JP2002255556A - 酸化ジルコニウム粉末およびそれからなる顆粒 - Google Patents
酸化ジルコニウム粉末およびそれからなる顆粒Info
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Abstract
体物性が安定して優れ、成形性が良好であり、成形助剤
を添加した場合の焼結体物性の低下が少ない酸化ジルコ
ニウム粉末を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明の酸化ジルコニウム粉末は、酸化イ
ットリウムを2〜5モル%含有する酸化ジルコニウム粉
末であって、かつ、単斜晶率が25〜37%であること
を特徴とするものである。また、本発明の顆粒は、かか
るジルコニウム粉末を乾燥造粒してなる、平均粒径が3
0〜70μmであることを特徴とするものである。
Description
かつ、焼結体物性の安定して優れた正方晶準安定化ジル
コニア焼結体製品を得るための酸化ジルコニウム粉末お
よび顆粒に関するものである。
折による結晶粒子径が10〜25nmであり、かつBE
T法による比表面積が20〜40m2 /gであって、イ
ットリアを2〜5mol%固溶させて安定化させたもの
が、特開昭62−207761号公報で提案されている
し、また、BET比表面積が12m2/g以下であり、
かつ平均粒子径と該BET法比表面積との積が3μm・
m2/g以下であって、イットリアを2〜10mol%
固溶させた射出成形用のものが、特開平3−17435
6号公報で提案されている。また、BET比表面積が
3.5〜20m2 /gで、一つは、粒径中央値が0.3
〜1μmで、かつ電子顕微鏡により測定される平均粒径
/BET比表面積から求められる平均粒径比が1〜3の
2次粒子からなるもの、ならびに、一つは、粒径中央値
1〜2μmの2次凝集粒子からなるものが、それぞれ特
開平5−193948号公報で提案されている。
207761号公報で提案された技術における粉末で
は、特に乾式プレス成形において、金型への付着が大き
く、また、離型時の抵抗が大きいことから成形体が割れ
てしまうという問題が発生し、特開平3−174356
号公報で提案された技術における粉末では、乾式プレス
によって成形すると、得られた成形体の強度が低く、エ
ッジ部に欠けや、割れが発生するという問題があった。
また、特開平5−193948号公報で提案された粉末
では、焼結体物性の安定性が悪く、必ずしも良好な焼結
体密度・強度や成形性が得られないという問題があっ
た。
成形体を作製し燒結した場合の焼結体物性が安定して優
れ、成形性が良好であり、成形助剤を添加した場合の焼
結体物性の低下が少ない酸化ジルコニウム粉末を提供せ
んとするものである。
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の酸化ジルコニウム粉末は、酸化
イットリウムを2〜5モル%含有する酸化ジルコニウム
粉末であって、かつ、単斜晶率が25〜37%であるこ
とを特徴とするものである。また、本発明の顆粒は、か
かるジルコニウム粉末を乾燥造粒してなる、平均粒径が
30〜70μmであることを特徴とするものである。
性が良好かつ焼結体物性が安定して優れ、成形助剤を添
加した場合の焼結体物性の低下が少ない酸化ジルコニウ
ム粉末について、鋭意検討し、酸化ジルコニウム粉末の
単斜晶率を特定化したものをつくってみたところ、かか
る課題を一挙に解決することを究明したものである。
成形性・焼結性のパラメーターとされているBET比表
面積と平均二次凝集径の他に、酸化イットリウムが固溶
されているジルコニア粉末が、正方晶と単斜晶の結晶の
混合体から構成されていることに注目し、これを制御す
ることで、粉末の合成法に関わらず、乾式プレス成形に
おいて、成形性が良好、かつ、焼結体物性が安定して優
れ、成形助剤の焼結体物性への悪影響が極めて小さい原
料粉末を得ることに成功したものである。
ET1点法にて吸着分子として窒素を用いて測定した粉
体の比表面積をいう。
水中に分散剤を添加して超音波振動子により充分分散さ
せ1%以下の希薄なスラリーとし、これをレーザー回折
法による投影径の50%値や、遠心沈降法で求められる
ストークス径の50%値のことである。
定された、30.2゜に発生する正方晶ピークの強度I
t(111)と28.2゜と31.1゜に発生する単斜
晶ピーク強度Im(111)とIm(111)について
下式のように求めたものであり、一般に酸化ジルコニウ
ムの場合正方晶と単斜晶の体積割合を示すものである。
Im(111)}/{Im(111)+Im(111)
+It(111)}] ×100 本発明の酸化ジルコニウム粉末は、酸化イットリウムを
2〜5モル%、好ましくは2.5〜4モル%含有する酸
化ジルコニウム粉末であることが重要である。
モル%未満であると、酸化ジルコニウムとの固溶が完全
でなく、焼結体に単斜晶が多く発生し、変態時の体積膨
張により焼結体が破壊するか、もしくは、クラックが発
生し、焼結体の強度が低下してしまう。また、5モル%
を越えるものとなると、焼結体中の立方晶が多く発生
し、準安定化酸化ジルコニウムの高強度発現機構である
応力誘起変態が、立方晶の部分で起こらなくなり、低強
度になってしまう恐れがある。
ウム塩とイットリウム塩を水に溶解して、中和共沈法、
熱分解法等、焼成温度を、たとえば800℃〜1100
℃の間で調整して、焼成粉末のBET比表面積を目標値
より小さくして、焼成することにより得ることができ
る。
酸化イットリウムの含有量に加えて、さらに、単斜晶率
が25〜37%の範囲、好ましくは28%〜32%の範
囲であることが重要である。すなわち単斜晶率が、25
%未満では、焼結性が低く、37%を越えると、焼結性
が高くなりすぎ、さらに、焼結時の体積収縮の影響が大
きくなり、いずれも、良好な燒結体物性が得られなくな
る。
ET比表面積値が、好ましくは5〜16m2/g、より
好ましくは7〜12m2/gであり、平均2次凝集粒子
が、好ましくは0.3〜1.2μm、より好ましくは
0.5μm〜1.0μmであるものがよい。
mより小さい場合、粒子間の凝集力が強固になるため、
プレス成形時に粒子−粒子間および金型−粒子間の摩擦
力が大きくなり、成形体のエッジ部分の割れ、欠けが多
く発生するため好ましくない。また1.2μm以上であ
ると、固い凝集粒子を多く含むこととなり、それが焼結
体中に残存してしまい、そこが破壊起点となり焼結体の
低強度化が起こる。
満であると、焼結性が悪化し、焼結体密度および強度が
低下してしまう。また、16m2/gを越えると、粒子
の凝集力が強く、乾燥して顆粒にした場合に顆粒の潰れ
強度が高くなりすぎるため、成形性・焼結性が悪化す
る。
値は、粉砕手法(メディア径等)、粉砕時間等を調整す
ることにより、制御することができる。
顆粒の作成方法について述べる。
水に溶解して前記のように焼成するが、この焼成粉末の
段階では、単斜晶率は10%以下であることが望まし
い。この段階で、単斜晶率が10%以上であると、酸化
イットリウムが均一に存在していない可能性が高く、燒
結体において完全に正方晶となることが難しく、強度が
低くなる恐れがある。
合する。湿式粉砕の方法としては、ボールミルやアトラ
イター、ビーズミル等の方法があるが、特に限定されな
い。かかる焼成粉末中の単斜晶の量は、この湿式粉砕に
よる解砕応力がかかることで増加する。これは、焼成粉
末の段階では、凝結している正方晶粒子が解砕により、
凝結部分が引き裂かれ、その部分で単斜晶への応力誘起
変態が発生するためであり、解砕された2次粒子をTE
Mで観察すると、粒子の表面部分に単斜晶が多く発生し
ていることが観察される。
00℃付近にて正方晶に変態し、約4.6%の体積収縮
を起こすことが知られている。ここで、酸化イットリウ
ムが均一に存在している状態では、単斜晶から正方晶へ
の変態は、より低い温度で起こり、同時に燒結を開始す
ると考えられる。このことから酸化イットリウムが均一
に添加されている粉末では、単斜晶が多いほど焼結性が
高くなる。しかし、単斜晶が過剰に存在する場合は、焼
結時の上記の体積収縮の影響が大きくなる。例えば単斜
晶率50%の粉末から燒結体を作成する場合は、そのま
まの単斜晶率で燒結体となるとすると、理論密度は{単
斜晶率×5.6+(1−単斜晶率)×6.1}であり、
5.85g/cm3となる。しかし、実際は、ほぼ正方
晶となり、理論密度6.1g/cm3となる。
常の粒子間の空隙が埋まることによる収縮とは異なる収
縮課程をとるものと考えられる。この結晶変態による収
縮課程が大きいほど、燒結体内部に与える影響が大き
く、要するに、単斜晶率が大きな粉末から燒結体を作成
しても、良好な燒結体物性が得られないのである。
ム粉末の最適な単斜晶量は、25%〜37%のはんいに
あることが重要なのであることがわかった。
リーを、スプレードライヤー等の乾燥機により造粒にす
ることにより得られる。この際、スラリーに、一般に用
いられるPVAやアクリル系、パラフィン系、セルロー
ス系等の有機バインダーを成形助剤として適量添加し、
充分混合させた後、造粒することで、さらに成形性の良
好な顆粒を得ることができる。このとき、同時にステア
リン酸等の離型剤を微量添加することで、さらに金型へ
の付着性などの悪要素を改善することができる。
て、平均粒径が30〜70μmであり、かつ、嵩密度が
0.9g/cm3以上、200℃における重量減少率が
0.5重量%以下であることが望ましい。
の流動性が悪くなり、金型等への充填の際に、充填密度
ムラを起こしてしまうためである。この充填ムラは、プ
レス成形時の伝達圧力ムラを起こす原因となり、成形体
密度のムラを発生し、この成形体を燒結すると、成形体
内部で密度が大きいところと小さいところで、収縮の大
きさが異なり、引っ張り応力が発生することが原因で、
燒結体は、その部分から割れる。また、70μmより大
きい場合は、プレス成形時に発生する顆粒間の空隙が大
きくなり、単斜晶率を制御したことによる焼結性向上の
効果が見られなくなるほど、燒結体に空隙が残存してし
まう。
充填時の空隙が大きくなり、プレス成形時にエアー抜き
が完全にできにくいことから、成形体内部に大きな空隙
が発生することになる。
5重量%を越える場合は、粉体中に存在する水分が多く
なっているといえる。このような場合、顆粒の流動性が
低下することによる型への充填ムラが発生してしまい、
燒結体の割れる原因となる。
ム粉末及び顆粒は、成形助剤を添加することによる燒結
体密度および強度の低下を最小限に押さえることがで
き、その結果、焼結性が向上し、成形助剤の存在による
燒結阻害効果をうち消すことができるのである。
結助剤として、好ましくは酸化アルミニウムを3.0重
量%以下で均一に添加すると、単斜晶率制御の効果を増
長させ、さらに焼結体の物性の優れた酸化ジルコニウム
焼結体を得ることができる。酸化アルミニウムの量が
3.0重量%より多いと、巨大な酸化アルミニウム結晶
粒子が、燒結体内に発生し、それが破壊時の起点になっ
てしまうため、低強度の燒結体になりやすくなる。
する。
と、(Y2O3)換算で18重量%の塩化イットリウム溶液
を、酸化イットリウムが3モル%となるように調合し、
熱分解法にて、1000℃で焼成して焼成粉末を得た。
り、湿式粉砕で、2時間処理し、スラリーとした。
て、熱風温度230℃で、噴霧乾燥して粉末を得た。
表面積、単斜晶率を測定したところ、それぞれ1.0μ
m、11m2/g、29%であった。
板を、荷重10GPaで成形し、成形体を1400℃で
燒結した後、アルキメデス法で密度を測定し、抗折試験
片を切り出して、3点曲げ強度(JIS R1601)
を測定し、表1にまとめた。
は、実施例1と同様の手法にて、粉末を得た。
積、単斜晶率等を測定したところ、それぞれ0.7μ
m、10m2/g、33%であった。
結を行った後、密度、強度を測定し、表1にまとめた。
ル%となるように調合し、焼成温度を1100℃とし、
粉砕手法をビーズミルに変更した他は、実施例1と同様
にして粉末を得た。
積、単斜晶率等を測定したところ、それぞれ1.1μ
m、7m2/g、34%となった。
い、燒結を行った後、密度、強度を測定し、表1にまと
めた。
ル%となるように調合し、合成法を中和共沈法(アンモ
ニア中和)に変更し、粉砕時に酸化アルミニウムが0.
4モル%となるように添加した他は、実施例1と同様に
して粉末を得た。
積、単斜晶率等を測定したところ、それぞれ0.8μ
m、9m2/g、30%となった。
い、燒結を行った後、密度、強度を測定し、表1にまと
めた。
となるように調合し、焼成温度を900℃とした他は、
実施例1と同様にして粉末を得た。
積、単斜晶率等を測定したところ、それぞれ0.7μ
m、15m2/g、37%となった。
い、燒結を行った後、密度、強度を測定し、表1にまと
めた。
リビニルアルコール(重合度500)を、粉末に対し1
重量%添加し、充分攪拌混合した後、噴霧乾燥して顆粒
を得た。
れぞれ55μm、1.0m2/g、0.3%であった。
mmの薄板を、荷重10GPaで成形し、成形体の割れ
やエッジ欠けを観察し、1400℃で燒結した後、密度
および強度を測定し、さらに実施例1の成形助剤無添加
粉末強度から下式の手法で強度低下率を求め、表1にま
とめた。
強度)−(成形助剤添加粉末強度)}/(成形助剤無添
加粉末強度)×100 実施例7 実施例2の湿式粉砕後、スラリーを、実施例6と同様に
処理して顆粒を得た。
れぞれ60μm、1.0m2/g、0.2%であった。
よび実施例2の粉末からの強度低下率をもとめ、表1に
まとめた。
理して顆粒を得た。
ぞれ60μm、1.2m2/g、0.2%であった。
よび実施例3の粉末からの強度低下率をもとめ、表1に
まとめた。
理して顆粒を得た。
ぞれ50μm、1.1m2/g、0.2%であった。
よび実施例4の粉末からの強度低下率をもとめ、表1に
まとめた。
理して顆粒を得た。
ぞれ45μm、1.0m2/g、0.5%であった。
よび実施例5の粉末からの強度低下率をもとめ、表1に
まとめた。
となるように調合し、その他は実施例1と同様にして粉
末を得た。
積、単斜晶率等を測定したところ、それぞれ1.0μ
m、11m2/g、37%となった。
い、燒結を行った後、密度、強度を測定し、表1にまと
めた。
となるように調合し、その他は実施例1と同様にして粉
末を得た。
積、単斜晶率等を測定したところ、それぞれ1.1μ
m、10m2/g、32%となった。
い、燒結を行った後、密度、強度を測定し、表1にまと
めた。
他は、実施例1と同様にして粉末を得た。
積、単斜晶率等を測定したところ、それぞれ1.6μ
m、8m2/g、20%となった。
い、燒結を行った後、密度、強度を測定し、表1にまと
めた。
粒を得た。
積、単斜晶率等を測定したところ、それぞれ0.6μ
m、12m2/g、47%となった。
い、燒結を行った後、密度、強度を測定し、表1にまと
めた。
粉砕時間を4時間とする他は、実施例1と同様にして粉
末を得た。
積、単斜晶率等を測定したところ、それぞれ0.2μ
m、14m2/g、53%となった。
い、燒結を行った後、密度、強度を測定し、表1にまと
めた。
理して顆粒を得た。
ぞれ75μm、1.0m2/g、0.3%であった。
よび比較例2の粉末からの強度低下率をもとめ、表1に
まとめた。
理して顆粒を得た。
ぞれ60μm、1.1m2/g、0.3%であった。
よび比較例3の粉末からの強度低下率をもとめ、表1に
まとめた。
理して顆粒を得た。
ぞれ25μm、0.9m2/g、0.5%であった。
よび比較例4の粉末からの強度低下率をもとめ、表1に
まとめた。
理して顆粒を得た。
ぞれ55μm、0.8m2/g、0.6%であった。
よび比較例5の粉末からの強度低下率をもとめ、表1に
まとめた。
を比較すると、実施例の粉末の密度、強度は優れてお
り、焼結性に優れた粉末といえる。
較すると、実施例のものでは、成形体の割れ、欠けは全
く発生せず、また成形助剤添加による強度低下率は、実
施例のものでは5%以内であることから、実施例の粉末
は、比較例のものに比して、成形助剤の添加による強度
低下が極めて少ない粉末であるといえる。
時の抵抗が小さく、成形体の強度に優れているので、成
形体の割れやエッジ部の欠けが発生せず、焼結体の物性
の良好な、特に密度・強度に優れた焼結体を提供するこ
とができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 酸化イットリウムを2〜5モル%含有す
る酸化ジルコニウム粉末であって、かつ、本文で定義す
る単斜晶率が25〜37%であることを特徴とする酸化
ジルコニウム粉末。 - 【請求項2】 該酸化ジルコニウム粉末が、本文で定義
するBET比表面積が5〜16m2/gで、かつ、本文
で定義する該粉末の平均二次凝集径が0.3〜1.2μ
mであることを特徴とする請求項1に記載の酸化ジルコ
ニウム粉末。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載のジルコニウム
粉末を乾燥造粒してなる顆粒であって、かつ、該顆粒が
有機バインダーからなる成形助剤を含有し、かつ、平均
粒径が30〜70μmであることを特徴とする顆粒。 - 【請求項4】 該顆粒が、0.9g/cm3 以上の嵩密
度を有し、かつ、200℃における重量減少率が0.5
重量%以下であることを特徴とする請求項3に記載の顆
粒。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2001054053A JP2002255556A (ja) | 2001-02-28 | 2001-02-28 | 酸化ジルコニウム粉末およびそれからなる顆粒 |
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