JP3675753B2 - 炭酸ガス吸収材、その使用方法およびその再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、密閉空間又は分析機器において室温程度の温度で用いられる炭酸ガス吸収材およびその使用方法、並びに再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
宇宙船や潜水艦など外部環境から隔離された密閉された空間においては、人間などの生物から排出される炭酸ガスの除去が必要である。また、大気を利用する分析機器の中には、取り込んだ空気からの二酸化炭素の除去を必要とする物がある。密閉された空間で用いる炭酸ガス吸収材は、吸収装置容積を小さくするため炭酸ガス吸収性能が高いこと、さらに限られた空間を有効利用するため同じ炭酸ガス吸収材を繰返し使用できることが必要である。
また、機器分析において、炭酸ガスが測定に影響を及ぼす場合、分析機器内部の雰囲気から炭酸ガスを排除することが行われているが、この分析機器に用いる炭酸ガス吸収材は、使用時間を長くするため炭酸ガス吸収性能が高いこと、さらに廃棄物を減らし低価格にするため繰返し使用できることが必要である。
従来、このような室温程度の温度で、生物が排出する程度、あるいは大気中に含まれる程度の低濃度の炭酸ガスを吸収する方法としては、アルカノールアミン系溶液、水酸化リチウム、ソーダライムなどによる化学吸収、あるいはゼオライト、活性炭、シリカゲルなどによる物理吸着が知られている。しかし、水酸化リチウムやソーダライムは再生温度が1000℃以上の高温であるために繰返し使用できず使い捨てであり、その他は体積当たりの炭酸ガス吸収性能が低いという問題があった。
【0003】
また、炭酸ガスを高効率で分離回収できる炭酸ガス吸収材として、リチウムシリケートが知られている(特開2000−262890号公報)。これには450℃以上の高温下で高濃度の炭酸ガスを吸収するものであり、炭酸ガス吸収性能が高く、加熱することで炭酸ガスを放出するため繰返し使用できる吸収材であることが示されている。
ところで、この炭酸ガス吸収材は、燃焼ガス中の炭酸ガスの分離のような、高温下で且つ濃度の高い炭酸ガスを吸収するものであって、常温において濃度の低い炭酸ガスを吸収するものではなかった。
【0004】
また、リチウムシリケートが、室温で500ppmという低濃度の炭酸ガスを吸収することも可能であることが知られている(日本エネルギー学会誌2001年8月号)。しかしながら、この文献の記載は、リチウムシリケートが炭酸ガスを吸収できることが記載されているのみで、繰り返し使用を可能にすることのできる炭酸ガス吸収材については、全く開示されていないため、実使用に供することのできる程度に具体性のある技術を開示するものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、室温で使用することができ、炭酸ガス吸収性能が高く、さらに繰返し使用が可能な炭酸ガス吸収材およびその使用方法並びに再生方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、リチウムシリケートを主成分とする炭酸ガス吸収材が、室温程度の温度で、生物が排出する程度、あるいは大気中に含まれる程度の低濃度の炭酸ガスを吸収する場合、吸収材が乾燥していると炭酸ガス吸収性能が低下すること、高い炭酸ガス吸収性能を示すためには吸収材に含有される水分の量が吸収材に対して一定重量割合以上であることが必要であることを確認し、本発明に至ったものである。
【0007】
すなわち、第1の本発明は、一般式LixSiyOz(式中、x、y、zはx+4y−2z=0を満たす整数である)で表されるリチウムシリケートを主成分とする炭酸ガス吸収材が含有する水分量が、0.5〜8wt%であることを特徴とする炭酸ガス吸収材である。
【0008】
また、第2の本発明は、一般式LixSiyOz(式中、x、y、zはx+4y−2z=0を満たす整数である)で表されるリチウムシリケートを主成分とする炭酸ガス吸収材を、600〜1000℃で加熱し、
前記加熱した炭酸ガス吸収材を炭酸ガスを含有しない雰囲気下で200℃以下の温度まで冷却し、
前記炭酸ガス吸収材を、水蒸気を含有し炭酸ガスを含有しない雰囲気に暴露し加湿して含有水分量を0.5〜8wt%に調整し、
次いで、この処理を行った炭酸ガス吸収材を炭酸ガス含有被処理気体の処理に使用することを特徴とする炭酸ガス吸収材の使用方法である。
【0009】
さらに、第3の本発明は、炭酸ガスを吸収させた一般式LixSiyOz(式中、x、y、zはx+4y−2z=0を満たす整数である)で表されるリチウムシリケートを主成分とする炭酸ガス吸収材の再生方法であって、
前記炭酸ガス吸収材を600〜1000℃で加熱後、炭酸ガスを含有しない雰囲気下で200℃以下の温度まで冷却し、
次いで、水蒸気を含有し炭酸ガスを含有しない雰囲気に暴露し加湿して、含有水分量を0.5〜8wt%とすることを特徴とする炭酸ガス吸収材の再生方法である。
【0010】
[作用]
本発明の炭酸ガス吸収材の主成分であるリチウムシリケートは、炭酸ガスの存在下で炭酸リチウムと珪素を含有する化合物に分解され、この反応は水の存在下で顕著に促進される。例えば、リチウムオルトシリケートでは、(式1)、あるいは(式2)に示すような反応となる。
【0011】
【化1】
【化2】
【0012】
いずれの式においても右向きの反応が起きれば、炭酸ガスがリチウムシリケートと反応して、この反応に関与した炭酸ガスは吸収された状態になる。また、炭酸ガスを吸収して分解したリチウムシリケートは、常圧の大気中で600℃程度以上に加熱することによって(化学式1)、あるいは(化学式2)に示す左向きの反応を起こし、再生させることができる。これによって本発明の炭酸ガス吸収材を実現することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関わる炭酸ガス吸収材を詳細に説明する。
【0014】
[リチウムシリケート材料]
本発明で用いる炭酸ガス吸収材の主成分であるリチウムシリケートとしては、一般式LixSiyOz(式中、x、y、zはx+4y−2z=0を満たす整数である)で表される化合物からなる群から選ばれるものを用いることができる。このような材料としては、xが、2,4,もしくは8のものがあげられ、具体的にはLi2SiO3、Li4SiO4、Li8SiO6などがあげられる。これらの化合物のうちで、炭酸ガス吸収特性および入手の容易性からLi4SiO4が最も好ましい。
本発明の炭酸ガス吸収材は、このリチウムシリケートを主成分として、これに水分が添加されているものである。炭酸ガス吸収材が含有する水分量としては、炭酸ガス吸収材に対して、少なくとも0.5wt%であることが必要である。この含有水分量がこの範囲を下回った場合、実用的な時間内に炭酸ガスを吸収させることができない。
また、この炭酸ガス吸収材を固体状で使用する場合には、含有水分量としては、0.5〜8wt%の範囲であることが必要である。この含有水分量が8wt%を越えた場合には、炭酸ガス吸収材を充填した炭酸ガス吸収管において、炭酸ガス吸収材が目詰まりを起こし、被処理ガスの流通を阻害するため、効率的な処理を行うことができなくなる。
【0015】
[炭酸ガス吸収材の形態]
また、上記炭酸ガス吸収材の形態は、固体状であってもよいし、水性媒体に分散された懸濁液状であってもよく、特に限定されるものではない。
炭酸ガス吸収材を固体状で使用する場合には、図2に示すような炭酸ガス吸収管5の中にフィルター部材9,10間に炭酸ガス吸収材8を配置することによって用いることができる。
この固体状の炭酸ガス吸収材としては、炭酸ガス吸収材を合成した際の粉末形状のまま用いてもよいが、円筒状、円盤状、シート状、顆粒状、ペレット状など、この粉末を任意の形状に成形した成形体として使用することができる。
炭酸ガスを含む被処理気体が炭酸ガス吸収材と効率よく接触しながら炭酸ガス吸収管中を流通するように、炭酸ガス吸収材を充填した炭酸ガス吸収管は、多数の通気孔が存在していることが望ましい。
そのためには、炭酸ガス吸収材が、炭酸ガス吸収管の内部で最密充填されない程度に大きな粒子径を有してることが必要となる。本実施の形態の炭酸ガス吸収材は、例えば平均粒径0.1〜5.0μmの粒子径であることが望ましい。また、炭酸ガス吸収材の粒子が、さらに多孔質体の形態を有するものであってもよい。この多孔質体の気孔率は、30%〜50%であることが好ましい。
この炭酸ガス吸収材の成形方法としては、炭酸ガス吸収材粉末を単にプレス成形してもよいし、有機もしくは無機バインダーを添加して造粒もしくは焼成したものでもよい。
【0016】
また、本発明の炭酸ガス吸収材は、水性媒体中に炭酸ガス吸収材粒子を分散させた懸濁液状の形態で使用することもできる。
この場合には、水性媒体にリチウムシリケートを主成分とする炭酸ガス吸収材粒子を分散させ、炭酸ガスを含有する被処理気体を、この水性媒体懸濁液状炭酸ガス吸収材中にバブリングすることによって炭酸ガスを吸収させることができる。
上記懸濁液中の炭酸ガス吸収材の含有量は、特に制限されるものではないが、バブリングに支障のでる程度に高粘度とならない限り濃度に上限はない。また、含有量が低いと炭酸ガス吸収効率が低下するため好ましくない。このような理由から、分散濃度は、2〜70wt%の範囲が好ましい。
本実施の形態において用いる水性媒体としては、純水であってもよいし、エタノールのような水溶性アルコールを溶解した水であってもよい。
【0017】
[添加成分]
本発明の炭酸ガス吸収材を固体形態で用いる場合、炭酸ガス吸収・放出反応を促進し効率的に行わせるために、炭酸ガス吸収材の主成分であるリチウムシリケートに、リチウム、ナトリウム、及びカリウムから選ばれるアルカリの炭酸塩を添加することもできる。これは、吸収材周辺のガスに水分が含まれる場合、その吸着を促進させ、炭酸ガス吸収性能を高くする効果がある。
このようなアルカリ炭酸塩のリチウムシリケートに対する添加量は、10mol%以下であることが望ましい。これは、10mol%以上の場合、添加したアルカリ炭酸塩がリチウムシリケート表面を覆って反応を阻害するとともに、炭酸ガス吸収成分であるリチウムシリケートの容積あたりの含有比率が低下するために、炭酸ガス吸収量が低下するために好ましくない。
上記リチウムシリケートに、アルカリ炭酸塩を添加するのは、リチウムシリケートを合成する際に原料に炭酸塩を添加して焼成してもよいし、焼成後に炭酸塩粒子を添加してもよい。
【0018】
[リチウムシリケートの合成]
本発明で用いるリチウムシリケートは、例えば次のような方法により作製される。まず、二酸化珪素および炭酸リチウムを所定量秤量し、メノウ乳鉢等で0.1〜1時間混合する。得られた混合粉末をアルミナるつぼに入れ、大気中、箱型電気炉等で、600〜1000℃の温度で、0.5〜20時間熱処理する。その後再びメノウ乳鉢で平均粒径が0.1〜5.0μmとなるまで粉砕し、リチウムシリケート原料粉末を得る。
固体状の炭酸ガス吸収材としてリチウムシリケートを用いる場合には、続いてこのリチウムシリケート粉末を所定量秤量し、金型に充填し、圧縮成形して気孔率40%前後例えば35〜45%の成形体とすることにより多孔質体構造の炭酸ガス吸収材を作製することができる。
また、水分散体懸濁液状として用いる場合には、上記リチウムシリケート原料粉末を水性媒体中に投入して攪拌し、スラリー状とすることによって、水性分散形態の炭酸ガス吸収剤を製造することができる。
【0019】
[使用方法および再生方法]
本発明のリチウムシリケートを主成分とする炭酸ガス吸収材は再生して使用することができるが、この炭酸ガス吸収材は、製造時もしくは再生時には加熱によって乾燥された状態となっている。すなわち、この炭酸ガス吸収材の製造工程においては、例えば焼成、あるいは造粒における乾燥工程によって水分が揮発し乾燥状態で得られる。また、再生時には、吸収炭酸ガスを脱離させるために加熱され、同様に含有水分が揮散した状態となっている。このように乾燥して含有水分が0.5wt%以下となった炭酸ガス吸収材は、炭酸ガス吸収性能が低下するため、新たに水分を含有させることが必要である。炭酸ガス吸収材に水分を含有させる方法としては、例えば水蒸気を含有し炭酸ガスを実質的に含有しない窒素ガス雰囲気下に放置する方法がある。このとき、水蒸気濃度は、10%以下であることが望ましい。これは、水蒸気濃度が高いと、水分が吸収材表面に水滴として付着してしまい、局所的に存在してしまうことによる。この工程によって含有水分量を0.5〜8wt%に調整することができる。
上記窒素ガスは、アルゴンのような他の不活性ガスから成り、かつ炭酸ガスを含有しないガスに置き換えてもよい。
【0020】
本発明の炭酸ガス吸収材は、上述したように、固体状もしくは水性媒体懸濁液状で用いられる。
すなわち、上記工程で水分量を所定量に調整された一般式LixSiyOz(式中、x、y、zはx+4y−2z=0を満たす整数である)で表されるリチウムシリケートを主成分とする炭酸ガス吸収材を、固体状で使用する場合には、円筒状、円盤状、シート状、顆粒状、ペレット状などの形状をした炭酸ガス吸収材を炭酸ガス吸収管に充填し、被処理気体を流通させることにより、炭酸ガス吸収に用いることができる。
また、水性媒体懸濁液状で使用する場合には、上記炭酸ガス吸収材を水性媒体に分散させ、これに被処理気体をバブリングにより流通させて炭酸ガスを吸収させる。
【0021】
このようにして炭酸ガス吸収に使用された炭酸ガス吸収材は、通常、大気中、もしくは窒素のような不活性雰囲気中で常圧600〜1000℃程度の高温下に暴露して再生を行う。このとき、冷却時の雰囲気は大気のような炭酸ガスを含むものではないことが望ましい。これは、冷却時に炭酸ガス吸収材が、炭酸ガスを吸収することが可能な温度となり炭酸ガスを吸収してしまうことを回避するためである。
【0022】
すなわち、上記方法によって所要時間炭酸ガスを吸収させた炭酸ガス吸収材は、次いで、炭酸ガスを含有しない雰囲気下で600〜1000℃で加熱され、上記化学式1および化学式2の逆反応によって炭酸ガスを脱離させる。炭酸ガスを脱離させた炭酸ガス吸収材は同時に含有水分も揮散して乾燥状態となっている。次いで、前記加熱により炭酸ガスを脱離させた炭酸ガス吸収材は、200℃以下の温度まで冷却される。これは、温度が200℃以上であると、水分の炭酸ガス吸収材への吸着が進み難くいことによる。また、この温度は100℃以下であることが望ましい。この際、冷却雰囲気としては、炭酸ガスを含有しない雰囲気とすることが必要である。
次いで冷却された前記炭酸ガス吸収材は、水蒸気を含有し炭酸ガスを含有しない雰囲気下で放置され、加湿して含有水分量を0.5〜8wt%に調整して炭酸ガス吸収材が再生される。
以後、この再生された炭酸ガス吸収材を炭酸ガス含有被処理気体の処理に使用することができる。
【0023】
【実施例】
(実施例1)
主成分のリチウムシリケートと添加物である炭酸カリウムを100:2のモル比で含有し、平均粒径250μmに造粒された顆粒を作製した後、水蒸気/窒素(3.5/96.5vol%)流通雰囲気下に2時間さらし、炭酸ガス吸収材Aを得た。
【0024】
(比較例1)
上記実施例1と同様に顆粒を作製した炭酸ガス吸収材Bを得た。
【0025】
(比較例2)
上記実施例1と同様に顆粒を作製した後、水蒸気/窒素(3.5/96.5vol%)流通雰囲気下に30時間さらし、炭酸ガス吸収材Cを得た。
【0026】
(実施例2)
上記実施例1と同様に炭酸ガス吸収材Aに対し、上記炭酸ガス吸収装置を用い、炭酸ガス混合ガス(窒素ガス中に炭酸ガスが500ppm含まれているもの)に水蒸気1%を混合させたガスを1L/minで流通させた雰囲気下に室温で20時間さらして炭酸ガスを吸収させた。このとき、炭酸ガス吸収材Aは12wt%に相当する炭酸ガスを吸収した。その後、窒素流通雰囲気下で650℃2時間の加熱を行い、炭酸ガスを放出させ、吸収材を再生させた。これにより、吸収・再生済み炭酸ガス吸収材Dを得た。このとき、Dの重量が炭酸ガス吸収材Aとほぼ同じであることから、炭酸ガス吸収材Aが吸収した炭酸ガス及び水分がすべて放出され、吸収材が再生されたことを確認した。吸収・再生済み炭酸ガス吸収材Dを水蒸気/窒素(3.5/96.5vol%)流通雰囲気下に2時間さらし、炭酸ガス吸収材Eを得た。
【0027】
(比較例3)
上記実施例2と同様に吸収・再生済み炭酸ガス吸収材Dを得て、これを加湿による水分調整を行うことなく炭酸ガス吸収材Fとした。
【0028】
(評価)
炭酸ガス吸収材A、B、C、E、Fに含まれる水分の割合を熱重量分析装置(TG)により測定した。測定の手順としては、窒素ガスを1atm、300ml/minの条件で流通させたまま、室温から250℃まで5℃/minで昇温して250℃で1時間保持した。これにより、水分の放出に伴う重量の減少を調べた。この測定により得られた各炭酸ガス吸収材に含まれる水分の割合は、表1のようになった。さらに、炭酸ガス吸収材A、B、C、E、Fによる炭酸ガス捕集率の経時変化を下記炭酸ガス吸収性能評価装置を用いて測定し、炭酸ガス吸収性能を比較した。その結果を図3に示す。
なお、炭酸ガス吸収材Cを充填した炭酸ガス吸収管は目詰まりを起こし、測定を続行できなかった。
【0029】
[炭酸ガス吸収性能評価装置]
本発明における炭酸ガス吸収材の吸収性能は、図1のような炭酸ガス吸収性能評価装置を用いて評価した。
すなわち、炭酸ガスボンベ1から出た炭酸ガス含有ガス(窒素ガス中に炭酸ガスが500ppm含まれているもの)は、流量調節バルブ2で流量を調節された後に水蒸気付加器3で水蒸気を1%の濃度で混合され、入口ガス4となり、炭酸ガス吸収管5によって炭酸ガスを吸収され、出口ガス6となる。入口ガスの流量は、大気圧下で1L/minとなるように調節した。入口ガスの炭酸ガス濃度は、水蒸気の割合が小さいため、500ppmとみなすことができる。出口ガスの炭酸ガス濃度は、炭酸ガス濃度計7で測定される。炭酸ガス吸収管の詳細を、図2に示す。炭酸ガス吸収管は内径10mmのプラスチック製チューブであり、炭酸ガス吸収材8を70mmの層長で充填してある。炭酸ガス吸収材両端には、フィルター部材である脱脂綿9、10が詰められている。ガス入口側のフィルター9は、ガスを均一に分散させるためのものであり、ガス出口側のフィルター10は、炭酸ガス吸収材が出口ガスに混入し散逸するのを防ぐためのものである。
【0030】
上記評価装置によって得られた入口ガス及び出口ガスの炭酸ガス濃度により、以下の炭酸ガス捕集率を算出した。
【0031】
【数1】
【0032】
この値により、炭酸ガス吸収材の吸収性能を評価した。さらに、上記炭酸ガス吸収性能評価装置を、炭酸ガス吸収装置としても用いた。これにより、以下の式から炭酸ガス吸収量を把握することができた。
【0033】
【数2】
【0034】
【表1】
【0035】
この表1と図3により、0.5wt%以上8wt%以下の割合で水分を含有する炭酸ガス吸収材Aが、0.5wt%未満のB及び8wt%以上のCと異なり、高い炭酸ガス吸収性能を示すことがわかった。また、炭酸ガス吸収・再生を行った炭酸ガス吸収材E、Fについても同様に、0.5wt%以上8wt%以下の割合で水分を含有する炭酸ガス吸収材Eが、0.5wt%未満のFと異なり、高い炭酸ガス吸収性能を示すことがわかった。
このように、本発明の炭酸ガス吸収材は、室温程度の温度で、生物が排出する程度、あるいは大気中に含まれる程度の低濃度の炭酸ガスを吸収する場合、炭酸ガス吸収性能が高く、かつ繰返し使用ができる特長を示すものであり、密閉空間又は分析機器に用いた場合、炭酸ガス吸収装置の小型化、空間の有効利用、使用時間の延長、廃棄物の減少、価格の低下、などが可能である。
【0036】
【発明の効果】
第1の本発明である炭酸ガス吸収材の発明によれば、室温で使用することができ、炭酸ガス吸収性能が高く、さらに繰返し使用が可能な炭酸ガス吸収材を実現することができる。
また、第2の本発明である炭酸ガス吸収材の使用方法および第3の本発明である炭酸ガス吸収材の再生方法の発明によれば、炭酸ガス吸収性能が高く室温で使用することができる炭酸ガス吸収材を簡単な方法で繰り返し使用することのできる方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 炭酸ガス吸収性能評価装置を示す概略図。
【図2】 炭酸ガス吸収管の概略断面図。
【図3】 炭酸ガス吸収材A、B、C、E、Fによる炭酸ガス捕集率の経時変化を示すグラフ。
【符号の説明】
1・・・炭酸ガスボンベ
2・・・流量調節バルブ
3・・・水蒸気付加器
4・・・入口ガス
5・・・炭酸ガス吸収管
6・・・出口ガス
7・・・炭酸ガス濃度計
8・・・炭酸ガス吸収材
9・・・フィルター部材
10・・・フィルター部材
Claims (3)
- 一般式LixSiyOz(式中、x、y、zはx+4y−2z=0を満たす整数である)で表されるリチウムシリケートを主成分とする炭酸ガス吸収材が含有する水分量が、0.5〜8wt%であることを特徴とする炭酸ガス吸収材。
- 一般式LixSiyOz(式中、x、y、zはx+4y−2z=0を満たす整数である)で表されるリチウムシリケートを主成分とする炭酸ガス吸収材を、600〜1000℃で加熱し、
前記加熱した炭酸ガス吸収材を炭酸ガスを含有しない雰囲気下で200℃以下の温度まで冷却し、
前記炭酸ガス吸収材を、水蒸気を含有し炭酸ガスを含有しない雰囲気に暴露し加湿して含有水分量を0.5〜8wt%に調整し、
次いで、この処理を行った炭酸ガス吸収材を炭酸ガス含有被処理気体の処理に使用することを特徴とする炭酸ガス吸収材の使用方法。 - 炭酸ガスを吸収させた一般式LixSiyOz(式中、x、y、zはx+4y−2z=0を満たす整数である)で表されるリチウムシリケートを主成分とする炭酸ガス吸収材の再生方法であって、
前記炭酸ガス吸収材を600〜1000℃で加熱後、炭酸ガスを含有しない雰囲気下で200℃以下の温度まで冷却し、
次いで、水蒸気を含有し炭酸ガスを含有しない雰囲気に暴露し加湿して、含有水分量を0.5〜8wt%とすることを特徴とする炭酸ガス吸収材の再生方法。
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