JP3687698B2 - 金属管コイルの熱処理方法及び装置 - Google Patents

金属管コイルの熱処理方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅若しくは銅合金又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金等からなる金属管コイルの熱処理方法及び装置に関し、特に金属管コイルの金属管に付着した残油を除去することができる金属管コイルの熱処理方法及び装置に関する。なお、本願明細書においては、金属及び合金を総称して金属という。また、純銅及び銅合金を総称して銅というと共に、純アルミニウム及びアルミニウムを総称してアルミニウムという。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エアコン及び冷蔵庫の熱交換器並びに建築用配管等に使用される銅製の金属管コイルは、鋳塊を押出加工した後、粗抽伸及び仕上抽伸し、更に巻仕上げしてLWC(レベルワウンドコイル)とし、このLWCに光輝焼鈍炉にて熱処理を施して製造されている。LWC内には、抽伸等で使用された加工油が残存しており(このLWC内の加工油を内面残油という)、内面残油をそのまま放置しておくと、熱交換器の製造等後工程に悪影響を及ぼすため、この内面残油を除去する必要がある。
【0003】
図12は光輝焼鈍炉を示す模式図である。図12に示すように、光輝焼鈍炉は、入側ベスチブル25a、加熱帯26、冷却帯27及び出側ベスチブル25bにより構成される。入側ベスチブル25aは大気が加熱帯26内に入ることを防止する部屋であり、出側ベスチブル25bは大気が冷却帯27内に入ることを防止する部屋である。また、入側ベスチブル25aの入口には入側テーブル28aが設置されており、一方、出側ベスチブル25bの出口には出側テーブル28bが設置されている。LWC61は、先ず入側テーブル28aに載置される。次に、LWC61は入側ベスチブル25aを通過後、加熱帯26において焼鈍され、更に冷却帯27において冷却された後、出側ベスチブル25bを通過して、光輝焼鈍炉外へ送出される。送出されたLWC61は出側テーブル28bに載置される。LWC61には入側テーブル28a、加熱帯26、冷却帯27及び/又は出側テーブル28bにおいて、パージガスが供給され、LWC61の金属管内の内面残油がLWC61外へ除去される。
【0004】
先ず、第1従来技術について説明する(特開平7−197263号公報)。図13は、第1従来技術における金属管コイル熱処理装置を示す模式図である。図13に示すように、冷却帯27は、断熱材65に覆われており、下部にはローラー74が設置されている。ローラー74に、トレー75を介してLWC61が載置されており、LWC61がローラー74上を移動できるようになっている。トレー75の端部には、ガス受口部材91が設けられており、LWC61の一端61aがガス受口部材91に接続されている。一方、LWC61の他端61bは解放されたままになっている。断熱材65の内側面には、ガス送口部材93が設けられており、ガス送口部材93の上部は伸縮部材53及び導管34を介して、パージガス供給器55に接続されている。また、ガス送口部材93の水平方向にシリンダーロッド92及びシリンダー43が配置されており、シリンダー43は固定部材43aにより断熱材65外面に固定されている。ガス送口部材93は、シリンダーロッド92を介して、シリンダー43に接続されている。このシリンダー43により、シリンダーロッド92を介してガス送口部材93を進出退避させ、ガス受光部材91に密着離脱させることができる。
【0005】
このように構成された冷却帯27において、LWC61は加熱帯26で加熱された後、ローラ74上を移動し、冷却帯27内に送り込まれる。LWC61の進行方向に対して、ガス受口部材91の位置がガス送口部材93の位置と略同じになった場合に、シリンダー43を稼働して、ガス送口部材93をシリンダーロッド92を介してガス受口部材91に押圧し、パージガス供給器55とLWC61とを導管34、伸縮部材53、ガス送口部材93及びガス受口部材91を介して連通させる。次いで、パージガス供給器55からパージガスをLWC61に供給する。LWC61は予め加熱され高温となっているため、内面残油は気化している。このため、パージガスをLWC61内に圧送すると、内面残油はパージガスと共に、LWC61の他端61bより、冷却帯27内に排出される。LWC61内のパージが完全に終了した後、ガス受口部材91からガス送口部材93を離隔し、LWC61は、ローラ74上を移動して、出側ベスチブル25bを通過後、出側テーブル28bに到達し、このテーブル上に載置される。
【0006】
次に、第2従来技術について説明する(特開平7−150376号公報)。図14は従来技術における金属管コイル熱処理装置を示す模式図である。図14において、図13と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。図14に示すように、トレー75の端部のうち、ガス受口91の反対側の端部にはガス受口部材31が設けられており、LWC61の他端61bがガス受口部材31に接続されている。ガス受口部材近傍の断熱材65の内側面には、ガス送口部材31が配置されており、ガス送口部材33の上部は伸縮部材53を介して導管35に接続されている。これにより、他端61bからパージガスが排出された場合に、このガスがガス受口部材31、ガス送口部材33、伸縮部材54及び導管35を介して外部へ排出されるようになっている。ガス送口部材93の水平方向にシリンダーロッド42及びシリンダー44が配置されており、シリンダー44は固定部材44aにより断熱材65外面に固定されている。ガス送口部材93は、シリンダーロッド42を介して、シリンダー44に接続されている。このシリンダー44により、シリンダーロッド42を介してガス送口部材33を水平方向に移動させることができ、これにより、ガス送口部材33がガス受口部材31に密着するようになっている。
【0007】
このように構成された冷却帯27において、LWC61は加熱帯26で加熱された後、ローラ74上を移動し、冷却帯27内に送り込まれる。LWC61の進行方向に対して、ガス受口部材91及び31の位置がガス送口部材93及び33の位置と略同じになった場合に、シリンダー43及び44を稼働して、ガス送口部材93をシリンダーロッド92を介してガス受口部材91に押圧すると共に、ガス送口部材33をシリンダーロッド42を介してガス受口部材33に押圧する。これにより、パージガス供給器55が導管34、伸縮部材53、ガス送口部材93及びガス受口部材91を介して、LWC61の一端61aと連通すると共に、LWC61の他端61bは、ガス受口部材31、ガス送口部材33及び伸縮部材54を介して導管35と連通する。次いで、パージガス供給器55からパージガスをLWC61に供給する。LWC61は、予め加熱され高温となっているため、内面残油は気化している。このため、パージガスをパージガス供給器55からLWC61内に圧送すると、内面残油はパージガスと共に、LWC61の他端61bより押し出され、導管35を通過後、冷却帯27の外に排出される。LWC61内のパージが完全に終了した後、ガス受口部材91からガス送口部材93を離隔すると共に、ガス受口部材33からガス送口部材33を離隔する。LWC61は、ローラ74上を移動して、出側ベスチブル25bを通過後、出側テーブル28bに到達し、このテーブル28b上に載置される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来技術には、以下に示す問題点がある。即ち、第1従来方法においては、図13中の矢印にて示すように、他端61bから排気ガスが排出され、冷却帯27内等に充満する。また、LWC61の金属管の外面には残油(この残油を外面残油という)が付着しているため、外面残油が同様に冷却帯27内を充満する。この外面残油及び排気ガス中の内面残油は再凝縮し、冷却帯27内壁を汚染すると共に、LWC61の金属管外面に再度付着するという問題点がある。このため、第1従来方法を加熱帯26に適用した場合は、加熱帯26の熱効率が低下する。この残油は、不純物を含有しているため、不純物と金属管外面との間に接触電位差が生じ、これにより金属管外面に変色が発生したり、腐食が進行するという難点がある。
【0009】
第2従来方法においては、LWC61の他端61bが、ガス受口部材31、ガス送口部材33及び伸縮部材54を介して導管35に接続されるため、他端61bから排気ガスが排出され、このガスが冷却帯27に充満することはない。このため、内面残油により冷却帯27内壁が汚染されたり、内面残油がLWC61の金属管外面に付着することはない。しかし、LWC61の金属管外面には、外面残油が残存しているため、この残油が気化して冷却帯27に充満し、冷却帯27内壁をLWC61の外面に付着するという問題点がある。
【0010】
また、LWC61の他端61bをガス受口部材31に接続する場合に、通常、この作業は手作業により実施される。図13に示すように、LWC61の他端61bは、LWC61の中空軸部の底部近傍に存在し、この他端61bを、LWC61の上方に引っ張り出した後、図14に示すように他端61bはガス受口部材31に接続される。LWC61の外径Dは、通常1300mm程度であり、内径(中空軸部の直径)dは560mm程度である。このように外径Dが大きいため、LWC61の中空軸部の底部から他端61bを手作業で取り出す場合は、無理な姿勢を強いられることになる。このため、作業能率が低下すると共に、姿勢が不安定なため、過酷な労働になるという問題点がある。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、残油が金属管コイルの金属管に再付着することを防止しつつ、金属管コイルの金属管内の残油を除去することができる金属管コイルの熱処理方法及び装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願第1発明に係る金属管コイルの熱処理方法は、金属管の一端が外表面側にあると共に前記金属管の他端が中空軸部側にある金属管コイルを所定の位置に配置し、前記金属管の一端にパージガス供給器を接続し、次いでこの金属管の一端から前記金属管内にパージガスを供給して前記金属管内の残油をパージし、前記金属管コイルの中空軸部の一方の端部を吸引装置で覆い、前記金属管の他端から排出したパージガスを前記吸引装置により吸引することを特徴とする。
【0014】
また、前記吸引装置により前記金属管コイルの周りに存在する気体をこの金属管コイルの中空軸部の他方の端部か前記中空軸部内に流入させて吸引することができる。
【0015】
本願第2発明に係る金属管コイルの熱処理方法は、金属管の一端が外表面側にあると共に前記金属管の他端が中空軸部側にある金属管コイルを所定の位置に配置し、この金属管コイルの中空軸部の一方の端部を吸引装置で覆うと共に他方の端部を密着部材で覆った後、パージガス供給器によりパージガスを前記金属管コイルの周りに供給しつつ、前記中空軸部を前記吸引装置により吸引することを特徴とする。
【0016】
前記パージガスは加圧されたものであることが好ましい。
【0017】
また、前記金属管の一端に他のパージガス供給器を接続して前記金属管内にパージガスを供給してもよい。
【0018】
本願第3発明に係る金属管コイルの熱処理装置は、金属管の一端が外表面側にあると共に前記金属管の他端が中空軸部側にある金属管コイルの残油を除去する金属管コイルの熱処理装置であって、前記金属管の一端に密着離隔し前記金属管の一端から前記金属管内にパージガスを供給するパージガス供給器と、前記金属管コイルの周囲に配置され前記金属管の他端から前記金属管コイルの中空軸部に排出されるパージガスを吸引する吸引装置とを有することを特徴とする。
【0019】
前記金属管コイルはその軸が地面に垂直となるように配置されると共に前記吸引装置は金属管コイルの上方に配置され、前記吸引装置が下降上昇することによって、前記中空軸部の上部にこの吸引装置が密着離隔してもよい。
【0020】
前記中空軸部の下部に閉塞部材が配置されていてもよい。
【0021】
前記金属管コイルはその軸が地面に垂直となるように配置されると共に前記吸引装置が金属管コイルの下方に配置され、前記吸引装置が上昇下降することによって、前記中空軸部の下部にこの吸引装置が密着離隔してもよい。
【0022】
前記中空軸部の上部に閉塞部材が配置されていてもよい。
【0023】
本願第4発明に係る金属管コイルの熱処理装置は、金属管の一端が外表面側にあると共に前記金属管の他端が中空軸部側にある金属管コイルの残油を除去する金属管コイルの熱処理装置であって、この金属管コイルの周りにパージガスを供給するパージガス供給器と、前記金属管コイルの軸方向に配置され前記中空軸部の一方の端部に密着離隔する吸引装置と、前記金属管コイルの軸方向に配置され前記中空軸部の他方の端部に密着離隔する密着部材とを有することを特徴とする。
【0024】
前記金属管の一端に接続されパージガスを前記金属管内に供給する他のパージガス供給器を有してもよい。
【0025】
前記金属管コイルはその軸が地面に垂直となるように配置され、前記吸引装置が前記金属管コイルの下方に配置され、前記密着部材が前記金属管コイルの上方に配置されていてもよい。
【0026】
前記吸引装置が前記金属管コイルの下方に配置されている場合は、前記金属管コイルを載置するトレーと、このトレーと前記金属管コイルとに密着し前記金属管コイルに比して軟質な軟質板とを有し、この軟質板の中央部に前記金属管コイルの中空軸部と前記吸引装置とを連通させる貫通孔が形成されていてもよい。
【0027】
なお、中空軸部とは金属管コイルの軸付近の中空部分をいうと共に、外表面とは前述の中空軸部以外を除いた金属管コイルの表面部分をいう。また、外部空間とは金属管コイルの金属管の外部をいう。従って、前述の中空軸部は、金属管の外部であるため、外部空間の一部である。
【0028】
請求項1に係る金属管コイルの熱処理方法においては、金属管の一端からこの金属管内にパージガスを供給する。そうすると、金属管内では、内面残油が気化しているため、この残油がパージガスに押し出され、パージガスと共に金属管の他端から外部空間に排出される。排出されたパージガス(以下排気ガスという)を吸引装置により吸引する。排気ガスは、内面残油を含有しているものの、吸引装置により吸引されてしまうため、金属管コイルの周囲に排気ガスが拡散することがなく、排気ガス中の内面残油が金属管コイルの金属管外面に付着することがない。また、排気ガスを吸引するため、金属管コイルの熱処理を光輝焼鈍炉の加熱帯又は冷却帯等で実施した場合は、排気ガス中の内面残油が加熱帯又は冷却帯の炉壁等に付着することを防止することができる。
【0029】
本発明においては吸引装置を金属管コイルの近傍に設置して排気ガスを吸引する。このため、人手等により吸引装置を金属管の他端に接続する必要がないため、生産性が向上すると共に、省人化が可能となる。
【0030】
金属管の一端が金属管コイルの外表面側にあると共に、この金属管の他端が金属管コイルの中空軸部側にある金属管コイルを所定の位置に配置し、この金属管コイルの中空軸部の一方の端部を吸引装置で覆って吸引した場合は、吸引効率が更に一層高くなる。
【0031】
上述の吸引装置は中空軸部の端部に設置されているため、排気ガス以外の気体、例えば金属管コイルの周囲に存在する雰囲気ガス等を中空軸部の他の端部側から吸引することができる。例えば、光輝焼鈍炉の加熱帯等では、金属管コイルの外面残油が気化して、加熱帯内を浮遊しており、そのまま放置すると加熱帯内を汚染する原因となると共に、この外面残油が金属管コイルの金属管外面に凝縮して再付着すると、金属管の変色等の原因となる。そこで、金属管コイルの周りに存在する気体を中空軸部の他方の端部側から吸引することにより、加熱帯内等の炉内が汚染することを防止することができる。また、金属管コイルに外面残油が再付着し、外面に変色及び腐食が発生することを防止することができる。
【0032】
請求項に係る金属管コイルの熱処理方法においては、金属管の一端が金属管コイルの外表面側にあると共に、他端が金属管コイルの中空軸部側にある金属管コイルを所定の位置に配置する。この金属管コイルの中空軸部の一方の端部を吸引装置で覆うと共にこの中空軸部の他方の端部を密着部材で覆う。中空軸部の両端部が覆われているため、中空軸部は密閉される。次に、パージガスを前記金属管コイルの周りに供給しつつ、中空軸部を吸引装置で吸引する。そうすると、中空軸部は真空状態に近くなるため、金属管の他端と一端との間で圧力差が生じる。このため、金属管の一端からパージガスが吸い込まれ、他端から排出される。これにより、金属管内の内面残油が除去される。また、中空軸部が略真空状態であるため、金属管コイルの金属管の隙間からパージガスが入り込み、中空軸部に達する。金属管の隙間には空気が存在するものの、パージガスによりこの空気がパージされるため、金属管が空気によって酸化されて変色することを防止することができる。更に、金属管コイルの外部には気化した外面残油が存在するが、この外面残油が金属管の隙間から中空軸部に達するため、この外面残油を除去することができる。これにより、外面残油が凝縮して金属管外面に再付着することを防止できると共に、本熱処理方法を加熱帯及び/又は冷却帯等に適用した場合は、炉壁が外面残油により汚染されることを防止することができる。
【0033】
前記パージガスは高圧力で供給されることが好ましい。例えば、6乃至7kg/cm2の圧力で供給することが好ましい。これにより、本熱処理方法を加熱帯及び/又は冷却帯等に適用した場合は、より一層パージガスが金属管の一端から金属管内に入りやすくなると共に、パージガスが金属管の隙間を抜けやすくなる。また、金属管コイルは種類によっては、金属管の全長が数kmに達するものもあり、このような金属管の一端からパージガスを供給した場合は、金属管内で圧力損失が生じ、パージガスを他端から排出するのは困難である。この場合には、金属管の一端に他のパージガス供給器を接続して、パージガスを金属管内に供給してもよい。これにより、より一層金属管内の内面残油を除去することができる。
【0034】
請求項に係る金属管コイルの熱処理装置においては、金属管の一端が金属管コイルの外表面側にあると共に、他端が金属管コイルの中空軸部側にある金属管コイルを所定の位置に配置する。次に、金属管の一端にパージガス供給器を密着して接続すると共に、中空軸部の端部に吸引装置を配置する。パージガス供給器からパージガスを金属管の一端に供給し、他端から中空軸部に排出させ、吸引装置により中空軸部を吸引する。そうすると、金属管内では、内面残油が気化しているため、この残油がパージガスに押し出され、パージガスと共に金属管の他端から排出される。排気ガスは、内面残油を含有しているが、この排気ガスは吸引装置により吸引されてしまうため、金属管コイルの周囲に排気ガスが拡散することがない。このため、排気ガス中の内面残油が金属管コイルの金属管外面に付着することがない。また、排気ガスを吸引するため、金属管コイルの熱処理を光輝焼鈍炉の加熱帯及び/又は冷却帯等で実施した場合は、排気ガス中の内面残油が炉壁等に付着して汚染することを防止することができる。更に、金属管コイルの周りに存在する気体が吸引装置により吸引されるため、金属管コイルに外面残油が再付着し、外面に変色及び腐食が発生することを防止することができる。
【0035】
金属管コイルの配置は、特に制限されないが、金属管コイルの軸が地面に垂直となるように配置することが一般的である。この場合は、前述の吸引装置を金属管コイルの上方に配置しておき、熱処理時に吸引装置を下降させ、金属管コイルの中空軸部の上部に密着させて、前述のように吸引してもよい。そうすると、中空軸部の上部と吸引装置とが密着しているため、吸引効率が向上する。吸引終了後、吸引装置を上昇させて金属管コイルの中空軸部から離隔し、金属管コイルを移動させる。なお、光輝焼鈍炉の入側テーブル等本装置を炉外に設置する場合は、中空軸部の下部を閉塞部材で閉塞してもよい。これにより、金属管コイル外部の大気等が中空軸部に入り込むことを防止できる。
【0036】
また、金属管コイルがその軸が地面に垂直となるように配置されている場合は、前述の吸引装置を金属管コイルの下方に配置しておき、熱処理時に吸引装置を上昇させ、金属管コイルの中空軸部の下部に密着させて、前述のように吸引してもよい。これにより、吸引効率を上昇させることができる。なお、光輝焼鈍炉の入側テーブル等本装置を炉外に設置する場合は、中空軸部の上部を閉塞部材で閉塞してもよい。これにより、金属管コイル外部の大気等が中空軸部に入り込むことを防止できる。
【0037】
請求項11に係る金属管コイルの熱処理装置においては、金属管の一端が金属管コイルの外表面側にあると共に、他端が金属管コイルの中空軸部側にある金属管コイルを所定の位置に配置する。次に、吸引装置を金属管コイルの中空軸部の一方の端部に密着させると共に、密着部材を金属管コイルの中空軸部の他方の端部に密着させる。次に、パージガスを前記金属管コイルの周りに供給しつつ、中空軸部を吸引装置で吸引する。そうすると、請求項に係る金属管コイルの熱処理方法と同様に、中空軸部が略真空状態となり、金属管の他端と一端との間で圧力差が生じる。このため、一端からパージガスが入り込み、金属管コイルの金属管内の内面残油が除去される。また、金属管コイルの金属管の隙間からパージガスが入り込み、金属管の隙間の空気が除去される。更に、金属管コイルの外部には気化した外面残油が存在するが、この外面残油も金属管の隙間から中空軸部に達するため、この外面残油が除去される。これにより、外面残油が凝縮して金属管外面に再付着することを防止することができると共に、本熱処理装置を加熱帯及び/又は冷却帯等に設置した場合は、炉壁が外面残油により汚染されることを防止することができる。
【0038】
金属管コイルは、通常、その軸が垂直となるように配置される。この場合には、上述の吸引装置を金属管コイルの下方に配置すると共に、密着部材を金属管コイルの上方に配置することができる。また、反対に吸引装置を金属管コイルの上方に配置すると共に、密着部材を金属管コイルの下方に配置してもよい。
【0039】
また、上述のように金属管コイルの金属管の全長が長く、パージガスの圧力損失が大きい場合は、金属管の一端に他のパージガス供給器を接続して、パージガスを金属管コイルの金属管内に供給してもよい。これにより、より一層金属管内の内面残油を除去することができる。
【0040】
なお、金属管コイルは、通常、トレーに載置されて移動するため、金属管コイルとトレーとの間に隙間ができやすい。このような隙間が存在すると、この隙間から中空軸部に気体が入り込み、中空軸部が真空状態ではなくなる。このため、金属管コイルの一端からパージガスを吸い込むことが困難となると共に、金属管の隙間にパージガスが入り込むことが困難となる。このような場合は、トレーと金属管コイルとの間に軟質板を配置し、この軟質板を介してトレーと金属管コイルとを密着させる。この軟質板の中央部には、金属管コイルの中空軸部と吸引装置とを連通させるために、貫通孔を設けておく。また、軟質板が金属管コイルを疵つけないように、軟質板は金属管コイルより軟質であるものとする。
【0041】
本発明における金属管コイルの材質としては、銅又は銅合金並びにアルミニウム又はアルミニウム合金等を挙げることができる。
【0042】
また、本発明の金属管コイルの熱処理方法は、光輝焼鈍炉の入側テーブル、出側テーブル、加熱帯及び冷却帯等に適用することができる。特に、入側テーブルを覆って処理室とし、この処理室内で実施することが好ましい。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について、添付の図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施例に係る金属管コイルの熱処理装置を示す模式図である。図1において、図13と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。図1に示すように、冷却帯27の上部の中央部には、円筒状の吸引部材1が配置されており、吸引部材1には貫通孔1aが形成されている。貫通孔1aの上方には伸縮管2が吸引部材1の上面に密着されて固定されている。伸縮管2は、固定部材3を介して、導管4aに接続されている。導管4aは、断熱材65の上壁部65aを貫通して冷却帯27の外側に達し、弁5a及び導管4bを介してブロアー6に接続されている。この吸引部材1、固定部材3、導管4a、弁5a及びブロアー6により吸引装置が構成されている。吸引装置のブロアー6を稼働させると、吸引部材1の下方からガスが吸い込まれ、このガスが伸縮管2及び導管4a内を通過して、ブロアー6に達するようになっている。ブロアー6は、導管4c、弁5b及び導管4dを介して回収装置(図示せず)に接続されている。この回収装置により残油とパージガスとを分離し、パージガスを再利用することができる。断熱材65の上壁部65aの外面には、2つのシリンダー11が固定部材10を介して固定されている。各シリンダー11からシリンダーロッド9が下方に向かって延出しており、シリンダーロッド9は、上壁部65aを貫通して吸引部材1に達している。シリンダーロッド9の先端9aと吸引部材1の外周部7とは固定部材8を介して固定されている。シリンダー11を稼働させることにより、シリンダーロッド9が上昇下降して、吸引部材1が上昇下降するようになっている。これにより、吸引部材1をLWC61の中空軸部の上部12に密着させることができると共に、吸引終了後、吸引部材1を中空軸部の上部12から離隔することができる。
【0044】
このように構成された金属管熱処理装置においては、先ず、LWC61を冷却帯27に送給し、LWC61の進行方向に対して、ガス受口部材91の位置がガス送口部材93の位置と等しくなるように、LWC61を配置する。次に、図2に示すように、シリンダー43を稼働し、シリンダーロッド92を介して、ガス送口部材93をガス受口部材91に密着させる。また、シリンダー11を稼働して、シリンダーロッド9を介して、吸引部材1を下降させ、吸引部材1をLWC61の中空軸部の上部12に密着させる。次に、弁5a及び5bを解放した後、ブロアー6を稼働すると共に、パージガス供給器55からパージガスを、導管34、伸縮部材53、ガス送口部材93、ガス受口部材91を介して、LWC61の金属管内に供給する。そうすると、LWC61の金属管内では、内面残油が気化しているため、パージガスと共にLWC61の他端61bから外部に排出される。排気ガスは、図中の矢印103にて示すように、吸引部材1、伸縮管2及び導管4a内を上昇し、ブロアー6に吸い込まれる。また、冷却帯27内には、気化した外面残油が存在する。外面残油は、矢印101にて示すように、一旦、ローラ74の下方まで下降した後、矢印102にて示すように、LWC61の中空軸部の下部12aに向かって上昇し、更に矢印103にて示すように、伸縮管2内を上昇してブロアー6に吸い込まれる。排気ガスはブロアー6を通過後、回収装置(図示せず)に供給され、排気ガス中のパージガスが回収される。LWC61の金属管内の内面残油が除去された後、ブロアー6及びパージガス供給器55を停止する。次に、ガス送口部材91をガス受口部材93から離隔すると共に、吸引部材1をLWC61の中空軸部の上部12から離隔する。次に、冷却帯27からLWC61を送出する。
【0045】
このように、内面残油に加え外面残油を回収することにより、冷却帯27内壁及びLWC61の金属管外面に残油が再付着することを防止することができる。また、LWC61の他端61bを手作業によりガス受口部材に装着する必要がないため、作業効率が向上する。
【0046】
なお、本実施例における吸引部材は、冷却帯27内のガス及び排気ガスの吸引効率を高めるため、可及的に密着性が高いことが好ましい。図3は他の吸引部材を示す断面図である。図3に示すように、伸縮管2には円筒2bが接続されており、この円筒2bに当接材2cが固定されている。当接材2cの断面は環状であり、当接材2cの下端部2dの外径は、LWC61の中空軸部の直径dより小さくなっている。このような吸引部材を使用することにより、LWC61と吸引部材との密着性を向上させることができる。
【0047】
また、より一層冷却帯27内のガス及び排気ガスの吸引効率を高めるために、更に他の吸引部材を使用してもよい。図4は更に他の吸引部材を示す断面図である。図4(a)に示すように、伸縮管2の先端には円筒2eが接続されており、円筒2eの下部には、押圧部材2fが円筒2eの軸に垂直な方向に挿通している。円筒2eの内面には2枚の当接材2gが配置されており、各当接材2gの上部は支軸2hにより円筒2eに固定されている。当接材2gは割形状の部材であり、押圧部材2fに押圧されることにより支軸2hを中心として回転することができる。このような当接材をLWC61の中空軸部の上部12に挿入した後、図4(b)に示すように、押圧部材2fを円筒2eの半径方向外側に向かって移動させ、当接材2gを中空軸部の上部12に密着させ、中空軸部の上部12からガスを吸引する。中空軸部の上部12と当接材2gとが強固に密着しているため、吸引効率が極めて高くなる。
【0048】
また、LWC61は、複数段に載置されたり、また、横置きされる場合がある。図5は、複数段に載置されたLWC61を示す模式図である。図5において図1と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。図5に示すように、トレー75aには下段75bが設けられており、下段75bの周縁部には複数本の支持棒75dが下段75bに垂直に設けられている。この支持棒75dの上端に上段75cが固定されている。下段75bと上段75cとは互いに平行となっている。
【0049】
下段75b及び上段75cには、夫々、LWC61が載置されており、下段75bのLWC61と上段75cとの間には、環状のシール材88が配置されている。このシール材88は、LWC61の上部び上段75の下面に密着して固定される。このように、上段75cとシール材88との間の隙間及びシール材88と下段のLWC61との間の隙間をなくすことにより、冷却帯27内のガスを図中の矢印104が示すように吸引することができると共に、他端61bから排出されたガスを図中の矢印105が示すように吸引することができる。
【0050】
また、図6に示すように、トレー75上にLWC61の軸が水平となるように載置されている場合は、断熱材95の側壁にシリンダー(図示せず)を設け、このシリンダーのシリンダーロッドを移動させることにより、吸引部材1をLWC61の中空軸部の端部12bに密着させてもよい。これにより、冷却帯27内のガスを図中の矢印104が示すように吸引することができると共に、他端61bから排出されたガスを図中の矢印105が示すように吸引することができる。
【0051】
次に、本発明の第2実施例について説明する。図7は本発明の第2実施例に係る金属管コイル熱処理装置を示す模式図である。図7において、図1と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。図7に示すように、断熱材65の底面部65b内面には、固定部材10を介してシリンダー11が、底面部65bに垂直となるように、固定されている。シリンダー11からシリンダーロッド9が上方に向かって延出しており、シリンダーロッド9の先端9aは固定部材8を介して吸引部材1に固定されている。吸引部材1の中央部には、伸縮管2が吸引部材1の中央部下面に密着されて固定されている。吸引部材1の中央部には貫通孔1aが形成されており、貫通孔1aと伸縮管2とは連通している。トレー75とLWC61の下面との間には環状板81が配置されている。
【0052】
図8は環状板を示す模式図である。環状板81の中心部には、貫通孔82が形成されており、貫通孔82の外周部には、密着部83が形成されている。この貫通孔82により、LWC61の中空軸部が、トレー75を介して、吸引部材1に連通するようになっている。貫通孔82の内径は、LWCコイルの内径dと略等しくなっており、密着部83がLWC61の中空軸部の下部12aに密着するようになっている。密着部83の外側には、環状トレー81の周方向に沿って、4カ所に支持部84が形成されており、支持部84の間には、通気孔85が形成されている。密着部83及び支持部84はLWC61を支持する部材であり、LWC61の下面に疵が発生することを防止するために、LWC61に比して軟質な軟質材から形成されている。
【0053】
このように構成された金属管熱処理装置において、シリンダー43を稼働し、シリンダーロッド92を介して、ガス送口部材93をガス受口部材91に密着させる。また、シリンダー11を稼働して、シリンダーロッド9を介して、吸引部材1を上昇させ、吸引部材1をLWC61のトレー74の中央部に密着させる。次に、弁5a及び5bを解放した後、ブロアー6を稼働すると共に、パージガス供給器55からパージガスを、導管34、伸縮部材53、ガス送口部材93、ガス受口部材91を介して、LWC61の金属管内に供給する。そうすると、LWC61の金属管内では、内面残油が気化しているため、パージガスと共にLWC61の他端61bから外部に排出される。排気ガスは、図中の矢印106にて示すように、吸引部材1及び伸縮管2内を下降し、導管4aを通過後、ブロアー6に吸い込まれる。また、冷却帯27内には、気化した外面残油が存在する。外面残油は、矢印107にて示すように、LWC61の中空軸部の上部12から吸い込まれ、伸縮管2及び導管4a内を通過してブロアー6に吸い込まれる。
【0054】
このように、内面残油に加え外面残油を回収することにより、図1に示す第1実施例と同様の効果を奏することに加え、トレー75に吸引部材1を当接させるため、LWC61に吸引部材1が直接当接することがないので、LWC61に疵が発生する虞れがない。LWC61を保護するために、吸引部材1を弾性体とする必要がないため、吸引部材1の構造が単純となる。
【0055】
なお、第2実施例においても、図3及び4に示す吸引部材を使用してガスを吸引することができる。また、第2実施例を図12に示す出側テーブル28b等炉外で実施する場合は、中空軸部の上部12を閉塞部材で閉塞し、大気が中空軸部に入り込むことを防止してもよい。これにより、LWC61の金属管内の内面残油をより一層除去することができる。
【0056】
次に、本発明の第3実施例について説明する。図9は本発明の第3実施例に係る金属管コイル熱処理装置を示す模式図である。図9において、図1及び7と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。図9に示すように、冷却帯27の上部には、導管34aが設けられており、断熱材65を貫通してパージガス供給器55aに接続されている。断熱材上壁部65aの中央部外面にはシリンダー53aが配置されており、シリンダー53aのシリンダーロッド51は上壁部65aの中央部を貫通してLWC61近傍まで延出している。シリンダーロッド51の下端には密着板(密着部材)54aが固定されており、シリンダー53aによりシリンダーロッド51を介して密着板54aをLWC61の中空軸部の上部12に押圧し、中空軸部の上部12から気体が入り込むことを防止する。
【0057】
このように構成された金属管熱処理装置において、シリンダー11を稼働して、シリンダーロッド9を介して、吸引部材1を上昇させ、吸引部材1をLWC61のトレー74の中央部に密着させる。次に、シリンダー53aを稼動して、シリンダーロッド9を介して、密着板54aを下降させ、密着板54aをLWC61の中空軸部の上部12外周に密着する。次に、弁5a及び5bを解放した後、ブロアー6を稼働すると共に、パージガス供給器55aからパージガスを、導管34a介して、冷却帯27内に供給する。この場合に、パージガスの圧力を6乃至7kg/cm2で加圧する。そうすると、パージガスはLWC61の一端61aからLWC61の金属管管内に入り込む。LWC61の金属管内では、内面残油が気化しているため、パージガスと共にLWC61の他端61bから外部に排出される。排気ガスは、図中の矢印106にて示すように、吸引部材1及び伸縮管2内を下降し、導管4a内を通過後、ブロアー6に吸い込まれる。また、冷却帯27内には、気化した外面残油が存在する。外面残油は、パージガスに加圧され、矢印108にて示すように、LWC61の金属管の間を通過して伸縮管2内に吸い込まれる。
【0058】
図10はLWC61の金属管を拡大して示す模式図である。金属管71は互いに密着しているため、金属管71の間には、空気72が閉じ込められている。この金属管71の間を、パージガスが矢印108にて示すように、通過することで、金属管71の間に残存する空気72を除去することができる。このようにして、内面残油、外面残油、空気及びパージガスは伸縮管2及び導管4a内を通過してブロアー6に吸い込まれる。
【0059】
これにより、第1及び第2実施例と同様の効果を奏することに加え、パージガスが金属管71の間を擦り抜けるため、金属管71の間の空気を除去することができる。また、LWC61の一端61aを、ガス受口部材に接続する必要がないため、生産性を向上させることができる。
【0060】
なお、上述の実施例においては、パージガスの圧力を比較的高圧に設定したが、パージガスの圧力を特に高く設定することはせず、ブロアー6の吸引力を高くして、内面残油、外面残油、空気及びパージガスを吸い込んでもよい。
【0061】
次に、本発明の第4実施例について説明する。図11は本発明の第4実施例に係る金属管コイル熱処理装置を示す模式図である。図11において、図1、7及び9と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。図11に示すように、第4実施例では、図9に示す第3実施例の金属管コイル熱処理装置に第1実施例のパージガス供給装置55を付け加えたものである。
【0062】
このように構成された金属管熱処理装置において、シリンダー11を稼働して、シリンダーロッド9を介して、吸引部材1を上昇させ、吸引部材1をLWC61のトレー74の中央部に密着させる。次に、シリンダー53を稼動して、シリンダーロッド9を介して、密着板54を下降させ、密着板54をLWC61の中空軸部の上部12外周に密着する。次に、弁5a及び5bを解放した後、ブロアー6を稼働すると共に、パージガス供給器55aからパージガスを、導管34a介して、冷却帯27内に供給する。この場合に、パージガスの圧力を6乃至7kg/cm2で加圧する。また、パージガス供給器55からパージガスを、導管34a、伸縮部材53、ガス送口部材93及びガス受口部材91を介して、LWC61の一端61aからLWC61の金属管内に供給する。そうすると、LWC61の金属管内では、内面残油が気化しているため、パージガスと共にLWC61の他端61bから外部に排出される。排気ガスは、図中の矢印106にて示すように、吸引部材1及び伸縮管2内を下降し、導管4a内を通過後、ブロアー6に吸い込まれる。また、冷却帯27内の外面残油は、パージガスに加圧され、図10中の矢印108にて示すように、LWC61の金属管の間を通過して伸縮管2内に吸い込まれる。
【0063】
これにより、第3実施例と同様の効果を奏することに加え、パージガス供給器55からパージガスがLWC61の金属管内に直接供給されるため、LWC61が長尺である場合であっても、金属管内の残油をより一層良好に除去することができる。本実施例においても、パージガスの圧力を特に高く設定することはせず、ブロアー6の吸引力を高くして、内面残油、外面残油及びパージガスを吸い込んでもよい。
【0064】
なお、上述のいずれの実施例においても、図12に示す冷却帯27以外に入側ベスチブル25a、出側ベスチブル25b及び加熱帯26等密閉された部屋に対して適用することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、金属管コイルの一端にパージガスを供給し、他端から外部にパージガスを排出した後、このパージガスを吸引装置で吸引するので、排出されたパージガス中の残油が金属管コイルの金属外面に再付着することがなく、金属管コイルの外面が残油により汚染することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る金属管コイル熱処理装置を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る金属管コイル熱処理装置を示す模式図である。
【図3】他の吸引部材を示す断面図である。
【図4】他の吸引部材を示す断面図である。
【図5】複数段に載置されたLWCを示す模式図である。
【図6】軸が水平となるように載置されたLWCを示す模式図である。
【図7】本発明の第2実施例に係る金属管コイル熱処理装置を示す模式図である。
【図8】環状板を示す模式図である。
【図9】本発明の第3実施例に係る金属管コイル熱処理装置を示す模式図である。
【図10】LWCの金属管を拡大して示す模式図である。
【図11】本発明の第4実施例に係る金属管コイル熱処理装置を示す模式図である。
【図12】光輝焼鈍炉を示す模式図である。
【図13】第1従来技術における金属管コイル熱処理装置を示す模式図である。
【図14】第2従来技術における金属管コイル熱処理装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1;吸引部材
1a;貫通孔
2;伸縮管
2b,2e;円筒
2c,2g;当接材
2d;下端部
2f;押圧部材
2h;支軸
3,8,10;固定部材
4a,4b,4c,4d;導管
5a,5b;弁
6;ブロアー
7;外周部
9;シリンダーロッド
11;シリンダー
12;中空軸部の上部
12a;中空軸部の下部
12b;中空軸部の端部
25a;入側ベスチブル
25b;出側ベスチブル
26;加熱帯
27;冷却帯
28a;入側テーブル
28b;出側テーブル
31,91;ガス受口部材
33,93;ガス送口部材
34,34a,35;導管
42,92;シリンダーロッド
43,44;シリンダー
43a,44a;固定部材
53,54;伸縮部材
53a;シリンダー
54a;密着板
55,55a;パージガス供給器
61;LWC
61a;一端
61b;他端
65;断熱材
65a;上壁部
65b;底面部
71;金属管
72;空気
74;ローラー
75;トレー
75b;下段
75c;上段
75d;支持棒
81;環状板
82;貫通孔
83;密着部
84;支持部
85;通気孔
88;シール材
101,102,103,104,105,106,107,108;矢印

Claims (14)

  1. 金属管の一端が外表面側にあると共に前記金属管の他端が中空軸部側にある金属管コイルを所定の位置に配置し、前記金属管の一端にパージガス供給器を接続し、次いでこの金属管の一端から前記金属管内にパージガスを供給して前記金属管内の残油をパージし、前記金属管コイルの中空軸部の一方の端部を吸引装置で覆い、前記金属管の他端から排出したパージガスを前記吸引装置により吸引することを特徴とする金属管コイルの熱処理方法。
  2. 前記吸引装置により前記金属管コイルの周りに存在する気体をこの金属管コイルの中空軸部の他方の端部か前記中空軸部内に流入させて吸引することを特徴とする請求項に記載の金属管コイルの熱処理方法。
  3. 金属管の一端が外表面側にあると共に前記金属管の他端が中空軸部側にある金属管コイルを所定の位置に配置し、この金属管コイルの中空軸部の一方の端部を吸引装置で覆うと共に他方の端部を密着部材で覆った後、パージガス供給器によりパージガスを前記金属管コイルの周りに供給しつつ、前記中空軸部を前記吸引装置により吸引することを特徴とする金属管コイルの熱処理方法。
  4. 前記パージガスは加圧されたものであることを特徴とする請求項に記載の金属管コイルの熱処理方法。
  5. 前記金属管の一端に他のパージガス供給器を接続して前記金属管内にパージガスを供給することを特徴とする請求項又はに記載の金属管コイルの熱処理方法。
  6. 金属管の一端が外表面側にあると共に前記金属管の他端が中空軸部側にある金属管コイルの残油を除去する金属管コイルの熱処理装置であって、前記金属管の一端に密着離隔し前記金属管の一端から前記金属管内にパージガスを供給するパージガス供給器と、前記金属管コイルの周囲に配置され前記金属管の他端から前記金属管コイルの中空軸部に排出されるパージガスを吸引する吸引装置とを有することを特徴とする金属管コイルの熱処理装置。
  7. 前記金属管コイルはその軸が地面に垂直となるように配置されると共に前記吸引装置は前記金属管コイルの上方に配置され、前記吸引装置が下降上昇することによって、前記中空軸部の上部にこの吸引装置が密着離隔することを特徴とする請求項に記載の金属管コイルの熱処理装置。
  8. 前記中空軸部の下部に閉塞部材が配置されていることを特徴とする請求項に記載の金属管コイルの熱処理装置。
  9. 前記金属管コイルはその軸が地面に垂直となるように配置されると共に前記吸引装置が前記金属管コイルの下方に配置され、前記吸引装置が上昇下降することによって、前記中空軸部の下部にこの吸引装置が密着離隔することを特徴とする請求項に記載の金属管コイルの熱処理装置。
  10. 前記中空軸部の上部に閉塞部材が配置されていることを特徴とする請求項9に記載の金属管コイルの熱処理装置。
  11. 金属管の一端が外表面側にあると共に前記金属管の他端が中空軸部側にある金属管コイルの残油を除去する金属管コイルの熱処理装置であって、この金属管コイルの周りにパージガスを供給するパージガス供給器と、前記金属管コイルの軸方向に配置され前記中空軸部の一方の端部に密着離隔する吸引装置と、前記金属管コイルの軸方向に配置され前記中空軸部の他方の端部に密着離隔する密着部材とを有することを特徴とする金属管コイルの熱処理装置。
  12. 前記金属管コイルはその軸が地面に垂直となるように配置され、前記吸引装置が前記金属管コイルの下方に配置され、前記密着部材が前記金属管コイルの上方に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の金属管コイルの熱処理装置。
  13. 前記金属管の一端に接続されパージガスを前記金属管内に供給する他のパージガス供給器を有することを特徴とする請求項11又は12に記載の金属管コイルの熱処理装置。
  14. 前記金属管コイルを載置するトレーと、このトレーと前記金属管コイルとに密着し前記金属管コイルに比して軟質な軟質板とを有し、この軟質板の中央部に前記金属管コイルの中空軸部と前記吸引装置とを連通させる貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項乃至13のいずれか1項に記載の金属管コイルの熱処理装置。
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