JPH0920857A - 生分解性高分子組成物 - Google Patents

生分解性高分子組成物

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JPH0920857A
JPH0920857A JP12894596A JP12894596A JPH0920857A JP H0920857 A JPH0920857 A JP H0920857A JP 12894596 A JP12894596 A JP 12894596A JP 12894596 A JP12894596 A JP 12894596A JP H0920857 A JPH0920857 A JP H0920857A
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JP
Japan
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acid
polymer composition
copolymer
lactic acid
polymer
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JP12894596A
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English (en)
Inventor
Naoyuki Koyama
直之 小山
Yoshiharu Doi
義治 土肥
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CHIKYU KANKYO SANGYO GIJUTSU
CHIKYU KANKYO SANGYO GIJUTSU KENKYU KIKO
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Original Assignee
CHIKYU KANKYO SANGYO GIJUTSU
CHIKYU KANKYO SANGYO GIJUTSU KENKYU KIKO
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
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Filing date
Publication date
Application filed by CHIKYU KANKYO SANGYO GIJUTSU, CHIKYU KANKYO SANGYO GIJUTSU KENKYU KIKO, RIKEN Institute of Physical and Chemical Research filed Critical CHIKYU KANKYO SANGYO GIJUTSU
Priority to JP12894596A priority Critical patent/JPH0920857A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】生分解性を有するポリ(3ーヒドロキシブチレ
ート)の物性を改善して、柔軟性と生分解性を合わせも
つ高機能性高分子組成物を提供する。 【解決手段】ポリ(3ーヒドロキシブチレート)100
重量部に対して、ヒドロキシカルボン酸の単独重合体
(但し、6−ヒドロキシヘキサン酸の単独重合体を除
く)またはヒドロキシカルボン酸と乳酸との共重合体を
1〜300重量部含有する生分解性高分子組成物。ポリ
(3ーヒドロキシブチレート)の持つ、堅くて脆い機械
特性を改善するだけでなく、低温時においても柔軟性を
維持し、またPHBデポリミラーゼやリパーゼによって
も分解させる生分解性に優れた高分子組成物が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、包装用材料、容
器、医用材料、漁業材料、園芸材料、農業用フィルム等
に利用できる生分解性高分子組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プラスチック製品は軽くて丈夫で
加工し易いことから、衣食住をはじめ各種産業に利用さ
れており、われわれの日常生活に欠かせないものになっ
ている。例えば、、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビ
ニル等のプラスチックは容器や包装材をはじめ各種用途
に用いられ重要な役割を果たしてきている。しかし半
面、プラスチックは水に漬けても土に埋めても腐らない
ため、不用になった大量のプラスチックのゴミをどのよ
うに処理するかが大きな社会問題となっている。また、
海に放出されるプラスチック廃棄物が、年々蓄積されて
漁場や海洋の生体系を破壊しており、環境汚染の問題が
発生している。このような地球規模での環境問題に対し
ての関心が高まるにつれて、環境中において微生物によ
り生分解して自然界の炭素サイクルに取り込まれる生分
解性プラスチックが注目され、現在世界各国で基礎と応
用の両面から活発な研究開発が行われている。
【0003】生分解性プラスチックの代表的なものとし
て、熱可塑性の脂肪族ポリエステルを挙げることができ
る。本発明では、熱可塑性の脂肪族ポリエステルのう
ち、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(以下、P(3
HB)と略記する)及びポリカプロラクトン(以下、P
CLと略記する)などのヒドロキシカルボン酸と乳酸の
共重合体を使用している。
【0004】P(3HB)は、1925年ルモアーニュ
によって、バチルス・メガテリウムから見いだされた。
現在までに、およそ数百種もの微生物が、P(3HB)
を生合成することが知られている。このように同一の高
分子を、これほど多くの微生物が生産するのは他に例を
見ない。その後の研究で、P(3HB)は、これらの微
生物のエネルギー貯蔵物質として機能することが明かと
なっている。またP(3HB)は、自然環境中におい
て、数週間から数カ月で完全に分解する。分解生成物は
二酸化炭素もしくはバイオマスであり、完全に無害であ
る。また、優れた生体適合性を有することから、医用材
料としての応用も期待されている。しかし、P(3H
B)は堅くて脆いという物性上の欠点があるため、容器
や包装材等への適用は困難である。
【0005】代表的なヒドロキシカルボン酸の単独重合
体であるPCLは、低い融点及び低いガラス転移点を持
ち、各種の樹脂との相溶性に優れている。そのため、高
分子量のPCLは、離型材、ギプス、副木などの医用材
料に利用され、低分子量のものは、ポリウレタンの原料
として利用されている。PCLの分解菌(ペニシリウム
属)は1977年に常盤らによって発見された。その後
の研究で、PCLは、リパーゼによって分解され、自然
環境中で完全分解されることが明かとなった。そのた
め、現在までに、PCLを生分解性プラスチックとして
応用しようという研究が盛んとなっているが、融点が6
0℃と低いため実用性が低いという欠点を有している。
【0006】ポリ乳酸は、高いガラス転移点(60℃)
を持ち、結晶性のものは、高い融点(180℃付近)を
有する熱可塑性高分子である。原料となる乳酸は、コー
ンスターチ等の安価な原料の発酵から効率的に得られる
ことが知られている。ポリ乳酸は通常、この乳酸を、ラ
クチドと呼ばれる環状二量体に変換し、その後開環重合
することによって合成される。ポリ乳酸は、酵素の作用
を受けずに、容易に加水分解される性質を持つことか
ら、手術用縫合糸等の医用材料として利用されてきた。
また、自然環境中でも、湿った条件下では、約1年から
2年で分解する。分解生成物は、乳酸と水と二酸化炭素
であり、全く無害である。しかし、ポリ乳酸は、ガラス
転移点が高く、常温で剛直な高分子材料であり、単独で
は実用に適さない。
【0007】P(3HB)の物性を改質する試みとして
は、特開昭63−269989号公報に開示される3−
ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートをモ
ノマーユニットとする共重合体(以下、P(3HB−c
o−3HV)と略記する)や、特開平1−304891
号公報等に開示される3−ヒドロキシブチレートと4−
ヒドロキシブチレートをモノマーユニットとする共重合
体(以下、P(3HB−co−4HB)と略記する)が
知られている。これらの共重合体は共重合組成を変える
ことによって、堅いものからゴム弾性を有する材料ま
で、その柔軟性を制御することが可能であることが知ら
れている。
【0008】さらに、P(3HB)に他の非分解性のプ
ラスチックを混合することでP(3HB)の物性を改質
する試みもなされている。例えば,ポリマー(Poly
mer)、30巻、1475−1483 (1989)
には、P(3HB)に対し、エチレンプロピレンラバ
ー、ポリ酢酸ビニル等を混合し、その物性等を詳細に調
べた結果が示されている。特にポリ酢酸ビニルはP(3
HB)と分子レベルで混合する相溶性を有することが明
かとされている。また、特開平5−125266号公報
には、P(3HB)に、水溶性の生分解性高分子である
ポリビニルアルコール(以下、PVA)を混合すること
によって、柔軟性と生分解性を合わせもつ高分子組成物
が得られたと記載されている。
【0009】ポリマー・デグラデーション・スタビリテ
ィ、36巻、241−248 (1992)には、P
(3HB)に酵素分解性ポリマーPCLを混合し、その
物性および酵素分解性について検討した結果が示されて
いる。また、特開平5−320323には、非相溶な高
分子組成物であるP(3HB)とPCLに対して、β−
ブチロラクトンとε−カプロラクトンとのブロック共重
合体を混合し、機械的物性の改善を試みた結果が記載さ
れている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明で使用したP
(3HB)、PCL及びポリ乳酸はいずれも従来使用さ
れてきたプラスチックと比較して欠点を有しており、単
独ではその実用性は低い。すなわち、P(3HB)は、
優れた生分解性とポリプロピレンと同等の強度(38M
Pa)を有するものの、破壊伸びはわずか5%と堅くて
脆いため、実用に適さない。PCL等の、ヒドロキシカ
ルボン酸の単独重合体は、自然界の微生物が菌体外へ分
泌する、リパーゼによって容易に分解されるという利点
を有しているが、融点が50〜60℃と低く、単独では
実用性が低い。また、ポリ乳酸は、酵素の非存在下で容
易に加水分解するため、古くから手術用縫合糸等の医用
材料として用いられてきた。しかし、ポリ乳酸のガラス
転移点が、約60℃と高く、常温で剛直な高分子である
ため、その応用範囲が限定されるという問題点を有して
いる。
【0011】P(3HB)の物性を改善する試みとして
は、P(3HB−co−3HV)(例えば、特開昭63
−269989号公報等)やP(3HB−co−4H
B)(例えば、特開平1−304891号公報など)等
の共重合体が作製されており、いずれも実用に耐え得る
柔軟性を有する高分子組成物が得られているが、ペンタ
ン酸や4−ヒドロキシ酪酸などの合成に特殊な基質が必
要であり、生産性も低いためにコストがかかり高価であ
るという問題点がある。
【0012】P(3HB)に非分解性ポリマーを混合し
てP(3HB)の物性を改質する試み(ポリマー(Po
lymer)、30巻、1475−1483(198
9))は、得られた高分子組成物が相溶であれば物性の
改善が認められるが、これらを自然環境中に放置した場
合、P(3HB)部位は完全に分解されるが、非分解性
ポリマー部は分解されることなく環境中に残留するとい
う問題点がある。また、P(3HB)にPVAを混合す
る方法(特開平5−125266号公報)は、得られた
高分子組成物が柔軟性かつ完全生分解性を示すが、PV
Aは水溶性であるため耐水性に問題がある。また、PV
A自体の完全分解に要する期間が長いという欠点を有し
ている。
【0013】P(3HB)に酵素分解性ポリマーである
PCLを混合する方法(ポリマー・デグラデーション・
スタビリティ、36巻、241−248(1992))
は、自然環境中で完全に分解されるという利点を有する
が、得られた高分子組成物が分子レベルで混和しない、
非相溶な高分子組成物であるために、P(3HB)に柔
軟性を付与することはできないという問題点がある。こ
の欠点を解決するため、P(3HB)とPCLの組成物
に対して、β−ブチロラクトンとε−カプロラクトンの
ブロック共重合体を混合する方法(特開平5−3203
23号公報)では、上記のブロック共重合体がP(3H
B)とPCLに対して相溶化剤として機能するため、得
られた高分子組成物の物性を改善されている。しかし、
ブロック共重合体の合成は工程が複雑で難しいため、コ
ストがかかり高価であるという欠点を有している。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、P(3H
B)にヒドロキシカルボン酸と乳酸との共重合体を混合
することにより、柔軟性を持ち、PHBデポリメラーゼ
及びリパーゼによる酵素分解性と、加水分解性を兼ね備
えた、生分解性高分子組成物を見いだして本発明に至っ
た。すなわち、本発明は、ポリ(3−ヒドロキシブチレ
ート)100重量部に対して、ヒドロキシカルボン酸の
単独重合体(但し、6−ヒドロキシヘキサン酸の単独重
合体を除く)またはヒドロキシカルボン酸と乳酸との共
重合体を1〜300重量部含有してなる生分解性高分子
組成物に関するものである。
【0015】本発明においては、ヒドロキシカルボン酸
の炭素数が、2〜12であるヒドロキシカルボン酸を用
いることが好ましい。また本発明においては、乳酸の立
体異性体が、ラセミ体またはR体、S体、およびラセミ
体の混合物から得られるものであることが好ましい。ま
た本発明においては、共重合体を構成するヒドロキシカ
ルボン酸として6−ヒドロキシヘキサン酸(ε−カプロ
ラクトン)を用いることが好ましい。また本発明におい
ては、単独重合体または共重合体を構成するヒドロキシ
カルボン酸として5−ヒドロキシペンタン酸(δ−バレ
ロラクトン)を用いることが好ましい。
【0016】
【本発明の実施の形態】P(3HB)は、微生物が菌体
内に蓄積するエネルギー貯蔵物質として、古くから知ら
れている。代表的なP(3HB)生産微生物として、ア
ルカリゲネス・ユートロファス、アルカリゲネス・ラタ
ス、プロトモナス・エクストーケンス、シュードモナス
・アシドボランス等の100種類以上の微生物が知られ
ている。本発明で用いるP(3HB)は、いずれの微生
物によって得られたものであってもよい。また、R体、
S体、ラセミ体、またはこれらを混合した3−ヒドロキ
シ酪酸、もしくはβ−ブチロラクトンを出発原料とし
て、化学合成法によって得られたものであってもよい。
【0017】また、ヒドロキシカルボン酸と乳酸との共
重合体を構成するヒドロキシカルボン酸としては、炭素
数が2〜12のものが好ましい。より好ましくは、炭素
数が3〜10のヒドキロシカルボン酸が用いられる。さ
らに好ましくは、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒ
ドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、3−ヒド
ロキシペンタン酸、4−ヒドロキシペンタン酸、5−ヒ
ドロキシペンタン酸(δ−バレロラクトン)、3−ヒド
ロキシヘキサン酸、4−ヒドロキシヘキサン酸、5−ヒ
ドロキシヘキサン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸(ε−
カプロラクトン)などの、炭素数が3〜6のヒドロキシ
カルボン酸が用いられる。
【0018】また、共重合体を構成する乳酸は、好まし
くはラセミ体として、またはR体、S体およびラセミ体
の混合物として用いられるが、P(3HB)との相溶性
との観点から、ラセミ体の乳酸が好ましい。
【0019】これらの共重合体は、ヒドロキシカルボン
酸と乳酸とを直接重縮合したものでもよいし、乳酸の環
状二量体であるラクチドと、それぞれのヒドロキシカル
ボン酸に対応するラクトンとの開環重合によって得られ
たものでもよい。例えば、ヒドロキシカルボン酸とし
て、6−ヒドロキシヘキサン酸を用いたε−カプロラク
トンや、5−ヒドロキシペンタン酸を用いたδ−バレロ
ラクトンなどが例示される。重合時の触媒は、一般に、
亜鉛、錫、アルミニウム化合物等が用いられるが、毒性
が低いものが好ましいとされる以外には特に制限はな
い。共重合体の数平均分子量は、1,000〜50,0
00のものが用いられるが、好ましい数平均分子量は、
3,000〜20,000である。数平均分子量が3,
000より低いと高分子組成物を成形品にした場合の強
度が不十分となり、数平均分子量が20、000より高
いと、P(3HB)との相溶性に劣る傾向がある。共重
合体中の乳酸ユニットの分率は、好ましくは0〜80モ
ル%が用いられるが、より好ましい共重合体中の乳酸ユ
ニットの分率は、30〜70モル%である。乳酸ユニッ
トの分率が30モル%より低いとP(3HB)との相溶
性が悪くなる傾向がある。また、乳酸ユニットの分率が
70モル%より高いと、共重合体のガラス転移点が高く
なり過ぎ、得られた高分子組成物が柔軟性に劣る傾向が
ある。
【0020】本発明の生分解性高分子組成物には、必要
に応じて、核形成剤、染料、顔料、酸化防止剤、熱安定
剤等の添加剤を混合してもよい。本発明の高分子組成物
は、押しだし成形、射出成形等で成形することができ
る。また、溶剤に溶かし、溶剤を蒸発させることによっ
て、フィルム等を成形する、ソルベント−キャスト法を
適用することもできる。
【0021】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明の方法
を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるも
のではない。
【0022】
【実施例1〜3】ラセミ体のラクチドは、東京化成
(株)製、特級品を90℃でトルエンに溶解し、50℃
で再結晶化を行った。2回再結晶化した後、室温で恒量
になるまで乾燥してから用いた。ε−カプロラクトン及
びδ−バレロラクトンは、和光純薬工業(株)製、特級
品に水素化カルシウムを加えて、1日窒素雰囲気下で乾
燥し、窒素雰囲気下で減圧蒸留(10mmHg,96−
98℃)を行って使用した。トルエンは、関東化学
(株)製、特級品に水素化カルシウムを加えて、1日窒
素雰囲気下で還流した後に、蒸留して使用した。Al
(O−iPr)3触媒は、関東化学(株)製、特級品を窒
素雰囲気下で減圧蒸留(10mmHg,110−120
℃)を行った後、トルエンでアルミニウム量で50mM
となるように溶解して使用した。ε−カプロラクトンー
乳酸共重合体(P(CL−co−LA))及びδ−バレ
ロラクトンー乳酸共重合体(P(VL−co−LA))
の合成は、マクロモレキュルス(Macromolec
ules)、25巻、37−44(1992)に示され
る方法に準じて行った。窒素置換した100mlのシュ
レンクフラスコに、窒素雰囲気下で所定量のラクチドを
仕込み、トルエン、所定量のラクトンおよび、Al(O−
iPr)3のトルエン溶液を加えた。全量が90ml、モ
ノマーの濃度が1モルになるように調製した。その後7
0℃で5日間攪絆を行った。冷却後、少量のメタノール
で反応を停止させた後、約10倍量のジエチルエーテル/
ヘキサン(重量比 9/1)混合溶媒中に再沈させた
後、濃縮し、恒量になるまで室温で減圧乾燥してポリマ
ーを得た。
【0023】ラクチドとラクトンの仕込比を変化させ、
モノマー/触媒比を200として、合成されたP(CL
−co−LA)を実施例1とし、モノマー/触媒比を6
00として、合成されたP(CL−co−LA)及びP
(VL−co−LA)を実施例2とした。比較的低分子
量のP(CL−co−LA)及びP(VL−co−L
A)は、合成した乳酸−ラクトン共重合体をクロロホル
ム中で、メタノリシスすることによって得た。まず、乳
酸−ラクトン共重合体2gをクロロホルム 30mlに
溶解し、3vol%の硫酸/メタノール溶液を10ml
を加え、35℃で反応させた。所定時間後、5wt%の
重炭酸ナトリウム溶液で中和して反応を停止させた。有
機層は無水硫酸マグネシウムによって脱水し、濃縮後、
室温で恒量になるまで減圧乾燥して低分子量化した乳酸
−ラクトン共重合体を得た。このようにして得られたP
(CL−co−LA)及びP(VL−co−LA)を実
施例3とした。
【0024】分子量は、検出器として示差屈折計を備え
た島津6A GPCシステムを用いて測定した。カラム
はショーデックス K−80M及びK−802に直列に
接続して、カラム温度40℃で測定した。移動相として
クロロホルムを用い、0.8ml/minの流速で分析
を行った。ポリマーの熱的性質は、冷却装置を備えた、
島津急速冷却形示差走査熱量計DSC-50Qを用いて
決定した。融点(Tm)、融解熱(ΔHm)の測定は、
サンプル約2mgを正確に計り取り、アルミウムパンに
入れ、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minで室温か
ら200℃まで昇温する1st runによって行っ
た。ガラス転移点(Tg)の測定は、1st runで
200℃まで昇温して融解した後、液体窒素で急冷する
ことによってクエンチし、昇温速度20℃/minで−
100℃〜200℃まで昇温する2nd runによっ
て行った。熱容量変化の中点をTgとした。P(CL−
co−LA)及びP(VL−co−LA)の生分解性の
評価は、リパーゼによる酵素分解試験によって決定し
た。酵素分解試験は、0.1Mのリン酸緩衝液(pH
7.4)1mlが入った10mlのサンプル瓶に、1c
m×1cmに切断したフィルムとリパーゼ(リゾパス・
デルマー由来)を0.5mg入れ、37℃で 19時間振
とうすることで行った。酵素分解性の評価は、残存フィ
ルムを取り出し蒸留水で洗浄して、室温で恒量になるま
で乾燥し、重量を測定することにより行った。
【0025】得られた結果をまとめて表1に示した。い
ずれの共重合体も、数平均分子量が40,000以下
で、乳酸の仕込み比が60モル%以上で非晶質となっ
た。また、実施例2に示すように、リパーゼによる生分
解性はいずれの共重合組成においても、PCLより良好
であった。
【0026】
【実施例4、比較例1〜3】P(3HB)は、アルドリ
ッチ社から購入した微生物産生のものをクロロホルムに
溶解し、ヘキサンで再沈させ、室温で恒量になるまで減
圧乾燥を行って使用した。高分子組成物の作製は、所定
量の高分子混合物をクロロホルムに溶かし 2%(wt
/vol)の溶液にし、ガラス製のシャーレを用いてソ
ルベント−キャスト法にて行った。作製したフィルムを
室温で恒量になるまで減圧乾燥し、結晶状態が定常とな
るまで3週間室温で保った。高分子組成物のフィルムの
機械的性質の測定は今田製作所製SV−50型引っ張り
試験機を用いて行った。試験片は厚さ約50μmのフィ
ルムをJIS K−6301のサイズ4のダンベルで打
ち抜いて作製した。測定は引っ張り速度20mm/mi
nで、室温(23℃)で行った。試験片の数は3個であ
り、試験結果はその平均値を採用した。
【0027】高分子組成物の生分解性の評価は、酵素分
解試験と環境分解試験によって行った。酵素分解試験方
法は、0.1Mのリン酸緩衝液(pH7.4)1mlが
入った10mlのサンプル瓶に、1cm×1cmに切断
したフィルムと,PHBデポリメラーゼ(アルカリゲネ
ス・ファエカリス由来)を1.5μg/ml入れ、37
℃で 19時間振とうすることで行った。酵素分解性の
評価は、残存フィルムを取り出し蒸留水で洗浄して、室
温で恒量になるまで乾燥し、重量を測定することにより
行った。高分子組成物の環境分解試験は、自然環境水
(荒川、和光市笹目橋付近で採取)を用いて行った。ビ
ューレットを備えたガラス製の培養瓶(300ml)
に、自然環境水200ml、無機塩液0.8ml(K2
PO4 0.46%、Na2HPO4・12H2O 1.16
%、MgSO4・7H2O 0.05%、FeCl3・6
2O 0.01%、CaCl2・2H2O 0.005
%、NH4Cl 0.1%)、サンプルフィルム約10m
gを加え、恒温装置を備えたBOD測定装置(タイテッ
クO2Upテスター10B)を用いて、25℃にて分解
試験を行った。約28日間、BOD(生物化学的酸素消
費量)を経時的に測定し、分解終了後、残留フィルムの
重量を測定した。大気圧の変動によるBOD値の変化を
補正するため、空試験値(ブランク値)を差し引いた値
を真のBOD値とした。
【0028】P(3HB)と、P(CL−co−LA)
及びP(VL−co−LA)との高分子組成物より調製
された、フィルムの引っ張り試験の結果を、表2の実施
例4に示した。また、比較例1はP(3HB)の機械的
性質、及び酵素分解試験の結果を、比較例2は乳酸−ラ
クトン共重合体の代わりにポリ乳酸を用いた結果を、比
較例3は乳酸−ラクトン共重合体の代わりに、PCLを
用いた結果をそれぞれ表2に示した。比較例1から、P
(3HB)は、強度は良好であるが、ヤング率が高く、
破壊伸びが小さいことから、堅くて脆い性質を有するこ
とが示される。また、比較例2に示すように、P(3H
B)にポリ乳酸を混合しても、ポリ乳酸はガラス転移点
が高いため、常温でガラス状態となり、柔軟性を示さな
い。さらに、比較例3に示した、PCLは、P(3H
B)に対して非相溶であるため、単に混合しただけで
は、良好な物性を示さない。
【0029】P(3HB)とP(VL−co−LA)と
の高分子組成物より調製された、フィルムの環境分解試
験の結果を、表3の実施例5に示した。また、比較例4
はP(3HB)の環境分解試験の結果を、比較例5はP
(VL−co−LA)の代わりにポリ乳酸を用いた環境
分解結果をそれぞれ表3に示した。比較例4、比較例5
に示すように、P(3HB)は環境中で迅速に分解する
が、ポリ乳酸は酵素分解性を持たないため P(3H
B)にポリ乳酸を混合すると環境中での分解性は低下す
る。一方、実施例5に示すように、P(3HB)とP
(VL−co−LA)からなる高分子組成物は比較例5
よりも速やかに分解され、その分解性はP(VL−co
−LA)に含有されるバレロラクトンの含量が多いほど
良好である。
【0030】
【発明の効果】本発明になる高分子組成物は、柔軟性と
生分解性を合わせもつものである。またPHBデポリメ
ラーゼによる分解性だけでなく、リパーゼによる分解性
も有していることから、自然環境中でより迅速に生分解
される。また、P(3HB)と比較して、ガラス転移点
が低いので低温においても柔軟性を維持できるという特
徴があるため様々な用途への応用が期待できる。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土肥 義治 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究所 内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリ(3−ヒドロキシブチレート)100
    重量部に対して、ヒドロキシカルボン酸の単独重合体
    (但し、6−ヒドロキシヘキサン酸の単独重合体を除
    く)またはヒドロキシカルボン酸と乳酸との共重合体を
    1〜300重量部含有してなる生分解性高分子組成物。
  2. 【請求項2】ヒドロキシカルボン酸の炭素数が、2〜1
    2である請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】乳酸の立体異性体が、ラセミ体またはR
    体、S体およびラセミ体の混合物から得られるものであ
    る請求項1または2記載の組成物。
  4. 【請求項4】共重合体を構成するヒドロキシカルボン酸
    が6−ヒドロキシヘキサン酸(ε−カプロラクトン)で
    ある請求項1、2または3記載の組成物。
  5. 【請求項5】単独重合体または共重合体を構成するヒド
    ロキシカルボン酸が5−ヒドロキシペンタン酸(δ−バ
    レロラクトン)である請求項1、2または3記載の組成
    物。
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