JP3684548B2 - 研削盤のチャック部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、研削盤のチャック部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワークを載せるためのv形のワーク受け部材とこのワークをワーク受け部材上に押え付けるワーク押え部からなるワーク固定手段を主軸前端面上の主軸中心から外れた位置に設けた構造となされた研削盤のチャック部は存在している(特公平8−347号公報参照)。
【0003】
このチャック部を備えた研削盤によりワークの偏心部などを研削する際は、上記ワーク固定手段でワークを主軸前端部からその前方へ張り出した状態の片持ち状に支持し、主軸の回転中に、ワークの偏心部に砥石を当接させるように実施している。
また、主軸の前端部の回転中心線上にワークを把持するための前後2つのコレットを設けると共にこれらコレットのワーク把持部の径を拡大縮小変形作動させるための駆動部を設けてなるチャック部構造は知られている(実開平4−98505号公報参照)。
このチャック部構造は長いワークを安定的に把持させる上で有益なものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記在来の研削盤のチャック部においては、上記したワーク固定手段にワークを把持させることから、ワーク径の誤差に関連して、主軸とワークとの相対位置に誤差が生じたり、またワーク押え部材の押圧力に起因してワーク受け部材やワークが不均等に変形して、主軸の回転中心線とワークの中心線との平行度が損なわれることに起因して、研削盤による研削の正確性が損なわれる場合があるのである。
【0005】
このような不都合を生じさせることなくワークの偏心部を研削するには、自動的なカム研削作動の得られるものとなされた研削盤の主軸前端部にこれと同心に位置された単一のコレットを備えたコレットチャック部を形成し、このチャック部にワークを主軸前方へ張り出した状態の片持ち状に支持させ、その偏心部をカム研削方式で研削させるようにすればよい。
【0006】
しかし、ワークがコレットに比較して長尺となると、上記コレットチャック部はもはやワークを安定的に支持することができず、やはり正確な研削は行えなくなるのである。
【0007】
本発明は斯かる実情に鑑みてなされたものであって、コレットに対し長尺であるワークであっても、ワークの偏心部などを正確且つ能率的に研削することを可能となすと共にワークの把持解放を的確に行えるものとした研削盤のチャック部構造を提供することを目的とし、さらにはコレットをワークサイズの変更に対応したものに手間少なく交換することをも可能とした研削盤のチャック部構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願の第1発明は、請求項1に記載したように、主軸の前端部の回転中心線上にワークを把持するための前後2つのコレットを設けると共に前記主軸内にこれらコレットのワーク把持部の径を拡大縮小変形作動させるための流体圧駆動部を設けた研削盤のチャック部構造であって、前記流体圧駆動部が前側のコレットをこれに対応したピストン24により後方へ、そして後側のコレットをこれに対応した他のピストン25を介して前側のコレットと一緒に前方へ変位させるものとなされたピストンシリンダ機構と、前後のコレット間に配置された圧縮スプリングとを備えており、前側のコレットがピストンシリンダ機構により後方へ変位されたときは、この変位が圧縮スプリングを押圧し且つ、この押圧された圧縮スプリングが自身の弾力で後側のコレットを後方へ変位させ、このような前後のコレットの変位に関連して、前後のコレットのワーク把持部がその径を縮小変形されてワークの一端部の前後2個所を把持するように作動し、一方、後側のコレットがピストンシリンダ機構により前方へ変位されたときは、前側のコレットも後側のコレットに連動して前方へ押し変位され、このような前後のコレットの変位に関連して、前後のコレットのワーク把持部がその径を拡大変形されてワークの一端部の把持を解放するように作動する構成となされていることを特徴とするものである。
【0009】
これによれば、ワークの把持作動に要する前後のコレットの前後方向変位量が異なっていても、各コレットは圧縮スプリングを介してその必要な前後方向変位量だけ確実に変位されるものとなり、ワークは長さ方向へ適当に離れた周面上の2箇所を前後のコレットのワーク把持部により強固に把持されるものとなる。
【0013】
本願の第2発明は、請求項2に記載したように、主軸の前端部の回転中心線上にワークを把持するための前後2つのコレットを設けると共に前記主軸内にこれらコレットのワーク把持部の径を拡大縮小変形作動させるための流体圧駆動部を設けた研削盤のチャック部構造であって、前記主軸の回転中心個所に一体状のユニットケースをボルトを介して脱着可能に装着すると共に該ユニットケース内に前記前後2つのコレット及び前記流体圧駆動部を装設してあり、また前記流体圧駆動部が前側のコレットをこれに対応したピストン24により後方へ、そして後側のコレットをこれに対応した他のピストン25を介して前側のコレットと一緒に前方へ変位させるものとなされたピストンシリンダ機構と、前後のコレット間に配置された圧縮スプリングとを備えており、前側のコレットがピストンシリンダ機構により後方へ変位されたときは、この変位が圧縮スプリングを押圧し且つ、この押圧された圧縮スプリングが自身の弾力で後側のコレットを後方へ変位させ、このような前後のコレットの変位に関連して、前後のコレットのワーク把持部がその径を縮小変形されてワークの一端部の前後2個所を把持するように作動し、一方、後側のコレットがピストンシリンダ機構により前方へ変位されたときは、前側のコレットも後側のコレットに連動して前方へ押し変位され、このような前後のコレットの変位に関連して、前後のコレットのワーク把持部がその径を拡大変形されてワークの一端部の把持を解放するように作動する構成となされていることを特徴とするものである。
【0014】
これによれば、第1発明の作用と同様な作用が得られるほかに次のような作用が得られるのであって、即ち、前後のコレットの交換装着が、主軸に対するユニットケースの脱着処理により、前後のコレットをユニットケースの外方へ取り出すことなく行えるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1〜図4は本発明の一実施例であるカム研削盤を示しており、図1は平面図、図2は主軸前端部周辺を示す断面図、図3はコレット周辺を示す断面図、図4は前側のコレットを示すものでAは側面図でBは正面図、図5は図2のx−x部の一部省略して示した断面図である。
【0017】
図1に於いて、1はベッドであり、2はベッド1上に設けられたワーク支持テーブルである。このワーク支持テーブル2はベッド1に固定された支持テーブル用サーボモータ3によりベッド1上の左右方向Zsへ送り移動可能となされている。
【0018】
そして、ワーク支持テーブル2の左端部には主軸台4が左右方向Zsの位置調整可能に固定されており、この主軸台4には主軸用サーボモータ5や、このモータ5により主軸回転中心c0回りへ送り回転される左右向きの主軸6が設けられ、さらに主軸6の前端部の内部にはチャック部7が形成されている。
【0019】
9はベッド1上に設けられた砥石台であり、この砥石台9はベッド1に固定された砥石用サーボモータ10によりベッド1上の前後方向Xsへ送り移動可能となされている。そして、砥石台9上には砥石駆動用モータ11や、このモータ11により特定位置で回転駆動される砥石回転軸12や、この回転軸12に固定されてこの回転軸12と同体状に回転される砥石13等が設けてある。
【0020】
次に主軸前端部周辺の構造について説明する。
図2に示すように前記主軸台4の台フレーム4aに主軸支持筒14を内嵌してボルト固定し、この主軸支持筒14の内孔に主軸6を内挿し、この主軸6の前端部の径大部6aと主軸支持筒14の内周面との間に主軸6を回転自在に支持するための軸受15を設けている。この軸受15は前後一対の転がり軸受15a、15aからなり、これら転がり軸受15a、15aは主軸支持筒14及び主軸6に形成された段部a1、a2、主軸支持筒14の前端面にボルト固定された環状板部材16、転がり軸受15a、15a間に配置された筒状スペーサ部材17、及び、前記径大部6aに螺着されたナット部材18によって位置決めされている。この際、主軸6はその後部をも図示しない軸受で支持されて特定位置にて安定的に回転するものとなされている。
【0021】
主軸6の内部には主軸6と同心状となされた段付の内孔が形成してあり、この内孔に筒状のユニットケース19が抜き挿し可能に内嵌され、その鍔部190を主軸6の前端面に当接させボルト固定している。図3に示すように、ユニットケース19は前記鍔部190を具備した中央ケース部19aを有し、この中央ケース部19aの前側に前側ケース部19bを、そして後側に後側ケース部19cを位置させるほか、後側ケース19cの後側に延長ケース部19dを位置させ、これら4つのケース部を液密状にボルト結合したものとなされている。
【0022】
この際、中央ケース部19aは主軸6の内孔に内嵌される比較的長い筒状胴部191を有すると共にこの筒状胴部191の内孔を主軸と同心の段付き状となされ、この内孔の径大部の一部を中央部前ピストン案内面となされ径小部の一部を中央部後ピストン案内面となされるほか、肉厚部に2つの独立した油通路b2、b3を形成したものとなされている。
【0023】
前側ケース部19bは中央ケース部19aの内孔前部に内嵌される筒部192と中央ケース部19aの前端面に当接されてボルト固定される鍔部193とを備えると共に主軸6と同心の内孔を有し、この内孔の前部を前テーパ雌面部c1となされ後部を前側ピストン案内面c2となされている。そして後側ケース部19cは主軸6の内孔に内嵌される比較的短い筒状胴部194を有すると共にこの筒状胴部194の内孔を主軸6と同心の後テーパ雌面部d1となされている。
【0024】
さらに延長ケース部19dは主軸6の内孔に内挿される比較的長い筒状胴部195とこの筒状胴部195の後端を閉鎖した後面壁部196と後側ケース部19cの後端面にボルト固定される鍔部197とを有すると共に主軸6と同心となされ前面のみ開放された内孔eを有するほか前記後端面196にボルト固定され半月形係止部e1を前方へ突出されたキー部材198を有するものとなされている。
【0025】
上記前テーパ雌面部c1の内方には1つのコレット20が内嵌させてあり、このコレット20は図4に示すようにテーパ雄面部201と直胴部202を有し、直胴部202の長さ途中の外周面箇所に雄ネジ部fを形成すると共に全体に主軸6と同心となされた内孔を有し、テーパ雄面部201の先端面から内孔長手方向の切込みf1をテーパ雄面部201中心線回りの等間隔角度箇所に形成してこれら切込みf1間箇所をテーパ雄面部201半径方向の弾力変形可能となし、且つテーパ雄面部201の内孔周面をワーク把持部f2となしたものとなされている。
【0026】
そして上記後テーパ雌面部d1の内方にも1つのコレット21が内嵌させてあり、このコレット21はテーパ雄面部211と直胴部212を有し、直胴部212の前端部に環状バネ受け部213を形成すると共に全体に主軸6と同心となされた内孔を有し、先のコレットと同様にテーパ雄面部211の先端面からテーパ雄面部211長手方向の切込みgをテーパ雄面部211中心線回りの等間隔角度箇所に形成してこれら切込みg間箇所をテーパ雄面部211半径方向の弾力変形可能となし、且つテーパ雄面部211の内孔の周面をワーク把持部g1となしたものとなされている。
【0027】
上記ユニットケース19の内孔の内方箇所で前側のコレット20と後側のコレット21との間箇所にこれらコレット20、21のワーク把持部201、211の径を拡大縮小変形作動させるための流体圧駆動部22が形成してある。この流体圧駆動部22は、前側のコレット20と後側のコレット21のうち任意な何れか一方のコレットを主軸6前後方向へ変位させるためのピストンシリンダ機構22aと、前後のコレット20、21の間に配置された圧縮スプリング23とを備え、何れか一方のコレットがその対応するピストンシリンダ機構22aにより前後方向へ変位されたとき、この変位が圧縮スプリング23を押圧し、この押圧により弾性変形された圧縮スプリング23が自身の弾力で他方のコレットを押圧するように作動する構成となすのであり、詳細には次のようになされている。
【0028】
即ち、ピストンシリンダ機構22aは前側ピストン24と後側ピストン25を備えると共に、前側ピストン24を後側へ変位させるための前シリンダ室26と、後側ピストン25を前側へ変位させるための後シリンダ室27とを備えたものとなしてある。
【0029】
この際、前側ピストン24は径大部241とOリングの嵌着された径小部242とを有すると共に全体に内孔を形成され、この内孔の前部に雌ネジ部hを有すると共に図5に示すように径大部241の後端面の同心円軌跡h1上に列設された6個からなる凹み状のバネ座h2を有するものとなされており、且つ、径大部241を中央ケース部19aの中央部前ピストン案内面に密状に嵌挿され、径小部242を前側ケース部19bの前側ピストン案内面c2に液密状に嵌挿され、雌ネジ部hを前側のコレット20の雄ネジ部fに螺合させてこのコレット20と同体状になされている。この際、前側ピストン24の後端面にはOリング28が嵌着してあり、この後端面はOリング28を介して後側ピストン25の前端面と液密状に当接され或いは液密状に近接するものとなされる。また径大部241の外周面には必要に応じて前シリンダ室26内空間の液密を確保するためのOリングが設けられる。
【0030】
後側ピストン25は径大部251とOリングの嵌着された径小部252とを有すると共に全体に内孔を形成され、この内孔の前部を径大孔となされると共に後部を径小孔となされており、且つ、径大部251を中央ケース部19aの中央部前ピストン案内面に液密状に嵌挿され、径小部252を中央部後ピストン案内面に液密状に嵌挿されると共に、前記径大孔内に後側のコレット21の環状バネ受け部213を内挿され、前記径小孔にこのコレット21の直胴部212を内挿されている。
【0031】
前シリンダ室26は中央ケース部19aの内面と、前側ケース部19bの内面と、前側ピストン24の外周面とで囲まれた液密状の空間からなり、後シリンダ室27は中央ケース部19aの内面と、後側ピストン25の外周面とで囲まれた液密状の空間からなっている。そして油通路b2は後シリンダ室27に連通され、また油通路b3は前シリンダ室26に連通されているのであり、これら2つの油通路b2、b3は図示しない適宜な油圧動力発生装置に連通される。
【0032】
上記圧縮スプリング23は図5に示すバネ座h2を介して6個装着されており、各圧縮スプリング23は前側ピストン24の後端面の1つのバネ座h1と、後側のコレット21の環状バネ受け部213の前面箇所との間に圧縮状となされて装着されているのであり、これらスプリング23は後側のコレット21を自身の弾力で離反させるように作用するものである。
【0033】
次に上記のように構成した本発明に係る研削盤について、ワークの偏心部を研削する場合の使用例や各部の作動について説明する。
図2に示すように、ワークwとしての圧縮機用シャフトはジャーナル部w1と偏心ピン部w2とを備えたものであり、既に前加工によりジャーナル部w1は仕上研削が終了しており偏心ピン部w2の仕上げ研削が残されているものである。
【0034】
先ずワークwのジャーナル部w1を主軸6のチャック部7に挿入して把持させる場合について説明する。
図示しない操作盤のスイッチを操作するなどして、油圧動力発生装置から油通路b2を経て後シリンダ室27内に圧力油を流入させるのであり、この際、前シリンダ室26内の作動油は適当大きさの圧力を保持されつつ油通路b3を経て流出される。後シリンダ室27内に流入されて充満した圧力油は後側ピストン25を直接に主軸6前方へ押し移動させるのであり、この押し移動は前側ピストン24を前方へ押し移動させるものとなる。このときのコレット20、21はワークwを把持してない状態にあるのでテーパ雌面部c1、d1に強く嵌合した状態とはなっていないため圧力油による比較的小さい押圧力で前方へ変位される。
【0035】
この際、後側ピストン25は後側のコレット21にその環状バネ受け部213を介して前方への駆動力を付与し、このコレット21を前方へ変位させるのであり、一方、前側ピストン24はこれと一体状の前側コレット20に直接に前方への駆動力を付与して、このコレット20を前方へ変位させる。この結果、後側のコレット21のテーパ雄面部211はこれを包囲したテーパ雌面部d1から離れて自由状態となるため、自身の弾性により、そのワーク把持部g1は拡径変形し、また前側のコレット20のテーパ雄面部201も後側のものと同様にこれを包囲したテーパ雌面部c1から離れて自由状態となるため、自身の弾性により、そのワーク把持部f2は拡径変形するのである。
【0036】
この状態の下で、ワーク供給機による自動的な作動により或いは作業者による手作業によりワークwの比較的長いジャーナル部w1を図2に示すように前後側のコレット20、21の内孔内に挿入し、その後端部を延長ケース部19dの内孔内の最奥部に到達させ、キー部材198の半月形係止部e1を前記ジャーナル部w1の後端の回転位相決め用切欠箇所に密状に嵌合させる。
【0037】
次にチャック部7に挿入されたジャーナル部w1をコレット20、21に把持させる処理を行うのであり、このため半月形係止部e1が回転位相決め用切欠箇所に嵌合した状態を保持したまま、図示しない操作盤のスイッチを操作するなどして、油圧動力発生装置から油通路b3を経て前シリンダ室26内に圧力油を流入させるのであり、この際、後シリンダ室27内の作動油は適当大きさの圧力を保持されつつ油通路b2を経て流出される。前シリンダ室26内に流入されて充満した圧力油は前側ピストン24を直接に主軸6後方へ押し移動させるのであり、この押し移動は圧縮スプリング23をその押し力に関連した量だけ圧縮変形させてその弾力を上昇させるのであり、この上昇された弾力が後側のコレット21を後方へ押し移動させるものとなる。
【0038】
この際、前側ピストン24は前側のコレット20に直接的に後方への駆動力を付与して、このコレット20を後方へ変位させる。そして、後側ピストン25は後側のコレット21の環状バネ受け部213を介して後方へ変位される。この結果、前側のコレット20のテーパ雄面部201はこれを包囲したテーパ雌面部c1から楔作用による縮径力を付与されるため、自身の弾性により、そのワーク把持部f2が縮径変形してその内方のジャーナル部w1を強く把持し、また後側のコレット21のテーパ雄面部211も前側のものと同様にこれを包囲したテーパ雌面部d1から楔作用による縮径力を付与されるため、自身の弾性により、そのワーク把持部g1が縮径変形してその内方のジャーナル部w1を強く把持する。
【0039】
この把持状態では比較的長いジャーナル部w1の適当に離れた前後2箇所を前後のコレット20、21のワーク把持部f2、g1で主軸6の回転中心と同心状に強固に固定されるため、このワークwは単一のコレットで固定する場合に較べてその支持安定性を大幅に向上された状態となる。この後、図示しないコンピュータ数値制御装置が主軸6や砥石台9の移動を制御することにより、そのワークwの偏心ピン部w2の周面は砥石13により断面真円状に研削されるのである。
【0040】
この研削において、図2に示すように主軸6に固定されたワークwの成る可く先端側となる部位の周面箇所で砥石13の接触する側の真反対となる箇所に必要に応じて当て金w0をワークwの回転の許容される状態に当接させて位置決め固定することも差し支えない。このようにすれば、ワークwの研削中、砥石13がワークw長さ方向の任意箇所を押しても、当て金w0が砥石13押し力に抗するように作用し、ワークwの撓みが当て金w0の存在しない場合に較べて抑制されるものとなる。
【0041】
次にワークwのジャーナル部w1のコレット20、21による把持を解放してチャック部7から抜き出す場合について説明する。
図示しない操作盤のスイッチを操作するなどして、既述したと同様に、油圧動力発生装置から油通路b2を経て後シリンダ室27内に圧力油を流入させる。これにより先と同様に、後シリンダ室27内に流入した圧力油は後側ピストン25を直接に主軸6前方へ押し移動させるのであり、またこの押し移動は後側ピストン25の前端面で前側ピストン24の後端面のOリング28箇所を押されて前方へ変位するものとなる。このとき前後のコレット20、21は先の場合とは異なってワークwを強固に把持した状態であってテーパ雌面部c1、d1に強く嵌合した状態となっているため、圧力油から比較的大きい押圧力を付与されたとき初めて前方へ変位される。
【0042】
従って、前後のコレット20、21の変位に要する力(前後のコレット20、21のワーク把持力)が相違していても前後のコレット20、21は支障なく前方変位されて、後側のコレット21のテーパ雄面部211はこれを包囲したテーパ雌面部d1から離れて自由状態となり、そのワーク把持部g1は自身の弾性により拡径方向へ復元変形してジャーナル部w1から離れるようになり、また前側のコレット20のテーパ雄面部201も後側のものと同様にこれを包囲したテーパ雌面部c1から離れて自由状態となり、そのワーク把持部f2は自身の弾性により拡径方向へ復元変形してジャーナル部w1から離れるようになるのである。この状態の下で、ワーク取出機による自動的な作動により或いは作業者の手作業によりジャーナル部w1を前後側のコレット20、21の内孔内から抜き出すようにする。
【0043】
この実施例において、前側ピストン24と後側コレット21との間に圧縮スプリング23を設けたことは、前後のコレット20、21でジャーナル部w1を把持する場合においてそれぞれのコレット20、21によるジャーナル部w1の強固な把持に必要なそれぞれのコレット20、21の前後変位量が相違する(このコレット20、21の前後変位量はコレット20、21などの形状誤差からコレット20、21毎に相違しているのが通常である。)場合においても、前側のコレット20は前側ピストン24の変位でこのコレット20による強固なワーク把持に必要な前後変位量だけ移動され、後側のコレット21は弾性変形による長さ変位可能な圧縮スプリング23でこのコレット21による強固なワーク把持に必要な前後変位量だけ移動されるものとなり、従ってそれぞれのコレット20、21は異なる必要量だけ変位されて何れもジャーナル部を強固に把持するものとなる。
【0044】
また前側ピストン24の後端面にOリング28を設けたことは、前側ピストン24の後端面と後側ピストン25の前端面とがOリング28の弾性変形量の範囲内で近接離反してもOリング28の弾性変形により常にそれらの対向間箇所が液密状に保持されることを可能となすのであり、また前シリンダ室26内の油圧と後シリンダ室27内との油圧とのバランス状態を適当に制御することにより、前後のピストン24、25の対向間箇所の液密状態を保持したまま、前後のコレット20、21をワーク把持作動或いはワーク解除作動させることが可能となる。このようにすれば、前後のシリンダ室26、27内の作動油がOリング28箇所を通じて前後ピストン24、25の内方に進入する現象が抑制される。
【0045】
【発明の効果】
上記した本願発明によれば、次のような効果が得られるのである。
即ち、請求項1記載のものによれば、比較的長尺なワークであっても、ワークの一端部の適当に離れた2箇所を一対のコレットのそれぞれに把持させて、ワークを主軸前方へ張り出した片持ち状に安定的に支持させることができるのであり、またワークの把持又は解放作動に要する各コレットの前後変位量が異なったものであっても、それぞれのコレットによるワーク把持又は解放作動を行わせることができるものであり、従ってワークの偏心部などを研削盤のカム研削作動の利用により正確且つ能率的に研削することが可能となるのである。
【0049】
請求項2に記載したものによれば、一体状のユニットケースを主軸に対し脱着することにより、コレットや、ユニットケース内の流体圧駆動手段を、ユニットケース内から外方へ取り出すことなく他のものに交換することができ、ワークサイズの変更などに簡易迅速に対応できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るカム研削盤の平面図である。
【図2】 前記カム研削盤の主軸前端部周辺を示す断面図である。
【図3】 前記カム研削盤のコレット周辺を示す断面図で、上半分は各コレットを主軸前方へ変位させた状態を示し、下半分は各コレットを主軸後方へ変位させた状態を示している。
【図4】 前記カム研削盤の前側のコレットを示すもので、Aは側面図でBは正面図である。
【図5】 図2のx−x部の一部省略して示した断面図である。
【符号の説明】
4 主軸台
6 主軸
15 軸受
15a 転がり軸受
19 ユニットケース
20 コレット
21コレット
22 流体圧駆動部
22a ピストンシリンダ機構
23 圧縮スプリング
24 前側ピストン
25 後側ピストン
f2 ワーク把持部
c1 テーパ雌面部
d1 テーパ雌面部
201 テーパ雄面部
211 テーパ雄面部
g1 ワーク把持部
w ワーク
Claims (2)
- 主軸の前端部の回転中心線上にワークを把持するための前後2つのコレットを設けると共に前記主軸内にこれらコレットのワーク把持部の径を拡大縮小変形作動させるための流体圧駆動部を設けた研削盤のチャック部構造であって、前記流体圧駆動部が前側のコレットをこれに対応したピストン24により後方へ変位させ、そして後側のコレットをこれに対応した他のピストン25を介して前側のコレットと一緒に前方へ変位させるものとなされたピストンシリンダ機構と、前後のコレット間に配置された圧縮スプリングとを備えており、前側のコレットがピストンシリンダ機構により後方へ変位されたときは、この変位が圧縮スプリングを押圧し且つ、この押圧された圧縮スプリングが自身の弾力で後側のコレットを後方へ変位させ、このような前後のコレットの変位に関連して、前後のコレットのワーク把持部がその径を縮小変形されてワークの一端部の前後2個所を把持するように作動し、一方、後側のコレットがピストンシリンダ機構により前方へ変位されたときは、前側のコレットも後側のコレットに連動して前方へ押し変位され、このような前後のコレットの変位に関連して、前後のコレットのワーク把持部がその径を拡大変形されてワークの一端部の把持を解放するように作動する構成となされていることを特徴とする研削盤のチャック部構造。
- 主軸の前端部の回転中心線上にワークを把持するための前後2つのコレットを設けると共に前記主軸内にこれらコレットのワーク把持部の径を拡大縮小変形作動させるための流体圧駆動部を設けた研削盤のチャック部構造であって、前記主軸の回転中心個所に一体状のユニットケースをボルトを介して脱着可能に装着すると共に該ユニットケース内に前記前後2つのコレット及び前記流体圧駆動部を装設してあり、また前記流体圧駆動部が前側のコレットをこれに対応したピストン24により後方へ、そして後側のコレットをこれに対応した他のピストン25を介して前側のコレットと一緒に前方へ変位させるものとなされたピストンシリンダ機構と、前後のコレット間に配置された圧縮スプリングとを備えており、前側のコレットがピストンシリンダ機構により後方へ変位されたときは、この変位が圧縮スプリングを押圧し且つ、この押圧された圧縮スプリングが自身の弾力で後側のコレットを後方へ変位させ、このような前後のコレットの変位に関連して、前後のコレットのワーク把持部がその径を縮小変形されてワークの一端部の前後2個所を把持するように作動し、一方、後側のコレットがピストンシリンダ機構により前方へ変位されたときは、前側のコレットも後側のコレットに連動して前方へ押し変位され、このような前後のコレットの変位に関連して、前後のコレットのワーク把持部がその径を拡大変形されてワークの一端部の把持を解放するように作動する構成となされていることを特徴とする研削盤のチャック部構造。
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