JP3676909B2 - 医療用キャップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用輸液容器のキャップに関する。さらに詳しくは、針抜けに対する保持力に優れ、針抜き後の再シール性を向上させた医療用キャップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、医療用キャップの栓体として、ゴム製のものが広く用いられているが、このゴム栓は成形体を得るまで図1に示すような雑種な工程を経るため、大がかりな設備を必要とし、また、添加剤の種類も多く、かつ各工程においてスクラップが出るため生産性も悪いという工程上の問題を有していた。すなわち、ケーシングが射出成形により製造されるのに対し、ゴム栓体はプレス成形した後加硫する必要があり、別々に製造した後これらを組み立てる必要があるのみならず、単価が高くなる問題も有していた。
【0003】
この問題を解決するために、弾性を有する樹脂である熱可塑性エラストマーをキャップの栓体として用いることを考えた。この技術では、ケーシングと栓体が共に樹脂であるため、図2のように簡単な射出成形により製造することができ、ゴム栓のように加硫工程を必要とせず、ゴム栓なみの強度を得ることができる点で工程上の問題は解決する。また、この技術では軟質加硫ゴムからプラスチックに近いものまで、広範囲の物性を持つ弾性体が、素材の化学構造を変化させることによって得られる。さらに成形工程でできたスクラップは再使用が可能であり生産性も高い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱可塑性エラストマーは、残歪性が大きくゴム弾性が劣り応力緩和、クリープ現象が起こりやすいという性質を持つ。このため、輸液用容器のキャップとして重要な要素である針抜けに対する保持力が低く、輸液中にキャップから輸液用針が抜け落ちやすい。また、針抜き後の再シール性が悪く、針抜き後に栓体にできた穴から、薬品が滲み出す問題も有している。
【0005】
この問題を解決すべく、ゴムと熱可塑性エラストマーを重ね合わせた栓体を用いる技術が開示されているが、針抜けに対する保持力、及び針抜け後の再シール性の問題に対する完全な解決はされておらず、また、依然としてゴム栓を使用しているため、工程上の問題を解決するには至っていないのが実状である。
【0006】
本発明の課題は、針抜けに対する保持力、針抜き後の再シール性に優れ、かつ工程上の問題を解消した医療用キャップを提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は熱可塑性エラストマーなどからなる栓体を薄層の積層とする構成を採用することによって、針抜けに対する保持力、針抜き後の再シール性に優れたキャップを製造することができることを見出した。
【0008】
本発明が針抜けに対する抵抗力を有する理由は、例えば熱可塑性エラストマーの薄層同士の接面部分における針の保持効果によるものである。図3は、本発明のキャップに針が刺さっており、抜け落ちようとする方向に荷重がかかった状態にある本発明の医療用キャップの断面図である。図中の1は医療用キャップ、2はそれぞれa、b、cの各薄層の積層から構成されている栓体、3はケーシング、4は針抜け時における各薄層の変形バリ、5は針を示している。すなわち、各薄層の接面部分において、薄層は図のように変形しており、特に各層下部のバリによって針は抜け落ち抵抗をうける。また、各層ごとに物性を変化させ特異性を持たすことで一層からなる栓体に較べて、各層が各々の持つ効果を生かすことで、栓体として総合的に向上する。
【0009】
一方、本発明が針抜き後の再シール性において効果を奏するのは、各層ごとの特異性に加え、各薄層が独立してもとの形状に戻ろうとする復元効果によるものである。図4は、本発明のキャップに針が刺さっていた状態から抜き取るまでの任意の瞬間の状態にある本発明の医療用キャップの断面図である。図中の1は医療用キャップ、2はそれぞれa、b、cの各薄層の積層から構成されている栓体、3はケーシング、4は針抜け時における各薄層の変形バリ、5は針を示している。すなわち、本発明では抜けようとするものに対して下層の薄層2c、2bは針を支え、液を漏れるのを防ぐのに対し、針が抜けきった上層の薄層2aは復元力により穴が閉じ、液漏れを防ぐ。結果として針抜き後のシール性が向上する。したがって、栓体の密閉の原理より薄層の数が増えるほど密閉性があがることとなる。
【0010】
本発明キャップの栓体の材質として熱可塑性エラストマーを用いた場合が最適であり、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、水素添加タイプのポリスチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどが例示できる。これらは樹脂を原料とするケーシングと同様の射出成形工程をとることができるため、従来のゴムの栓体のように別々に組み立てる必要がなく、工程上の利点を有する。
【0011】
また、本発明者は、熱可塑性エラストマー、ゲル状樹脂、低密度ポリエチレン、これらとゴムを練り混んだ混合物いずれかからなる薄層を積層してなる栓体でも上記効果を奏することを見出した。これらは上記効果を有するのみならず、熱可塑性エラストマーと同様に射出成形が可能であるため、従来の工程上の問題を解消することができる。
【0012】
ゲル状樹脂としては、エチレン系ゲル材料、ウレタン系ゲル材料、シリコン系ゲル材料、アクリル系ゲル材料、塩化ビニル系ゲル材料等が好適に用いることができるものとして例示できる。また、これらの材料とブレンドするゴムの種類としては、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴムなどが例示できる。
【0013】
また、栓体の形状を従来のように円柱形ではなく、多角形、花形、又は星形を底面とする柱体とし、栓体にフシを付すことによってもこれらの効果が向上することを見出した。また、栓体を底面が略円形であって外周部から中心方向に伸びるスリット又は中心部から周方向へ伸びるリブを設けた形状の柱体とすることによっても同様にフシを有することとなり、効果を奏することを見出した。これらの発明が上記問題を解決する理由は栓体の形状を円柱ではなく多角形柱などにすることにより、ケーシングとの接触面にフシが生じ、単位当たりの応力がセグメント化されるためである。すなわち、大きな側面ではなく小さな断片に分割することによって、栓体に課された応力に対する復元力が高まるためである。また、応力に対する抵抗が強く保持力が向上するため、針抜けに対する保持力も優れたものとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、熱可塑性エラストマー、ゲル状樹脂、低密度ポリエチレン、これらとゴムを練り混んだ混合物のいずれかからなる薄層のみを積層してなる栓体を有する医療用キャップである。熱可塑性エラストマーとしては特にその種類は限定されるものではなく、既述のもののほか、各種公知のものが好適に使用できる。特にアロン化成社製 熱可塑性エラストマー、商品名「AR−860C」、三菱化学社製 熱可塑性エラストマー、商品名「ラバロンT−331C」、三菱化学社製 熱可塑性エラストマー、商品名「ラバロンSR−04」が最適に使用可能である。
【0015】
薄層の材質としては熱可塑性エラストマーの他に、ゲル状樹脂、低密度ポリエチレン、および、ゴムと熱可塑性エラストマー、ゲル状樹脂、低密度ポリエチレン(以下、高弾性樹脂と略記する。)のいずれか1種以上を練り混んだ混合物が使用可能である。ゴムと高弾性樹脂の配合割合は特に限定されるものではないが、およそ重量比で1:9〜8:2の範囲であることが好ましい。ゴムの配合量が多くなると、射出成形し難い点で好ましくない。一方ゴム配合量が少なすぎると、他の薄層の材質によっては、針抜け抵抗値の向上などを図ることができない。
【0016】
栓体を構成する薄層の厚みは均一である必要はなく、ある程度の幅を持たせることができるが、1mm以上30mm以下であることが好ましい。また、薄層の数は特に限定されるものではないが、顕著に効果を奏するのは3層以上の場合である。すなわち、薄層の接合面を2面以上有しているものであることが好ましい。なお、設ける薄層の数の上限は特に限定されるものではないが、栓体の厚み、及び薄層の厚みを考慮すると、大体6層程度になると思われる。
【0017】
本発明でいう積層とは薄層の重ね合わせの形態について特に限定されるものではなく、図3に示した例のような単に薄層を重ね合わせたものの他、例えば、図5の様に芯となる材料を他の材料で包み込む形態や、図6のように重ね合わす形態などが含まれる。すなわち、差し込まれた針が薄層の接合面を通過するような重ね合わせの形態であれば本発明でいう積層であると解釈される。
【0018】
隣り合う薄層の材質の物性、特に弾性率は異なるものであることが好ましい。本発明は、薄層の接面における薄層の変形が与える効果に依存するものであるため、接面において、全く同じ変形を生じるよりも変形の割合が不均一な方が効果が顕著となりやすい。一般には上部と下部の薄層の材質硬度を比較した場合、下部の材質の硬度を高くすることで栓体主成分である上部の落ち込みを支えることができるため、針に対する保持力を上げることができる。
【0019】
なお、各薄層の接面は多層成形によって樹脂同士を接着してもよいし、単に重ねたものであってもよい。なお、多材質成形機によって積層する場合、層間で溶着してしまい積層部における線接着部が無くなってしまう場合があるが、この場合でも効果は認められる。
【0020】
薄層の配置順は特に限定されるものではないが、3層以上の場合は、外側を熱可塑性エラストマーを用い、中間層をゲル状樹脂、低密度ポリエチレン、または、これらとゴムを練り混んだ混合物のいずれかからなる薄層を用いるとよい。熱可塑性エラストマーは、ゲル状樹脂、低密度ポリエチレン、または、これらとゴムを練り混んだ混合物と較べて、復元力に劣ることが多いため、中間層にシール性を確保できるようにこれらの材質からなる薄層を用いたものである。
【0021】
本発明のキャップに用いる栓体の形状は特に限定されるものではないが、例えば、底面の形状が多角形、花形、星形の柱体にすると針抜け抵抗値、針抜け後の再シール性の向上につながる。これは栓体を円柱ではなく、例えば8角柱の形状とすることで、栓体のケーシング接触面にフシができるため、応力がセグメント化されるため、復元力が向上することに基づく。図7は本発明の一実施例として、正8角形の栓体を付したキャップの一部断面斜視図である。図1において1はキャップ、2はそれぞれ2a、2b、2cからなる栓体、3はケーシング、6はケーシング接触面、7はフシ、9は針刺し穴を示している。なお、図示されていないが、キャップには通常プルトップふたが設けられており、図はこのプルトップふたを取り除いた状態を示している。針刺し穴9から差し込まれた針は、栓体2からの内部応力に支えられて抜けないように保持されるが、フシを有さない従来の栓体では、応力が広い面積に均一に伝わるため、復元力があまり発揮されなかった。しかしながら、本発明ではフシ7を設けることによって、これらが受ける応力がフシ7ごとにセグメント化されることにより、栓体の復元力が向上し、ひいては針抜けに対する保持力や、針抜け後の針刺し穴9の再シール性が向上するものである。なお、本発明はもちろんこれらの形状に限定されるものではなく、何らかの形でフシを設けたものであれば、本発明は達成される。
【0022】
本発明のキャップと輸液容器との接合方法は特に限定されるものではなく、公知の方法で接合すればよい。また、本発明のキャップは針や管を刺したり保持するための栓体、例えば薬剤、試薬用のバイアル栓にも応用することができる。
【0023】
また、本発明の医療用キャップに用いられる栓体の材質としては、生産工程がケーシングと同様の工程で行える熱可塑性エラストマーなどであるから、製造工程において、従来行われているようにケーシングを射出成形し、これとは別工程でプレスしたゴムのみを加硫処理してから両者を組み立てる工程をとる必要が無く、ケーシングを成形した後、そのケーシング中に栓体を設ける薄層の数だけ射出成形すればキャップが完成するため、工程上有利に製造することができる。もちろん、上記製法に限定されるものではなく、従来のように栓体とケーシングを別々に製造して、インサート成形することで組み立てる方法によっても本発明は達成される。
【0024】
【実施例】
以下本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。但し本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0025】
次に記載した条件で製造した栓体を用いて医療用キャップを製造し、これを各実施例、及び比較例とした。なお、実施例中インサート成形とはケーシングと栓体を構成する薄層を別々に成形し、キャップ製造時にケーシングに薄層を順次はめ込んで組み立てたものであり、同時成形とは、ケーシングを射出雌面として繰り返し射出成形することにより製造した多材質成形機による成形を示す。なお、各実施例及び比較例で用いた栓体の材質は次の通りである。
エラストマー1・・・・アロン化成社製、熱可塑性エラストマー、商品名「AR−860C」
エラストマー2・・・・三菱化学社製、熱可塑性エラストマー、商品名「ラバロンT−331C」
エラストマー3・・・・三菱化学社製、熱可塑性エラストマー、商品名「ラバロンSR−04」
ゲル状樹脂・・・・コスモ計器社製、ゲル状樹脂、商品名「コスモゲル」
低密度ポリエチレン・・・・昭和電工社製、低密度ポリエチレン、商品名「ジェイレークスM112」
混練りゴム1・・・・ブタジエンゴム1重量部に対しエラストマー1を4重量部の割合で混ぜ合わせた混合物
混練りゴム2・・・・ブタジエンゴム1重量部に対しゲル状樹脂を4重量部の割合で混ぜ合わせた混合物
混練りゴム3・・・・ブタジエンゴム1重量部に対し低密度ポリエチレンを4重量部の割合で混ぜ合わせた混合物
【0026】
(実施例1)
エラストマー1からなる厚み2mmの薄層a、エラストマー2からなる厚み3mmの薄層b、エラストマー3からなる厚み2mmの薄層cからなる円柱形の栓体をそれぞれ同時成形によりケーシングにセットし、医療用キャップを製造した。
【0027】
(実施例2)
エラストマー1からなる厚み2mmの薄層a、エラストマー2からなる厚み3mmの薄層b、エラストマー3からなる厚み2mmの薄層cからなる正16角柱形の栓体をそれぞれ同時成形によりケーシングにセットし、医療用キャップを製造した。
【0028】
(実施例3)
エラストマー1からなる厚み2mmの薄層a、ゲル状樹脂からなる厚み3mmの薄層b、エラストマー3からなる厚み2mmの薄層cからなる円柱形の栓体をそれぞれ同時成形によりケーシングにセットし、医療用キャップを製造した。
【0029】
(実施例4)
エラストマー1からなる厚み2mmの薄層a、ゲル状樹脂からなる厚み3mmの薄層b、エラストマー3からなる厚み2mmの薄層cからなる正16角柱形の栓体をそれぞれ同時成形により専用のケーシングにセットし、医療用キャップを製造した。
【0030】
(実施例5)
エラストマー1からなる厚み2mmの薄層a、低密度ポリエチレンからなる厚み3mmの薄層b、エラストマー3からなる厚み2mmの薄層cからなる円柱形の栓体をそれぞれ同時成形によりケーシングにセットし、医療用キャップを製造した。
【0031】
(実施例6)
エラストマー1からなる厚み2mmの薄層a、混練りゴム1からなる厚み3mmの薄層b、エラストマー3からなる厚み2mmの薄層cからなる円柱形の栓体をそれぞれ同時成形によりケーシングにセットし、医療用キャップを製造した。
【0032】
(実施例7)
エラストマー1からなる厚み2mmの薄層a、混練りゴム2からなる厚み3mmの薄層b、エラストマー3からなる厚み2mmの薄層cからなる円柱形の栓体をそれぞれ同時成形によりケーシングにセットし、医療用キャップを製造した。
【0033】
(比較例1)
エラストマー3からなる厚み7mmの円柱形の栓体をそれぞれ同時成形によりケーシングにセットし、医療用キャップを製造した。
【0034】
(比較例2)
ブタジエンゴムからなる厚み7mmの円柱形の栓体をそれぞれインサート成形によりケーシングにセットし、医療用キャップを製造した。
【0035】
上記実施例及び比較例のキャップを次の条件で針刺し・針抜けに対する抵抗値測定、自己密閉性試験、保持力試験を行い、その平均値、結果を以下の表1に示した。なお、各試験共に検体を10個とし、検体毎に新しい試験針を用いるものとした。また、試験に用いた針は次の3種類とした。
針1 テルモ製プラスチック針、TS−A400LK
針2 JMS製プラスチック針、JY−A600CNJ
針3 JMS製ステンレス針、JY−A200CN
【0036】
(針刺し・針抜けに対する抵抗値測定)
島津製作所製オートグラフS−500D型を用いて、中心部に試験針を200mm/minの速度で侵入させるときの抵抗値の最大値(kgf)及び抜き取るときの抵抗値の最大値(kgf)を測定し、その平均値を採用した。数値は小さいほどキャップとしての扱いが楽であり、好結果を示している。
【0037】
(自己密閉性試験)
各サンプルを輸液用ボトルの口部に溶着し、図8のようにセットしたものを吊り具で2時間吊り下げ、管の先端を密閉した試験針を抜き取って1分間の間に液漏れを起こした量(cc/min)を測定し、その平均値を示した。なお、図中の1はキャップ、10は輸液容器、11は空気抜き穴、12は水漏れチェック箇所を示している。数値は小さいほど液漏れが少なく、好結果を示している。
【0038】
(保持力試験)
各サンプルを輸液用ボトルの口部に溶着し、図9のようにセットしたものに1kgの重りを6時間吊り下げ、針が抜け落ちなかったものを合格とし、表1に保持力試験を合格したものの数を示した。なお、図中の1はキャップ、10は輸液容器、11は空気抜き穴、13は1kgの重りを示している。数値は大きいほど好結果を示しており、重りが全く落ちなかった場合は、評価は10となる。
【0039】
【表1】
Figure 0003676909
【0040】
表1より明らかなように、1層の熱可塑性エラストマー栓からなる比較例1と較べて、積層した各実施例はプラスチック針・金属針のどちらに対しても抜け落ちることはなく良好であり、積層した効果がはっきりと認められる。特に、栓体の形状を多角柱とした実施例2及び4は特に効果が顕著に現れた。また、1層のゴム栓である比較例2と較べ、針刺し、針抜き抵抗値は小さいため取扱いが容易となる。したがって、本発明の医療用キャップは、製造工程を簡便化することができると共に、針抜けに対する保持力に優れ、針の抜け落ち、薬品の漏れが解消される。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、熱可塑性エラストマー、ゲル状樹脂、低密度ポリエチレン、これらとゴムを練り混んだ混合物のいずれかからなる薄層のみを積層してなる栓体を有する医療用キャップであるので、針抜けに対する保持力、復元力が向上し、針抜けに対する保持力及び針抜け後の再シール性に優れた医療用キャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ゴムの一般的な成形工程を示すフローチャートである。
【図2】 樹脂の一般的な成形工程を示すフローチャートである。
【図3】 刺さった針に荷重がかかった状態にある本発明の医療用キャップの断面図である。
【図4】 針を抜き取りとりつつある状態の本発明のキャップの断面図である。
【図5】 本発明の医療用キャップに用いる栓体の積層の形態の一実施例を示す栓体の断面図である。
【図6】 本発明の医療用キャップに用いる栓体の積層の形態の他の一実施例を示す栓体の断面図である。
【図7】 本発明の医療用キャップの一部断面斜視図である。
【図8】 自己密閉性試験の実験概略図である。
【図9】 保持力試験の実験概略図である。
【符号の説明】
1 キャップ
2 栓体
3 ケーシング

Claims (4)

  1. 少なくとも、ケーシングと栓体とからなる医療用キャップであって、
    前記栓体が複数の薄層のみからなり、前記いずれの薄層も熱可塑性エラストマーのみからなり、前記薄層のうち、少なくとも1対の隣り合う薄層の弾性率が、それぞれ異なるものであることを特徴とする医療用キャップ。
  2. 前記薄層について、いずれの薄層の厚みも1mm以上3mm以下である請求項1記載の医療用キャップ。
  3. 前記栓体の底面形状が、多角形、花形、又は星形のうち、いずれかの形状である請求項1又は2に記載の医療用キャップ。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の医療用キャップを用いた医療用輸液容器。
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