冷却水がエンジン冷却部に流れ込むが、本案により、冷却水温度センサが最初の低温の冷却水を感知したときに入口温度センサで動作遅れに起因した高温の冷却水を感知していれば、ホールド手段による作用が解除されず、放熱用熱交換器への供給状態が継続され、動作遅れに起因した高温の冷却水がエンジン冷却部に流れ込むことを回避できる。
【0016】
【実施例】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る排熱回収システムの第1実施例を示すブロック図であり、ガスエンジン1に、伝動クラッチ2を介して発電機3が連動連結されている。
【0018】
ガスエンジン1のエンジン冷却部の出口と入口とにわたって、第1のポンプ4を介装した主配管5が接続されている。主配管5に、排熱回収部としての温水吸収式冷凍機6と給湯設備7それぞれが、互いに並列に送り配管8aおよび戻り配管8bを介して接続されている。更に、温水吸収式冷凍機6に、第2のポンプ9を介装した冷房用配管10を介して冷房装置11…が接続され、エンジン冷却によって発生する排熱を冷房や給湯の熱源として利用するように構成されている。前記主配管5と送り配管8aおよび戻り配管8bの全体を配管と称する。
【0019】
また、主配管5の戻り配管8bとの接続箇所よりも下流となる冷却水供給側配管に、放熱量変更手段としての三方弁12とバイパス配管13とを介して放熱用熱交換器14が接続されている。三方弁12は放熱用熱交換器14への入口側に設けても良い。
【0020】
前記冷却水供給側配管の三方弁12との接続箇所よりも下流側に、エンジン冷却部に供給される冷却水の温度を測定する冷却水温度センサ15が設けられている。また、最も下流の戻り配管8bと主配管5との接続箇所の下流側で、かつ、冷却水供給側配管のバイパス配管13との上流側接続箇所よりも上流側において、三方弁12に供給される冷却水、すなわち、放熱用熱交換器14への入口側での冷却水の温度を測定する入口温度センサ16が設けられている。
【0021】
冷却水温度センサ15および入口温度センサ16がマイクロコンピュータ17に接続され、そのマイクロコンピュータ17に三方弁12のドライバ18(図2参照)が接続されている。
【0022】
マイクロコンピュータ17には、図2のブロック図に示すように、第1および第2の比較手段19,20とホールド手段21とフィードフォワード側制御手段22とフィードバック側制御手段23と制御出力加算手段24とが備えられている。
【0023】
第1の比較手段19では、入口温度センサ16で測定される冷却水の入口温度T1と入口温度設定器25で設定される第1の設定温度Ta(例えば、84℃)とを入力して比較し、入口温度T1が第1の設定温度Ta以上になったときにのみホールド手段21に放熱信号を出力するようになっている。
【0024】
第2の比較手段20では、冷却水温度センサ15で測定されるエンジン冷却部に供給する冷却水の温度T2と冷却水温度設定器26で設定される第2の設定温度Tb(例えば、83℃)とを入力して比較し、測定温度T2が第2の設定温度Tb以下になったときに、ホールド手段21にホールド解除信号を出力するようになっている。
【0025】
ホールド手段21では、第1の比較手段19からの放熱信号に応答して放熱制御信号を出力し、そして、第2の比較手段20からのホールド解除信号に応答して放熱制御信号の出力を停止するように、すなわち、冷却水温度センサ15による冷却水の測定温度T2が第2の設定温度Tb以下になるまで放熱制御信号を出力し続けるようになっている。
【0026】
フィードフォワード側制御手段22では、前記ホールド手段21からの放熱制御信号に応答して、三方弁12を所定の開度まで開いて作動放熱用熱交換器14での放熱量が最大放熱量よりも小さい値に設定した設定放熱量になるように、例えば、30%などの予め設定した制御出力を出すようになっている。
【0027】
フィードバック側制御手段23では、冷却水温度センサ15による冷却水の測定温度T2に基づき、その温度変化に応じた制御出力を出し、上昇側に変化したときには三方弁12を開くように、すなわち、放熱用熱交換器14に供給する冷却水の量を増加するように、逆に、下降側に変化したときには三方弁12を閉じるように、すなわち、放熱用熱交換器14に供給する冷却水の量を減少するようになっている。
【0028】
制御出力加算手段24では、フィードフォワード側制御手段22からの制御出力とフィードバック側制御手段23からの制御出力とを加算し、その加算された出力を三方弁12のドライバ18に出力し、加算出力に対応した開度が得られるように三方弁12を制御する。
【0029】
次に、上記構成による制御動作を図3のフローチャートを用いて説明する。
先ず、入口温度センサ16で測定される入口温度T1と冷却水温度センサ15で測定される冷却水温度T2とを入力して(S1)、入口温度T1と第1の設定温度Taと比較する(S2)。ここで、入口温度T1が第1の設定温度Ta以上のときには放熱信号をホールド手段21に出力する(S3)。
【0030】
次いで、冷却水温度T2と第2の設定温度Tbと比較する(S4)。ここで、冷却水温度T2が第2の設定温度Tb以下でないとき、すなわち、冷却水温度T2が第2の設定温度Tbよりも高いときには放熱制御信号をフィードフォワード側制御手段22に出力し(S5)、フィードフォワード側制御手段22から制御出力加算手段24に30%の制御出力を出す(S6)。
【0031】
次いで、制御出力加算手段24において、フィードフォワード側制御手段22からの制御出力にフィードバック側制御手段23からの制御出力を加算し(S7)、その加算した制御出力をドライバ18に出し(S8)てからステップS1に戻す。ドライバ18では、加算した制御出力に対応した開度が得られるように三方弁12を制御する。
【0032】
ステップS2において、入口温度T1が第1の設定温度Ta以上でないとき、すなわち、入口温度T1が第1の設定温度Taよりも低いときには、ステップS1に移行する。
【0033】
また、ステップS4において、冷却水温度T2が第2の設定温度Tb以下になったときには、ステップS9に移行してホールド手段21にホールド解除信号を出力し、フィードフォワード側制御手段22から制御出力加算手段24に15%(この制御出力は三方弁12のデッドバンド内にあり、実際には放熱用熱交換器14に冷却水は供給されない)の制御出力を出して(S10)からステップS7に移行する。
【0034】
以上の構成により、温水吸収式冷凍機6や給湯設備7での排熱需要が安定していて、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度変化が小さいときには、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2に基づくフィードバック側制御手段23からの制御出力の加算分が有効に作用して放熱用熱交換器14に供給する冷却水の量を制御する。
【0035】
例えば、温水吸収式冷凍機6の運転が急に停止されるなど、排熱需要量が急激に減少したときには、そのことを入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1が設定温度Ta以上になることにより感知し、ホールド手段21の作用により、フィードフォワード側制御手段22から制御出力加算手段24に30%の制御出力を出し、必要量を放熱するために必要な冷却水量の全量ではなく、予め設定したある程度の量(設定量)の冷却水を放熱用熱交換器14に供給し、急激に温度が高くなった冷却水をエンジン冷却部に戻すことを回避するとともに、温度が上昇していない冷却水を必要以上に放熱用熱交換器14に供給して必要以上に低温の冷却水をエンジン冷却部に戻すことを抑制し、かつ、設定量を越える範囲では、フィードバック側制御手段23からの制御出力の加算分により、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2が設定温度Tbを越えないように放熱用熱交換器14に供給する冷却水の量を制御する。
【0036】
また、温水吸収式冷凍機6の運転が再開されるなど、排熱回収部での排熱回収が再開されると、そのことをエンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2が設定温度Tb以下になることにより判断し、排熱回収の再開時点よりも遅らせてホールド手段21の作用を解除してフィードフォワード側制御手段22から制御出力加算手段24に15%の制御出力を出し、冷却水温度センサ15によって測定される、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2に基づくフィードバック側制御手段23からの制御出力を加算し、その加算した制御出力によりエンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2が設定温度Tbを越えないように放熱用熱交換器14に供給する冷却水の量を制御する。
【0037】
次に、上記第1実施例による動作につき、図4、図5および図6のグラフを用いて説明する。
図4は、温水吸収式冷凍機6や給湯設備7での排熱需要の変化に伴う、温水吸収式冷凍機6からの出口温度(A1で示す)および放熱用熱交換器14からの出口温度(B1で示す)[両温度それぞれを真温度と縦軸に表示する]の経時的変化を示すグラフである。なお、この真温度は、通常の装置に組み込まれる直径10mmの白金測温抵抗体に代えて計測専用の直径2mmの白金測温抵抗体を用いて測定した。
図5は、入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1および冷却水温度センサ15によって測定されるエンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2[両温度それぞれを制御用センサー温度と縦軸に表示する]の経時的変化を示すグラフであり、図6の真温度に比べてセンサ自体の応答特性の遅れによってややズレを生じるとともに滑らかな変化になり、かつ、低温になっているが、充分追随していることがわかる。
図6は、両センサ15,16の測定温度に基づく制御用出力の経時的変化を示すグラフである。
【0038】
排熱需要が安定している状態では、冷却水温度センサ15によって測定される、フィードフォワード側制御手段22からの15%の制御出力(A2で示す)に、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2に基づくフィードバック側制御手段23からの制御出力(B2で示す)を加算した制御出力(Cで示す)を出して三方弁12の開度を制御し、図5に示すように、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2は、設定温度Tb(例えば、80℃)に近い状態を維持される。
【0039】
排熱需要が安定している状態から、例えば、温水吸収式冷凍機6の運転が急に停止されるといったように排熱回収需要が急激に減少した場合(図4にP1で示す)、図5に示すように、入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1が上昇するが、設定温度Ta(例えば、80℃)を越えるに伴い、放熱信号をホールド手段21に出力してホールド状態になるとともにホールド手段21からフィードフォワード側制御手段22に放熱制御信号を出力し、図6に示すように、フィードフォワード側制御手段22から30%の制御出力を出してホールド状態に移行する。ホールド状態に移行すると、30%の制御出力にエンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2に基づくフィードバック側制御手段23からの制御出力を加算し、その加算された制御出力Cにより三方弁12を開閉する。これらの結果、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2は、所定温度(約80℃)に維持される。
【0040】
一方、例えば、温水吸収式冷凍機6の運転が再開されるなどにより排熱回収需要が急激に増大すると、図4および図5に示すように、先ず、温水吸収式冷凍機6の戻り配管8b内の低温の冷却水が流れ込み、真温度A1および入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1が急激に低下する。この影響が、放熱用熱交換器14の出口の真温度B1および冷却水温度センサ15の測定温度T2それぞれに、測定位置の距離を冷却水が流れる時間tだけ遅れて現れる。冷却水温度センサ15の測定温度T2が設定温度Tb以下になると、ホールド手段21にホールド解除信号を出力してホールドを解除し、図6に示すように、フィードフォワード側制御手段22からの制御出力A2が15%に戻され、これにフィードバック側制御手段23からの制御出力を加算した制御出力によって三方弁12を制御し、放熱用熱交換器14に流される冷却水の量を減少し、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2が必要以上に低下することを回避する。その後、排熱需要が安定するに伴い、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2が所定温度(約80℃)に維持されるようになる。
【0041】
図7は、本発明に係る排熱回収システムの第2実施例の要部を示すブロック図であり、第1実施例と異なるところは次の通りである。
すなわち、第1実施例における第1および第2の比較手段19,20それぞれからの比較出力がAND回路27に入力され、そのAND回路27からの出力がホールド解除信号としてホールド手段21に入力されるようになっている。
【0042】
そして、その動作において、図8のフローチャートに示すように、第1実施例におけるステップS4とステップS9との間に、入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1が設定温度Ta未満かどうかを判断するステップS4Aを介装し、冷却水温度センサ15によって測定される、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2が設定温度Tb以下になり、かつ、入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1が設定温度Ta未満になったときにステップS7に移行してホールド解除信号を出力するようになっている。ステップS4Aにおいて、入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1が設定温度Ta以上と判断したきには、ホールド解除信号を出力せずにステップS5に移行するようになっている。他の構成ならびに動作は第1実施例と同じであり、その説明は省略する。
【0043】
次に、この第2実施例による特徴的動作につき、図9のタイムチャートを用いて説明する。
すなわち、温水吸収式冷凍機6の運転が再開されるなどにより排熱回収需要が急激に増大し、図9の(a)に示すように、最初に温水吸収式冷凍機6の戻り配管8b内の低温の冷却水が流れ込んで入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1が急激に低下するが、次いで、温水吸収式冷凍機6で実際に排熱が回収された冷却水が流れ込む前に、温水吸収式冷凍機6での動作遅れなどに起因して排熱が回収されない高温の冷却水が流れるような場合、図9の(b)に示すように、時間遅れtを持って冷却水温度センサ15の測定温度T2も同様に変化する。
【0044】
このような事態を生じる場合、前述した第1実施例では、このときに冷却水温度センサ15の測定温度T2が設定温度Tb未満になるに伴ってホールド状態を解除していたのであるが、その後に、前述したように排熱が回収されない高温の冷却水が流れて、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度が高くなってオーバーシュートを生じる問題がある。そこで、この第2実施例では、図9の(c)に示すように、冷却水温度センサ15の測定温度T2が設定温度Tb以下になっただけではホールド状態を解除できず、温水吸収式冷凍機6で実際に排熱が回収され、入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1も設定温度Ta未満になってからホールド状態を解除し、前述の問題を回避できるようにしている。
【0045】
放熱用熱交換器14に流す冷却水流量を変更する放熱量変更手段としては、三方弁12に代えて、例えば、主配管5の冷却水供給側配管とバイパス配管13それぞれに個別に流量調整弁を設け、両流量調整弁を互いに連動させて放熱用熱交換器14に流す冷却水流量を変更するように構成するものでも良い。
【0046】
また、上記実施例では、ホールドする設定放熱量を得る上でのフィードフォワード側制御手段22からの制御出力を30%に設定しているが、この値は排熱回収システムに用いられる温水吸収式冷凍機6の容量や三方弁12などに応じて適宜設定すれば良く、通常25〜35%程度である。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に係る発明の排熱回収システムによれば、排熱回収部での排熱需要量が急激に減少したときに、それによって温度が急激に上昇した冷却水を入口温度センサが感知すると放熱信号を出力し、それに基づいてホールド手段から放熱制御信号を出力し、その放熱制御信号に応答して、フィードフォワード側制御手段から、全量よりも少ない所定量の冷却水を放熱用熱交換器に供給するように最大放熱量よりも小さい値に設定した設定放熱量になる制御出力を出力させる。
一方、フィードバック側制御手段からは、冷却水温度センサの測定温度に基づき、その測定温度が高くなれば、放熱用熱交換器に供給する量が多くなるように、逆に、測定温度が低くなれば、放熱用熱交換器に供給する量が少なくなるようにそれぞれ制御出力を出力させ、フィードフォワード側制御手段とフィードバック側制御手段の両者の加算所定した制御出力によって放熱量変更手段を作動する。そして、排熱回収部での排熱回収が再開されると、そのことを、冷却水温度センサによる冷却水の測定温度が設定温度よりも低くなることによって判断し、それに基づいてホールド手段の作用を解除し、冷却水温度センサによる測定温度に基づく、フィードバック側制御手段からの制御出力が有効に作用して放熱量変更手段を作動し、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度が設定温度を越えないように制御する。
すなわち、排熱回収部での排熱需要が安定していて、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度変化が小さいときには、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度に基づくフィードバック側制御手段からの制御出力の加算分が有効に作用して放熱用熱交換器に供給する冷却水の量を制御し、そして、例えば、温水吸収式冷凍機の運転が急に停止されるなど、排熱回収部での排熱需要量が急激に減少したときには、必要量を放熱するために必要な冷却水量の全量ではなく、予め設定したある程度の量(設定量)の冷却水を放熱用熱交換器に供給し、急激に温度が高くなった冷却水をエンジン冷却部に戻すことを回避するとともに、温度が上昇していない冷却水を必要以上に放熱用熱交換器に供給して必要以上に低温の冷却水をエンジン冷却部に戻すことを抑制し、かつ、設定量を越える範囲では、フィードバック側制御手段からの制御出力の加算分により、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度が設定温度を越えないように放熱用熱交換器に供給する冷却水の量を制御し、更に、排熱回収部での排熱回収が再開されると、フィードバック側制御手段からの制御出力の加算分の作用により、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度が設定温度を越えないように放熱用熱交換器に供給する冷却水の量を制御するから、配管内を流れる冷却水の時間遅れを考慮する場合のように、配管の内周面へのスケール付着といった経年変化や排熱回収部での運転や停止に伴う流動抵抗の変化といったことに影響されずに済み、排熱回収部での排熱需要量の増大に起因するオーバーシュートの発生を良好に防止できるようになった。
【0048】
また、請求項2に係る発明の排熱回収システムによれば、それぞれ、排熱回収部での排熱回収の再開に際し、排熱回収部側に残存していた低温の冷却水を冷却水温度センサが感知しても、ホールド手段による作用が解除されず、放熱用熱交換器への供給状態を継続できるから、排熱回収部での動作遅れに起因した高温の冷却水がエンジン冷却部に流れ込むことを回避でき、制御の安定性を向上できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排熱回収システムの第1実施例を示すブロック図である。
【図2】マイクロコンピュータの構成を示すブロック図である。
【図3】動作説明に供するフローチャートである。
【図4】真温度の経時的変化を示すグラフである。
【図5】入口温度センサおよび冷却水温度センサによる測定温度の経時的変化を示すグラフである。
【図6】制御出力の経時的変化を示すグラフである。
【図7】本発明に係る排熱回収システムの第2実施例の要部を示すブロック図である。
【図8】動作説明に供する要部のフローチャートである。
【図9】動作説明に供する要部のタイムチャートである。
【符号の説明】
1…ガスエンジン
5…主配管
6…温水吸収式冷凍機
7…給湯設備
8a…送り配管
8b…戻り配管
12…三方弁
14…放熱用熱交換器
15…冷却水温度センサ
16…入口温度センサ
17…マイクロコンピュータ
21…ホールド手段
22…フィードフォワード側制御手段
23…フィードバック側制御手段
【産業上の利用分野】
本発明は、コジェネレーションシステムなどに用いるために、ガスエンジンやディーゼルエンジンの冷却ジャケットといったエンジン冷却部と、温水吸収式冷凍機や給湯設備や暖房装置などの排熱回収部とを配管を介して接続するとともに、排熱回収部からエンジン冷却部への冷却水供給側配管に、三方弁とバイパス配管とから構成されるような放熱量変更手段を備えた放熱用熱交換器を設け、かつ、冷却水供給側配管の排熱回収部と放熱用熱交換器との間に冷却水の温度を測定する入口温度センサを設け、その入口温度センサで測定される冷却水の温度に基づいて放熱量変更手段を作動するように構成した排熱回収システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
排熱回収システムでは、通常、冷却水供給側配管のバイパス配管よりも下流側にエンジン冷却部に供給される冷却水の温度を測定する冷却水温度センサを設けるとともに、冷却水温度センサで測定される冷却水の温度が設定温度になるように放熱量変更手段を作動するフィードバック側制御手段を備え、エンジン冷却部に供給される冷却水の温度が設定温度になるように、放熱用熱交換器に分配供給する冷却水の量を制御している。これにより、冷却ジャケット内の冷却水の温度が上昇しすぎてエンジン保護回路が作動し、エンジンを自動的に停止する、いわゆるエンジントリップが発生することを回避できるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例では、例えば、温水吸収式冷凍機が急に停止するなどのように排熱需要量が急激に減少した場合、後流に三方弁などを介して水温を下げるための放熱用熱交換器を設けていても、水温が急上昇すると制御遅れのために放熱用熱交換器で熱が十分奪われず、冷却水の温度が設定温度よりもオーバーシュートし、高温の冷却水がエンジンに戻ってエンジンがトリップする。
【0004】
そのため、オーバーシュートによる最大温度を見込んで設定温度を低くしている。ところが、通常時においてエンジン冷却部から取り出される冷却水の温度が低くなってしまい、排熱回収効率が低下する欠点があった。
【0005】
そこで、冒頭に記載したように、排熱回収部から出た冷却水の温度を入口温度センサで測定し、その測定した温度に基づいて三方弁などの放熱量変更手段を作動するフィードフォワード制御を行い、早期に放熱量変更手段を作動してオーバーシュートを防止するものが提案されている。
【0006】
ところが、フィードフォワード制御を行う場合、排熱需要量が急激に減少したときには、入口温度センサが冷却水の温度上昇を感知して早期に放熱量変更手段を作動させ、放熱用熱交換器での放熱量を増加させるために対応できるが、逆に、排熱需要量が減少している状態から、温水吸収式冷凍機の運転が再開されるなどのように排熱需要量が増大したときには、入口温度センサによって冷却水の温度が低下したことを感知して放熱量変更手段を作動し、放熱用熱交換器での放熱量を減少してしまうと、放熱用熱交換器で放熱されずに高温のままの冷却水がエンジン冷却部に戻されてオーバーシュートを生じる問題があった。
【0007】
そこで、このような問題を解消するため、入口温度センサで測定された低温の冷却水が放熱量変更手段で制御される箇所に到達するに必要な時間を算出し、その時間だけ、放熱用熱交換器での放熱を継続することが考えられた。
【0008】
上述した冷却水が放熱量変更手段で制御される箇所に到達するに必要な時間は、配管の内径とそこを流れる冷却水の流速とから算出される。ところが、配管の内径は、使用に伴って、配管の内周面にスケールが付着するなど、経年変化する可能性がある。また、流速は、排熱回収部の運転や停止などに伴うシステム全体での流動抵抗の変化に起因して変動する。
【0009】
このようなことから、長期にわたって適切に遅れ時間を設定することが困難であり、また、制御の遅れ時間を制御構成に組み込むためにコストアップを招く欠点があり、更なる改善が望まれていた。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、請求項1に係る発明の排熱回収システムは、経年変化や流動抵抗の変化に影響されずに、排熱回収部での排熱需要量の増大に起因するオーバーシュートの発生を防止できるようにすることを目的とし、また、請求項2に係る発明の排熱回収システムは、それぞれ排熱回収部での排熱回収開始時における動作遅れに起因して制御が不安定になることを回避できるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、上述のような目的を達成するために、エンジン(1) のエンジン冷却部と排熱回収部(6),(7) とを配管(5),(8a),(8b) を介して接続するとともに、排熱回収部(6),(7) からエンジン冷却部への冷却水供給側配管(5) に、放熱量変更手段(12)を備えた放熱用熱交換器(14)を設け、かつ、冷却水供給側配管(5) の排熱回収部(6),(7) と放熱用熱交換器(14)との間に冷却水の温度を測定する入口温度センサ(16)を設け、その入口温度センサ(16)で測定される冷却水の温度に基づいて放熱量変更手段(12)を作動するように構成した排熱回収システムにおいて、冷却水供給側配管(5) の放熱用熱交換器(14)よりも下流側に設けられてエンジン冷却部に戻される冷却水の温度を測定する冷却水温度センサ(15)と、入口温度センサ(16)による測定温度が設定温度を越えたときに出力される放熱信号に基づいて、冷却水温度センサ(15)による冷却水の測定温度が設定温度よりも低くなるまで放熱制御信号を出力させるホールド手段(21)と、放熱制御信号に応答して、放熱量変更手段(12)の弁開度を前記エンジン(1) が定格運転し、かつ、排熱回収部(6),(7) の排熱需要が零のときに放熱用熱交換器(14)に供給すべき冷却水量を流す弁開度よりも小さい予め設定した設定弁開度になるように制御するフィードフォワード側制御手段(22)と、冷却水温度センサ(15)による冷却水の測定温度に基づいて、その測定温度が高くなるほど放熱量が増大するように放熱量変更手段(12)を制御するフィードバック側制御手段(23)とを備えて構成する。
【0012】
排熱回収部としては、温水吸収式冷凍機や給湯設備や暖房装置などが用いられる。
【0013】
また、請求項2に係る発明の排熱回収システムは、上述のような目的を達成するために、請求項1に係る発明の排熱回収システムにおけるホールド手段(21)を、入口温度センサ(16)による冷却水の測定温度がその設定温度(A) よりも低くなり、かつ、冷却水温度センサ(15)による冷却水の測定温度がその設定温度(B) よりも低くなるまで放熱制御信号を出力させるように構成する。
【0014】
【作用】
請求項1に係る発明の排熱回収システムの構成によれば、排熱回収部での排熱需要量が急激に減少したときに、それによって温度が急激に上昇した冷却水を入口温度センサが感知すると放熱信号を出力し、それに基づいてホールド手段から放熱制御信号を出力し、その放熱制御信号に応答してフィードフォワード側制御手段により放熱量変更手段を作動し、最大放熱量よりも小さい値に設定した設定放熱量になるようにし、全量よりも少ない量の冷却水を放熱用熱交換器に供給する。一方、フィードバック側制御手段では、冷却水温度センサの測定温度に基づき、その測定温度が高くなれば、放熱用熱交換器に供給する量が多くなるように、逆に、測定温度が低くなれば、放熱用熱交換器に供給する量が少なくなるようにそれぞれ放熱量変更手段を作動する。すなわち、フィードフォワード側制御手段からの制御出力とフィードバック側制御手段からの制御出力とが加算されたシステム全体の制御出力によって放熱量変更手段を作動する。そして、排熱回収部での排熱回収が再開されたときには、そのことを、冷却水温度センサによる冷却水の測定温度が設定温度よりも低くなることによって判断し、それに基づいてホールド手段の作用を解除し、フィードフォワード側制御手段からの制御出力だけでは放熱用熱交換器に冷却水が供給されないが、冷却水温度センサによる測定温度に基づいてフィードバック側制御手段からの制御出力が加算され、冷却水温度センサによる測定温度が設定温度を越えないように、放熱量変更手段を作動する。
より詳述すれば、排熱回収部での排熱需要が安定していて、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度変化が小さいときには、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度に基づくフィードバック側制御手段からの制御出力の加算分が有効に作用して放熱用熱交換器に供給する冷却水の量を制御する。
例えば、温水吸収式冷凍機の運転が停止されるなど、排熱回収部での排熱需要量が急激に減少したときには、そのことを入口温度センサで測定される冷却水の温度が設定温度を越えることにより感知し、ホールド手段の作用により、必要量を放熱するために必要な冷却水量の全量ではなく、予め設定したある程度の量(設定量)の冷却水を放熱用熱交換器に供給し、急激に温度が高くなった冷却水をエンジン冷却部に戻すことを回避するとともに、温度が上昇していない冷却水を必要以上に放熱用熱交換器に供給して必要以上に低温の冷却水をエンジン冷却部に戻すことを抑制し、かつ、設定量を越える範囲では、フィードバック側制御手段からの制御出力の加算分により、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度が設定温度を越えないように放熱用熱交換器に供給する冷却水の量を制御する。
また、排熱回収部での排熱回収が再開されると、その再開時点よりも遅らせて、前述したようにホールド手段の作用を解除し、冷却水温度センサによる測定温度に基づくフィードバック側制御手段からの制御出力の加算分の作用により、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度が設定温度を越えないように放熱用熱交換器に供給する冷却水の量を制御する。
【0015】
また、請求項2に係る発明の排熱回収システムの構成によれば、ホールド手段による作用の解除を、冷却水温度センサによる冷却水の測定温度が設定温度よりも低くなることに加えて、入口温度センサによる冷却水の測定温度が設定温度よりも低くなることに基づいて行う。例えば、排熱回収部での排熱回収の再開に際し、最初は、排熱回収部側に残存していた低温の冷却水が流れ、次いで、排熱回収部を経た冷却水が流れるものの、排熱回収部での動作遅れがある場合に、その動作遅れの間に排熱回収部を経た冷却水の温度は低くなっていない。このため、冷却水温度センサが最初の低温の冷却水を感知することに基づいてホールド手段による作用を解除すると、その直後に動作遅れに起因した高温の冷却水がエンジン冷却部に流れ込むが、本案により、冷却水温度センサが最初の低温の冷却水を感知したときに入口温度センサで動作遅れに起因した高温の冷却水を感知していれば、ホールド手段による作用が解除されず、放熱用熱交換器への供給状態が継続され、動作遅れに起因した高温の冷却水がエンジン冷却部に流れ込むことを回避できる。
【0016】
【実施例】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る排熱回収システムの第1実施例を示すブロック図であり、ガスエンジン1に、伝動クラッチ2を介して発電機3が連動連結されている。
【0018】
ガスエンジン1のエンジン冷却部の出口と入口とにわたって、第1のポンプ4を介装した主配管5が接続されている。主配管5に、排熱回収部としての温水吸収式冷凍機6と給湯設備7それぞれが、互いに並列に送り配管8aおよび戻り配管8bを介して接続されている。更に、温水吸収式冷凍機6に、第2のポンプ9を介装した冷房用配管10を介して冷房装置11…が接続され、エンジン冷却によって発生する排熱を冷房や給湯の熱源として利用するように構成されている。前記主配管5と送り配管8aおよび戻り配管8bの全体を配管と称する。
【0019】
また、主配管5の戻り配管8bとの接続箇所よりも下流となる冷却水供給側配管に、放熱量変更手段としての三方弁12とバイパス配管13とを介して放熱用熱交換器14が接続されている。三方弁12は放熱用熱交換器14への入口側に設けても良い。
【0020】
前記冷却水供給側配管の三方弁12との接続箇所よりも下流側に、エンジン冷却部に供給される冷却水の温度を測定する冷却水温度センサ15が設けられている。また、最も下流の戻り配管8bと主配管5との接続箇所の下流側で、かつ、冷却水供給側配管のバイパス配管13との上流側接続箇所よりも上流側において、三方弁12に供給される冷却水、すなわち、放熱用熱交換器14への入口側での冷却水の温度を測定する入口温度センサ16が設けられている。
【0021】
冷却水温度センサ15および入口温度センサ16がマイクロコンピュータ17に接続され、そのマイクロコンピュータ17に三方弁12のドライバ18(図2参照)が接続されている。
【0022】
マイクロコンピュータ17には、図2のブロック図に示すように、第1および第2の比較手段19,20とホールド手段21とフィードフォワード側制御手段22とフィードバック側制御手段23と制御出力加算手段24とが備えられている。
【0023】
第1の比較手段19では、入口温度センサ16で測定される冷却水の入口温度T1と入口温度設定器25で設定される第1の設定温度Ta(例えば、84℃)とを入力して比較し、入口温度T1が第1の設定温度Ta以上になったときにのみホールド手段21に放熱信号を出力するようになっている。
【0024】
第2の比較手段20では、冷却水温度センサ15で測定されるエンジン冷却部に供給する冷却水の温度T2と冷却水温度設定器26で設定される第2の設定温度Tb(例えば、83℃)とを入力して比較し、測定温度T2が第2の設定温度Tb以下になったときに、ホールド手段21にホールド解除信号を出力するようになっている。
【0025】
ホールド手段21では、第1の比較手段19からの放熱信号に応答して放熱制御信号を出力し、そして、第2の比較手段20からのホールド解除信号に応答して放熱制御信号の出力を停止するように、すなわち、冷却水温度センサ15による冷却水の測定温度T2が第2の設定温度Tb以下になるまで放熱制御信号を出力し続けるようになっている。
【0026】
フィードフォワード側制御手段22では、前記ホールド手段21からの放熱制御信号に応答して、三方弁12を所定の開度まで開いて作動放熱用熱交換器14での放熱量が最大放熱量よりも小さい値に設定した設定放熱量になるように、例えば、30%などの予め設定した制御出力を出すようになっている。
【0027】
フィードバック側制御手段23では、冷却水温度センサ15による冷却水の測定温度T2に基づき、その温度変化に応じた制御出力を出し、上昇側に変化したときには三方弁12を開くように、すなわち、放熱用熱交換器14に供給する冷却水の量を増加するように、逆に、下降側に変化したときには三方弁12を閉じるように、すなわち、放熱用熱交換器14に供給する冷却水の量を減少するようになっている。
【0028】
制御出力加算手段24では、フィードフォワード側制御手段22からの制御出力とフィードバック側制御手段23からの制御出力とを加算し、その加算された出力を三方弁12のドライバ18に出力し、加算出力に対応した開度が得られるように三方弁12を制御する。
【0029】
次に、上記構成による制御動作を図3のフローチャートを用いて説明する。
先ず、入口温度センサ16で測定される入口温度T1と冷却水温度センサ15で測定される冷却水温度T2とを入力して(S1)、入口温度T1と第1の設定温度Taと比較する(S2)。ここで、入口温度T1が第1の設定温度Ta以上のときには放熱信号をホールド手段21に出力する(S3)。
【0030】
次いで、冷却水温度T2と第2の設定温度Tbと比較する(S4)。ここで、冷却水温度T2が第2の設定温度Tb以下でないとき、すなわち、冷却水温度T2が第2の設定温度Tbよりも高いときには放熱制御信号をフィードフォワード側制御手段22に出力し(S5)、フィードフォワード側制御手段22から制御出力加算手段24に30%の制御出力を出す(S6)。
【0031】
次いで、制御出力加算手段24において、フィードフォワード側制御手段22からの制御出力にフィードバック側制御手段23からの制御出力を加算し(S7)、その加算した制御出力をドライバ18に出し(S8)てからステップS1に戻す。ドライバ18では、加算した制御出力に対応した開度が得られるように三方弁12を制御する。
【0032】
ステップS2において、入口温度T1が第1の設定温度Ta以上でないとき、すなわち、入口温度T1が第1の設定温度Taよりも低いときには、ステップS1に移行する。
【0033】
また、ステップS4において、冷却水温度T2が第2の設定温度Tb以下になったときには、ステップS9に移行してホールド手段21にホールド解除信号を出力し、フィードフォワード側制御手段22から制御出力加算手段24に15%(この制御出力は三方弁12のデッドバンド内にあり、実際には放熱用熱交換器14に冷却水は供給されない)の制御出力を出して(S10)からステップS7に移行する。
【0034】
以上の構成により、温水吸収式冷凍機6や給湯設備7での排熱需要が安定していて、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度変化が小さいときには、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2に基づくフィードバック側制御手段23からの制御出力の加算分が有効に作用して放熱用熱交換器14に供給する冷却水の量を制御する。
【0035】
例えば、温水吸収式冷凍機6の運転が急に停止されるなど、排熱需要量が急激に減少したときには、そのことを入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1が設定温度Ta以上になることにより感知し、ホールド手段21の作用により、フィードフォワード側制御手段22から制御出力加算手段24に30%の制御出力を出し、必要量を放熱するために必要な冷却水量の全量ではなく、予め設定したある程度の量(設定量)の冷却水を放熱用熱交換器14に供給し、急激に温度が高くなった冷却水をエンジン冷却部に戻すことを回避するとともに、温度が上昇していない冷却水を必要以上に放熱用熱交換器14に供給して必要以上に低温の冷却水をエンジン冷却部に戻すことを抑制し、かつ、設定量を越える範囲では、フィードバック側制御手段23からの制御出力の加算分により、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2が設定温度Tbを越えないように放熱用熱交換器14に供給する冷却水の量を制御する。
【0036】
また、温水吸収式冷凍機6の運転が再開されるなど、排熱回収部での排熱回収が再開されると、そのことをエンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2が設定温度Tb以下になることにより判断し、排熱回収の再開時点よりも遅らせてホールド手段21の作用を解除してフィードフォワード側制御手段22から制御出力加算手段24に15%の制御出力を出し、冷却水温度センサ15によって測定される、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2に基づくフィードバック側制御手段23からの制御出力を加算し、その加算した制御出力によりエンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2が設定温度Tbを越えないように放熱用熱交換器14に供給する冷却水の量を制御する。
【0037】
次に、上記第1実施例による動作につき、図4、図5および図6のグラフを用いて説明する。
図4は、温水吸収式冷凍機6や給湯設備7での排熱需要の変化に伴う、温水吸収式冷凍機6からの出口温度(A1で示す)および放熱用熱交換器14からの出口温度(B1で示す)[両温度それぞれを真温度と縦軸に表示する]の経時的変化を示すグラフである。なお、この真温度は、通常の装置に組み込まれる直径10mmの白金測温抵抗体に代えて計測専用の直径2mmの白金測温抵抗体を用いて測定した。
図5は、入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1および冷却水温度センサ15によって測定されるエンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2[両温度それぞれを制御用センサー温度と縦軸に表示する]の経時的変化を示すグラフであり、図6の真温度に比べてセンサ自体の応答特性の遅れによってややズレを生じるとともに滑らかな変化になり、かつ、低温になっているが、充分追随していることがわかる。
図6は、両センサ15,16の測定温度に基づく制御用出力の経時的変化を示すグラフである。
【0038】
排熱需要が安定している状態では、冷却水温度センサ15によって測定される、フィードフォワード側制御手段22からの15%の制御出力(A2で示す)に、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2に基づくフィードバック側制御手段23からの制御出力(B2で示す)を加算した制御出力(Cで示す)を出して三方弁12の開度を制御し、図5に示すように、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2は、設定温度Tb(例えば、80℃)に近い状態を維持される。
【0039】
排熱需要が安定している状態から、例えば、温水吸収式冷凍機6の運転が急に停止されるといったように排熱回収需要が急激に減少した場合(図4にP1で示す)、図5に示すように、入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1が上昇するが、設定温度Ta(例えば、80℃)を越えるに伴い、放熱信号をホールド手段21に出力してホールド状態になるとともにホールド手段21からフィードフォワード側制御手段22に放熱制御信号を出力し、図6に示すように、フィードフォワード側制御手段22から30%の制御出力を出してホールド状態に移行する。ホールド状態に移行すると、30%の制御出力にエンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2に基づくフィードバック側制御手段23からの制御出力を加算し、その加算された制御出力Cにより三方弁12を開閉する。これらの結果、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2は、所定温度(約80℃)に維持される。
【0040】
一方、例えば、温水吸収式冷凍機6の運転が再開されるなどにより排熱回収需要が急激に増大すると、図4および図5に示すように、先ず、温水吸収式冷凍機6の戻り配管8b内の低温の冷却水が流れ込み、真温度A1および入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1が急激に低下する。この影響が、放熱用熱交換器14の出口の真温度B1および冷却水温度センサ15の測定温度T2それぞれに、測定位置の距離を冷却水が流れる時間tだけ遅れて現れる。冷却水温度センサ15の測定温度T2が設定温度Tb以下になると、ホールド手段21にホールド解除信号を出力してホールドを解除し、図6に示すように、フィードフォワード側制御手段22からの制御出力A2が15%に戻され、これにフィードバック側制御手段23からの制御出力を加算した制御出力によって三方弁12を制御し、放熱用熱交換器14に流される冷却水の量を減少し、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2が必要以上に低下することを回避する。その後、排熱需要が安定するに伴い、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2が所定温度(約80℃)に維持されるようになる。
【0041】
図7は、本発明に係る排熱回収システムの第2実施例の要部を示すブロック図であり、第1実施例と異なるところは次の通りである。
すなわち、第1実施例における第1および第2の比較手段19,20それぞれからの比較出力がAND回路27に入力され、そのAND回路27からの出力がホールド解除信号としてホールド手段21に入力されるようになっている。
【0042】
そして、その動作において、図8のフローチャートに示すように、第1実施例におけるステップS4とステップS9との間に、入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1が設定温度Ta未満かどうかを判断するステップS4Aを介装し、冷却水温度センサ15によって測定される、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度T2が設定温度Tb以下になり、かつ、入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1が設定温度Ta未満になったときにステップS7に移行してホールド解除信号を出力するようになっている。ステップS4Aにおいて、入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1が設定温度Ta以上と判断したきには、ホールド解除信号を出力せずにステップS5に移行するようになっている。他の構成ならびに動作は第1実施例と同じであり、その説明は省略する。
【0043】
次に、この第2実施例による特徴的動作につき、図9のタイムチャートを用いて説明する。
すなわち、温水吸収式冷凍機6の運転が再開されるなどにより排熱回収需要が急激に増大し、図9の(a)に示すように、最初に温水吸収式冷凍機6の戻り配管8b内の低温の冷却水が流れ込んで入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1が急激に低下するが、次いで、温水吸収式冷凍機6で実際に排熱が回収された冷却水が流れ込む前に、温水吸収式冷凍機6での動作遅れなどに起因して排熱が回収されない高温の冷却水が流れるような場合、図9の(b)に示すように、時間遅れtを持って冷却水温度センサ15の測定温度T2も同様に変化する。
【0044】
このような事態を生じる場合、前述した第1実施例では、このときに冷却水温度センサ15の測定温度T2が設定温度Tb未満になるに伴ってホールド状態を解除していたのであるが、その後に、前述したように排熱が回収されない高温の冷却水が流れて、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度が高くなってオーバーシュートを生じる問題がある。そこで、この第2実施例では、図9の(c)に示すように、冷却水温度センサ15の測定温度T2が設定温度Tb以下になっただけではホールド状態を解除できず、温水吸収式冷凍機6で実際に排熱が回収され、入口温度センサ16で測定される冷却水の温度T1も設定温度Ta未満になってからホールド状態を解除し、前述の問題を回避できるようにしている。
【0045】
放熱用熱交換器14に流す冷却水流量を変更する放熱量変更手段としては、三方弁12に代えて、例えば、主配管5の冷却水供給側配管とバイパス配管13それぞれに個別に流量調整弁を設け、両流量調整弁を互いに連動させて放熱用熱交換器14に流す冷却水流量を変更するように構成するものでも良い。
【0046】
また、上記実施例では、ホールドする設定放熱量を得る上でのフィードフォワード側制御手段22からの制御出力を30%に設定しているが、この値は排熱回収システムに用いられる温水吸収式冷凍機6の容量や三方弁12などに応じて適宜設定すれば良く、通常25〜35%程度である。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に係る発明の排熱回収システムによれば、排熱回収部での排熱需要量が急激に減少したときに、それによって温度が急激に上昇した冷却水を入口温度センサが感知すると放熱信号を出力し、それに基づいてホールド手段から放熱制御信号を出力し、その放熱制御信号に応答して、フィードフォワード側制御手段から、全量よりも少ない所定量の冷却水を放熱用熱交換器に供給するように最大放熱量よりも小さい値に設定した設定放熱量になる制御出力を出力させる。
一方、フィードバック側制御手段からは、冷却水温度センサの測定温度に基づき、その測定温度が高くなれば、放熱用熱交換器に供給する量が多くなるように、逆に、測定温度が低くなれば、放熱用熱交換器に供給する量が少なくなるようにそれぞれ制御出力を出力させ、フィードフォワード側制御手段とフィードバック側制御手段の両者の加算所定した制御出力によって放熱量変更手段を作動する。そして、排熱回収部での排熱回収が再開されると、そのことを、冷却水温度センサによる冷却水の測定温度が設定温度よりも低くなることによって判断し、それに基づいてホールド手段の作用を解除し、冷却水温度センサによる測定温度に基づく、フィードバック側制御手段からの制御出力が有効に作用して放熱量変更手段を作動し、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度が設定温度を越えないように制御する。
すなわち、排熱回収部での排熱需要が安定していて、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度変化が小さいときには、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度に基づくフィードバック側制御手段からの制御出力の加算分が有効に作用して放熱用熱交換器に供給する冷却水の量を制御し、そして、例えば、温水吸収式冷凍機の運転が急に停止されるなど、排熱回収部での排熱需要量が急激に減少したときには、必要量を放熱するために必要な冷却水量の全量ではなく、予め設定したある程度の量(設定量)の冷却水を放熱用熱交換器に供給し、急激に温度が高くなった冷却水をエンジン冷却部に戻すことを回避するとともに、温度が上昇していない冷却水を必要以上に放熱用熱交換器に供給して必要以上に低温の冷却水をエンジン冷却部に戻すことを抑制し、かつ、設定量を越える範囲では、フィードバック側制御手段からの制御出力の加算分により、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度が設定温度を越えないように放熱用熱交換器に供給する冷却水の量を制御し、更に、排熱回収部での排熱回収が再開されると、フィードバック側制御手段からの制御出力の加算分の作用により、エンジン冷却部に戻される冷却水の温度が設定温度を越えないように放熱用熱交換器に供給する冷却水の量を制御するから、配管内を流れる冷却水の時間遅れを考慮する場合のように、配管の内周面へのスケール付着といった経年変化や排熱回収部での運転や停止に伴う流動抵抗の変化といったことに影響されずに済み、排熱回収部での排熱需要量の増大に起因するオーバーシュートの発生を良好に防止できるようになった。
【0048】
また、請求項2に係る発明の排熱回収システムによれば、それぞれ、排熱回収部での排熱回収の再開に際し、排熱回収部側に残存していた低温の冷却水を冷却水温度センサが感知しても、ホールド手段による作用が解除されず、放熱用熱交換器への供給状態を継続できるから、排熱回収部での動作遅れに起因した高温の冷却水がエンジン冷却部に流れ込むことを回避でき、制御の安定性を向上できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排熱回収システムの第1実施例を示すブロック図である。
【図2】マイクロコンピュータの構成を示すブロック図である。
【図3】動作説明に供するフローチャートである。
【図4】真温度の経時的変化を示すグラフである。
【図5】入口温度センサおよび冷却水温度センサによる測定温度の経時的変化を示すグラフである。
【図6】制御出力の経時的変化を示すグラフである。
【図7】本発明に係る排熱回収システムの第2実施例の要部を示すブロック図である。
【図8】動作説明に供する要部のフローチャートである。
【図9】動作説明に供する要部のタイムチャートである。
【符号の説明】
1…ガスエンジン
5…主配管
6…温水吸収式冷凍機
7…給湯設備
8a…送り配管
8b…戻り配管
12…三方弁
14…放熱用熱交換器
15…冷却水温度センサ
16…入口温度センサ
17…マイクロコンピュータ
21…ホールド手段
22…フィードフォワード側制御手段
23…フィードバック側制御手段
Claims (2)
- エンジン(1) のエンジン冷却部と排熱回収部(6),(7) とを配管(5),(8a),(8b) を介して接続するとともに、前記排熱回収部(6),(7) から前記エンジン冷却部への冷却水供給側配管(5) に、放熱量変更手段(12)を備えた放熱用熱交換器(14)を設け、かつ、前記冷却水供給側配管(5) の前記排熱回収部(6),(7) と前記放熱用熱交換器(14)との間に冷却水の温度を測定する入口温度センサ(16)を設け、その入口温度センサ(16)で測定される冷却水の温度に基づいて前記放熱量変更手段(12)を作動するように構成した排熱回収システムにおいて、
前記冷却水供給側配管(5) の前記放熱用熱交換器(14)よりも下流側に設けられて前記エンジン冷却部に戻される冷却水の温度を測定する冷却水温度センサ(15)と、
前記入口温度センサ(16)による測定温度が設定温度を越えたときに出力される放熱信号に基づいて、前記冷却水温度センサ(15)による冷却水の測定温度が設定温度よりも低くなるまで放熱制御信号を出力させるホールド手段(21)と、
前記放熱制御信号に応答して、前記放熱量変更手段(12)の弁開度を前記エンジン(1) が定格運転し、かつ、前記排熱回収部(6),(7) の排熱需要が零のときに前記放熱用熱交換器(14)に供給すべき冷却水量を流す弁開度よりも小さい予め設定した設定弁開度になるように制御するフィードフォワード側制御手段(22)と、
前記冷却水温度センサ(15)による冷却水の測定温度に基づいて、その測定温度が高くなるほど放熱量が増大するように前記放熱量変更手段(12)を制御するフィードバック側制御手段(23)とを備えたことを特徴とする排熱回収システム。 - 請求項1に記載のホールド手段(21)が、入口温度センサ(16)による冷却水の測定温度がその設定温度(A) よりも低くなり、かつ、冷却水温度センサ(15)による冷却水の測定温度がその設定温度(B) よりも低くなるまで放熱制御信号を出力させるものである排熱回収システム。
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