JP3686186B2 - 樹脂成形用金型及びそれを用いた成形方法 - Google Patents

樹脂成形用金型及びそれを用いた成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種熱可塑性樹脂を用いた射出成形に於いて、表面に微細な凹凸形状を付与させるための金型及び該金型を用いた成形方法に関する。特に、面照明装置用導光板の射出成形に適する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形は、複雑な形状の成形品を一度の成形で得る事に最大の長所があり、この長所を利用すれば、あらゆる種類の表面形状を付与させる事が可能である。
【0003】
表面に微細な凹凸形状を有する成形品の例として、凹凸形状が規則的に配列したシボパターンにより光散乱を起こさせ、均一に発光する様に工夫された面照明光源用導光板がある。このような面照明光源用導光板に於いては、シボパターンの種類、即ち凹凸部の配列の規則性や形状、大きさを変化させる事により面照明光源の性能を調整する事ができるため非常に有効である。
【0004】
これらのシボパターンを射出成形時に付与させる事により、表面に凹凸状の光散乱部が形成された面照明光源用導光板を得る方法として、例えば特開平4−355409号公報には形状パターンを有する転写シートを成形用金型内に挟み込んで射出成形を行い、得られた成形品から該シートを剥離する事により表面形状を付与した導光板成形品を得る方法、特開平7−159623号公報には面積が任意に変化しかつ底面が粗された凹部を多数形成した金型を用いて導光板成形品を得る方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平4−355409号公報の方法によれば、凹凸形状を付与させる転写シートの熱的特性及び固定方法についての記載が無く、成形時に転写シートが熱劣化或いは位置ずれを起こし所望の凹凸形状が付与された成形品を効率よく得る事ができない可能性がある。また、凹凸形状が付与された一体成形品を得るために転写シートを剥離する工程が必要である。従って、工業的に安定に生産する方法とは言えない。
【0006】
特開平7−159623号公報の方法によれば、面照明光源に対する各種の要求特性を満足するために発光面の輝度分布を制御するには、凹凸形状のパターンを変化させた金型を随時準備する必要があり、多くの時間と費用を要するため工業的に安定に生産する方法として適当ではない。
【0007】
上記の従来技術に於ける共通の問題点は、微細な凹凸形状を表面に転写させた一体成形品を、要求に応じて凹凸形状のパターンを任意に変更しても工業的に安定に生産できる方法ではないという事である。
【0008】
薄い金属板材料に切削又はエッチング等の方法で表面に凹凸形状を形成させ、該金属板を金型キャビティ内部に固定して射出成形する方法を採用すれば、一回の射出成形工程に於いて凹凸形状を表面に転写させた一体成形品を効率良く得る事ができる。また、薄い金属板材料を用いるため任意の凹凸形状パターンを容易に形成させる事ができ、かつ短時間で低い費用で実施できる。更に、所望の凹凸形状パターンにより該金属薄板を任意に交換する事が可能となり、上記の問題点を解決できる。
【0009】
以上の方法を用いて得られる成形品に於いて微細な凹凸形状の転写性を安定に保つためには、通常は射出圧力や保圧を高く、或いは金型温度を高くする等の条件が用いられる。射出圧力や保圧を高めていくと成形品への凹凸形状の転写性は向上するが、該凹凸形状が微細になる程成形品の金属薄板面への密着力が高まり、離型時に金属薄板が変形し良好な成形品が得られなくなるという新たな問題が生じる。また、安定した転写効果が得られる程度に金型温度を高くすると、表面に凹凸形状を有する金属薄板材質とそれを保持する母型材質との熱膨張率の差によって金属薄板と母型間に隙間が生じ、逆に凹凸形状の転写性が著しく低下するという問題が生じる。
【0010】
本発明の目的は、金型キャビティを形成する面に微細な凹凸形状が施された金属薄板を固定した金型を用いて、該凹凸形状のパターンを要求に応じて任意に変更する事が可能で、かつ該凹凸形状を効果的に転写させた各種熱可塑性樹脂成形品を工業的に安定して生産する方法、およびその成形品を提供する事にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、微細な凹凸形状が施された金属薄板が吸引孔を有する入れ子表面に設置され、かつ該金属薄板の特定の位置を枠体で挟み込んだ構造より成る金型を用いる事により、各種熱可塑性樹脂に於いて表面の凹凸形状の転写性に優れた成形品を工業的に安定して得る射出成形方法を見出した。
【0012】
即ち本発明第一は、吸引孔を有する入れ子の表面に、金型キャビティを形成する面に微細な凹凸形状が施された金属薄板を設け、かつ該金属薄板の樹脂ゲート部側の外周部を枠体で挟み込む様にし、他端の樹脂流動末端部側を可動できるような構造にして入れ子の表面に金属薄板を設置して成ることを特徴とする樹脂成形用金型である。
【0013】
本発明第一の金型に於いては、上記の入れ子に於ける吸引孔の直径aと上記金属薄板の厚さtとの比a/tが0.05〜5の範囲にあるのが好ましい。
【0014】
また本発明第二は、上記の金型を用いて射出成形する熱可塑性樹脂の成形方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明に於いて、微細な凹凸形状が施された金属薄板の吸引は、吸引孔を一般の油回転式真空ポンプ等に接続して排気する事により行う事ができる。
【0018】
吸引孔の形状は、吸引側の直径aと排気側の直径bが異なる様な形状である場合、排気時に真空ポンプにかかる負荷を抑制し、各々の吸引孔に於いて均等に吸引させる事ができるため好ましい。例えば、図1(A)に示される様な直径aと直径bが階段状に不連続に変化する形状、図1(B)に示される様な直線又は曲線状に連続して変化する形状等が一例として挙げられる。特に、図1(A)に示される直径aと直径bが階段状に不連続に変化する形状に於いては、直径aの孔の深さLaと直径bの孔の深さLbとの比La/Lbを変える事により吸引時に排気側ポンプにかかる抵抗を低下させる事ができ、同時に加工も容易である点で好ましい。La/Lbの値は0.01〜2の範囲内であれば吸引時の抵抗が小さいため好ましい。また、La/Lbの値がこの範囲内にあれば、各々の吸引孔の形状は製品面領域内の位置によって任意に変化しても良い。
【0019】
吸引孔の個数は特に限定はなく、理論的には1個以上であれば良いが、吸引孔と金属薄板との接触面の粗さの状態や、排気流路に於ける漏れの度合いによって必要となる吸引孔の個数は異なるため、通常は5個以上の吸引孔がある事が好ましい。
【0020】
吸引孔の配置は、金属薄板面上に於ける金型キャビティ内への樹脂の射出側の領域、すなわち樹脂ゲート部(以下、「ゲート部」と記す。)側の領域で多く、それ以外の領域では少ないといった偏った配置である場合は特に好ましい。かかるゲート部は、通常、製品面内ではなく製品面外周部に配置される。
【0021】
図2(A)は、投影図が正方形である製品をゲート部GAから樹脂を充填して得る場合の一例を示しており、金属薄板11は、ゲート部GA側の外周部YAで枠体22により挟み込まれて固定されており、樹脂流動末端部側の外周部ZAは可動できるようになっている。
【0022】
図2(A)に示した例では、ゲート部GA側の外周部YAと樹脂流動末端部側の外周部ZAとの区切りは、ゲート部GAを中心として、ゲート部GAから樹脂流動末端部(図中のPA1及びPA2)までの2分の1になる距離を半径として描いた弧XAで行っている。
【0023】
また図2(B)では、投影図が長方形である製品をゲート部GB1とGB2から樹脂を充填して得る場合の一例を示しており、金属薄板11は、2点のゲート部側の外周部YBで枠体22により挟み込まれて固定されており、樹脂流動末端部側の外周部ZBは可動できるようになっている。
【0024】
図2(B)に示した例では、ゲート部側の外周部YAと樹脂流動末端部側の外周部ZAとの区切りは、各ゲート部を中心として、ゲート部から樹脂流動末端部(図中のPB1及びPB2)までの2分の1になる距離を半径として描いた弧XBで行っている。
【0025】
本発明に於いて、金属薄板外周部の固定領域及び自由領域の設定は上記2例に限定されるものではなく、製品の平面形状やゲート部の位置によって適宜設定することができ、微細な凹凸形状が施された金属薄板はゲート部側の外周部では枠体で挟み込まれて完全に固定され、それ以外の樹脂流動末端部側の外周部では該金属薄板が熱膨張又は熱収縮しても樹脂の流動方向と平行な方向に可動できるようにする。
【0026】
金属薄板の樹脂流動末端部側の外周部を樹脂の流動方向と平行な方向に可動できるようにするには、金属薄板と枠体との間に隙間を設ける事で実現できる。具体的には、枠体と金属薄板面との垂直方向の隙間は0.02〜0.05mm、枠体と金属薄板面と平行方向の隙間は0.05〜0.5mmの間隔を設ける事が好ましい。
【0027】
枠体と金属薄板面との隙間が前記範囲内であれば、金属薄板が可動できかつ成形品のバリ等を生じない点で好ましい。金型キャビティ内へ樹脂が充填されると溶融した樹脂が持つ熱によって該金属薄板が熱膨張し、樹脂の固化温度まで冷却されると収縮するというような変形サイクルを繰り返す。金属薄板の外周全てを完全に固定した場合は、金属薄板表面に於いて熱変形による皺状の外観不良が生じ、一方外周全てを可動できるようにした場合は金属薄板の位置ずれ等が生じ、何れの場合に於いても成形品表面の凹凸形状の転写不良や外観不良を招き好ましくない。
【0028】
尚、前記の図2(A)に示した例では、金属薄板11の外周部分YAでは枠体22で隙間無く挟み込まれ、それ以外の外周部分ZAでは枠体と金属薄板面との垂直方向の隙間として0.04mmの間隔を持たせてキャビティ部21を設けている。図中Dは枠体と金属薄板面と平行方向の隙間である。また図2(B)に示した例では、金属薄板11の外周部分YBで枠体22により隙間無く挟み込まれ、それ以外の外周部分ZBでは枠体と金属薄板面との垂直方向の隙間として0.05mmの間隔が設けられている。
【0029】
また本発明に於いては、微細な凹凸形状が施された金属薄板の厚さtと吸引孔の直径aとの比a/tが0.05〜5の範囲にある事が好ましい。a/tの値がこの範囲にあれば、溶融した樹脂の充填圧力に対する吸引孔の位置上の金属薄板のたわみは無視でき、成形品の外観不良を生じる事がない点で好ましい。
【0030】
本発明に用いる金属薄板表面の微細な凹凸形状は、市販の光学顕微鏡又は電子顕微鏡により観察する事ができる。得られる観察像から、微細な凹凸形状は、凹凸形状単位の規則的な配列によって構成されているか、不均一に表面が粗されているのかが判断できる。
【0031】
凹凸形状単位が規則的に配列して微細凹凸形状が構成されている場合、その構成単位は立方体状、直方体状、円筒状、楕円筒状、プリズム形状、球面状、非球面状の形状等がその一例として挙げられる。これらの形状の配列は、例えばドット状、直線状、曲線状の配列が一例として挙げられる。
【0032】
凹凸形状の高さと配列されている間隔は、縦又は横方向で任意に変化しても良い。その高さと間隔は、光学顕微鏡又は電子顕微鏡の観察像から視覚的に測定する事ができる。
【0033】
また、微細な凹凸形状面が梨地状である場合も好ましく、JIS B0601−1994法により表面粗さの最大高さ(Ry)を測定した時に1〜100μmの範囲にある事が好ましい。梨地状面の表面粗さは、市販の表面粗さ計を用いて測定する事ができる。
【0034】
本発明に用いる微細な凹凸形状が施された金属薄板を得るには、金属薄板材料を用いたエッチング加工法、切削加工法、放電加工法、又は電鋳加工法や鋳造加工法等、従来の公知の技術を使用する事ができる。
【0035】
エッチング加工法は、予め写真フィルム等に凹凸形状を形成しておき、金属薄板面上にフォトレジスト法で凹凸形状に対応したマスクを形成し、その後金属薄板を化学薬品によりエッチングする方法である。
【0036】
電鋳加工法は、先ず鋼鉄、アルミニウム又は黄銅の等の金属材料の表面に所望の凹凸形状を有するマスターをかぶせエッチングにより凹凸形状を形成する方法、あるいは熱可塑性樹脂を成形した平滑な板の面状を切削して所望の凹凸形状を形成する方法により電鋳用の電型を作成し、次にこの電型を電着槽に浸して表面に金属メッキを0.1〜1mmの厚さ範囲で積層させる。その後電着槽から電型を取り出し、積層されたメッキ部分を電型から剥離する事により電型表面の凹凸形状が転写された積層メッキ部分が得られ、これを凹凸形状が施された金属薄板として用いる方法である。
【0037】
本発明第二は、以上の金型を用いて射出成形する熱可塑性樹脂の成形方法であり、かかる成形方法によって得られる成形品の形状、厚みは特に限定されないが、厚みが0.1〜10mm、更に好ましくは0.5〜5mmの範囲内にある板状の成形品が好ましい。この厚み範囲内であれば、厚みが変化する偏肉形状であっても良い。
【0038】
上記成形方法により得られる少なくとも一方の面に微細な凹凸形状が付与された成形品としては、具体的には例えば面照明光源用導光板が挙げられる。液晶表示装置等に用いられる面照明光源装置は特に明るさに対する要求が高く、使用される導光板についても微細凹凸形状の転写性が高い事が望まれている。導光板の少なくとも一方の表面に金属薄板に施した微細凹凸形状を転写する事により導光板表面の発光効率を高める事ができ、また微細凹凸形状パターンを最適化する事により面照明光源装置の輝度が低下せず均一にする事ができる。本発明によれば、要求に応じて凹凸形状のパターンを任意に変更させた面照明光源用導光板を、該凹凸形状の転写性を高めた成形条件下でも工業的に安定して生産する事ができる。
【0039】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、具体的にはメタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、ゴム補強ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、非晶質ポリオレフィン樹脂ナイロン6、ナイロン66、変性ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。好ましく採用されるものは、メタクリル樹脂又はポリカーボネイト樹脂である。特に好ましく採用されるものはメタクリル樹脂である。
【0040】
メタクリル樹脂は、メタクリル酸メチルを主体とする樹脂が挙げられ、これにはメチルメタクリレートの単独重合体、又はメチルメタクリレートとメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルピリジン、ビニルモルホリン、ビニルピリドンテトラヒドロフルフリルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシアクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、グリセリンモノアクリレート、無水マレイン酸、スチレン、もしくはα−メチルスチレンなどの共重合可能なモノマーのいずれか一つ以上との共重合体、及び耐熱性アクリル樹脂、低吸湿性アクリル樹脂などが含まれる。これらは単独で用いてもよいしブレンドしてもよい。透明性を維持して耐衝撃性を同時に持たせるためには耐衝撃性アクリル樹脂が用いられ、そのゴム弾性体は特開昭53−58554号公報、同55−94917号公報、同61−32346号公報等に開示されている。簡単に説明すると、アクリル系重合体芯材料のまわりに弾性層及び非弾性層を交互に生成させる多段階逐次重合法により製造される多段重合体である。
【0041】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。なお、各実施例及び比較例で用いた金型、成形条件、成形品の評価及び試験方法は次の通りである。
【0042】
(1)微細凹凸形状を有する金属薄板を固定した金型の作製
表面に凹凸形状を施した金属薄板として、0.3mm及び0.05mmの2種類の厚みで直方体状の形状単位をドット状に配列したもの、プリズム形状単位を直線状に配列したもの合計4種類を準備した。図3(A)で示す様に、金属薄板の形状は208×158mmの長方形である。図中P1とP2を結んだ直線上の断面図(図3(B))で示した様に、金属薄板11の裏面に吸引孔を形成した入れ子23を設置し、該金属薄板11の外周4mm幅の部分を枠体22で挟み込む。枠体22は、金属薄板が樹脂の流動末端部で流動方向に可動できるような形状のものと、金属薄板の全外周を隙間なく完全に固定する形状のものを2種類準備した。図中R1で示した外周部分では金属薄板11との隙間が無く、R2で示した外周部分では金属薄板11の面と垂直方向に0.05mmの間隔が設けられた形状になっている。図3に示した枠体22は、図中R1で示した外周部分で金属薄板11との隙間が無く、R2で示した外周部分では金属薄板11の面と垂直方向に0.05mmの間隔が設けられた形状になっており、樹脂が充填されると流動末端部で金属薄板11が流動方向に可動できる構造になっている。また、枠体と金属薄板面と平行方向の間には0.1mmの隙間を設けてある。金属薄板11を吸引するための入れ子23は、吸引孔の直径aが0.3mmのもの、及び1.0mmのものの2種類を準備し、これらは随時交換が可能となるように等しいサイズにした。吸引孔の形状は図4(A)に示す様な階段状、排気側の直径bは3mm、直径aの孔深さLaは3mmとし、直径bの孔深さLbはLaとLbの比La/Lbが0.1〜0.4の範囲内に入る様に吸引孔の位置によって変化させた。また、吸引孔の配置は図4(B)の様にし、排気側面では全ての吸引孔間を1mmの深さの溝で結合させ排気系流路42を作り、これを真空ポンプに接続して0.02Torrの真空度を保ちながら排気した。以上の様にして得られた金型に於いて、表面に金属板の凹凸形状が転写された板状偏肉成形品(投影面は200×150mmの長方形)を得る事ができる。
【0043】
(2)表面に微細凹凸形状を有する射出成形品の成形条件
上記(1)で得た金型を射出成形機(住友重機械工業社製SG−100型)に取り付け、メタクリル樹脂(旭化成工業製、商品名デルペット80NH)を用いて射出成形を行った。成形温度は240℃、金型温度は70℃、射出圧力は175MPa、保圧力は85MPaに設定した。
【0044】
(3)成形品の外観の評価
上記(2)の方法で得られた成形品を目視で観察し、表面凹凸形状の転写性を観察した。転写の不均一に伴う表面ムラが観察される場合は×、転写が均一にされ表面ムラが観察されない場合は○と判定した。
【0045】
(4)面照明光源としての輝度分布測定
上記(2)の方法で得られた板状偏肉成形品36に於いて、図5に示す様に凹凸形状が転写された面に反射フィルム51、反対側の面に拡散フィルム52を貼り付け、成形品の肉厚側端面に冷陰極管53(直径3mm、長さ220mm)を配置しインバーターに接続して面光源照明装置を作成した。冷陰極管を点灯後30分間放置して明るさを安定させた後、発光面を縦横に25分割し各々の位置での輝度を輝度計54(ミノルタカメラ社製CA−1000型)で測定した。得られた各々の輝度値を分布として表現し、輝度最大値、及び輝度均斉度(輝度最小値を輝度最大値で除した値)を導出した。
【0046】
[実施例1〜4、比較例1〜2]
金属薄板の凹凸形状と厚み、及び金属薄板の設置条件を表1に示す通りとして、上記(1)、(2)の方法で金型を得て射出成形を50ショット行った。成形中に於いて成形品の離型状態を観察し、成形終了後には金属薄板の固定状態を確認した。また、成形品の離型や金属薄板の剥離等が生じず安定して成形を行う事ができた成形ショット数を計測した。
【0047】
実施例1、3では、全ショットに於いて成形品は良好に離型し、成形終了後も金属薄板は完全に元の固定状態のままであり、成形前の状態から変化していない。また、安定して成形を行う事ができたと判断される成形ショット数は50ショットであり、非常に好ましい結果であった。
【0048】
実施例2では、金属薄板面上の吸引孔の位置に窪みが生じるが、成形品は45ショットまで良好に離型し、比較的安定に成形できたと判断した。
【0049】
実施例4では、実施例2と同様に金属薄板面上の吸引孔の位置に窪みが生じるが、成形品は40ショットまで良好に離型し、比較的安定に成形できたと判断した。
【0050】
比較例1では、最初の2ショットまで良好に離型するが、その後流動末端部付近で金属薄板の熱膨張により母型から浮き上がってしまい、成形品が良好に離型できない結果となった。安定した成形と判断される成形ショット数はわずかに2ショットであり、好ましくない結果となった。
【0051】
比較例2では、最初のショットに於いて流動末端部付近で金属薄板の熱膨張により母型から浮き上がって皺が生じてしまい、成形品が良好に離型できず安定した成形を行う事ができず、好ましくない結果となった。
【0052】
【表1】
Figure 0003686186
【0053】
[実施例5〜6、比較例3〜4]
実施例1、3及び比較例1、2で得られた成形品を試験片として上記(3)の評価を行った。
【0054】
実施例5、6では、それぞれ実施例1、3で得られた成形品を試験片とした。何れの試験片に於いても、成形品表面全体に渡って凹凸形状が均一に転写されており、外観状態の判定は○であり非常に好ましい結果であった。
【0055】
比較例3では、比較例1で安定して得られた成形品を試験片とした。離型不良を伴わず安定して成形が行えたにもかかわらず、凹凸形状の転写が充分でないため不均一な光散乱に因る模様が生じ、外観状態は×と判定した。
【0056】
比較例4では、比較例2で得られた成形品を試験片とした。金属薄板の熱膨張に伴う皺模様が転写されており、また凹凸形状はほとんど転写されておらず、外観状態の判定は×とした。
【0057】
[実施例7、比較例5]
実施例7では実施例1で得られた成形品を試験片とし、比較例5では比較例1で得られた成形品を試験片として上記(4)の評価を行い、表2に示す結果を得た。
【0058】
実施例7では、輝度最大値は750nt、輝度均斉度は0.72と何れも高い値を示し、均一で明るい面照明光源装置を得る事ができ非常に好ましい結果となった。
【0059】
比較例5では、輝度最大値は340nt、輝度均斉度は0.35と何れも低い値を示し、面照明光源装置として充分な性能が得られず好ましくない結果となった。
【0060】
【表2】
Figure 0003686186
【0061】
【発明の効果】
本発明の金型を用いる事により、微細な凹凸形状のパターンを要求に応じて任意に変更する事が可能で、かつ該凹凸形状を効果的に転写させた各種熱可塑性樹脂成形品を工業的に安定して生産する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に於ける金型を構成する吸引孔の形状の一例を示す断面図である。
【図2】本発明に於ける金型の概念図の一例である。
【図3】本発明の実施例に用いた金型の構成図である。
【図4】本発明の実施例に用いた金型に於ける吸引孔の形状及び配置の説明図である。
【図5】本発明の実施例に用いた面照明光源の輝度分布測定方法の概念図である。
【符号の説明】
11 金属薄板
21 キャビティ部
22 枠体
23 吸引孔を有する入れ子
34 ゲート位置
35 パーティング面
36 板状偏肉成形品
42 排気系流路
51 反射フィルム
52 拡散フィルム
53 冷陰極管
54 輝度計

Claims (3)

  1. 吸引孔を有する入れ子の表面に、金型キャビティを形成する面に微細な凹凸形状が施された金属薄板を設け、かつ該金属薄板の樹脂ゲート部側の外周部を枠体で挟み込む様にし、他端の樹脂流動末端部側を可動できるような構造にして入れ子の表面に金属薄板を設置して成ることを特徴とする樹脂成形用金型。
  2. 上記の入れ子に於ける吸引孔の直径aと上記金属薄板の厚さtとの比a/tが0.05〜5の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂成形用金型。
  3. 請求項1又は2に記載の金型を用いて射出成形することを特徴とする熱可塑性樹脂の成形方法。
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