JP3688354B2 - ダンパ機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ドアクローザ等に用いるのに好適なダンパ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ドアクローザには、扉が高速で閉回動するのを阻止するためにダンパ機構が設けられている。そのようなダンパ機構としては、例えば特開平4ー27090号公報に記載のものがある。このダンパ機構は、高圧室と低圧室とを連通する弁孔に移動可能に配置された弁体と、この弁体を低圧室側から高圧室側へ向かって付勢する弾性部材とを備えており、弁孔の高圧室側の開口部には弁座が形成されている。一方、弁体には、弁孔から高圧室側へ突出した端部に弁部が形成されている。この弁部は、通常は弁座から離れているが、高圧室と低圧室との間の差圧が所定の大きさを越えると、その差圧によって弁座に着座させられるようになっている。
【0003】
上記構成のダンパ機構は、扉の高速閉回動を次のようにして阻止するようになっている。すなわち、扉が閉回動する際には、高圧室内の流体が弁孔の高圧室側の開口部と弁部との間の隙間を通って弁孔に入り込み、さらに弁孔から低圧室に流入する。ここで、流体が弁孔の開口部と弁部との間の隙間を通るときには、流通抵抗が発生し、その流通抵抗によって扉の閉回動速度が低速に抑えられる。しかも、流通抵抗に基づいて高圧室と低圧室との間には差圧が発生するが、この差圧は扉の閉回動速度が高速になるにしたがって大きくなる。そして、差圧が所定の大きさを越えると、差圧によって弁体が弾性部材の付勢力に抗して弁孔に接近移動させられる。すると、弁孔と弁部との間の隙間が小さくなり、高圧室から低圧室への流体の流入量がより一層制限される。これにより、扉の閉回動速度がより低速に抑えられる。その後、差圧がさらに大きくなって、弾性部材によって規定される所定の大きさを越えると、弁部が弁座に着座して弁孔を閉じる。これにより、扉が停止する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のダンパ機構においては、差圧が弾性部材によって規定される所定の大きさを大幅に越えると、扉に作用する力を除去した後、扉が再び閉回動し始めるまでに時間がかかるという問題があった。
すなわち、一旦弁部が弁座に着座すると、高圧室が密封状態になる。したがって、高圧室は高圧の状態を維持し、弁部が着座し続けはずである。しかし、実際には、扉に作用する力が除去されると、高圧室内の流体が高圧室と低圧室とを区画する部材間に存する僅かの隙間から流出して低圧室に流入する。そして、所定の圧力以下になると弾性部材によって弁部が弁座から離間し、弁孔が再び開かれる。したがって、扉が再度閉回動し始める。
ところが、高圧室の圧力が所定の圧力より大幅に高圧である場合には、弁部が弁座に着座してから高圧室の圧力が所定の圧力以下に低下するまでに比較的長い時間を要する。このため、扉が閉回動を再開するまでに時間がかかるという問題が生じていたのである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために、この発明は、高圧室と低圧室とを連通させる弁孔に摺動自在に設けられた弁体と、この弁体を低圧室側から高圧室側へ向って付勢する弾性部材とを備えたダンパ機構において、上記弁体の高圧室側の端部に、上記弁孔に嵌合、離脱可能で、上記弁孔に嵌合したときには上記弁孔を閉じて上記高圧室と上記低圧室との間を遮断し、上記弁孔から上記高圧室側へ離脱したときには上記弁孔を開いて上記高圧室と上記低圧室との間を連通させる弁部が形成され、この弁部は、上記高圧室が所定の圧力以下であるときには、上記弾性部材により上記弁孔から高圧室側へ離脱させられ、上記高圧室が上記所定の圧力以上であるときには、高圧室内の圧力により上記弾性部材の付勢力に抗して上記弁孔に嵌合させられることを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施の一形態として、この発明に係るダンパ機構が採用されたドアクローザを図1〜図18に基づいて説明する。
図2〜図4に示すように、ドアクローザ1は、門柱Aと門扉Bとの間に設けられており、門柱Aに固定される固定部2と、門扉Bに固定される回動部3とを有している。固定部2は、シリンダ部2aを有しており、このシリンダ部2aに回動部3の軸体44が回動自在に挿入されることにより、回動部3が固定部2に回動自在に支持され、ひいては門扉Bが門柱Aに回動自在に支持されている。なお、符号Cは、門柱Aと門扉Bとの間に設けられたヒンジであり、門扉Bを回動自在に支持している。
【0007】
上記ドアクローザ1は、後述するように、クラッチ機構4とこの発明に係るダンパ機構5とを備えており、これらの機構4,5により門扉Bが次のように回動するようになっている。すなわち、図5に示すように、門扉Bは、符号イで示す閉位置と符号ハで示す全開位置との間を回動可能であり、閉位置イとそこから所定の回動角度だけ離れた半開位置ロとの間の範囲(以下、この範囲を規制範囲Xという。)においては、クラッチ機構4の復帰用ばね45によって閉方向(矢印B方向)へ付勢されている。また、この規制範囲Xにおいては、門扉Bを開方向(矢印A方向)へ回動させる際には、門扉Bにダンパ機構5によるダンパ力が作用することはないが、閉方向へ回動させる際には、門扉Bの急速回動を阻止するダンパ力が作用する。一方、半開位置ロと全開位置ハとの間の範囲(以下、この範囲を自由範囲Yという。)においては、門扉Bに付勢力およびダンパ力が作用することがなく、門扉Bは自由に回転、停止することができるようになっている。
【0008】
次に、ドアクローザ1の構造、特に回動部3の構造を詳細に説明すると、図7に示すように、回動部3は、回動部本体31を有している。この回動部本体31は、図8に示すように、円筒状をなす支持筒部32と、この支持筒部32の外周面の一側部から径方向に突出する取付板部33とを有しており、取付板部33が門扉Bに固定されることにより、回動部3が門扉Bに固定されている。また、支持筒32の内周面には、その上端から下端まで延びるキー溝34が形成されている。
【0009】
図7に示すように、上記回動部本体31の支持筒部32の内部には、下部側にクラッチ機構4が設けられ、上部側にこの発明に係るダンパ機構5が設けられている。
【0010】
クラッチ機構4は、規制範囲Xにおいては門扉Bに閉方向へのばね力を作用させ、自由範囲Yにおいてはばね力が作用しないようにするためのものであり、本体側固定円筒41、中間円筒42、門扉側固定円筒43、軸体44および復帰ばね45を主な構成要素としている。
【0011】
本体側固定円筒41は、図9および図10に示すように、下端側の大径円筒部41aと、これと同芯である上端側の小径円筒部41bとから構成されている。大径円筒部41aは、そのキー部41cを支持筒部32のキー溝34に嵌め込むことにより、支持筒部32に回動不能に嵌合されている。大径筒部41aの周壁部には、一対の係止窓孔41d,41dが周方向に180°離れて配置形成されている。また、大径筒部41aの上底部には、周方向に延びる挿通孔41eが形成されている。
【0012】
上記中間円筒42は、図9および図11に示すように、円筒状をなすものであり、固定円筒41の大径円筒部41aの内周面に回動自在に嵌合されている(図7参照)。中間円筒42の上端部外周面には、一対の係止溝42aが周方向に180°離れて配置形成されている。一対の係止溝42aの一方には、復帰ばね45の下端部に形成された係止爪45aが本体側固定円筒41の挿通孔41eを通って嵌まり込んでいる。復帰ばね45の上端部は、筒体11を介して回動部本体31の支持筒部32に支持されている(図7参照)。そして、復帰ばね45により、中間円筒42が開方向へ付勢される一方、回動部本体31が閉方向へ付勢されている。なお、回動部本体31の支持筒部32には固定円筒41が回動不能に連結されているので、固定円筒41も復帰ばね45によって閉方向へ付勢されている。
【0013】
また、中間円筒42は、その内部に上端側の小径孔部42bと下端側の大径孔部42cとを有している。小径孔部42bの内周面には、一対のキー溝42dが周方向に180°離れて配置形成されている。一方、大径孔部42cを区画する下端側の周壁部には、これを貫通する一対の保持切欠き部42eが周方向に180°離れて形成されている。保持切欠き部42eは、軸線方向においては上記本体側固定円筒41の係止窓孔41dと同一位置に配置されている。
【0014】
保持切欠き部42eには、円柱状をなすクラッチ軸46がその軸線を上下方向に向けて挿入されている。このクラッチ軸46の外径Dは保持切欠き部42eの幅(周方向における幅)とほぼ同一になっている。したがって、クラッチ軸46は、中間円筒42の周方向へは移動不能であるが、径方向へは移動可能になっている。
【0015】
また、クラッチ軸46の外径をD、保持切欠き部42eが形成された中間円筒42の周壁部の厚さをTとすると、
D>T
の関係を有している。したがって、クラッチ軸46は、その外側または内側の一部が保持切欠き部42eから突出することになり、保持切欠き部42eと固定円筒41の係止窓孔41dとを対向させると、保持切欠き部42eから突出したクラッチ軸46の外側の一部が係止窓孔41dに入り込むことが可能である。クラッチ軸46の一部が係止窓孔41dに入り込んだ状態においては、中間円筒42と固定円筒41とがクラッチ軸46を介して回動不能に連結される。
【0016】
また、クラッチ軸46の外径Dは、D/2<Tの関係を有している。しかも、保持切欠き部42eからのクラッチ軸46の突出量をP(=D−T)とすると、突出量Pは大径円筒部41aの周壁部の厚さとほぼ同一になっている。したがって、クラッチ軸46が係止窓孔41dに入り込むのは、クラッチ軸46全体の半分より小さい部分だけである。よって、クラッチ軸46の一部が係止窓孔41dに入り込んだ状態において固定円筒41と中間円筒42とを相対回動させようとすると、係止窓孔41dの内周側の両側縁のうちの一方によってクラッチ軸46が内側へ押される。
【0017】
上記門扉側固定円筒43は、図7、図9および図12に示すように、互いに同芯である上側の小径部43aと下側の大径部43bとを有している。小径部43aは、中間円筒42の大径孔部42cに回動自在に嵌合されている。一方、大径部43bの下端面には略正方形状の突出部43cが形成されている。この突出部43cには、連結金具12の一端部が回動不能に嵌合されており、連結金具12の他端部には2つの係合片12a,12bが形成されている。そして、図4に示すように、係合片12a,12bの間に上記固定部2が挿入されることによって連結金具12が固定部2に回動不能に連結され、ひいては門扉側固定円筒43が固定部2に回動不能に連結されている。
【0018】
固定円筒43の小径部43aの外周面には、一対の係止溝43d,43dが周方向に180°離れて形成されている。この係止溝43dは、軸線方向においては上記中間円筒42の保持切欠き部41eと同一位置に配置されている。しかも、係止溝43dは、クラッチ軸46と同一の曲率半径を有し、かつ上記突出量Pとほぼ同一の深さを有している。したがって、係止溝43dを保持切欠き部41eと対向させると、クラッチ軸46の内側の一部が係止溝43dに入り込むことができる。そして、クラッチ軸46の一部が入り込んだ状態においては、固定円筒43と中間円筒42とがクラッチ軸46を介して回動不能に連結される。また、その状態で固定円筒43と中間円筒42とを相対回動させようとすると、係止溝43dの両側縁の一方によってクラッチ軸46が外側へ押される。
【0019】
次に、上記構成のクラッチ機構4の作用を説明する。なお、これによって上記係止窓孔41d、保持切欠き部42eおよび係止溝43dの位置関係が明らかになるであろう。
いま、門扉Bが閉位置イに位置しているものとする。このときには、図13(A)に示すように、クラッチ軸46の内側の一部が係止溝43dに入り込んでおり、中間円筒42と固定円筒43とが回動不能に連結されている。また、固定円筒41は、係止窓孔41dが中間部材42の保持切欠き部42eから閉方向(矢印B方向)へ離れるように位置しており、復帰ばね45によって閉方向へ付勢されている。したがって、門扉Bも閉方向へ付勢されている。
【0020】
門扉Bを復帰ばね45の付勢力に抗して開方向へ回動させると、それと共に固定円筒41が同方向へ回動する。そして、門扉Bを半開位置ロまで回動させると、図13(B)に示すように、係止窓孔41dが保持切欠き部42eと対向する。その後、さらに固定円筒41を同方向へ回動させると、図13(C)に示すように、中間円筒42が復帰ばね45によって開方向へ付勢されているため、クラッチ軸46が係止溝43dの側縁によって外側へ押され、クラッチ軸46の内側の一部が係止溝43dから抜け出るとともに、外側の一部が係止窓孔41dに入り込む。これにより、中間円筒42と門扉側固定円筒43との連結が解除される一方、固定円筒43と中間円筒42とが一体に連結される。この結果、固定円筒41と中間円筒42との間に作用する復帰ばね45の付勢力はクラッチ軸46によって受け止められ、門扉Bを閉じる力として作用しなくなる。したがって、門扉Bは自由に回動し、かつ任意の位置で停止することができる。そして、図13(D)に示すように、門扉Bが全開位置ハまで回動すると、それ以上開回動することができなくなる。この点については後述する。
【0021】
逆に、全閉位置ハ側から閉位置イ側へ向かって閉回動する場合には、門扉Bを半開位置ロまで回動させると、固定円筒41が同方向へ回動して保持切欠き部42eが係止溝43dと対向する。その後、固定円筒41を若干量だけさらに閉方向へ回動させると、係止窓孔41dの開回動方向に位置する側縁によって内側へ押される。これにより、クラッチ軸46が内側へ移動し、係止窓孔41dから抜け出る一方、内側の一部が係止溝43dに入り込む。この結果、固定円筒41と中間円筒4との連結が解除されるとともに、中間円筒42と固定円筒43とが回動不能に連結される。したがって、固定円筒41には、復帰ばね45による閉方向への付勢力が作用するようになり、復帰ばね45によって門扉Bが閉位置イまで閉回動させられる。
【0022】
ところで、自由範囲Yにおいては、門扉Bを自由に回動させることができるので、閉方向へ急速に回動させることができる。ところが、門扉Bを自由範囲Yから規制範囲Xへ急速に回動させると、半開位置ロにおいてクラッチ軸46が係止溝43dに入り込むことなく、係止窓孔41dに入り込んだまま係止溝43dを通過してしまうおそれがある。このような不具合を防止するとともに、門扉Bを全開位置ハにおいて確実に停止させるため、このドアクローザ1においては、次の構成が採用されている。
【0023】
すなわち、図7に示すように、本体側固定円筒41の小径部41bの内径、中間円筒42の小径孔部42bの内径および門扉側固定円筒43の内径は、互いに同一の大きさ設定されており、それらの内部には軸体44が挿通されている。この軸体44の外周面には、一対のキー溝44a,44aが周方向に180°離れて配置形成されており、各キー溝44aにはキー47の内側の略半分が嵌め込まれている。このキー47の外側の半分のうちの上側の半分は、上記中間円筒42のキー溝42dに嵌め込まれている。これによって、軸体44と中間円筒42とが一体に回動するように連結されている。
【0024】
上記門扉側固定円筒43の内周面の上部には、図12および図13に示すように、一対の回動規制溝43e,43eが形成されている。各回動規制溝43eは、半開位置イと全開位置ハとの間の角度とほぼ同一角度だけ周方向に延びており、上記キー47の下側の半分が周方向へ移動可能に嵌まり込んでいる。しかも、各回動規制溝43eは、門扉Bが全開位置ハ側から閉回動して半開位置ロに達すると、キー47が回動規制溝43eの閉方向側の端部43fに突き当たり、半開位置ロ側から開回動して全開位置ハに達すると他方の端部43gに突き当たるように配置されている。
【0025】
したがって、中間円筒42および軸体44は、全開位置ハ側から矢印B方向へ回動して保持切欠き部42eが固定円筒43の係止溝43dに対向すると、キー47が端部43fに突き当たるため、それ以上同方向へ回動することができなくなって停止する。よって、クラッチ軸46は係止溝43dを通過することなくそこに確実に入り込むことができる。また、門扉Bが開方向へ回動して全開位置ハに達すると、キー47が規制溝43eの端部43gに突き当たるため、中間円筒42および軸体44が同方向へそれ以上回動することができなくなって停止する。この結果、門扉側固定円筒43、本体部31が停止し、ひいては門扉Bが全開位置ハで確実に停止する。
【0026】
次に、この発明に係るダンパ機構5について説明すると、図7に示すように、ダンパ機構5は、圧力発生部6と圧力制御部7とから構成されており、圧力制御部7にこの発明の特徴部分がある。
【0027】
まず、圧力発生部6について説明すると、圧力発生部6はケーシング61と上記軸体44とを主な構成要素としている。
ケーシング61は、図7、図14および図15に示すように、その内部に収納孔61aを有することによって円筒状をなしており、上記本体31の支持筒部32の内周に嵌合されるとともに、キー部61bを支持筒部32のキー溝34に嵌め込むことによって支持筒部32に回動不能に支持されている。したがって、ケーシング61は、門扉Bと一体に回動する。このケーシング61の収納孔61aの中央部には、上記軸体44が挿通されている。この軸体44には、図7、図14および図16に示すように、ケーシング61と対向する箇所に大径部44bが形成されており、この大径部44bの外周面とケーシング61の内周面との間には、上下の端部がシール部材62,62によって封止された環状の密閉空間が形成されている。この密閉空間には流体が封入されている。流体としては、粘性流体を用いるのが望ましい。
【0028】
上記収納孔61aの内周面には、二つの隔壁部61cが周方向に180°離れて配置形成されている。各隔壁部61cの先端面(内周側の面)は、軸体44の外周面に相対回動自在に、かつ液密に接触し、これによって密閉空間を二つの空間S,Sに区画している。一方、軸体44の大径部44bの外周面には、二つの支持突条44cが周方向に180°離れて配置形成されている。各支持突条44cの先端面(外周側の面)には、断面略半円状をなす支持凹部44dが形成されている。各支持凹部44dには、開閉弁体63がそれぞれ回動自在に支持されている。
【0029】
開閉弁体63は、上記隔壁部61cと協働して上記空間Sを開回動方向(図14において矢印A方向)側の高圧室SHと、閉回動方向(矢印B方向)側の低圧室SLとに区画するためのものであり、図14、図15および図17に示すように、断面略円形状をなす軸部63aを有している。そして、この軸部63aが支持凹部44dに回動自在に嵌合されることにより、軸体44に回動自在に支持されている。軸部63aの外周面の矢印A方向側の一側部には、その全長にわたって延びる弁部63bが形成されている。また、開閉弁体63の外周側の面には、弁部63bの先端から若干矢印B方向側へ寄った箇所から軸部63aまで延びる連通溝63cが形成されている。
【0030】
上記弁部63bと連通溝63cとにより、門扉Bの回動方向に応じて上記高圧室SHと低圧室SLとが連通、遮断されるようになっている。
すなわち、図15(A)は門扉Bが閉じているときの状態を示すものであり、門扉Bが閉位置イから開回動し、それに応じてケーシング61が矢A方向へ回動すると(このとき、前述したように、軸体44は停止している。)、低圧室SL内の流体によって弁体63が時計方向に回動させられ、弁部63bが収納孔61aの内周面から離れる。この結果、高圧室SHと低圧室SLとが連通溝63cを介して連通する。したがって、高圧室SHおよび低圧室SL内に高圧が発生することはない。
【0031】
一方、図15(B)は門扉Bが半開位置ロに位置しているときの状態を示すものであり、その状態から門扉Bが閉回動し、それに応じてケーシング61が矢印B方向へ回動すると、高圧室SH内の流体によって弁体63が反時計方向へ回動させられ、弁部63bがケーシング61の内周面に接触する。この結果、高圧室SHと低圧室SLとが遮断され、高圧室SH内に高圧が発生する。
なお、高圧室SH内の高圧流体は、後述するように、圧力制御部7を介して低圧室SLに流入する。
【0032】
上記軸部63aの上下の両端部には、弁部63bと逆方向に突出する弾性突出片63dが形成されている。この弾性突出片63dは、ケーシング61の矢印A方向への回動により、弁体63が時計方向へ回動させられて連通溝63cが開いた状態においては、その先端部が収納孔61aの内周面に押圧接触して弾性変形し、弁体63を反時計方向へ回動するように付勢している。したがって、矢印A方向へ回転しているケーシング61を停止させると、弾性突出片63dは弁体63を反時計へ回動させ、弁部63bを収納孔61aの内周面に接近させる。よって、ケーシング61を矢印B方向へ回動させた場合には、弁部63が収納孔61aの内周面に即座に接触するようになり、高圧室SHに直ちに高圧を発生させることができる。
【0033】
なお、門扉Bが半開位置ロと全開位置ハとの間の自由領域Xに位置しているときには、ケーシング61と軸体44とが一体に回動する。したがって、高圧室SHに高圧が発生することはない。
【0034】
次に、この発明に係る圧力制御部7について説明すると、図1および図18に示すように、上記軸体44の上端面には、下方に延びる縦孔44eが形成されている。また、大径部44bには上横孔44fと下横孔44gとがそれぞれ形成されている。上横孔44fは、一端が低圧室SLに開口し、他端が縦孔44eに開口している。一方、下横孔44gは、一端が高圧室SHに開口し、他端が縦孔44eに開口している。
【0035】
上記縦孔44eには圧力調整弁8が設けられている。この圧力調整弁8は、縦孔44eに螺合された弁本体81を有している。この弁本体81の下端は、上記下横孔44gの上側の内周面とほぼ同一位置に位置しており、下端面中央部には、上方へ向かって延びる収納孔(弁孔)81aが形成されている。また、弁本体81には、その外周面から収納孔81aまで延びる窓孔81b,81bが形成されている。各窓孔81bは、弁本体81の上記上横孔44fと連通するように配置形成されている。
【0036】
上記収納孔81aには、弁体82が摺動自在に設けられている。この弁体82の下端部には弁部82aが形成されおり、この弁部82aは、収納孔81aに嵌合離脱可能であり、収納孔81aに嵌合することによって収納孔81aを閉じ、収納孔81aから脱出して収納孔81aを開く。また、弁部82aの上側に続く弁体82の外周面には、上下に延びる複数の連通溝82bが形成されている。
【0037】
上記弁体82は、ばね83によって下方へ付勢されており、高圧室SH内の圧力が所定の圧力に達するまでは弁部82aが収納孔81aから下方へ脱出し、縦孔44eの底面に押し当てられている。この状態においては、高圧室SHと低圧室SLとが、弁部82aの上端縁と弁本体81の下端縁との間の隙間C、連通溝82b、窓孔81bおよび上下の横孔44f,44gを介して連通している。勿論、弁部82aがばね83の付勢力に抗して上方へ移動し、収納孔81aに嵌合すると、高圧室SHと低圧室SLとが弁体82によって遮断される。ばね83の付勢力は、調節ねじ84のねじ込み量を調節することによって調節可能である。
【0038】
上記構成の圧力制御部7は、次のようにして高圧室SHの圧力を調節し、門扉Bの閉回動速度を制御する。すなわち、門扉Bが規制範囲Xにおいて復帰ばね45の付勢力により閉回動すると、高圧室SH内の流体が下横孔44g、隙間C、連通溝82b、窓孔81bおよび上横孔44fを介して低圧室SLに流入する。ここで、流体が隙間Cを通過する際に抵抗が発生し、この流通抵抗によって門扉Bの閉回動速度が低速に抑えられる。換言すれば、流通抵抗によって高圧室SHに高圧が発生し、その圧力によって門扉Bの回動速度が低速に抑えられる。この圧力は、門扉Bが低速で回動しているときには小さいが、高速で回動しようとすると門扉Bの回動速度に応じて大きくなる。そして、高圧室SHの圧力がさらに大きくなると、その圧力によって弁体82がばね83の付勢力に抗して上方へ移動させられる。この結果、隙間Cの大きさが小さくなり、隙間Cの流通抵抗が増大する。したがって、門扉Bの閉回動速度が低速に抑えられる。
なお、隙間Cの大きさは、弁本体81の位置を上下方向に変えることによって調節可能である。
【0039】
門扉Bが風または人手によって強力に押され、より高速で閉回動しようとした場合には、高圧室SH内の圧力によって弁体82がばね83の付勢力に抗して上方へ移動し、弁部82aが収納孔81aに嵌合する。そして、弁体82は、高圧室SHの圧力による押圧力とばね83の付勢力とが釣り合った位置において停止する。弁体82が停止すると、門扉Bも停止する。
【0040】
その後、門扉Bに対する閉方向への押圧力が作用しなくなると、流体のスプリングバックによって門扉Bが開方向へ若干回動され、高圧室SH内の圧力が若干低下する。すると、高圧室SHの圧力による弁体82に対する押圧力がばね83の付勢力より小さくなるため、弁体82が下方へ移動させられる。これに応じて、門扉Bがさらに開方向へ回動させられる。ここで、弁体82が下方へ移動すると、それに応じてばね83の付勢力が低下するため、ばね83の付勢力と高圧室SHによる押圧力とが釣り合ったところで弁体82が停止し、門扉Bも停止するはずであるが、門扉Bが一旦開方向へ回動すると、その慣性とばね83の付勢力とによって門扉Bはさらに回動し続け、弁体82が下方へ移動し続ける。そして、弁体82の弁部82aが収納孔44eから下方へ脱出する。すると、高圧室SH内の流体が再度低圧室SLに流出し始め、門扉Bが再び閉回動し始める。
【0041】
このように、この発明のダンパ機構5では、門扉Bに対する閉方向への押圧力が作用しなくなった後、ばね83の付勢力によって若干開方向へ回動した後、直ちに閉回動を再開する。したがって、閉回動が再開するまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0042】
なお、図7に示すように、上記のクラッチ機構4およびダンパ機構5は、上下の蓋体13,14によって支持円筒部32に脱出不能に取り付けられている。また、符号15は化粧蓋である。
【0043】
この発明のダンパ機構は、上記の実施例に限定されるものでなく適宜設計変更可能である。
例えば、この実施例は発明に係るダンパ機構をドアクローザに適用したものであるが、このダンパ機構は例えば便器の蓋を回動自在に支持する支持装置に適用することも可能である。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、例えば扉に閉方向への大きな力が作用し、それによって高圧室の圧力が所定の圧力を越えた場合には、扉を停止させることができ、その後力が解除されたときには、短時間のうちに高圧室と低圧室との間を連通させることができ、それによって扉を直ちに閉方向へ再度回動させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るダンパ機構の要部を示す図7のZ−Z拡大断面図であって、図1(A)は弁体の弁部が収納孔から脱出しているときの状態を示し、図1(B)は弁部が収納孔に嵌合しているときの状態を示している。
【図2】この発明に係るダンパ機構が用いられたドアクローザが取り付けられた門柱と門扉とを示す正面図である。
【図3】ドアクローザと門柱および門扉との取り付け状況を示す斜視図である。
【図4】同平面図である。
【図5】門扉の回動範囲を示す平面図である。
【図6】同ドアクローザの回動部を示す斜視図である。
【図7】同回動部の縦断面図である。
【図8】同回動部の回動部本体を示す図であって、図8(A)はその正面図、図8(B)はその平面図、図8(C)は図8(B)のC−C断面図である。
【図9】同ドアクローザのクラッチ機構を示す分解斜視図である。
【図10】同クラッチ機構の本体側固定円筒を示す図であって、図10(A)はその平面図、図10(B)はその正面図、図10(C)は図10(A)のC−C断面図である。
【図11】同クラッチ機構の中間円筒を示す図であって、図11(A)はその平面図、図11(B)はその正面図、図11(C)はその下面図、図11(D)は図11(A)のD−D断面図である。
【図12】同クラッチ機構の門扉側固定円筒を示す図であって、図12(A)はその平面図、図12(B)はその正面図、図12(C)はその下面図、図12(D)は図12(A)のD−D断面図である。
【図13】図7のX−X拡大断面図であって、図13(A)は門扉が閉位置に位置しているときの状態を示し、図13(B)は門扉が半開位置に位置しているときの状態を示し、図13(C)は門扉が半開位置から全開位置側へ若干回動したときの状態を示し、図13(D)は門扉が全開位置に位置しているときの状態を示している。
【図14】同ドアクローザのダンパ機構の圧力発生部を示す分解斜視図である。
【図15】同圧力発生部を示す図7のY−Y拡大断面図であって、図15(A)は門扉が閉位置に位置しているときの状態を示し、図15(B)は門扉が半開位置に位置しているときの状態を示している。
【図16】同ドアクローザの軸体を示す図であって、図16(A)はその一部省略正面図、図16(B)はその一部省略側面図、図16(C)は図16(B)のC−C断面図、図16(D)はその平面図、図16(E)、(F)はそれぞれ図16(A)のE−E、F−F断面図である。
【図17】同ドアクローザのダンパ機構の圧力発生部の開閉弁体を示す図であって、図17(A)はその平面図、図17(B)は図17(A)のB−B拡大断面図、図17(C)は図17(B)のC矢視図、図17(D)はケーシングの内周面と開閉弁体との関係を示す拡大断面図である。
【図18】同ダンパ機構の圧力制御部を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
C 隙間
SH 高圧室
SL 低圧室
1 ドアクローザ
5 ダンパ機構
7 圧力制御部
8 圧力調節弁
81 弁本体
81a 収納孔(弁孔)
82 弁体
82a 弁部
83 ばね(弾性部材)
Claims (1)
- 高圧室と低圧室とを連通させる弁孔に摺動自在に設けられた弁体と、この弁体を低圧室側から高圧室側へ向って付勢する弾性部材とを備えたダンパ機構において、
上記弁体の高圧室側の端部に、上記弁孔に嵌合、離脱可能で、上記弁孔に嵌合したときには上記弁孔を閉じて上記高圧室と上記低圧室との間を遮断し、上記弁孔から上記高圧室側へ離脱したときには上記弁孔を開いて上記高圧室と上記低圧室との間を連通させる弁部が形成され、この弁部は、上記高圧室が所定の圧力以下であるときには、上記弾性部材により上記弁孔から高圧室側へ離脱させられ、上記高圧室が上記所定の圧力以上であるときには、高圧室内の圧力により上記弾性部材の付勢力に抗して上記弁孔に嵌合させられることを特徴とするダンパ機構。
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