JP3677884B2 - 合成繊維布帛およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は合成繊維布帛の表面オリゴマーが除去された合成繊維布帛およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、合成繊維の高速紡糸化に伴うオリゴマー量の増加、および合成繊維の熱処理により、その処理温度および時間に相関して繊維表面にオリゴマーが生成し、あとの染色工程での染めむら等の欠点や、染色機の缶壁に付着し、缶内汚れの原因となることが知られている。
【0003】
従来、合成繊維のオリゴマー除去方法としては、界面活性剤からなるオリゴマー除去剤を還元洗浄浴中に添加してオリゴマーを除去する方法があるが、かかるオリゴマーの除去方法では除去効果が低く、実用的でなかった。そこでオリゴマー除去剤を染浴中に添加する方法が試みられ、この方法によれば、かなりのオリゴマー除去効果の改良がみられるが、反面、染色時の色合せが困難となり、またオリゴマー除去におけるバッチ間のばらつきも大きくなるという欠点を有していた。また、最近では染色浴をアルカリサイドにすることでオリゴマーの除去および缶内汚れの軽減を行っているが、染色浴のpHが高いほどオリゴマー除去効果が向上する反面、染料の分解が促進するため、染料選択、色合せが困難になるなどの欠点を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来の課題に鑑み、合成繊維を少なくとも含む繊維布帛のオリゴマーによる染めむら等の欠点がなく、色相再現性のよい、オリゴマー量の少ない合成繊維布帛、およびオリゴマーの除去効果に優れた合成繊維布帛の製造方法を提供することを課題とするものである。
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために次のような手段を採用する。すなわち、本発明の合成繊維布帛の製造方法は、合成繊維を少なくとも含む繊維布帛を染色後、アルカリイオン水と界面活性剤からなるオリゴマー除去剤との混合処理液でオリゴマー除去処理することを特徴とする。
【0007】
染色後にアルカリイオン水の処理液で処理することにより、色合せ、バッチ間差等に除去効果を発揮し、オリゴマーによる染めむら等の欠点が少ない繊維布帛が得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
本発明における合成繊維を少なくとも含む繊維布帛は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、アラミド繊維等の合成繊維100%使いの布帛、またはこれらの合成繊維を主体とする繊維布帛で、合成繊維と他の繊維との混用、好ましくは合成繊維の混率が50%以上のものであり、他の繊維としては天然繊維、他の合成繊維、半合成繊維など、とくに制限はされない。
【0011】
繊維の形態は長繊維または短繊維のどちらでもよく、織物、編物、不織布でも差しつかえない。さらに長繊維の場合には捲縮加工糸の形状でもよい。中でも、オリゴマーが発生しやすい構造のポリマで構成された繊維および繊維製品に本発明の効果が大きい。
【0012】
本発明におけるアルカリイオン水は、飲料水を電気分解した後、隔膜処理により電子を過剰にした金属塩類を含まない、pH10.5〜12.5範囲のものであることが好ましい。かつ、100倍以上に希釈すると容易にpHが低下し、排水の負荷を軽減できるものが好ましい。
【0013】
また、処理中にpHが低下するとオリゴマーの再付着が促進するため、使用濃度は100%純液が好ましいが、処理前と処理後のpH低下が1.0%以内、くわしくは少なくとも50%水溶液以上であれば処理温度、処理時間に関係なく、初期pHが10以上、処理前と処理後のpH低下が1.0%以内となるため、50%水溶液以上で処理することが好ましい。ただし、オリゴマー除去剤を併用する場合に該除去剤の安定性がpHに左右されることがあるため注意をする必要がある。
【0014】
本発明における処理液は、アルカリイオン水であるが、界面活性剤からなるオリゴマー除去剤を添加すると、より効果的である。
【0015】
上記のオリゴマー除去剤は、特に制限されるものではないが、好ましくはアニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤とを配合したものが使用できる。これはアニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤の配合系であり、オリゴマーを分散させて不溶化を防ぐはたらきをする。該処理におけるオリゴマー除去剤の使用量はアルカリイオン水100gに対し、0.1〜0.5g/lの範囲がもっとも効果的であり、添加の量が多くなりすぎても特に効果は向上しない。
【0016】
本発明で得られた合成繊維中のオリゴマーは、合成繊維1g中に含まれる残留オリゴマーを測定し、従来法におけるオリゴマーの残留量と比較して著しい効果があることを見出だした。また、繊維布帛表面を走査型電子顕微鏡により撮影し、肉眼においても顕著な差が見られることを確認した。
【0017】
本発明におけるオリゴマー除去処理工程は、染色後が最も好ましいが、減量加工後など他の工程でも特に差し支えない。しかし、染色時にアルカリイオン水を使用する場合は色目に影響がないレベルのpHに調整することが重要であり、注意を要する。
【0018】
染め斑は、熱処理により生成したオリゴマーが染色浴中に溶出し、冷却時、繊維表面に再付着することによって生じるものである。この再付着ムラがある一定の光線にのみムラとなって現れるが、これを影ムラと称している。よって、染色中にオリゴマーを乳化分散させ、再付着を防止することが最もよい方法であるが、染料との相溶性、色相再現性が問題となるため、染色後に色相への影響のないレベルの温度でオリゴマー除去処理することが好ましい。また、染色前に処理を行いオリゴマーを除去する方法は、オリゴマー量としては減少するが、染色時に再びオリゴマーが生成する可能性もあり、染め斑の原因である再付着の防止にはならず、工程も増加するため、コスト面でも好ましくない。よって、オリゴマーによる染め斑を防止するには、オリゴマーの再付着を防止するか、再付着したオリゴマーを洗浄するかのいずれかである。
【0019】
オリゴマー除去の処理温度は、一般の染色加工における処理温度、すなわち、60℃〜140℃の範囲でよいが、目的の風合い、色相、再現性を得るためには80℃〜100℃の範囲が好ましい。こうして得られた繊維製品は引裂強力(TRS1022A−I法)の低下もなく、オリゴマー除去が効果として得られた。
【0020】
【実施例】
以下、実験例により本発明を具体的に説明する。
【0021】
実施例における処理後の表面オリゴマー測定方法はメタノールを用いて、試料繊維(布帛)表面のオリゴマーを抽出し、抽出液を乾燥固化した後、固形物をクロロホルムに溶解して液体クロマトグラフィーを用い、ポリエステルの3量体および4量体の量を測定し付着量とした。
【0022】
また、肉眼による判定方法は走査型電子顕微鏡を用い撮影し、処理前布帛と処理後布帛の表面写真により残留オリゴマーのチェックを実施した。
【0023】
◎:残留オリゴマーは全くなくなっている
○:僅かに残留している
△:残留しているが粒子が細かくなっている
×:ほとんど変化がない
また、加工した製品の品位検査は外観を肉眼により次の3段階に判定した。
【0024】
W0 :オリゴマーによる染めむらが全くなく良好
W1 :オリゴマーによる染めむらが若干あり不良
W2 :オリゴマーによる染めむらが多く極めて不良
(実施例1)
ポリエステル繊維織物(経糸:50デニール18フィラメント、緯糸:75デニール36フィラメント)を用いて染色を行った。染料:Sumikaron Blue E−RPD(住友化学) 1%owf、分散均染剤:イオネット RAP−250(三洋化成) 0.5g/l、pH調整剤としてpH−500を0.5g/l用い、130℃で20分間染色を行った。染色後の繊維布帛をアルカリイオン水100%溶液に浸漬し、オリゴマー除去剤としてアニオン・ノニオン系活性剤(高松油脂(株)商品名“MSK−100”)を2.0g/l添加した直後のpHは12.0であった。そして80℃、20分処理を行った後のpHは11.6であった。処理後は織物を通常の方法で湯洗し、乾燥後、仕上加工を行った。加工した織物の繊維表面の残留オリゴマー量を測定したところ、約220ppmであった。および電子顕微鏡による肉眼判定でも著しいオリゴマーの除去効果が確認された。また、オリゴマー付着による染めむらなどは見られず、製品の色相、品位に問題なく高品質であった。
【0025】
(実施例2)
実施例1と同様のポリエステル繊維織物を同条件で染色後、アルカリイオン水60%水溶液に浸漬し、実施例1と同様のオリゴマー除去剤を同量添加した後のpHは11.8であった。そして80℃、20分の処理を行った後のpHは10.9であった。その後、湯洗、乾燥、仕上加工を施した。加工した織物の繊維表面の残留オリゴマー量を測定したところ、約550ppmであり、電子顕微鏡による肉眼判定でもオリゴマーの除去効果が確認された。かつ、オリゴマー付着による染めムラなどは見られず、色相、品質には問題なく良好であった。
【0026】
(比較例1)
実施例1と同様のポリエステル繊維織物を同条件で染色後、本発明のアルカリイオン水処理を施さずにそのまま乾燥、仕上加工を行った。加工した織物の繊維表面残留オリゴマー量は1290ppmであった。および電子顕微鏡による肉眼判定を実施したが、実施例のオリゴマー除去処理を施した製品に比べ、オリゴマーが残留していることが確認された。かつ、製品の色相はオリゴマー付着による染めむらが見みられ、不合格であった。
【0027】
(比較例2)
実施例1と同様の染色布帛を、NaOH 2.0g/l、オリゴマー除去剤として実施例と同様の処理剤、処理量で80℃、20分の処理を行った結果、残留オリゴマー量は970ppmであった。また、表面写真でも残留オリゴマーが確認された。この繊維織物にはオリゴマー付着による染めむらが若干が見みられ、品質的に問題があった。
【0028】
実施例1〜2、比較例1〜2の加工結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、合成繊維布帛を染色する際に発生するオリゴマーを効果的に除去することができ、オリゴマーの付着による加工欠点のない良好な品位の合成繊維布帛を得ることができる。
Claims (4)
- 合成繊維を少なくとも含む繊維布帛を染色後、アルカリイオン水と界面活性剤からなるオリゴマー除去剤との混合処理液でオリゴマー除去処理することを特徴とする合成繊維布帛の製造方法。
- アルカリイオン水が、pH10〜13の範囲内で、かつ処理前と処理後のpH変化が1.0%以内になる濃度に調整されてなることを特徴とする請求項1に記載の合成繊維布帛の製造方法。
- 処理液がアルカリイオン水100gに対して界面活性剤からなるオリゴマー除去剤を0.1〜0.5gの範囲で併用することを特徴とする請求項1または2に記載の合成繊維布帛の製造方法。
- 界面活性剤からなるオリゴマー除去剤が、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤とを配合したものであることを特徴とする請求項3記載の合成繊維布帛の製造方法。
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