JP3684174B2 - 生分解性釣り糸およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性樹脂を用いた釣り糸、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、釣り糸には強度、紡糸性の良いポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン等からなる合成繊維が主に使用されている。しかしながらこれらの釣り糸は分解性がないため、使用中に切断されて放置されたり、使用後に捨てられたりした場合は、その形状のまま半永久的に残存し、環境を汚染する恐れがあるうえ、野生動物に被害を与えるケースもある。
【0003】
一方、環境保護の観点から、廃棄物の削減と廃棄物の安全性の向上が世界的に叫ばれている現在、人体に対して無害であり、かつ微生物等の作用により経時的に分解可能な樹脂、すなわち、生分解性の樹脂の開発が進められている。
例えば、多くの微生物がポリエステル構造を有する生分解性樹脂(ポリヒドロキシアルカノエート:以下PHAと略記する場合もある)を生産し、菌体内に蓄積することが報告されている(「生分解性プラスチックハンドブック」、生分解性プラスチック研究会編、(株)エヌ・ティー・エス発行、P178−197、1995)。このようなPHAは、その生産に用いる微生物の種類や培地組成、培養条件等により、様々な組成や構造のものとなり得ることが知られており、これまで主に物性の改良という観点から、生産されるPHAの組成や構造の制御に関する研究がなされ、様々な医療、農林水産、サニタリー、スポーツ・レジャー等の分野でディスポーザブル材料として用いられている。
【0004】
その中で、生分解性樹脂を用いた釣り糸については、特開平3−183428号公報にはポリグリコール酸を使用した釣り糸が、特開平5−59611号公報にはポリカプロラクトンを使用した釣り糸が開示されている。
【0005】
また、特開平8−188706号公報にはポリカプロラクトンと微生物生産直鎖状ポリエステル樹脂の混合物を含む分解性釣り糸が、特開平11−276044号公報には、ラクトン樹脂単独若しくはラクトンと他の生分解性樹脂(脂肪族ポリエステル、生分解性セルロースエステル、ポリペプチド、ポリビニルアルコール、澱粉、セルロース、カラギーナン、キチン・キトサン質、天然直鎖状ポリエステル系樹脂)から成る分解性釣り糸が開示されている。
【0006】
更に、特開2001−40529には、ポリ乳酸重合体と脂肪族ポリエステルから成るモノフィラメントが開示され、釣り糸としての応用が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、生分解性樹脂の釣り糸への応用に関する発明は様々になされてきているが、その加工性、機械的強度、柔軟性といった物性、安全性、及び生分解性の全てを十分に満たすような優れた材料の開発が重要な課題である。
【0008】
本発明は、安全性が高く人体や環境等に悪影響を及ぼさない製品を目指してなされたもので、自然界での分解性をもち、かつ、釣り糸に要求される諸特性、例えば実際の使用に耐えうる機械的強度、及び柔軟性を有する釣り糸、及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【問題点を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討したところ、特定のモノマーユニット組成を有するポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含有させた樹脂において、機械的強度、柔軟性、生分解性等において、性能の良い釣り糸を形成することができることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
即ち、本発明は、下記一般式[1]で表されるモノマーユニット組成を有するポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含有してなる釣り糸である。
m(1-m) [1]
(ただし、Aは下記一般式[2]から[7]で表されるモノマーユニットから選択される少なくとも1種類であり、Bは下記一般式[8]あるいは[9]で表されるモノマーユニットから選択される少なくとも1種類であり、mは0.01以上、1以下である)
【0011】
【化15】
Figure 0003684174
(ただし、式中bは0から7の整数のいずれかを表し、R2は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。)
【0012】
【化16】
Figure 0003684174
(ただし、式中cは1から8の整数のいずれかを表し、R3は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。)
【0013】
【化17】
Figure 0003684174
(ただし、式中dは0から7の整数のいずれかを表し、R4は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。)
【0014】
【化18】
Figure 0003684174
(ただし、式中eは1から8の整数のいずれかを表し、R5は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C25、−C37、−CH3、−C25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。)
【0015】
【化19】
Figure 0003684174
(ただし、式中fは0から7の整数のいずれかを表す。)
【0016】
【化20】
Figure 0003684174
(ただし、式中gは1から8の整数のいずれかを表す。)
【0017】
【化21】
Figure 0003684174
(ただし、式中nは0〜10であり、kは3または5である。)
上記ポリヒドロキシアルカノエートの数平均分子量は5,000以上、1,000,000以下であることが好ましい。
【0018】
また、本発明の釣り糸における上記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂含有率は好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上である。上記ポリヒドロキシアルカノエート以外の成分としては、上記ポリヒドロキシアルカノエート以外の生分解性樹脂及び樹脂添加剤が利用でき、生分解樹脂としては脂肪族ポリエステル、生分解性セルロースエステル、ポリペプチド、ポリビニルアルコール等の合成高分子或いはデンプン、セルロース、カラギーナン、キチン、キトサン等の天然高分子が挙げられ、樹脂添加剤としては、可塑剤、熱安定剤、滑剤、ブロッキング防止剤、光分解剤、生分解促進剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、防臭剤、充填材、着色剤が挙げられるが、これらの成分についての詳細は後述する。
【0019】
また、本発明の釣り糸の引張強度は5.5g/d以上、結節強度は4.5g/d以上であることが好ましく、破断伸び率が10%以上であることが好ましい。
【0020】
更に本発明の他の態様は、上記ポリヒドロキシアルカノエートの少なくとも1種を含む紡糸用の原料、例えば上記ポリヒドロキシアルカノエートと上記のそれ以外の成分を混合した混合物を調製する工程と、この原料を紡糸する工程と、得られた未延伸糸を延伸する工程と、を有することを特徴とする、釣り糸の製造方法である。これら工程の詳細についても後述する。
【0021】
本発明によれば、安全性が高く人体や環境等に悪影響を及ぼさない製品を目指してなされたもので、自然界での分解性をもち、かつ、釣り糸に要求される諸特性、例えば実際の使用に耐えうる機械的強度、及び柔軟性を有する釣り糸、及びその製造方法を提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
【0023】
一般式[1]で表されるモノマーユニット組成のPHAは、生分解性樹脂としての基本骨格を有しており、安全性が高く、人体や環境等に悪影響を及ぼさない効果が期待できる。このPHAは、従来のプラスチックと同様、溶融加工等により各種製品の生産に利用することができるとともに、石油由来の合成高分子とは異なり、生物により分解されうるという際立った特性を有している。従って、廃棄した際、このPHAは生分解されることにより、自然界の物質循環に取り込まれるので、従来利用されていた、多くの合成高分子化合物のように自然環境に残留して汚染を引き起こすことがない。さらに、生分解処理を行うことで、燃焼処理を行う必要もないため、大気汚染や地球温暖化を防止するという観点でも有効な材料であり、環境保全型プラスチックとして利用することができる。
【0024】
更に具体的には、本発明において使用する一般式[1]で示されるモノマーユニット組成を有するPHAは、3−ヒドロキシアルカノエートをモノマー単位とするポリエステル樹脂であって、置換基としてフェニル、フェノキシ、シクロヘキシル、ベンゾイル、チエニル及びチエノイルの何れかの置換基を少なくとも1種類含むものである。ここで、このような化合物を微生物により生産した場合、このPHAはR体のみからなるアイソタクチックなポリマーであるが、本発明の目的を達成しうる物性であれば、特にアイソタクチックなポリマーである必要はなく、アタクチックなポリマーについても利用することが可能である。また、ポリヒドロキシアルカノエート化合物の開環重合などを利用した化学合成法により一般式[1]のモノマー組成を有するPHAを得ることも可能である。
【0025】
一般式[1]における、Aで示すユニットは、一般式[2]〜[7]で表される基から目的に応じて適宜選択することが可能であり、更に、一般式[2]〜[5]中に示す側鎖構造のR2〜R5としては、水素原子、フッ素原子(F)、パーフルオロアルキル基(トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基)からなる群から選ばれる1種以上の官能基を選択することが可能である。また、一般式[5]におけるR5はさらに炭素数3までのアルキル基からなる群から選ばれる1種以上の原子あるいは官能基を選択することが可能である。また、これらの原子あるいは官能基は、適宜組み合わせて用いることも可能である。更に、一般式[2]〜[7]で表されるユニットの側鎖メチレンの炭素数は1〜8までの整数から任意に選択することができる。
【0026】
一般式[1]におけるBは、一般式[8]及び[9]で表されるモノマーユニットから選択された少なくとも1種であり、式中のnは0〜10の整数、kは3または5のうちのいずれかである。
【0027】
また、一般式[1]のA及びBの組成比は目的に応じて適宜変化させることも可能であり、該AとBの組成比、及びその構造を選択することにより、目的にあった機械的強度、熱的特性、柔軟性等を有するポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を得ることが可能となる。
【0028】
ここで、一般式[1]のモノマーユニット組成を有するPHAを微生物により生産する場合、このPHAは一般式[2]〜[7]で表されるモノマーユニットを複数種含み得るが、必要とするポリマーの物性を考慮の上、適当数を含むように設計すると良い。一般には10種類程度までの一般式[2]〜[7]で表されるモノマーユニットを含むことで本発明の目的を十分に達成することが期待できる。さらに、微妙な物性の制御を望む場合、より多くのモノマーユニットで構成することも可能である。
【0029】
また、R2〜R5の置換位置については、オルト、メタあるいはパラ位の何れにおいても対応するモノマーユニットからなるポリヒドロキシアルカノエートを取得することが可能であるが、機能性、物性などが何れの異性体においても大きな相違が無い場合、収率あるいはポリマー中への取り込まれ易さにおいてメタ位あるいはパラ位における置換体を好適に用い得る。
【0030】
このPHAの微生物を用いた生産は、例えば以下の培養工程/回収工程により行うことができる。
(培養工程)
本発明にかかるポリヒドロキシアルカノエートの製造方法に用いる微生物は、一般式[1]で表されるモノマーユニット組成を有するPHAを生産しうる微生物であれば如何なる微生物であってもよいが、その一例としては、シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物が挙げられる。さらに詳しくは、微生物がシュードモナス・チコリアイ YN2株(Pseudomonas cichorii YN2;FERM BP-7375)、シュードモナス・チコリアイ H45 株(Pseudomonas cichorii H45、FERM BP-7374)、シュードモナス・ジェッセニイ P161株(Pseudomonas jessenii P161、FERM BP-7376)、シュードモナス・プチダP91株(Pseudomonas putida P91、FERM BP-7373)が挙げられる。これら4種の微生物は経済産業省 産業技術総合研究所(旧 通商産業省 工業技術院)生命工学工業技術研究所に寄託されており、特願平11-371863号に記載されている微生物である。
【0031】
本発明にかかるポリヒドロキシアルカノエートの製造方法に用いる微生物の通常の培養、例えば、保存菌株の作成、ポリヒドロキシアルカノエートの生産に必要とされる菌数や活性状態を確保するための増殖などには、用いる微生物の増殖に必要な成分を含有する培地を適宜選択して用いる。例えば、微生物の生育や生存に悪影響を及ぼすものでない限り、一般的な天然培地(肉汁培地、酵母エキスなど)や、栄養源を添加した合成培地など、いかなる種類の培地をも用いることができる。温度、通気、攪拌などの培養条件は、用いる微生物に応じて適宜選択する。
【0032】
前記したようなポリヒドロキシアルカノエート生産微生物を用いて、目的とするポリヒドロキシアルカノエートを製造するためには、ポリヒドロキシアルカノエート生産用の原料として、一般式[2]〜[7]で示されるモノマーユニットに対応する、下記一般式[10]で示される化合物と、微生物の増殖用炭素源とを少なくとも含んだ無機培地などを用いることができる。
【0033】
【化22】
Figure 0003684174
ここでRは以下の一般式[11]から[16]で表される残基から選択される少なくとも1以上である。
【0034】
【化23】
Figure 0003684174
(ただし、式中bは0から7の整数のいずれかを表し、R2は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。)
【0035】
【化24】
Figure 0003684174
(ただし、式中cは1から8の整数のいずれかを表し、R3は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。)
【0036】
【化25】
Figure 0003684174
(ただし、式中dは0から7の整数のいずれかを表し、R4は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。)
【0037】
【化26】
Figure 0003684174
(ただし、式中eは1から8の整数のいずれかを表し、R5は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C25、−C37、−CH3、−C25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。)
【0038】
【化27】
Figure 0003684174
(ただし、式中fは0から7の整数のいずれかを表す。)
【0039】
【化28】
Figure 0003684174
(ただし、式中gは1から8の整数のいずれかを表す。)
上記一般式[10]で示される化合物は、培地あたり 0.01%から1%(w/v)、更に好ましくは0.02%から0.2 %の割合で含有していることが望ましい。一般式[10]で示される化合物のなかには水溶性が良好でない化合物もあるが、そのような場合にも、本発明に示す微生物を用いれば、懸濁された状態であっても何ら問題は無い。また、場合によっては1-ヘキサデセンや n-ヘキサデカンのような溶媒に溶解或いは懸濁された形で培地中に含有せしめることも可能である。この場合、該溶媒の濃度は培地溶液に対して3%以下にすることが必要である。
【0040】
増殖用基質としては、酵母エキスやポリペプトン、肉エキスといった栄養素を用いることが可能であり、更に、糖類、TCA回路中の中間体として生じる有機酸(オキソ酸)及びTCA回路から一段階ないしは二段階の生化学反応を経て生じる有機酸或いはその塩、アミノ酸或いはその塩、アルカン酸或いはその塩等から用いる菌株に対する基質としての有用性で適宜選択することができる。
【0041】
これらのうち、糖類としては、グリセロアルデヒド、エリスロース、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトースといったアルドース、グリセロール、エリスリトール、キシリトール等のアルジトール、グルコン酸等のアルドン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸等のウロン酸、マルトース、スクロース、ラクトースといった二糖等から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0042】
また、有機酸或いはその塩としては、ピルビン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸或いはその塩から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0043】
また、アミノ酸或いはその塩としては、グルタミン酸、アスパラギン酸或いはその塩から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0044】
これらの中では、ポリペプトンや糖類を用いるのが好ましく、また糖類の中ではグルコース、フルクトース、マンノースからなる群から選択される少なくとも一つであることがより好ましい。これらの基質は通常培地あたり 0.1 %から5%(w/v)、更に好ましくは 0.2 %から2%の割合で含有していることが望ましい。
【0045】
微生物にポリヒドロキシアルカノエートを生産・蓄積させる方法としては、一旦十分に増殖させた後に、塩化アンモニウムのような窒素源を制限した培地へ菌体を移し、目的ユニットの基質となる化合物を加えた状態で更に培養すると生産性が向上する場合がある。具体的には、前記の工程を複数段接続した多段方式の採用が挙げられる。
【0046】
例えば、一般式[10]で示される化合物、及びポリペプトンを含む培地中で微生物を培養する工程(工程1−1)を対数増殖後期から定常期の時点まで続け、菌体を遠心分離等で回収したのち、これに続く、一般式[10]で示される化合物と有機酸或いはその塩とを含み、窒素源を含まない培地中で、工程1−1で培養された微生物を更に培養する工程(工程1-2)を行う方法、あるいは、一般式[10]で示される化合物、及び糖類を含む培地中で微生物を培養する工程(工程1−3)を対数増殖後期から定常期の時点まで続け、菌体を遠心分離等で回収したのち、これに続く、一般式[10]で示される化合物と糖類とを含み、窒素源を含まない培地中で、工程1-3で培養された微生物を更に培養する工程(工程1-4)を行う方法等である。
【0047】
培養温度としては上記の菌株が良好に増殖可能な温度であれば良く、例えば 15〜 40℃、好ましくは20〜35℃、更に好ましくは20℃〜 30℃程度が適当である。
【0048】
培養は液体培養、固体培養等該微生物が増殖し、ポリヒドロキシアルカノエートを生産する培養方法ならいかなる培養方法でも用いることができる。さらに、バッチ培養、フェドバッチ培養、半連続培養、連続培養等の種類も問わない。液体バッチ培養の形態としては、振とうフラスコによって振とうさせて酸素を供給する方法、ジャーファーメンターによる攪拌通気方式の酸素供給方法がある。
【0049】
上記の培養方法に用いる無機培地としては、リン源(例えば、リン酸塩など)、窒素源(例えば、アンモニウム塩、硝酸塩など)等、当該微生物の増殖に必要な成分を含んでいるものであればいかなるものでも良く、例えば、MSB培地、M9培地等を挙げることができる。
【0050】
本発明の一方法に用いた無機塩培地(M9培地)の組成を以下に示す。
【0051】
[M9培地]
Na2HPO4 6.2 g
KH2PO4 3.0 g
NaCl 0.5 g
NH4Cl 1.0 g
(培地1リットル中、pH 7.0)
更に、良好な増殖及びポリヒドロキシアルカノエートの生産のためには、上記の無機塩培地に以下に示す微量成分溶液を 0.3 %(v/v)程度添加する必要がある。
【0052】
[微量成分溶液]
ニトリロ三酢酸:1.5g;MgSO4: 3.0g;MnSO4: 0.5g;NaCl: 1.0g;FeSO4: 0.1g;CaCl2: 0.1g;CoCl2: 0.1g;ZnSO4: 0.1g;CuSO4: 0.1g;AlK(SO4)2: 0.1g;H3BO3: 0.1g;Na2MoO4: 0.1g;NiCl2: 0.1g
(溶液1リットル中、pH 7.0)
(分離・回収工程)
本発明において、上記のように培養された微生物細胞から目的のPHAを分離する方法としては、通常行なわれている方法を適用することができる。例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトンなどの有機溶媒による抽出が最も簡便ではあるが、それ以外にジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルが用いられる場合もある。また、有機溶媒が使用しにくい環境中においては、SDS等の界面活性剤による処理、リゾチーム等の酵素による処理、EDTA、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、アンモニア等の薬剤による処理によって、或いは超音波破砕法、ホモジナイザー法、圧力破砕法、ビーズ衝撃法、摩砕法、擂潰法、凍結融解法のいずれかの方法を用いて微生物細胞を物理的に破砕することによって、PHA以外の菌体成分を除去して、PHAを回収する方法を用いることもできる。
【0053】
なお、本発明の微生物の培養、本発明の微生物によるPHAの生産と菌体内への蓄積、並びに、本発明における菌体からのPHAの回収は、上記の方法に限定されるものではない。
【0054】
以上の方法で製造できる具体的な化合物として、例えば、下記化学式[17]で表される5-フェニル吉草酸(PVA)から、下記化学式[18]で表される3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(3HPV)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培養することにより、3HPVモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造することが可能である。
【0055】
【化29】
Figure 0003684174
また、下記化学式[19]で表される5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(FPVA)から、下記化学式[20]で表される3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(3HFPV)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培養することにより、3HFPVモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造することが可能である。
【0056】
【化30】
Figure 0003684174
また、下記化学式[21]で表される5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸(CF3PVA)から、下記化学式[22]で表される3-ヒドロキシ-5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸(3HCF3PV)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培養することにより、3HCF3PVモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造することが可能である。
【0057】
【化31】
Figure 0003684174
また、下記化学式[23]で表される5-フェノキシ吉草酸(PxVA)から、下記化学式[24]で表される3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培養することにより、3HPxVモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造することが可能である。
【0058】
【化32】
Figure 0003684174
また、下記化学式[25]で表される5-(4−フルオロフェノキシ)吉草酸(FPxVA)から、下記化学式[26]で表される3-ヒドロキシ-5-(4−フルオロフェノキシ)吉草酸(3HFPxV)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培養することにより、3HFPxVモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造することが可能である。
【0059】
【化33】
Figure 0003684174
また、下記化学式[27]で表される4-フェノキシ酪酸(PxBA)から、下記化学式[28]で表される3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培養することにより、3HPxBモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造することが可能である。
【0060】
【化34】
Figure 0003684174
また、下記化学式[29]で表される4-シクロヘキシル酪酸(CHBA)から、下記化学式[30]で表される3-ヒドロキシ-4-シクロヘキシル酪酸(3HCHB)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培養することにより、3HCHBモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造することが可能である。
【0061】
【化35】
Figure 0003684174
また、下記式[31]で表される5-ベンゾイル吉草酸(BzVA)から、下記式[32]で表される3-ヒドロキシ-5-ベンゾイル吉草酸(3HBzV)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培養することにより、3HBzVモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造することが可能である。
【0062】
【化36】
Figure 0003684174
また、下記式[33]で表される5-チエニル吉草酸(TVA)から、下記式[34]で表される3-ヒドロキシ-5-チエニル吉草酸(3HTV)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培養することにより、3HTVモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造することが可能である。
【0063】
【化37】
Figure 0003684174
また、下記式[35]で表される5-チエノイル吉草酸(ToVA)から、下記式[36]で表される3-ヒドロキシ-5-チエノイル吉草酸(3HToV)モノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培養することにより、3HToVモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造することが可能である。
【0064】
【化38】
Figure 0003684174
以上、一般式[10]の化合物を原料とした、本発明で使用するPHAの製造方法の例を挙げたが、本発明はこれらに限定されるものではない。これらの化合物は、培養液に添加するモノマー化合物、培養液組成、微生物培養条件等をコントロールすることにより、それぞれ好適に製造することが可能である。
【0065】
一般式[1]のモノマーユニット組成を有するPHAの数平均分子量は、所望とする釣り糸としての機械的な強度と溶融成形における操作性とのバランスからは、通常5,000〜1,000,000であり、好ましくは10,000〜800,000である。
【0066】
本発明において、一般式[1]のモノマーユニット組成を有するPHAの分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。具体的なGPCの測定方法としては、予め一般式[1]のモノマーユニット組成を有するPHAをクロロホルムに溶解したサンプルを測定用に用い、標準ポリスチレン樹脂の検量線から分子量分布を求めた。また、本発明においては、上記のようにして測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)が、1〜4の範囲内にある一般式[1]のモノマーユニット組成を有するPHAを使用することが好ましい。
【0067】
本発明において、一般式[1]のモノマーユニット組成を有するPHAは20〜200℃の融点を持つか、または融点は持たないが20〜200℃、特に40〜200℃のガラス転移点を持つことが好ましい。上記融点が20℃未満または融点を持たずガラス転移点が20℃未満の場合は、流動性や、保存性に悪影響を与えやすい。しかし、この様な熱的性質を満たさない場合でも、疑似餌に要求される他の特性(機械的強度や透明度、適度な撥水性等)に優れている場合は、炭素鎖長の短い3HB(3−ヒドロキシ酪酸)や3HV(3−ヒドロキシ吉草酸)ユニットを多く含むPHAを適宜混合することにより物性を調整することができる。一方、融点が200℃を超えるかまたは融点を持たずガラス転移点が200℃を超える場合は、利用できる溶融成形法が限定されてくる。
【0068】
この場合における融点Tmおよびガラス転移点Tgの測定には、例えば、パーキンエルマー社製のDSC−7のような高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計を用いて測定を行えばよい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明においては、ガラス転移点Tgを測定する場合に、測定試料を1回昇温して全履歴をとった後、急冷し、再度、温度速度10℃/min、温度0〜200℃の範囲で昇温させたときに測定されるDSC曲線を用いるとよい。
【0069】
本発明の釣り糸を構成する樹脂としては、一般式[1]で示されるモノマーユニット組成を有するPHA単独、又は該ポリヒドロキシアルカノエート樹脂と他の生分解性樹脂との混合物を用いることができ、必要に応じてPHA単独あるいはPHAと他の生分解性樹脂との混合物を紡糸用の原料として用いることができる。
【0070】
上記他の生分解性樹脂としては、合成及び/又は天然高分子が使用される。合成高分子としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドエステル、生分解性セルロースエステル、ポリペプチド、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、又はこれらの2以上の混合物が挙げられる。
【0071】
上記合成ポリエステル樹脂としては、一般式[1]で示されるモノマーユニット組成を有するPHA以外のポリエステル樹脂である。以下、合成ポリエステル樹脂を、単に、ポリエステル樹脂と略称し、天然に産出されるものの場合にはその旨明記する。ポリエステル樹脂としては、合成ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート等の生分解性のポリエステル樹脂等が挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
【0072】
生分解性セルロースエステルとしては、一又は二酢酸セルロース、セルロースブチレート、セルロースプロピオネート等の有機酸エステル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース等の無機酸エステル;セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、硝酸酢酸セルロース等の混成エステルが例示できる。これらのセルロースエステルは、単独で又は二種以上混合して使用できる。これらのセルロースエステルのうち有機酸エステル、特に酢酸セルロースが好ましい。また、ポリペプチドとしては、ポリグルタミン酸等のポリアミノ酸及びポリアミドエステル等が例示できる。ポリアミドエステルとしては、ε−カプロポリヒドロキシアルカノエートとε−カプロラクタムより合成される樹脂等が挙げられる。この場合の分子量は、例えばポリ乳酸樹脂を例にすると、GPCによる標準ポリスチレン換算で数平均分子量が10,000以上1,000,000以下、好ましくは20,000以上のものが使用できる。
【0073】
天然高分子としては、澱粉、セルロース、カラギーナン、キチン・キトサン質、天然直鎖状ポリエステル系樹脂、又はこれらの混合物が挙げられる。上記澱粉としては、生澱粉、加工澱粉及びこれらの混合物が挙げられる。生澱粉としてはトウモロコシ澱粉、馬鈴箸澱粉、甘藷澱粉、コムギ澱粉、キャッサバ澱粉、サゴ澱粉、タピオカ澱粉、コメ澱粉、マメ澱粉、クズ澱粉、ワラビ澱粉、ハス澱粉、ヒシ澱粉等が挙げられ、加工澱粉としては、物理的変性澱粉(α−澱粉、分別アミロース、湿熱処理澱粉等)、酵素変性澱粉(加水分解デキストリン、酵素分解デキストリン、アミロース等)、化学分解変性澱粉(酸処理澱粉、次亜塩素酸酸化澱粉、ジアルデヒド澱粉等)、化学変性澱粉誘導体(エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱粉、架橋澱粉等)などが挙げられる。上記の中、エステル化澱粉としては、酢酸エステル化澱粉、コハク酸エステル化澱粉、硝酸エステル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、キサントゲン酸エステル化澱粉、アセト酢酸エステル化澱粉など;エーテル化澱粉としては、アリルエーテル化澱粉、メチルエーテル化澱粉、カルボキシメチルエーテル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、ヒドロキシプロピルエーテル化澱粉など;カチオン化澱粉としては、澱粉と2−ジエチルアミノエチルクロライドの反応物、澱粉と2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの反応物など;架橋澱粉としては、ホルムアルデヒド架橋澱粉、エピクロルヒドリン架橋澱粉、リン酸架橋澱粉、アクロレイン架橋澱粉などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
【0074】
本発明において、紡糸用原料には更に樹脂添加剤を含有させることができる。樹脂添加剤としては可塑剤、熱安定剤、滑剤、ブロッキング防止剤、核剤、光分解剤、生分解促進剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、難燃剤、流滴剤、抗菌剤、防臭剤、充填材、着色剤又はこれらの混合物が挙げられ、必要に応じてこれらの1種または2種以上を用いることができる。
【0075】
可塑剤としては、脂肪族二塩基酸エステル、フタル酸エステル、ヒドロキシ多価カルボン酸エステル、ポリエステル系可塑剤、脂肪酸エステル、エポキシ系可塑剤、又はこれらの混合物が例示される。具体的には、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)等のフタル酸エステル、アジピン酸−ジ−2−エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)等のアジピン酸エステル、アゼライン酸−ジ−2−エチルヘキシル(DOZ)等のアゼライン酸エステル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸トリブチル等のヒドロキシ多価カルボン酸エステル、ポリプロピレングリコールアジピン酸エステル等のポリエステル系可塑剤であり、これらは一種または二種以上の混合物で用いられる。これら可塑剤の添加量としては、一般にはポリヒドロキシアルカノエート含有樹脂100重量部に対して、1〜20重量部の範囲が好ましい。1重量部未満であると、破断伸びが低くなり、また20重量部を超えると、破断強度の低下をまねく場合がある。
【0076】
本発明で用いる熱安定剤としては、脂肪族カルボン酸塩がある。脂肪族カルボン酸としては、特に脂肪族ヒドロキシカルボン酸が好ましい。脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、ヒドロキシ酪酸等の天然に存在するものが好ましい。塩としては、ナトリウム、カルシウム、アルミニウム、バリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、亜鉛、鉛、銀、銅等の塩が挙げられる。これらは、一種または二種以上の混合物として用いることができる。添加量としては、ポリヒドロキシアルカノエート含有樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲である。上記範囲で熱安定剤を用いると、破断伸び、破断強度のばらつきが小さくなる効果がある。
【0077】
本発明で用いる滑剤としては、内部滑剤、外部滑剤として一般に用いられるものが使用可能である。たとえば、脂肪酸エステル、炭化水素樹脂、パラフィン、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪族アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリクリセロール、金属石鹸、変性シリコーンまたはこれらの混合物が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上の組合せで用いることができる。これらの中では、好ましくは、脂肪酸エステル、炭化水素樹脂等が挙げられる。滑剤を選択する場合には、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂やその他の生分解性樹脂の融点に応じて、その融点以下の滑剤を選択する必要がある。例えば、脂肪族ポリエステル樹脂の融点を考慮して、脂肪酸アミドとしては180℃以下の脂肪酸アミドが選ばれる。配合量は、ポリヒドロキシアルカノエート含有樹脂100重量部に対し、滑剤を0.01〜5重量部を添加する。0.01重量部未満であると効果が充分でなく、5重量部を超えると物性も低下する。環境汚染を防止する観点から、安全性が高く、且つFDA(米国食品医薬品局)に登録されているエチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドが好ましい。
【0078】
上記光分解促進剤としては、例えば、ベンゾイン類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノンとその誘導体;アセトフェノン、α,α−ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノンとその誘導体;キノン類;チオキサントン類;フタロシアニンなどの光励起材、アナターゼ型酸化チタン、エチレン−ー酸化炭素共重合体、芳香族ケトンと金属塩との増感剤などが例示される。これらの光分解促進剤は、1種又は2種以上併用できる。
【0079】
上記生分解促進剤には、例えば、オキソ酸(例えば、グリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、などの炭素数2〜6程度のオキソ酸)、飽和ジカルボン酸(例えば、修酸、マロン酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタル酸、などの炭素数2〜6程度の低級飽和ジカルボン酸)などの有機酸;これらの有機酸と炭素数1〜4程度のアルコールとの低級アルキルエステルが含まれる。好ましい生分解促進剤には、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの炭素数2〜6程度の有機酸、及び椰子殻活性炭等が含まれる。これらの生分解促進剤は1種又は2種以上併用できる。
【0080】
本発明の生釣り糸は、例えば以下の方法により製造することができる。
【0081】
まず、原料となる樹脂ペレットを押出紡糸機に供給し溶融紡出する。このときの押出紡糸機の条件は、紡糸温度150℃〜250℃、押出圧力10〜500Kg/cm3 、口金孔径0.1〜3mm、紡糸速度1〜50m/minなどの条件を適宜選択することができる。
【0082】
押出紡糸機より紡出されたモノフィラメントは、10℃〜25℃の水浴中で冷却された後、1段目の延伸工程に送られる。延伸および熱固定の雰囲気(浴)としては、ポリエチレングリコール、グリセリンおよびシリコーンオイルなどの加熱した熱媒体、乾熱気体浴、および温水浴などが用いられる。延伸倍率は、1段目の延伸を2.5〜5.0倍の倍率に設定し、その後全延伸倍率が6.0倍以上となる延伸倍率で2段目または2〜3段目の多段延伸を行う。ここで、1段目の延伸倍率が2.5倍未満、および6.0以上では次工程での糸切れが発生しやすくなるため好ましくない。また、全延伸倍率が6.0倍未満では、得られるモノフィラメントの引張強度、結節強度が低くなるため好ましくない。
多段延伸後には、必要に応じて延伸歪みを除去することなどを目的として、適度な定長、弛緩熱処理を行うこともできる。
【0083】
このようにして得られる本発明の釣り糸は、強度と適度な生分解性を兼備していることから、道糸、ハリス、テーパ糸、フライフィッシング用のラインやリーダーなど各種の釣り糸、特に環境に放置される可能性の高い用途の釣り糸としてきわめて有用である。
【0084】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本実施例は、本発明をなんら限定するものではない。また、以下の配合における部数は全て重量部である。
【0085】
【実施例1】
ポリペプトン0.5%と、5-フェニル吉草酸(PVA)0.1%とを含むM9培地20Lにシュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2、FERM BP-7375)を植菌し、30℃、80回転/分、通気量2.5L/分で通気攪拌培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄の後、凍結乾燥して凍結乾燥ペレットを得た。
【0086】
この凍結乾燥ペレットを1Lのクロロホルムに懸濁し、60℃で20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥して12.5gのPHAを得た。
【0087】
得られたPHAの組成は以下のようにして分析した。すなわち、約10mgのPHAを25mL容ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mLに溶解させ、3%硫酸を含むメタノール溶液2mLを加えて、100℃で還流しながら3.5時間反応させた。反応終了後、脱イオン水10mLを加えて激しく10分間振盪した後に、2層に分離した下層のクロロホルム層を取り出し、硫酸マグネシウムで脱水したのち、このクロロホルム層をガスクロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS、島津QP−5050、カラム:DB−WAX(J&W社、0.32mm×30m)、EI法)にかけて、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、PHAモノマーユニットとしては、96%が3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(3HPV)であり、4%が3-ヒドロキシ酪酸のユニットであった。
【0088】
また、このPHAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー HLC−8020、カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXED−C(5μm)、溶媒;(クロロホルム、ポリスチレン換算)により評価した結果、Mn=55,000、Mw=105,000であった。
【0089】
【実施例2】
実施例1における、PVAの替わりに5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(FPVA)を用いた以外は実施例1と全く同じ条件で、3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(3HFPV)モノマーユニットを含むPHAを合成したところ、10.3gのPHAが得られた。
【0090】
得られたPHAについて実施例1と同様に分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとしては、91%が3HFPVであり、9%が3-ヒドロキシ酪酸のユニットであった。また、分子量はMn=52,000、Mw=100,000であった。
【0091】
【実施例3】
D-グルコース 0.5%と、5-(4-トリフルオロメチルフェニル)吉草酸(CF3PVA)0.1%とを含むM9培地 20Lにシュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2、FERM BP-7375)を植菌し、30℃、80回転/分、通気量 2.5L/分で通気攪拌培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収し、D-グルコース 0.5%と、FPVA 0.1%とを含み、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 20Lに再懸濁して、更に 30℃、80回転/分、通気量 2.5L/分で通気攪拌培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄の後、凍結乾燥して凍結乾燥ペレットを得た。
【0092】
この凍結乾燥ペレットを1Lのクロロホルムに懸濁し、60℃で20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥して12.5gのPHAを得た。
【0093】
得られたPHAについて実施例1と同様に分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとしては、17%が3HCF3PVであり、83%が3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシドデカン酸、3-ヒドロキシドデセン酸のうち1種以上のユニットであり、CF3PVAに由来する所望のモノマーユニットである3HCF3PVモノマーユニットが含まれるPHAが高収率で得られた。また、分子量はMn=65,200、Mw=117,000 であった。
【0094】
【実施例4】
実施例1における、PVAの替わりに4−シクロヘキシル酪酸(CHBA)を用いた以外は実施例1と全く同じ条件で、3-ヒドロキシ-4−シクロヘキシル酪酸(3HCHB)モノマーユニットを含むPHAを合成したところ、8.6gのPHAが得られた。
得られたPHAについて実施例1と同様に分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとしては、98%が3HCHB、2%が3-ヒドロキシ酪酸のユニットであり、若干量のシクロヘキシルメタノールが混在していた。また、分子量はMn=44,000、Mw=86,000であった。
【0095】
【実施例5】
酵母エキス0.5%と、5-フェノキシ吉草酸(PxVA)0.1%とを含むM9培地20Lにシュードモナス・チコリアイ・H45株(Pseudomonas cichorii H45、FERM BP-7374)を植菌し、30℃、80回転/分、通気量2.5L/分で通気攪拌培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄の後、凍結乾燥して凍結乾燥ペレットを得た。
この凍結乾燥ペレットから実施例1と同様の方法でPHAを回収し、2.3gのPHAを得た。
【0096】
得られたPHAの構造は実施例1と同様のGC−MS法で分析した。その結果、PHAモノマーユニットとしては、99%以上が3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)であった。また、得られたPHAの分子量は実施例1と同様にGPC分析によって行い、Mn=63000、Mw=115000であることがわかった。
【0097】
【実施例6】
実施例4における、PxVAの替わりに5−(4−フルオロフェノキシ)吉草酸(FPxVA)を用いた以外は実施例4と全く同じ条件で、3-ヒロキシ−5−(4−フルオロフェノキシ)吉草酸(3HFPxV)モノマーユニットを含むPHAを合成したところ、1.8gのPHAが得られた。
得られたPHAについて実施例1と同様に分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとしては、99%以上が3-ヒドロキシ-5-(4−フルオロフェノキシ)吉草酸(3HFPxV)であり、分子量はMn=68,000、Mw=120,000であった。
【0098】
【実施例7】
n−ノナン酸0.1%、4-フェノキシ酪酸(PxBA)0.1%とを含むM9培地20Lシュードモナス・ジェッセニイ P161株(Pseudomonas jessenii P161、FERM BP-7376)を植菌し、30℃、80回転/分、通気量2.5L/分で通気攪拌培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄の後、凍結乾燥して凍結乾燥ペレットを得た。
この凍結乾燥ペレットから実施例1と同様の方法でPHAを回収し、2.8gのPHAを得た。得られたPHAについて実施例1と同様に分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとしては、3−ヒドロキシ吉草酸1.0%、3−ヒドロキシヘキサン酸1.0%、3−ヒドロキシヘプタン酸26.0%、3−ヒドロキシオクタン酸5.0%、3−ヒドロキシノナン酸63.0%、3−ヒドロキシデカン酸2.0%、3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)2.0%であった。また、分子量はMn=62,000、Mw=112,000であった。
【0099】
【実施例8】
CF3PVAの替わりに5-ベンゾイル吉草酸(BzVA)を用いた以外は実施例3と全く同じ条件で、3-ヒドロキシ-5-ベンゾイル吉草酸(3HBzV)モノマーユニットを含むPHAを合成したところ、11.0gのPHAが得られた。
得られたPHAについて実施例1と同様に分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとしては、88%が3HBzVであり、12%が3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシドデカン酸、3-ヒドロキシドデセン酸のうち1種以上のユニットであり、BzVAに由来する所望のモノマーユニットである3HBzVモノマーユニットの比率が高いPHAが高収率で得られた。また、分子量はMn=325,000、Mw=1,240,000 であった。
【0100】
【実施例9】
CF3PVAの替わりに5-チエニル吉草酸(TVA)を用いた以外は実施例3と全く同じ条件で、3-ヒドロキシ-5-チエニル吉草酸(3HTV)モノマーユニットを含むPHAを合成したところ、培地液量1L当たり16.5gのPHAが得られた。
【0101】
得られたPHAについて実施例1と同様に分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとしては、97%が3HTVであり、3%が3-ヒドロキシ酪酸のユニットであり、TVAに由来する所望のモノマーユニットである3HTVモノマーユニットの比率が高いPHAが高収率で得られた。また、分子量はMn=75,000、Mw=185,000 であった。
【0102】
【実施例10】
CF3PVAの替わりに5-チエノイル吉草酸(ToVA)を用いた以外は実施例3と全く同じ条件で、3-ヒドロキシ-5-チエノイル吉草酸(3HToV)モノマーユニットを含むPHAを合成したところ、3.0gのPHAが得られた。
【0103】
得られたPHAについて実施例1と同様に分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとしては、62%が3HToVであり、38%が3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシドデカン酸、3-ヒドロキシドデセン酸のうち1種以上のユニットであり、ToVAに由来する所望のモノマーユニットである3HToVモノマーユニットの比率が高いPHAが高収率で得られた。また、分子量はMn=105,000、Mw=252,000 であった。
【0104】
【実施例11〜20】
実施例1〜10で得られたPHAと、ポリ乳酸(島津製作所製ラクティ#5000;Mw=200,000,Tg=60℃、Tm=175℃)を混合比7/3(質量比、以下同様)でブレンドポリマーとし、エクストルーダー型複合紡糸機で200℃で溶融し、孔径1.5mmの口金を通して紡糸し、さらに20℃の水浴中で冷却した。
【0105】
次に、この未延伸糸を70℃の温水1段目延伸浴中で延伸した後、引続いて85℃の2段目乾熱浴中で延伸し、更に80℃の乾熱浴中にて弛緩熱処理を施すことによりモノフィラメントを得た。1段目、2段目の各延伸における延伸倍率、得られたモノフィラメントの直径を表1に示す。
【0106】
このフィラメントについて、JIS L1013に準じた引張強度及び結節強度を測定した。また生分解試験に関しては、試料を土壌中に3か月間放置して取り出し、以下の基準にて評価した。
・元の形状を失っている、又は引張強度が半分以下:○
・引張強度が半分以上3/4以下:△
・引張強度が3/4以上:×
以上の結果を表2に示す。
【0107】
【実施例21】
実施例8で得られた3-ヒドロキシ-5-ベンゾイル吉草酸(3HBzV)モノマーユニットを含むPHA単独で、実施例11〜20と同様の方法で処理してフィラメントを得た。このときの延伸倍率、及び得られたモノフィラメントの直径を表1に示す。更に、このフィラメントについて実施例11〜16と同様の方法で、直線引張強度及び結節強度試験、生分解試験を行った結果を表2に示す。
【0108】
【実施例22】
実施例1で得られた3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(3HPV) モノマーユニットを含むPHAと実施例11〜20で用いたものと同様のポリ乳酸を混合比1/9でブレンドポリマーとしたものを、実施例11〜20と同様の方法で処理してフィラメントを得た。このときの延伸倍率、及び得られたモノフィラメントの直径を表1に示す。更に、このフィラメントについて実施例11〜20と同様の方法で、直線引張強度及び結節強度試験、生分解試験を行った結果を表2に示す。
【0109】
【比較例1】
バイオポールD400G(日本モンサント社製 3HB(92%)-3HV(8%)単独で、実施例11〜20と同様の方法で処理してフィラメントを得た。このときの延伸倍率、及び得られたモノフィラメントの直径を表1に示す。更に、このフィラメントについて実施例11〜20と同様の方法で、直線引張強度及び結節強度試験、生分解試験を行った結果を表2に示す。
【0110】
【比較例2】
実施例11〜20で用いたポリ乳酸を単独で、実施例11〜20と同様の方法で処理してフィラメントを得た。このときの延伸倍率、及び得られたモノフィラメントの直径を表1に示す。更に、このフィラメントについて実施例11〜20と同様の方法で、直線引張強度及び結節強度試験、生分解試験を行った結果を表2に示す。
【0111】
【比較例3】
バイオポールD400G(日本モンサント社製 3HB(92%)-3HV(8%))と実施例11〜20で用いたポリ乳酸を混合比7/3で溶融混練したペレットから、実施例11〜20と同様の方法で処理してフィラメントを得た。このときの延伸倍率、及び得られたモノフィラメントの直径を表1に示す。このフィラメントについて同様の方法で、直線引張強度及び結節強度試験、生分解試験を行った結果を表2に示す。
【0112】
【表1】
Figure 0003684174
【0113】
【表2】
Figure 0003684174
【0114】
【発明の効果】
本発明によれば、適度な生分解性を備え、かつ加工性に優れ、引張強度、結節強度とも実用上十分な性能を有する釣り糸を製造することが可能であり、自然環境への負荷を低減させつつ高性能な釣り糸を提供しうる。

Claims (11)

  1. 下記一般式[1]で表されるモノマーユニット組成を有するポリヒドロキシアルカノエートの少なくとも1種を含有してなる釣り糸。
    m(1-m) [1]
    (ただし、Aは下記一般式[2]から[7]で表されるモノマーユニットから選択される少なくとも1種であり、Bは下記一般式[8]及び[9]で表されるモノマーユニットから選択される少なくとも1種であり、mは0.01以上、1以下である)
    Figure 0003684174
    (ただし、式中bは0から7の整数のいずれかを表し、R2は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。)
    Figure 0003684174
    (ただし、式中cは1から8の整数のいずれかを表し、R3は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。)
    Figure 0003684174
    (ただし、式中dは0から7の整数のいずれかを表し、R4は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。)
    Figure 0003684174
    (ただし、式中eは1から8の整数のいずれかを表し、R5は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C25、−C37、−CH3、−C25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。
    Figure 0003684174
    (ただし、式中fは0から7の整数のいずれかを表す。)
    Figure 0003684174
    (ただし、式中gは1から8の整数のいずれかを表す。)
    Figure 0003684174
    (ただし、式中nは0〜10であり、kは3または5である。)
  2. 該ポリヒドロキシアルカノエートの数平均分子量が5,000以上1,000,000以下である請求項1記載の釣り糸。
  3. 該ポリヒドロキシアルカノエート樹脂含有率が5%以上である請求項1または2に記載の釣り糸。
  4. 該ポリヒドロキシアルカノエート以外の成分として該ポリヒドロキシアルカノエート以外の生分解性樹脂及び樹脂添加剤を含有する請求項3に記載の釣り糸。
  5. 該生分解性樹脂が、合成高分子及び/或いは天然高分子である請求項4に記載の釣り糸。
  6. 合成高分子が、脂肪族ポリエステル、生分解性セルロースエステル、ポリペプチド、ポリビニルアルコール、或いはこれらの混合物からなる請求項5に記載の釣り糸。
  7. 天然高分子が、デンプン、セルロース、カラギーナン、キチン、キトサン或いはこれらの混合物からなる請求項5に記載の釣り糸。
  8. 樹脂添加剤が可塑剤、熱安定剤、滑剤、ブロッキング防止剤、光分解剤、生分解促進剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、防臭剤、充填材、着色剤又はこれらの混合物である請求項4に記載の釣り糸。
  9. 引張強度が5.5g/d以上、結節強度が4.5g/d以上である請求項1から8のいずれかに記載の釣り糸。
  10. 破断伸び率が10%以上である請求項1から8のいずれかに記載の釣り糸。
  11. 釣り糸の製造方法であって、
    ポリヒドロキシアルカノエートを含む紡糸用の原料を調製する工程と、該原料を紡糸する工程と、得られた未延伸糸を延伸する工程と、を有し、
    前記ポリヒドロキシアルカノエートが、下記一般式[1]で表されるモノマーユニット組成を有するポリヒドロキシアルカノエートから選択された少なくとも1種であることを特徴とする釣り糸の製造方法。
    m(1-m) [1]
    (ただし、Aは下記一般式[2]から[7]で表されるモノマーユニットから選択される少なくとも1種であり、Bは下記一般式[8]及び[9]で表されるモノマーユニットから選択される少なくとも1種であり、mは0.01以上、1以下である)
    Figure 0003684174
    (ただし、式中bは0から7の整数のいずれかを表し、R2は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。)
    Figure 0003684174
    (ただし、式中cは1から8の整数のいずれかを表し、R3は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。)
    Figure 0003684174
    (ただし、式中dは0から7の整数のいずれかを表し、R4は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。)
    Figure 0003684174
    (ただし、式中eは1から8の整数のいずれかを表し、R5は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C25、−C37、−CH3、−C25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表す。
    Figure 0003684174
    (ただし、式中fは0から7の整数のいずれかを表す。)
    Figure 0003684174
    (ただし、式中gは1から8の整数のいずれかを表す。)
    Figure 0003684174
    (ただし、式中nは0〜10であり、kは3または5である。)
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