JP3680338B2 - ジルコニア顆粒の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ジルコニア顆粒の製造方法に関し、特に、成形時の顆粒の潰れ性が優れたジルコニア顆粒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジルコニア焼結体の製造方法における成形手段として、単純形状の場合には寸法精度に優れる乾式加圧成形方法が一般的に採用されている。
【0003】
この乾式加圧成形は、加圧時に成形型内部の圧力分布が起こらないように、成形型への粉末の均一な充填性が必須条件となる。
【0004】
このため、従来より微粉末で流動性の悪いジルコニア粉末を噴霧乾燥造粒方法で流動性の良い球状顆粒にして使用する方法が広く行われている。
【0005】
前記の噴霧乾燥造粒方法で流動性の良い球状顆粒を得ることは容易である。
【0006】
しかしながら、ファインセラミックス用粉末は、均一な焼結性及び易焼結性が要求されることから、粉末の平均粒子径としては1μm以下に均一に微粉砕されているのが一般的である。
【0007】
このような微粉末を噴霧乾燥方法で顆粒化した場合、微粉末同士の強い凝集力による圧潰強度の強い顆粒が生成する。
【0008】
潰れ性が悪い圧潰強度の強い顆粒を乾式加圧成形に用い場合には、成形体中に未潰顆粒が残存し、この未潰顆粒部分が焼結欠陥となり焼結体の低密度及び低強度の原因となる問題がある。
【0009】
この様なことから、顆粒強度を低下させる目的で、ジルコニアスラリーに増粘剤を添加して予めスラリー中の微粉末を弱く凝集させる方法や、スラリー濃度を低くして乾燥凝集力を低下させる方法等があるが、この様な方法で得られる顆粒は、十分な圧潰強度の改善にはならず、また、顆粒の嵩密度も低下することから、成形型への充填率が低下する等の問題が生じる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記の顆粒の問題点を改善し、成形型への充填性及び加圧時の潰れ性に優れるジルコニア顆粒の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ジルコニア粉末を水中に懸濁させたジルコニアスラリーを噴霧乾燥してジルコニア顆粒を製造するにあたり、高濃度のジルコニアスラリーに気泡を包含させて該スラリーの比重を0.80〜1.2g/cm3に調整して噴霧乾燥するジルコニア顆粒の製造方法を要旨とするものである。
【0012】
【作用】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0013】
イットリア等の安定化剤を含有するジルコニア粉末を水中に懸濁させたジルコニアスラリーを、ディスク方式やノズル方式の、通常の噴霧乾燥機で乾燥させることにより、ジルコニア粉末の球状顆粒を容易に得ることができる。
【0014】
得られる顆粒の粒径としては通常0.01〜0.2mm程度の分布があり、平均顆粒径は0.06mm程度である。
【0015】
また、得られる顆粒強度は原料のジルコニア粉末の粒子径や比表面積により異なるが、例えば、粉末の平均粒子径が1μm以下で且つBET比表面積が10m2/g以上である場合には、得られる顆粒の圧潰強度は0.06kgf/mm2程度である(島津製作所製の微小圧縮試験機による測定値)。
【0016】
顆粒の圧潰強度が0.06kgf/mm2以上になると、乾式加圧成形の成形圧力を1000kg/cm2にした場合でも未潰顆粒が残存することとなり、このような成形体を1500℃で焼結させた焼結体の強度は、JIS R 1601に規定された3点曲げ強度試験法で90kgf/mm2程度である。
【0017】
以下の説明はこのような平均粒子径が1μm以下で且つBET比表面積が10m2/g以上であるジルコニア粉末を対象としたものである。
【0018】
この様なことから、前記したように顆粒強度を低下させる目的で、ジルコニアスラリーに増粘剤を添加する方法や、スラリー濃度を低くする方法等があるが、顆粒の嵩密度が低下したり、濃度低下により生産性が悪くなったりする問題がある。
【0019】
本発明は、顆粒の嵩密度を低下させることなく潰れ性に優れる顆粒を生産性良く製造する方法を提供するものである。
【0020】
本発明のジルコニアスラリーのジルコニア濃度は35〜60wt%が好ましい。
【0021】
何故ならば、35wt%未満の場合は、生産性が低下するためであり、60wt%を越える場合にはスラリー粘度が高くなり噴霧乾燥時の噴霧状態が悪くなり、得られる顆粒の形状が悪く流動性の悪いものとなるからである。
【0022】
また、本発明は、スラリー中に気泡を包含させ、スラリー比重を0.80〜1.2g/cm3にすることが必要である。
【0023】
通常ジルコニア粉末を水に懸濁させたスラリーの比重は、例えば、ジルコニアが50wt%のスラリー比重は1.6g/cm3程度である。
【0024】
この程度のスラリー比重を、スラリー中に気泡を包含させてスラリー比重を0.80〜1.2g/cm3に調整するが、スラリー比重が0.80g/cm3未満になると、ポンプの構造によつては噴霧乾燥機にスラリーを供給することが困難となることもあり好ましくない。
【0025】
また、スラリー比重が1.2g/cm3を越える場合は、噴霧乾燥で得られる顆粒の圧潰強度が十分改善されないため好ましくない。
【0026】
スラリー中に気泡を包含させる方法としては、スラリー中に微量の発泡剤を添加したり、成形性を向上させるためのセラミックス用バインダーを添加した後、スラリーをやや強めに攪拌することにより容易に気泡を包含させることができる。
【0027】
また、噴霧乾燥中のスラリー比重のさらなる低下については、消泡剤の添加で比重値を一定に維持することができる。
【0028】
以上のように、35〜60wt%のジルコニアスラリーに添加剤を加え、攪拌することによつて、比重が0.80〜1.2g/cm3であるジルコニアスラリーを得ることができる。
【0029】
このように調整したスラリーを噴霧乾燥することによって得られるジルコニア顆粒は、球形で粒子径が0.02〜0.2mmであり、軽装嵩密度は1.0〜1.4g/cm3である。
【0030】
また、顆粒の圧潰強度は0.02〜0.04kg/mm2程度に改善できる。
スラリーに気泡を包含させることにより、顆粒の圧潰強度が改善できる理由については定かではないが、乾燥時のジルコニア微粉末の乾燥凝集力が気泡によって緩衝されているものと思われる。
【0031】
この様にして潰れ性を改善したジルコニア顆粒を用いて、金型プレス成形法で成形圧力1000kg/cm2で成形した後、1500℃で焼結させた焼結体の3点曲げ強度は110〜130kgf/mm2程度に改善される。
【0032】
本発明によれば、スラリー中に一定量の気泡を包含させ噴霧乾燥法することにより、理由は定かではないが得られるジルコニア顆粒の圧潰強度を改善することが可能であり、これによつて成形時の顆粒の潰れ性が優れることから、加圧成形法によって得られるジルコニア焼結体の強度が改善できる。
【0033】
【実施例】
以下の実施例により、本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により、本発明は何等限定されない。
【0034】
実施例1
Y2O3を3mol%含有するジルコニア粉末(平均粒子径1.0μm、BET比表面積16m2/g)を水に懸濁させて、ジルコニアが50wt%のスラリーを調整した。
【0035】
次に、調整したスラリーに撹拌しながら中央理化工業(株)製のセラミックス用バインダー(アクリル共重合樹脂)をスラリー中の固形分量に対して3%添加混合した。
【0036】
添加後のスラリーのジルコニア濃度は45wt%で、多少の気泡を包含しているがスラリーの比重は1.30g/cm3であった。
【0037】
バインダーを添加後、やや強めの攪拌を24時間継続して気泡を包含させると、24時間後のスラリー比重は1.10g/cm3となった。
【0038】
次に、気泡の包含により比重を調整したスラリーを噴霧乾燥機を用い150℃の熱風下で乾燥しジルコニア顆粒を得た。
【0039】
得られたジルコニア顆粒の軽装嵩密度は1.20g/cm3で、顆粒の圧潰強度は0.03kg/mm2であった。
【0040】
次に、得られたジルコニア顆粒27gを用いて、成形圧1000kg/cm2で金型プレス成形を行い、57mm×34mmの板状に成形した後、1500℃で2時間焼結して焼結体を得た。該焼結体の密度は6.051g/cm3であり、3点曲げ強度値は平均125.3kgf/mm2であった。(3点曲げ強度は、JIS R 1601に規定された試験法により、3mm×4mm×40mmの試験片10本についてスパン30mmで測定した)
比較例1
実施例1の、▲1▼バインダーを添加した直後のスラリーと、▲2▼バインダー添加後48時間攪拌を継続したスラリーについて、実施例1と同様に噴霧乾燥を行った。
【0041】
▲1▼のスラリー比重は1.30g/cm3で、▲2▼のスラリー比重は0.78g/cm3であった。
【0042】
▲1▼のスラリーを噴霧乾燥して得たジルコニア顆粒は、軽装嵩密度は1.21g/cm3で、顆粒の圧潰強度は0.06kg/mm2であった。
【0043】
また、得られたジルコニア顆粒を使用して実施例1と全く同様に操作して焼結体の評価を行った。
【0044】
該焼結体の密度は6.050g/cm3であり、3点曲げ強度値は平均90.3kgf/mm2であった。
【0045】
▲2▼のスラリーについては、ダイヤフラム式ポンプでの噴霧乾燥機への供給が不可能であり、顆粒を得ることができなかった。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、簡便な操作で容易に潰れ性に優れるジルコニア顆粒を製造することができ、特に加圧成形法により高強度なジルコニア焼結体を製造するのに好適である。
Claims (1)
- ジルコニア粉末を水中に懸濁させたジルコニアスラリーを噴霧乾燥してジルコニア顆粒を製造するにあたり、ジルコニアスラリーのジルコニア濃度が35〜60wt%であり、且つ、該スラリーに気泡を包含させて該スラリーの比重を0.80〜1.2g/cm3に調整して噴霧乾燥することを特徴とするジルコニア顆粒の製造方法。
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