JP3676079B2 - 重合体組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、極性を有する材料および非極性の材料のいずれに対しても優れた粘着力を示し且つ高い凝集力を有する熱可塑性の重合体組成物および該重合体組成物を用いてなる粘着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系重合体ブロックとジエン系重合体ブロックを有するブロック共重合体(以下「スチレン・ジエンブロック共重合体」ということがある)およびその水素添加物は、常温でゴム弾性を有し、加熱により可塑化・溶融し、取り扱い性や成形・加工性に優れ、しかも柔軟性や力学的特性にも優れていることから、いわゆる熱可塑性弾性体(熱可塑性エラストマー)の1種として近年種々の分野で広く用いられている。スチレン・ジエンブロック共重合体の代表的な用途の1つとして粘着剤(感圧接着剤)が挙げられ、スチレン・ジエンブロック共重合体をベースポリマーとし、これに粘着付与樹脂、可塑剤(プロセスオイル等)を配合して得られる粘着剤は、粘着シートまたはテープ(感圧接着シートまたはテープ)の製造、制振シートの製造、自動車用粘着性シール剤などに用いられている。
【0003】
粘着剤や粘着テープなどの粘着製品においては、高い粘着力と高い凝集力の両方の特性が求められている。粘着剤の粘着力が低いと被着体に強固に粘着することができなくなって剥がれ易くなる。一方、粘着剤の凝集力が低いと、被着体に粘着させた粘着剤や粘着製品の保持力(ずり抵抗性)が低下して、被着体における位置ずれや被着体からの落下などを生じ易くなり、また被着体から粘着剤や粘着テープなどの製品を剥がす必要が生じた時に粘着剤の一部が被着体に残留してきれいに剥がすことができなくなる。しかしながら、粘着力と凝集力とは一般に相反する性質であり、そのため高い粘着力と高い凝集力を粘着剤や粘着製品に兼備させることは困難であり、両方の特性に優れる重合体組成物、粘着剤および粘着製品が求められてきたが、十分に満足のゆく製品が得られていなかった。
【0004】
また、特開平7−41636号公報には、酸変性したスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体に対して金属塩または金属酸化物を含有させてイオン架橋させた重合体組成物およびそれよりなるホットメルト接着剤が記載されている。この重合体組成物およびホットメルト接着剤では、酸変性したスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体を金属塩または金属酸化物を用いてイオン架橋させていることにより、凝集力の向上は見られるものの、その一方で接着力(粘着力)の低下が著しく、粘着力および凝集力の両方の特性をバランス良く兼ね備えていない。しかも、この公報に記載されている重合体組成物およびホットメルト接着剤は、被着体(材料)の極性の有無によってその接着力(粘着力)が大きく左右され、ポリプロピレンなどのような非極性の材料に対する粘着力が極めて低い。
【0005】
さらに、粘着テープや粘着シートなどの粘着製品の製造に当たっては、粘着剤の有機溶媒溶液やエマルジヨンをフィルムやシートなどの基材に塗布する方法が広く採用されている。しかしながら、有機溶媒溶液やエマルジヨンを用いる方法は、粘着剤を有機溶媒に溶解したり水に分散させる工程およびそれらを基材に塗布した後に乾燥する工程を要し、そのため工程の複雑化、熱効率の低下、コストの増加などを招いている。しかも、粘着剤の有機溶媒溶液を用いる場合は、有機溶媒による作業環境や地球環境の悪化の問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、スチレン・ジエンブロック共重合体またはその水素添加物などのような、芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロックと共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックを有するブロック共重合体および/またはその水素添加物からなるブロック共重合体をベースとし、該ブロック共重合体が本来有する良好な弾力性、柔軟性、力学的特性などの諸特性を有し、極性を有する材料および非極性の材料のいずれに対しても強固に粘着し、しかも高い凝集力を有していて位置ずれがなく(保持力が高く)且つ粘着剤や粘着製品を被着体から剥離させる必要が生じた際に粘着剤が被着体に残留せず完全にきれいに剥がすことのできる重合体組成物、および該重合体組成物を用いてなる粘着剤を提供することである。
さらに、本発明の目的は、容易に加熱溶融し、その溶融物をシートやフィルムなどの基材に塗布することによって、有機溶媒溶液やエマルジヨンなどの形態にしなくても、粘着テープや粘着シートなどの粘着製品を、簡単な工程で且つ作業環境や地球環境の汚染や悪化を生ずることなく、安全に、経済的に製造することのできる重合体組成物および該重合体組成物を用いてなる粘着剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく本発明者らは種々検討を重ねてきた。その結果、芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロックと共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックを有するブロック共重合体および/またはその水素添加物からなる熱可塑性の弾性重合体に対して、芳香族ビニル化合物およびオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から主としてなる重合体ブロックとカルボキシル基および酸無水基から選ばれる官能基を有する重合性単量体に由来する構造単位を有する重合体ブロックとを有するブロック共重合体、並びに金属酸化物、金属水酸化物および金属塩から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を特定の割合で配合すると、それにより得られる重合体組成物は、熱可塑性、熱溶融性で取り扱い性に優れていること、高い粘着力と高い凝集力を兼ね備えていること、極性を有する材料および非極性の材料の両方に対して高い粘着力を示すこと、しかも前記熱可塑性の弾性重合体が本来有する良好な弾力性、柔軟性、力学的特性、透明性などの諸特性を保持していることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、(i)▲1▼ 芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロック(A)と共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体(I);
▲2▼ 芳香族ビニル化合物およびオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から主としてなる重合体ブロック(C)と、カルボキシル基および酸無水基から選ばれる官能基を有する重合性単量体に由来する構造単位を有する重合体ブロック(D)を有するブロック共重合体(II);並びに、
▲3▼ 金属酸化物、金属水酸化物および金属塩から選ばれる少なくとも1種の金属化合物(III);
を含有する重合体組成物であって、
(ii) ブロック共重合体(I)100重量部に対して、ブロック共重合体(II)を0.1〜200重量部の割合で含有し;且つ
(iii) ブロック共重合体(II)100重量部に対して、金属化合物(III)を0.1〜20重量部の割合で含有する;
ことを特徴とする重合体組成物である。
そして、本発明は、前記の重合体組成物を用いてなる粘着剤である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の重合体組成物で用いるブロック共重合体(I)は、上記のように、芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロック(A)[以下「芳香族ビニル重合体ブロック(A)」という]と、共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロック(B)[以下「共役ジエン重合体ブロック(B)」という]を有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種からなっている。
【0010】
ブロック共重合体(I)における芳香族ビニル重合体ブロック(A)を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、1,3−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレンなどのビニル芳香族化合物を挙げることができる。芳香族ビニル重合体ブロック(A)は、前記した芳香族ビニル化合物の1種のみからなる構造単位を有していても、または2種以上からなる構造単位を有していてもよい。そのうちでも、芳香族ビニル重合体ブロック(A)はスチレンに由来する構造単位から主としてなっていることが好ましい。
【0011】
芳香族ビニル重合体ブロック(A)は、芳香族ビニル化合物からなる構造単位と共に他の共重合性単量体からなる構造単位を少量有していてもよく、その場合の他の共重合性単量体からなる構造単位の割合は、芳香族ビニル重合体ブロック(A)の重量に基づいて30重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
その場合の他の共重合性単量体としては、例えば1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテルなどのイオン重合性単量体を挙げることができる。
【0012】
また、ブロック共重合体(I)における共役ジエン重合体ブロック(B)を構成する共役ジエン化合物としては、イソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどを挙げることができ、共役ジエン重合体ブロック(B)はこれらの共役ジエン化合物の1種から構成されていてもまたは2種以上から構成されていてもよい。そのうちでも、共役ジエン重合体ブロック(B)は、イソプレンおよびブタジエンの一方または両方から構成されていることが好ましい。
【0013】
共役ジエン重合体ブロック(B)における共役ジエン化合物の結合形態は特に制限されない。例えば、ブタジエンの場合は1,2−結合および/または1,4−結合、そしてイソプレンの場合は1,2−結合、3,4−結合および/または1,4−結合を採ることができ、それらのいずれの結合形態であってもよい。
そのうちでも、共役ジエン重合体ブロック(B)がイソプレンから形成されている場合、またはイソプレンとブタジエンから形成されている場合は、共役ジエン化合物重合体ブロックにおける3,4−結合および1,2−結合の合計が1〜95モル%であることが好ましい。
【0014】
また、共役ジエン重合体ブロック(B)が2種以上の共役ジエン化合物に由来する構造単位を有している場合は、それらの結合形態はランダム、テーパー、一部ブロック状、またはそれらの2種以上の組み合わせからなっていることができる。
【0015】
ブロック共重合体(I)における芳香族ビニル重合体ブロック(A)と共役ジエン重合体ブロック(B)との結合形態は特に制限されず、直鎖状、分岐状、放射状、またはそれらの2つ以上が組合わさった結合形態のいずれであってもよく、直鎖状の結合形態であることが好ましい。
直鎖状の結合形態を有するブロック共重合体(I)の例としては、芳香族ビニル重合体ブロック(A)をAで、また共役ジエン重合体ブロック(B)をBで表したときに、A−Bで表されるジブロック共重合体、A−B−AまたはB−A−Bで表されるトリブロック共重合体、A−B−A−BまたはB−A−B−Aで表されるテトラブロック共重合体、またはAとBとが5個以上直鎖状に結合しているポリブロック共重合体などを挙げることができる。
それらのうちでも、ブロック共重合体(I)が、A−Bで表されるジブロック共重合体および/またはA−B−Aで表されるトリブロック共重合体であることが、弾力性、力学的特性、粘着性、凝集性の点から好ましい。
【0016】
ブロック共重合体(I)は、耐熱性および耐候性が良好なものとなる点から、その共役ジエン重合体ブロック(B)における不飽和二重結合の一部または全部が水素添加(以下「水添」ということがある)されていることが好ましい。その際の共役ジエン重合体ブロック(B)の水添率は50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることがさらに好ましい。
【0017】
また、ブロック共重合体(I)では、その水添前の全重量に基づいて、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量が5〜75重量%であることが、その弾力性、柔軟性、力学的特性などの点から好ましく、5〜45重量%であることがより好ましい。
【0018】
さらに、ブロック共重合体(I)では、芳香族ビニル重合体ブロック(A)および共役ジエン重合体ブロック(B)の分子量は特に制限されないが、水添前の状態で、芳香族ビニル重合体ブロック(A)の数平均分子量が500〜100,000の範囲であり、共役ジエン重合体ブロック(B)の数平均分子量が2,500〜400,000であることが好ましい。
また、ブロック共重合体(I)の全体の数平均分子量は、水添前の状態で、3,000〜500,000の範囲であることが、力学的特性、成形加工性などの点から好ましい。
なお、本明細書でいう数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検量線から求めた値をいう。
【0019】
ブロック共重合体(I)の製造法は特に制限されず従来既知の方法で製造することができ、例えば、アニオン重合やカチオン重合などのイオン重合法、シングルサイト重合法、ラジカル重合法などのいずれで製造してもよい。
アニオン重合法による場合は、例えば、アルキルリチウム化合物などを重合開始剤として用いて、n−ヘキサンやシクロヘキサンなどの不活性有機溶媒中で、芳香族ビニル化合物、共役ジエン化合物を逐次重合させ、所望の分子構造および分子量を有するブロック共重合体を製造した後、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させ、次いでアルコール類、カルボン酸類、水などの活性水素化合物を添加して重合を停止させることにより製造することができる。
そして、前記により製造されるブロック共重合体を好ましくは公知の方法にしたがって不活性有機溶媒中で水添触媒の存在下に水添して、水添されたブロック共重合体(I)を得ることができる。
【0020】
また、本発明の重合体組成物で用いるブロック共重合体(II)は、上記のように、芳香族ビニル化合物およびオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から主としてなる重合体ブロック(C)と、カルボキシル基および酸無水基から選ばれる官能基を有する重合性単量体に由来する構造単位を有する重合体ブロック(D)を有するブロック共重合体である。
【0021】
ブロック共重合体(II)における重合体ブロック(C)は、芳香族ビニル化合物単独で構成されていても、オレフィン化合物単独で構成されていても、芳香族ビニル化合物およびオレフィン化合物の両方から構成されていても、或いは芳香族ビニル化合物およびオレフィン化合物の少なくとも一方と他の少量の共重合性単量体から構成されていてもよい。
【0022】
また、重合体ブロック(C)が、芳香族ビニル化合物およびオレフィン化合物のうちの2種類以上の単量体から構成されている場合は、それらの結合形態はランダム、テーパー、一部ブロック状、またはそれらの2種以上の組み合わせからなっていることができる
【0023】
重合体ブロック(C)を構成し得る芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、1,3−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレンなどのビニル芳香族化合物を挙げることができ、重合体ブロック(C)は、前記した芳香族ビニル化合物の1種または2種以上からなる構造単位を有することができる。
【0024】
また、重合体ブロック(C)を構成し得るオレフィン化合物としては、炭素数2〜10のオレフィン類や、ジエン系炭化水素化合物を挙げることができ、具体的には、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、ブタジエン、イソプレンなどを挙げることができる。重合体ブロック(C)がブタジエンやイソプレンなどのジエン系炭化水素からなる構造単位を有する場合は水添によってオレフィンの形態になっていることが好ましい。
【0025】
上記したうちでも、重合体ブロック(C)が、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、それらの水素添加物などの重合体の1種または2種以上からなる重合体ブロックであることが、ブロック共重合体(II)とブロック共重合体(I)との相容性が良好になり、粘着性に優れ、凝集力が高く、且つ透明性に優れる重合体組成物および粘着剤が得られる点から好ましい。
【0026】
また、ブロック共重合体(II)における重合体ブロック(D)は、カルボキシル基および酸無水基から選ばれる官能基を有する重合性単量体[以下これを「官能基含有単量体(d−1)」ということがある]に由来する構造単位を有する重合体ブロックである。
重合体ブロック(D)は、官能基含有単量体(d−1)に由来する構造単位のみからなっていてもよいが、重合体組成物および粘着剤の粘着性、凝集力、透明性、耐食性などの点から、官能基含有単量体(d−1)と、カルボキシル基および酸無水基を持たない重合性単量体[以下これを「他の単量体(d−2)」ということがある]との共重合体、すなわち官能基含有単量体(d-1)に由来する構造単位と他の単量体(d-2)に由来する構造単位を有する重合体よりなる重合体ブロックであることが好ましい。
【0027】
その際に、ブロック共重合体(II)では、重合体組成物およびそれを用いてなる粘着剤の粘着性、凝集力、透明性、濡れ性、耐食性などの点から、官能基含有単量体(d−1)に由来する構造単位に基づくカルボキシル基および/または酸無水基の割合[カルボキシル基と酸無水基の両方を有する場合は合計量」が、重合体ブロック(D)を構成する全構造単位(全単量体単位)に基づいて、0.1〜50モル%の範囲であることが好ましく、0.1〜20モル%の範囲であることがより好ましい。
また、重合体ブロック(D)における他の単量体(d−2)に由来する構造単位の割合は、重合体ブロック(D)を構成する全構造単位(全単量体単位)に基づいて、50〜99.9モル%であることが好ましく、80〜99.9モル%であることがより好ましい。
重合体ブロック(D)における官能基含有単量体(d−1)に由来する構造単位に基づくカルボキシル基および/または酸無水基の割合が0.1モル%未満であると、重合体組成物および粘着剤の凝集力の低下、被着体に対する濡れ性の低下を生じ易く、一方50モル%を超えると粘着性の低下、非極性樹脂との密着性の低下などを生じ易くなる。
【0028】
重合体ブロック(D)を構成する官能基含有単量体(d−1)としては、カルボキシル基および/または酸無水基を有し且つ重合性の炭素−炭素間二重結合を有する単量体であればいずれも使用可能であり特に制限されない。そのうちでも、官能基含有単量体(d−1)の好ましい具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸などを挙げることができる。重合体ブロック(D)は、前記した官能基含有単量体(d−1)の1種のみに由来する構造単位を有していてもまたは2種以上に由来する構造単位を有していてもよい。そのうちでも、重合体ブロック(D)における官能基含有単量体(d−1)に由来する構造単位が、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸に由来する構造単位であることが粘着剤の粘着性、凝集性の点から好ましい。
【0029】
また、重合体ブロック(D)が、官能基含有単量体(d−1)に由来する構造単位と他の単量体(d−2)に由来する構造単位を有する共重合体よりなっている場合は、他の単量体(d−2)が、官能基含有単量体(d−1)と共重合可能であり且つカルボキシル基および酸無水基を持たず、更に金属化合物(III)との間でイオン結合反応やその他の反応を生ずる官能基を持たない単量体であることが望ましく、特に(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルおよびそれらの誘導体であることが好ましい。
他の単量体(d−2)が(メタ)アクリル酸エステルである場合の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジルなどを挙げることができる。重合体ブロック(D)は、他の単量体(d−2)に由来する構造単位として、前記した単量体の1種のみに由来する構造単位を有していても、または2種以上に由来する構造単位を有していてもよい。
【0030】
重合体ブロック(D)が官能基含有単量体(d−1)に由来する構造単位と他の単量体(d−2)に由来する構造単位を有している場合は、それらの結合形態はランダム、テーパー、一部ブロック状、またはそれらの2種以上の組み合わせからなっていることができる。そのうちでも、ランダムな結合形態になっていることが、重合体組成物およびそれを用いてなる粘着剤の凝集性および粘着性が良好になり、また製造が容易である点から好ましい。
【0031】
ブロック共重合体(II)における重合体ブロック(C)と重合体ブロック(D)との結合形態は特に制限されず、直鎖状、分岐状、放射状、またはそれらの2つ以上が組合わさった結合形態のいずれであってもよく、直鎖状の結合形態であることが好ましい。
直鎖状の結合形態を有するブロック共重合体(II)の例としては、重合体ブロック(C)をCで、また重合体ブロック(D)をDで表したときに、C−Dで表されるジブロック共重合体、C−D−CまたはD−C−Dで表されるトリブロック共重合体、C−D−C−Dで表されるテトラブロック共重合体、またはCとDとが5個以上直鎖状に結合しているポリブロック共重合体などを挙げることができる。それらのうちでも、ブロック共重合体(I)との相容性、重合体組成物およびそれを用いてなる粘着剤の弾力性、力学的特性、粘着性、凝集性、ブロック共重合体(II)の製造の容易性などの点から、ブロック共重合体(II)が、C−Dで表されるジブロック共重合体、或いはC−D−CまたはD−C−Dで表されるトリブロック共重合体であることが好ましい。
【0032】
ブロック共重合体(II)では、重合体ブロック(C)および重合体ブロック(D)の分子量は特に制限されないが、重合体ブロック(C)の数平均分子量が1,000〜100,000の範囲であることが好ましく、2,500〜50,000の範囲であることがより好ましく、また重合体ブロック(D)の数平均分子量が1,000〜100,000の範囲であることが好ましく、2,500〜50,000の範囲であることがより好ましい。
また、ブロック共重合体(II)の全体の数平均分子量は、2,000〜200,000の範囲であることが好ましく、5,000〜100,000の範囲であることがより好ましい。
重合体ブロック(C)および重合体ブロック(D)の数平均分子量並びにブロック共重合体(II)の全体の数平均分子量が上記した範囲にあるブロック共重合体(II)を用いると、ブロック共重合体(I)との混和性、重合体組成物およびそれを用いてなる粘着剤の力学的特性、粘着性、凝集性などが優れたものとなる。
【0033】
ブロック共重合体(II)の製法は特に制限されないが、例えば、次のようにして製造することができる。すなわち、重合体ブロック(C)[または重合体ブロック(D)]を構成する単量体成分を、チオ−S−カルボン酸、2−アセチルチオエチルチオール、10−アセチルチオデカンチオールなどのような分子内にメルカプト基を有する化合物の存在下にラジカル重合し、それにより得られる重合体を水酸化ナトリウム、アンモニアなどのアルカリ、または塩酸、硫酸などの酸で処理することによって片末端にメルカプト基を有する重合体をつくり、その重合体の存在下に、重合体ブロック(D)[または重合体ブロック(C)]を構成する単量体成分をラジカル重合することによってブロック共重合体(II)を得ることができる。前記において、重合体ブロック(D)を構成する重合体の製造時に、単量体成分として官能基含有単量体(d−1)を用いる、好ましくは官能基含有単量体(d−1)と他の単量体(d−2)を用いることによって、重合体ブロック(D)にカルボキシル基および/または酸無水基を導入することができる。この方法による場合は、目的とする数平均分子量および分子量分布を有するブロック共重合体(II)を簡単に且つ効率的に製造することができる。
【0034】
さらに、本発明の重合体組成物および粘着剤では、上記したブロック共重合体(I)およびブロック共重合体(II)と共に、金属酸化物、金属水酸化物および金属塩から選ばれる少なくとも1種の金属化合物(III)を必須成分として含有する。金属化合物(III)は、ブロック共重合体(II)を構成する重合体ブロック(D)が有しているカルボキシル基および/または酸無水基との間でイオン結合反応、配位結合反応などを生じて、架橋作用などを示し、本発明の重合体組成物および粘着剤の凝集力を向上させる。
【0035】
金属化合物(III)としては、ブロック共重合体(II)における重合体ブロック(D)が有しているカルボキシル基および/または酸無水基との間でイオン結合反応、配位結合反応などを生じ得る金属酸化物、金属水酸化物および金属塩であればいずれも使用できる。
そのうちでも、本発明では金属化合物(III)として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期律表の第IB族、第IIB族、第III族、第IV族および第VIII族の金属の酸化物、水酸化物および塩から選ばれる少なくとも1種の金属化合物が好ましく用いられる。本発明で好ましく用いられる金属化合物(III)の具体例としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、酢酸亜鉛、酢酸アルミニウム、ジ−i−プロポキシ−ビス(2,4−ペンタンジオン)チタネートなどを挙げることができ、前記した金属化合物の1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、本発明では、金属化合物(III)として、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、酢酸亜鉛が反応性の点からより好ましく用いられる。
【0036】
本発明の重合体組成物および粘着剤は、上記したブロック共重合体(I)100重量部に対して、ブロック共重合体(II)を0.1〜200重量部の割合で含有しており、特に10〜100重量部の割合で含有していることが好ましい。ブロック共重合体(I)100重量部に対して、ブロック共重合体(II)の配合割合が0.1重量部未満であると重合体組成物および粘着剤の凝集力が向上せず、一方ブロック共重合体(II)の配合割合が200重量部を超えると重合体組成物および粘着剤の粘着性、耐熱性などが低下する。
【0037】
また、本発明の重合体組成物および粘着剤は、ブロック共重合体(II)100重量部に対して、金属化合物(III)を0.1〜20重量部の割合で含有しており、特に0.1〜10重量部の割合で含有していることが好ましく、0.1〜5重量部の割合で含有していることがより好ましい。ブロック共重合体(II)100重量部に対して、金属化合物(III)の配合割合が0.1重量部未満であると重合体組成物および粘着剤の凝集力が向上せず、一方金属化合物(III)の配合割合が20重量部を超えると重合体組成物および粘着剤の粘着性、力学的特性などが低下する。
【0038】
ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)および金属化合物(III)を含有する本発明の重合体組成物は、その優れた粘着性、凝集力、弾力性、柔軟性、力学的特性、透明性などの諸特性を活かして、粘着剤、シーリング剤、成形材料、コーティング剤、積層構造体用接着剤などとして有効に使用することができ、特に粘着剤として有用である。
本発明の重合体組成物を粘着剤として用いる場合は、ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)および金属化合物(III)のみを用いて粘着剤を調製してもよい。しかしながら、ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)および金属化合物(III)と共に、粘着剤において従来から汎用されている粘着付与樹脂および/または可塑剤を併用して粘着剤を調製することが好ましく、その場合には粘着性、凝集性、取り扱い性、被着体に対する濡れ性に一層優れる粘着剤を得ることができる。
【0039】
本発明の粘着剤で粘着付与樹脂を用いる場合は、粘着付与樹脂の種類は特に制限されず、粘着剤において従来から用いられている粘着付与樹脂のいずれもが使用でき、具体例としては、クマロン・インデン樹脂、フェノール樹脂、p−第三−ブチルフェノ−ル・アセチレン樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、テルペンフェノール樹脂、ポリテルペン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、合成ポリテルペン樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、モノオレフィンやジオレフィンのオリゴマー樹脂、水添テルペン樹脂、水添芳香族系炭化水素樹脂、水添脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系飽和炭化水素樹脂、ポリブテン、ロジンの多価アルコールエステル、水添ロジン、水添ウッドロジン、水添ロジンとモノアルコールまたは多価アルコールとのエステル、テレピン系粘着付与樹脂などを挙げることができる。これらの粘着付与樹脂は単独で使用してもまたは2種以上を併用してもよい。そのうちでも、本発明の粘着剤では、粘着付与樹脂として、水添テルペン樹脂、水添脂肪族系炭化水素樹脂、水添芳香族系炭化水素樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂が相容性、粘着性の点から好ましく用いられる。
【0040】
粘着剤における粘着付与樹脂の使用割合は、ブロック共重合体(I)100重量部に対して、10〜400重量部であることが好ましく、100〜300重量部であることがより好ましい。粘着付与樹脂の使用割合が前記の範囲であると、粘着性、凝集力(保持力)、柔軟性、取り扱い性、濡れ性などに優れる粘着剤を得ることができる。
【0041】
本発明の粘着剤で可塑剤(軟化剤)を用いる場合は、可塑剤の種類は特に制限されず、粘着剤において従来から用いられている可塑剤のいずれもが使用でき、具体例としては、パラフィン系プロセスオイル、ナフタレン系プロセスオイルなどのプロセスオイル、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレートで代表されるフタル酸誘導体、植物油系可塑剤(軟化剤)、ラノリン、液状ポリブテン、液状ポリアクリレートなどを挙げることができ、これらの可塑剤(軟化剤)の1種または2種以上を用いることができる。
可塑剤(軟化剤)の使用割合は、ブロック共重合体(I)100重量部に対して、1〜300重量部であることが好ましく、20〜100重量部であることがより好ましい。可塑剤(軟化剤)の使用割合が前記した範囲であると、粘着性、凝集力、取り扱い性、濡れ性などに優れる粘着剤を得ることができる。可塑剤(軟化剤)の使用割合が前記した300重量部よりも多いとブリードが激しくなって粘着剤の品質が低下し易くなる。
【0042】
粘着剤およびそれを用いて得られる粘着テープや粘着フイルムなどの粘着製品は、被着体に一時的に貼着し、用が済んだ後にはきれいに剥離されることが求められるもの、被着体に半永久的に貼着されていることが求められるもの(貼着後に被着体から剥がさないもの)などがありその使用態様や用途は多種多様である。そのため、本発明の粘着剤の調製に当たっては、その粘着剤が用いられる用途や使用態様などに応じて、上記したブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)、金属化合物(III)、粘着付与樹脂、可塑剤の内容、種類、配合割合、その他の成分の配合の有無や種類、配合量などを本発明の範囲内で適当に選択して、それぞれの用途や使用態様などに適したものに調整するのがよい。しかしながら、粘着剤や粘着製品の使用態様に拘わらず、その粘着力を利用して被着体に粘着させているときには、粘着剤および粘着製品が、高い粘着力と高い凝集力を有していることが望ましい。
【0043】
本発明の重合体組成物および粘着剤は、必要に応じて、他の熱可塑性重合体(例えばポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、スチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂など)、充填剤、顔料、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、香料などの他の成分の1種または2種以上を含有していてもよい。
【0044】
本発明の重合体組成物および粘着剤の調製法は特に限定されず、ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)、金属化合物(III)および必要に応じて用いられる粘着付与樹脂、可塑剤、他の成分を均一に混合し得る方法であればいずれでもよく、通常、溶融混練法が用いられる。溶融混練は、例えば、単軸押出機、2軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの溶融混練装置を用いて行うことができ、通常約170〜270℃の温度で約3〜30分間程度混練することにより、本発明の重合体組成物を得ることができる。
そのうちでも、本発明の重合体組成物および粘着剤の調製に当たっては、ブロック共重合体(II)を前記した温度範囲で溶融させ、これに金属化合物(III)を添加して混練して、ブロック共重合体(II)と金属化合物(III)との間でイオン結合反応[ブロック共重合体(II)の架橋反応]などを生じさせた後に、それにブロック共重合体(I)や他の残りの成分を混合して溶融混練する方法が好ましく採用され、それによって粘着力と凝集力のバランス特性、極性樹脂および非極性樹脂への密着性に一層優れる重合体組成物および粘着剤を得ることができる。
【0045】
本発明の重合体組成物は、上述のように、粘着剤、シーリング剤、成形材料、コーティング剤、積層構造体用接着剤などとして有効に使用でき、特に粘着剤として有用である。
本発明の重合体組成物を用いてなる粘着剤を使用して粘着テープ、粘着フィルム、粘着シートなどのような粘着剤層と基材とからなる粘着製品を製造する場合は、粘着剤(重合体組成物)を加熱溶融して、または適当な有機溶媒(例えばトルエン、ベンゼン、その他の炭化水素系溶媒)に溶解して、或いは水に分散させて、液状状態にし、その液状物をセロハン、各種プラスチック(例えばポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、塩化ビニル樹脂など)、ゴム、紙、布帛、ゴムびき布、樹脂含浸布、ガラス板、金属板、木材などからなる各種の基材上に、常法にしたがって適当な方法で塗工した後、溶融状態にある粘着剤層を冷却して固化するか、また乾燥して有機溶媒や水を除去することによって、基材上に粘着剤層を設けてなる各種粘着製品を製造することができる。
特に、本発明の粘着剤は熱溶融性という優れた特性を備えているので、前記した粘着製品の製造に当たっては、有機溶媒や水を用いずに、本発明の粘着剤を加熱溶融して液状にして基材に塗工する方法を採用することが好ましく、それによって、有機溶媒の使用に伴う作業環境や自然環境の汚染の問題を防止でき、しかも塗工後の乾燥工程が不要になって工程の簡略化やコストの削減などを図ることができる。
【0046】
また、本発明の重合体組成物をシーリング剤などとして用いる場合は、従来既知のシーリング剤と同様の方法で使用することができる。
さらに、本発明の重合体組成物を成形品の製造に用いる場合は、熱可塑性重合体に対して一般に用いられている各種の成形方法、例えば、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、流延成形などの任意の成形法によって各種成形品を製造することができる。
【0047】
また、本発明の重合体組成物および粘着剤は、極性の大小や有無を問わず、各種の他の材料(例えば、プラスチック、ゴム、金属、木材、セラミック、紙、布帛など)と溶融下に強固に接着(粘着)することができるので、そのような他の材料を貼着させて各種の積層構造体(複合構造体)を製造するのに有効に使用することができる。その際に、他の材料の種類は特に制限されずいずれであってもよく、また積層構造体における層の数、各層の厚さ、形状、構造なども特に制限されず、用途などに応じて決めることができる。
【0048】
【実施例】
以下に本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。以下の実施例および比較例において、粘着テープの粘着力、保持力および透明性(ヘイズ値)の測定または評価は次のようにして行った。
【0049】
[粘着テープの粘着力]
(1)ステンレス板に対する粘着力:
ステンレス板(幅×長さ×厚さ=40mm×150mm×2mm)に対して、以下の実施例または比較例で製造した粘着テープを貼着して、「JIS−Z−0237,8.粘着力(180度引きはがし法)」に規定されている試験方法にしたがって、ステンレス板に対する粘着力(g/10mm)を測定した。
(2)ポリプロピレン板に対する粘着力:
ポリプロピレン板(幅×長さ×厚さ=40mm×150mm×2mm)に対して、下記の実施例または比較例で得られた粘着テープを貼着して、「JIS−Z−0237,8.粘着力(180度引きはがし方)」に規定されている試験方法にしたがって、ポリプロピレン板に対する粘着力(g/10mm)を測定した。
【0050】
[粘着テープの保持力]
以下の実施例または比較例で製造した粘着テープを用いて、試験温度40℃(実施例1〜4、比較例1および比較例2)または60℃(実施例5および比較例3)、荷重1kgの条件下に、「JIS−Z−0237,11.保持力」に規定されている試験方法に準じて1時間試験を行って、1時間後における粘着テープのずれ距離を測定するか、または1時間前に粘着テープが落下した場合は落下時間を測定して、粘着テープの保持力の評価を行った。
【0051】
[粘着テープの透明性]
以下の実施例または比較例で製造した粘着テープについて、ボイック積分球式ヘイズメーター(日本精密光学社製)を使用して、粘着テープのヘイズ値を測定して透明性の評価を行った。ヘイズ値が大きいほど、透明性が悪いことを示す。
【0052】
また、以下の実施例および比較例で用いたブロック共重合体(I)またはその変性物の内容は次のとおりである。
▲1▼ブロック共重合体(I−1):
ポリスチレンブロック−ポリイソプレンブロック−ポリスチレンブロックからなるトリブロック共重合体とポリスチレンブロック−ポリイソプレンブロックからなるジブロック共重合体との40/60(重量比)のブレンド物の水添物(水添物全体の数平均分子量100,000、スチレン含量=13重量%、ポリイソプレンブロックにおける水添率=98%)。
▲2▼ブロック共重合体(I−2):
ポリスチレンブロック−ポリイソプレン/ブタジエン共重合体ブロック−ポリスチレンブロックからなるトリブロック共重合体の水添物(数平均分子量100,000、スチレン含量=30重量%、イソプレン/ブタジエンの重量比=45/55、ポリイソプレン/ブタジエンブロックにおける水添率=98%)。
▲3▼ブロック共重合体( IV ):
上記▲1▼のブロック共重合体(I−1)の無水マレイン酸変性物(無水マレイン酸含有率0.8重量%)。
【0053】
《参考例1》[ブロック共重合体(II−1)(ポリプロピレンブロック−アクリル酸エチル/アクリル酸共重合体ブロックからなるジブロック共重合体)の製造]
(1) ポリプロピレン(三菱化学株式会社製「三菱ノーブレンMH8」)を二軸押出機に供給し、420℃で溶融混練して熱分解させて、末端に二重結合を有するポリプロピレンを製造した。
(2) 上記(1)で得られた末端に二重結合を有するポリプロピレン100kg、トルエン500kgおよびチオ−S−酢酸3.8kgを反応器に入れて、内部を充分窒素置換した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.38kgを添加して、90℃で6時間反応させて、末端にチオアセチル基を有するポリプロピレンを製造した。
(3) 上記(2)で得られた末端にチオアセチル基を有するポリプロピレン60kgを、トルエン100kgとn−ブタノール20kgの混合溶媒中に溶解し、水酸化ナトリウムの7%n−ブタノール溶液1kgを添加して、窒素中トルエン還流温度で2時間反応させることにより、末端にメルカプト基を有するポリプロピレンを製造した。
【0054】
(4) 上記(3)で得られた末端にメルカプト基を有するポリプロピレン50kgをトルエン174kgに溶解し、それにアクリル酸エチル48.9kgおよびアクリル酸1.1kgを加えて、窒素中、90℃で、アクリル酸エチルの重合速度が1時間当たり約10%になるように1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)を添加し、重合率が95%になった時点で反応を停止させた。それにより得られた反応溶液から溶媒および未反応モノマーを除去することによって、ポリプロピレンブロック−アクリル酸エチル/アクリル酸共重合体ブロックからなるジブロック共重合体が得られた[以下「ブロック共重合体(II−1)」という]。
(5) 上記(4)で得られたブロック共重合体(II−1)におけるポリプロピレンブロックの数平均分子量=10,000、アクリル酸エチル/アクリル酸共重合体ブロックの数平均分子量=9,500および全体の数平均分子量=19,500であった。また、このブロック共重合体(II−1)のアクリル酸エチル/アクリル酸共重合体ブロックにおけるアクリル酸エチルに由来する構造単位:アクリル酸に由来する構造単位のモル比=97:3であった。
【0055】
《参考例2》[ブロック共重合体(II−2)(ポリスチレンブロック−アクリル酸n−ブチル/アクリル酸共重合体ブロックからなるジブロック共重合体)の製造]
(1) 90リットルの重合槽にスチレンを75kg仕込み、窒素雰囲気下で内温が90℃になるまで昇温した。30分後に、チオ−S−酢酸32gを添加し、ラジカル重合開始剤(和光純薬株式会社製「V−65」)の7重量%トルエン溶液を430ml/時間の速度で添加し、またチオ−S−酢酸の6重量%トルエン溶液を750ml/時間の速度で添加して重合を開始し、重合率(ポリマー転換率)が40%に達した時点で重合を停止し、重合槽内を冷却した。その結果得られた粘性液体から溶媒および未反応モノマーを除去することによって、末端にチオ−S−酢酸エステル基を有する数平均分子量10,000のポリスチレンを得た。
(2) 上記(1)で得られたポリスチレン30kg、トルエン30kgおよびブタノール15kgを90リットルの反応槽に仕込み、窒素雰囲気下に、70℃で水酸化ナトリウムの10重量%メタノール溶液153mlを添加し、ポリスチレン末端のチオ−S−酢酸エステル基のエステル交換反応を行った。2時間後に、酢酸30gを反応槽に添加して反応を終了した。それにより得られた反応溶液から溶媒を除去することにより、末端にメルカプト基を有するポリスチレンを得た。
【0056】
(3) アクリル酸n−ブチル117.9kg、アクリル酸2.1kg、トルエン280kgおよび上記(2)で得られた末端にメルカプト基を有するポリスチレン30kgを500リットルの重合槽に仕込み、70℃で重合槽内部を充分に窒素置換した後、ラジカル重合開始剤(和光純薬株式会社製「V−70」)の2重量%トルエン溶液を270ml/時間の速度で重合槽に添加して重合を開始し、重合率(ポリマー転換率)が95%に達した時点で重合を停止した。それにより得られた反応溶液から溶媒および未反応モノマーを除去することによって、ポリスチレンブロック−アクリル酸n−ブチル/アクリル酸共重合体ブロックからなるジブロック共重合体が得られた[以下「ブロック共重合体(II−2)」という]。
(4) 上記(3)で得られたブロック共重合体(II−2)におけるポリスチレンブロックの数平均分子量=10,000、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸共重合体ブロックの数平均分子量=40,000、全体の数平均分子量=50,000であった。また、このブロック共重合体(II−2)のアクリル酸n−ブチル/アクリル酸共重合体ブロックにおけるアクリル酸n−ブチルに由来する構造単位:アクリル酸に由来する構造単位のモル比=97:3であった。
【0057】
《参考例3》[ブロック共重合体(II−3)(ポリプロピレンブロック−アクリル酸エチル/無水マレイン酸共重合体ブロックからなるジブロック共重合体)の製造]
(1) 参考例1の(3)で得られた末端にメルカプト基を有するポリプロピレン50kgをトルエン174kgに溶解し、それにアクリル酸エチル45.3kgおよび無水マレイン酸4.7kgを加えて、窒素雰囲気下、90℃で、アクリル酸エチルの重合速度が1時間当たり約10%になるようにラジカル重合開始剤(和光純薬株式会社製「V−65」)を添加し、重合率が95%になった時点で反応を停止させた。それにより得られた反応溶液から溶媒および未反応モノマーを除去することによって、ポリプロピレンブロック−アクリル酸エチル/無水マレイン酸共重合体ブロックからなるジブロック共重合体が得られた[以下「ブロック共重合体(II−3)」という]。
(2) 上記(1)で得られたブロック共重合体(II−3)におけるポリプロピレンブロックの数平均分子量=10,000、アクリル酸エチル/無水マレイン酸共重合体ブロックの数平均分子量=9,500、全体の数平均分子量=19,500であった。また、このブロック共重合体(II−3)のアクリル酸エチル/無水マレイン酸共重合体ブロックにおけるアクリル酸エチルに由来する構造単位:無水マレイン酸に由来する構造単位のモル比=97:3であった。
【0058】
《実施例1》
(1) 上記の参考例1で製造したブロック共重合体(II−1)30重量部を180℃で加熱溶融した後、これに酸化亜鉛1.5重量部を添加して同温度で10分間溶融下に混練した。
(2) 上記(1)で得られた混練物31.5重量部に対して、ブロック共重合体(I−1)100重量部、粘着付与樹脂(水添芳香族系炭化水素樹脂;荒川化学株式会社製「アルコンP−100」)200重量部、パラフィン系プロセスオイル(出光興産株式会社製「ダイアナプロセスPW−90」)100重量部および酸化防止剤(チバガイギー社製「イルガノックス1010」)1重量部を加えて、180℃で溶融混練して重合体組成物(粘着剤)を製造した。
(3) 上記(2)で得られた重合体組成物(粘着剤)を180℃で加熱溶融し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)上に、サイコロ型アプリケーターを用いて粘着剤層の厚さが30μmになるようにして塗工して、粘着テープを製造した。
(4) 上記(3)で得られた粘着テープの粘着力、保持力および透明性(ヘイズ値)を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0059】
《実施例2》
(1) 実施例1の(1)において酸化亜鉛1.5重量部の代わりに酢酸亜鉛2.0重量部を用いた以外は、実施例1の(1)および(2)と同様にして重合体組成物(粘着剤)を製造した。
(2) 上記(1)で得られた重合体組成物(粘着剤)を用いて実施例1の(2)と同様にして粘着テープを製造し、それにより得られた粘着テープの粘着力、保持力および透明性(ヘイズ値)を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0060】
《実施例3》
(1) 上記の参考例2で製造したブロック共重合体(II−2)30重量部を180℃で加熱溶融した後、これに酸化亜鉛1.5重量部を添加して同温度で10分間溶融下に混練した。
(2) 上記(1)で得られた混練物31.5重量部に対して、ブロック共重合体(I−1)100重量部、実施例1で使用したのと同じ粘着付与樹脂、パラフィン系プロセスオイルおよび酸化防止剤をそれぞれ200重量部、100重量部および1重量部の割合で加えて、180℃で溶融混練して重合体組成物(粘着剤)を製造した。
(3) 上記(2)で得られた重合体組成物(粘着剤)を用いて実施例1の(3)と同様にして粘着テープを製造し、それにより得られた粘着テープの粘着力、保持力および透明性(ヘイズ値)を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0061】
《実施例4》
(1) 上記の参考例3で製造したブロック共重合体(II−3)30重量部を180℃で加熱溶融した後、これに酢酸亜鉛1.0重量部を添加して同温度で10分間溶融下に混練した。
(2) 上記(1)で得られた混練物31.0重量部に対して、ブロック共重合体(I−1)100重量部、実施例1で使用したのと同じ粘着付与樹脂、パラフィン系プロセスオイルおよび酸化防止剤をそれぞれ200重量部、100重量部および1重量部の割合で加えて、180℃で溶融混練して重合体組成物(粘着剤)を製造した。
(3) 上記(2)で得られた重合体組成物(粘着剤)を用いて実施例1の(3)と同様にして粘着テープを製造し、それにより得られた粘着テープの粘着力、保持力および透明性(ヘイズ値)を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0062】
《比較例1》
(1) ブロック共重合体(I−1)100重量部に対して、実施例1で使用したのと同じ粘着付与樹脂、パラフィン系プロセスオイルおよび酸化防止剤をそれぞれ200重量部、100重量部および1重量部の割合で加えて、180℃で溶融混練して重合体組成物(粘着剤)を製造した。
(2) 上記(1)で得られた重合体組成物(粘着剤)を用いて実施例1の(3)と同様にして粘着テープを製造し、それにより得られた粘着テープの粘着力、保持力および透明性(ヘイズ値)を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0063】
《比較例2》
(1) ブロック共重合体(IV)100重量部に対して、酸化亜鉛1.5重量部、並びに実施例1で使用したのと同じ粘着付与樹脂、パラフィン系プロセスオイルおよび酸化防止剤をそれぞれ200重量部、100重量部および1重量部の割合で加えて、180℃で溶融混練して重合体組成物(粘着剤)を製造した。
(2) 上記(1)で得られた重合体組成物(粘着剤)を用いて実施例1の(3)と同様にして粘着テープを製造し、それにより得られた粘着テープの粘着力、保持力および透明性(ヘイズ値)を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0064】
《実施例5》
(1) 上記の参考例2で製造したブロック共重合体(II−2)50重量部を180℃で加熱溶融した後、これに酸化亜鉛1.5重量部を添加して同温度で10分間溶融下に混練した。
(2) 上記(1)で得られた混練物31.5重量部に対して、ブロック共重合体(I−2)100重量部、実施例1で使用したのと同じ粘着付与樹脂、パラフィン系プロセスオイルおよび酸化防止剤をそれぞれ200重量部、100重量部および1重量部の割合で加えて、180℃で溶融混練して重合体組成物(粘着剤)を製造した。
(3) 上記(2)で得られた重合体組成物(粘着剤)を用いて実施例1の(3)と同様にして粘着テープを製造し、それにより得られた粘着テープの粘着力、保持力および透明性(ヘイズ値)を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0065】
《比較例3》
(1) ブロック共重合体(I−2)100重量部に対して、実施例1で使用したのと同じ粘着付与樹脂、パラフィン系プロセスオイルおよび酸化防止剤をそれぞれ200重量部、100重量部および1重量部の割合で加えて、180℃で溶融混練して重合体組成物(粘着剤)を製造した。
(2) 上記(1)で得られた重合体組成物(粘着剤)を用いて実施例1の(3)と同様にして粘着テープを製造し、それにより得られた粘着テープの粘着力、保持力および透明性(ヘイズ値)を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0066】
【表1】
【0067】
上記の表1の結果から、ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)および金属化合物(III)を含有する重合体組成物であって、ブロック共重合体(I)100重量部に対してブロック共重合体(II)を0.1〜200重量部の範囲内の量で含有し且つブロック共重合体(II)100重量部に対して金属化合物(III)を0.1〜20重量部の範囲内の量で含有する重合体組成物を用いてなる実施例1〜5の粘着剤は、粘着性に優れ、極性を有するステンレス板および非極性のポリプロピレン板の両方に対して高い粘着力を有すること、しかも凝集力に優れていて被着体からの粘着テープの落下やずれがないことがわかる。
【0068】
それに対して、ブロック共重合体(II)および金属化合物(III)を含有せず、ブロック共重合体(I)に粘着付与樹脂およびプロセスオイルを配合しただけの比較例1および比較例3の粘着剤は、実施例1〜5の粘着剤に比べて凝集力が低く、これらの比較例1と比較例3の粘着剤を用いて得られた粘着テープは1時間経過前に被着体から落下してしまい、保持力に劣っていることがわかる。
さらに、ブロック共重合体(II)を含有せず、しかも本発明で用いるブロック共重合体(1)の代わりに無水マレイン酸で変性したスチレン・ジエンブロック共重合体水素添加物(IV)を用いてなる比較例2の粘着剤は、粘着性に劣っており、極性材料であるステンレス板および非極性材料であるポリプロピレンのいずれに対しても、実施例1〜5に比べて大幅に低い粘着力しか示さず、特に非極性材料であるポリプロピレンに対する粘着性に劣っていることがわかる。
【0069】
【発明の効果】
本発明の重合体組成物およびそれを用いてなる粘着剤は、粘着性に優れ、被着体の種類や物性を問わず種々の材料に強固に粘着し、極性を有する材料および非極性の材料のいずれに対しても高い粘着力を示す。
さらに、本発明の重合体組成物およびそれを用いてなる粘着剤は、高い粘着力と共に、高い凝集力を有する。そのため、本発明の重合体組成物および粘着剤を用いてなる粘着製品を被着体に粘着させたときに、保持力に優れ、被着体における位置ずれ、被着体からの落下などを生じない。しかも、高い凝集力によって、該粘着剤や粘着製品を被着体から剥離させる必要が生じたときに、粘着剤が被着体に残留せず完全にきれいに剥がすことができる。
また、本発明の重合体組成物および粘着剤は、加熱溶融性であるので、その溶融物をシートやフィルムなどの基材に塗布することによって、有機溶媒溶液やエマルジヨンなどの形態にしなくても、粘着テープや粘着シートなどの粘着製品を、簡単な工程で且つ作業環境や地球環境の汚染や悪化を生ずることなく安全に製造することができ、また粘着剤を基材に塗布した後の乾燥処理を行うことなく、簡単な工程で、経済的に粘着製品を製造することができる。
さらに、本発明の重合体組成物およびそれを用いてなる粘着剤は、ブロック共重合体(I)が本来有する良好な弾力性、柔軟性、力学的特性、透明性などの諸特性を上記した特性と共に有している。
Claims (6)
- (i)▲1▼ 芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロック(A)と共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体(I);
▲2▼ 芳香族ビニル化合物およびオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から主としてなる重合体ブロック(C)と、カルボキシル基および酸無水基から選ばれる官能基を有する重合性単量体に由来する構造単位を有する重合体ブロック(D)を有するブロック共重合体(II);並びに、
▲3▼ 金属酸化物、金属水酸化物および金属塩から選ばれる少なくとも1種の金属化合物(III);
を含有する重合体組成物であって、
(ii) ブロック共重合体(I)100重量部に対して、ブロック共重合体(II)を0.1〜200重量部の割合で含有し;且つ
(iii) ブロック共重合体(II)100重量部に対して、金属化合物(III)を0.1〜20重量部の割合で含有する;
ことを特徴とする重合体組成物。 - ブロック共重合体(II)を構成する重合体ブロック(D)が、カルボキシル基および酸無水基から選ばれる官能基を有する重合性単量体と、カルボキシル基および酸無水基を持たない重合性単量体との共重合体よりなる重合体ブロックである請求項1に記載の重合体組成物。
- カルボキシル基および酸無水基を持たない重合性単量体が、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルおよびそれらの誘導体のうちの少なくとも1種である請求項2に記載の重合体組成物。
- 金属化合物(III)が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期律表の第IB族、第IIB族、第III族、第IV族および第VIII族の金属の酸化物、水酸化物および塩から選ばれる少なくとも1種の金属化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項の重合体組成物を用いてなる粘着剤。
- 粘着付与樹脂および/または可塑剤を含有する請求項5に記載の粘着剤。
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