JP3688036B2 - 非光拡散性導光板を用いた面光源装置、及びレンズフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型の液晶表示装置や広告板等のバックライトとして使われるエッジ方式の面光源装置と、その構成部品であるレンズフィルムに関する。特に、出光分布が鋭くて光量ロスも少なく、部品点数も少ない面光源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示装置等の透過型表示体に用いられるバックライトは、その光源位置によって、エッジ方式と直下方式とがあるが、液晶表示装置では小スペース且つ薄型が可能な点でエッジ方式が主流である。従来のエッジ方式の面光源装置は、例えば図8の断面図に示す様な構造である。同図で1は導光板、2は線光源、3は反射フィルム、4は光拡散フィルム、5はレンズフィルム、8は光拡散反射部である。導光板1には、アクリル樹脂等の透明樹脂基材を切り出して表面を研磨するか、或いは射出成形で所定形状にしたものが用いられる。線光源2には冷陰極管が用いられ、反射フィルム3には金属蒸着した樹脂フィルムが用いられ、光拡散フィルム4には乳白色の樹脂フィルムが用いられ、レンズフィルム5には三角柱プリズムを多数設けた樹脂フィルムが用いられる。そして、光拡散反射部8としては、導光板裏面に白色インキで印刷形成した多数の微細なドットが用いられる。なお、ドットを点在させる密度は、光源から離れる程(図面右側)高くして、遠方側での出光量不足が起きない様にしてある。また、光拡散フィルム4で、導光板から出射する光を散乱光とし、光源やドットが直接光で見えるのを防止するとともに光を広げて表示装置の視野角を向上させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、表示装置の用途によっては、或る特定の狭い方向(例えば、法線方向)からのみ見る装置もあり、この様な用途に使用する面光源装置としては、上記の従来の構造の装置では出射する光が拡がりすぎて無駄になる光が多く、適切なるものとは言えなかった。
また、上記の様な従来の面光源装置は、導光板裏面の光拡散反射部がスクリーン印刷された多数の微細なドットから構成されているため、スクリーン印刷時に印刷版のスクリーンメッシュの目詰まりが生じて所望のドット形状、ドット面積のものが得らなくなり、歩留りが悪いという問題もあった。また、この様なドット印刷や、光拡散フィルムの組み込みが必要なので製造工程が複雑となり、高価なものとなることは避けられなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明の、非光拡散性導光板を用いた面光源装置は、導光板は裏面のドット印刷を省き、その出光面は平滑面のままの非光拡散性導光板を用い、さらに光拡散フィルムも省き、これらを省いたことによって起こる導光板出光面から斜め方向へ出光する広がりの少ない光の方向を、レンズフィルムに三角柱プリズムを特定の形状にし且つ下向きに配置したものを用いることで、面光源の出光面に対して望ましい方向である法線方向に光の向きを変えて、法線方向に鋭い輝度分布を持った面光源装置としたものである。また、上記面光源装置で用いるレンズフィルムが本発明のレンズフィルムであるが、導光板から出光した光を法線方向に変える為の特定の三角プリズム形状として、レンズフィルムの出光面の水平方向(導光板の出光面がレンズフィルムの出光面と水平な関係ならば、導光板の出光面の水平方向と同じになる)を基準とした導光板からの光の出光ピーク角度をx〔°〕とした場合に、三角柱プリズムの頂角を(90−x)÷2+x〔°〕とし、且つこの頂角をレンズフィルムの出光面に対する法線で分割した場合の光源側の角度(光源側頂角)をx〔°〕、反光源側の角度(反光源側頂角)を(90−x)÷2〔°〕とした。これによって、導光板から出光してレンズフィルムの三角プリズムに入光する光を、三角プリズムの一つの側面に垂直に入光させて、入光後の光を他の側面で全反射させ、レンズシートの出光面から垂直に法線方向に向かって出光させる様にした。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の、非光拡散性導光板を用いた面光源装置、そしてこれに最適な本発明のレンズフィルムの実施形態を説明する。
【0006】
本発明の面光源装置は、導光板として非光拡散性の導光板を用いる点に第1の特徴があり、レンズフィルムとして特定形状のレンズを持つものを特定の配置で組付ける点に第2の特徴がある。
先ず、本発明で用いる非光拡散性導光板とは、アクリル樹脂等の透光性物質からなる通常は内部が密の平板状の物体であり、しかもその出光面及び裏面、及び側端面、さらに物体内部或いは物体自身に光を散乱させる要素を備えないことで非光拡散性とした導光板である。従来より良く用いられる導光板は(元々は非光拡散性の透明性基材に対して)裏面にドット印刷を光拡散反射部として形成してあるので、光拡散性の導光板である。また、導光板の出光面を梨地等の粗面として出光面で光を散乱させるものもあるが、これも光拡散性の導光板である。
従来、導光板に光拡散性の機能を備えるのは、ドット印刷で言えば疑似的な二次光源を形成し、導光板の出光面から垂直な法線方向に光を出光させようとするからであり、出光面を粗面するのはドット印刷を見えなくする等の為であった。しかし、本発明ではこのような光拡散機能は持たない、非光拡散性導光板を用いることで、無駄な方向に散乱される光を減少し、所望の法線方向の輝度成分に最大限に寄与する光線を出光する導光板とすることができる。
このような光線を出光させ得る導光板基材の形状は、光源側から離れるにつれて厚みがなだらかに薄くなる楔形状である。反光源側の導光板厚みがより薄くなる程、入光した光が臨界角を越える機会が増え、出光量が増すが、これに限定する必要はない。この形状によって、導光板にドット印刷等を施さなくても、所望の光線を出光させることができし、また射出成形等により容易に導光板を得られる。
【0007】
次に、レンズフィルムについて説明する。図2は、レンズフィルム5の三角柱プリズム6の断面形状を示す要部断面図である。同図では図面左側を光源側で、右側が反光源側である。レンズフィルム5の出光面p1が、面光源装置とした時の出光面となる。三角プリズム6の頂角先端7は図面下側(図示はしない導光板の方向)に向ける。頂角7は、レンズフィルムの出光面p1の法線Vで2分割して考えることができ、光源側頂角bと反光源側頂角cとに分割できる。同図で光源側頂角bは8°、反光源側頂角cは41°で、都合頂角aは49°である。また、この光源側頂角bは、レンズフィルム5の出光面p1の水平方向を基準とした導光板からの光の出光ピーク角度x(レンズフィルムの出光面p1を基準にしたレンズフィルムに入光する光の入光ピーク角度でもある)に等しいが、レンズフィルムの出光面p1に導光板の出光面p2が平行となる配置関係の時において、図3の様に、導光板の出光面p2を基準とした導光板からの光の出光ピーク角度yに等しい。通常は、導光板出光面p2、及びレンズフィルムの出光面p1は、面光源装置の出光面にそれぞれ平行に配置するから、以降は説明を簡略化するためにこの平行関係が有るとして、特別の断らない限り出光ピーク角度yも出光ピーク角度xとして扱う。
【0008】
次に、図4を用いて、レンズフィルムの頂角の形状を、出光ピーク角度xとの関係で特定の形状とすると良いことを説明する。同図では、導光板の出光面p2から出光ピーク角度xで出光した光L1が、レンズフィルムの出光面p1から垂直にL2として出光する様子を示す。三角柱プリズムの頂角aは、法線v1で光源側頂角bと反光源側頂角cとに2分される。先ず、光源側頂角b=出光ピーク角度xとする。これは、三角柱プリズムの光源側の斜面HDに入光する際に、該斜面に垂直に入光させると反射光による光損失が少なくなるためである。A点から出た光L1は斜面HDで垂直に入光し、反光源側の斜面FDの点Bで全反射して出光面p1の点Eから垂直な光L2となって出光する。レンズフィルムの出光面p1から垂直な法線方向に光L2を出光させる為に必要な反光源側頂角cの値は、次の様にして得られる。先ず、三角プリズムの反光源側の斜面FDの点Bでの全反射の関係より、∠ABD=∠EBFとなる。次に、斜面FDと、斜面FDの点Bを通る法線v2との対角関係より、∠EBF=∠DBC である。ここで、法線v1の出光面p1及び出光面p2との交点をそれぞれG及びDとし、法線v2の出光面p1及び出光面p2との交点をそれぞれE及びCとすれば、線分GDと線分CEは平行であるから、反光源側頂角cである∠GDBは、∠DBC=∠GDB である。従って、∠ABD=∠DBC=∠GDB である。ここで三角形ABCは ∠ACB=90°の直角三角形であるから、∠ABC=90°−∠BAC=90°−x で、且つ、∠ABC=∠DBC+∠ABD でもあるので、結局、∠GDB=(90−x)÷2〔°〕となる。従って、三角柱プリズムの頂角a=光源側頂角b+反光源側頂角cであるから、(90−x)÷2+x〔°〕となる。
【0009】
なお、上記において、出光ピーク角度xが取り得る値は理論的には0〜90°までであるが、実用的には0 °<x≦30°の範囲である。
【0010】
なお、レンズフィルムが有する三角柱プリズムの特定の頂角を有する形状は、面光源装置の全面にわたって通常は全て同一で設計するが、全て同一にすることは必ずしも必要ない。また、本発明はこの頂角形状をレンズフィルム内において同一に限定するものでもない。ここで、本発明による頂角形状の定義を再確認すれば、レンズフィルムの出光面の水平方向を基準とした導光板からの光の出光ピーク角度をx〔°〕とした場合に、三角柱プリズムの頂角を(90−x)÷2+x〔°〕とし、且つこの頂角をレンズフィルムの出光面に対する法線で分割した場合の光源側の角度(光源側頂角)をx〔°〕、反光源側の角度(反光源側頂角)を(90−x)÷2〔°〕とするものであった。すなわち、出光ピーク角度x〔°〕と、前記頂角形状との関係のみを定義するものであって、出光ピーク角度が導光板の出光面の場所によって異なれば、それに合わせて頂角形状も変えれば(より)良いことを指示するものでもある。但し、導光板出光面の場所で出光ピーク角度xに多少の相違があっても、或る出光ピーク角度xで代表させて、この代表値に対する頂角形状として面光源装置を組み立てても良く、また本発明の趣旨はこの様な仕様を阻害するものでもない。
【0011】
【実施例】
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0012】
導光板
導光板は、出光面寸法が横220mm×縦168mmで、断面寸法として厚みが光源側の入光部で3mm、光源側から離れるにつれて直線的に厚みが減少し光源から遠方の反光源側で1mmとなる楔形状のものを、透明なアクリル樹脂(旭化成工業(株)製 デルペット80NH)を用い通常の射出成形で作製した。
【0013】
レンズフィルム
先ず、厚み125μmの易接着ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡(株)製 A−4300)に、ケミカルマット用メジウム(ザ・インクテック(株)製)とイソシアネート硬化剤(ザ・インクテック(株)製 XEL硬化剤)を重量比で100:10とした塗工液を塗工して2μmのアンダーコート層を形成して透明な基材フィルムとした。次いで、この基材フィルムを用い、本出願人が特開平5−169015号公報で開示した製造方法(三角柱プリズムと逆凹凸の凹部を持つロール凹版の凹部に樹脂液を充填し、その上から基材フィルムを接触させた状態で紫外線を照射して樹脂液を硬化させた後、剥がす。)により、基材フィルム上に紫外線硬化型樹脂(日本合成ゴム(株)製 Z−9002A)からなる三角柱プリズムを形成して、本発明のレンズフィルムを作製した。プリズム形状は図2に示す様な頂角a=49°、光源側頂角b=8°、反光源側頂角c=41°で、高さ約40μm、底辺約50μmの形状とした。
【0014】
面光源装置
上記で得た導光板の一側端面に線光源を配置し、裏面側には、反射体である反射フィルムとして白色のポリエチレンテレフタレートフィルムを配置し、出光面側には上記レンズフィルムを三角柱プリズムを導光板側に向けて光源側頂角、反光源側頂角が設置する光源と上述の所定の関係となる様に一枚配置して、図1に示す様な本発明の非光拡散性導光板を用いた面光源装置とした。
【0015】
比較例
上記で得た導光板の一側端面に線光源を配置し、裏面側には従来方法にて白色インキをスクリーン印刷して多数のドットを形成して光拡散反射部とし、さらにその裏面側に反射体である反射フィルムとして白色のポリエチレンテレフタレートフィルムを配置した。導光板の出光面側には、乳白色ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる拡散フィルムを配置し、さらにこの上に、レンズ形状が二等辺三角形のレンズフィルムをレンズ側を上側に向けて2枚配置して、比較例の面光源装置とした。
【0016】
性能評価
実施例及び比較例の面光源装置を次の項目について評価した。
【0017】
▲1▼輝度の面均一性:
図5に示す9点で法線方向の輝度について輝度測定装置((株)トプコン製BM−8)で測定した。測定箇所5を中央とし、他の8箇所は周囲から15mm内側の線分上である。結果は表1に示す。表中のムラは、(最小輝度値/最大輝度値)×100〔%〕で、輝度の面均一性を示す。
【0018】
▲2▼輝度角度分布:
▲1▼図xで示す中央の5番の測定箇所で、図6に示す如く輝度の法線方向に対する角度分布を、導光板の光源側の辺に垂直な方向で測定した。結果は、図7に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】
本発明のレンズフィルムによれば、その三角柱プリズムを導光板側に向けて配置して使用することで、レンズフィルムの出光面に平行な面に対してx〔°〕の角度でレンズフィルムに入光した光を、法線方向に向けて出光することができる。
そして、このレンズフィルムを光拡散機能を持たない導光板とともに用い、且つ光拡散フィルムを用いずに組み立てた本発明の面光源装置は、出光面の法線方向に対して鋭い輝度分布を持った、光の利用効率に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非光拡散性導光板を用いた面光源装置の一実施例を示す断面図。
【図2】図1の面光源装置に用い得る、本発明のレンズフィルムの一実施例の要部断面図。
【図3】導光板の出光面から光の出光ピーク角度を説明する図。
【図4】レンズフィルムの三角柱プリズムの特定形状を説明する説明図。
【図5】導光板の輝度測定箇所を示す平面図。
【図6】導光板の輝度角度分布の測定方向を示す説明図。
【図7】本発明と従来の面光源装置と輝度角度分布の比較図。
【図8】従来のエッジ方式の面光源装置の構成例を示す断面図。
【符号の説明】
1 導光板
2 光源
3 反射体、反射フィルム
4 光拡散フィルム
5 レンズフィルム
6 三角柱プリズム
7 頂角先端
8 光拡散反射部
a 頂角
b 光源側頂角(頂角を法線で分割した時の光源側の成す角度)
c 反光源側頂角(頂角を法線で分割した時の反光源側の成す角度)
p1 レンズフィルムの出光面、面光源装置の出光面
p2 導光板の出光面
v1 法線
v2 法線
x 導光板からの出光ピークのレンズフィルム出光面に対する角度(導光板出光面がレンズフィルム出光面に平行な時は、導光板出光面に対する角度)
Claims (3)
- 少なくとも、光拡散機能を持たない非光拡散性導光板と、該導光板の側端面に隣接して配置された光源と、裏面側に配置された光反射体と、出光面側に配置されたレンズフィルムと、からなる面光源装置であって、
レンズフィルムは、断面が三角形の三角柱プリズムが多数二次元配列したレンズを有し、また、三角柱プリズムの頂角先端を導光板側にして配置され、且つ三角柱プリズムの形状を、レンズフィルムの出光面の水平方向を基準とした導光板からの光の出光ピーク角度をx〔°〕とした場合に、三角柱プリズムの頂角を(90−x)÷2+x〔°〕とし、且つこの頂角をレンズフィルムの出光面に対する法線で分割した場合の光源側の角度をx〔°〕、反光源側の角度を(90−x)÷2〔°〕とした、非光拡散性導光板を用いた面光源装置。 - 導光板が、光源側から離れるにつれて厚みがなだらかに薄くなる楔に類似した形状である請求項1記載の非光拡散性導光板を用いた面光源装置。
- 断面が三角形の三角柱プリズムが多数二次元配列したレンズを有し、三角柱プリズムの頂角先端を導光板側に向けて配置し、該プリズムの底辺側のレンズフィルム面をレンズフィルムの出光面として用いる非光拡散性導光板を用いた面光源装置用のレンズフィルムにおいて、
三角柱プリズムの形状を、該プリズムの頂角を(90−x)÷2+x〔°〕とし、且つこの頂角をレンズフィルムの出光面に対する法線で分割した場合に光源側とする側の角度をx〔°〕、反光源側とする側の角度を(90−x)÷2〔°〕とした、レンズフィルム。但しx〔°〕は、レンズフィルムの出光面の水平方向を基準とした導光板からの光の出光ピーク角度〔°〕である。
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