JP3685033B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気を浄化する排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車等に搭載される内燃機関、特に酸素過剰状態の混合気(所謂、リーン空燃比の混合気)を燃焼可能とするディーゼル機関やリーンバーン・ガソリン機関では、該内燃機関の排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化する技術が望まれている。
【0003】
このような要求に対し、内燃機関の排気系にリーンNOx触媒を配置する技術が提案されている。排気中の有害成分を浄化する排気浄化装置として、選択還元型NOx触媒や吸蔵還元型NOx触媒などのリーンNOx触媒が知られている。
【0004】
選択還元型NOx触媒は、酸素過剰の雰囲気で炭化水素(HC)の存在下でNOxを還元または分解する触媒であり、この選択還元型NOx触媒でNOxを浄化するためには適量のHC成分(還元剤)が必要とされる。この選択還元型NOx触媒を前記内燃機関の排気浄化に用いる場合、該内燃機関の通常運転時の排気中のHC成分の量は極めて少ないので、通常運転時にNOxを浄化するためには、選択還元型NOx触媒にHC成分を供給する必要がある。
【0005】
一方、吸蔵還元型NOx触媒は、流入排気の空燃比がリーン空燃比のときはNOxを吸収し、流入排気の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出し、N2に還元する触媒である。
【0006】
吸蔵還元型NOx触媒が内燃機関の排気系に配置されると、内燃機関が希薄燃焼運転されて排気の空燃比が高くなるときは排気中の窒素酸化物(NOx)が吸蔵還元型NOx触媒に吸収され、吸蔵還元型NOx触媒に流入する排気の空燃比が低くなったときは吸蔵還元型NOx触媒に吸収されていた窒素酸化物(NOx)が放出されつつ窒素(N2)に還元される。
【0007】
ところで、吸蔵還元型NOx触媒のNOx吸収能力には限りがあるため、内燃機関が長期にわたって希薄燃焼運転されると、吸蔵還元型NOx触媒のNOx吸収能力が飽和し、排気中の窒素酸化物(NOx)が吸蔵還元型NOx触媒によって除去されることなく大気中に放出されることになる。
【0008】
従って、吸蔵還元型NOx触媒を希薄燃焼式内燃機関に適用する場合は、吸蔵還元型NOx触媒のNOx吸収能力が飽和する前に該吸蔵還元型NOx触媒に流入する排気の空燃比を低下させる、所謂リッチスパイク制御を実行することにより、吸蔵還元型NOx触媒に吸収されている窒素酸化物(NOx)を放出及び還元させる必要がある。
【0009】
リッチスパイク制御の具体的な方法としては、吸蔵還元型NOx触媒より上流を流れる排気中に還元剤たる燃料を添加する方法を例示することができる。
【0010】
一方、吸蔵還元型NOx触媒には燃料に含まれる硫黄分が燃焼して生成される硫黄酸化物(SOx)もNOxと同じメカニズムで吸収される。この吸収されたSOxは時間経過とともに安定な硫酸塩を形成するためNOxよりも放出されにくく、NOx触媒内に蓄積される。これをSOx被毒といい、SOx被毒が進行してNOx触媒内のSOx蓄積量が増大すると、NOx触媒のNOx吸収量が減少するため、NOx浄化率が低下する。このため、適宜の時期にSOx被毒から回復させる被毒解消処理を施す必要がある。この被毒解消処理は、NOx触媒を高温(例えば600ないし700℃程度)にしつつ理論空燃比あるいはリッチ空燃比の排気をNOx触媒に流して行わなくてはならない。
【0011】
これらリーンNOx触媒を用いた排気浄化システムにおいては、リーンNOx触媒の触媒床温の管理が非常に重要である。
【0012】
例えば、リーンNOx触媒には活性温度があり、触媒床温がこの活性温度範囲から外れると、浄化能力が極度に低下する。また、前述のようにSOx被毒を解消するためには所定温度を維持する必要がある。さらには、SOx被毒解消時にNOx触媒の温度が過剰に上昇すると、NOx触媒の熱劣化を誘発する虞れがある。
【0013】
ここで、吸蔵還元型NOx触媒の熱劣化について説明すると、NOx 触媒におけるNOxの吸収は白金Pt(触媒物質)とカリウムK(NOx吸収剤)との界面において行われるが、Ptは熱によってシンタリングを起こし、成長して粒径が大きくなることが知られている。車両用内燃機関から排出される排気の浄化においては、NOx 触媒に加わる熱負荷が大きく、白金Ptのシンタリングを避けることはできない。このように白金Ptがシンタリングを起こすと、白金PtとカリウムKの接触面積が少なくなり、即ち、白金PtとカリウムKの界面が少なくなる。この結果、NOx 触媒のNOx吸収能力が低下し、NOx浄化能力が低下する。
【0014】
このような問題に対し、特許第2845056号公報に記載されたような内燃機関の排気浄化装置が提案されている。この公報に記載された内燃機関の排気浄化装置は、吸蔵還元型NOx触媒において排気中の酸素と反応して消費される還元剤の量と吸蔵還元型NOx触媒に吸収されている窒素酸化物(NOx)を還元するために必要となる還元剤の量とを考慮して、還元剤の添加量を決定することにより、還元剤の過剰供給や供給不足を防止、以てNOx吸蔵材の温度の低下の問題を解決しようとするものである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、必要となる還元剤の添加量を正確に求めることができたとしても、添加された還元剤が排気通路へ付着すると、蒸発してNOx触媒に到達するまでに時間がかかり、NOx触媒の温度維持に必要な空燃比を精度良く得ることが困難になる。
【0016】
さらに、排気通路に付着した還元剤が車両の加速時等に一気にNOx触媒に流れ込み、触媒床温が過剰に上昇してしまう懸念も生じる。
【0017】
このように、触媒の温度は還元剤が排気通路へ付着することにより不安定となるので、触媒の温度に応じた適切な量の還元剤をNOx触媒へ供給する必要がある。また、触媒の熱劣化を防止するために触媒床温の過剰な上昇を監視する必要もある。
【0018】
このような問題に対して、触媒担体中に温度センサを設置して直接触媒床温を得ることが考えられるが担体の信頼性が低下するため実際には困難である。また、内燃機関の排気通路に温度センサを設置して、排気の温度に一時遅れ処理等を行い触媒床温を推定する技術が知られているが、上述の排気通路への還元剤の付着等の外乱があり必要な推定精度を得ることは困難である。
【0019】
本発明はこのような従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、精度良くNOx触媒の床温を推定し、適切な還元剤の添加を実施して触媒の劣化や排気エミッションの悪化を防止することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するために以下のような手段を採用した。
【0021】
すなわち、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、
酸素過剰状態の混合気を燃焼可能とする希薄燃焼式の内燃機関の排気通路に設けられたNOx触媒と、
前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
前記NOx触媒に流入する排気の温度を計測する入ガス温度計測手段と、
前記NOx触媒から流出する排気の温度を計測する出ガス温度計測手段と、
前記入ガス温度計測手段により計測された排気の温度及び前記運転状態検出手段により検出された運転状態に基づいて前記NOx触媒の床温を推定する入ガス触媒床温推定手段と、
前記入ガス触媒床温推定手段が推定した前記NOx触媒の床温に基づいて前記NOx触媒に還元剤を供給する還元剤供給手段と、
前記出ガス温度計測手段で計測された排気の温度に基づいて前記NOx触媒の床温を検出する出ガス触媒床温検出手段と、
前記出ガス触媒床温推定手段が推定した前記NOx触媒の床温に基づいて前記NOx触媒が異常であるか否かの判断を行う異常判断手段と、
を具備した。
【0022】
前記入ガス触媒床温推定手段は、前記内燃機関に吸入される空気の量と、前記内燃機関から排出されるHCの量と、前記還元剤供給手段により供給される還元剤の量と、前記入ガス温度計測手段により計測された排気の温度と、から、前記排気通路及び前記NOx触媒での前記還元剤の付着量及び蒸発量を算出し、この算出値に基づいて前記NOx触媒の床温を推定することができる。
【0023】
このように構成された内燃機関の排気浄化装置では、入ガス温度計測手段によって計測された排気の温度及び内燃機関の運転状態に基づいて排気通路への還元剤の付着量とその付着した還元剤の蒸発量とを考慮してNOx触媒の床温を推定することができる。この推定された触媒床温は触媒に流入する排気の温度に基づいて推定されているので実際の触媒床温に対して遅れはない。よって前記還元剤供給手段は、この推定されたNOx触媒の床温に基づいて遅れなく還元剤の供給を行うことができる。
【0024】
前記入ガス温度計測手段が故障や劣化等して正確な温度を出力しなくなるとNOx触媒の床温を正しく推定できないため、過剰に還元剤を供給してしまいNOx触媒の温度が過剰に上昇する虞れがある。
【0025】
そこで、前記出ガス温度計測手段によって計測された排気の温度を触媒の過加熱等の異常判断に用いると安全性を向上させることができる。NOx触媒の過加熱等が検出されたときには前記還元剤供給手段は還元剤の供給を中止して触媒の熱劣化を防止することができる。このため、出ガス温度計測手段はNOx触媒にできるだけ近く設置することが望ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。ここでは、本発明に係る排気浄化装置を車両駆動用のディーゼル機関に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0027】
図1は、本発明に係る排気浄化装置を適用する内燃機関とその吸排気系の概略構成を示す図である。
【0028】
図1に示す内燃機関1は、4つの気筒2を有する水冷式の4サイクル・ディーゼル機関である。
【0029】
内燃機関1は、各気筒2の燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁3を備えている。各燃料噴射弁3は、燃料を所定圧まで蓄圧する蓄圧室(コモンレール)4と接続されている。このコモンレール4には、該コモンレール4内の燃料の圧力に対応した電気信号を出力するコモンレール圧センサ4aが取り付けられている。
【0030】
前記コモンレール4は、燃料供給管5を介して燃料ポンプ6と連通している。この燃料ポンプ6は、内燃機関1の出力軸(クランクシャフト)の回転トルクを駆動源として作動するポンプであり、該燃料ポンプ6の入力軸に取り付けられたポンププーリ6が内燃機関1の出力軸(クランクシャフト)に取り付けられたクランクプーリ1aとベルト7を介して連結されている。
【0031】
このように構成された燃料噴射系では、クランクシャフトの回転トルクが燃料ポンプ6の入力軸へ伝達されると、燃料ポンプ6は、クランクシャフトから該燃料ポンプ6の入力軸へ伝達された回転トルクに応じた圧力で燃料を吐出する。
【0032】
前記燃料ポンプ6から吐出された燃料は、燃料供給管5を介してコモンレール4へ供給され、コモンレール4にて所定圧まで蓄圧されて各気筒2の燃料噴射弁3へ分配される。そして、燃料噴射弁3に駆動電流が印加されると、燃料噴射弁3が開弁し、その結果、燃料噴射弁3から気筒2内へ燃料が噴射される。
【0033】
次に、内燃機関1には、吸気枝管8が接続されており、吸気枝管8の各枝管は、各気筒2の燃焼室と図示しない吸気ポートを介して連通している。
【0034】
前記吸気枝管8は、吸気管9に接続され、この吸気管9は、エアクリーナボックス10に接続されている。前記エアクリーナボックス10より下流の吸気管9には、該吸気管9内を流れる吸気の質量に対応した電気信号を出力するエアフローメータ11と、該吸気管9内を流れる吸気の温度に対応した電気信号を出力する吸気温度センサ12とが取り付けられている。
【0035】
前記吸気管9における吸気枝管8の直上流に位置する部位には、該吸気管9内を流れる吸気の流量を調節する吸気絞り弁13が設けられている。この吸気絞り弁13には、ステッパモータ等で構成されて該吸気絞り弁13を開閉駆動する吸気絞り用アクチュエータ14が取り付けられている。
【0036】
前記エアフローメータ11と前記吸気絞り弁13との間に位置する吸気管9には、排気の熱エネルギを駆動源として作動する遠心過給機(ターボチャージャ)15のコンプレッサハウジング15aが設けられ、コンプレッサハウジング15aより下流の吸気管9には、前記コンプレッサハウジング15a内で圧縮されて高温となった吸気を冷却するためのインタークーラ16が設けられている。
【0037】
このように構成された吸気系では、エアクリーナボックス10に流入した吸気は、該エアクリーナボックス10内の図示しないエアクリーナによって吸気中の塵や埃等が除去された後、吸気管9を介してコンプレッサハウジング15aに流入する。
【0038】
コンプレッサハウジング15aに流入した吸気は、該コンプレッサハウジング15aに内装されたコンプレッサホイールの回転によって圧縮される。前記コンプレッサハウジング15a内で圧縮されて高温となった吸気は、インタークーラ16にて冷却された後、必要に応じて吸気絞り弁13によって流量を調節されて吸気枝管8に流入する。吸気枝管8に流入した吸気は、各枝管を介して各気筒2の燃焼室へ分配され、各気筒2の燃料噴射弁3から噴射された燃料を着火源として燃焼される。
【0039】
一方、内燃機関1には、排気枝管18が接続され、排気枝管18の各枝管が図示しない排気ポートを介して各気筒2の燃焼室と連通している。
【0040】
前記排気枝管18は、前記遠心過給機15のタービンハウジング15bと接続されている。前記タービンハウジング15bは、排気管19と接続され、この排気管19は、下流にて図示しないマフラーに接続されている。
【0041】
前記排気管19の途中には、排気中の有害ガス成分を浄化するための排気浄化触媒20が配置されている。排気浄化触媒20より下流の排気管19には、該排気管19内を流れる排気の空燃比に対応した電気信号を出力する空燃比センサ23と、該排気管19内を流れ触媒20に流入する排気の温度に対応した電気信号を出力する出ガス温度センサ24と、該排気管19内を流れ触媒20から流出する排気の温度に対応した電気信号を出力する入ガス温度センサ37と、が取り付けられている。
【0042】
前記した空燃比センサ23及び出ガス温度センサ24より下流の排気管19には、該排気管19内を流れる排気の流量を調節する排気絞り弁21が設けられている。この排気絞り弁21には、ステッパモータ等で構成されて該排気絞り弁21を開閉駆動する排気絞り用アクチュエータ22が取り付けられている。
【0043】
このように構成された排気系では、内燃機関1の各気筒2で燃焼された混合気(既燃ガス)が排気ポートを介して排気枝管18へ排出され、次いで排気枝管18から遠心過給機15のタービンハウジング15bへ流入する。タービンハウジング15bに流入した排気は、該排気が持つ熱エネルギを利用してタービンハウジング15b内に回転自在に支持されたタービンホイールを回転させる。その際、タービンホイールの回転トルクは、前述したコンプレッサハウジング15aのコンプレッサホイールへ伝達される。
【0044】
前記タービンハウジング15bから排出された排気は、排気管19を介して排気浄化触媒20へ流入し、排気中の有害ガス成分が除去又は浄化される。排気浄化触媒20にて有害ガス成分を除去又は浄化された排気は、必要に応じて排気絞り弁21によって流量を調節された後にマフラーを介して大気中に放出される。
【0045】
また、排気枝管18と吸気枝管8とは、排気枝管18内を流れる排気の一部を吸気枝管8へ再循環させる排気再循環通路(EGR通路)25を介して連通されている。このEGR通路25の途中には、電磁弁などで構成され、印加電力の大きさに応じて前記EGR通路25内を流れる排気(以下、EGRガスと称する)の流量を変更する流量調整弁(EGR弁)26が設けられている。
【0046】
前記EGR通路25においてEGR弁26より上流の部位には、該EGR通路25内を流れるEGRガスを冷却するEGRクーラ27が設けられている。
【0047】
このように構成された排気再循環機構では、EGR弁26が開弁されると、EGR通路25が導通状態となり、排気枝管18内を流れる排気の一部が前記EGR通路25へ流入し、EGRクーラ27を経て吸気枝管8へ導かれる。
【0048】
その際、EGRクーラ27では、EGR通路25内を流れるEGRガスと所定の冷媒との間で熱交換が行われ、EGRガスが冷却されることになる。
【0049】
EGR通路25を介して排気枝管18から吸気枝管8へ還流されたEGRガスは、吸気枝管8の上流から流れてきた新気と混ざり合いつつ各気筒2の燃焼室へ導かれ、燃料噴射弁3から噴射される燃料を着火源として燃焼される。
【0050】
ここで、EGRガスには、水(H2O)や二酸化炭素(CO2)などのように、自らが燃焼することがなく、且つ、吸熱性を有する不活性ガス成分が含まれているため、EGRガスが混合気中に含有されると、混合気の燃焼温度が低められ、以て窒素酸化物(NOx)の発生量が抑制される。
【0051】
更に、EGRクーラ27においてEGRガスが冷却されると、EGRガス自体の温度が低下するとともにEGRガスの体積が縮小されるため、EGRガスが燃焼室内に供給されたときに該燃焼室内の雰囲気温度が不要に上昇することがなくなるとともに、燃焼室内に供給される新気の量(新気の体積)が不要に減少することもない。
【0052】
次に、本実施の形態に係る排気浄化触媒20について具体的に説明する。
【0053】
排気浄化触媒20は、還元剤の存在下で排気中の窒素酸化物(NOx)を浄化するNOx触媒である。このようなNOx触媒としては、選択還元型NOx触媒や吸蔵還元型NOx触媒等を例示することができるが、ここでは吸蔵還元型NOx触媒を例に挙げて説明する。以下、排気浄化触媒20を吸蔵還元型NOx触媒20と称するものとする。
【0054】
吸蔵還元型NOx触媒20は、例えば、アルミナを担体とし、その担体上に、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、もしくはセシウム(Cs)等のアルカリ金属と、バリウム(Ba)もしくはカルシウム(Ca)等のアルカリ土類と、ランタン(La)もしくはイットリウム(Y)等の希土類とから選択された少なくとも1つと、白金(Pt)等の貴金属とを担持して構成されている。尚、本実施の形態では、アルミナからなる担体上にバリウム(Ba)と白金(Pt)とを担持して構成される吸蔵還元型NOx触媒を例に挙げて説明する。
【0055】
このように構成された吸蔵還元型NOx触媒20は、該吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の酸素濃度が高いときは排気中の窒素酸化物(NOx)を吸収する。
【0056】
一方、吸蔵還元型NOx触媒20は、該吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の酸素濃度が低下したときは吸収していた窒素酸化物(NOx)を放出する。その際、排気中に炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等の還元成分が存在していれば、吸蔵還元型NOx触媒20は、該吸蔵還元型NOx触媒20から放出された窒素酸化物(NOx)を窒素(N2)に還元せしめることができる。
【0057】
尚、吸蔵還元型NOx触媒20のNOx吸放出作用については明らかにされていない部分もあるが、おおよそ以下のようなメカニズムによって行われていると考えられる。
【0058】
先ず、吸蔵還元型NOx触媒20では、該吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比がリーン空燃比となって排気中の酸素濃度が高まると、図2(A)に示されるように、排気中の酸素(O2)がO2 -またはO2-の形で白金(Pt)の表面上に付着する。排気中の一酸化窒素(NO)は、白金(Pt)の表面上でO2 -またはO2-と反応して二酸化窒素(NO2)を形成する(2NO+O2→2NO2)。二酸化窒素(NO2)は、白金(Pt)の表面上で更に酸化され、硝酸イオン(NO3-)の形で吸蔵還元型NOx触媒20に吸収される。尚、吸蔵還元型NOx触媒20に吸収された硝酸イオン(NO3-)は、酸化バリウム(BaO)と結合して硝酸バリウム(Ba(NO32)を形成する。
【0059】
このように吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比がリーン空燃比であるときは、排気中の窒素酸化物(NOx)が硝酸イオン(NO3-)として吸蔵還元型NOx触媒20に吸収される。
【0060】
上記したようなNOx吸収作用は、流入排気の空燃比がリーン空燃比であり、且つ吸蔵還元型NOx触媒20のNOx吸収能力が飽和しない限り継続される。従って、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比がリーン空燃比であるときは、吸蔵還元型NOx触媒20のNOx吸収能力が飽和しない限り、排気中の窒素酸化物(NOx)が吸蔵還元型NOx触媒20に吸収され、排気中から窒素酸化物(NOx)が除去されることになる。
【0061】
これに対して、吸蔵還元型NOx触媒20では、該吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の酸素濃度が低下すると、白金(Pt)の表面上において二酸化窒素(NO2)の生成量が減少するため、酸化バリウム(BaO)と結合していた硝酸イオン(NO3-)が逆に二酸化窒素(NO2)や一酸化窒素(NO)となって吸蔵還元型NOx触媒20から離脱する。
【0062】
その際、排気中に炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等の還元成分が存在していれば、それらの還元成分が白金(Pt)上の酸素(O2-またはO2-)と部分的に反応して活性種を形成する。この活性種は、吸蔵還元型NOx触媒20から放出された二酸化窒素(NO2)や一酸化窒素(NO)を窒素(N2)に還元せしめることになる。
【0063】
従って、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比が理論空燃比又はリッチ空燃比となって排気中の酸素濃度が低下するとともに還元剤の濃度が高まると、吸蔵還元型NOx触媒20に吸収されていた窒素酸化物(NOx)が放出及び還元され、以て吸蔵還元型NOx触媒20のNOx吸収能力が再生されることになる。
【0064】
ところで、内燃機関1が希薄燃焼運転されている場合は、内燃機関1から排出される排気の空燃比がリーン雰囲気となり排気の酸素濃度が高くなるため、排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)が吸蔵還元型NOx触媒20に吸収されることになるが、内燃機関1の希薄燃焼運転が長期間継続されると、吸蔵還元型NOx触媒20のNOx吸収能力が飽和し、排気中の窒素酸化物(NOx)が吸蔵還元型NOx触媒20にて除去されずに大気中へ放出されてしまう。
【0065】
特に、内燃機関1のようなディーゼル機関では、大部分の運転領域においてリーン空燃比の混合気が燃焼され、それに応じて大部分の運転領域において排気の空燃比がリーン空燃比となるため、吸蔵還元型NOx触媒20のNOx吸収能力が飽和し易い。
【0066】
従って、内燃機関1が希薄燃焼運転されている場合は、吸蔵還元型NOx触媒20のNOx吸収能力が飽和する前に吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気中の酸素濃度を低下させるとともに還元剤の濃度を高め、吸蔵還元型NOx触媒20に吸収された窒素酸化物(NOx)を放出及び還元させる必要がある。
【0067】
これに対し、本実施の形態に係る内燃機関の排気浄化装置は、吸蔵還元型NOx触媒20より上流の排気通路を流れる排気中に還元剤たる燃料(軽油)を添加する還元剤供給機構を備え、この還元剤供給機構から排気中へ燃料を添加することにより、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の酸素濃度を低下させるとともに還元剤の濃度を高めるようにした。
【0068】
還元剤供給機構は、図1に示されるように、その噴孔が排気枝管18内に臨むよう内燃機関1のシリンダヘッドに取り付けられ、所定の開弁圧以上の燃料が印加されたときに開弁して燃料を噴射する還元剤噴射弁28と、前述した燃料ポンプ6から吐出された燃料を前記還元剤噴射弁28へ導く還元剤供給路29と、この還元剤供給路29の途中に設けられ該還元剤供給通路29内を流れる燃料の流量を調整する流量調整弁30と、この流量調整弁30より上流の還元剤供給路29に設けられて該還元剤供給路29内の燃料の流れを遮断する遮断弁31と、前記流量調整弁30より上流の還元剤供給路29に取り付けられ該還元剤供給路29内の圧力に対応した電気信号を出力する還元剤圧力センサ32と、を備えている。
【0069】
尚、還元剤噴射弁28は、該還元剤噴射弁28の噴孔が排気枝管18におけるEGR通路25との接続部位より下流であって、排気枝管18における4つの枝管の集合部に最も近い気筒2の排気ポートに突出するとともに、排気枝管18の集合部へ向くようシリンダヘッドに取り付けられることが好ましい。
【0070】
これは、還元剤噴射弁28から噴射された還元剤(未燃の燃料成分)がEGR通路25へ流入するのを防止するとともに、還元剤が排気枝管18内に滞ることを抑制するためである。
【0071】
尚、図1に示す例では、内燃機関1の4つの気筒2のうち1番(#1)気筒2が排気枝管18の集合部と最も近い位置にあるため、1番(#1)気筒2の排気ポートに還元剤噴射弁28が取り付けられているが、1番(#1)気筒2以外の気筒2が排気枝管18の集合部と最も近い位置にあるときは、その気筒2の排気ポートに還元剤噴射弁28が取り付けられるようにする。
【0072】
また、前記還元剤噴射弁28は、シリンダヘッドに形成された図示しないウォータージャケットを貫通、あるいはウォータージャケットに近接して取り付けられるようにし、前記ウォータージャケットを流れる冷却水を利用して還元剤噴射弁28を冷却するようにしてもよい。
【0073】
このような還元剤供給機構では、流量調整弁30が開弁されると、燃料ポンプ6から吐出された高圧の燃料が還元剤供給路29を介して還元剤噴射弁28へ印加される。そして、還元剤噴射弁28に印加される燃料の圧力が開弁圧以上に達すると、該還元剤噴射弁28が開弁して排気枝管18内へ還元剤としての燃料が噴射される。
【0074】
還元剤噴射弁28から排気枝管18内へ噴射された還元剤は、排気枝管18の上流から流れてきた排気とともにタービンハウジング15bへ流入する。タービンハウジング15b内に流入した排気と還元剤とは、タービンホイールの回転によって撹拌されて均質に混合され、リッチ空燃比の排気を形成する。
【0075】
このようにして形成されたリッチ空燃比の排気は、タービンハウジング15bから排気管19を介して吸蔵還元型NOx触媒20に流入し、吸蔵還元型NOx触媒20に吸収されていた窒素酸化物(NOx)を放出させつつ窒素(N2)に還元することになる。
【0076】
その後、流量調整弁30が閉弁されて燃料ポンプ6から還元剤噴射弁28への還元剤の供給が遮断されると、還元剤噴射弁28に印加される燃料の圧力が前記開弁圧未満となり、その結果、還元剤噴射弁28が閉弁し、排気枝管18内への還元剤の添加が停止されることになる。
【0077】
以上述べたように構成された内燃機関1には、該内燃機関1を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)35が併設されている。このECU35は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態を制御するユニットである。
【0078】
ECU35には、コモンレール圧センサ4a、エアフローメータ11、吸気温度センサ12、吸気管圧力センサ17、空燃比センサ23、出ガス温度センサ24、入ガス温度センサ37、還元剤圧力センサ32、クランクポジションセンサ33、水温センサ34、アクセル開度センサ36等の各種センサが電気配線を介して接続され、上記した各種センサの出力信号がECU35に入力されるようになっている。
【0079】
一方、ECU35には、燃料噴射弁3、吸気絞り用アクチュエータ14、排気絞り用アクチュエータ22、EGR弁26、流量調整弁30、遮断弁31等が電気配線を介して接続され、上記した各部をECU35が制御することが可能になっている。
【0080】
ここで、ECU35は、図3に示すように、双方向性バス350によって相互に接続された、CPU351と、ROM352と、RAM353と、バックアップRAM354と、入力ポート356と、出力ポート357とを備えるとともに、前記入力ポート356に接続されたA/Dコンバータ(A/D)355を備えている。
【0081】
前記入力ポート356は、クランクポジションセンサ33のようにデジタル信号形式の信号を出力するセンサの出力信号を入力し、それらの出力信号をCPU351やRAM353へ送信する。
【0082】
前記入力ポート356は、コモンレール圧センサ4a、エアフローメータ11、吸気温度センサ12、吸気管圧力センサ17、空燃比センサ23、出ガス温度センサ24、入ガス温度センサ37、還元剤圧力センサ32、水温センサ34、アクセル開度センサ36、等のように、アナログ信号形式の信号を出力するセンサのA/D355を介して入力し、それらの出力信号をCPU351やRAM353へ送信する。
【0083】
前記出力ポート357は、燃料噴射弁3、吸気絞り用アクチュエータ14、排気絞り用アクチュエータ22、EGR弁26、流量調整弁30、遮断弁31等と電気配線を介して接続され、CPU351から出力される制御信号を、前記した燃料噴射弁3、吸気絞り用アクチュエータ14、排気絞り用アクチュエータ22、EGR弁26、流量調整弁30、あるいは遮断弁31へ送信する。
【0084】
前記ROM352は、燃料噴射弁3を制御するための燃料噴射制御ルーチン、吸気絞り弁13を制御するための吸気絞り制御ルーチン、排気絞り弁21を制御するための排気絞り制御ルーチン、EGR弁26を制御するためのEGR制御ルーチン、吸蔵還元型NOx触媒20に吸収された窒素酸化物(NOx)を浄化するためのNOx浄化制御ルーチン、吸蔵還元型NOx触媒20の酸化物による被毒を解消するための被毒解消制御ルーチン等のアプリケーションプログラムを記憶している。
【0085】
前記ROM352は、上記したアプリケーションプログラムに加え、各種の制御マップを記憶している。前記制御マップは、例えば、内燃機関1の運転状態と基本燃料噴射量(基本燃料噴射時間)との関係を示す燃料噴射量制御マップ、内燃機関1の運転状態と基本燃料噴射時期との関係を示す燃料噴射時期制御マップ、内燃機関1の運転状態と吸気絞り弁13の目標開度との関係を示す吸気絞り弁開度制御マップ、内燃機関1の運転状態と排気絞り弁21の目標開度との関係を示す排気絞り弁開度制御マップ、内燃機関1の運転状態とEGR弁26の目標開度との関係を示すEGR弁開度制御マップ、内燃機関1の運転状態と還元剤の目標添加量(もしくは、排気の目標空燃比)との関係を示す還元剤添加量制御マップ、還元剤の目標添加量と流量調整弁30の開弁時間との関係を示す流量調整弁制御マップ等である。
【0086】
前記RAM353は、各センサからの出力信号やCPU351の演算結果等を格納する。前記演算結果は、例えば、クランクポジションセンサ33がパルス信号を出力する時間的な間隔に基づいて算出される機関回転数である。これらのデータは、クランクポジションセンサ33がパルス信号を出力する都度、最新のデータに書き換えられる。
【0087】
前記バックアップRAM354は、内燃機関1の運転停止後もデータを記憶可能な不揮発性のメモリである。
【0088】
前記CPU351は、前記ROM352に記憶されたアプリケーションプログラムに従って動作して、燃料噴射弁制御、吸気絞り制御、排気絞り制御、EGR制御、NOx浄化制御、被毒解消制御を実行する。
【0089】
例えば、燃料噴射弁制御では、CPU351は、先ず、燃料噴射弁3から噴射される燃料量を決定し、次いで燃料噴射弁3から燃料を噴射する時期を決定する。
【0090】
燃料噴射量を決定する場合は、CPU351は、RAM353に記憶されている機関回転数とアクセル開度センサ36の出力信号(アクセル開度)とを読み出す。CPU351は、燃料噴射量制御マップへアクセスし、前記機関回転数及び前記アクセル開度に対応した基本燃料燃料噴射量(基本燃料噴射時間)を算出する。CPU351は、エアフローメータ11、吸気温度センサ12、水温センサ34等の出力信号値等に基づいて前記基本燃料噴射時間を補正し、最終的な燃料噴射時間を決定する。
【0091】
燃料噴射時期を決定する場合は、CPU351は、燃料噴射開始時期制御マップへアクセスし、前記機関回転数及び前記アクセル開度に対応した基本燃料噴射時期を算出する。CPU351は、エアフローメータ11、吸気温度センサ12、水温センサ34等の出力信号値をパラメータとして前記基本燃料噴射時期を補正し、最終的な燃料噴射時期を決定する。
【0092】
燃料噴射時間と燃料噴射時期とが決定されると、CPU351は、前記燃料噴射時期とクランクポジションセンサ33の出力信号とを比較し、前記クランクポジションセンサ33の出力信号が前記燃料噴射開始時期と一致した時点で燃料噴射弁3に対する駆動電力の印加を開始する。CPU351は、燃料噴射弁3に対する駆動電力の印加を開始した時点からの経過時間が前記燃料噴射時間に達した時点で燃料噴射弁3に対する駆動電力の印加を停止する。
【0093】
尚、燃料噴射制御において内燃機関1の運転状態がアイドル運転状態にある場合は、CPU351は、水温センサ34の出力信号値や、車室内用空調装置のコンプレッサのようにクランクシャフトの回転力を利用して作動する補機類の作動状態等をパラメータとして内燃機関1の目標アイドル回転数を算出する。そして、CPU351は、実際のアイドル回転数が目標アイドル回転数と一致するよう燃料噴射量をフィードバック制御する。
【0094】
また、吸気絞り制御では、CPU351は、例えば、RAM353に記憶されている機関回転数とアクセル開度とを読み出す。CPU351は、吸気絞り弁開度制御マップへアクセスし、機関回転数及びアクセル開度に対応した目標吸気絞り弁開度を算出する。CPU351は、前記目標吸気絞り弁開度に対応した駆動電力を吸気絞り用アクチュエータ14に印加する。その際、CPU351は、吸気絞り弁13の実際の開度を検出して、実際の吸気絞り弁13の開度と目標吸気絞り弁開度との差分に基づいて前記吸気絞り用アクチュエータ14をフィードバック制御するようにしてもよい。
【0095】
また、排気絞り制御では、CPU351は、例えば、内燃機関1が冷間始動後の暖機運転状態にある場合や、車室内用ヒータが作動状態にある場合などに排気絞り弁21を閉弁方向へ駆動すべく排気絞り用アクチュエータ22を制御する。
【0096】
この場合、内燃機関1の負荷が増大し、それに対応して燃料噴射量が増量されることなる。その結果、内燃機関1の発熱量が増加し、内燃機関1の暖機が促進されるとともに、車室内用ヒータの熱源が確保される。
【0097】
また、EGR制御では、CPU351は、RAM353に記憶されている機関回転数、水温センサ34の出力信号(冷却水温度)、アクセル開度センサ36の出力信号(アクセル開度)等を読み出し、EGR制御の実行条件が成立しているか否かを判別する。
【0098】
上記したEGR制御実行条件としては、冷却水温度が所定温度以上にある、内燃機関1が始動時から所定時間以上連続して運転されている、アクセル開度の変化量が正値である等の条件を例示することができる。
【0099】
上記したようなEGR制御実行条件が成立していると判定した場合は、CPU351は、機関回転数とアクセル開度とをパラメータとしてEGR弁開度制御マップへアクセスし、前記機関回転数及び前記アクセル開度に対応した目標EGR弁開度を算出する。CPU351は、前記目標EGR弁開度に対応した駆動電力をEGR弁26に印加する。一方、上記したようなEGR制御実行条件が成立していないと判定した場合は、CPU351は、EGR弁26を全閉状態に保持すべく制御する。
【0100】
更に、EGR制御では、CPU351は、内燃機関1の吸入空気量をパラメータとしてEGR弁26の開度をフィードバック制御する、いわゆるEGR弁フィードバック制御を行うようにしてもよい。
【0101】
EGR弁フィードバック制御では、例えば、CPU351は、アクセル開度や機関回転数等をパラメータとして内燃機関1の目標吸入空気量を決定する。その際、アクセル開度と機関回転数と目標吸入空気量との関係を予めマップ化しておき、そのマップとアクセル開度と機関回転数とから目標吸入空気量が算出されるようにしてもよい。
【0102】
上記した手順により目標吸入空気量が決定されると、CPU351は、RAM353に記憶されたエアフローメータ11の出力信号値(実際の吸入空気量)を読み出し、実際の吸入空気量と目標吸入空気量とを比較する。
【0103】
前記した実際の吸入空気量が前記目標吸入空気量より少ない場合には、CPU351は、EGR弁26を所定量閉弁させる。この場合、EGR通路25から吸気枝管8へ流入するEGRガス量が減少し、それに応じて内燃機関1の気筒2内に吸入されるEGRガス量が減少することになる。その結果、内燃機関1の気筒2内に吸入される新気の量は、EGRガスが減少した分だけ増加する。
【0104】
一方、実際の吸入空気量が目標吸入空気量より多い場合には、CPU351は、EGR弁26を所定量開弁させる。この場合、EGR通路25から吸気枝管8へ流入するEGRガス量が増加し、それに応じて内燃機関1の気筒2内に吸入されるEGRガス量が増加する。この結果、内燃機関1の気筒2内に吸入される新気の量は、EGRガスが増加した分だけ減少することになる。
【0105】
次に、NOx浄化制御では、CPU351は、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比を比較的に短い周期でスパイク的(短時間)にリッチ空燃比とする、所謂リッチスパイク制御を実行する。
【0106】
リッチスパイク制御では、CPU351は、所定の周期毎にリッチスパイク制御実行条件が成立しているか否かを判別する。このリッチスパイク制御実行条件としては、例えば、吸蔵還元型NOx触媒20が活性状態にある、出ガス温度センサ24の出力信号値(排気温度)が所定の上限値以下である、被毒解消制御が実行されていない、等の条件を例示することができる。
【0107】
上記したようなリッチスパイク制御実行条件が成立していると判定された場合は、CPU351は、還元剤噴射弁28からスパイク的に還元剤たる燃料を噴射させるべく流量調整弁30を制御することにより、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比を一時的に所定の目標リッチ空燃比とする。
【0108】
具体的には、CPU351は、RAM353に記憶されている機関回転数、アクセル開度センサ36の出力信号(アクセル開度)、エアフローメータ11の出力信号値(吸入空気量)、空燃比センサ23の出力信号、燃料噴射量等を読み出す。CPU351は、前記した機関回転数とアクセル開度と吸入空気量と燃料噴射量とをパラメータとしてROM352の還元剤添加量制御マップへアクセスし、排気の空燃比を予め設定された目標リッチ空燃比とする上で必要となる還元剤の添加量(目標添加量)を算出する。
【0109】
続いて、CPU351は、前記目標添加量をパラメータとしてROM352の流量調整弁制御マップへアクセスし、還元剤噴射弁28から目標添加量の還元剤を噴射させる上で必要となる流量調整弁30の開弁時間(目標開弁時間)を算出する。
【0110】
流量調整弁30の目標開弁時間が算出されると、CPU351は、流量調整弁30を開弁させる。この場合、燃料ポンプ6から吐出された高圧の燃料が還元剤供給路29を介して還元剤噴射弁28へ供給されるため、還元剤噴射弁28に印加される燃料の圧力が開弁圧以上に達し、還元剤噴射弁28が開弁する。
【0111】
CPU351は、流量調整弁30を開弁させた時点から前記目標開弁時間が経過すると、流量調整弁30を閉弁させる。この場合、燃料ポンプ6から還元剤噴射弁28への還元剤の供給が遮断されるため、還元剤噴射弁28に印加される燃料の圧力が開弁圧未満となり、還元剤噴射弁28が閉弁する。
【0112】
このように流量調整弁30が目標開弁時間だけ開弁されると、目標添加量の燃料が還元剤噴射弁28から排気枝管18内へ噴射されることになる。そして、還元剤噴射弁28から噴射された還元剤は、排気枝管18の上流から流れてきた排気と混ざり合って目標リッチ空燃比の混合気を形成して吸蔵還元型NOx触媒20に流入する。
【0113】
この結果、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比は、比較的に短い周期で「リーン」と「スパイク的な目標リッチ空燃比」とを交互に繰り返すことになり、以て、吸蔵還元型NOx触媒20が窒素酸化物(NOx)の吸収と放出・還元とを交互に短周期的に繰り返すことになる。
【0114】
次に、被毒解消制御では、CPU351は、吸蔵還元型NOx触媒20の酸化物による被毒を解消すべく被毒解消処理を行うことになる。
【0115】
ここで、内燃機関1の燃料には硫黄(S)が含まれている場合があり、そのような燃料が内燃機関1で燃焼されると、二酸化硫黄(SO2)や三酸化硫黄(SO3)などの硫黄酸化物(SOx)が生成される。
【0116】
硫黄酸化物(SOx)は、排気とともに吸蔵還元型NOx触媒20に流入し、窒素酸化物(NOx)と同様のメカニズムによって吸蔵還元型NOx触媒20に吸収される。
【0117】
具体的には、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比がリーン空燃比であるときには、前述したNOx吸収メカニズムの説明で述べたように、酸素(O2)がO2 -又はO2-の形で白金(Pt)の表面に付着しているため、流入排気中の二酸化硫黄(SO2)や三酸化硫黄(SO3)等の硫黄酸化物(SOx)が白金(Pt)の表面上でO2 -又はO2-と反応してSO3-やSO4-となる。
【0118】
SO3-やSO4-は、白金(Pt)の表面上で更に酸化され、硫酸イオン(SO4 2-)の形で吸蔵還元型NOx触媒20に吸収される。尚、吸蔵還元型NOx触媒20に吸収された硫酸イオン(SO4 2-)は、酸化バリウム(BaO)と結合して硫酸塩(BaSO4)を形成する。
【0119】
このように吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比がリーン空燃比であるときは、排気中の硫黄酸化物(SOx)が硫酸イオン(SO4 2-)として吸蔵還元型NOx触媒20に吸収される。
【0120】
ところで、硫酸塩(BaSO4)は、硝酸バリウム(Ba(NO32)に比して安定していて分解し難く、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比が理論空燃比又はリッチ空燃比となっても分解されずに吸蔵還元型NOx触媒20内に残留してしまう。
【0121】
吸蔵還元型NOx触媒20における硫酸塩(BaSO4)の量が増加すると、それに応じて窒素酸化物(NOx)の吸収に関与することができる酸化バリウム(BaO)の量が減少するため、吸蔵還元型NOx触媒20のNOx吸収能力が低下する、いわゆるSOx被毒が発生する。
【0122】
吸蔵還元型NOx触媒20のSOx被毒を解消する方法としては、吸蔵還元型NOx触媒20の雰囲気温度をおよそ500℃〜700℃の高温域まで昇温させるとともに、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比をリッチ空燃比とすることにより、吸蔵還元型NOx触媒20に吸収されている硫酸バリウム(BaSO4)をSO3-やSO4-に熱分解し、次いでSO3-やSO4-を排気中の炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)と反応させて気体状のSO2-に還元する方法を例示することができる。
【0123】
そこで、本実施の形態に係る被毒解消処理では、CPU351は、先ず吸蔵還元型NOx触媒20の床温を高める触媒昇温処理を実行した上で、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比をリッチ空燃比とするようにした。
【0124】
触媒昇温処理では、CPU351は、例えば、各気筒2の膨張行程時に燃料噴射弁3から副次的に燃料をポスト噴射させるとともに還元剤噴射弁28から排気中へ燃料を添加させることにより、それらの未燃燃料成分を吸蔵還元型NOx触媒20において酸化させ、酸化の際に発生する熱によって吸蔵還元型NOx触媒20の床温を高めるようにしてもよい。
【0125】
但し、吸蔵還元型NOx触媒20が過剰に昇温すると、吸蔵還元型NOx触媒20の熱劣化が誘発される可能性があるため、出ガス温度センサ24の出力信号値に基づいてポスト噴射燃料量及び添加燃料量がフィードバック制御されるようにすることが好ましい。
【0126】
上記したような触媒昇温処理により吸蔵還元型NOx触媒20の床温が500℃〜700℃程度の高温域まで上昇すると、CPU351は、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比をリッチ空燃比とすべく還元剤噴射弁28から燃料を噴射させる。
【0127】
尚、還元剤噴射弁28から過剰な燃料が噴射されると、それらの燃料が吸蔵還元型NOx触媒20で急激に燃焼して吸蔵還元型NOx触媒20が過熱し、或いは還元剤噴射弁28から噴射された過剰な燃料によって吸蔵還元型NOx触媒20が不要に冷却される虞があるため、CPU351は、空燃比センサ23の出力信号に基づいて還元剤噴射弁28からの燃料噴射量をフィードバック制御するようにしても良い。
【0128】
このように被毒解消処理が実行されると、吸蔵還元型NOx触媒20の床温が高い状況下で、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比がリッチ空燃比となるため、吸蔵還元型NOx触媒20に吸収されている硫酸バリウム(BaSO4)がSO3-やSO4-に熱分解され、それらSO3-やSO4-が排気中の炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)と反応して気体状のSO2-に還元され、以て吸蔵還元型NOx触媒20のSOx被毒が解消されることになる。
【0129】
また、前述したNOx浄化制御では、CPU351が所定の周期でリッチスパイク制御を実行することにより、吸蔵還元型NOx触媒20に流入する排気の空燃比をスパイク的に目標リッチ空燃比とし、吸蔵還元型NOx触媒20に吸収された窒素酸化物(NOx)を放出及び還元している。
【0130】
上記NOx浄化及び被毒解消を効率的に行うためには、NOx触媒20の床温を正確に把握し、床温に応じたリッチスパイク制御を行う必要がある。
【0131】
ところが、NOx触媒20の床温はリッチスパイクによって昇温するため、リッチスパイク制御中は入ガス温度センサ37により計測された排気の温度よりもNOx触媒20の床温のほうが高くなる虞れがある。
【0132】
また、出ガス温度センサ24により計測された排気の温度はNOx触媒20の下流に設置されているためNOx触媒20の床温よりも低い数値を示すことになる。
【0133】
単純に排気枝管18に添加された燃料の量からNOx触媒20の床温を推定しようとしても、排気枝管18内に添加された燃料は直ちに蒸発若しくは微粒化して排気と共にNOx触媒20へ到達するものもあれば、排気枝管18の壁面に液体のまま付着しNOx触媒20へ到達するのに時間がかかるものもある。このように、添加された燃料の全量が直ちにNOx触媒20に到達するわけではないので、NOx触媒20の床温を精度良く得ることは困難である。
【0134】
そこで、本実施の形態では還元剤として添加された燃料の排気枝管20の付着、蒸発を考慮してNOx触媒20の床温を推定することにした。
【0135】
次に、この実施の形態における内燃機関の排気浄化装置のNOx触媒20の床温の推定方法について図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0136】
ステップ101では、内燃機関1の運転状態に基づいて、NOx触媒20の床温推定に必要な吸入新気量Ga、排気温度Tex、排出HC量MHC、排出CO量MCO、排気燃料噴射パルス(又は燃料の噴射量)がRAM353に入力される。
【0137】
吸入新気量Gaは、RAM353に記憶されているエアフローメータ11の出力信号値に基づいて算出される。
【0138】
内燃機関1から排出される排気の温度Tex、該排気に含まれるHC量MHC、該排気に含まれるCO量MCOは、夫々、排気温度マップ、HCマップ、COマップを参照して算出される。
【0139】
ここで、内燃機関1の運転状態とは、機関回転数、吸入空気量、気筒2に噴射される燃料量等であり、この運転状態と排気温度、排気中のHC量、排気中のCO量、との関係を夫々予め求めてマップ化しROM352に記憶しておく。
【0140】
CPU351は、機関回転数とアクセル開度と吸入空気量と燃料噴射量とをパラメータとしてROM352の還元剤添加量制御マップへアクセスし、排気の空燃比を予め設定された目標リッチ空燃比とする上で必要となる燃料の添加量Finjを算出する。
【0141】
ステップ102では、排気枝管18内に添加された燃料の排気枝管18の壁面への付着量MWSUM及び蒸発量MYを算出する。この値は、例えば次式により算出される。
【0142】
WSUM=ΣMf(n)
Y=Y・Mf(n)
f(n)=X・Minj−Y・Mf(n-1)
ここで、Mf:一回の燃料噴射で壁面に付着する燃料量
X :燃料の壁面付着率
Y :壁面付着燃料の蒸発率
inj:一回の燃料(還元剤)の噴射量
である。
【0143】
燃料の壁面付着率X及び壁面付着燃料の蒸発率Yは、排気枝管18の壁面温度、排気の流量、排気の温度に応じて変化することが確認されている。排気の流量は吸入空気量と気筒2内への燃料噴射量との関数として表されるので、壁面温度Texm、吸入空気量Ga、燃料噴射量、壁面付着率X、蒸発率Yの関係を予め実験等により求めておき、それらの関係をマップ化してROM352に記憶しておく。
【0144】
燃料添加前の壁面温度Texmは、例えば排気の温度Texの一時遅れや熱伝達に要する応答遅れとして求められることが知られている。燃料添加が始まった後は前回のルーチンのステップ104で求められた排気枝管18の温度Texaを使用する。
【0145】
ステップ103では、排気枝管18内でのエネルギー計算を行う。これには、排気が有する熱量Qex、排気枝管18が有する熱量Qexm、壁面に付着した燃料が有する熱量QexmX、燃料が蒸発するのに必要な熱量QexmYが必要となる。
【0146】
排気が有する熱量Qexは、例えば次式で表すことができる。
【0147】
ex=Mex・Cex・Tex
ここで、Mexは排気の質量、Cexは排気の比熱、Texは排気の温度であり、排気の質量Mexはエアフローメータ11の出力信号及び気筒2内への燃料主噴射量に基づいて算出し、排気の温度Texはステップ101で算出した排気の温度Texを用いる。尚、排気の比熱Cexは一定とする。
【0148】
排気枝管18が有する熱量Qexmは、例えば次式で表すことができる。
【0149】
exm=Mexm・Cexm・Texm
exmは排気枝管18の質量、Cexmは排気枝管18の比熱、Texmは排気枝管18の温度である。排気枝管18の質量は予め計測してROM352に記憶させておく。排気枝管18の温度Texmはステップ102で求められた値を使用する。
【0150】
壁面に付着した燃料が有する熱量QexmXは、例えば次式で表すことができる。
【0151】
exmX=MWSUM・CexmX・TexmX
WSUMはステップ102で算出した排気枝管18に付着した燃料の質量、CexmXは排気枝管18に付着した燃料の比熱、TexmXは排気枝管18に付着した燃料の温度である。尚、排気枝管18に付着した燃料の比熱CexmXは一定とする。
【0152】
燃料の温度TexmXは吸気温度センサ12で得られた吸入空気の温度に基づいて推定するか還元剤供給路29に燃料温度センサ(図示しない)を設置して算出することができる。
【0153】
燃料が蒸発するのに必要な熱量QexmYは、例えば次式で表すことができる。
【0154】
exmY=MY・RexmY
Yはステップ102で算出した排気枝管18に付着した燃料の蒸発量、RexmYは単位質量当たりの燃料を蒸発させるのに要する蒸発熱である。蒸発熱RexmYは予め求めておきROM352に記憶させておく。
【0155】
ステップ104では、ステップ103の算出結果に基づいてMYの燃料が蒸発した後の排気枝管18の壁面温度Texaを算出する。ここで、排気と排気枝管18との温度が同一温度Texaになり、且つ、燃料の蒸発により奪われた熱量は総て排気と排気枝管18との温度降下に消費されたものと仮定すると、次式が成立する。
【0156】
ex+Qexm+QexmX−QexmY=Mex・Cex・Texa+Mexm・Cexm・Texa+(MWSUM−MY)・CexmX・TexmX
ここで、この式の左辺は燃料蒸発前の熱量の総和を表し、右辺は燃料蒸発後のの熱量の総和を表す。
【0157】
従って、燃料蒸発後の排気枝管18の壁面温度Texaは次式により算出することができる。
【0158】
exa={Qex+Qexm+QexmX−QexmY−(MWSUM−MY)・CexmX・TexmX}/(Mex・Cex+Mexm・Cexm
ステップ105では、排気中に含まれるHCがNOx触媒20で燃焼したときに発生される熱量QHCを算出する。
【0159】
HC=RHC・MHC
ここで、RHCは排気中の単位質量当たりの未燃HCが酸化反応したときに生じる反応熱で、一定の値である。MHCはステップ101で算出した排出HC量である。また、COがNOx触媒20で燃焼したときに発生される熱量QCOも同様に算出する。
【0160】
CO=RCO・MCO
ここで、RCOは排気中の単位質量当たりの未燃COが酸化反応したときに生じる反応熱で、一定の値である。MCOはステップ101で算出した排出CO量である。
【0161】
ステップ106では、NOx触媒20に液体のまま到達した燃料の付着量MCSUM及びNOx触媒20での燃料の蒸発量MCYを算出する。この値は、例えば次式により算出される。
【0162】
CSUM=ΣMCf(n)
CY=Y・MCf(n)
Cf(n)=XC・(Minj−Mf(n))−YC・MCf(n-1)
f(n)=X・Minj−Y・Mf(n-1)
ここで、MCf:一回の燃料噴射でNOx触媒18に付着する燃料量
C :燃料のNOx触媒付着率
C :NOx触媒付着燃料の蒸発率
であり、
f:一回の燃料噴射で壁面に付着する燃料量
X :燃料の壁面付着率
Y :壁面付着燃料の蒸発率
inj:一回の燃料(還元剤)の噴射量
はステップ102で算出された値である。
【0163】
還元剤噴射弁28から排気枝管18へ噴射された燃料は、排気枝管18の壁面に付着するか又は排気と共にNOx触媒20へ流される。排気枝管18に付着せず且つNOx触媒20へ到達する間に蒸発しなかった燃料がNOx触媒20に付着することになる。
【0164】
燃料のNOx触媒付着率XC及びNOx触媒付着燃料の蒸発率YCは、NOx触媒20の床温TC、排気の流量、排気の温度に応じて変化することが確認されている。排気の流量は吸入空気量と気筒2内への燃料噴射量との関数として表されるので、触媒床温、吸入空気量Ga、燃料噴射量、排気の温度Texn、触媒付着率XC、蒸発率YCの関係を予め実験等により求めておき、それらの関係をマップ化してROM352に記憶しておく。
【0165】
燃料添加前の触媒床温TCは、例えば入ガス温度センサ37の出力信号に基づいて算出する。燃料の添加が始まった後は、前回のルーチンのステップ109で求められた触媒床温TCaを使用する。
【0166】
ステップ107では、ステップ102及びステップ106で算出された蒸発燃料がNOx触媒20で燃焼したときに発生される熱量QYを算出する。この熱量QYは例えば次式で示すことができる。
【0167】
Y=RY・(MY+MCY
ここで、RYは単位質量の蒸発燃料が燃焼したときに生じる反応熱で一定の値である。
【0168】
ステップ108では、NOx触媒20でのエネルギー計算を行う。これには、ステップ105で算出された排気中に含まれるHC、COがNOx触媒20で燃焼したときに発生される熱量QHC、QCO及び蒸発した燃料がNOx触媒20で燃焼したときに発生される熱量QYの他に、排気が有する熱量QexC、NOx触媒20が有する熱量QC、NOx触媒20に付着した燃料が有する熱量QCX、燃料が蒸発するのに必要な熱量QCYが必要となる。
【0169】
排気が有する熱量QexCは、例えば次式で表すことができる。
【0170】
exC=MexC・CexC・TexC
ここで、MexCはNOx触媒20に流入する排気の質量、CexCはNOx触媒20に流入する排気の比熱である。排気の質量MexCはエアフローメータ11の出力信号及び気筒2内への燃料主噴射量に基づいて算出され、排気の比熱CexCは一定とする。また、TexCは入ガス温度センサ37により得られる排気の温度である。
【0171】
NOx触媒20が有する熱量QCは、例えば次式で表すことができる。
【0172】
C=MC・CC・TC
ここで、MCはNOx触媒20の質量、CCはNOx触媒20の比熱でありこれら質量MC及び比熱CCは一定である。TCは触媒反応が起こる前のNOx触媒20の触媒床温であり、ステップ106で求められた値を使用する。
【0173】
NOx触媒20に付着した燃料が有する熱量QCXは、例えば次式で表すことができる。
【0174】
CX=MCSUM・CCX・TexmX
CSUMはステップ106で算出したNOx触媒20に付着した燃料の質量、CCXはNOx触媒20に付着した燃料の比熱、TexmXはステップ103で算出された燃料の温度である。
【0175】
燃料が蒸発するのに必要な熱量QCYは、例えば次式で表すことができる。
【0176】
CY=MCY・RexmY
CYはステップ106で算出したNOx触媒20に付着した燃料の蒸発量、RexmYはステップ103で求めた単位質量当たりの燃料を蒸発させるのに要する熱量である。
【0177】
ステップ109では、ステップ108の算出結果に基づいてNOx触媒20の床温を算出する。ここで、NOx触媒20で触媒反応により発生した熱が総て排気及びNOx触媒の加熱に消費され、燃料の蒸発により奪われた熱量は総て排気と排気枝管18との温度降下に消費され、排気とNOx触媒20との温度が同一温度TCaになったものと仮定すると、次式が成立する。
【0178】
exC+QC+QHC+QCO+QY+QCX−QCY=MC・CC・TCa+MexC・CexC・TCa+(MCSUM−MCY)・CCX・TCX
ここで、この式の左辺は触媒反応前の熱量の総和を表し、右辺は触媒反応後の熱量の総和を表す。
【0179】
従って、触媒反応後のNOx触媒20の触媒床温TCaは次式により算出することができる。
【0180】
Ca={QexC+QC+QHC+QCO+QY+QCX−QCY−(MCSUM−MCY)・CCX・TCX}/(MC・CC+MexC・CexC
ステップ109の実行完了により、本ルーチンの第1回目の処理サイクルが完了し、ECU35は、第2回目の処理サイクルを実行すべくステップ101に戻る。そして、第2回目以後の処理サイクルにおけるステップ108では、前サイクルのステップ107で算出した触媒床温TCを用いて、触媒反応前のNOx触媒が有する熱量QCを算出する。
【0181】
ECU35は、ステップ101からステップ109の処理を繰り返し実行して、刻々と変化するNOx触媒の触媒床温を推定し、更新していく。そして、更新された最新の触媒床温がNOx触媒20の触媒床温として、この排気浄化装置の種々の制御に利用されることになる。
【0182】
したがって、この実施の形態における排気浄化装置では、NOx触媒20の触媒床温を直接計測することなく、NOx触媒の触媒床温を知ることができる。
【0183】
推定されたNOx触媒20の床温は触媒20に流入する排気の温度で推定されているため実際の触媒床温に対する応答遅れ等問題はない。よって、触媒床温に応じた機関運転制御や還元剤添加制御を実際の触媒床温に対して遅れなく実行でき、以て触媒の性能を最大限に引き出すことができる。
【0184】
このように、この排気浄化装置ではNOx触媒20の触媒床温を推定することができるので、触媒床温を直接計測する温度検出手段は不要なのであるが、この実施の形態では、排気浄化装置に対するフェールセーフを実現するために、NOx触媒20の下流に出ガス温度センサ24を設けている。この実施の形態のフェールセーフシステムでは、出ガス温度センサ24で実測された出ガス温度を触媒床温の実測値(以下、実測触媒床温という)TC2として代用する。
【0185】
前記実測触媒床温TC2が、前述した触媒床温推定処理の実行により推定されたNOx触媒20の触媒床温(以下、推定触媒床温という)TCaよりも大幅に低い場合には、還元剤噴射弁28から排気中に供給された燃料(HC)がNOx触媒20で反応せずにNOx触媒20に付着していると考えられる。このようにNOx触媒20に付着したHCは、所定の温度条件を満足したときに燃焼し始めてNOx触媒20の触媒床温を異常上昇させ、NOx触媒20の熱劣化を促進する虞れがある。
【0186】
一方、前記実測触媒床温TC2が推定触媒床温TCaよりも大幅に高い場合には、還元剤噴射弁28から排気中に供給された燃料(HC)量が指令供給量よりも多いと考えられ、原因として流量調整弁30の作動不良などが考えられる。
【0187】
また、入ガス温度センサ37の経時変化により排気の温度が正確に得られなくなると、NOx触媒20の床温を精度良く制御することは困難となる。
【0188】
そこで、この実施の形態の排気浄化装置では、推定触媒床温TCaと実測触媒床温TC2の誤差△tが所定の許容誤差範囲から外れている場合には、排気浄化装置が異常であると判定して、還元剤噴射弁28からの燃料添加の実行を禁止することにした。
【0189】
この実施の形態では、ECU35が異常判定処理ルーチンを実行することにより、本発明における異常判断手段が実現される。
【0190】
出ガス温度センサ24はNOx触媒20下流の排気の温度を計測しており、実際の触媒床温に対して遅れがあるものの、それに近い値を検出している。この値を用いることにより、入ガス温度センサ37では計測不可能な、装置の故障等に起因した触媒の過加熱を検出し、フェールセーフを確実に実現することができる。
【0191】
【発明の効果】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置によれば、触媒の床温を正確に且つ遅れなく知ることができ、内燃機関の運転制御や還元剤の供給制御を精度良く行うことができる。また、触媒の過加熱を検出することにより触媒の熱劣化を防止することができる。
【0192】
この結果、排気エミッションの悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る内燃機関の排気浄化装置を適用する内燃機関とその吸排気系の概略構成を示す図
【図2】 (A)吸蔵還元型NOx触媒のNOx吸収メカニズムを説明する図(B)吸蔵還元型NOx触媒のNOx放出メカニズムを説明する図
【図3】 ECUの内部構成を示すブロック図
【図4】 本発明に係る触媒床温推定方法を示すフローチャート図
【符号の説明】
1・・・・内燃機関
2・・・・気筒
3・・・・燃料噴射弁
4・・・・コモンレール
5・・・・燃料供給管
6・・・・燃料ポンプ
18・・・排気枝管
19・・・排気管
20・・・吸蔵還元型NOx触媒
21・・・排気絞り弁
23・・・空燃比センサ
24・・・出ガス温度センサ
25・・・EGR通路
26・・・EGR弁
27・・・EGRクーラ
28・・・還元剤噴射弁
29・・・還元剤供給路
30・・・流量調整弁
31・・・遮断弁
32・・・還元剤圧力センサ
33・・・クランクポジションセンサ
34・・・水温センサ
35・・・ECU
37・・・入ガス温度センサ
351・・CPU
352・・ROM
353・・RAM
354・・バックアップRAM

Claims (2)

  1. 酸素過剰状態の混合気を燃焼可能とする希薄燃焼式の内燃機関の排気通路に設けられたNOx触媒と、
    前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    前記NOx触媒に流入する排気の温度を計測する入ガス温度計測手段と、
    前記NOx触媒から流出する排気の温度を計測する出ガス温度計測手段と、
    前記入ガス温度計測手段により計測された排気の温度及び前記運転状態検出手段により検出された運転状態に基づいて前記NOx触媒の床温を推定する入ガス触媒床温推定手段と、
    前記入ガス触媒床温推定手段が推定した前記NOx触媒の床温に基づいて前記NOx触媒に還元剤を供給する還元剤供給手段と、
    前記出ガス温度計測手段で計測された排気の温度に基づいて前記NOx触媒の床温を検出する出ガス触媒床温検出手段と、
    前記出ガス触媒床温推定手段が推定した前記NOx触媒の床温に基づいて前記NOx触媒が異常であるか否かの判断を行う異常判断手段と、
    を具備する内燃機関の排気浄化装置において、
    前記入ガス触媒床温推定手段は、前記内燃機関に吸入される空気の量と、前記内燃機関から排出されるHCの量と、前記還元剤供給手段により供給される還元剤の量と、前記入ガス温度計測手段により計測された排気の温度と、から、前記排気通路及び前記NOx触媒での前記還元剤の付着量及び蒸発量を算出し、この算出値に基づいて前記NOx触媒の床温を推定することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 酸素過剰状態の混合気を燃焼可能とする希薄燃焼式の内燃機関の排気通路に設けられたNOx触媒と、
    前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    前記NOx触媒に流入する排気の温度を計測する入ガス温度計測手段と、
    前記入ガス温度計測手段により計測された排気の温度及び前記運転状態検出手段により検出された運転状態に基づいて前記NOx触媒の床温を推定する入ガス触媒床温推定手段と、
    前記入ガス触媒床温推定手段が推定した前記NOx触媒の床温に基づいて前記NOx触媒に還元剤を供給する還元剤供給手段と、
    を具備する内燃機関の排気浄化装置において、
    前記入ガス触媒床温推定手段は、前記内燃機関に吸入される空気の量と、前記内燃機関から排出されるHCの量と、前記還元剤供給手段により供給される還元剤の量と、前記入ガス温度計測手段により計測された排気の温度と、から、前記排気通路及び前記NOx触媒での前記還元剤の付着量及び蒸発量を算出し、この算出値に基づいて前記NOx触媒の床温を推定することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
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