JP3678782B2 - 位置検出装置及びその位置指示器 - Google Patents

位置検出装置及びその位置指示器 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電磁誘導作用を利用した位置検出装置及びその位置指示器に関するものであり、特に、ペン形状の位置指示器のタブレット面に対する傾きが検出できる位置検出装置及びその位置指示器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の装置は、ペン形状の位置指示器により文字や絵などを入力する用途に用いられるが、この場合に座標値による入力だけでなく、使用者の手のひねり具合や個人的癖等に基づくペンの傾きや回転をデータとして入力したいという要求がある。
【0003】
この要求に答えるために種々の位置検出装置及び位置指示器が従来改良されている(例えば、特公昭58−16506、特公昭61−1764、特開平3−67320)。
【0004】
特公昭58−16506あるいは特開平3−67320では、タブレット側に設けられた複数のループコイルを順次切り替えた際の検出電圧の第1ピーク及び第2ピークからペンの傾きを検出しようとするものである。この場合、ペンがタブレット面に対して垂直に近い角度で置かれているときには前述した第2ピーク値は第1ピーク値と比べてはるかに小さいためペンの傾きを正確に検出できない欠点や、また、ペン先がタブレット上の座標検出の有効エリアのエッジ付近に位置するときにはペンの傾きを検出できない欠点がある。特公昭61−1764では、ペンの軸方向に離れた2個のコイルを設けることにより、ペンの傾きを検出可能とする構成について示している。この場合、2個のコイルを遠ざけると上方に置かれたコイルとタブレットとの間の距離が離れすぎてしまうので、2個のコイル間の距離をある程度近接させる必要がある。このため、効率の良い磁性体コアに巻かれたコイルを用いることができないため、検出信号が弱くなる欠点がある。
【0005】
即ち、従来の装置は、傾斜検出のために位置検出装置で検出される信号が小さいため、位置指示器の傾き(傾斜角)を正確に検出できない。また、ペン先がタブレット上の座標検出の有効エリア(座標検出が可能である範囲)の周辺付近に位置するときにはペンの傾斜角を検出できない欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこの点を改良するもので、位置指示器の傾斜角を正確に検出でき、且つ位置検出装置のタブレット面の有効エリアの周辺付近でも傾斜角を検出できる、位置検出装置および位置指示器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、位置指示器内にコイルを設けてタブレットとの電磁誘導を利用して位置指示器の座標位置を検出する位置検出装置であり、位置指示器を位置検出面(タブレットの上面)上で操作する時の最も標準的な状態に配置した際に、位置検出面に対して垂直な面に巻かれた、傾斜角を検出するためのコイルを設けた位置指示器と、複数のループコイルを位置検出方向に並設してなる位置検出部と、前記複数のループコイルより検出される信号強度の分布より位置指示器の位置検出方向に対する姿勢を検出する姿勢検出手段とを設けたタブレットと、を備える。
【0008】
また、位置指示器の位置検出面上での位置を検出するために、位置指示器を位置検出面上で操作する時の最も標準的な状態に配置した際に、該位置検出面に対して平行な面に巻かれたコイルを備える。
【0009】
また、位置指示器の回転角を検出するために、位置指示器を位置検出面上で操作する時の最も標準的な状態に配置した際に、該位置検出面に対して平行な面に巻かれたコイルに加えて、該コイルと同一方向を軸として巻かれた別のコイルを備える。
【0010】
前記タブレットの一構成は、複数のループコイルを位置検出面上の直交する2方向に並設してなる位置検出部と、前記複数のループコイルより検出される信号強度の分布より位置指示器の位置検出面に対する姿勢を検出する姿勢検出手段とを備える。
【0011】
また、電磁誘導を利用するために、位置指示器内にコイル選択手段を備え、このコイル選択手段により選択されたコイルをコンデンサと接続してタブレットからの電波の周波数に共振させるようにする。
【0012】
そして、複数のループコイルより検出される信号強度の分布において現れる2箇所のピーク値の比率より位置指示器の位置検出方向に対する姿勢を検出するようにする。
【0013】
位置、回転角及び傾斜角を検出する位置検出装置の位置指示器の1つの構成では、該位置指示器を位置検出面上で操作する時の最も標準的な状態に配置した際に、位置検出面に対して垂直な面に巻かれた第1のコイルと、位置検出面に対して垂直でかつ第1のコイル面に対して直交する面に巻かれた第2のコイルと、位置検出面に対して平行な面に巻かれた第3のコイルと、第3のコイルと同一方向を軸として巻かれた第4のコイルおよび第5のコイルと、第3のコイルにコンデンサがあらかじめ接続して構成される共振回路と、該共振回路により受信される電波よりタブレットからのタイミング情報を含んだ制御情報を抽出する制御情報抽出手段と、該共振回路により受信される電波を整流して各回路を駆動する電源を得る電源回路と、制御情報抽出手段により抽出された制御情報に基づく特定のタイミングに、第1および第2のコイルを開放または短絡とし、第4および第5のコイルを開放とするようにして、第3のコイルを備える共振回路がタブレットからの電波に共振できるようにし、且つ、制御情報抽出手段により抽出された制御情報に基づく他の特定のタイミングに、第1および第2のコイルを開放または短絡とし、第4または第5のいずれか一方のコイルを短絡とし他方を開放とするようにして、第3のコイルを備える共振回路がタブレットからの電波に共振できるようにし、且つ、制御情報抽出手段により抽出された制御情報に基づくその他の特定のタイミングに、第4および第5のコイルを短絡し、第1のコイルをコンデンサと接続して共振回路を構成し、第2のコイルを開放または短絡とするようにして、第1のコイルを備える共振回路がタブレットからの電波に共振できるようにし、且つ、制御情報抽出手段により抽出された制御情報に基づくさらに他の特定のタイミングに、第4および第5のコイルを短絡し、第2のコイルをコンデンサと接続して共振回路を構成し、第1のコイルを開放または短絡とするようにして、第2のコイルを備える共振回路がタブレットからの電波に共振できるようにする、ように制御する制御手段と、を備える。
【0014】
また、2個の磁性体コアを用い、該コアの一方に第4のコイルを巻き且つ他方に第5のコイルを巻き、該2個のコアを束ねるように第3のコイルを巻き、束ねた該コアに第1及び第2のコイルを巻いてもよい。
【0015】
そして、上記の位置指示器を用いる場合のタブレットの一構成は、位置指示器側で第1および第2のコイルを開放または短絡とし、第4および第5のコイルを開放とするような制御情報を出した際に、位置検出方向に並設されたループコイルを順次切り替えて各ループコイルから検出される信号強度の分布より位置指示器中の2個のコアの中心座標位置を検出する座標位置検出手段と、位置指示器側で第1および第2のコイルを開放または短絡とし、第4または第5のいずれか一方のコイルを短絡とし他方を開放とするような制御情報を出した際に、位置検出方向に並設されたループコイルを順次切り替えて各ループコイルから検出される信号強度の分布より位置指示器中の第4または第5のいずれか一方のコイルを短絡したことによる座標位置を検出して、前記検出された中心座標位置との関係より、位置指示器のタブレット面に垂直方向を軸とした回転角を検出する回転角検出手段と、位置指示器側で第4および第5のコイルを短絡し、第1のコイルまたは第2のコイルのうち一方をコンデンサと接続して共振回路を構成し、他方のコイルを開放または短絡とするような制御情報を出した際に、位置検出方向に並設されたループコイルを順次切り替えて各ループコイルから検出される信号強度の分布に現れる2箇所のピーク値の比率より位置指示器のタブレット面と垂直方向に対する傾きを検出する傾き検出手段とを設ける。
【0016】
位置、回転角及び傾斜角を検出する位置検出装置の位置指示器の別の構成では、該位置指示器を位置検出面上で操作する時の最も標準的な状態に配置した際に、位置検出面に対して垂直な面に巻かれた第1のコイルと、位置検出面に対して垂直でかつ第1のコイル面に対して直交する面に巻かれた第2のコイルと、位置検出面に対して平行な面に巻かれた第3のコイルと、該第3のコイルと同一方向を軸として巻かれた第4のコイルと、第3のコイルにコンデンサがあらかじめ接続して構成される共振回路と、該共振回路により受信される電波よりタブレットからのタイミング情報を含んだ制御情報を抽出する制御情報抽出手段と、該共振回路により受信される電波を整流して各回路を駆動する電源を得る電源回路と、制御情報抽出手段により抽出された制御情報に基づく特定のタイミングに、第1および第2のコイルを開放または短絡とし、第4のコイルを開放とするようにして、第3のコイルを備える共振回路がタブレットからの電波に共振できるようにし、且つ、制御情報抽出手段により抽出された制御情報に基づく他の特定のタイミングに、第1および第2のコイルを開放または短絡とし、第4のコイルを短絡とするようにして、第3のコイルを備える共振回路がタブレットからの電波に共振できるようにし、且つ、制御情報抽出手段により抽出された制御情報に基づくその他の特定のタイミングに、第3のコイルを短絡し、第1のコイルをコンデンサと接続して共振回路を構成し、第2のコイルを開放または短絡とするようにして、第1のコイルを備える共振回路がタブレットからの電波に共振できるようにし、且つ、制御情報抽出手段により抽出された制御情報に基づくさらに他の特定のタイミングに、第3のコイルを短絡し、第2のコイルをコンデンサと接続して共振回路を構成し、第1のコイルを開放または短絡とするようにし、第2のコイルを備える共振回路がタブレットからの電波に共振できるようにする、ように制御する制御手段と、備える。
【0017】
また、2個の磁性体コアを用い、該コアの一方に第4のコイルを巻き、該2個のコアを束ねるように第3のコイルを巻き、束ねた該コアに第1及び第2のコイル巻いてもよい。
【0018】
そして、上記の位置指示器を用いる場合のタブレットの一構成は、位置指示器側で第3のコイルを共振可能な状態に設定するような制御情報を出した際に、位置検出方向に並設されたループコイルを順次切り替えて各ループコイルから検出される信号強度の分布より位置指示器中の2個のコアの中心座標位置を検出する座標位置検出手段と、位置指示器側で第3のコイルを共振可能な状態かつ第4のコイルを短絡とするよに設定する制御情報を出した際に、位置検出方向に並設されたループコイルを順次切り替えて各ループコイルから検出される信号強度の分布より位置指示器中の第4のコイルを短絡したことによる座標位置を検出して、前記検出された中心座標位置との関係より、位置指示器のタブレット面に垂直方向を軸とした回転角を検出する回転角検出手段と、位置指示器側で第1のコイルまたは第2のコイルのうち一方をコンデンサと接続して共振回路を構成し且つ他方のコイルを開放または短絡とするように設定する制御情報を出した際に、位置検出方向に並設されたループコイルを順次切り替えて各ループコイルから検出される信号強度の分布に現れる2箇所のピーク値の比率より位置指示器のタブレット面と垂直方向に対する傾きを検出する傾き検出手段とを備える。
【0019】
位置及び傾斜角を検出する位置検出装置の位置指示器の構成は、該位置指示器を位置検出面上で操作する時の最も標準的な状態に配置した際に、位置検出面に対して垂直な面に巻かれた第1のコイルと、位置検出面に対して垂直でかつ前記第1のコイル面に対して直交する面に巻かれた第2のコイルと、位置検出面に対して平行な面に巻かれた第3のコイルと、前記複数のコイルのうち1個を選択してタブレットとの電磁誘導に用いるようにするコイル選択手段とを備える。
【0020】
また、位置指示器内に1つの磁性体コアを備え、該位置指示器内の複数のコイルを該磁性体コア上に巻いてもよい。
【0021】
また、電磁誘導を利用するために、位置指示器内のコイル選択手段により選択されたコイルをコンデンサと接続してタブレットからの電波の周波数に共振させるようにする。
【0022】
また、コイル選択手段により選択されたコイルをコンデンサと接続してタブレットからの電波の周波数に共振させるとともに、その他のコイルを全て開放または短絡とするようにする。
【0023】
位置及び傾斜角を検出する位置検出装置の位置指示器の別の構成は、位置指示器内のコアに巻かれた前記第3のコイルがあらかじめコンデンサと接続されてタブレットからの電波に共振した共振回路と、該第3のコイルを短絡する手段とを備え、該第3のコイルを所定のタイミングに短絡するように制御するとともに、該所定のタイミング中の特定のタイミングに前記第1のコイルをコンデンサと接続してタブレットからの電波の周波数に共振させ、且つ、該所定のタイミング中の他の特定のタイミングに前記第2のコイルをコンデンサと接続してタブレットからの電波に共振させるようにする。
【0024】
位置及び傾斜角を検出する位置検出装置の位置指示器の更に別の構成は、位置指示器内のコアに巻かれた前記第3のコイルが予めコンデンサと接続されてタブレットからの電波の周波数に共振した共振回路と、該第3のコイルと同じ範囲を囲む第4のコイル及び該第4のコイルを短絡する手段を備え、該第4のコイルを所定のタイミングに短絡することによって第3のコイルの囲む範囲に磁界が発生しないようにし、該所定のタイミング中の特定のタイミングに前記第1のコイルをコンデンサと接続してタブレットからの電波の周波数に共振させ、且つ、該所定のタイミング中の他の特定のタイミングに前記第2のコイルをコンデンサと接続してタブレットからの電波の周波数に共振させるようにする。
【0025】
そして、上記の位置指示器を用いる場合のタブレットの一構成は、第3のコイルを備える共振回路を共振可能に設定する制御情報を出した際に、位置検出方向に並設されたループコイルを順次切り替えて各ループコイルから検出される信号強度の分布より位置指示器中の第3のコイルの中心座標位置を検出する座標位置検出手段と、位置指示器側で第1および第2のコイルのうち一方をコンデンサと接続して共振回路を構成し、他方のコイルを開放または短絡とするよう設定する制御情報を出した際に、位置検出方向に並設されたループコイルを順次切り替えて各ループコイルから検出される信号強度の分布に現れる2箇所のピーク値の比率より位置指示器のタブレット面と垂直方向に対する傾きを検出する傾き検出手段とを設ける。
【0026】
また、位置、回転角及び傾斜角を検出する位置検出装置の位置指示器、及び位置及び傾斜角を検出する位置検出装置の位置指示器は、該位置指示器中の共振回路に発生する交流電圧を整流して各回路を駆動する電源を得るための電源回路を備える。
【0027】
また、位置検出装置は、位置指示器に対する制御情報をタブレットから2進コードとして送る。
【0028】
【作用】
このように構成することによって、位置指示器が太くなることがなくコンパクトな形状となり、且つ位置指示器の傾きや位置検出装置のタブレット面に対する垂直方向を軸とした回転角を位置検出装置の有効エリアの周辺付近でも正確に検出可能となる。
【0029】
また、位置指示器に対する制御情報を2進コードとして送るようにしたため、位置指示器の回路構成を簡単にすることができる。
【0030】
【実施例】
I. 第一実施例
第一実施例の装置は、位置指示器の傾斜角度及び傾斜方向を検出する。位置指示器の傾斜方向は、位置指示器の直交座標系における各座標系に対する傾斜方向である。
【0031】
1. タブレットの構成
図1は本発明第一実施例の位置検出装置としてのタブレット1の要部回路構成図を示す。即ち、図1において、X軸に40本のループコイルX〜X40(以下、X軸ループコイルという)が図示の如く配置され、Y軸に40本のループコイルY〜Y40(以下、Y軸ループコイルという)が検出方向に互いに平行に図示の如く配置されている。このループコイルは各々のループコイルを選択する選択回路2に接続されいる。この選択回路2は送受切替回路3に接続され、この送受切替回路3の受信側にはアンプ5が接続され、このアンプ5は検波回路6に接続されている。この検波回路6はローパス・フィルター7に接続され、このローパス・フィルター7はサンプルホールド回路8に接続され、このサンプルホールド回路8がA/D回路(アナログ・デジタル変換回路)9に接続され、このA/D回路9はCPU(中央処理装置)10に接続されている。このCPU10から制御信号が前記選択回路2、サンプルホールド回路8、A/D回路9および送受切替回路3にそれぞれ接続されている。また、図中11は位置指示器の共振回路の共振周波数に等しい周波数の正弦波交流信号を発生する発信器を示し、12は該交流信号を電流に変換する電流ドライバを示す。
【0032】
2. 位置指示器の構成
図2は、本実施例の位置検出装置の位置指示器の共振回路部分の説明図である。
【0033】
本実施例では、位置指示器20の外観はペンの形状であり、ペンケース30が外殻を構成している。位置指示器20のペン先21の付近に2個の磁性体コア22及び23を、該2個の磁性体コアを組み合わせたときの長手方向の中心線上にペン先21がくるように該2個の磁性体コアを並置し、この各磁性体コア22及び23のそれぞれにコイル(以下、制御コイルと言う)25および26を横に巻き、更に該2個の磁性体コア22及び23を束ねて1本のコイル24(以下、送信コイルと言う)を横に巻く。この送信コイル24の中心線と、ペン先21の位置と、位置指示器20の中心線と、2個の束ねた磁性体コア22及び23の長手方向の中心線とは、一致して配置されている。(以下、本明細書のすべての実施例において、コイルの中心線とは、そのコイルの囲む範囲内の中心を通る直線をいいう。コアの長手方向の中心線とは、そのコアの長手方向の中心を通る直線をいう。)また、制御コイル25と26によって、送信コイル24の囲む範囲と同一の範囲が囲まれている。また、磁性体コア22、23を用いることにより、タブレット1から送信される信号をより効率的に受信し、かつ位置指示器からより強い信号を出力できるようになる。
【0034】
更に、コイル27(以下、傾斜検出コイル27という)が、上記の束ねた磁性体コア22及び23に縦に、即ち、束ねたコアの長手方向に巻かれ、更にコイル28(以下、傾斜検出コイル28という)が、磁性体コア22及び23に縦にコイル27と図示の如く直交するように巻かれている。この点は本発明の特徴の一つである。
【0035】
即ち、位置指示器20をタブレット1の検出面(上面)に垂直に配置したときに該検出面に対して垂直な面に平行に一方の傾斜検出コイル(27又は28の一方)が巻かれ、該検出面に対して垂直かつ該一方のコイルが巻かれた面に直交する面に平行に他方の傾斜検出コイル(27又は28の他方)が巻かれ、該検出面に対して平行な面に送信コイル24が巻かれている。該送信コイル24の内部に、その中心線と平行な線を中心として制御コイル25および26が巻かれる。
【0036】
更に好適には、位置指示器20の回転位置を示すときの基準となる位置(本実施例では図2に示すクリップ29の位置)と位置指示器20の中心線とを含む平面と、傾斜検出コイル27(又は傾斜検出コイル28)が巻かれた面とが、一致するようにする。
【0037】
図3は、本発明第一実施例の位置指示器の要部回路構成図を示す。
【0038】
送信コイル24にコンデンサ31が接続され、共振回路32が構成される。この共振回路32には補償用のコンデンサ33が図示の如く接続されている。この補償用のコンデンサ33は前記2個の制御コイル25、26のうち1個を閉じたときの共振回路32の共振周波数が送信電波(送信信号)の周波数と一致するようにその容量が選択されている。
【0039】
傾斜検出コイル27にはコンデンサ34が接続されて共振回路63が構成され、傾斜検出コイル28にはコンデンサ35が接続されて共振回路64が構成される。
【0040】
共振回路32は電源回路36、検波回路37、検波回路38、検波回路39にそれぞれ接続されている。該検波回路37は時定数が大の積分回路40に接続され、検波回路38は時定数が中の積分回路41に接続され、該検波回路39は時定数が小の積分回路42に、それぞれ接続されている。積分回路40はコンパレータ43に、積分回路41はコンパレータ44に、積分回路42はコンパレータ45にそれぞれ接続されている。このコンパレータ43はシリアルパラレル変換回路46のリセット端子R、デコーダ47及びラッチ回路48に接続され、コンパレータ44は該シリアルパラレル変換回路46のデータ端子Dに接続され、コンパレータ45はシリアルパラレル変換回路46のクロック端子CLに接続されている。
【0041】
このシリアルパラレル変換回路46のQ出力およびQ出力は、デコーダ(2進10進デコーダ)47の入力端子AおよびBにそれぞれ接続されている。
【0042】
デコーダ47の出力端子Q、Q、Q及びQは、ラッチ回路48の入力端子A、A、A及びAに、それぞれ接続されている。
【0043】
ラッチ回路48のQ出力は、コイル24〜28の制御には用いられず、接続されていない。ラッチ回路48のQ出力は、送信コイル24に補償用のコンデンサ33を接続するためのスイッチ53を閉路又は開路とする制御のために該スイッチ53に接続され、かつ、オア回路51の一方の入力に接続される。ラッチ回路48のQ出力は、単安定マルチバイブレータ49に接続される。単安定マルチバイブレータ49の出力は、共振回路63を閉路又は開路とするスイッチ56の開閉制御のために該スイッチ56に接続され、かつ、オア回路52の一方の入力に接続される。ラッチ回路48のQ出力は、単安定マルチバイブレータ50に接続される。単安定マルチバイブレータ50の出力は、共振回路64を閉路又は開路とするスイッチ57の開閉制御のために該スイッチ57に接続され、かつ、オア回路52の他方の入力に接続される。オア回路52の出力は、制御コイル26を閉路又は開路とするスイッチ55の開閉制御のために該スイッチ55に接続され、かつ、オア回路51の他方の入力に接続される。オア回路51の出力は、制御コイル25を閉路又は開路とするスイッチ54の開閉制御のために該スイッチ54に接続される。
【0044】
ここで、検波回路37、積分回路40およびコンパレータ43は、シリアルパラレル変換回路46の端子R、デコーダ47及びラッチ回路48に出力を供給する第1の経路60を形成し、該積分回路40の時定数と該コンパレータ43の基準値との関係は前記タブレット1からの送信電波が第1の所定時間(本実施例では、350μs程度の時間)送信された場合に出力信号を出力する様に構成されている。
【0045】
検波回路38、積分回路41およびコンパレータ44は、シリアルパラレル変換回路46の端子Dに出力を供給する第2の経路61を形成し、該積分回路41の時定数と該コンパレータ44の基準値との関係は前記タブレット1からの送信電波が第2の所定時間(本実施例では、150μs程度の時間)送信された場合に出力信号を出力する様に構成されている。
【0046】
検波回路39、積分回路42およびコンパレータ45は、シリアルパラレル変換回路46の端子CLに出力を供給する第3の経路62を形成し、該積分回路42の時定数と該コンパレータ45の基準値との関係は前記タブレット1からの送信電波が第3の所定時間(本実施例では、40〜50μs程度の時間)送信された場合に出力信号を出力する様に構成されている。
【0047】
3. 動作の説明
この様に構成した本発明第一実施例の動作を説明する。
【0048】
本第一実施例では、図1に示した位置検出装置(タブレット)を使用する。
【0049】
第一実施例の装置は、最初に、位置指示器20の位置を求め、次に、位置指示器20の回転角(θr)を求め、次に、位置指示器20の傾斜角(θx及びθy)を求める。
【0050】
本実施例において、位置指示器20の位置は、タブレット1上におけるペン先21の指示する位置の座標を表す。位置指示器20の回転角は、位置指示器20が基準位置から何度回転しているかを表す。位置指示器20の傾斜角は、位置指示器20が基準位置から何度傾けられているかを表す。
【0051】
本発明では、上記の座標位置及び角度(回転角及び傾斜角)を表すために、2つの座標系を用いる。1つはタブレット1を基にする座標系であり、他の1つは位置指示器20を基にする座標系である。即ち、タブレット上の位置指示器の位置に関する座標は、タブレットの座標系を基にして表され、位置指示器の姿勢に関する数値(回転角、傾斜角)は、位置指示器の座標系を基にして導き出される。
【0052】
また、タブレット1の座標系は、タブレット1の横方向をX軸とし、縦方向をY軸とするものである。この座標系は固定された座標系である。ただし、図1に示すように、タブレット1のX軸ループコイルの番号は、左から右に向かって大きくなっていく。Y軸ループコイルの番号は、上から下に向かって大きくなっていく。即ち、この座標系は、通常のXY座標系のY軸の値が逆になったものである(図18参照)。
【0053】
位置指示器20を基準とする座標系は、ペン先21の位置に原点がある。即ち、位置指示器20が移動すると原点の位置も移動する。X軸及びY軸は、タブレットのX軸及びY軸を含む面(XY面)と同一の面上にあり、回転角を求めるときの基準位置が予め決められる。
【0054】
位置指示器20の傾斜角は、回転後の位置指示器20の座標系を基準として導き出すものであり、その座標系のX軸方向に何度傾斜し且つY軸方向に何度傾斜しているかを示す。傾斜角θxは、位置指示器20を基準とする座標系における位置指示器20のX軸方向の傾きであり、傾斜角θyは、Y軸方向の傾きである。
【0055】
まず、本発明の傾斜角を求める方法の原理を、図19、図20、図21及び図22を参照し、説明する。
【0056】
図19は、タブレットのループコイルと、位置指示器の傾斜検出コイルと、該位置指示器の傾斜検出コイルから出力される電波(磁束)とを示す。
【0057】
図19において、傾斜検出コイル15は、図2及び図3の傾斜検出コイル27又は28の何れかに対応する。原理を説明する目的のため、図19では、位置指示器20の一方の傾斜検出コイルのみを示し、他方の傾斜検出コイルを示していない。
【0058】
傾斜検出コイル15は、該コイル15の囲む面が、タブレット面に垂直(即ち、傾斜角が0°)であり、且つ該コイル15の回転角(即ち、位置指示器の回転角)は0°である位置にある。図19は、コイル15を側面から示している。
【0059】
矢印を伴った点線は、コイル15からの磁界(磁束)を示す。実線の矢印は、コイル15から真っすぐ出る磁束(または、コイルの中心線)を示す。図19においてすべての矢印は、磁束が1つの方向に向いているように示しているが、これは原理を説明する目的のためであり、実施例の装置では、コイル15に流れる電流は交流であり、従って、磁束の方向、即ち、矢印の方向は時間とともに交互に変化する。
【0060】
また、図19は原理を容易に理解させるために、タブレット面は示していない。また、タブレットのX軸ループコイル又はY軸ループコイルの片方のみを示す。タブレットの一連のループコイルは、それらの断面のそれぞれを小さい円で示し、その下にループコイル番号を付している。
【0061】
コイル15は、ループコイル6の中央を通る線の真上近くにある。(本明細書のすべての実施例において、ループコイルの中央を通る線とは、X軸ループコイルの場合、そのX軸ループコイルの中央を通り、タブレットのY軸に平行であり、X軸ループコイルを2分する線をいう。Y軸ループコイルの場合、そのY軸ループコイルの中央を通り、タブレットのX軸に平行であり、Y軸ループコイルを2分する線をいい、以下、本明細書中、これを「中央線」という。)
【0062】
図20は、図19の状態においてコイル15から各ループコイルが電波(磁束)を受信して、その結果として各ループコイルから出力される信号の強度と、該各ループコイルの中心位置との関係を表す説明図である。
【0063】
本発明はループコイルがコイル15から磁束をうけたときの、ループコイルに誘導される誘導電圧出力の大きさを基にして位置指示器の傾斜角を求めるものである。
【0064】
横軸の1〜13は、図19のループコイル1〜13のそれぞれの中心位置の座標を示している。例えば、図19のコイル15が傾斜検出コイル27であり且つループコイルがX軸ループコイルであるとすると、図20の横軸はタブレットの座標系のX軸であり、1乃至13の番号を付した位置は、X軸ループコイルの中心位置のX座標置である。
【0065】
縦軸は、コイル15からの電波を受けたときの各ループコイルに誘導される信号を電圧で示す。図20では、ループコイル2乃至ループコイル10が、コイル15の検出可能な磁界の影響を受けている場合を示す。
【0066】
各ループコイルを構成するラインは、図1に示すように、タブレットの縁部近くの部分以外では、X軸ループコイルはY軸と平行に、Y軸ループコイルはX軸と平行に、配置される。コイル15の磁界の影響を受けたループコイルの出力の大きさは、そのループコイルの受ける磁束によって決定される。即ち、コイル15から発せられてループコイルの内側(即ち、ループコイルの囲む面)を通り、そのループコイルの外側を通ってコイル15に戻る、又は、コイル15から発せられてループコイルの外側を通り、そのループコイルの内側を通ってコイル15に戻る磁束の量によって決定される。このような磁束が、ループコイルに誘導電圧を発生させる有効な磁束である。コイル15から発せられてループコイルの内側を通り、そのループコイルの内側を再び通ってコイル15に戻る磁束は、ループコイルの出力には影響しない。また、コイル15から発せられてループコイルの外側を通り、そのループコイルの外側を通ってコイル15に戻る磁束も、ループコイルの出力には影響しない。
【0067】
図20を再び参照すると、例えば、ループコイル2は、ループコイル2が囲む面で少量の検出可能な磁束を受けるので、弱い信号が出力される。
【0068】
ループコイル4や8は、コイル15から多くの有効な磁束を受けるので、大きい信号が出力される。
【0069】
ループコイル6は、該ループコイル6の中央線の真上近くにコイル15があるため、受ける磁束の殆どが、ループコイル6の囲む面から入り、その面を再び通ってコイル15に戻るものと、ループコイル6の外側を通り、外側からコイル15に戻るものとである。ループコイル6の囲む面から入り、ループコイルの外側からコイル15に戻る(又は、その逆)ような有効な磁束は僅かであるので、ごく僅かの信号がループコイル6から出力される。
【0070】
理論的には、コイル15の傾斜角が0°であり且つコイル15がループコイルの中央線の真上にあるときには、そのループコイルからの出力は零となる。
【0071】
一般に、1つのループコイルの中央線に近い位置にコイル15(即ち、位置指示器)があると、そのループコイルからの出力は小さくなる。コイル15から適度に離れた位置のループコイルからの出力が最大となり、また、それ以上離れた位置にあるループコイルでは受ける磁束の量が少なくなるため、出力が小さくなる。
【0072】
図20の点線は、コイル15から出力され、タブレットで受けられる磁束の強度と受信位置との関係を、補間して示すものである。その関係は、各ループコイルの出力信号の値を基にして計算した近似的な曲線で示される。タブレットのループコイルで受けられる磁束の強度と受信位置との関係を補間して計算したこの近似的な曲線は、2つのピーク値をもつ(以下、すべての実施例において、図20と同様の波形における左方のピークを第1ピークといい、右方のピークを第2ピークという)。以後、すべての実施例において、第1、第2ピーク及び第1、第2ピーク値等と言う場合には、ループコイルの出力信号の値を言うのではではなく、近似的な曲線から得られるピーク及びピーク値(極大値)を言う。また、以下、すべての実施例において、第1ピークの位置に最も近い位置のループコイルからの出力を第1最大値といい、第2ピークの位置に最も近い位置のループコイルからの出力を第2最大値という。図20では、ループコイル4の出力信号が第1最大値であり、ループコイル8の出力信号が第2最大値である。
【0073】
ここで、図17を参照して、受信信号強度の分布近似2次曲線からピーク値を求める方法を説明する。図17は3つの点(x,y)=(−d,Va)、(0,Vp)、(d,Vb)を基にして決定した近似2次曲線を示す。図17の縦軸(Y軸)は図20の信号強度に対応し、図17の横軸(X軸)は図20のループコイルの中心位置に対応する。
【0074】
第1ピーク値と第2ピーク値は、別個に計算された近似2次曲線から求められる。即ち、第1最大値とその前後の値から求めた近似2次曲線から第1ピーク値を、第2最大値とその前後の値から求めた近似2次曲線から第2ピーク値を求める。
【0075】
図17を参照すると、受信信号強度の分布近似2次曲線での最大値はCであり、このCの値は、上記のピーク値に対応する。この受信信号強度の分布近似2次曲線を表す(1)式をCについて解くと、
【数1】
Figure 0003678782
コイル15の傾斜角が0°である場合には、コイル15を挟んでタブレット面の左側が受ける磁束量と右側が受ける磁束量とが同じである。従って、この場合、タブレットのループコイルで受けられる磁束の強度と受信位置との関係を補間して計算した近似的な二次曲線は、谷を挟んで対称となる。即ち、近似的な二次曲線から得られる第1及び第2ピーク値が同じとなる。
【0076】
従って、「近似的な二次曲線は谷を挟んで左右が対称、即ち、第1ピーク値と第2ピーク値とが同じであるので傾斜角が0°である」ということがわかる。
【0077】
図21は、図19に示すコイル15が或る角度だけ傾斜した状態を示す。コイル15の磁界は図19のものと同じであるが、図21では、コイル15が傾斜しているので、コイル15の磁界もコイル15の傾斜に従って移動している。
【0078】
図22は、図21の状態において、各ループコイルがコイル15の磁界に影響された結果として各ループコイルから出力される信号と、各ループコイルの中心位置との関係を表す。
【0079】
図22の横軸の1〜13は、図20と同様に、ループコイル1〜13のそれぞれの中心位置の座標を示し、縦軸は各ループコイルの出力信号を電圧で示す。ここでも、図20と同様に、ループコイル2乃至ループコイル10から信号が出力されている。即ち、ループコイル2乃至ループコイル10が、検出可能な磁束を受けている。
【0080】
ループコイルからは、図19及び図20の説明で説明したのと同様の原理で信号が出力される。ただし、図21の状態では、コイル15が左側に傾いているため、コイル15を挟んでタブレット面の左側が受ける磁束量が多くなり、タブレット面の右側が受ける磁束量が少なくなる。
【0081】
図22を参照すると、例えば、ループコイル2は、ループコイル2が囲む面で少量の磁束を受けるので、弱い信号が出力される。
【0082】
ループコイル4は、図21の状態においてコイル15から最も多くの有効な磁束を受けるので、最も大きい信号(第1最大値)が出力される。
【0083】
ループコイル6の出力は図19の状態では最小となったが、コイル15が傾斜している図21の状態では、図19の状態のときよりも多くの有効な磁束を受けることとなり、図19の状態よりは出力が多くなっている。
【0084】
また、ループコイル7は、ループコイル6とは逆に、有効な磁束の量が図19の状態のときよりも減少するので、出力が小さくなっている。
【0085】
ループコイル8及びループコイル9は、図19の状態のときには出力が比較的大きいが、図21の状態のときには、比較的小さい出力となっている。これは、コイル15が傾斜することによって、ループコイル8及び9の受ける有効な磁束の量が減少するからである。ループコイル9の出力信号は第2最大値である。
【0086】
上述のように、コイル15を挟んでタブレット面の左側が受ける磁束量が多くなり且つ右側が受ける磁束量が少なくなる。従って、タブレットの左側のループコイルが多くの磁束を受けるため、コイル15が図21の状態のときの第1ピーク値は、コイル15が垂直に位置する場合の第1ピーク値よりも大きくなる。反対に、右側のループコイルは受ける磁束量が少なくなるため、第2ピーク値は、コイル15が垂直に位置する場合の第2ピーク値よりも小さくなる。
【0087】
図22の点線もまた、タブレットで受信する磁束の量と受信位置との関係を、補間して示すものであり、その関係は、各ループコイルの出力信号の値を基にして計算した近似的な二次曲線で示されている。
【0088】
この近似的な二次曲線が示すように、ループコイルの出力は、谷の位置を挟んで左側のピークが高くなり、右側のピークが低くなる。従って、図22から、「第1ピークが第2ピークよりも大きいので、位置指示器(コイル15)が左側に傾斜している」ということがわかる。
【0089】
位置指示器を左側により深く傾斜させると、タブレット面の左側がより多くの磁束を受け且つ右側がより少ない磁束を受けることとなるので、第1ピークはより高くなり、第2ピークはより低くなる。
【0090】
また、コイル15が右側に傾斜した場合には、上記の状態と逆の状態が起こる。即ち、第2ピークが高くなり、第1ピークが低くなる。
【0091】
ここで、重要なことは、コイル15の傾斜角度と2つのピーク値の比率(例えば、第1ピーク値を第2ピーク値で割った値、又は第2ピーク値を第1ピーク値で割った値)との間には、相関関係があるということである。本発明は、この相関関係を利用して、2つのピーク値の比率から傾斜角を求める。
【0092】
ここで、第1ピーク値をV1とし、第2ピーク値をV2とする。例示的な具体的数値を用いて例をあげると、傾斜角が0°のときには、即ち、図19に示す状態のときには、V2/V1=1である。即ち、数値(比率)1は傾斜角0°に対応する。また、V2/V1>1のときには位置指示器が右側に傾斜しており、V2/V1<1のときには左側に傾斜している状態である。
【0093】
即ち、第1ピーク値と第2ピーク値の比率と、傾斜角との相関関係を予め求めておくと、第1ピーク値と第2ピーク値の比率から、傾斜角を求めることができる。第一実施例のタブレット1と位置指示器20を用いた場合の、予め求めた第1ピーク値と第2ピーク値の比率と、傾斜角との相関関係の一例を図23に示す。
【0094】
また、図19及び図21では位置指示器(コイル15)の回転角は0°である。しかし、回転角が加わったとしても、第1ピーク値と第2ピーク値の比率は殆ど変化しない。位置指示器が回転すると、コイル15から、即ち、コイル15の磁界もそれに連れて回転する。その結果、ループコイルの電位に影響を及ぼす磁束の量は減少する。しかし、この時、コイル15の一側からの、一側のループコイルの電位に影響を及ぼす磁束が減少すると同時に、コイル15の他側からの、他側のループコイルの電位に影響を及ぼす磁束も相関関係をもって減少する。従って、ループコイルから出力される値は、回転角が0°のときと比べて全体的に小さくなるが、第1ピーク値と第2ピーク値との比率は殆ど変化しない。
【0095】
回転角が所定の大きさの範囲を越えた場合には、一方のループコイル(例えば、図19及び図21に示すループコイル)で受ける磁束の量よりも、他方のループコイル(図19及び図21に示すループコイルと直交するループコイル(図19及び図21には示さず))で受信する磁束の量の方が多くなる。一般的に、図1に示すようにX軸ループコイルとY軸ループコイルとが同一の間隔で且つ直交するように配置されている場合には、回転角が−45°乃至45°、135°乃至180°、及び−135°乃至−180°(180°と−180°とは同じ角度である)の間、即ち、図1の領域101及び103では、1つの傾斜検出コイルから電波(磁束)が出力される場合に、X軸ループコイルとY軸ループコイルのうちの何れか一方のループコイルが受ける磁束量の方が多く、その他の回転角、即ち、図1の領域102及び104では、他方のループコイルが受ける磁束量の方が多くなる。また、回転角が−45°、45°、135°及び−135°のとき、即ち、各領域の境界では、一方のループコイルで受ける磁束の量と他方のループコイルで受ける磁束の量とが同じになる。
【0096】
次に、第一実施例の動作について、図4及び5と、図6、7、8、9、10及び11とを参照して、第1の場合について説明する。
【0097】
図4および5は、前記CPU10内に記憶された動作制御プログラムのフローチャートを示す。
【0098】
ここでは、第1の場合として、位置指示器20の位置がループコイルXとループコイルY11とが交差する範囲にあり、回転角θr=30°、傾斜角θx=20°、θy=30°である場合について説明する。(ただし、ループコイル番号及びその他の数値はこの時点では未知である。)
【0099】
3.1 全面スキャン
本装置の動作は前記動作制御プログラムに基づいて行われる。
【0100】
まず、位置指示器20がタブレット1のどの位置に置かれたかを検出する為のX軸全面スキヤンが行われる(ステップ70)。
【0101】
図6および図7を参照する。図6及び図7は、全面スキャンのときの、図1及び図3に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。図中、コイル番号とは選択されたループコイルを示し、Tは送信モード(位置検出装置からの送信期間)を示し、Rは受信モード(位置検出装置の受信期間)を示す。ただし、図6および図7は図面の寸法上図14に示す如く1つの図面を2つに分けて示したものである。図14は図6と図7との結合関係を示す図である。
【0102】
CPU10はループコイルXを選択回路2に選択させ、送受切替回路3を送信側端子Tに接続させ、ループコイルXに発信器11の正弦波交流信号を供給する。これにより、ループコイルXから共振回路32に共振周波数の送信電波(イ)が送信される。
【0103】
CPU10は、この送信モードを所定時間(例えばT=100μs)実行すると、次に選択回路2はループコイルXを保持した状態で送受切替回路3を受信側に切替えて位置指示器20からの信号を受信する受信モードを所定時間(例えばR=100μs)実行する。
【0104】
他方、位置指示器20は全面スキャンモードのときは、スイッチ53、54、55、56、57は開かれており、共振回路32のみが共振可能な状態となっており、該送信電波(イ)により共振回路32が励振され誘導電圧が発生される。タブレット1が受信モード中は、送信電波(イ)は停止されるが、前記誘導電圧により送信コイル24から電波が発生され、この電波はタブレット1の選択されているループコイルを逆に励振するため、該ループコイルに誘導電圧を発生させる。この誘導電圧は位置指示器20に最も近いループコイルにおいて最大値となるので位置指示器20の座標値すなわち位置指示器20の指示する位置が求まる。
【0105】
CPU10は送信モードおよび受信モードを各ループコイル、即ち、X軸方向のループコイルXからX40の全部について行う。その一連の動作中の1つの動作として、ループコイルXが選択回路2に選択される。選択されたループコイルXから送信電波(イ)が位置指示器20に送信される。この送信電波(イ)により位置指示器20の共振回路32が励振され誘導電圧(ロ)が共振回路32に発生される。前記所定時間後に、タブレット1は受信モードになり、送信電波(イ)は消滅する。
【0106】
しかし、該誘導電圧(ロ)が減衰するまでこの誘導電圧(ロ)により位置指示器20から電波が送出され、この電波がループコイルXにより受信される。ループコイルXはこの電波で励振され、ループコイルXに誘導電圧が発生する。この誘導電圧がアンプ5で増幅される。アンプ5で増幅された受信信号(a)は検波回路6で検波され、ローパスフィルター7に送出される。ローパスフィルター7は共振回路32の共振周波数より充分低い遮断周波数を有しており、検波回路6の出力信号を直流信号に変換し、この直流信号がサンプルホールド回路7において信号(b)の如くサンプルホールドされ、A/D回路9によりアナログ・デジタル変換され、CPU10に送出される。CPU10は、このデジタル値に変換された各受信信号のレベル分布に基づいて位置指示器20の位置を検出する。本実施例では、上記のように、位置指示器20がループコイルX、Y12の位置を指示している場合に関する。従って、本実施例ではループコイルXからの受信信号レベルが最大値となり、位置指示器20のX軸方向の位置が検出される。CPU10はループコイルXを位置指示器20のX軸方向の位置として記憶する(ステップ72)。
【0107】
X軸全面スキャンにおいて、タブレット1での受信信号レベルがいずれも所定のしきい値以下である場合にはCPU10は位置指示器20はタブレット1上にないと判別してX軸全面スキャンを繰り返す(ステップ71)。
【0108】
CPU10はX軸全面スキャンが終了すると、同様な動作でY軸方向の全面スキャンを実施する。即ち、図7に示す如くY軸全面スキャンがX軸全面スキャンと同様な動作で行われ、CPU10は位置指示器20のタブレット1上のY軸方向の位置としてループコイルY12を記憶する(ステップ73〜74)。
【0109】
3.2 部分スキャン(位置指示器の位置及び回転角θrを求める)
次に、図8、9、10及び11を参照する。図8、9、10、及び11もまた図1及び図3に×印で示した点の出力を示す波形図である。これらの図もまた、図面の寸法上、図15に示す如き1つの図面を4つに分けて示したものである。図15は、図8、9、10及び11の結合関係を示す図である。
【0110】
図8は位置指示の指示する位置を検出する時の、図1及び図3に×印で示した点の出力波形図である。
【0111】
位置指示器20の指示したタブレット1上のコイル番号(本実施例ではXおよびY12)が決定されると、そのコイルとその前後の合わせて5本のループコイルについての部分スキャンが行われる。この部分スキャンは、タブレット1上に置かれた位置指示器20の位置を検出するためのものであり、位置指示器20がタブレット1上で移動された場合はその軌跡を追従し且つ検出するためのものである。
【0112】
CPU10は選択回路2にループコイルXを選択させ、送受切替回路3を送信端子T側に接続させる(図8)。
【0113】
この状態で、CPU10は制御コイル25及び制御コイル26を開路とし、共振回路63と共振回路64とを開路とし、且つスイッチ53を開放状態にして送信コイル24とコンデンサ31とで構成される共振回路32が共振可能な状態にする為のモード信号、即ち、スイッチ53〜57を開放とするための信号“00”を位置指示器20に送信し、この“00”モード設定ステップを実行する。
【0114】
即ち、CPU10は送信時間T=100μs、受信時間R=100μs、送信時間T=100μs、受信時間R=100μs、送信時間T=600μs、受信時間R=600μsの送受信を位置指示器20とタブレット1との間で行わせる(図4のステップ75、図8のI)。
【0115】
CPU10は選択回路2でループコイルXを選択し、送受切替回路3を送信端子T側に切替えて、T=100μsの間送信電波(イ)を位置指示器20に送信する。この送信電波により、共振回路32に誘導電圧(ロ)が発生する。この動作を2回繰り返す。これにより、第3の経路62から出力(ハ)が出力され、この出力(ハ)の最初の立ち下がりで、シリアルパラレル変換回路46内で(ヘ)の出力を(ト)の出力にシフトし(即ち、QのデータをQに移す)、第2の経路61の出力(ニ)をシリアルパラレル変換回路46に(ヘ)の出力とするように取り込む。出力(ハ)の最初の立ち下がりの時の出力(ヘ)のレベルは“L”であり、出力(ニ)のレベルも“L”である。従って、出力(ト)及び(ヘ)は“L”“L”、即ち、“0”“0”となる。
【0116】
次に、出力(ハ)の次の立ち下がりにおいて、再び、シリアルパラレル変換回路46内で(ヘ)の出力を(ト)の出力にシフトし、第2の経路61の出力(ニ)をシリアルパラレル変換回路46に(ヘ)の出力として取り込む。この立ち下がりの時の出力(ヘ)及び(ニ)のレベルは“L”であり、従って、出力(ト)及び(ヘ)は“L”“L”、即ち、“0”“0”となる。即ち、出力(ニ)から信号“L”“L”が得られる。これにより、シリアルパラレル変換回路46からのデコーダ47への出力(ト)および(ヘ)は“0”“0”となる。
【0117】
次いで、CPU10はこの“00”データをスイッチ制御信号に変換させるために、送信時間T=600μsの間送信電波(イ)を位置指示器20に送信する。
【0118】
送信電波(イ)が600μs継続されると、第3の経路62、第2の経路61、第1の経路60の順で出力(ハ)、(ニ)、(ホ)が図示の如く発生する。出力(ホ)の立ち上がりでシリアルパラレル変換回路46の出力“00”がデコーダ47に取り込まれる。
【0119】
続いて、CPU10は受信時間R=600μsの受信モードを実行する。これにより、誘導電圧(ロ)は減衰し、出力(ハ)(ニ)(ホ)も“L”レベルとなる。出力(ホ)の立ち下がりでシリアルパラレル変換回路46はリセットされ、かつデコーダ47に取り込まれた“00”を表すデータがラッチ回路48に取り込まれる。この“00”を表すデータによって、ラッチ回路48の出力Qが“H”になり、他の出力Q、Q、Qは“L”を維持する。しかし、出力Qはスイッチ53〜57の何れにも接続されおらず、かつ出力Q、Q、Qが“L”であるため、スイッチ53、54、55、56、57は、開放の状態となる。
【0120】
この動作により位置指示器20の各スイッチ53〜57を開放するための“00”モード設定が終了する(ステップ75)。
【0121】
CPU10は位置指示器20が“00”モードとなると、位置指示器20の中心位置(即ち、位置指示器が指示する位置)を求めるため部分スキャンに移行する(ステップ76)。
【0122】
この部分スキャンは、タブレット1側から位置指示器20に対して、送信時間T=100μs、受信時間R=100μsの送受信を行う。上記のように、第1の経路60は、350μs程度の時間、信号が送信された場合に信号を出力し、第2の経路61は、150μs程度の時間、信号が送信された場合に信号を出力し、第3の経路62は、40〜50μs程度の時間、信号が送信された場合に信号を出力する様に構成されているため、第3の経路62からのみ、信号が出力され、第1及び第2の経路からは信号が出力されない。
【0123】
まず、CPU10はループコイルXを選択回路2に選択させ、送受切替回路3を送信側端子Tに接続する。この状態で、ループコイルXは送信電波(イ)を位置指示器20に送出する。
【0124】
この送信電波(イ)により位置指示器20の共振回路32が励振され誘導電圧(ロ)が共振回路32に発生される。この誘導電圧(ロ)によりコア22及び23からは均等な交流磁界が発生される。
【0125】
CPU10は送信モード時間を経過すると、選択回路2にループコイルXを選択させ、送受切替回路3を受信端子R側に切替える。このループコイルXの受信モードにおいて、前記ステップ70で説明したと同様な動作でタブレット1で受信信号(a)、(b)が得られる。
【0126】
この部分スキャン動作が、送信モードではループコイルXを選択し、受信モードではループコイルX、X、X、X10及びX11をそれぞれ選択して順次行われる(ステップ76)。
【0127】
前述の様に、本実施例では位置指示器20がループコイルX、Y12を指示しているので、X軸方向の部分スキャンではループコイルXの受信モードで最大受信電圧Vp0を得、その前後のループコイルX、X10の受信モードで受信電圧Va0、Vb0をそれぞれ得る。
【0128】
このX軸方向の部分スキャンに続いてY軸方向の部分スキャンが行われる。
【0129】
即ち、送信モードではループコイルY12を選択し、受信モードではループコイルY10、Y11、Y12、Y13およびY14をそれぞれ選択してY軸方向の部分スキャンが、上述のX軸方向の部分スキャンと同様に行われる(ステップ76)。
【0130】
このY軸方向の部分スキャンではループコイルY12の受信モードで最大受信電圧V'p0を得、その前後のループコイルY11、Y13の受信モードで受信電圧V'a0、V'b0をそれぞれ得る。
【0131】
位置指示器20の位置は、ペン先21の位置に対応した位置(以下、中心座標X,Yと言う)を示す。
【0132】
CPU10は、この受信信号電圧(受信信号強度)を基に次の(12)式および(13)式により位置指示器20の中心座標(X、Y)を決定する(ステップ76)。(12)式及び(13)式は、座標補間によって受信信号強度の分布を2次曲線に近似させてこの2次曲線に基づき、中心座標を求める式である。
【0133】
【数2】
Figure 0003678782
ただし、Pは最大電圧が得られたタブレットのX軸ループコイルの中央線のX座標値、Dは隣接するX軸ループコイルの中央線間の距離を表す。
【0134】
【数3】
Figure 0003678782
ただし、Pは最大電圧が得られたタブレットのY軸ループコイルの中央線のY座標値、Dは隣接するY軸ループコイルの中央線間の距離を表す。
【0135】
ここで、上記の(12)式及び(13)式は、位置指示器20の座標値を、最大電圧が得られたループコイルの中心座標とこのループコイルで検出された最大電圧、該ループコイルの前後ループコイルで検出された検出電圧に基づいて、受信信号強度の分布を2次曲線に近似させ、この2次曲線に基づいて該ループコイルの中心座標を補間するものである。
【0136】
上記で説明したように、図17は3つの座標位置を基にした近似2次曲線を示し、上述の座標補間の原理を説明するための図である。
【0137】
図17は、X軸上に各コイルの中心位置、Y軸に受信信号強度を取ったものである。各コイルから検出された受信信号強度の分布は図示する如き2次曲線に近似でき、ループコイルの中心位置は、それぞれ、X=−d、0、dにあり、V、V、Vは3つのコイルのそれぞれから検出される受信検出電圧を示している。dはコイル間の距離、即ち、隣接する中央線間の距離に相当し、a,b,cを定数として図示の曲線は前記(1)式で表され、前記(1)式をbについて解くと、最大電圧が検出されたループコイルの中心座標値の補正値bが前記(8)式のように求まる。
【0138】
CPU10は、X軸方向およびY軸方向の中心座標検出のための上記部分スキャンが終了すると(ステップ76)、“01”モード設定動作を開始する(ステップ77)。
【0139】
即ち、CPU10は制御コイル25を閉路、制御コイル26を開路、スイッチ53を閉路(制御コイル25が閉じられたときに共振回路32が共振するようにする)、共振回路63及び64を開路の状態にする為の、即ち、スイッチ53及び54を閉路とし且つスイッチ55、56、57を開路とするための“01”モード信号を位置指示器20に送信し、“01”モード設定ステップを実行する(ステップ77)。
【0140】
図9は、位置指示器20の回転角を求めるための座標値を求めるときの、図1及び図3に×印で示した点の出力を示す波形図である。
【0141】
CPU10は送信時間T=100μs、受信時間R=100μs、送信時間T=200μs、受信時間R=200μs、送信時間T=600μs、受信時間R=600μsの送受信を位置指示器20とタブレット1間で行わせる(ステップ77、図9のII)。
【0142】
CPU10は選択回路2でループコイルXを選択し、送受切替回路3を送信端子T側に切替えて、T=100μsの間送信電波(イ)を位置指示器20に送信する。この送信電波により、共振回路32に誘導電圧(ロ)が発生する。これにより、第3の経路62から出力(ハ)が出力され、この出力(ハ)の立ち下がりで、シリアルパラレル変換回路46内で(ヘ)の出力を(ト)の出力にシフトし、第2の経路61の出力(ニ)をシリアルパラレル変換回路46に(ヘ)の出力として取り込む。出力(ハ)のこの立ち下がりの時の出力(ヘ)のレベルは“L”であり、出力(ニ)のレベルは“L”である。従って、この時点でのデコーダ47への出力(ト)(ヘ)は“0”“0”となる。
【0143】
次に、CPU10はT=200μsの送信をタブレット1から位置指示器20に行わせる。この送信により、共振回路32に誘導電圧(ロ)が発生する。この送信時間T=200μsの送信動作により、第3の経路62および第2の経路61から順に出力(ハ)、出力(ニ)が出力され、この出力(ハ)の立ち下がりで、シリアルパラレル変換回路46内で(ヘ)の出力を(ト)の出力にシフトし、第2の経路61の出力(ニ)をシリアルパラレル変換回路46に(ヘ)の出力として取り込む。出力(ハ)のこの立ち下がりの時の出力(ヘ)のレベルは“L”であり、出力(ニ)のレベルは“H”である。従って、シリアルパラレル変換回路46からデコーダ47への出力(ト)および(ヘ)は“0”“1”となる。
【0144】
次いで、CPU10はこの“01”データをスイッチ制御信号に変換させるために、送信時間T=600μsの間、送信電波(イ)を位置指示器20に送信する。
【0145】
送信電波(イ)が600μs継続されると、第3の経路62、第2の経路61、第1の経路60の順で出力(ハ)、(ニ)、(ホ)を図示の如く発生する。出力(ホ)の立ち上がりでシリアルパラレル変換回路46の出力“01”がデコーダ47に取り込まれる。
【0146】
続いて、CPU10は受信時間R=600μsの受信モードを実行する。これにより、誘導電圧(ロ)は減衰し、出力(ハ)(ニ)(ホ)も“L”レベルとなる。出力(ホ)の立ち下がりでシリアルパラレル変換回路46はリセットされ、かつデコーダ47に取り込まれた“01”を表すデータがラッチ回路48に取り込まれる。この“01”を表すデータによって、ラッチ回路48の出力Qが“H”になり、出力Q、Qは“L”を維持する。
【0147】
これにより、スイッチ53、54、55、56、57の制御信号(チ)(リ)(ヌ)(ル)(ヲ)のうち、出力(ヌ)、(ル)、(ヲ)が“L”レベルとなり、出力(チ)、(リ)は“H”レベルとなり、従って、スイッチ55、56、57が開路状態となり、スイッチ53、54は閉路状態となる。この動作により位置指示器20の制御コイル26が開放とされ、共振回路63及び64が開放とされて共振しない状態とされ、制御コイル25は短絡され、スイッチ53が閉じられて共振回路32が共振可能な状態となる。ここで、“01”モード設定が終了する(ステップ77)。
【0148】
CPU10は位置指示器20が“01”モードとなると、位置指示器20の回転位置を求めるための部分スキャンに移行する(ステップ78)。
【0149】
即ち、CPU10はループコイルXを選択回路2に選択させ、送受切替回路3を送信側端子Tに接続する。この状態で、ループコイルXは送信電波(イ)(100μs)を位置指示器20に送出する。
【0150】
この送信電波(イ)により位置指示器20の共振回路32が励振され誘導電圧(ロ)が共振回路32に発生される。スイッチ54が閉じて制御コイル25が短絡され、かつスイッチ55が開いて制御コイル26が開放された状態では、制御コイル26の磁性体コア23に磁束が集中する。即ち、共振回路32に発生された前記誘導電圧(ロ)により磁性体コア23から交流磁界が発生され、磁性体コア23の位置から前記タブレット1に電波が送出される。
【0151】
CPU10は送信モード時間を経過すると、選択回路2にループコイルXを選択させ、送受切替回路3を受信端子R側に切替える。このループコイルXの受信モード(100μs)において、前記ステップ70で説明したと同様な動作でタブレット1で受信信号(a)、(b)が得られる。
【0152】
この部分スキャン動作が、送信モードではループコイルXを選択し、受信モードではループコイルX、X、X、X10およびX11をそれぞれ選択して順次行われる(ステップ78)。
【0153】
このX軸方向の部分スキャンではループコイルXの受信モードで最大受信電圧Vp1を得、その前後のループコイルX、X10の受信モードで受信電圧Va1、Vb1をそれぞれ得る。
【0154】
このX軸方向の部分スキャンに続いてY軸方向の部分スキャンが行われる。
【0155】
即ち、送信モードではループコイルY12を選択し、受信モードではループコイルY10、Y11、Y12、Y13およびY14をそれぞれ選択してY軸方向の部分スキャンが上述のX軸方向の部分スキャンと同様に行われる(ステップ78)。
【0156】
このY軸方向の部分スキャンではループコイルY12の受信モードで最大受信電圧V'p1を得、その前後のループコイルY11、Y13の受信モードで受信電圧V'a1、V'b1をそれぞれ得る。
【0157】
この位置指示器20の座標値は磁性体コア23の位置(以下、回転座標X,Yと言う)を示す。
【0158】
CPU10は、この受信信号電圧により次の(14)式および(15)式により回転座標(X、Y)を決定する(ステップ78)。
【0159】
【数4】
Figure 0003678782
ただし、Pは最大電圧が得られたタブレットのX軸ループコイルの中心位置を含む中央線のX座標値、Dは隣接するX軸ループコイルの中央線間の距離を表す。
【0160】
【数5】
Figure 0003678782
ただし、Pは最大電圧が得られたタブレットのY軸ループコイルの中心位置を含む中央線のY座標値、Dは隣接するY軸ループコイルの中央線間の距離を表す。
【0161】
ここで、(14)式及び(15)式は、上記の(12)式及び(13)式と同様に、位置指示器20の座標値を、最大電圧が得られたループコイルの中心座標とこのループコイルで検出された最大電圧、該ループコイルの前後ループコイルで検出された検出電圧に基づいて、受信信号強度の分布を2次曲線に近似させ、この2次曲線に基づいて該回転座標を補間し、補正された座標値を求めるものである。
【0162】
この座標値(X,Y)及び(X,Y)に基づいて、図18に示される回転角測定の原理により、CPU10は位置指示器20の回転角θrを検出する。本実施例では、回転角を求めるための位置指示器20の基準位置を、該位置指示器20の座標系のX及びY軸が、タブレットのX及びY軸と平行となる位置とする。
【0163】
即ち、測定結果を基に計算した中心座標を原点として、タブレット1上のX軸およびY軸に平行なXY座標系を設定し(図18)、このY軸の負方向を基準(θr=0)としてθrの範囲を−180°<θr≦+180°として、
【数6】
Figure 0003678782
として決定される。
【0164】
3.3 部分スキャン(傾斜角を求める)
3.3.1 傾斜角θxを求めるための部分スキャン
次に、CPU10は、傾斜検出コイル27及びコンデンサ34で構成される共振回路63を共振可能状態とする“10”モード設定動作を開始する(ステップ79)。これは、傾斜角θxを求めるためのモードである。傾斜検出コイル27は、位置指示器20の座標系におけるX軸方向の傾き(傾斜角θx)を検出するように配置されている。
【0165】
図10は傾斜角θxを求めるときの、図1及び図3に×印で示した点の出力波形である。
【0166】
“10”モードでは、CPU10は制御コイル25、26を短絡状態にし、共振回路63を閉路とし、共振回路64を開路状態にし、スイッチ53を開放状態にする、即ち、スイッチ54、55、56を閉じ且つスイッチ53及び57を開く為の“10”モード信号を位置指示器20に送信し、“10”モード設定ステップを実行する(ステップ79)。
【0167】
各コイルは磁界の影響を受けると、コア中に、それぞれ異なった方向の磁界を発生させようとする。従って、1つのコイルを選択しているときに、他のコイルがコア中の磁界に影響を与えないように、該他のコイルを開放又は短絡するのがよい。即ち、共振回路63を共振可能状態とし、タブレット1と該共振回路63とで信号の送受信をする時には、共振回路32及び共振回路64が磁界を発生しないようにする必要がある。そのために、共振回路64を開放とし、かつ、制御コイル25、26を、それぞれ短絡状態にする。制御コイル25と26とを短絡状態にすることにより、これらコイルには交流磁界が通らなくなる。制御コイル25と26との囲む範囲は、送信コイル24の囲む範囲と同一であるので、結果として、送信コイル24に交流磁界が通らなくなる。従って、送信コイル24は磁界を発生しなくなる。
【0168】
CPU10は送信時間T=200μs、受信時間R=200μs、送信時間T=100μs、受信時間R=100μs、送信時間T=600μs、受信時間R=600μsの送受信を位置指示器20とタブレット1間で行わせる(ステップ79、図10の III)。
【0169】
CPU10は選択回路2でループコイルXを選択し、送受切替回路3を送信端子T側に切替えて、T=200μsの間、送信電波(イ)を位置指示器20に送信する。この送信電波により、共振回路32に誘導電圧(ロ)が発生する。この送信時間T=200μsの送信動作により、第3の経62および第2の経路61から出力(ハ)および(ニ)が出力され、この出力(ハ)の立ち下がりで、シリアルパラレル変換回路46内で(ヘ)の出力を(ト)の出力にシフトし、第2の経路61の出力(ニ)をシリアルパラレル変換回路46に(ヘ)の出力として取り込む。この立ち下がりの時の出力(ヘ)のレベルは“L”であり、出力(ニ)のレベルは“H”であるので、これにより、この時点でのデコーダ47への出力(ト)(ヘ)は“0”“1”となる。
【0170】
次に、CPU10はT=100μsの送信をタブレット1から位置指示器20に行わせる。この送信電波により、共振回路32に誘導電圧(ロ)が発生する。この送信時間T=100μsの送信動作により、第3の経路62から出力(ハ)が出力され、この出力(ハ)の立ち下がりで、シリアルパラレル変換回路46内で(ヘ)の出力を(ト)の出力にシフトし、第2の経路61の出力(ニ)をシリアルパラレル変換回路46に(ヘ)の出力として取り込む。この立ち下がりのときの、出力(ヘ)は“H”レベルであり、出力(ニ)は“L”レベルであるので、シリアルパラレル変換回路46の出力(ト)(ヘ)は“1”“0”となる。
【0171】
次いで、CPU10はこの“10”データをスイッチ制御信号に変換させるために、送信時間T=600μsの間、送信電波(イ)を位置指示器20に送信する。
【0172】
送信電波(イ)が600μs継続されると、第3の経路62、第2の経路61、第1の経路60の順で出力(ハ)、(ニ)、(ホ)を図示の如く発生する。出力(ホ)の立ち上がりでシリアルパラレル変換回路46の出力“10”がデコーダ47に取り込まれる。
【0173】
続いて、CPU10は受信時間R=600μsの受信モードを実行する。これにより、誘導電圧(ロ)は減衰し、出力(ハ)(ニ)(ホ)も“L”レベルとなる。出力(ホ)の立ち下がりでシリアルパラレル変換回路46はリセットされ、かつ、“10”を表すデータがデコーダ47からラッチ回路48に取り込まれる。これにより、ラッチ回路48の出力Qが“H”レベルとなり、出力Q及びQが“L”レベルとなる。
【0174】
出力Qが“H”レベルとなると、この信号を受信した単安定マルチバイブレータ49は2600μsの間オンになり、“H”レベルの信号を伝える。
【0175】
これにより、スイッチ53、54、55、56、57の制御信号(チ)(リ)(ヌ)(ル)(ヲ)のうち、出力(チ)(ヲ)が“L”レベルとなり、他の出力(リ)(ヌ)(ル)は“H”レベルとなり、従って、スイッチ53、57が開路状態となり、スイッチ54、55、56は閉路状態となる。
【0176】
この動作により位置指示器20の“10”モード設定が終了する(ステップ79)。
【0177】
前述のように、ここで説明する第1の場合では、回転角θr=30°、傾斜角θx=20°、傾斜角θy=30°の場合である。
【0178】
CPU10は位置指示器20が“10”モードとなると、傾斜角θxを求めるために受信電圧を検出するための部分スキャンに移行する(ステップ80)。
【0179】
まず、CPU10は、求められた回転角を基にして、X軸ループコイル又はY軸ループコイルの何れか一方を、共振回路63と電波を送受信するループコイルとして選択する。これは、第1及び第2ピーク値を算出する場合及びそれらピーク値の比率を計算する時には、より明確な信号を用いる方が、より信頼性の高い結果が得られるからである。
【0180】
第一実施例の装置では、回転角が−45°<θr<45°及び135°<θr≦180°及び−135°<θr≦−180°の範囲にあり、共振回路63から電波が出力される場合には、X軸ループコイルの受信する電波の方がY軸ループコイルの受信する電波よりも強くなる。即ち、X軸ループコイルの出力信号の方が大きくなる。−45°、45°、135°及び−135°の境界部分では、X軸ループコイルの受信する電波とY軸ループコイルの受信する電波とは同じとなる。逆に、回転角が上記以外の範囲にあるときには、Y軸ループコイルの受信する電波の方が強くなり、Y軸ループコイルの出力信号の方が大きくなる。
【0181】
従って、本実施例では、回転角が−45°≦θr≦45°及び135°≦θr≦180°及び−135°≦θr≦−180°の範囲にある場合には、X軸ループコイルが送受信用として選択され、回転角が上記の範囲にないときにはY軸ループコイルが送受信用として選択される。
【0182】
上記のように、この場合には回転角θr=30°のときであるので、CPU10は、送受信用ループコイルとしてX軸ループコイルを選択する。
【0183】
この部分スキャンでは、上記の位置指示器20の中心位置を求めるための部分スキャンにおいて見つけられ且つ記憶されたループコイルXとその前後合わせて9つ(前方の4つと後方の4つ)のループコイルをスキャンする。
【0184】
CPU10は、まず、タブレット1からの送信のためのループコイルとしてループコイルXを選択回路2に選択させ、送受切替回路3を送信側端子Tに接続する。この状態で、ループコイルXは送信電波(イ)を位置指示器20に100μs送出する。この送信電波(イ)により位置指示器20の共振回路63が励振され誘導電圧(ワ)が発生する。CPU10は、ループコイルXから送信電波(イ)を送出した後、送受切替回路3を受信端子R側に切替え、ループコイルXを100μsの間受信モードとする。
【0185】
共振回路63に発生された前記誘導電圧により、束ねられた磁性体コア22、23の1組の側面から、即ち、傾斜検出コイル27の囲む範囲から、交流磁界が発生される。(束ねられた磁性体コア22、23は、1つの磁性体コアと見なすことができ、以下、この束ねられた磁性体コアを1つの磁性体コアとみなす場合に、それを磁性体コアWという。)それによって、磁性体コアWの該1組の側面から前記タブレット1に電波が送出され、受信モードになっているループコイルXがその電波を受信する。
【0186】
即ち、CPU10は、ループコイルXから電波を送信し、ループコイルXで電波を受信するように制御する。この結果、タブレット1で位置指示器20の磁性体コアWから出力される電波が検出され、このループコイルXの受信モードにおいて、前記ステップ70で説明したと同様な動作でタブレット1で受信信号(a)、(b)が得られる。
【0187】
上記のような部分スキャン動作が、ループコイルX5、X、X、X、X、X10、X11、X12及びX13をそれぞれ選択して順次行われる。その結果、図10の(b)に示す信号が出力される。
【0188】
CPU10は、タブレット1で得られたそれら信号の中から、第1最大値(Vx1p)及びその前後の値(Vx1a、Vx1b)と、第2最大値(Vx2p)及びその前後の値(Vx2a、Vx2b)とを抽出する。これらを抽出するために、CPU10は、まず、ループコイルXから、ループコイル番号の大きい方に向かって順に、1つのループコイルの出力信号と、その隣りのループコイルの出力信号とを比較して行き(Xの出力信号とXの出力信号、Xの出力信号とXの出力信号、・・・と比較していく)、該1つのループコイルの出力信号よりも該隣のループコイルの出力信号が小さくなったとき、該隣のループコイルの出力信号をVx1bとし、該1つのループコイルの出力信号をVx1pとし、該1つのループコイルの1つ前のループコイルの出力信号をVx1aと決定する。次に、CPU10は、ループコイルX13から、ループコイル番号の小さい方に向かって順に、1つのループコイルの出力信号と、その隣りのループコイルの出力信号と比較して行き(X13の出力信号とX12の出力信号、X12の出力信号とX11の出力信号、・・・と比較していく)、該1つのループコイルの出力信号よりも該隣のループコイルの出力信号が小さくなったとき、該隣のループコイルの出力信号をVx2aとし、該1つのループコイルの出力信号をVx2pとし、該1つのループコイルの1つ前のループコイルの出力信号をVx2bとする。
【0189】
第1の場合(θr=30°θx=20°θy=30°)では、タブレット1において、X軸方向の部分スキャンのループコイルXの受信モードで第1最大値電圧Vx1p=0.79Vを得、その前後のループコイルX、Xの受信モードで電圧Vx1a=0.51V、Vx1b=0.58Vをそれぞれ得、そして、ループコイルX10の受信モードで第2最大値電圧Vx2p=1.18Vを得、その前後のループコイルX、X11の受信モードで電圧Vx2a=0.45V、Vx2b=1.15Vをそれぞれ得る。即ち、ループコイルX、X、Xから電圧Vx1a、Vx1p、Vx1b(0.51V、0.79V、0.58V)を得、ループコイルX、X10、X11から電圧Vx2a、Vx2p、Vx2b(0.45V、1.18V、1.15V)を得る。
【0190】
次に、CPU10は、待ち時間800μsを実行する。この待ち時間の間に、単安定マルチバイブレータ49の上記の2600μsのオン期間が終了し、単安定マルチバイブレータ49がオフになり、信号(リ)(ヌ)及び(ヲ)が“L”となる。即ち、スイッチ53、54、55、56、57が開かれ、それによって、傾斜検出コイル27及び28は開路となり共振不可能となり、制御コイル25、26は開路となり電流が発生しなくなり、送信コイル24とコンデンサ31とで構成される共振回路32が共振可能な状態となる。
【0191】
CPU10は位置指示器20の傾斜角θxを決定するめの受信信号の信号強度の補正値Vx及びVx、即ち、第1ピーク値及び第2ピーク値を前記(11)式により求める。前記(11)式のCは第1ピーク値及び第2ピーク値に対応する。即ち、(11)式のVa、Vb、Vpに、Vx1a、Vx1b、Vx1pを代入してVxを求め、同様にVx2a、Vx2b、Vx2pを代入してVxを求める。(ステップ80)。
【0192】
その結果、第1ピーク値Vx=0.79V、第2ピーク値Vx=1.26Vと求められる。(本明細書におけるすべての実施例において、電圧値は小数点第3位を四捨五入した値を示している。)
【0193】
3.3.2 傾斜角θyを求めるための部分スキャン
CPU10は、次に、傾斜検出コイル28及びコンデンサ35で構成される共振回路64を共振状態とする“11”モード設定動作を開始する(ステップ81)。即ち、位置指示器20の傾斜角θyを求めるための設定をする。共振回路64は、位置指示器20の座標系のY軸方向の傾斜を検出するように配置されている。
【0194】
図11は、傾斜角θyを求めるときの、図1及び図3に×印で示した点の波形図である。
【0195】
CPU10は、制御コイル25および26を短絡状態にし、スイッチ53を開放状態にし、共振回路63を開路状態にし、共振回路64を閉路状態にする為に、スイッチ53及び56を開き且つスイッチ54、55及び57を閉じるための“11”モード信号を位置指示器20に送信し、“11”モード設定ステップを実行する(ステップ81)。
【0196】
CPU10は送信時間T=200μs、受信時間R=200μs、送信時間T=200μs、受信時間R=200μs、送信時間T=600μs、受信時間R=600μsの送受信を位置指示器20とタブレット1間で行わせる(ステップ81、図11のIV)。
【0197】
CPU10は選択回路2でループコイルXを選択し、送受切替回路3を送信端子T側に切替えて、T=200μsの間、送信電波(イ)を位置指示器20に送信する。この送信電波により、共振回路32に誘導電圧(ロ)が発生する。この送信時間T=200μsの送信動作により、第3の経路62および第2の経路61から出力(ハ)および(ニ)が出力され、この出力(ハ)の立ち下がりで、シリアルパラレル変換回路46内で(ヘ)の出力を(ト)の出力にシフトし、第2の経路61の出力(ニ)をシリアルパラレル変換回路46に(ヘ)の出力として取り込む。この立ち下がりのときの出力(ヘ)のレベルは“L”であり、出力(ニ)のレベルは“H”であり、これにより、この時点でのデコーダ47への出力(ト)(ヘ)は“0”“1”となる。
【0198】
次に、CPU10はT=200μsの送信をタブレット1から位置指示器20に行わせる。この送信電波により、共振回路32に誘導電圧(ロ)が発生する。この送信時間T=200μsの送信動作により、第3の経路62および第2の経路61から出力(ハ)(ニ)がそれぞれ出力され、この出力(ハ)の立ち下がりで、シリアルパラレル変換回路46内で(ヘ)の出力を(ト)の出力にシフトし、第2の経路61の出力(ニ)をシリアルパラレル変換回路46に(ヘ)の出力として取り込む。この立ち下がりのときの出力(ヘ)のレベルは“H”であり(ニ)のレベルも“H”である。これより、シリアルパラレル変換回路46からのデコーダ47への出力(ト)および(ヘ)は“1”“1”となる。
【0199】
次いで、CPU10はこの“11”データをスイッチ制御信号に変換させるために、送信時間T=600μsの間、送信電波(イ)を位置指示器20に送信する。
【0200】
送信電波(イ)が600μs継続されると、第3の経路62、第2の経路61、第1の経路60の順で出力(ハ)、(ニ)、(ホ)が図示の如く発生される。出力(ホ)の立ち上がりでシリアルパラレル変換回路46の出力“11”がデコーダ47に取り込まれる。
【0201】
続いて、CPU10は受信時間R=600μsの受信モードを実行する。これにより、誘導電圧(ロ)は減衰し、出力(ハ)(ニ)(ホ)も“L”レベルとなる。出力(ホ)の立ち下がりでシリアルパラレル変換回路46はリセットされ、かつ、“11”を表すデータがデコーダ47からラッチ回路48に取り込まれる。“11”を表すデータを取り込んだラッチ回路48の出力Qは“H”レベルとなり、出力Q及びQは“L”レベルとなる。
【0202】
出力Qが“H”レベルとなると、この信号を受信した単安定マルチバイブレータ50は2600μsの間オンになり、“H”レベルの信号を伝える。
【0203】
これにより、スイッチ53、54、55、56、57の制御信号(チ)(リ)(ヌ)(ル)(ヲ)のうち、出力(チ)及び(ル)が“L”レベルとなり、出力(リ)(ヌ)(ヲ)は“H”レベルとなり、スイッチ53、56は開路状態となり、スイッチ54、55、57が閉路状態となる。この動作により、位置指示器20の共振回路63が共振不可能となり、共振回路64が共振可能となり、スイッチ53が開放され、制御コイル25、26が短絡されて共振回路32が共振不可能になる“11”モード設定が終了する(ステップ116)。制御コイル25、26を短絡するのは、上記の“10”モードの場合と同様に、各コイルは、コア中に、それぞれ異なった方向の磁界を発生させようとするため、1つのコイルを選択しているときに、他のコイルがコア中の磁界に影響を与えないように開放又は短絡とするのがよいからである。
【0204】
CPU10は位置指示器20が“11”モードとなると、この“11”モードにおける受信電圧を検出するための部分スキャンに移行する(ステップ82)。
【0205】
前記の“10”モードにおいて、傾斜検出コイル27からの電波をX軸ループコイルが受信することをCPU10が決定した場合には、CPU10は、この11”モードにおいて傾斜検出コイル28からの電波をY軸ループコイルに受信させる。逆に、“10”モードにおいて、CPU10が傾斜検出コイル27からの電波をY軸ループコイルに受信させた場合には、“11”モードにおいて傾斜検出コイル28からの電波をX軸ループコイルに受信させる。
【0206】
上記の“10”モードでX軸ループコイルが送受信用のループコイルとして選択されたので、CPU10は、このステップではY軸ループコイルを送受信用ループコイルとして選択する。
【0207】
この部分スキャンでは、上記の位置指示器20の中心位置を求めるための部分スキャンにおいて求められ且つ記憶されたループコイルY12とその前後合わせて9つ(前方の4つと後方の4つ)のループコイルをスキャンする。
【0208】
CPU10は、まず、タブレット1からの送信のためのループコイルとしてループコイルYを選択回路2に選択させ、送受切替回路3を送信側端子Tに接続する。この状態で、ループコイルYは送信電波(イ)を位置指示器20に100μs送出する。この送信電波(イ)により位置指示器20の共振回路64が励振され誘導電圧(カ)が発生される。CPU10は、ループコイルYに送信電波(イ)を送出させた後、送受切替回路3を受信端子R側に切替え、ループコイルYを100μsの間受信モードとする。
【0209】
共振回路64に発生された前記誘導電圧により磁性体コアWの他の1組の側面(共振回路63が共振したときに交流磁界が発生する前記1組の側面と直交する側面の組)から、即ち、傾斜検出コイル28の囲む範囲から交流磁界が発生され、磁性体コアWから前記タブレット1に電波が送出され、受信モードになっているループコイルYがその電波を受信し、前記ステップ70で説明したと同様な動作でタブレット1で受信信号(a)、(b)が得られる。
【0210】
この部分スキャン動作が、ループコイルY、Y、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15及びY16をそれぞれ選択して順次行われる。その結果、図11の(b)に示す一連の信号が出力される。
【0211】
CPU10は、これらの信号の中から、第1最大値(Vy1p)及びその前後の値(Vy1a、Vy1b)と、第2最大値(Vy2p)及びその前後の値(Vy2a、Vy2b)とを抽出する。これらを抽出するために、CPU10は、まず、ループコイルYから、ループコイル番号の大きい方に向かって順に、1つのループコイル出力信号と、その隣のループコイルの出力信号とを比較して行き(Yの出力信号とYの出力信号、Yの出力信号とY10の出力信号、・・・と比較して行く)、該1つのループコイルの出力信号よりも該隣のループコイルの出力信号が小くなったとき、該隣のループコイルの出力信号をVy1bとし、該1つのループコイルの出力信号をVy1pとし、該1つのループコイルの1つ前のループコイルの出力信号をVy1aとする。次に、CPU10は、ループコイルY16から、ループコイル番号の小さい方に向かって順に、1つのループコイル出力信号と、その隣のループコイルの出力信号とを比較して行き(Y16の出力信号とY15の出力信号、Y15の出力信号とY14の出力信号、・・・と比較して行く)、該1つのループコイルの出力信号よりも該隣のループコイルの出力信号が小くなったとき、該隣のループコイルの出力信号をVy2aとし、該1つのループコイルの出力信号をVy2pとし、該1つのループコイルの1つ前のループコイルの出力信号をVy2bとする。
【0212】
この第1の場合(θr=30°、θx=20°、θy=30°)では、タブレット1において、Y軸方向の部分スキャンのループコイルY10の受信モードで第1最大値電圧Vy1p=0.57Vを得、その前後のループコイルY、Y11の受信モードで電圧Vy1a=0.41V、Vy1b=0.40Vをそれぞれ得、そして、ループコイルY14の受信モードで第2最大値電圧Vy2p=1.09Vを得、その前後のループコイルY13、Y15の受信モードで電圧Vy2a=0.51V、Vy2b=1.04Vをそれぞれ得る。即ち、ループコイルY、Y10、Y11から電圧Vy1a、Vy1p、Vy1b(0.41V、0.57V、0.40V)を得、ループコイルY13、Y14、Y15から電圧Vy2a、Vy2p、Vy2b(0.51V、1.09V、1.04V)を得る。
【0213】
次に、CPU10は、待ち時間800μsを実行する。この待ち時間の間に、単安定マルチバイブレータ50の上記の2600μsのオン期間が終了し、単安定マルチバイブレータ50がオフになり、信号(リ)、(ヌ)及び(ヲ)が“L”となる。即ち、スイッチ53、54、55、56、57が開かれ、傾斜検出コイル27、28は開路となり共振不可能となり、制御コイル25、26は開路となり電流が発生しなくなり、送信コイル24とコンデンサ31とで構成される共振回路32が共振可能な状態となる。
【0214】
CPUは、位置指示器20の傾斜角θyを決定するための受信信号の信号強度の補正値Vy1とVy2、即ち、第1ピーク値及び第2ピーク値を、前記(11)式により求める。即ち、Va、Vb、Vpに、Vy1a、Vy1b、Vy1pを代入してVyを求め、同様にVy2a、Vy2b、Vy2pを代入してVyを求める(ステップ82)。
【0215】
計算された第1ピーク値Vy1=0.57Vであり、第2ピーク値Vy2=1.14Vである。
【0216】
この部分スキャン動作(ステップ75〜82)で受信信号レベルが所定のしきい値以下であれば、CPU10は位置指示器20はタブレット1上にないと判別して、処理動作をステップ70に戻す(ステップ83)。
【0217】
更に、CPU10は位置指示器20のタブレット1上の軌跡を追従するために、ステップ76で得たループコイルの番号を記憶する(ステップ84)。
【0218】
次に、CPU10は、VxとVxとの比率から位置指示器20の傾斜角θxを求め、VyとVyとの比率から傾斜角θyを求める(ステップ85)。
【0219】
CPU10はこの位置指示器20の傾きを検出すると、部分スキャンを継続するためステップ75以下のステップを繰り返す。
【0220】
3.3.3 傾斜角θx及びθyを求める
次に、CPU10は傾斜角θx及びθyを求める(ステップ85)。
【0221】
図23はV1とV2の比率と、傾斜角との関係を示すグラフである。V1は一方のピークの値、V2は他方のピークの値を表す。即ち、このグラフは、第一実施例の装置において検出されたピーク値VxとVxの比率と傾斜角との関係及びピーク値VyとVyの比率と傾斜角との関係を表す。この実施例では、ピーク値の比率と傾斜角との間に次の関係が成り立つ。
【0222】
【数7】
Figure 0003678782
上記の(16)式は、回転角θrが−45°と+45°の間にあり且つ第1ピーク値及び第2ピーク値をそれぞれV1及びV2とした場合についての式である。この式の関係は、すべての回転角θrの場合に対して適合させることが可能である。
【0223】
上記(16)式の関係をすべての回転角θrの場合に対して適合させるために、CPU10は、傾斜角θxを求めるときに、回転角θrに基づいて、Vx(第1ピーク値)とVx(第2ピーク値)の何れか一方をV1とし且つ他方をV2と決定し、また、傾斜角θyを求めるときに、Vy(第1ピーク値)とVy(第2ピーク値)の何れか一方をV1とし且つ他方をV2と決定する。
【0224】
位置指示器20の傾斜角θx及びθyは、位置指示器20の座標系を基準として示される。そして、位置指示器20の座標系は、回転角θrと同じだけ回転する。従って、位置指示器20が回転した場合には、傾斜検出コイルが、反対向になってループコイルに対向する場合がある。その場合には、位置指示器20の座標系における同じ方向への傾斜であっても、第1ピークの大きさと第2ピークの大きさが逆転する。従って、ピーク値の比率を計算する際にV1の値とV2の値とを入れ替える必要がある。
【0225】
例えば、位置指示器20の回転角θrが0°であり且つ位置指示器20の座標系のX軸の正(+)の方向に傾斜している場合には、傾斜検出コイル27からの信号により、タブレット1のX軸ループコイルの小さいループコイル番号の方に低いピークが発生し、大きいループコイル番号の方に高いピークが発生する。しかし、回転角θrが180°であり且つ上記と同様に位置指示器20の座標系のX軸の正(+)の方向に傾斜している場合には、傾斜検出コイル27からの信号により、タブレット1のX軸ループコイルの小さいループコイル番号の方に高いピークが発生し、大きいループコイル番号の方に低いピークが発生する。以下、ループコイル番号の小さい方に発生するピークを第1ピークといい、ループコイル番号の大きい方に発生するピークを第2ピークという。
【0226】
また、傾斜検出コイル27からの信号をY軸ループコイルで受ける場合及び傾斜検出コイル28からの信号をX軸ループコイルで受ける場合にも、上記同様に、ピークの出方が逆になる場合がある。
【0227】
図24は、回転角θrの範囲と、傾斜角(θx及びθy)及び傾斜方向(位置指示器の座標系の軸の正の方向への傾斜を「+」、負の方向への傾斜を「−」で表す)と、第1ピークの大きさ(第2ピークと比較して高い場合には「高」、低い場合には「低」と表す)と、第2ピークの大きさ(第1ピークと比較して高い場合には「高」、低い場合には「低」と表す)と、傾斜角を検出するのに用いられる傾斜検出コイル(27又は28)と、傾斜検出コイルを共振させる信号を送り且つ傾斜検出コイルから誘導電圧信号を受信するための、前記の如く回転角に基づいて決定されるループコイルと、の関係を示す。
【0228】
ここで、図24に記載のデータのうちの、−45°<θr<+45°の場合と、+45°<θr<+135°の場合とにおける、「θy」が「+」の場合(即ち、位置指示器の座標系のY軸の正の方向に傾斜している場合)を例として、第1ピークと第2ピークとが逆転する場合を示す。
【0229】
−45°<θr<+45°の場合には、θyを求めるためにY軸ループコイルから傾斜検出コイル28に信号が送られ、その信号を受信した傾斜検出コイル28が共振し、傾斜検出コイル28からY軸ループコイルに信号が送り返される。θyが正の値(+)である場合、即ち、位置指示器20が、位置指示器20の座標系のY軸の正の方向に傾斜している場合には、タブレットで受けられる信号の第1ピークが低くなり、第2ピークが高くなる。(前記(17)式は、−45°<θr<+45°の場合を基準としているので、上記(17)式からθyを求めるために、Vy/Vyを計算する。)
【0230】
これに対して、+45°<θr<+135°の場合には、θyを求めるためにX軸ループコイルから傾斜検出コイル28に信号が送られ、その信号を受信した傾斜検出コイル28が共振し、コイル28からX軸ループコイルに信号が送り返される。θyが正の値(+)である場合、即ち、位置指示器20が、上記と同じように、位置指示器20の座標系のY軸の正の方向に傾斜している場合には、タブレットで受けられる信号の第1ピークが高くなり、第2ピークが低くなる。(従って、+45°<θr<+135°の場合において、上記(17)式からθyを求めるためには、Vy/Vyではなく、Vy/Vyを計算する必要がある。)
【0231】
CPU10は、すべての場合に対して(17)式を適合させるために、θrの値を基に、第1ピーク値をV1とし且つ第2ピーク値をV2として用いるか、又は第1ピーク値をV2とし且つ第2ピーク値をV1として用いるかを決定する。本実施例では、各θrの範囲においてθx及びθyを上記の(17)式から求めるために以下のように第1ピーク値と第2ピーク値の比率を計算する。
【0232】
1)−45°≦θr≦+45°の範囲では、θxを求めるためにVx/Vxを計算し、θyを求めるためにVy/Vyを計算する。
【0233】
2)+45°<θr<+135°の範囲では、θxを求めるためにVx/Vxピーク値を計算し、θyを求めるためにVy/Vyを計算する。
【0234】
3)+135°≦θr≦+180°且つ−135°≦θr<−180°の範囲では、θxを求めるためにVx/Vxを計算し、θyを求めるためにVy/Vyを計算する。
【0235】
4)−45°<θr<−135°の範囲では、θxを求めるためにVx/Vxを計算し、θyを求めるためにVy/Vyを計算する。
【0236】
第1の場合ではθr=30°、即ち、−45°≦θr≦+45°の範囲にあるため、CPU10は、傾斜角θxを求めるために、VxをV1とし且つVxをV2とし、以下のように計算する。
【0237】
V2/V1=Vx/Vx=1.26/0.79=1.6
そして、V2/V1=1.6に対応する傾斜角を上記の(17)式から算出する。その結果、傾斜角θx=20°が算出される。
【0238】
次に、CPU10は、傾斜角θyを求めるために、VyをV1とし且つVyをV2とし、以下のように計算する。
【0239】
V2/V1=Vy/Vy=1.14/0.57=2.0
そして、V2/V1=2.0に対応する傾斜角を上記の(17)式から算出する。その結果、傾斜角θy=30°が算出される。
【0240】
CPU10はこの位置指示器20の傾斜角θx及びθyを求めると、部分スキャンを継続するためステップ75以下のステップを繰り返す。
【0241】
4. θr、θx、θyが別の値の場合の第一実施例の動作
次に、第一実施例の動作の別の例として、図4及び図5と、図8、図9、図12及び図13とを参照して、第2の場合について説明する。図12及び13もまた、図1及び図3に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。図8、図9、図12及び図13もまた図面の寸法上、図16に示す如き1つの図面を4つに分けて示したものである。図16は、図8、図9、図12及び図13の結合関係を示す図である。
【0242】
ここでは第2の場合として、第1の場合と同様に位置指示器20の位置がループコイルXとループコイルY11とが交差する範囲にあるが、回転角θrが60°であり、傾斜角θx=20°、θy=30°である場合を説明する。
【0243】
回転角θrを求めるステップまで(ステップ70〜78)の動作は、上記の第1の場合と同じである。ただし、第2の場合には、これらのステップを経て求められた回転角θrは60°となる。
【0244】
CPU10は、求められた回転角を基にして、X軸ループコイル又はY軸ループコイルの何れが、傾斜検出コイル27及びコンデンサ34で構成される共振回路63に電波を送り且つそこから返される電波を受けるかを決定する。計算された回転角θrが60°、即ち、45°<θr<135°の範囲にあるので、CPU10は、タブレット1の送受信用ループコイルとしてY軸ループコイルを選択する。
【0245】
次に、傾斜角θxを求めるためのステップを行う。図12は傾斜角θxを求めるときの、図1及び図3に×印で示した点の出力を示す波形図である。
【0246】
まず、“10”モードの設定を行う(ステップ79、図12の区間 III)。この動作もまた、前記第1の場合における動作と同じである。この動作により、傾斜検出コイル27とコンデンサ34で構成される共振回路63が共振可能な状態となる。
【0247】
“10”モードの設定が終了すると、部分スキャンを開始する。この部分スキャンでは、上記の位置指示器20の中心位置を求めるための部分スキャンにおいて求められ且つ記憶されたループコイルY12とその前後合わせて9つ(前方の4つと後方の4つ)のループコイルをスキャンする。
【0248】
CPU10は、まず、タブレット1からの送信のためのループコイルとしてループコイルYを選択回路2に選択させ、送受切替回路3を送信側端子Tに接続する。この状態で、ループコイルYは送信電波(イ)を位置指示器20に100μs送出する。この送信電波(イ)により位置指示器20の共振回路63が励振され誘導電圧(ワ)が発生される。CPU10は、ループコイルYに送信電波(イ)を送出させた後、送受切替回路3を受信端子R側に切替え、ループコイルYを100μsの間受信モードとする。
【0249】
共振回路63に発生された前記誘導電圧により磁性体コアWの1組の側面から交流磁界が発生され、磁性体コアWから前記タブレット1に電波が送出され、受信モードになっているループコイルYがその電波を受信する。
【0250】
即ち、ループコイルYから傾斜検出コイル27に電波を送信し、ループコイルYで傾斜検出コイル27からの電波を受信するようにする。この結果、タブレット1で位置指示器20の磁性体コアWの1組の側面から出力される電波がループコイルYで検出され、タブレット1で受信信号(a)、(b)が得られる。
【0251】
この部分スキャン動作が、ループコイルY、Y、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15及びY16をそれぞれ選択して順次行われる。その結果、図12の(b)に示す一連の信号が出力される。
【0252】
CPU10は、これらの信号の中から、第1最大値(Vx1p)及びその前後の値(Vx1a、Vx1b)と、第2最大値(Vx2p)及びその前後の値(Vx2a、Vx2b)とを抽出する。これらの値の抽出は、前記第1の場合で説明したのと同様に行われる。
【0253】
第2の場合(θr=60°、θx=20°、θy=30°)では、この部分スキャンの、ループコイルY10の受信モードで第1最大値電圧Vx1p=0.57Vを得、その前後のループコイルY、Y11の受信モードで電圧Vx1a=0.40V、Vx1b=0.46Vをそれぞれ得、そして、ループコイルY15の受信モードで第2最大値電圧Vx2p=0.91Vを得、その前後のループコイルY14、Y16の受信モードで電圧Vx2a=0.73V、Vx2b=0.61Vをそれぞれ得る。即ち、ループコイルY、Y10、Y11から電圧Vx1a、Vx1p、Vx1b(0.40V、0.57V、0.46V)を得、ループコイルY14、Y15、Y16から電圧Vx2a、Vx2p、Vx2b(0.73V、0.91V、0.61V)を得る。
【0254】
CPUは、位置指示器20の傾斜角θxを決定するための受信信号の信号強度の補正値Vx1とVx2、即ち、第1ピーク値及び第2ピーク値を、前記のように(11)式を用いて求める(ステップ80)。
【0255】
計算された第1ピーク値Vx=0.57Vであり、第2ピーク値Vx=0.91Vである。
【0256】
次に、傾斜角θyを求めるためのステップを行う。図13は傾斜角θyを求めるときの、図1及び図3に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。
【0257】
CPU10は、“10”モードにおける部分スキャンにおいてY軸ループコイルを選択したので、“11”モードにおいては、タブレット1の送受信用ループコイルとしてX軸ループコイルを選択する。
【0258】
まず、CPU10は“11”モードの設定を行う(ステップ81、図13の区間 IV)。この動作もまた、前記第1の場合における動作と同じである。この動作によって、共振回路64が共振可能な状態となる。
【0259】
この部分スキャンでは、上記の位置指示器20の中心位置を求めるための部分スキャンにおいて求められ且つ記憶されたループコイルXとその前後合わせて9つ(前方の4つと後方の4つ)のループコイルをスキャンする。
【0260】
CPU10は、まず、タブレット1からの送信のためのループコイルとしてループコイルXを選択回路2に選択させ、送受切替回路3を送信側端子Tに接続する。この状態で、ループコイルXは送信電波(イ)を位置指示器20に100μs送出する。この送信電波(イ)により位置指示器20の傾斜検出コイル28とコンデンサ35とで構成される共振回路64が励振され誘導電圧(カ)が発生される。CPU10は、ループコイルXに送信電波(イ)を送出させた後、送受切替回路3を受信端子R側に切替え、ループコイルXを100μsの間受信モードとする。
【0261】
共振回路64に発生された前記誘導電圧により磁性体コアWの他の1組の側面から交流磁界が発生され、磁性体コアWから前記タブレット1に電波が送出され、受信モードになっているループコイルXがその電波を受信する。
【0262】
即ち、ループコイルXから傾斜検出コイル28に電波を送信し、ループコイルXで傾斜検出コイル28からの電波を受信する。この結果、タブレット1で位置指示器20の磁性体コアWの該他の1組の側面から出力される電波がループコイルXで検出され、タブレット1で受信信号(a)、(b)が得られる。
【0263】
この部分スキャン動作が、ループコイルX、X、X、X、X、X10、X11、X12及びX13をそれぞれ選択して順次行われる。その結果、図13の(b)に示す一連の信号が出力される。
【0264】
CPU10は、これらの信号の中から、第1最大値(Vy1p)及びその前後の値(Vy1a、Vy1b)と、第2最大値(Vy2p)及びその前後の値(Vy2a、Vy2b)とを抽出する。これらの値の抽出は、前記第1の場合で説明したのと同様に行われる。
【0265】
第2の場合(θr=60°、θx=20°、θy=30°)では、この部分スキャンの、ループコイルXの受信モードで第1最大値電圧Vy1p=1.26Vを得、その前後のループコイルX、Xの受信モードで電圧Vy1a=1.19V、Vy1b=0.53Vをそれぞれ得、そして、ループコイルX12の受信モードで第2最大値電圧Vy2p=0.66Vを得、その前後のループコイルX11、X13の受信モードで電圧Vx2a=0.56V、Vy2b=0.43Vをそれぞれ得る。即ち、ループコイルX、X、Xから電圧Vy1a、Vy1p、Vy1b(1.19V、1.26V、0.53V)を得、ループコイルX11、X12、X13から電圧Vy2a、Vy2p、Vy2b(0.56V、0.66V、0.43V)を得る。
【0266】
CPUは、位置指示器20の傾斜角θyを決定するための受信信号の信号強度の補正値Vy1とVy2、即ち、第1ピーク値及び第2ピーク値を、上記と同様に、(11)式を用いて求める(ステップ82)。
【0267】
計算された第1ピーク値Vy1=1.33Vであり、第2ピーク値Vy2=0.67Vである。
【0268】
この部分スキャン動作(ステップ75〜82)で受信信号レベルが所定のしきい値以下であれば、CPU10は位置指示器20はタブレット1上にないと判別して、処理動作をステップ70に戻す(ステップ83)。
【0269】
更に、CPU10は位置指示器20のタブレット1上の軌跡を追従するために、ステップ76で最大受信信号を得たループコイルの番号を記憶する(ステップ84)。
【0270】
次に、CPU10は、VxとVxとの比率から位置指示器20の傾斜角θxを、VyとVyとの比率から傾斜角θyを求める(ステップ85)。
【0271】
第2の場合にはθrは60°であり、即ち、+45°<θr<+135°の範囲にあるので、θxを求めるためにVx/Vxを計算し、θyを求めるためにVy/Vyを計算する。
【0272】
V2/V1=Vx/Vx=0.91/0.57=1.6
V2/V1=Vy/Vy=1.33/0.67=2.0
そして、V2/V1=1.6に対応する傾斜角を上記(17)式から算出し、その結果、傾斜角θx=20°が得られれる。そして、V2/V1=2.0に対応する傾斜角を上記(17)式から算出し、その結果、傾斜角θy=30°が得られる。
【0273】
CPU10はこの位置指示器20の傾斜角θx及びθyを求めると、部分スキャンを継続するためステップ75以下のステップを繰り返す。
【0274】
次に、更に、θr、θx、θyが別の値をとる場合の例を示す。位置指示器20の位置が上記の例と同様にループコイルXとループコイルY11とが交差する範囲にあり、回転角θrが15°であり、傾斜角θx=20°、θy=30°とする。この場合には、θxを求めるための値を得るために共振回路63及びX軸ループコイルを用い、θyを求めるための値を得るために共振回路64及びY軸ループコイルを用いる。
【0275】
結果として、ループコイルX、X、Xから電圧Vx1a、Vx1p、Vx1b(0.75V、0.80V、0.30V)を得、ループコイルX10、X11、X12から電圧Vx2a、Vx2p、Vx2b(0.92V、1.38V、0.77V)を得る。また、ループコイルY、Y10、Y11から電圧Vy1a、Vy1p、Vy1b(0.59V、0.84V、0.62V)を得、ループコイルY13、Y14、Y15から電圧Vy2a、Vy2p、Vy2b(0.65V、1.59V、1.44V)を得る。
【0276】
上記の値からピーク値を計算すると、Vx=0.85、Vx=1.38、Vy=0.84、Vy=1.68となる。
【0277】
第1ピーク値と第2ピーク値の比率は以下のように計算する。
【0278】
V2/V1=Vx/Vx=1.38/0.85=1.6
V2/V1=Vy/Vy=1.68/0.84=2.0
V2/V1=1.6からθx=20°が算出され、V2/V1=2.0からθy=30°が算出される。
【0279】
傾斜角θx=20°、θy=30°が同じであり、回転角θrが異なる3つの場合を上記で例示したが、上記のように、回転角θrが変化しても、傾斜角θx及びθyが同じである場合には、常に同じ値(同じピーク値の比率)が導きだされる。
【0280】
次に、更に、θr、θx、θyの別の値をとる場合の例を示す。位置指示器20の位置が上記の例と同様にループコイルXとループコイルY11とが交差する範囲にあり、回転角θrが30°であり、傾斜角θx=10°、θy=40°とする。この場合には、θxを求めるための値を得るために共振回路63及びX軸ループコイルを用い、θyを求めるための値を得るために共振回路64及びY軸ループコイルを用いる。
【0281】
結果として、ループコイルX、X、Xから電圧Vx1a、Vx1p、Vx1b(0.55V、0.82V、0.54V)を得、ループコイルX、X10、X11から電圧Vx2a、Vx2p、Vx2b(0.35V、1.03V、0.81V)を得る。また、ループコイルY、Y10、Y11から電圧Vy1a、Vy1p、Vy1b(0.40V、0.52V、0.41V)を得、ループコイルY13、Y14、Y15から電圧Vy2a、Vy2p、Vy2b(0.52V、1.24V、1.21V)を得る。
【0282】
上記の値からピーク値を計算すると、Vx=0.82、Vx=1.06、Vy=0.52、Vy=1.32となる。
【0283】
第1ピーク値と第2ピーク値の比率は以下のように計算する。
【0284】
V2/V1=Vx/Vx=1.06/0.82=1.3
V2/V1=Vy/Vy=1.32/0.52=2.5
V2/V1=1.3からθx=10°が算出され、V2/V1=2.5からθy=40°が算出される。
【0285】
5. 変更可能な個所の例
なお、第一実施例の位置指示器20の電源回路36の充電は任意の適切な方法で行うとよい。例えば、装置の始動時に適当な充電期間を設け、その後は不足分について送信コイル24で発生した誘導電圧の一部を随時取り込むようにしてもよく、また、各モード設定期間において又は各モードの動作の前や後に充電期間を設けて充電するようにしてもよく、また、上記の方法の組み合わせとしてもよい。
【0286】
また、傾斜検出コイル27又は28が動作状態にあるときに、共振回路32が磁界を発生しないように、共振回路32に制御コイル24を開放とする手段を設け、送信コイル24を開放とするようにしてもよい。
【0287】
また、傾斜検出コイル27又は28が動作状態にあるときに、共振回路32が磁界を発生しないように、共振回路32に制御コイル24を短絡とする手段を設け、送信コイル24を短絡とするようにしてもよい。
【0288】
また、前記実施例のいずれの場合にも、ステップ75〜78では送信モードにループコイルXを選択回路2で選択する場合を示したが、ループコイルXとループコイルYとは交差しており、位置指示器がループコイルXとループコイルY12との交差する範囲内に位置しており且つこれらのステップでは送信コイル24が電波の受信及び送信を行うので、X軸方向の部分スキャンの送信モードでループコイルY12を選択し、Y軸方向の部分スキャンの送信モードでループコイルXを選択してもよい。また、ステップ79及びステップ81のモード設定期間においてループコイルXを選択回路2で選択する場合を示したが、ループコイルY12を選択してもよい。
【0289】
また、この実施例では、ピーク値の比率と傾斜角との関係を数式で表し、その数式から傾斜角を求めるようにしたが、ピーク値の各比率とそれに対応する傾斜角とをテーブルに記憶し、そのテーブルから直接的に傾斜角を求めるようにしてもよい。
【0290】
また、傾斜角θx及びθyを求めた後に、位置指示器のZ軸に対する傾斜角θzを、後に説明する第三実施例で用いる式[θz=cos-1(cos θx・cos θy)]を用いて求めるステップを加えてもよい。
【0291】
II. 第二実施例
本第二実施例は、前記第一実施例の位置指示器主要部のコイルの数を少なくし、構成をより簡単にしたものである。
【0292】
本第二実施例は前記第一実施例と比較すると、図2に示す位置指示器20の磁性体コア22、23のうち、磁性体コア22にのみ制御コイル25が横に巻かれ、磁性体コア23には制御コイル26が巻かれない点に特徴があり、図2に示す他の点は同様である。第二実施例では、位置指示器20の外観は図2に示すものと同じペンの形状であり、磁性体コア22、23、ペン先21、クリップ29の配置は、第一実施例と同じである。そして、第一実施例と同様に、該2個の磁性体コア22及び23を束ねて1本のコイル24(以下、送信コイルと言う)が巻かれている。傾斜検出コイル27及び傾斜検出コイル28もまた、第一実施例と同様に巻かれる。
【0293】
図25は、本発明第二実施例の位置指示器の要部回路の別の構成を示す。図25において、図3と同一の符号は、図3に示したものとそれぞれ同一のものを示す。
【0294】
送信コイル24にコンデンサ31が接続され、共振回路32が構成される。この共振回路32には補償用のコンデンサ33が図示の如く接続されている。この補償用のコンデンサ33は制御コイル25を閉じたときの共振回路32の共振周波数が送信電波(送信信号)の周波数と一致するようにその容量が選択されている。さらに、送信コイル24には、送信コイル24を短絡するためのスイッチ58が設けられている。
【0295】
傾斜検出コイル27にはコンデンサ34が接続され共振回路63が構成され、傾斜検出コイル28にはコンデンサ35が接続され共振回路64が構成される。
【0296】
共振回路32は電源回路36、検波回路37、検波回路38、検波回路39にそれぞれ接続されている。該検波回路37、積分回路40、コンパレータ43、及びそれらからなる第1の経路60と、検波回路38、積分回路41、コンパレータ44、及びそれらからなる第2の経路61と、検波回路39、積分回路42、コンパレータ45、及びそれらからなる第3の経路62と、の構成も、第一実施例と同じである。
【0297】
コンパレータ43、44、45のそれぞれからのシリアルパラレル変換回路46とデコーダ47とラッチ回路48への接続、シリアルパラレル変換回路46からデコーダ47への接続、及びデコーダ47からラッチ回路48への接続も、第一実施例と同様である。
【0298】
ラッチ回路48のQ出力は、コイル24、25、27、28の制御には用いられない。ラッチ回路48のQ出力は、送信コイル24に補償用のコンデンサ33を接続するためのスイッチ53を閉路又は開路とする制御のために該スイッチ53に接続され、かつ、制御コイル25を閉路又は開路とするスイッチ54の開閉制御のために該スイッチ54に接続される。ラッチ回路48のQ出力は、単安定マルチバイブレータ49に接続される。単安定マルチバイブレータ49の出力は、共振回路63を閉路又は開路とするスイッチ56の開閉制御のために該スイッチ56に接続され、かつ、オア回路52の一方の入力に接続される。ラッチ回路48のQ出力は、単安定マルチバイブレータ50に接続される。単安定マルチバイブレータ50の出力は、共振回路64を閉路又は開路とするスイッチ57の開閉制御のために該スイッチ57に接続され、かつ、オア回路52の他方の入力に接続される。オア回路52の出力は、送信コイル24を短絡とするためのスイッチ58の開閉制御のために該スイッチ58に接続される。
【0299】
次に、第二実施例の動作を説明する。
【0300】
全面スキャン動作は、第一実施例と同じである。全面スキャン動作が終了すると、部分スキャン動作を開始する。
【0301】
位置指示器20の位置を求めるための部分スキャン動作を行うためのモード設定(“00”モード)、回転角を求めるための部分スキャン動作を行うためのモード設定(“01”モード)、傾斜角θxを求めるための部分スキャン動作を行うためのモード設定(“10”モード)、及び傾斜角θyを求めるための部分スキャン動作を行うためのモード設定(“11”モード)を行うために、タブレット1から位置指示器20に送られる信号は第一実施例のものと同じであり、その信号を処理した結果としてラッチ回路48から出力される信号も、第一実施例のものと同じである。各部分スキャンにおいて使用するループコイルの選択、選択されたループコイルから得られた信号からの必要な信号の選択、選択された信号からのピーク値の計算、V2/V1の計算、及び計算に用いるすべての式は、第一実施例と同じである。
【0302】
従って、ここでは、第一実施例の動作と異なる部分のみ説明する。
【0303】
第一実施例では、共振回路63を共振可能状態としたとき、及び共振回路64を共振可能状態としたときに、同時に、制御コイル25及び26の両方を閉じる。それによって、送信コイル24に磁界が発生しないようにしている。
【0304】
これに対して、第二実施例では、一方のコアにのみ制御コイル(25)が巻かれている。従って、共振回路63を共振可能状態としたとき、及び共振回路64を共振可能状態としたときに、同時に、送信コイル24を短絡することによって、送信コイル24に磁界が発生しないようにする。
【0305】
即ち、第二実施例の構成では、第一実施例と比較して、コイルの数が少ないため、より簡単な構成となる。
【0306】
以下に、ラッチ回路48以降の回路の動作を簡単に説明する。
【0307】
即ち、位置指示器の位置を求めるための部分スキャン動作を行うための“00”モード設定動作において、ラッチ回路48のQ、Q、Q、Q出力はそれぞれH、L、L、Lとなる。しかし、Q出力は何れのコイルを制御するためにも用いられていないので、スイッチ58、53、54、56、57は開いた状態である。従って、制御コイル25は開路となり、共振回路63及び64もまた開路となり、送信コイル24とコンデンサ31とで構成される共振回路32のみが共振可能な状態となる。
【0308】
回転角を求めるための部分スキャン動作を行うための“01”モード設定動作において、ラッチ回路48のQ、Q、Q、Q出力はそれぞれL、H、L、Lとなる。Q出力がHになると、スイッチ53及び54が閉じられる。それによって、制御コイル25が短絡され、かつ、送信コイル24とコンデンサ31とで構成される共振回路32に補償用のコンデンサ33が接続されて共振回路32が共振可能な状態となる。Q及びQ出力はLであるので、単安定マルチバイブレータ49及び50はオフの状態となり、スイッチ56及び57は開いた状態となる。
【0309】
傾斜角θxを求めるための部分スキャン動作を行うための“10”モード設定動作において、ラッチ回路48のQ、Q、Q、Q出力はそれぞれL、L、H、Lとなる。Q出力がHになると、単安定マルチバイブレータ49が2600μsの間オンになりH信号を出力する。このH信号によって、スイッチ56が閉じられ、傾斜検出コイル27とコンデンサ34とが接続され、共振回路63が共振可能となる。同時に、このH信号はオア回路52の一方の入力に入力される。このH信号を入力されたオア回路52はその出力部からH信号を出力し、スイッチ58を閉じる。これによって送信コイル24が短絡される。Q及びQ出力はLであるので、スイッチ54は開いた状態となり、かつ、単安定マルチバイブレータ50はオフの状態となりスイッチ57は開いた状態となる。
【0310】
傾斜角θyを求めるための部分スキャン動作を行うための“11”モード設定動作において、ラッチ回路48のQ、Q、Q、Q出力はそれぞれL、L、L、Hとなる。Q出力がHになると、単安定マルチバイブレータ50が2600μsの間オンになりH信号を出力する。このH信号によって、スイッチ57が閉じられ、傾斜検出コイル28とコンデンサ35とが接続され、共振回路64が共振可能となる。同時に、このH信号はオア回路52の他方の入力に入力される。このH信号を入力されたオア回路52はその出力部からH信号を出力し、スイッチ58を閉じる。これによって送信コイル24が短絡される。Q及びQ出力はLであるので、スイッチ54は開いた状態となり、かつ、単安定マルチバイブレータ49はオフの状態となりスイッチ56は開いた状態となる。
【0311】
ここで説明していないその他の構成、信号及び動作はすべて第一実施例と同じである。
【0312】
III. 第三実施例
第三実施例の装置は、位置指示器の傾斜角度を検出する。
【0313】
次に、本発明の第三実施例を図に基づいて説明する。
【0314】
1. 位置検出装置
第三実施例で用いる位置検出装置は、図1に示した第一実施例の位置検出装置の回路構成と基本的に同じである。ただし、CPU10の動作は第一実施例のものと部分的に異なる。
【0315】
2. 位置指示器の構成
図26は本発明第三実施例の位置指示器の共振回路部分の説明図を示す。図26において、図2と同一符号は図2示したものとそれぞれ同一のものを示す。
【0316】
位置指示器(本実施例ではペン形の位置指示器を示す)120のペン先21の付近に1個の磁性体コア122を、その中心線上にペン先位置がくるように配置し、この磁性体コア122に1本のコイル24(以下、送信コイルと言う)が横に巻かれている。(第三実施例のコア122と、第一実施例のコア22とコア23とを合わせたものとは、機能上同等である。)このコイル24の中心線と、ペン先21の位置と、位置指示器120の中心線と、磁性体コア122の長手方向の中心線とは、一致するように構成されている。
【0317】
そして、コイル27(傾斜検出コイル)が、コア122に縦に、即ち、コア122の長手方向に巻かれ、コイル28(傾斜検出コイル)が、傾斜検出コイル27と直交するように、コア122に縦に、即ち、長手方向に図示の如く巻かれている。
【0318】
即ち、位置指示器120をタブレット1の検出面(上面)に垂直に配置したときに該検出面に対して垂直な面に一方の傾斜検出コイル(27又は28の一方)が平行に巻かれ、該検出面に対して垂直かつ該一方のコイルが巻かれた面に直交する面に平行に他方の傾斜検出コイル(27又は28の他方)が巻かれ、該検出面に対して平行な面に平行に送信コイル24が巻かれている。
【0319】
更に好適には、位置指示器120の回転を目測で判断するときの基準の1つとなる位置(本実施例では図26に示すクリップの位置)と位置指示器120の中心線とを含む平面と、傾斜検出コイル27(又は傾斜検出コイル28)が巻かれた面とが、一致するようにする。
【0320】
図27は、該位置指示器の要部回路構成図を示す。図27において、図3と同一符号は図3に示したものとそれぞれ同一のものを示す。
【0321】
送信コイル24にコンデンサ31が接続され、共振回路32が構成される。そして、共振回路32には、送信コイル24を短絡するためのスイッチ90が接続される。
【0322】
傾斜検出コイル27にはコンデンサ34が接続され共振回路63が構成され、傾斜検出コイル28にはコンデンサ35が接続され共振回路64が構成される。
【0323】
共振回路32は電源回路36、検波回路37、検波回路38、検波回路39にそれぞれ接続されている。該検波回路37は時定数が大の積分回路40に接続され、検波回路38は時定数が中の積分回路41に接続され、該検波回路39は時定数が小の積分回路42に接続されている。該積分回路40はコンパレータ43に、積分回路41はコンパレータ44に、積分回路42はコンパレータ45にそれぞれ接続されている。このコンパレータ43はシリアルパラレル変換回路86のリセット端子R、デコーダ47及びラッチ回路48に接続され、コンパレータ44は該シリアルパラレル変換回路46のデータ端子Dに接続され、コンパレータ45はシリアルパラレル変換回路46のクロック端子CLに接続されている。これらの構成は第一実施例と同じである。
【0324】
シリアルパラレル変換回路46のQ出力およびQ出力は、デコーダ(2進10進デコーダ)47の入力端子AおよびBにそれぞれ接続されている。
【0325】
デコーダ47の出力端子Q、Q、Q及びQは、ラッチ回路48の入力端子A、A、A及びAに、それぞれ接続されている。ラッチ回路48のQ出力は、単安定マルチバイブレータ49に接続される。単安定マルチバイブレータ49の出力は、共振回路63を閉路又は開路とするスイッチ56の開閉制御のためにスイッチ56に接続され、かつ、オア回路52の一方の入力に接続される。ラッチ回路48のQ出力は、単安定マルチバイブレータ50に接続される。単安定マルチバイブレータ50の出力は、共振回路64を閉路又は開路とするスイッチ57の開閉制御のために該スイッチ57に接続され、かつ、オア回路52の他方の入力に接続される。オア回路52の出力は、制御コイル24を短絡するためのスイッチ90の開閉制御のために該スイッチ90に接続される。
【0326】
ここで、前記検波回路37、積分回路40およびコンパレータ43は、前記シリアルパラレル変換回路46の端子Rに出力を供給する第1の経路60を形成し、該積分回路40の時定数と該コンパレータ43の基準値との関係は前記タブレット1からの送信電波が第1の所定時間(本実施例では、350μs程度の時間)送信された場合に出力信号を出力する様に構成されている。
【0327】
前記検波回路38、積分回路41およびコンパレータ44は、前記シリアルパラレル変換回路46の端子Dに出力を供給する第2の経路61を形成し、該積分回路41の時定数と該コンパレータ44の基準値との関係は前記タブレット1からの送信電波が第2の所定時間(本実施例では、150μs程度の時間)送信された場合に出力信号を出力する様に構成されている。
【0328】
前記検波回路39、積分回路42およびコンパレータ45は、前記シリアルパラレル変換回路46の端子CLに出力を供給する第3の経路62を形成し、該積分回路42の時定数と該コンパレータ45の基準値との関係は前記タブレット1からの送信電波が第3の所定時間(本実施例では、40〜50μs程度の時間)送信された場合に出力信号を出力する様に構成されている。これらの経路の構成は第一実施例のものと同じである。
【0329】
この様に構成した本発明第三実施例の動作を、図28、図29、図30、図31、図32、図33及び図34を参照して説明する。
【0330】
第三実施例の装置では、最初に、位置指示器120の指示する位置を求め、次に、位置指示器120の傾斜角を求める。
【0331】
図28および図29は、タブレット1のCPU10内に記憶された動作制御プログラムのフローチャートを示す。
【0332】
本発明では、第一実施例と同様の2つの座標系を用いる。1つはタブレット1の座標系であり、他の1つは位置指示器120の座標系である。
【0333】
第三実施例の装置は回転角を求めないので、位置指示器120の座標系の基準位置(回転前の所定の位置)を定める必要がない。また、回転角を求めないので、位置指示器120がどの方向に傾斜しているかを示さない。傾斜角は、単に、Z軸から何度傾斜しているかを表すようにする。
【0334】
第三実施例における傾斜角を求めるための原理は、第一実施例における傾斜角を求めるための原理と同じである。
【0335】
3. 動作の説明
3.1 全面スキャン
本装置の動作は前記動作制御プログラムに基づいて行われる。
【0336】
まず、位置指示器120がタブレット1のどの位置に置かれたかを検出する為のX軸全面スキャンが行われる(ステップ150)。
【0337】
図30及び図31は、全面スキャン時の、図1及び図27に×印で示した点の出力を示す波形図である。ただし、図30および図31は図面の寸法上図37に示す如く1つの図面を2つに分けて示したものである。図37は、図30と図31との結合関係を示す図である。
【0338】
図30を参照すると、CPU10はループコイルXを選択回路2に選択させ、送受切替回路3を送信側端子Tに接続させ、前記ループコイルXに発信器11の正弦波交流信号を供給する。これにより、ループコイルXから共振回路32に共振周波数の送信電波(イ)が送信される。
【0339】
CPU10は、この送信モードを所定時間(例えばT=100μs)実行すると、次に選択回路2はループコイルXを保持した状態で送受切替回路3を受信側に切替えて位置指示器120からの信号を受信する受信モードを所定時間(例えばR=100μs)実行する。
【0340】
他方、位置指示器120は全面スキャンモードのときは、スイッチ56、57、90は開かれており、該送信電波(イ)により共振回路32が励振され誘導電圧が発生される。受信モード中は、送信電波(イ)は停止されるが、該誘導電圧により送信コイル24から電波が発生され、この電波はタブレット1の選択されているループコイルを逆に励振するため、該ループコイルに誘導電圧を発生させる。この誘導電圧は位置指示器120に最も近いループコイルにおいて最大値となるので、位置指示器120の座標値すなわち位置指示器120の位置が求まる。
【0341】
本実施例では、位置指示器120がループコイルX、Y12の位置を指示している場合に関して説明する。
【0342】
CPU10は送信モードおよび受信モードを各ループコイル、即ち、X軸方向のループコイルXからX40の全部、について繰り返す。その動作中の1つの動作としてループコイルXを選択回路2に選択させ、ループコイルXから送信電波(イ)が位置指示器120に送信される。この送信電波(イ)により位置指示器120の共振回路32が励振され誘導電圧(ロ)が共振回路32に発生される。前記所定時間後に、タブレット1は受信モードになり、送信電波(イ)の送信は停止される。
【0343】
しかし、該誘導電圧(ロ)が減衰するまでこの誘導電圧(ロ)により位置指示器120から電波が送出され、この電波がループコイルXにより受信される。ループコイルXはこの電波で励振され、ループコイルXに誘導電圧が発生する。この誘導電圧がアンプ5で増幅される。アンプ5で増幅された受信信号(a)は検波回路6で検波され、ローパスフィルター7に送出される。ローパスフィルター7は共振回路32の共振周波数より充分低い遮断周波数を有しており、検波回路6の出力信号を直流信号に変換し、この直流信号がサンプルホールド回路7において信号(b)の如くサンプルホールドされ、A/D回路9によりアナログ・デジタル変換され、CPU10に送出される。CPU10は、このデジタル値に変換された各受信信号のレベル分布に基づいて位置指示器120の位置を検出するが、本実施例ではループコイルXからの受信信号レベルが最大値となり、位置指示器120のX軸方向の位置が検出される。CPU10はループコイルXを位置指示器120のX軸方向の位置として記憶する(ステップ152)。
【0344】
X軸全面スキャンにおいて、タブレット1での受信信号レベルがいずれも所定のしきい値以下である場合にはCPU10は位置指示器120はタブレット1上にないと判別してX軸全面スキャンを繰り返す(ステップ151)。
【0345】
CPU10はX軸全面スキャンが終了すると、同様な動作でY軸方向の全面スキャンを実施する。即ち、図31に示す如くY軸全面スキャンがX軸全面スキャンと同様な動作で行われ、CPU10は位置指示器120のタブレット1上のY軸方向の位置としてループコイルY12を記憶する(ステップ153〜154)。上記のステップ150〜154は第一実施例のステップ70〜74と同じである。
【0346】
3.2 部分スキャン(位置指示器の位置を求める)
位置指示器120の指示したタブレット1上のコイル番号(本実施例ではXおよびY12)が決定されると、そのコイル及びその前後(前の2本と後ろの2本)合わせて5本のループコイルについての部分スキャンが行われる。この部分スキャンは、タブレット1上に置かれた位置指示器120の位置を検出するためのものであり、位置指示器120がタブレット1上で移動された場合はその軌跡を追従且つ検出するためのものである。
【0347】
図32は位置指示器120の指示する位置を検出するときの、図1及び図27に×印で示した点の出力を示す波形図である。
【0348】
CPU10は選択回路2にループコイルXを選択させ、送受切替回路3を送信端子T側に接続させる。
【0349】
この状態で、CPU10は傾斜検出コイル27及びコンデンサ34で構成される共振回路63及び傾斜検出コイル28及びコンデンサ35で構成される共振回路64を開路状態にし且つスイッチ90を開放状態にして、送信コイル24とコンデンサ31とで構成される共振回路32が共振可能な状態にする為のモード信号、即ち、スイッチ90、56及び57を開くための信号“00”を位置指示器20に送信し、この“00”モード設定ステップを実行する。
【0350】
すなわち、CPU10は送信時間T=100μs、受信時間R=100μs、送信時間T=100μs、受信時間R=100μs、送信時間T=600μs、受信時間R=600μsの送受信を位置指示器120とタブレット1との間で行わせる(図28のステップ155、図32のI)。
【0351】
CPU10は選択回路2でループコイルXを選択し、送受切替回路3を送信端子T側に切替えて、T=100μsの間送信電波(イ)を位置指示器120に送信する。この送信電波により、共振回路32に誘導電圧(ロ)が発生する。この送信時間T=100μsの送信動作を2回繰り返す。これにより、第3の経路62から出力(ハ)が出力され、最初の出力(ハ)の立ち下がりで、シリアルパラレル変換回路46内で(ヘ)の出力を(ト)の出力にシフトし、第2の経路61の出力(ニ)をシリアルパラレル変換回路46に(ヘ)の出力として取り込む。出力(ハ)の最初の立ち下がりの時の出力(ヘ)のレベルは“L”であり、出力(ニ)のレベルも“L”であるので、この時点で、シリアルパラレル変換回路46の出力(ト)(ヘ)は“0”“0”である。
【0352】
そして、出力(ハ)の次の立ち下がりの時に、シリアルパラレル変換回路46内で(ヘ)の出力を(ト)の出力にシフトし、第2の経路61の出力(ニ)をシリアルパラレル変換回路46に(ヘ)の出力として取り込む。この立ち下がりの時の出力(ヘ)のレベルは“L”であり、出力(ニ)のレベルも“L”である。即ち、出力(ニ)から得られた信号は“L”“L”である。これにより、シリアルパラレル変換回路46からのデコーダ47への出力(ト)および(ヘ)は“0”“0”となる。
【0353】
次いで、CPU10はこの“00”データをスイッチ制御信号に変換させるために、送信時間T=600μsの間送信電波(イ)を位置指示器120に送信する。
【0354】
送信電波(イ)が600μs継続されると、第3の経路62、第2の経路61、第1の経路60の順で出力(ハ)、(ニ)、(ホ)が図示の如く発生する。出力(ホ)の立ち上がりでシリアルパラレル変換回路46の出力“00”がデコーダ47に取り込まれる。
【0355】
続いて、CPU10は受信時間R=600μsの受信モードを実行する。これにより、誘導電圧(ロ)は減衰し、出力(ハ)(ニ)(ホ)も“L”レベルとなる。出力(ホ)の立ち下がりでシリアルパラレル変換回路46はリセットされ、かつデコーダ47に取り込まれた“00”を表すデータがラッチ回路48に取り込まれる。この“00”を表すデータによって、ラッチ回路48の出力Qが“H”になり、他の出力Q、Q、Qは“L”を維持する。しかし、出力Qはスイッチ56、57、90の何れにも接続されおらず、かつ出力Q、Q、Qが“L”であるため、スイッチ56、57、90は、開放の状態となる。(出力Qもまた、スイッチ56、57、90の何れにも接続されていない。)
【0356】
この動作により、位置指示器120のスイッチ90を開放し、共振回路63及び64を開路とするための“00”モード設定が終了する(ステップ155)。
【0357】
CPU10は位置指示器120が“00”モードとなると、位置指示器120の中心位置を求めるため部分スキャンに移行する(ステップ156)。
【0358】
この部分スキャンはタブレット1側から位置指示器120に対して、送信時間T=100μs、受信時間R=100μsの送受信を行う。
【0359】
まず、CPU10はループコイルXを選択回路2に選択させ、送受切替回路3を送信側端子Tに接続する。この状態で、ループコイルXは送信電波(イ)を位置指示器120に送出する。
【0360】
この送信電波(イ)により位置指示器120の共振回路32が励振され誘導電圧(ロ)が共振回路32に発生される。この誘導電圧(ロ)によりコア122から交流磁界が発生される。
【0361】
CPU10は送信モード時間を経過すると、選択回路2にループコイルXを選択させ、送受切替回路3を受信端子R側に切替える。このループコイルXの受信モードにおいて、前記ステップ150で説明したと同様な動作でタブレット1で受信信号(a)、(b)が得られる。
【0362】
この部分スキャン動作が、送信モードではループコイルXを選択し、受信モードではループコイルX、X、X、X10およびX11をそれぞれ選択して順次行われる(ステップ156)。
【0363】
前述の様に、本実施例では位置指示器120がループコイルX、Y12を指示しているので、X軸方向の部分スキャンではループコイルXの受信モードで最大受信電圧Vp0を得、その前後のループコイルX、X10の受信モードで受信電圧Va0、Vb0をそれぞれ得る。
【0364】
このX軸方向の部分スキャンに続いてY軸方向の部分スキャンが行われる。
【0365】
即ち、送信モードではループコイルY12を選択し、受信モードではループコイルY10、Y11、Y12、Y13およびY14をそれぞれ選択してY軸方向の部分スキャンが上述のX軸方向の部分スキャンと同様に行われる(ステップ156)。
【0366】
このY軸方向の部分スキャンではループコイルY12の受信モードで最大受信電圧V'p0を得、その前後のループコイルY11、Y13の受信モードで受信電圧V'a0、V'b0をそれぞれ得る。
【0367】
この位置指示器120の位置は、送信コイル24の中心位置に対応した位置(以下、中心座標X,Yと言う)を示す。
【0368】
CPU10は、この受信信号電圧(受信信号強度)により前記(12)式および(13)式により位置指示器120の中心座標(X、Y)を決定する(ステップ156)。
【0369】
上記のステップ155及び156は第一実施例のステップ75及び76と基本的に同じである。
【0370】
3.3 部分スキャン(傾斜角を求める)
前述のように、第三実施例では、位置指示器120がZ軸から何度傾斜角しているかを求める。以下、この傾斜角をθzという。傾斜角θzを求めるためには、まず、傾斜角θx及びθyを求め、それらの値から傾斜角θzを計算する。
【0371】
図40はXYZ座標系におけるθx、θy及びθzの関係を表す。
【0372】
図40を参照して、傾斜角θx及びθyから傾斜角θzを求める方法を説明する。点Pを座標値が(x,y,z)であり且つ原点O(位置指示器のペン先の位置に対応)から距離Lだけ離れた位置にある点とする。この点Pと原点Oを結ぶ直線OP(位置指示器の中心線に対応)とZ軸とのなす角度が傾斜角θzである。点PからYZ面に垂直に下ろした点Bの座標値は(0,y,z)である。点Bと原点Oとを結ぶ直線OBとZ軸とのなす角度が傾斜角θyである。この直線OBの長さをL’とする。そして、直線OPと直線OBとのなす角度が傾斜角θxである。
【0373】
上記の値を基に、傾斜角θzを求める1つの計算法を示す。
【0374】
【数8】
Figure 0003678782
なお、θx及びθyは−90°から+90°の範囲であるから、式(24)から求められるθzの値は、θx及びθyの符号とは無関係となる。即ち、θzの値は常に正となる。
【0375】
3.3.1 傾斜角θxを求める
次に、第三実施例の傾斜角を求める動作を、図33及び図34とを参照して、第1の場合について説明する。
【0376】
図33は傾斜角θxを求める時の、図1及び図27に×印で示した点の出力を示す波形図である。
【0377】
この第1の場合は、位置指示器120の位置がループコイルXとループコイルY11とが交差する範囲にあり、回転角θrが30°であり、傾斜角θx=20°、θy=30°であり、傾斜角θzは36°である場合を示す。
【0378】
まず、CPU10は傾斜角θxを求めるステップを開始する。
【0379】
CPU10は、傾斜検出コイル27及びコンデンサ34で構成される共振回路63を共振状態とする“01”モード設定動作を開始する(ステップ157)。
【0380】
即ち、CPU10は、送信コイル24を短絡、傾斜検出コイル27及びコンデンサ34で構成される共振回路63を閉路、かつ傾斜検出コイル28及びコンデンサ35で構成される共振回路64を開路の状態とする“01”モード設定動作を開始する。即ち、コイル24を短絡として共振回路32が共振しない状態にし、共振回路63を共振可能な状態にし、共振回路64を共振しない状態にする。
【0381】
即ち、CPU10はスイッチ90を閉路、スイッチ56を閉路、かつスイッチ57を開路の状態にする為の“01”モード信号を位置指示器120に送信し、“01”モード設定ステップを実行する(ステップ157)。
【0382】
CPU10は送信時間T=100μs、受信時間R=100μs、送信時間T=200μs、受信時間R=200μs、送信時間T=600μs、受信時間R=600μsの送受信を位置指示器120とタブレット1間で行わせる(ステップ157、図33の区間 II)。この“01”モード設定ステップにおける、タブレット1から送られる信号及び位置指示器120における該信号の処理は、基本的に第1実施例の“01”モード設定ステップと同じである。
【0383】
CPU10は選択回路2でループコイルXを選択し、送受切替回路3を送信端子T側に切替えて、T=100μsの間送信電波(イ)を位置指示器120に送信する。この電波により、共振回路32に誘導電圧(ロ)が発生する。これにより、第3の経路62から出力(ハ)が出力され、この出力(ハ)の立ち下がりで、シリアルパラレル変換回路46内において(ヘ)の出力を(ト)の出力とするようにシフトし、第2の経路61の出力(ニ)をシリアルパラレル変換回路46に(ヘ)の出力として取り込む。出力(ハ)のこの立ち下がりの時の出力(ヘ)のレベルは“L”であり、出力(ニ)のレベルは“L”である。従って、デコーダ47の出力(ト)及び(ヘ)はこの時点では“0”“0”となる。
【0384】
次に、CPU10はT=200μsの送信をタブレット1から位置指示器120に行わせる。これにより、共振回路32に誘導電圧(ロ)が発生する。この送信時間T=200μsの送信動作により、第3の経路62および第2の経路61から順に出力(ハ)、出力(ニ)が出力され、この出力(ハ)の立ち下がりで、シリアルパラレル変換回路46内において(ヘ)の出力を(ト)の出力とするようにシフトし、第2の経路61の出力(ニ)を(ヘ)の出力として取り込む。出力(ハ)のこの立ち下がりの時の出力(ヘ)のレベルは“L”であり、出力(ニ)のレベルは“H”である。従って、この時点で、デコーダ47への出力(ト)および(ヘ)は“0”“1”となる。
【0385】
次いで、CPU10はこの“01”データをスイッチ制御信号に変換させるために、送信時間T=600μsの間、送信電波(イ)を位置指示器120に送信する。
【0386】
送信電波(イ)が600μs継続されると、第3の経路62、第2の経路61、第1の経路60の順で出力(ハ)、(ニ)、(ホ)を図示の如く発生する。出力(ホ)の立ち上がりでシリアルパラレル変換回路46の出力“01”がデコーダ47に取り込まれる。
【0387】
続いて、CPU10は受信時間R=600μsの受信モードを実行する。
【0388】
これにより、誘導電圧(ロ)は減衰し、出力(ハ)(ニ)(ホ)も“L”レベルとなる。出力(ホ)の立ち下がりでシリアルパラレル変換回路46はリセットされ、かつデコーダ47に取り込まれた“01”を表すデータがラッチ回路48に取り込まれる。この“01”を表すデータによって、ラッチ回路48の出力Qが“H”になり、他の出力は“L”となる。
【0389】
出力Qが“H”レベルとなると、この信号を受信した単安定マルチバイブレータ49は4400μsの間オンになり、“H”レベルの信号を伝える。出力Qは“L”レベルであるので、単安定マルチバイブレータ50はオフのままでいる。
【0390】
これにより、スイッチ56、57、90の制御信号(リ)(ル)(ヲ)のうち、出力(ル)が“L”レベルとなり、他の出力(リ)、(ヲ)は“H”レベルとなり、スイッチ56、90は閉路状態となり、スイッチ57が開路状態となる。ここで、“01”モード設定が終了する(ステップ157)。
【0391】
前記のように、各コイルは、コア中に、それぞれ異なった方向の磁界を発生させようとする。従って、1つのコイルを選択しているときに、他のコイルがコア中の磁界に影響を与えないように開放又は短絡とするのがよいので、送信コイル24に交流磁界が通りにくくなるように該送信コイル24を短絡状態にする。
【0392】
CPU10は位置指示器120が“01”モードとなると、X方向の傾斜角θxを求めるためにタブレット1の受信電圧を検出するための部分スキャンに移行する(ステップ158)。
【0393】
この部分スキャンでは、上記の位置指示器120の中心位置を求めるための部分スキャンにおいて見つけられ且つ記憶されたループコイル(X及びY12)及びそれらそれぞれの前後合わせて9つ(前方の4つと後方の4つ)のループコイルをスキャンする。その時には、傾斜検出コイル27及びコンデンサ34で構成される共振回路63が、選択されたX軸ループコイル及びY軸ループコイルからの電波を受け且つその電波に応答して電波を送り返す。
【0394】
まず、ループコイルX及びその前後合わせて9つのループコイルをスキャンする。
【0395】
CPU10は、まず、タブレット1からの送信のためのループコイルとしてループコイルXを選択回路2に選択させ、送受切替回路3を送信側端子Tに接続する。この状態で、ループコイルXは送信電波(イ)を位置指示器120に送出する。この送信電波(イ)により位置指示器120の共振回路63が励振され誘導電圧(ワ)が発生される。
【0396】
そして、前記誘導電圧により磁性体コア122の1組の側面から、即ち、傾斜検出コイル27の囲む範囲から交流磁界が発生され、磁性体コア122の該1組の側面から前記タブレット1に電波が送出される。
【0397】
CPU10は送信モード時間を経過すると、送受切替回路3を受信端子R側に切替える。ループコイルXは、この受信モードにおいて、共振回路63で発生した磁束(電波)を受ける。そして、前記ステップ150で説明したと同様な動作でタブレット1で受信信号(a)、(b)が得られる。
【0398】
即ち、ループコイルXから共振回路63の傾斜検出コイル27に電波を送信し、該コイル27から返される電波をループコイルXが受ける。
【0399】
この部分スキャン動作が、送信モード及び受信モードでループコイルX、X、X、X、X、X10、X11、X12及びX13を順次選択して行われる。
【0400】
CPU10は、タブレット1で得られたそれら信号の中から、第1最大値(Vx1p)及びその前後の値(Vx1a、Vx1b)と、第2最大値(Vx2p)及びその前後の値(Vx2a、Vx2b)とを抽出する(図33の(b))。これらの値の抽出方法は、第1実施例と同様である。
【0401】
ここでは、X軸ループコイルの部分スキャンにおいてループコイルXの受信モードで第1最大値電圧Vx1p=0.79Vを得、その前後のループコイルX、Xの受信モードで電圧Vx1a=0.51V、Vx1b=0.58をそれぞれ得、そして、ループコイルX10の受信モードで第2最大値電圧Vx2p=1.18Vを得、その前後のループコイルX、X11の受信モードで電圧Vx2a=0.45V、Vx2b=1.15Vをそれぞれ得る。即ち、ループコイルX、X、Xから電圧Vx1a、Vx1p、Vx1b(0.51V、0.79V、0.58V)を得、ループコイルX、X10、X11から電圧Vx2a、Vx2p、Vx2b(0.45V、1.18V、1.15V)を得る。
【0402】
X軸ループコイルの部分スキャンが終了すると、CPU10は続いてY軸ループコイルの部分スキャンを続いて開始する。
【0403】
CPU10は、タブレット1からの送信のためのループコイルとして、まず、ループコイルYから送信電波(イ)を位置指示器120に送出する。この送信電波(イ)により位置指示器120の傾斜検出コイル27及びコンデンサ34で構成される共振回路63が励振され誘導電圧(ワ)が発生し、磁性体コア122の前記1組の側面から交流磁界が発生され、磁性体コア122の該1組の側面から前記タブレット1に電波が送出される。CPU10は送信モード時間を経過すると、送受切替回路3を受信端子R側に切替える。このループコイルYの受信モードにおいて、前記ステップ150で説明したと同様な動作でタブレット1で受信信号(a)、(b)が得られる。
【0404】
この部分スキャン動作が、送信モード及び受信モードで、上述のX軸ループコイルの部分スキャンと同様に、ループコイルY、Y、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15及びY16を順次選択して行われる。
【0405】
CPU10は、タブレット1で得られた信号の中から、第1最大値(Vx1p’)及びその前後の値(Vx1a’、Vx1b’)と、第2最大値(Vx2p’)及びその前後の値(Vx2a’、Vx2b’)とを抽出する(図33)。これらの値の抽出方法は、第1実施例と同様である。以下、タブレット1のY軸ループコイルから得られる信号に関する記号には「’」を付す。
【0406】
ここでは、ループコイルY10の受信モードで第1最大値電圧Vx1p’=0.25Vを得、その前後のループコイルY、Y11の受信モードで電圧Vx1a’=0.17V、Vx1b’=0.14Vをそれぞれ得、そして、ループコイルY14の受信モードで第2最大値電圧Vy2p’=0.37Vを得、その前後のループコイルY13、Y15の受信モードで電圧Vx2a’=0.15V、Vx2b’=0.35Vをそれぞれ得る。即ち、ループコイルY、Y10、Y11で電圧Vx1a’、Vx1p’、Vx1b’(0.17V、0.25V、0.14V)を得、ループコイルY13、Y14、Y15で電圧Vx2a’、Vx2p’、Vx2b’(0.15V、0.37V、0.35V)を得る。
【0407】
次に、CPU10は、待ち時間800μsを実行する。この待ち時間の間に、単安定マルチバイブレータ49の上記の4400μsのオン期間が終了し、単安定マルチバイブレータ49がオフになり、信号(リ)及び(ヲ)が“L”となる。即ち、スイッチ56、57、90が開かれ、それによって、共振回路63及び64が共振不可能な状態となり、共振回路32が共振可能な状態となる。
【0408】
CPU10は、傾斜角θxを求めるために、X軸ループコイルから出力された値の組を用いるか又はY軸ループコイルから出力された値の組を用いるかを決定する。CPU10は、X軸及びY軸ループコイルから得られた第1及び第2最大値(Vx1p、Vx2p、Vx1p’、Vx2p’)を比較して一番大きいものを選択し、その値を含む出力値の組を用いる。
【0409】
上記のデータではVx2p(1.18V)が最大であるので、X軸ループコイルの出力値を用いて傾斜角θxを前記(17)式から求める。タブレット1が第1実施例のものと同じであり、共振回路63及び64も第1実施例のものと同じであり、且つ、第3実施例のコア122は、第1実施例のコア22とコア23とを合わせたものと寸法上及び機能上同じであるので、傾斜角とピーク値の比率との関係は、第1実施例における関係と同じとなる。
【0410】
傾斜角を計算するために、まず、VxとVxとを求める。前記(11)式から、Vx1=0.79V、Vx2=1.26Vと求められる。
【0411】
第3実施例の装置は、Z軸からの傾斜角のみを絶対値で表すのようにするため、傾斜角θx及びθyが正の値か負の値かについて考慮しない。従って、例えば、θx=+20°であってもθx=−20°であっても、計算される傾斜角θzは同じとなる。従って、第1ピーク値と第2ピーク値との比率を計算する場合に、常に、大きい方の値をV2とし且つ小さい方の値をV1として計算する。こうすれば、(17)式から常に正の値が計算される。
【0412】
即ち、VxとVxとのうちの大きい方をV2とし且つ小さい方をV1として傾斜角θxを計算すると、[Vx/Vx=1.6]となり、(17)式から、傾斜角θx=20°と計算される。
【0413】
3.3.2 傾斜角θyを求める
次に、CPUは傾斜角θyを求めるステップを開始する。
【0414】
CPU10は、傾斜検出コイル28及びコンデンサ35で構成される共振回路64を共振状態とする“10”モード設定動作を開始する(ステップ159)。
【0415】
即ち、CPU10は、コイル24を短絡、共振回路63を開路、共振回路64を閉路の状態とする“10”モード設定動作を開始する。即ち、コイル24を閉路として共振回路32が共振しない状態にし、共振回路63を共振しない状態にし、共振回路64を共振可能な状態にする。
【0416】
即ち、CPU10はスイッチ90を閉路、スイッチ56を開路、かつスイッチ57を閉路の状態にする為の“10”モード信号を位置指示器120に送信し、“10”モード設定ステップを実行する(ステップ159)。
【0417】
図34は傾斜角θyを求めるときの、図1及び図27に×印で示した点の出力を示す波形図である。
【0418】
CPU10は送信時間T=200μs、受信時間R=200μs、送信時間T=100μs、受信時間R=100μs、送信時間T=600μs、受信時間R=600μsの送受信を位置指示器120とタブレット1間で行わせる(ステップ159、図34の区間III)。この“10”モード設定ステップにおけるタブレット1から送られる処理及び位置指示器120における該信号の処理は、基本的に、第一実施例の“10”モード設定ステップと同じである。
【0419】
CPU10は選択回路2でループコイルXを選択し、送受切替回路3を送信端子T側に切替えて、T=200μsの間送信電波(イ)を位置指示器120に送信する。これにより、共振回路32に誘導電圧(ロ)が発生する。これにより、第3の経路62から出力(ハ)が出力され、この出力(ハ)の立ち下がりで、シリアルパラレル変換回路46内において(ヘ)の出力を(ト)の出力とするようにシフトし、第2の経路61の出力(ニ)をシリアルパラレル変換回路46に(ヘ)の出力として取り込む。出力(ハ)のこの立ち下がりの時の出力(ヘ)のレベルは“L”であり、出力(ニ)のレベルは“H”である。従って、デコーダ47の出力(ト)及び(ヘ)はこの時点では“0”“1”となる。
【0420】
次に、CPU10はT=100μsの送信をタブレット1から位置指示器120に行わせる。これにより、共振回路32に誘導電圧(ロ)が発生する。この送信時間T=100μsの送信動作により、第3の経路62および第2の経路61から順に出力(ハ)、出力(ニ)が出力され、この出力(ハ)の立ち下がりで、シリアルパラレル変換回路46内において(ヘ)の出力を(ト)の出力とするようにシフトし、第2の経路61の出力(ニ)を(ヘ)の出力として取り込む。出力(ハ)のこの立ち下がりの時の出力(ヘ)のレベルは“H”であり、出力(ニ)のレベルは“L”である。従って、この時点で、デコーダ47への出力(ト)および(ヘ)は“1”“0”となる。
【0421】
次いで、CPU10はこの“10”データをスイッチ制御信号に変換させるために、送信時間T=600μsの間、送信電波(イ)を位置指示器120に送信する。
【0422】
送信電波(イ)が600μs継続されると、第3の経路62、第2の経路61、第1の経路60の順で出力(ハ)、(ニ)、(ホ)を図示の如く発生する。出力(ホ)の立ち上がりでシリアルパラレル変換回路46の出力“10”がデコーダ47に取り込まれる。
【0423】
続いて、CPU10は受信時間R=600μsの受信モードを実行する。
【0424】
これにより、誘導電圧(ロ)は減衰し、出力(ハ)(ニ)(ホ)も“L”レベルとなる。出力(ホ)の立ち下がりでシリアルパラレル変換回路46はリセットされ、かつデコーダ47に取り込まれた“10”を表すデータがラッチ回路48に取り込まれる。この“10”を表すデータによって、ラッチ回路48の出力Qが“H”になり、他の出力は“L”となる。
【0425】
出力Qが“H”レベルとなると、この信号を受信した単安定マルチバイブレータ50は4400μsの間オンになり、“H”レベルの信号を伝える。出力Qは“L”レベルであるので、単安定マルチバイブレータ49はオフのままでいる。
【0426】
これにより、スイッチ56、57、90の制御信号(リ)(ル)(ヲ)のうち、出力(リ)が“L”レベルとなり、他の出力(ル)、(ヲ)は“H”レベルとなり、スイッチ57、90は閉路となり、スイッチ56が開路となる。ここで、“10”モード設定が終了する(ステップ159)。
【0427】
CPU10は位置指示器120が“10”モードとなると、Y方向の傾斜角θyを求めるためのタブレット1の受信電圧を検出するための部分スキャンに移行する(ステップ160)。
【0428】
この部分スキャンでもまた、上記の位置指示器120の中心位置を求めるための部分スキャンにおいて見つけられ且つ記憶されたループコイル(X及びY12)及びそれらのそれぞれの前後合わせて9つ(前方の4つと後方の4つ)のループコイルをスキャンする。この時には、傾斜検出コイル28及びコンデンサ35で構成される共振回路64が、選択されたX軸ループコイル及びY軸ループコイルからの電波を受け且つその電波に応答して電波を送り返す。
【0429】
まず、傾斜角θxを求めるための前記部分スキャンと同様に、ループコイルXとその前後合わせて9つのループコイルをスキャンする。
【0430】
CPU10は、まず、タブレット1からの送信のためのループコイルとしてループコイルXを選択回路2に選択させ、送受切替回路3を送信側端子Tに接続する。この状態で、ループコイルXは送信電波(イ)を位置指示器120に送出する。この送信電波(イ)により位置指示器120の共振回路64が励振され誘導電圧(カ)が発生される。
【0431】
即ち、前記誘導電圧により磁性体コア122の他の1組の側面(傾斜角θxを求めるための前記部分スキャンのときに電波を出力した側面の組と直交する側面の組)、即ち、傾斜検出コイル28の囲む範囲から交流磁界が発生され、磁性体コア122の該他の1組の側面から前記タブレット1に電波が送出される。
【0432】
CPU10は送信モード時間を経過すると、CPU10は送受切替回路3を受信端子R側に切替える。ループコイルXのこの受信モードにおいて、前記ステップ150で説明したと同様な動作でタブレット1で受信信号(a)、(b)が得られる。
【0433】
即ち、この過程では、ループコイルXから共振回路64に電波を送信し、該共振回路64から返される電波をループコイルXが受ける。
【0434】
この部分スキャン動作が、送信モード及び受信モードでループコイルX、X、X、X、X、X10、X11、X12及びX13を順次選択して行われる。
【0435】
CPU10は、タブレット1で得られたそれら信号の中から、第1最大値(Vy1p)及びその前後の値(Vy1a、Vy1b)と、第2最大値(Vy2p)及びその前後の値(Vy2a、Vy2b)とを抽出する(図34)。これらの値の抽出方法は、第一実施例と同様である。
【0436】
ここでは、X軸ループコイルの部分スキャンではループコイルXの受信モードで第1最大値電圧Vy1p=0.92Vを得、その前後のループコイルX、Xの受信モードで電圧Vy1a=0.67V、Vy1b=0.60をそれぞれ得、そして、ループコイルX12の受信モードで第2最大値電圧Vy2p=0.44Vを得、その前後のループコイルX11、X13の受信モードで電圧Vy2a=0.16V、Vy2b=0.40Vをそれぞれ得る。即ち、ループコイルX、X、Xから電圧Vy1a、Vy1p、Vy1b(0.67V、0.92V、0.60V)を得、ループコイルX11、X12、X13から電圧Vy2a、Vy2p、Vy2b(0.16V、0.44V、0.40V)を得る。
【0437】
X軸ループコイルの部分スキャンが終了すると、CPU10はY軸ループコイルの部分スキャンを続いて開始する。
【0438】
CPUは、タブレット1からの送信のためのループコイルとして、まず、ループコイルYから送信電波(イ)を位置指示器120に送出する。この送信電波(イ)により位置指示器120の共振回路64が励振され誘導電圧(カ)が発生し、磁性体コア122の前記他の1組の側面から交流磁界が発生され、磁性体コア122の該他の1組の側面から前記タブレット1に電波が送出される。CPU10は送信モード時間を経過すると、送受切替回路3を受信端子R側に切替える。ループコイルYのこの受信モードにおいて、前記ステップ150で説明したと同様な動作でタブレット1で受信信号(a)、(b)が得られる。
【0439】
この部分スキャン動作が、送信モード及び受信モードで、上述のX軸ループコイルの部分スキャンと同様に、ループコイルY、Y、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15及びY16を順次選択して行われる。
【0440】
Y軸方向の部分スキャンではループコイルY10の受信モードで第1最大値電圧Vy1p’=0.57Vを得、その前後のループコイルY、Y11の受信モードで電圧Vy1a’=0.41V、Vy1b’=0.40Vをそれぞれ得、そして、ループコイルY14の受信モードで第2最大値電圧Vy2p’=1.09Vを得、その前後のループコイルY13、Y15の受信モードで電圧Vy2a’=0.51V、Vy2b’=1.04Vをそれぞれ得る。即ち、ループコイルY、Y10、Y11から電圧Vy1a’、Vy1p’、Vy1b’(0.41V、0.57V、0.40V)を得、ループコイルY13、Y14、Y15から電圧Vy2a’、Vy2p’、Vy2b’(0.51V、1.09V、1.04V)を得る。
【0441】
次に、CPU10は、待ち時間800μsを実行する。この待ち時間の間に、単安定マルチバイブレータ50の上記の4400μsのオン期間が終了し、単安定マルチバイブレータ50がオフになり、信号(ル)及び(ヲ)が“L”となる。即ち、スイッチ56、57、90が開かれ、それによって、共振回路63及び64が共振不可能な状態となり、共振回路32が共振可能な状態となる。
【0442】
CPU10は、傾斜角θyを求めるために、X軸ループコイルから出力された値の組を用いるか又はY軸ループコイルから出力された値の組を用いるかを決定する。前述のようにX軸及びY軸ループコイルからの第1及び第2最大値(Vy1p、Vy2p、Vy1p’、Vy2p’)を比較して一番大きいものを選択し、その値を含む出力値の組を用いる。
【0443】
上記のデータではVy2p’(1.09V)が最大であるので、Y軸ループコイルの出力値を用いて傾斜角θyを(17)式から求める。
【0444】
まず、VyとVyとを求める。前記(11)式から、Vy1=0.57V、Vy2=1.14Vと求められる。
【0445】
そして、上記と同様に、常にVyとVyとのうちの大きい方をV2とし且つ小さい方をV1として傾斜角θyを計算する。[Vy/Vy=2.0]であるので、(17)式から、傾斜角θy=30°と計算される。
【0446】
3.3.3 傾斜角θzを求める
CPU10は、次に(24)式を用いて傾斜角θzを計算する。θx=20°且つθy=30°であるので、[θz=cos-1(cos 20°・cos 30°)=36°]と計算される。
【0447】
4. θr、θx、θyが別の値である場合の第三実施例の動作
次に、第三実施例の動作の別の例、即ち、第2の場合について説明する。図30及び図31と、図32、図35及び図36とは、第2の場合における動作の流れに対応する。
【0448】
第2の場合は、第1の場合と同様に、位置指示器120の位置がループコイルXとループコイルY12とが交差する範囲にあるが、回転角θrが60°であり、傾斜角θx=20°、θy=30°であり、傾斜角θzは第1の場合と同じく36°である場合である。
【0449】
全ての動作ステップ(ステップ150〜162)は、基本的に、第1の場合についての動作と同じである。
【0450】
しかし、例えば、傾斜角θxを求めるための部分スキャンにおいて、第1の場合は回転角が30°であったので、共振回路63から電波が送り返されたときに、X軸ループコイルの方がより強い電波を受信したが、第2の場合には、回転角が60°であるため、共振回路63から電波が送り返されたときに、Y軸ループコイルの方がより強い電波を受信する。これは、第一実施例で説明したように、或る範囲の回転角では、1つの傾斜検出コイルから電波が送り返されるときに、X軸ループコイル又はY軸ループコイルの何れか一方のループコイルの方がより強い電波を受信し、その他の回転角では、他方のループコイルの方がより強い電波を受信するからである。第三実施例においても第一実施例と同様に、回転角の範囲は、+45°、−45°、+135°及び−135°を境界とする4つの範囲(ゾーン)に分けられ得る。ただし、第三実施例の装置は回転角を求めないので、X軸ループコイルの出力とY軸ループコイルの出力とを比較して、何れのループコイルの出力を用いるかを決定する。
【0451】
傾斜角θxを求めるステップにおける、X軸ループコイルの部分スキャンでは(図35)、ループコイルXの受信モードで第1最大値電圧Vx1p=0.44Vを得、その前後のループコイルX、Xの受信モードで電圧Vx1a=0.40V、Vx1b=0.16をそれぞれ得、そして、ループコイルX10の受信モードで第2最大値電圧Vx2p=0.75Vを得、その前後のループコイルX、X11の受信モードで電圧Vx2a=0.35V、Vx2b=0.36Vをそれぞれ得る。即ち、ループコイルX、X、Xから電圧Vx1a、Vx1p、Vx1b(0.40V、0.44V、0.16V)を得、ループコイルX、X10、X11から電圧Vx2a、Vx2p、Vx2b(0.35V、0.75V、0.36V)を得る。
【0452】
傾斜角θxを求めるステップにおける、Y軸ループコイルの部分スキャンでは、ループコイルY10の受信モードで第1最大値電圧Vx1p’=0.57Vを得、その前後のループコイルY、Y11の受信モードで電圧Vx1a’=0.40V、Vx1b’=0.46Vをそれぞれ得、そして、ループコイルY15の受信モードで第2最大値電圧Vx2p’=0.91Vを得、その前後のループコイルY14、Y16の受信モードで電圧Vx2a’=0.73V、Vx2b’=0.61Vをそれぞれ得る。即ち、ループコイルY、Y10、Y11から電圧Vx1a’、Vx1p’、Vx1b’(0.40V、0.57V、0.46V)を得、ループコイルY14、Y15、Y16から電圧Vx2a’、Vx2p’、Vx2b’(0.73V、0.91V、0.61V)を得る。
【0453】
CPU10は、傾斜角θxを求めるために、Xループコイルから出力された値の組を用いるか又はYループコイルから出力された値の組を用いるかを決定する。上記のデータではVx2p’(0.91V)が最大であるので、Y軸ループコイルの出力値を用いて傾斜角θxを前記(17)式から求める。
【0454】
傾斜角を計算するために、まず、VxとVxとを求める。前記(11)式から、Vx=0.57V、Vx=0.91Vと求められる。
【0455】
上記の様に、Vx1とVx2とのうちの大きい方をV2とし且つ小さい方をV1とすると、[Vx/Vx=1.6]となり、(17)式から、傾斜角θx=20°と計算される。
【0456】
傾斜角θyを求めるステップにおける、X軸ループコイルの部分スキャンでは、ループコイルXの受信モードで第1最大値電圧Vy1p=1.26Vを得、その前後のループコイルX、Xの受信モードで電圧Vy1a=1.19V、Vy1b=0.53をそれぞれ得、そして、ループコイルX12の受信モードで第2最大値電圧Vy2p=0.66Vを得、その前後のループコイルX11、X13の受信モードで電圧Vy2a=0.56V、Vy2b=0.43Vをそれぞれ得る。即ち、ループコイルX、X、Xから電圧Vy1a、Vy1p、Vy1b(1.19V、1.26V、0.53V)を得、ループコイルX11、X12、X13から電圧Vy2a、Vy2p、Vy2b(0.56V、0.66V、0.43V)を得る。
【0457】
傾斜角θyを求めるステップにおける、Y軸方向の部分スキャンではループコイルYの受信モードで第1最大値電圧Vy1p’=0.29Vを得、その前後のループコイルY、Y10の受信モードで電圧Vy1a’=0.17V、Vy1b’=0.21Vをそれぞれ得、そして、ループコイルY14の受信モードで第2最大値電圧Vy2p’=0.58Vを得、その前後のループコイルY13、Y15の受信モードで電圧Vy2a’=0.50V、Vy2b’=0.37Vをそれぞれ得る。即ち、ループコイルY、Y、Y10から電圧Vy1a’、Vy1p’、Vy1b’(0.17V、0.29V、0.21V)を得、ループコイルY13、Y14、Y15から電圧Vy2a’、Vy2p’、Vy2b’(0.50V、0.58V、0.37V)を得る。
【0458】
CPU10は、傾斜角θyを求めるために、Xループコイルから出力された値の組を用いるか又はYループコイルから出力された値の組を用いるかを決定する。
【0459】
上記のデータではVy1p(1.26V)が最大であるので、X軸ループコイルの出力値を用いて傾斜角θyを前記(17)式から求める。
【0460】
まず、VyとVyとを求める。前記(11)式から、Vy=1.33V、Vy=0.67Vと求められる。
【0461】
そして、上記と同様に、VyとVyとのうちの大きい方をV2とし且つ小さい方をV1とすると[Vy/Vy=2.0]となり、(17)式から、傾斜角θy=30°と計算される。
【0462】
CPU10は、次に(24)式を用いて傾斜角θzを計算する。θx=20°且つθy=30°であるので、[θz=cos-1(cos 20°・cos 30°)=36°]と計算される。
【0463】
次に、更に別の例を参考として示す。位置指示器120の位置がループコイルXとループコイルY12とが交差する範囲にあり、θr=20°、θx=10°、θy=40°であり、傾斜角θzは41°である場合である。
【0464】
この場合には、傾斜角θxを求めるステップにおけるX軸ループコイルの部分スキャンにおいて、ループコイルX、X、Xから電圧Vx1a、Vx1p、Vx1b(0.78V、0.84V、0.22V)を得、ループコイルX10、X11、X12から電圧Vx2a、Vx2p、Vx2b(0.77V、1.17V、0.73V)を得る。そして、Y軸ループコイルの部分スキャンにおいて、ループコイルY、Y10、Y11から電圧Vx1a’、Vx1p’、Vx1b’(0.14V、0.27V、0.14V)を得、ループコイルY13、Y14、Y15から電圧Vx2a’、Vx2p’、Vx2b’(0.15V、0.33V、0.31V)を得る。
【0465】
上記のデータではVx2p(1.17V)が最大であるので、X軸ループコイルの出力値を用いて傾斜角θxを前記(17)式から求める。
【0466】
VxとVxとは前記(11)式から、Vx=0.90V、Vx=1.17Vと求められる。
【0467】
上記の様に、VxとVxとのうちの大きい方をV2とし且つ小さい方をV1とすると、[Vx/Vx=1.3]となり、(17)式から、傾斜角θx=10°と計算される。
【0468】
また、傾斜角θyを求めるステップにおけるX軸ループコイルの部分スキャンにおいて、ループコイルX、X、X10から電圧Vy1a、Vy1p、Vy1b(0.48V、0.86V、0.73V)を得、ループコイルX12、X13、X14から電圧Vy2a、Vy2p、Vy2b(0.20V、0.35V、0.22V)を得る。そして、Y軸ループコイルの部分スキャンにおいて、ループコイルY、Y、Y10から電圧Vy1a’、Vy1p’、Vy1b’(0.31V、0.54V、0.50V)を得、ループコイルY13、Y14、Y15から電圧Vy2a’、Vy2p’、Vy2b’(0.97V、1.40V、1.02V)を得る。
【0469】
上記のデータではVy2p’(1.40V)が最大であるので、Y軸ループコイルの出力値を用いて傾斜角θyを前記(17)式から求める。
【0470】
VyとVyは前記(11)式から、Vy=0.56V、Vy=1.40Vと求められる。
【0471】
上記と同様に、VyとVyとのうちの大きい方をV2とし且つ小さい方をV1とすと[Vy/Vy=2.5]となり、(17)式から、傾斜角θy=40°と計算される。
【0472】
CPU10は、次に(24)式を用いて傾斜角θzを計算する。θx=10°且つθy=40°であるので、[θz=cos-1(cos 10°・cos 40°)=41°]と計算される。
【0473】
次に、更に別の例を参考として示す。位置指示器120の位置がループコイルXとループコイルY12とが交差する範囲にあり、回転角θrが70°であり、傾斜角θx=−20°、θy=−30°であるものとする。即ち、位置指示器120の座標系におけるX軸の負の方向に20°且つY軸の負の方向に30°傾斜しているものとする。しかし、上記で説明した通り、第三実施例の装置はθx及びθyの値が正か負かを考慮しない。この装置では、傾斜角θzが常に正の値となるようにする。従って、この場合もまた第1の場合と同じく、傾斜角θzは36°である。
【0474】
この場合には、傾斜角θxを求めるステップにおけるX軸ループコイルの部分スキャンにおいて、ループコイルX、X、Xから電圧Vx1a、Vx1p、Vx1b(0.32V、0.66V、0.31V)を得、ループコイルX、X10、X11から電圧Vx2a、Vx2p、Vx2b(0.14V、0.39V、0.36V)を得る。そして、Y軸ループコイルの部分スキャンにおいて、ループコイルY、Y10、Y11から電圧Vx1a’、Vx1p’、Vx1b’(1.11V、1.15V、0.55V)を得、ループコイルY13、Y14、Y15から電圧Vx2a’、Vx2p’、Vx2b’(0.47V、0.76V、0.48V)を得る。
【0475】
上記のデータではVx1p’(1.15V)が最大であるので、Y軸ループコイルの出力値を用いて傾斜角θxを前記(17)式から求める。
【0476】
VxとVxとは前記(11)式から、Vx=1.21V、Vx=0.76Vと求められる。
【0477】
上記と同様に、VxとVxとのうちの大きい方をV2とし且つ小さい方をV1とすると[Vx/Vx=1.6]となり、(17)式から、傾斜角θx=20°と計算される。
【0478】
また、傾斜角θyを求めるステップにおけるX軸ループコイルの部分スキャンにおいて、ループコイルX、X、Xから電圧Vy1a、Vy1p、Vy1b(0.46V、0.70V、0.59V)を得、ループコイルX11、X12、X13から電圧Vy2a、Vy2p、Vy2b(0.57V、1.34V、1.27V)を得る。そして、Y軸ループコイルの部分スキャンにおいて、ループコイルY、Y、Y10から電圧Vy1a’、Vy1p’、Vy1b’(0.33V、0.51V、0.44V)を得、ループコイルY13、Y14、Y15から電圧Vy2a’、Vy2p’、Vy2b’(0.18V、0.26V、0.15V)を得る。
【0479】
上記のデータではVy2p(1.34V)が最大であるので、X軸ループコイルの出力値を用いて傾斜角θyを前記(17)式から求める。
【0480】
VyとVyとを求める。前記(11)式から、Vy=0.71V、Vy=1.41Vと求められる。
【0481】
上記と同様に、VyとVyとのうちの大きい方をV2とし且つ小さい方をV1とすると[Vy/Vy=2.0]となり、(17)式から、傾斜角θy=30°と計算される。
【0482】
CPU10は、次に(24)式を用いて傾斜角θzを計算する。θx=20°且つθy=30°であるので[θz=cos-1(cos 20°・cos 30°)=36°]と計算される。
【0483】
5. 変更可能な個所の例
なお、第三実施例の位置指示器120の電源回路36の充電は任意の適切な方法で行うとよい。例えば、装置の始動時に適当な充電期間を設け、その後は不足分について送信コイル24で発生した誘導電圧の一部を随時取り込むようにしてもよく、また、各モード設定期間において又は各モードの動作の前や後に充電期間を設けて充電するようにしてもよく、また、上記の方法の組み合わせとしてもよい。
【0484】
また、傾斜検出コイル27または28が動作状態にあるとき、共振回路32が磁界を発生しないように、共振回路32に制御コイル24を開放とする手段を設け、送信コイル24を開放とするようにしてもよい。
【0485】
また、前記実施例のいずれの場合にも、ステップ155〜156では送信モードにループコイルXを選択回路2で選択する場合を示したが、X軸ループコイルとY軸ループコイルとは交差しており、位置指示器は、ループコイルXとループコイルY12との交差する範囲内に位置しているので、X軸方向の部分スキャンの送信モードでループコイルY12を選択し、Y軸方向の部分スキャンの送信モードでループコイルXを選択してもよい。また、ステップ157及びステップ159のモード設定期間においてループコイルXを選択回路2で選択する場合を示したが、ループコイルY12を選択してもよい。
【0486】
また、この実施例では、ピーク値の比率と傾斜角との関係を数式で表し、その数式から傾斜角を求めるようにしたが、ピーク値の各比率とそれに対応する傾斜角とを記述するテーブルを記憶し、そのテーブルから傾斜角を求めるようにしてもよい。
【0487】
また、上記の実施例では、何れのループコイルから出力される値の組を、傾斜角を求めるためのデータとして用いるかを決定するために、X軸及びY軸ループコイルから出力される第1最大値と第2最大値とを比較した。しかし、別の方法として、まず、X軸及びY軸ループコイルから出力される値を基にしてそれぞれの第1ピーク値及び第2ピーク値を求め、それらピーク値を比較して、最大のピーク値と該ピーク値と対のピーク値とを用いて傾斜角を求めるようにしてもよい。
【0488】
また、傾斜角を計算するためにV2及びV1に対応する値を決定するときに、常に、第1ピーク値をV1とし且つ第2ピーク値をV2とする(又はその反対とする)ようにし、前記(17)式から計算された値を絶対値で表すようにしてもよい。
【0489】
また、上記の実施例では、傾斜角θx及び傾斜角θyを求めるための何れの部分スキャンにおいても、X軸及びY軸ループコイルの両方をスキャンしたが、別の方法として、傾斜角θyを求めるための部分スキャンにおいて、傾斜角θxを求めるための部分スキャンにおいて最大の値を出力したループコイルと別の方のループコイルのみをスキャンするようにしてもよい。(例えば、傾斜角θxを求めるための部分スキャンにおいて最大の値を出力したループコイルがX軸ループコイルである場合には、傾斜角θyを求めるための部分スキャンにおいてはY軸ループコイルのみをスキャンする。)傾斜角θyを求めるステップにおいて一方のループコイルをスキャンする必要がなくなると、θxを求める過程で行った第1及び第2最大値を比較するステップも省略される。
【0490】
IV. 第四実施例
第四実施例は、第三実施例の位置指示器主要部に更にコイルを設け、共振回路31の調整がより容易にできるようにしたものである。第三実施例の構成では、共振回路31に送信コイル24を短絡するためのスイッチ90を設けており、このスイッチ90の端子間容量が共振回路31の共振周波数に影響するため、共振回路31の調整が複雑になる。第四実施例の構成では、共振回路31の調整がより容易にできるようにするために、新たにコイル91を設け、それを短絡することによって送信コイル24を短絡したのと同じ状態を作り出す。
【0491】
第四実施例は、第三実施例と比較して、コイル24と同じ範囲を囲むように、磁性体コア122にコイル91が横に巻かれることを特徴とする。第四実施例では、位置指示器120の外観は図26に示すものと同じペンの形状であり、磁性体コア122、ペン先21、クリップ29の配置も第三実施例と同様であり、コイル24(送信コイル)、コイル27及び28(傾斜検出コイル)もまた、第三実施例と同様に巻かれる。
【0492】
図41は、第四実施例の要部回路構成図を示す。図41において、図27と同一の符号は図27と同一のものをそれぞれ表す。
【0493】
送信コイル24にコンデンサ31が接続され、共振回路32が構成される。
【0494】
傾斜検出コイル27にはコンデンサ34が接続され共振回路63が構成され、傾斜検出コイル28にはコンデンサ35が接続され共振回路64が構成される。
【0495】
送信コイル24が囲む範囲を囲むように巻かれたコイル91には、該コイル91を短絡するためのスイッチ92が設けられている。このコイル91は、共振回路63又は共振回路64が共振状態となったときに短絡され、共振回路63又は64の共振を妨害するような磁束がコイル24(共振回路32)から発生しないようにするためのものである。
【0496】
共振回路32は電源回路36、検波回路37、検波回路38、検波回路39にそれぞれ接続されている。該検波回路37と積分回路40とコンパレータ43及びそれらからなる第1の経路60、検波回路38と積分回路41とコンパレータ44及びそれらからなる第2の経路61、検波回路39と積分回路42とコンパレータ45及びそれらからなる第3の経路62の構成も、第三実施例と同様である。
【0497】
コンパレータ43からのシリアルパラレル変換回路46とデコーダ47とラッチ回路48への接続、コンパレータ44、45のそれぞれからのシリアルパラレル変換回路46への接続、シリアルパラレル変換回路46からデコーダ47への接続、及びデコーダ47からラッチ回路48への接続も、第三実施例と同様である。
【0498】
ラッチ回路48のQ出力は、単安定マルチバイブレータ49に接続される。単安定マルチバイブレータ49の出力は、共振回路63を閉路又は開路とするスイッチ56の開閉制御のためにスイッチ56に接続され、かつ、オア回路52の一方の入力に接続される。ラッチ回路48のQ出力は、単安定マルチバイブレータ50に接続される。単安定マルチバイブレータ50の出力は、共振回路64を閉路又は開路とするスイッチ57の開閉制御のために該スイッチ57に接続され、かつ、オア回路52の他方の入力に接続される。オア回路52の出力は、コイル91を閉路又は開路とするスイッチ92の開閉制御のために該スイッチ92に接続される。
【0499】
第三実施例の構成では、共振回路31に送信コイル24を短絡するためのスイッチ90を設けている。このスイッチ90の端子間容量が共振回路31の共振周波数に影響するため、共振回路31の調整が複雑になる。第四実施例の構成では、コイル91を短絡することによって送信コイル24を短絡したのと同じ状態を作り出すように構成しているので、共振回路31の調整がより容易にできる。
【0500】
次に、第四実施例の動作を説明する。第四実施例の全面スキャン動作は第三実施例と同じである。また、位置指示器120の指示する位置を求めるための部分スキャン動作を行うためのモード設定(“00”モード)、傾斜角θxを求めるための部分スキャン動作を行うためのモード設定(“01”モード)、及び傾斜角θyを求めるための部分スキャン動作を行うためのモード設定(“10”モード)をするための、タブレット1から位置指示器120送られる信号及びそれらの信号の処理は、第三実施例と同じであり、その結果としてラッチ回路48から出力される信号も、第三実施例と同じである。ここでは、第三実施例と異なる部分のみ説明する。
【0501】
第三実施例では、共振回路63を共振可能状態としたときに、及び、共振回路64を共振可能状態としたときに、それと同時に、送信コイル24を短絡することによって、送信コイル24に磁界が発生しないようにする。
【0502】
これに対して、第四実施例ではコイル91を短絡することによって、送信コイル24及びコンデンサ31で構成される共振回路32に磁界が発生しないようにする。
【0503】
以下に、ラッチ回路48以降の回路の動作を説明する。
【0504】
位置指示器120の指示する位置を求めるための部分スキャン動作を行うための“00”モード設定動作において、ラッチ回路48のQ、Q、Q、Q出力はH、L、L、Lとなる。しかし、Q出力は何れのコイルを制御するためにも用いられていないので、スイッチ92、56、57は開いた状態である。従って、コイル91は開路となり、共振回路63及び64もまた開路となり、送信コイル24とコンデンサ31とで構成される共振回路32のみが共振可能な状態となる。
【0505】
傾斜角θxを求めるための部分スキャン動作を行うための“01”モード設定動作において、ラッチ回路48のQ、Q、Q、Q出力はL、H、L、Lとなる。Q出力がHになると、単安定マルチバイブレータ49が4400μsの間オンになり、H信号を出力する。このH信号によってスイッチ56が閉じられ、傾斜検出コイル27とコンデンサ56とが接続され、共振回路63が共振可能となる。同時に、このH信号はオア回路52の一方の入力に入力される。このH信号を入力されたオア回路52はその出力部からH信号を出力し、スイッチ92を閉じる。これによってコイル91が短絡される。Q出力はLであるので、スイッチ57は開いた状態となるため、共振回路64は共振しない。
【0506】
傾斜角θyを求めるための部分スキャン動作を行うための“10”モード設定動作において、ラッチ回路48のQ、Q、Q、Q出力はL、L、H、Lとなる。Q出力がHになると、単安定マルチバイブレータ50が4400μsの間オンになり、H信号を出力する。このH信号によってスイッチ57が閉じられ、傾斜検出コイル28とコンデンサ57とが接続され、共振回路63が共振可能となる。同時に、このH信号はオア回路52の他方の入力に入力される。このH信号を入力されたオア回路52はその出力部からH信号を出力し、スイッチ92を閉じる。これによってコイル91が短絡される。Q出力はLであるので、スイッチ56は開いた状態となるため、共振回路63は共振しない。
【0507】
上記で説明していないその他の構成、信号及び動作はすべて第三実施例と同じである。
【0508】
【発明の効果】
本発明は、電磁誘導を利用した位置検出装置において、位置指示器が、該位置指示器をタブレットの検出面上で基準となる状態に配置したとき、前記検出面に対して垂直な面に平行に巻かれた、傾斜角を検出するためのコイルを備え、そして、タブレットが、前記位置指示器のコイルから送信される信号を受信して該信号の前記タブレット上での受信信号の分布を検出し、検出された値に基づいて、前記位置指示器の傾斜角を求める手段を備えるように構成した。
【0509】
従って、位置指示器の傾斜角を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第一実施例の位置検出装置としてのタブレット1の要部回路構成図を示す。
【図2】第一実施例の位置指示器の外観及び共振回路部分の説明図を示す。
【図3】本発明第一実施例の位置指示器の要部回路構成図を示す。
【図4】タブレットのCPU内に記憶された動作制御プログラムのフローチャートを示す。
【図5】図4に続く、前記CPU内に記憶された動作制御プログラムのフローチャートを示す。
【図6】X軸ループコイルの全面スキャン時の、図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。
【図7】Y軸ループコイルの全面スキャン時の、図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。
【図8】位置指示器の指示する位置の座標値を検出する時の、図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。
【図9】位置指示器の回転角を求めるための座標値を検出する時の、図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。
【図10】位置指示器の傾斜角θxを求める時の、図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。
【図11】位置指示器の傾斜角θyを求める時の、図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。
【図12】位置指示器の傾斜角θxを求める時の、図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。
【図13】位置指示器の傾斜角θyを求める時の、図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。
【図14】図6と図7との結合関係を示す図である。
【図15】図8、図9、図10及び図11の結合関係を示す図である。
【図16】図8、図9、図12及び図13の結合関係を示す図である。
【図17】X軸上に各コイルの中心位置、Y軸に受信信号強度を取ったものであり、3つの点(x,y)=(−d,Va)、(0,Vp)、(d,Vb)を基にして決定した近似2次曲線を示す。
【図18】座標値(X,Y)及び(X,Y)に基づいて回転角を求める原理を説明するための図である。
【図19】タブレットのループコイルと、位置指示器の傾斜検出コイルと、該位置指示器の傾斜検出コイルから出力される電波(磁束)とを示す。
【図20】図19の状態においてコイル15から各ループコイルが電波(磁束)を受信して、その結果として各ループコイルから出力される信号の強度と、該各ループコイルの中心位置との関係を示す。
【図21】図19に示すコイル15が或る角度だけ傾斜した状態を示す。
【図22】図21の状態において、各ループコイルがコイル15の磁界に影響された結果として各ループコイルから出力される信号と、各ループコイルの中心位置との関係を表す。
【図23】V1とV2の比率と、傾斜角との関係を示すグラフである。
【図24】回転角θrの範囲と、傾斜角及び傾斜方向と、第1ピークの大きさと、第2ピークの大きさと、ループコイルからの信号を受けて対応する信号を送り返す傾斜検出コイルと、傾斜検出コイルに信号を送り且つそこから送り返される信号を受信するループコイルとの関係を示す。
【図25】図25は、第二実施例の位置指示器の要部回路の別の構成を示す。
【図26】第三実施例の位置指示器の外観及び共振回路部分の説明図を示す。
【図27】第三実施例の位置指示器の要部回路構成図を示す。
【図28】タブレットのCPU内に記憶された動作制御プログラムのフローチャートを示す。
【図29】図28に続く、前記CPU内に記憶された動作制御プログラムのフローチャートを示す。
【図30】X軸ループコイルの全面スキャン時の、図1及び図27に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。
【図31】Y軸ループコイルの全面スキャン時の、図1及び図27に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。
【図32】位置指示器の指示する位置の座標値を検出する時の、図1及び図27に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。
【図33】位置指示器の傾斜角θxを求める時の、図1及び図27に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。
【図34】位置指示器の傾斜角θyを求める時の、図1及び図27に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。
【図35】位置指示器の傾斜角θxを求める時の、図1及び図27に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。
【図36】位置指示器の傾斜角θyを求める時の、図1及び図27に×印で示した点の出力を示す出力波形図である。
【図37】図37は、図30と図31との結合関係を示す図である。
【図38】図32、図33及び図34の結合関係を示す図である。
【図39】図32、図35及び図36の結合関係を示す図である。
【図40】XYZ座標系における傾斜角θx、θy及びθzの関係を表す。
【図41】第四実施例の位置指示器の要部の回路構成を示す。
【符号の説明】
1 タブレット
2 選択回路
3 送受切替回路
5 アンプ
6 検波回路
7 ローパスフィルタ
8 サンプルホールド回路
9 アナログ・デジタル変換回路
10 CPU
11 発信器
12 電流ドライバ
20、120 位置指示器
21 ペン先
22、23、122 磁性体コア
24 送信コイル
25、26、91 制御コイル
27、28 傾斜検出コイル
29 クリップ
30 ペンケース
32、63、64 共振回路
33 補償用コンデンサ
36 電源回路
37、38、39 検波回路
40、41、42 積分回路
43、44、45 コンパレータ
46 シリアルパラレル変換回路
47 デコーダ
48 ラッチ回路
49、50 単安定マルチバイブレータ
51、52 オア回路

Claims (10)

  1. ペン形状の位置指示器の位置指示部に磁性体コアに巻かれたコイルを設けてタブレットとの電磁誘導を利用して位置指示器の指示位置を検出する位置検出装置において、
    前記位置指示器に、
    並設した2個の磁性体コアと、
    前記位置指示器の長手方向に垂直な第1の方向を軸方向として前記2個の磁性体コアを囲んで巻かれた第一のコイルと第一のコンデンサとで構成され、前記タブレットから送信される電波によって共振され、傾斜検出用信号を前記第一のコイルより電波として発生する第一の共振回路と、
    前記第一のコイルと直交し、かつ前記位置指示器の長手方向に垂直な第2の方向を軸方向として前記2個の磁性体コアを囲んで巻かれた第二のコイルと第二のコンデンサとで構成され、前記タブレットから送信される電波によって共振され、傾斜検出用信号を前記第二のコイルより電波として発生する第二の共振回路と、
    前記位置指示器の長手方向を軸方向として前記2個の磁性体コアを囲んで巻かれた第三のコイルと第三のコンデンサとで構成され、前記タブレットから送信される電波によって共振され、位置検出用信号を前記第三のコイルより電波として発生する第三の共振回路と、
    前記位置指示器の長手方向を軸方向として前記2個の磁性体コアのうちの一方に巻かれ、前記第三のコイルが発生する電波を制御するための第四のコイルと、
    前記第一の共振回路の動作を制御する回路と、前記第二の共振回路の動作を制御する回路と、前記第三の共振回路の動作を制御する回路と、前記第四のコイルを開閉する回路及び前記第四のコイルの開閉に応じて前記第三の共振回路の共振周波数を調節する回路と、を含む制御回路と、
    を備え、
    前記タブレットに、
    第1の所定のタイミングで前記第一の共振回路を動作状態にし且つ前記第三の共振回路を非動作状態にするための第一の制御信号と、第2の所定のタイミングで前記第二の共振回路を動作状態にし且つ前記第三の共振回路を非動作状態するための第二の制御信号と、第3の所定のタイミングで前記第三の共振回路を動作状態にし且つ前記第一の共振回路及び前記第二の共振回路を非動作状態にし且つ前記第四のコイルを開くための第三の制御信号と、第4の所定のタイミングで前記第三の共振回路を動作状態にし且つ前記第一の共振回路及び前記第二の共振回路を非動作状態にし且つ前記第四のコイルを閉じるための第四の制御信号と、を前記位置指示器に送出する回路と、
    前記第一のコイルおよび前記第二のコイルから発生される傾斜検出用信号の、前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する検出回路と、
    前記傾斜検出用信号の前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する前記検出回路で検出された、前記第一のコイルからの傾斜検出用信号の信号強度分布に基づいて前記第1の方向に関しての前記位置指示器の傾斜角度を判別し、前記第二のコイルからの傾斜検出用信号の信号強度分布に基づいて前記第2の方向に関しての前記位置指示器の傾斜角度を判別する処理回路と、
    前記第四のコイルが開いた状態で前記第三のコイルから発生される、第1の位置検出用信号の、前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する検出回路と、
    前記第1の位置検出用信号の前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する前記検出回路で検出された、前記第1の位置検出用信号の信号強度分布に基づいて、前記タブレットの上面における前記位置指示器の指示する位置を判別する回路と、
    前記第四のコイルが閉じた状態で前記第三のコイルから発生される、第2の位置検出用信号の、前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する検出回路と、
    前記第2の位置検出用信号の前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する前記検出回路で検出された、前記第2の位置検出用信号の信号強度分布に基づいて、前記タブレットの上面における前記位置指示器の指示する回転角判別用の位置を判別する回路と、
    を備える、
    ことを特徴とする位置検出装置。
  2. ペン形状の位置指示器の位置指示部に磁性体コアに巻かれたコイルを設けてタブレットとの電磁誘導を利用して位置指示器の指示位置を検出する位置検出装置において、
    前記位置指示器に、
    並設した2個の磁性体コアと、
    前記位置指示器の長手方向に垂直な第1の方向を軸方向として前記2個の磁性体コアを囲んで巻かれた第一のコイルと第一のコンデンサとで構成され、前記タブレットから送信される電波によって共振され、傾斜検出用信号を前記第一のコイルより電波として発生する第一の共振回路と、
    前記第一のコイルと直交し、かつ前記位置指示器の長手方向に垂直な第2の方向を軸方向として前記2個の磁性体コアを囲んで巻かれた第二のコイルと第二のコンデンサとで構成され、前記タブレットから送信される電波によって共振され、傾斜検出用信号を前記第二のコイルより電波として発生する第二の共振回路と、
    前記位置指示器の長手方向を軸方向として前記2個の磁性体コアを囲んで巻かれた第三のコイルと第三のコンデンサとで構成され、前記タブレットから送信される電波によって共振され、位置検出用信号を前記第三のコイルより電波として発生する第三の共振回路と、
    前記位置指示器の長手方向を軸方向として前記2個の磁性体コアの一方に巻かれ、前記第三のコイルが発生する電波を制御するための第四のコイルと、
    前記位置指示器の長手方向を軸方向として前記2個の磁性体コアの他方に巻かれ、前記第三のコイルが発生する電波を制御するための第五のコイルと、
    前記第一の共振回路の動作を制御する回路と、前記第二の共振回路の動作を制御する回路と、前記第四のコイル及び前記第五のコイルの両方を開閉することによって前記第三の共振回路の動作を制御する回路と、前記第四のコイル又は前記第五のコイルのうちの所定の一方のコイルを開閉する回路と、前記所定の一方のコイルの開閉に応じて前記第三の共振回路の共振周波数を調節する回路と、を含む制御回路と、
    を備え、
    前記タブレットに、
    第1の所定のタイミングで前記第一の共振回路を動作状態にし且つ前記第四のコイル及び前記第五のコイルの両方を閉じることによって前記第三の共振回路を非動作状態にするための第一の制御信号と、第2の所定のタイミングで前記第二の共振回路を動作状態にし且つ前記第四のコイル及び前記第五のコイルの両方を閉じることによって前記第三の共振回路を非動作状態するための第二の制御信号と、第3の所定のタイミングで前記第四のコイル及び前記第五のコイルの両方を開くことによって前記第三の共振回路を動作状態にし且つ前記第一の共振回路及び前記第二の共振回路を非動作状態にするための第三の制御信号と、第4の所定のタイミングで前記第三の共振回路を動作状態にし且つ前記第四のコイル又は前記第五のコイルのうちの前記所定の一方のコイルを閉じ且つ他方のコイルを開き且つ前記第一の共振回路及び前記第二の共振回路を非動作状態にするための第四の制御信号と、を前記位置指示器に送出する回路と、
    前記第一のコイルおよび前記第二のコイルから発生される傾斜検出用信号の、前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する検出回路と、
    前記傾斜検出用信号の前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する前記検出回路で検出された、前記第一のコイルからの傾斜検出用信号の信号強度分布に基づいて前記第1の方向に関しての前記位置指示器の傾斜角度を判別し、前記第二のコイルからの傾斜検出用信号の信号強度分布に基づいて前記第2の方向に関しての前記位置指示器の傾斜角度を判別する処理回路と、
    前記第四のコイル及び前記第五のコイルの両方が開いた状態で前記第三のコイルから発生される、第1の位置検出用信号の、前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する検出回路と、
    前記第1の位置検出用信号の前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する前記検出回路で検出された、前記第1の位置検出用信号の信号強度分布に基づいて、前記タブレットの上面における前記位置指示器の指示する位置を判別する回路と、
    前記第四のコイル又は前記第五のコイルのうちの前記所定の一方のコイルが閉じ且つ他方のコイルが開いた状態で前記第三のコイルから発生される、第2の位置検出用信号の、前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する検出回路と、
    前記第2の位置検出用信号の前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する前記検出回路で検出された、前記第2の位置検出用信号の信号強度分布に基づいて、前記タブレットの上面における前記位置指示器の指示する回転角判別用の位置を判別する回路と、
    を備える、
    ことを特徴とする位置検出装置。
  3. 前記処理回路は、前記位置指示器の指示する位置と、前記位置指示器の指示する回転角判別用の位置とに基づいて、前記位置指示器の回転角を判別する回路と、前記第一のコイルからの前記傾斜検出用信号の前記信号強度分布から2つのピーク値を求め、前記回転角に基づいて該2つのピーク値の比率を求め、該比率を基にして前記第1の方向に関しての前記位置指示器の傾斜角度を判別し、かつ、前記第二のコイルからの前記傾斜検出用信号の前記信号強度分布から2つのピーク値を求め、前記回転角に基づいて該2つのピーク値の比率を求め、該比率を基にして前記第2の方向に関しての前記位置指示器の傾斜角度を判別する回路を備える、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置検出装置。
  4. ペン形状の位置指示器の位置指示部に磁性体コアに巻かれたコイルを設けてタブレットとの電磁誘導を利用して位置指示器の指示位置を検出する位置検出装置における、位置指示器であって、
    並設した2個の磁性体コアと、
    前記位置指示器の長手方向に垂直な方向を軸方向として前記2個の磁性体コアを囲んで巻かれた第一のコイルと第一のコンデンサとで構成され、前記タブレットから送信される電波によって共振され、傾斜検出用信号を前記第一のコイルより電波として発生する第一の共振回路と、
    前記第一のコイルと直交し、かつ前記位置指示器の長手方向に垂直な方向を軸方向として前記2個の磁性体コアを囲んで巻かれた第二のコイルと第二のコンデンサとで構成され、前記タブレットから送信される電波によって共振され、傾斜検出用信号を前記第二のコイルより電波として発生する第二の共振回路と、
    前記位置指示器の長手方向を軸方向として前記2個の磁性体コアを囲んで巻かれた第三のコイルと第三のコンデンサとで構成され、前記タブレットから送信される電波によって共振され、位置検出用信号を前記第三のコイルより電波として発生する第三の共振回路と、
    前記位置指示器の長手方向を軸方向として前記2個の磁性体コアのうちの一方に巻かれ、前記第三のコイルが発生する電波を制御するための第四のコイルと、
    前記タブレットから送信される第一の制御信号に応答して、第1の所定のタイミングで前記第一の共振回路を動作状態にし且つ前記第三の共振回路を非動作状態にし、前記タブレットから送信される第二の制御信号に応答して、第2の所定のタイミングで前記第二の共振回路を動作状態にし且つ前記第三の共振回路を非動作状態にし、前記タブレットから送信される第三の制御信号に応答して、第3の所定のタイミングで前記第三の共振回路を動作状態にし且つ前記第一の共振回路及び前記第二の共振回路を非動作状態にし且つ前記第四のコイルを開き、前記タブレットから送信される第四の制御信号に応答して、第4の所定のタイミングで前記第三の共振回路を動作状態にし且つ前記第一の共振回路及び前記第二の共振回路を非動作状態にし且つ前記第四のコイルを閉じるように制御する制御回路と、
    を備えることを特徴とする位置指示器。
  5. ペン形状の位置指示器の位置指示部に磁性体コアに巻かれたコイルを設けてタブレットとの電磁誘導を利用して位置指示器の指示位置を検出する位置検出装置における、位置指示器であって、
    並設した2個の磁性体コアと、
    前記位置指示器の長手方向に垂直な方向を軸方向として前記2個の磁性体コアを囲んで巻かれた第一のコイルと第一のコンデンサとで構成され、前記タブレットから送信される電波によって共振され、傾斜検出用信号を前記第一のコイルより電波として発生する第一の共振回路と、
    前記第一のコイルと直交し、かつ前記位置指示器の長手方向に垂直な方向を軸方向として前記2個の磁性体コアを囲んで巻かれた第二のコイルと第二のコンデンサとで構成され、前記タブレットから送信される電波によって共振され、傾斜検出用信号を前記第二のコイルより電波として発生する第二の共振回路と、
    前記位置指示器の長手方向を軸方向として前記2個の磁性体コアを囲んで巻かれた第三のコイルと第三のコンデンサとで構成され、前記タブレットから送信される電波によって共振され、位置検出用信号を前記第三のコイルより電波として発生する第三の共振回路と、
    前記位置指示器の長手方向を軸方向として前記2個の磁性体コアの一方に巻かれ、前記第三のコイルが発生する電波を制御するための第四のコイルと、
    前記位置指示器の長手方向を軸方向として前記2個の磁性体コアの他方に巻かれ、前記第三のコイルが発生する電波を制御するための第五のコイルと、
    前記タブレットから送信される第一の制御信号に応答して、第1の所定のタイミングで前記第一の共振回路を動作状態にし且つ前記第四のコイル及び前記第五のコイルの両方を閉じることによって前記第三の共振回路を非動作状態にし、前記タブレットから送信される第二の制御信号に応答して、第2の所定のタイミングで前記第二の共振回路を動作状態にし且つ前記第四のコイル及び前記第五のコイルの両方を閉じることによって前記第三の共振回路を非動作状態にし、前記タブレットから送信される第三の制御信号に応答して、第3の所定のタイミングで前記第一の共振回路及び前記第二の共振回路を非動作状態にし且つ前記第四のコイル及び前記第五のコイルの両方を開くことによって前記第三の共振回路を動作状態にし、前記タブレットから送信される第四の制御信号に応答して、第4の所定のタイミングで前記第一の共振回路及び前記第二の共振回路を非動作状態にし且つ前記第三の共振回路を動作状態にし且つ前記第四のコイル又は前記第五のコイルのうちの所定の一方のコイルを閉じ且つ他方のコイルを開くようにする制御回路と、を備える、
    ことを特徴とする位置指示器。
  6. 位置指示器にコイルを設けてタブレットとの電磁誘導を利用して位置指示器の座標位置を検出する位置検出装置において、
    前記位置指示器に、
    前記タブレット上で前記位置指示器を垂直に配した状態において前記タブレットに垂直な第1の面に対して平行に巻かれて固定された第一のコイルと第一のコンデンサとで構成され、動作状態にあるときに前記タブレットから送信される電波によって共振され、傾斜検出用信号を前記第一のコイルより電波として発生する第一の共振回路と、
    前記タブレット上で前記位置指示器を垂直に配した状態において前記第1の面と直交し且つ前記タブレットに垂直な第2の面に対して平行に巻かれて固定された第二のコイルと第二のコンデンサとで構成され、動作状態にあるときに前記タブレットから送信される電波によって共振され、傾斜検出用信号を前記第二のコイルより電波として発生する第二の共振回路と、
    前記タブレット上で前記位置指示器を垂直に配した状態において前記タブレットに垂直な軸方向を中心として巻かれて固定された第三のコイルと第三のコンデンサとで構成され、動作状態にあるときに前記タブレットから送信される電波によって共振され、第1の位置検出用信号を前記第三のコイルより電波として発生する第三の共振回路と、
    前記第三のコイルの内側で、前記第三のコイルにより発生される磁束の一部を囲むように巻かれて固定され、開かれたときに前記の囲んだ磁束の一部を通過させて、前記第三のコイルが前記第1の位置検出用信号を発生できるようにし、閉じられたときに前記の囲んだ磁束の一部を遮断し、前記第三のコイルが前記第1の位置検出用信号とは異なる第2の位置検出信号を発生できるように制御する第四のコイルと、
    前記タブレットからの制御信号に基づいて、前記第一の共振回路の動作を制御する回路と、前記第二の共振回路の動作を制御する回路と、前記第三の共振回路の動作を制御する回路と、前記第四のコイルを開閉する回路及び前記第四のコイルの開閉に応じて、前記第三の共振回路が前記タブレットから送信される前記電波により共振するように前記第三の共振回路の共振周波数を調節する回路とを含む制御回路と、
    を備え、
    前記タブレットに、
    第1の所定のタイミングで前記第一の共振回路を動作状態にし且つ前記第三の共振回路を非動作状態にするための第一の制御信号と、第2の所定のタイミングで前記第二の共振回路を動作状態にし且つ前記第三の共振回路を非動作状態するための第二の制御信号と、第3の所定のタイミングで前記第三の共振回路を動作状態にし且つ前記第一の共振回路及び前記第二の共振回路を非動作状態にし且つ前記第四のコイルを開くための第三の制御信号と、第4の所定のタイミングで前記第三の共振回路を動作状態にし且つ前記第一の共振回路及び前記第二の共振回路を非動作状態にし且つ前記第四のコイルを閉じるための第四の制御信号と、前記第一の共振回路が動作状態にあるときに前記第一の共振回路を共振させるための前記電波と、前記第二の共振回路が動作状態にあるときに前記第二の共振回路を共振させるための前記電波と、前記第三の共振回路が動作状態にあるときに前記第三の共振回路を共振させるための前記電波と、を前記位置指示器に送出する回路と、
    前記第一のコイルおよび前記第二のコイルから発生される傾斜検出用信号の、前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する検出回路と、
    前記傾斜検出用信号の前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する前記検出回路で検出された、前記第一のコイルからの傾斜検出用信号の信号強度分布に基づいて前記第1の方向に関しての前記位置指示器の傾斜角度を判別し、前記第二のコイルからの傾斜検出用信号の信号強度分布に基づいて前記第2の方向に関しての前記位置指示器の傾斜角度を判別する処理回路と、
    前記第四のコイルが開いた状態で前記第三のコイルから発生される、前記第1の位置検出用信号の、前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する検出回路と、
    前記第1の位置検出用信号の前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する前記検出回路で検出された、前記第1の位置検出用信号の信号強度分布に基づいて、前記タブレットの上面における前記位置指示器の指示する位置を判別する回路と、
    前記第四のコイルが閉じた状態で前記第三のコイルから発生される、前記第2の位置検出用信号の、前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する検出回路と、
    前記第2の位置検出用信号の前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する前記検出回路で検出された、前記第2の位置検出用信号の信号強度分布に基づいて、前記タブレットの上面における前記位置指示器の指示する回転角判別用の位置を判別する回路と、
    を備える、
    ことを特徴とする位置検出装置。
  7. 位置指示器にコイルを設けてタブレットとの電磁誘導を利用して位置指示器の座標位置を検出する位置検出装置において、
    前記位置指示器に、
    前記タブレット上で前記位置指示器を垂直に配した状態において前記タブレットに垂直な第1の面に対して平行に巻かれて固定された第一のコイルと第一のコンデンサとで構成され、動作状態にあるときに前記タブレットから送信される電波によって共振され、傾斜検出用信号を前記第一のコイルより電波として発生する第一の共振回路と、
    前記タブレット上で前記位置指示器を垂直に配した状態において前記第1の面と直交し且つ前記タブレットに垂直な第2の面に対して平行に巻かれて固定された第二のコイルと第二のコンデンサとで構成され、動作状態にあるときに前記タブレットから送信される電波によって共振され、傾斜検出用信号を前記第二のコイルより電波として発生する第二の共振回路と、
    前記タブレット上で前記位置指示器を垂直に配した状態において前記タブレットに垂直な軸方向を中心として巻かれて固定された第三のコイルと第三のコンデンサとで構成され、動作状態にあるときに前記タブレットから送信される電波によって共振され、第1の位置検出用信号を前記第三のコイルより電波として発生する第三の共振回路と、
    前記第三のコイルの内側で、前記第三のコイルにより発生される磁束の一部を囲むように巻かれて固定され、閉じられたときに前記の囲んだ磁束の一部を遮断し、開かれたときに前記の囲んだ磁束の一部を通過させるように制御する第四のコイルと、
    前記第三のコイルの内側で、前記第四のコイルにより囲まれる磁束以外の磁束を囲むように巻かれて固定され、閉じられたときに前記第五のコイルの囲む磁束を遮断し、開かれたときに前記第五のコイルの囲む磁束を通過させるように制御し、開かれた状態において、前記第四のコイルが開かれたときに前記第三のコイルが前記第1の位置検出用信号を発生できるようにし、前記第四のコイルが閉じられたときに前記第三のコイルが前記第1の位置検出用信号とは異なる第2の位置検出信号を発生できるようにする第五のコイルと、
    前記タブレットからの制御信号に基づいて、前記第一の共振回路の動作を制御する回路と、前記第二の共振回路の動作を制御する回路と、前記第四のコイル及び前記第五のコイルを開閉することによって前記第三の共振回路の動作を制御する回路と、前記第四のコイルの開閉に応じて、前記第三の共振回路が前記タブレットから送信される前記電波により共振するように前記第三の共振回路の共振周波数を調節する回路とを含む制御回路と、
    を備え、
    前記タブレットに、
    第1の所定のタイミングで前記第一の共振回路を動作状態にし且つ前記第四のコイル及び前記第五のコイルの両方を閉じることによって前記第三の共振回路を非動作状態にするための第一の制御信号と、第2の所定のタイミングで前記第二の共振回路を動作状態にし且つ前記第四のコイル及び前記第五のコイルの両方を閉じることによって前記第三の共振回路を非動作状態するための第二の制御信号と、第3の所定のタイミングで前記第四のコイル及び前記第五のコイルの両方を開くことによって前記第三の共振回路を動作状態にし且つ前記第一の共振回路及び前記第二の共振回路を非動作状態にするための第三の制御信号と、第4の所定のタイミングで前記第三の共振回路を動作状態にし且つ前記第四のコイルを閉じ且つ前記第五のコイルを開き且つ前記第一の共振回路及び前記第二の共振回路を非動作状態にするための第四の制御信号と、前記第一の共振回路が動作状態にあるときに前記第一の共振回路を共振させるための前記電波と、前記第二の共振回路が動作状態にあるときに前記第二の共振回路を共振させるための前記電波と、前記第三の共振回路が動作状態にあるときに前記第三の共振回路を共振させるための前記電波と、を前記位置指示器に送出する回路と、
    前記第一のコイルおよび前記第二のコイルから発生される傾斜検出用信号の、前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する検出回路と、
    前記傾斜検出用信号の前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する前記検出回路で検出された、前記第一のコイルからの傾斜検出用信号の信号強度分布に基づいて前記第1の方向に関しての前記位置指示器の傾斜角度を判別し、前記第二のコイルからの傾斜検出用信号の信号強度分布に基づいて前記第2の方向に関しての前記位置指示器の傾斜角度を判別する処理回路と、
    前記第四のコイル及び前記第五のコイルの両方が開いた状態で前記第三のコイルから発生される、前記第1の位置検出用信号の、前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する検出回路と、
    前記第1の位置検出用信号の前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する前記検出回路で検出された、前記第1の位置検出用信号の信号強度分布に基づいて、前記タブレットの上面における前記位置指示器の指示する位置を判別する回路と、
    前記第四のコイルが閉じ且つ前記第五のコイルが開いた状態で前記第三のコイルから発生される、前記第2の位置検出用信号の、前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する検出回路と、
    前記第2の位置検出用信号の前記タブレットの上面における信号強度分布を検出する前記検出回路で検出された、前記第2の位置検出用信号の信号強度分布に基づいて、前記タブレットの上面における前記位置指示器の指示する回転角判別用の位置を判別する回路と、
    を備える、
    ことを特徴とする位置検出装置。
  8. 前記処理回路は、前記位置指示器の指示する位置と、前記位置指示器の指示する回転角判別用の位置とに基づいて、前記位置指示器の回転角を判別する回路と、前記第一のコイルからの前記傾斜検出用信号の前記信号強度分布から2つのピーク値を求め、前記回転角に基づいて該2つのピーク値の比率を求め、該比率を基にして前記第1の方向に関しての前記位置指示器の傾斜角度を判別し、かつ、前記第二のコイルからの前記傾斜検出用信号の前記信号強度分布から2つのピーク値を求め、前記回転角に基づいて該2つのピーク値の比率を求め、該比率を基にして前記第2の方向に関しての前記位置指示器の傾斜角度を判別する回路を備える、
    ことを特徴とする請求項6又は7に記載の位置検出装置。
  9. 位置指示器にコイルを設けてタブレットとの電磁誘導を利用して位置指示器の座標位置を検出する位置検出装置における位置指示器であって、
    前記タブレット上で前記位置指示器を垂直に配した状態において前記タブレットに垂直な第1の面に対して平行に巻かれて固定された第一のコイルと第一のコンデンサとで構成され、動作状態にあるときに前記タブレットから送信される電波によって共振され、前記第1の面に対して垂直な第1の方向に関する傾斜検出用信号を前記第一のコイルより電波として発生する第一の共振回路と、
    前記タブレット上で前記位置指示器を垂直に配した状態において前記第1の面と直交し且つ前記タブレットに垂直な第2の面に対して平行に巻かれて固定された第二のコイルと第二のコンデンサとで構成され、動作状態にあるときに前記タブレットから送信される電波によって共振され、前記第2の面に対して垂直な第2の方向に関する傾斜検出用信号を前記第二のコイルより電波として発生する第二の共振回路と、
    前記タブレット上で前記位置指示器を垂直に配した状態において前記タブレットに垂直な軸方向を中心として巻かれて固定された第三のコイルと第三のコンデンサとで構成され、動作状態にあるときに前記タブレットから送信される電波によって共振され、第1の位置検出用信号を前記第三のコイルより電波として発生する第三の共振回路と、
    前記第三のコイルの内側で、前記第三のコイルにより発生される磁束の一部を囲むように巻かれて固定され、開かれたときに前記の囲んだ磁束の一部を通過させて、前記第三のコイルが前記第1の位置検出用信号を発生できるようにし、閉じられたときに前記の囲んだ磁束の一部を遮断し、前記第三のコイルが前記第1の位置検出用信号とは異なる第2の位置検出信号を発生できるように制御する第四のコイルと、
    前記タブレットから送信される第一の制御信号に応答して、第1の所定のタイミングで前記第一の共振回路を動作状態にし且つ前記第三の共振回路を非動作状態にし、前記タブレットから送信される第二の制御信号に応答して、第2の所定のタイミングで前記第二の共振回路を動作状態にし且つ前記第三の共振回路を非動作状態にし、前記タブレットから送信される第三の制御信号に応答して、第3の所定のタイミングで前記第三の共振回路を動作状態にし且つ前記第一の共振回路及び前記第二の共振回路を非動作状態にし且つ前記第四のコイルを開き、前記タブレットから送信される第四の制御信号に応答して、第4の所定のタイミングで前記第三の共振回路を動作状態にし且つ前記第一の共振回路及び前記第二の共振回路を非動作状態にし且つ前記第四のコイルを閉じるように制御する回路と、前記第四のコイルの開閉に応じて、前記第三の共振回路が前記タブレットから送信される前記電波により共振するように前記第三の共振回路の共振周波数を調節する回路とを含む制御回路と、
    を備えることを特徴とする位置指示器。
  10. 位置指示器にコイルを設けてタブレットとの電磁誘導を利用して位置指示器の座標位置を検出する位置検出装置における位置指示器であって、
    前記タブレット上で前記位置指示器を垂直に配した状態において前記タブレットに垂直な第1の面に対して平行に巻かれて固定された第一のコイルと第一のコンデンサとで構成され、動作状態にあるときに前記タブレットから送信される電波によって共振され、傾斜検出用信号を前記第一のコイルより電波として発生する第一の共振回路と、
    前記タブレット上で前記位置指示器を垂直に配した状態において前記第1の面と直交し且つ前記タブレットに垂直な第2の面に対して平行に巻かれて固定された第二のコイルと第二のコンデンサとで構成され、動作状態にあるときに前記タブレットから送信される電波によって共振され、傾斜検出用信号を前記第二のコイルより電波として発生する第二の共振回路と、
    前記タブレット上で前記位置指示器を垂直に配した状態において前記タブレットに垂直な軸方向を中心として巻かれて固定された第三のコイルと第三のコンデンサとで構成され、動作状態にあるときに前記タブレットから送信される電波によって共振され、第1の位置検出用信号を前記第三のコイルより電波として発生する第三の共振回路と、
    前記第三のコイルの内側で、前記第三のコイルにより発生される磁束の一部を囲むように巻かれて固定され、閉じられたときに前記の囲んだ磁束の一部を遮断し、開かれたときに前記の囲んだ磁束の一部を通過させるように制御する第四のコイルと、
    前記第三のコイルの内側で、前記第四のコイルにより囲まれる磁束以外の磁束を囲むように巻かれて固定され、閉じられたときに前記第五のコイルの囲む磁束を遮断し、開かれたときに前記第五のコイルの囲む磁束を通過させるように制御し、開かれた状態において、前記第四のコイルが開かれたときに前記第三のコイルが前記第1の位置検出用信号を発生できるようにし、前記第四のコイルが閉じられたときに前記第三のコイルが前記第1の位置検出用信号とは異なる第2の位置検出信号を発生できるようにする第五のコイルと、
    前記タブレットから送信される第一の制御信号に応答して、第1の所定のタイミングで前記第一の共振回路を動作状態にし且つ前記第四のコイル及び前記第五のコイルの両方を閉じることによって前記第三の共振回路を非動作状態にし、前記タブレットから送信される第二の制御信号に応答して、第2の所定のタイミングで前記第二の共振回路を動作状態にし且つ前記第四のコイル及び前記第五のコイルの両方を閉じることによって前記第三の共振回路を非動作状態にし、前記タブレットから送信される第三の制御信号に応答して、第3の所定のタイミングで前記第一の共振回路及び前記第二の共振回路を非動作状態にし且つ前記第四のコイル及び前記第五のコイルの両方を開くことによって前記第三の共振回路を動作状態にし、前記タブレットから送信される第四の制御信号に応答して、第4の所定のタイミングで前記第一の共振回路及び前記第二の共振回路を非動作状態にし且つ前記第三の共振回路を動作状態にし且つ前記第四のコイルを閉じ且つ前記第五のコイルを開くように制御する回路と、前記第四のコイルの開閉に応じて、前記第三の共振回路が前記タブレットから送信される前記電波により共振するように前記第三の共振回路の共振周波数を調節する回路とを含む制御回路と、
    を備えることを特徴とする位置指示器。
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