JP3676892B2 - 農作業機の走行駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、農作業機の走行駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、農作業機においては、左右走行部をそれぞれ静油圧式無段変速機で駆動しており、左右走行部の走行速度を異ならせることにより、機体を旋回するようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の農作業機においては、左右無段変速機の個体差や、左右無段変速機を操作する左右操作機構の不揃いやガタが原因で直進性が悪く、また、左右無断変速機が相互関連なく制御されているので、旋回が急激に行われて圃場面を傷めるという問題があった。
【0004】
さらに、上記無段変速機を静油圧式無段変速機とした場合には、同静油圧式無段変速機は高回転域では動力伝達効率が低いため、所望の走行速度範囲をカバーするには大出力のエンジンを要し、燃料消費が多くなって不経済であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、エンジンに走行用無段変速機及び操向用無段変速機を連動連結し、走行用無段変速機に左右内歯車を連動連結するとともに、操向用無段変速機に左右差動軸を相互に逆方向に同一回転数で回転するように連動連結し、同左右差動軸に左右太陽歯車を連動連結し、しかも、前記左右内歯車及び左右太陽歯車に左右遊星歯車を噛合し、同左右遊星歯車は、左右走行部の駆動軸に嵌合した左右ケージに軸支し、両無段変速機の回転数に応じて左右駆動軸の回転数をそれぞれ増減させて、機体を旋回増減速させる走行駆動装置であって、前記左右差動軸の間にクラッチ体を介設し、同クラッチ体の作動により左右差動軸を切断状態と接続状態に切替可能に構成し、前記クラッチ体は、操向回動自在に配置したステアリングホイールの操向操作に応じて作動するようにすることとした。
【0006】
また、前記左右差動軸の少なくともいずれか一方にプレーキ体を取付け、同ブレーキ体の作動により左右差動軸を停止状態と回転状態に切替可能に構成し、前記ブレーキ体は、操向回動自在に配置したステアリングホイールの操向操作に応じて作動するようにすることとした。
【0007】
しかも、前記ブレーキ体は、機体の走行速度が速いときは、ブレーキ体の操作圧が低くなり、機体の走行速度が遅いときは、ブレーキ体の操作圧が高くなるように構成することとした。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係る走行駆動装置は、エンジンに、可変容量型油圧ポンプ及び定容量型油圧モータにより構成した静油圧式の走行用無段変速機及び操向用無段変速機を連動連結し、両変速機に左右駆動輪の駆動軸を左右遊星歯車機構を介して連動連結したものである。
【0009】
左右遊星歯車機構は、走行用無段変速機に連動連結した左右内歯車と、操向用無段変速機に歯車機構を介して連動連結した左右太陽歯車と、左右内歯車及び左右太陽歯車に噛合する左右遊星歯車とを具備し、同左右遊星歯車は、左右走行部の駆動軸に嵌合した左右ケージに軸支されている。
【0010】
前記歯車機構は、左右太陽歯車に連動連結する左右差動軸を相互に逆方向に同一回転数で回転するように機能するよう構成している。
【0011】
そして、両無段変速機の回転数に応じて左右駆動軸の回転数をそれぞれ増減させて、機体を旋回増減速させるものである。
【0012】
しかも、前記左右差動軸の間に油圧クラッチを介設し、同油圧クラッチの作動により左右差動軸を切断状態と接続状態に切替可能に構成し、前記クラッチ体は、操向回動自在に配置したステアリングホイールの操向操作に応じて作動するようにしたものである。
【0013】
また、ステアリングホイールの回動支柱にポテンショメータを取付け、同ポテンショメータによりステアリングホイールの中立位置を検出し、ステアリングホイールが中立位置にある場合には、油圧ブレーキをロック状態にし、ステアリングホイールが中立位置にない場合には、油圧ブレーキを解除状態にするようにしたものである。
【0014】
そして、ステアリングホイールを操向操作することにより、油圧ブレーキが解除状態となり、差動軸が回動可能となり、左右駆動軸にエンジンの動力を操向用無断変速機を介して相互に逆回転方向に伝わるようにし、一方の駆動軸を増速し、他方の駆動軸を減速し、左右走行部に走行速度差を生じさせ、機体を左右に旋回させることができるものである。
【0015】
一方、ステアリングホイールを操向操作しないと、油圧ブレーキが解除されず、差動軸が回動できず、それに伴いエンジンの動力が走行用無段変速機を介してのみ左右駆動軸に伝達され、左右走行部に走行速度差が全く生じず、機体を確実に直進させることができるものである。
【0016】
また、油圧ブレーキの油路の中途に、内部油路の断面積を比例制御可能な比例制御弁を介設し、機体の走行速度に反比例して油圧ブレーキの操作圧を変更できるようにしたものである。
【0017】
そのため、高速走行時においては、油圧ブレーキの操作圧が低くなり、ステアリングホイールを操向操作しても、操向回動角度が小さい場合には、直ちに油圧ブレーキが解除状態とはならず、左右差動軸が回動できず、機体は継続して直進することとなり、機体の直進性を良好に維持でき、高速走行時の操作感覚を良好なものとすることができるものである。
【0018】
一方、低速走行時においては、油圧ブレーキの操作圧が高くなり、ステアリングホイールの操向操作に応じて油圧ブレーキが解除状態となり、機体を旋回させることができるものである。
【0019】
また、本発明に係る走行駆動装置は、前記左右差動軸の少なくともいずれか一方に油圧ブレーキを取付け、同油圧ブレーキの作動により左右差動軸を停止状態と回転状態に切替可能に構成したものである。
【0020】
そして、油圧クラッチを切断状態として左右差動軸をそれぞれ逆方向に同一回転数で回転させることにより、エンジンの動力が走行用無段変速機及び操向用無段変速機を介して左右駆動軸に伝わり、一方の駆動軸は増速され、他方の駆動軸は減速され、左右走行部に走行速度差が生じ、従って、機体を左右に旋回させることができるものである。
【0021】
また、油圧クラッチを接続して左右差動軸を直結することにより、左右差動軸が回転できなくなり、エンジンの動力が走行用無断変速機のみを介して左右駆動軸に伝わり、左右駆動軸が同一方向に同一速度で回転することとなり、左右走行部に走行速度差が全く生じることがなく、従って、機体を直進させた状態を確実に維持することができ、機体の直進性を良好に確保することができるものである。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る走行駆動装置DRを具備する農作業機としてのトラクタTRの左側面図であり、トラクタTRは、機体フレーム2の左右両側方にクローラ式の左右走行部1L,1R を取付け、機体フレーム2の上面前部に原動機部3を載置するとともに、機体フレーム2の上面後部にキャビン4を載置し、同キャビン4中に運転部5を形成している。
【0024】
運転部5は前部にステアリングホイール6を操向回動自在に配設し、その後方に所定間隔を保持して座席7を配設し、同座席7の右側方に前後進変速レバー8を前後傾動自在に立設している。図中、9は走行フレーム、10は履帯、11L(11R)は駆動輪、12は遊動輪、13は下部転輪、14は上部転輪、15はロアリンク、16は作業機昇降機構である。
【0025】
走行駆動装置DRは、図2及び図3に示すように、機体前方から、原動機部3のエンジン17、フロントミッション18、リアミッション19の順に配設しており、フロントミッション18の後面には、可変容量型油圧ポンプ76及び定容量型油圧モータ78により構成した静油圧式の操向用無段変速機20(図9参照)を取付け、一方、リアミッション19の前面には、可変容量型油圧ポンプ及び定容量型油圧モータにより構成した静油圧式の走行用無段変速機21を取付けている。
【0026】
次に、走行駆動装置DRの具体的な構成について、動力伝達の順に従い説明する。
【0027】
図2〜図6に示すように、エンジン17とダブルフックジョイント22を介して連動連結したフロントミッション入力軸23を、ギヤトレイン25を介して前記操向用無段変速機20の入力軸20a に連動連結し、同入力軸20a の後端を、フロントミッション18とリアミッション19との間に設けたユニバーサルジョイント26,26 と第1連動軸27とを介し、前記走行用無段変速機21の入力軸21a の前端に連動連結しており、同入力軸21a の後端は、リアミッション19中に設けた動力取出しクラッチ29と中立及び2段変速可能の動力取出し変速部30と噛合減速歯車30a とを介して動力取出し軸31に連動連結している。図中、52はブレーキである。
【0028】
一方、走行用無段変速機21の出力軸21b は、走行用クラッチ32と中立及び3段変速可能の副変速部33を介してリアミッション出力軸34に連動連結しており、リアミッション出力軸34の前端は、ユニバーサルジョイント26,26 と第2連動軸35とを介し、フロントミッション18の後面に軸支した前入力軸36の後端に連動連結しており、前入力軸36の前端に形成した走行用噛合傘歯車37を介し、左右駆動軸38L,38R の間に軸支した中間軸39に連動連結している。
【0029】
中間軸39は、図5に示すように、左右走行部1L,1R の左右駆動軸38L,38R に左右遊星歯車機構40L,40R を介して連動連結しており、同駆動軸38L,38R には、左右駆動輪11L,11R をそれぞれ連動連結している。
【0030】
左右遊星歯車機構40L,40R は、中間軸39の左右両端に左右内歯車43L,43R を嵌着し、同左右内歯車43L,43R に左右ケージ42L,42R を左右遊星歯車41L,41R を介して連動連結しており、同左右ケージ42L,42R は左右駆動軸38L,38R に嵌着している。図中51L,51R は左右遊星歯車41L,41R の回動軸である。
【0031】
一方、操向用無段変速機20は、図5に示すように、前記入力軸20a と連動する出力軸20b に左右差動軸46L,46R を歯車機構48を介して連動連結しており、同歯車機構48は、出力軸20b の前端に操向用原動傘歯車45を取付け、同操向用原動傘歯車45に、左右差動軸46L,46R の内側端に嵌着した左右操向用受動傘歯車47L,47R を噛合している。
【0032】
左右差動軸46L,46R もまた、図5に示すように、左右走行部1L,1R の左右駆動軸38L,38R に左右遊星歯車機構40L,40R を介して連動連結している。すなわち、左右差動軸46L,46R の外側端に左右操向用噛合歯車50L,50R を取付け、同左右操向用噛合歯車50L,50R に左右遊星歯車機構40L,40R の左右太陽歯車49L,49R を噛合しており、同左右太陽歯車49L,49R は、左右駆動軸38L,38R に遊嵌されるとともに、前記左右遊星歯車41L,41R に噛合している。
【0033】
右差動軸46R の中途部には、ステアリングホイール6の操向操作に応じて作動するブレーキ体60としての多板式の油圧ブレーキを取付け、同ブレーキ体60の差動により左右差動軸46L,46R を停止状態と回転状態に切替可能に構成しており、同ブレーキ体60は、右差動軸46R とフロントミッション18のケーシングとの間に多板63を対向状態にして介設し、同多板63にピストン62をスプリング61により付勢している。図中、64はブレーキ体60を作動させる油路である。
【0034】
また、ステアリングホイール6の回動支柱にポテンショメータを取付け、同ポテンショメータによりステアリングホイール6の中立位置を検出し、ステアリングホイール6が中立位置にある場合には、ブレーキ体60をロック状態にし、ステアリングホイール6が中立位置にない場合には、ブレーキ体60を解除状態にするようにしている。
【0035】
そして、ステアリングホイール6を操向操作することにより、ブレーキ体60が解除状態となり、右差動軸46R が回動可能となり、操向用無断変速機20の出力軸20b の動力が左右差動軸46L,46R に操向用原動傘歯車45を介して相互に逆回転方向に伝わるようにしている。
【0036】
従って、ブレーキ体60を解除させた状態においては、エンジン17の動力が走行用無段変速機21及び操向用無段変速機20に伝達され、走行用無段変速機21に伝達された動力は、出力軸21b →副変速部33→リアミッション出力軸34→第2連動軸35→前入力軸36→走行用噛合傘歯車37→中間軸39→左右内歯車43L,43R →左右遊星歯車41L,41R →左右ケージ42L,42R →左右駆動軸38L,38R へと伝達され、一方、操向用無段変速機20に伝達された動力は、出力軸20b →操向用原動傘歯車45→左右操向用受動傘歯車47L,47R →左右差動軸46L,46R →左右操向用噛合歯車50L,50R →左右太陽歯車49L,49R →左右遊星歯車41L,41R →左右ケージ42L,42R →左右駆動軸38L,38R へと伝達される。
【0037】
しかも、操向用無段変速機20に伝達された動力は、左右駆動軸38L,38R をそれぞれ逆回転させる方向に伝達されるため、一方の駆動軸38L(38R)は増速され、他方の駆動軸38R(38L)は減速される。
【0038】
そのため、左右走行部1L,1R に走行速度差が生じ、機体を左右に旋回させることができる。
【0039】
一方、ステアリングホイール6を操向操作しないと、ブレーキ体60が解除されず、右差動軸46R が回動できず、それに伴い操向用無段変速機20の出力軸20b も回動できなくなり、従って、左右差動軸46L,46R が停止状態を維持する。
【0040】
従って、ブレーキ体60を解除させない状態においては、エンジン17の動力が走行用無段変速機21及び操向用無段変速機20に伝達されるが、操向用無段変速機20に伝達された動力は左右駆動軸38L,38R へ伝達されず、走行用無段変速機21に伝達された動力のみが左右駆動軸38L,38R に伝達される。
【0041】
そのため、左右駆動軸38L,38R は、操向用無段変速機20に伝達された動力によっては増減速されず、左右走行部1L,1R に走行速度差が全く生じることはなく、機体の直進性を良好に維持することができる。
【0042】
また、ブレーキ体60の油路64の中途には、内部油路の断面積を比例制御可能な比例制御弁73を介設しており、機体の走行速度に反比例してブレーキ体60の操作圧を変更できるようにしている。
【0043】
すなわち、前後進変速レバー8の基端に操作角検出センサー77を取付け、同操作角検出センサー77の出力を制御部72に入力し、同制御部72により前後進変速レバー8の傾動角に応じて比例制御弁73を制御し、前後進変速レバー8の傾動角が大きい場合、すなわち、機体の走行速度が速いときには、ブレーキ体60の操作圧をさげるようにしている。
【0044】
そのため、高速走行時においては、ブレーキ体60の操作圧が低くなり、ステアリングホイール6を操向操作しても、操向回動角度が小さい場合には、直ちにブレーキ体60が解除状態とはならず、左右差動軸46L,46R が回動できず、機体は継続して直進することとなり、機体の直進性を良好に維持でき、高速走行時の操作感覚を良好なものとすることができる。
【0045】
一方、低速走行時においては、ブレーキ体60の操作圧が高くなり、ステアリングホイール6の操向操作に応じてブレーキ体60が解除状態となり、機体を旋回させることができる。
【0046】
また、操向用無段変速機20は、図9に示すように、可変容量ポンプ76と定容量型油圧モータ78を連動連結する閉油路79の中途に正逆転切替バルブ75とブロックバルブ74とを介設しており、正逆転切替バルブ75は、ステアリングホイール6の操向操作に応じて定容量型油圧モータ78を正転、停止、逆転状態に切替可能に構成され、ブロックバルブ74は、ステアリングホイール6の操向操作に応じて閉油路79を連通、遮断状態に切替可能に構成されている。
【0047】
そして、ステアリングホイール6を操向操作すると、すなわち、機体を旋回させる場合には、正逆転切替バルブ75が定容量型油圧モータ78を正転又は逆転させる位置に切り替わるとともに、ブロックバルブ74が閉油路79を連通する位置に切り替わり、従って、ステアリングホイール6の操向操作に応じて定容量型油圧モータ78が作動し、機体を旋回させることができる。
【0048】
一方、ステアリングホイール6を操向操作せずに、機体を直進させる場合には、正逆転切替バルブ75が定容量型油圧モータ78を停止させる位置に切り替わるとともに、ブロックバルブ74が閉油路79を遮断する位置に切り替わり、従って、定容量型油圧モータ78を停止させることができ、機体を直進させることができる。
【0049】
そのため、定容量型油圧モータ78の中立状態に個体差があっても、両バルブ74,75 の作用により、定容量型油圧モータ78を確実に停止させることができ、機体の直進性を良好に維持することができる。
【0050】
図7は、本発明に係る走行駆動装置DRの他実施例を示しており、左右差動軸46L,46R の間にステアリングホイール6の操向操作に応じて作動するクラッチ体65としての多板式の油圧クラッチを介設し、同クラッチ体65の作動により左右差動軸46L,46R を停止状態と回転状態に切替可能に構成している。
【0051】
クラッチ体65は、左差動軸46L の基端に円柱状のクラッチ凸部46a を突設し、同クラッチ凸部46a の外周側面に形成したスプライン溝に複数の多板68をスプライン嵌合する一方、右差動軸46R の基端に円筒状のクラッチ本体66を嵌着し、同クラッチ本体66の内周側面に形成したスプライン溝に複数の多板67を前記多板68と対向させた状態でスプライン嵌合し、同多板67にピストン69をスプリング70により付勢しており、右差動軸46R の断面中央部に形成した油路71内の油圧によりピストン69をスプリング70の付勢力に対抗させて移動させることにより、多板67,68 を係脱可能に構成している。
【0052】
そして、ステアリングホイール6を操向操作することにより、クラッチ体65が切断状態となり、左右差動軸46L,46R が回動可能となり、操向用無断変速機20の出力軸20b の動力が左右差動軸46L,46R に操向用原動傘歯車45を介して相互に逆回転方向に伝わるようにしている。
【0053】
従って、クラッチ体65を切断させた状態においては、前述したブレーキ体60を解除させた場合と同様に、エンジン17の動力が走行用無段変速機21及び操向用無段変速機20に伝達され、さらに、左右駆動軸38L,38R へと伝達される。
【0054】
しかも、操向用無段変速機20に伝達された動力は、左右駆動軸38L,38R をそれぞれ逆回転させる方向に伝達されるため、一方の駆動軸38L(38R)は増速され、他方の駆動軸38R(38L)は減速される。
【0055】
そのため、左右走行部1L,1R に走行速度差が生じ、機体を左右に旋回させることができる。
【0056】
一方、ステアリングホイール6を操向操作しないと、クラッチ体65が接続して、左右差動軸46L,46R が回動できず、それに伴い操向用無段変速機20の出力軸20b も回動できなくなり、従って、左右差動軸46L,46R が停止状態を維持する。
【0057】
従って、クラッチ体65を接続した状態においては、エンジン17の動力が走行用無段変速機21及び操向用無段変速機20に伝達されるが、操向用無段変速機20に伝達された動力は左右駆動軸38L,38R へ伝達されず、走行用無段変速機21に伝達された動力のみが左右駆動軸38L,38R に伝達される。
【0058】
そのため、左右駆動軸38L,38R は、操向用無段変速機20に伝達された動力によっては増減速されず、左右走行部1L,1R に走行速度差が全く生じることはなく、機体の直進性を良好に維持することができる。
【0059】
しかも、クラッチ体65により左右差動軸46L,46R を直結しているため、ステアリングホイール6を中立位置に戻した際に、直ちに左右差動軸46L,46R が接続されるのではなく、クラッチ体65により連続的に接続され、従って、機体の走行速度が連続的に変化することとなり、走行時の操向操作感覚を良好なものとすることができる。
【0060】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0061】
(1) 請求項1記載の本発明では、左右差動軸の間にクラッチ体を介設し、同クラッチ体の作動により左右差動軸を切断状態と接続状態に切替可能に構成し、前記クラッチ体は、操向回動自在に配置したステアリングホイールの操向操作に応じて作動するようにているため、ステアリングホイールを操向操作してクラッチ体を切断状態とし、左右差動軸をそれぞれ逆方向に同一回転数で回転させることにより、エンジンの動力が走行用無段変速機及び操向用無段変速機を介して左右駆動軸に伝わり、一方の駆動軸は増速され、他方の駆動軸は減速され、左右走行部に走行速度差が生じ、従って、機体を左右に旋回させることができる。
【0062】
また、ステアリングホイールを中立位置に戻してクラッチ体を接続し左右差動軸を直結することにより、左右差動軸が回転できなくなり、エンジンの動力が走行用無断変速機のみを介して左右駆動軸に伝わり、左右駆動軸が同一方向に同一速度で回転することとなり、左右走行部に走行速度差が全く生じることがなく、従って、機体を直進させた状態を確実に維持することができ、機体の直進性を良好に確保することができる。
【0063】
しかも、クラッチ体により左右差動軸を直結しているため、ステアリングホイールを中立位置に戻した際に、直ちに左右差動軸が接続されるのではなく、クラッチ体により連続的に接続され、従って、機体の走行速度が連続的に変化することとなり、走行時の操向操作感覚を良好なものとすることができる。
【0064】
(2) 請求項2記載の本発明では、左右差動軸の少なくともいずれか一方にブレーキ体を取付け、同ブレーキ体の作動により左右差動軸を停止状態と回転状態に切替可能に構成し、前記ブレーキ体は、操向回動自在に配置したステアリングホイールの操向操作に応じて作動するようにしているため、ステアリングホイールを操向操作してブレーキ体を解除状態とし、左右差動軸をそれぞれ逆方向に回転させることにより、エンジンの動力が走行用無段変速機及び操向用無段変速機を介して左右駆動軸に伝わり、一方の駆動軸は増速され、他方の駆動軸は減速され、左右走行部に走行速度差が生じ、従って、機体を左右に旋回させることができる。
【0065】
また、ステアリングホイールを中立位置に戻してブレーキ体により左右差動軸を停止状態に保持することにより、エンジンの動力が走行用無断変速機のみを介して左右駆動軸に伝わり、左右駆動軸が同一方向に同一速度で回転することとなり、左右走行部に走行速度差が全く生じることがなく、従って、機体を直進させた状態を確実に維持することができ、機体の直進性を良好に確保することができる。
【0066】
(3) 請求項3記載の本発明では、前記ブレーキ体の操作圧が、機体の走行速度が速いときは低くなり、機体の走行速度が遅いときは高くなるように構成しているため、高速走行時においては、ブレーキ体の操作圧が低くなり、ステアリングホイールを操向操作しても、操向回動角度が小さい場合には、直ちにブレーキ体が解除状態とはならず、左右差動軸が回動せず、機体は継続して直進することとなり、機体の直進性を良好に維持でき、高速走行時の操作感覚を良好なものとすることができる。
【0067】
また、低速走行時においては、ブレーキ体の操作圧が高くなり、ステアリングホイールの操向操作に応じてブレーキ体が解除状態となり、機体を円滑かつ迅速に旋回させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る走行駆動装置を具備する農作業機の左側面図。
【図2】走行駆動装置の構成を模式的に示す平面説明図。
【図3】走行駆動装置の構成を示す平面図。
【図4】フロントミッションの一部切欠側面図。
【図5】フロントミッションの内部構成を示す一部断面説明図。
【図6】リアミッションの一部切欠側面図。
【図7】クラッチ体を示す一部断面平面図。
【図8】ブレーキ体の制御部を示す説明図。
【図9】操向用無段変速機の内部構成を模式的に示す説明図。
【符号の説明】
DR 走行駆動装置
TR トラクタ
1L,1R 走行部
20 操向用無断変速機
21 走行用無断変速機
37 走行用噛合傘歯車
38L,38R 駆動軸
39 中間軸
40L,40R 遊星歯車機構
41L,41R 遊星歯車機構
42L,42R ケージ
43L,43R 内歯車
45 操向用原動傘歯車
46L,46R 差動軸
47L,47R 操向用受動傘歯車
48 歯車機構
49L,49R 太陽歯車
50L,50R 操向用噛合歯車
60 ブレーキ体
65 クラッチ体
73 比例制御弁

Claims (3)

  1. エンジン(17)に走行用無段変速機(21)及び操向用無段変速機(20)を連動連結し、
    走行用無段変速機(21)に左右内歯車(43L,43R) を連動連結するとともに、
    操向用無段変速機(20)に左右差動軸(46L,46R) を相互に逆方向に同一回転数で回転するように連動連結し、同左右差動軸(46L,46R) に左右太陽歯車(49L,49R)を連動連結し、
    しかも、前記左右内歯車(43L,43R) 及び左右太陽歯車(49L,49R) に左右遊星歯車(41L,41R) を噛合し、同左右遊星歯車(41L,41R) は、左右走行部(1L,1R) の駆動軸(38L,38R) に嵌合した左右ケージ(42L,42R) に軸支し、
    両無段変速機(20,21) の回転数に応じて左右駆動軸(38L,38R) の回転数をそれぞれ増減させて、機体を旋回増減速させる走行駆動装置であって、
    前記左右差動軸(46L,46R) の間にクラッチ体(65)を介設し、同クラッチ体(65)の作動により左右差動軸(46L,46R) を切断状態と接続状態に切替可能に構成し
    前記クラッチ体 (65) は、操向回動自在に配置したステアリングホイール (6) の操向操作に応じて作動するようにしたことを特徴とする農作業機の走行駆動装置。
  2. エンジン(17)に走行用無段変速機(21)及び操向用無段変速機(20)を連動連結し、
    走行用無段変速機(21)に左右内歯車(43L,43R) を連動連結するとともに、
    操向用無段変速機(20)に左右差動軸(46L,46R) を相互に逆方向に同一回転数で回転するように連動連結し、同左右差動軸(46L,46R) に左右太陽歯車(49L,49R)を連動連結し、
    しかも、前記左右内歯車(43L,43R) 及び左右太陽歯車(49L,49R) に左右遊星歯車(41L,41R) を噛合し、同左右遊星歯車(41L,41R) は、左右走行部(1L,1R) の駆動軸(38L,38R) に嵌合した左右ケージ(42L,42R) に軸支し、
    両無段変速機(20,21) の回転数に応じて左右駆動軸(38L,38R) の回転数をそれぞれ増減させて、機体を旋回増減速させる走行駆動装置であって、
    前記左右差動軸(46L,46R) の少なくともいずれか一方にブレーキ体(60)を取付け、同ブレーキ体(60)の作動により左右差動軸(46L,46R) を停止状態と回転状態に切替可能に構成し
    前記ブレーキ体 (60) は、操向回動自在に配置したステアリングホイール (6) の操向操作に応じて作動するようにしたことを特徴とする農作業機の走行駆動装置。
  3. 前記ブレーキ体(60)は、機体の走行速度が速いときは、ブレーキ体 (60) の操作圧が低くなり、機体の走行速度が遅いときは、ブレーキ体 (60) の操作圧が高くなるように構成したことを特徴する請求項2記載の農作業機の走行駆動装置。
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