JP3675493B2 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ポリカーボネート系の樹脂を含む難燃化された樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、耐衝撃性等に優れることから種々の用途に用いられているが、成形加工温度が高く、流動性が悪いこと、衝撃強度の厚み依存性が大きい等の欠点を有している。
【0003】
そこで、ポリカーボネート(PC)樹脂にABS(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン)系樹脂をブレンドし、これらの問題点を解決しようとする試みがなされている(特公昭38-15225号公報、特公昭48-12170号公報、特公昭57-21530号公報、特公昭58-46269号公報等)。
【0004】
ところでPC/ABSアロイは、成形加工性、耐衝撃性に優れるが、難燃性が不足しているため、難燃性向上のために種々の試みが成されている(特公昭54-30417公報、特開昭61-62556号公報)。
【0005】
しかしながら、近年機器のコストダウンや軽量化の要請に伴い、薄肉化指向が強まりつつある。材料においても、薄肉化を達成するため、例えばポリカーボネートの分子量を低くしたり、ABSやSANの比率を高めて流動性の改良を行う試みがなされている。しかし、このような改良法ではUL94燃焼試験で滴下物(ドリップ)を生じやすくなり、良好な難燃性が得られない。そこで、他の物性をなるべく損なわず、難燃性をより改善する方法が強く望まれている。そしてそのような薄肉化指向から、厚さの薄いハウジング用途において、薄肉の(例えば3mm以下)、UL94の5V試験(5VB)に合格するような優れた難燃性を有する芳香族ポリカーボネート系の樹脂組成物が望まれている。
【0006】
そこで本発明は、UL94のV試験あるいは5V試験に代表される難燃性試験において優れた難燃性を有するポリカーボネート系の樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、難燃剤と共に特定の2種類のゴムを組合せて、特定のポリカーボネート系の樹脂に添加すると、それぞれを単独で用いたときには予測できなかった程飛躍的に難燃性を改善できることを見出し、本発明に至った。
【0008】
本発明の難燃性樹脂組成物は、
(A)(A-1) 次式(化4):
【0009】
【化4】
Figure 0003675493
および次式(化5):
【0010】
【化5】
Figure 0003675493
(上記式中、R4 およびR5 はそれぞれ独立して、ハロゲン原子または一価の炭化水素基であり、Bは−(R1 −)C(−R2 )− [ここで、R1 およびR2 はそれぞれ独立して水素原子または1価の炭化水素基である]、−C(=R3 )− [ここでR3 は2価の炭化水素基である]、−O−、−S−、−SO−または−SO2 −であり、R6 は炭素数1〜10の炭化水素基もしくはそのハロゲン化物またはハロゲン原子であり、p、qおよびnはそれぞれ独立して0〜4の整数である)
で示される構造単位を有し、かつ前記(化5)の構造単位の量は(化4)および(化5)の構造単位の合計量の2〜90モル%を占めるところの共重合ポリカーボネートまたはこれとポリカーボネート系樹脂1〜100 重量部、ならびに(A-2) (a) 芳香族ビニル単量体成分および(b) シアン化ビニル単量体成分を、共重合体の構成成分として含む共重合体99〜0重量部を含み、かつ、(A)100重量部に対して、
(B)(a) 芳香族ビニル単量体成分、(b) シアン化ビニル単量体成分および(c) ゴム質重合体を、共重合体の構成成分として含む共重合体0.5 〜40重量部ならびに
(C)ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴムにビニル系単量体がグラフトしてなる複合ゴム系グラフト共重合体0.5 〜40重量部を含み、さらに(A)〜(C)の合計100重量部に対して、
(D)リン酸エステル系化合物1〜30重量部を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明においては、成分(A)に、2種のゴム成分すなわち(B)と(C)および難燃剤(D)を組合せたところに特徴があり、(B)〜(D)のいずれか1つでも欠けると、良好な難燃性は得られない。
【0012】
本発明においては、成分(A)の(A-1) は、上記した共重合ポリカーボネートまたはこれとポリカーボネート系樹脂である。
【0013】
本発明で使用する共重合ポリカーボネートは、上記式(化4)および(化5)で示される構成単位を有することが必要である。まず、(化4)で示される構成単位はジフェノール成分およびカーボネート成分よりなる。ジフェノール成分を導入するために使用できるジフェノールを次式(化6)に示す。
【0014】
【化6】
Figure 0003675493
上記式中、R4 、R5 、B、pおよびqは、先に示したのと同義である。
【0015】
本発明において有効なジフェノールとしては、例えば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(いわゆるビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-1- メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-t- ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3- ブロモフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4'- ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'- ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルフェニルエーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類;4,4'- ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'- ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4'- ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'- ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスルホキシドなどのジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4'- ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'- ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスルホンなどのジヒドロキシジアリールスルホン類などが挙げられるが、これらに限定されない。これらを1種または2種以上組合せて使用することができる。これらのうちでは、特に2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0016】
またカーボネート成分を導入するための前駆物質としては、例えばジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどの炭酸ジエステル、およびホスゲンなどのハロゲン化カルボニル化合物等が挙げられる。これらを1種または2種以上組合せて使用することができる。特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0017】
次に、上記式(化5)で示される構造単位は、ジフェノール成分、レゾルシンおよび/または置換レゾルシン成分ならびにカーボネート成分から成る。ジフェノール成分の導入については、上記したのと同様のジフェノールを使用できる。またカーボネート成分としては、上記した炭酸ジエステルまたはホスゲンを使用できる。レゾルシンおよび/または置換レゾルシン成分の導入のためには、次式(化7):
【0018】
【化7】
Figure 0003675493
(ここで、R6 およびnは上記と同義である)
で示される化合物を1種または2種以上組合せて使用することができる。このような化合物としては、例えばレゾルシン、および3-メチルレゾルシン、3-エチルレゾルシン、3-プロピルレゾルシン、3-ブチルレゾルシン、3-t-ブチルレゾルシン、3-フェニルレゾルシン、3-クミルレゾルシン、2,3,4,6-テトラフルオロレゾルシン、2,3,4,6-テトラブロモレゾルシンなどの置換レゾルシンが挙げられる。これらのうち特にレゾルシンが好ましい。
【0019】
共重合ポリカーボネートは、(化4)(化5)で示される上記した2種の構成単位を次の割合で有している。すなわち、(化5)で示される構成単位の量が、(化4)および(化5)の合計量の2〜90モル%、好ましくは2〜40モル%である。(化5)の量が2モル%より少ないとガラス転移温度(Tg)の低下が不十分であるので、流動性の改良効果がみられない。また、90モル%より多いと従来のポリカーボネートと同等の優れた物性、例えば機械的強度、耐熱性等が得られない。
【0020】
共重合ポリカーボネートの重量平均分子量は、通常10,000〜100,000 、好ましくは18,000〜40,000である。ここでいう重量平均分子量とは、ポリカーボネート用に補正されたポリスチレンを用いて、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定されたものである。(また、メチレンクロリド中、25℃で測定した固有粘度が、0.35〜0.65 dl/g であるものが好ましい。)
共重合ポリカーボネートは、公知のポリカーボネートの製造方法、例えばホスゲンを用いる界面重合法、溶融重合法等によって製造できる。特に溶融重合法は毒性物質であるホスゲンや塩化メチレン等を用いないので、環境衛生上好ましい。
【0021】
溶融重合反応の際の温度、圧力等の条件は任意であり、公知の慣用の条件を用いることができる。具体的には、好ましくは80〜250 ℃、より好ましくは 100〜230 ℃、特に好ましくは 120〜190 ℃の温度で、好ましくは0〜5時間、より好ましくは0〜4時間、特に好ましくは0〜3時間、常圧下で、ジフェノールおよび上記式(化7)で示される化合物と炭酸ジエステルとを反応させる。次いで、反応系を減圧にしながら反応温度を高めて、ジフェノールおよび上記式(化7)で示される化合物と炭酸ジエステルとの反応を行い、最終的には5mmHg以下、より好ましくは1mmHg以下の減圧下で 240〜320 ℃の温度で、ジフェノールおよび上記式(化7)で示される化合物と、炭酸ジエステルとの反応を行うのが好ましい。
【0022】
上記のような重縮合反応は、連続式で行っても良く、バッチ式で行っても良い。また、上記反応を行う際に使用する反応装置は、槽型であっても、管型であっても、塔型であっても良い。
【0023】
またこの溶融重合法によれば、得られる共重合ポリカーボネートにおける構造単位(化5)が(化4)および(化5)の合計の90モル%を超えるような割合で、すなわちレゾルシンおよび/または置換レゾルシンを、ジフェノール100モルに対して、90モルを超えるような量で使用しても、他の方法、例えば界面重合法等に比べて、色相、耐水性、耐熱性の優れた共重合ポリカーボネートが得られる。
【0024】
また、共重合ポリカーボネートは、その末端がフェノールであっても十分な耐衝撃強度を有するが、p-t-ブチルフェノール、イソノニルフェノール、イソオクチルフェノール、m-またはp-クミルフェノール(好ましくはp-クミルフェノール)、クロマニル化合物、例えばクロマンのような、よりかさ高い末端基を導入すると、より低温衝撃性が優れた共重合ポリカーボネートを得ることができる。
【0025】
成分(A)は、上記の共重合ポリカーボネートと共に任意的に、ポリカーボネート系樹脂を含むことができる。本発明において使用されるポリカーボネート系樹脂は、公知のホスゲン法または溶融法により作られた芳香族ポリカーボネートである(例えば特開昭63-215763 号公報および特開平2-124934号公報参照)。
【0026】
成分(A)が共重合ポリカーボネートおよびポリカーボネート系樹脂の両方を含む場合には、両者の配合比率は任意である。
【0027】
また、(A-1) は、塩化メチレン中、25℃で測定した固有粘度が、0.32〜0.65 dl/g であるものが好ましい。
【0028】
次に、成分(A)は任意的に、(A-2) (a) 芳香族ビニル単量体成分および(b) シアン化ビニル単量体成分を含む共重合体を含有することができる。樹脂組成物の難燃性向上のためには(A-2) 成分は必須ではないが、(A-2) 成分を含有すると、成形性(流動性)が改善されるので好ましい。
【0029】
(a) 芳香族ビニル単量体成分としては、例えばスチレン、α‐メチルスチレン、o-,m- もしくはp-メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p-tert- ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等を挙げることができ、これらを1種または2種以上使用する。好ましくはスチレン、α‐メチルスチレンである。
【0030】
(b) シアン化ビニル単量体成分としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができ、これらを1種または2種以上使用する。これらの組成比は特に制限されず、用途に応じて選択される。
【0031】
(a)/(b) の組成比は特に限定されないが、(A-2) 成分中において好ましくは(a) が95〜50重量%、(b) が5〜50重量%であり、さらに好ましくは(a) が92〜65重量%、(b) が8〜35重量%である。
【0032】
(A-2) の共重合体の好ましい例としては、例えばSAN樹脂(スチレン‐アクリロニトリル共重合体)が挙げられる。
【0033】
(A-2) の共重合体の製造法に関しては特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合など通常公知の方法が用いられる。また、別々に共重合した樹脂をブレンドすることによって得ることも可能である。
【0034】
成分(A)における(A-1) および(A-2) の配合比率は、(A-1) 1〜100重量部に対して(A-2) を99〜0重量部、好ましくは(A-1) 10〜99重量部に対して(A-2) を90〜1重量部である。
【0035】
次に成分(B)について述べる。(B)は(a) 芳香族ビニル単量体成分、(b) シアン化ビニル単量体成分および(c) ゴム質重合体を含む共重合体である。(a) 芳香族ビニル単量体成分および(b) シアン化ビニル単量体成分については、前記した成分(A)の(A-2) において示したものが挙げられる。(c) ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン‐ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、該ブロック共重合体の水素添加物、アクリロニトリル‐ブタジエン共重合体、ブタジエン‐イソプレン共重合体などのジエン系ゴム、エチレン‐プロピレンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン‐ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレンとα‐オレフィンとの共重合体、エチレン‐メタクリレート、エチレン‐ブチルアクリレートなどのエチレン‐不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、アクリル酸エステル‐ブタジエン共重合体、例えばブチルアクリレート‐ブタジエン共重合体などのアクリル系弾性重合体、エチレン‐酢酸ビニルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体、エチレン‐プロピレン‐エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン‐プロピレン‐ヘキサジエン共重合体などのエチレン‐プロピレン非共役ジエンターポリマー、ブチレン‐イソプレン共重合体、塩素化ポリエチレンなどが挙げられ、これらを1種または2種以上で使用する。好ましいゴム質重合体としてはエチレン‐プロピレンゴム、エチレン‐プロピレン非共役ジエンターポリマー、ジエン系ゴムおよびアクリル系弾性重合体であり、特に好ましくはポリブタジエンおよびスチレン‐ブタジエン共重合体であり、このスチレン‐ブタジエン共重合体中のスチレン含有率は50重量%以下であることが好ましい。
【0036】
成分(B)において、各成分(a),(b) および(c) の組成比は特に制限はなく、用途に応じて各成分が配合される。
【0037】
成分(B)には、上記の成分(a),(b) および(c) の他に、(d) これらの成分と共重合可能な単量体を本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。そのような共重合可能な単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β‐不飽和カルボン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチル (メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート等のα,β‐不飽和カルボン酸エステル類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のα,β‐不飽和ジカルボン酸無水物類;マレイミド、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-o-クロロフェニルマレイミド等のα,β‐不飽和ジカルボン酸のイミド化合物類;等を挙げることができ、これらの単量体は1種または2種以上で使用される。
【0038】
成分(B)の共重合体としては、(c) ゴム質重合体の存在下にその他の成分がグラフト共重合したグラフト共重合体等が好ましく、さらに好ましくはABS樹脂(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル‐エチレン‐プロピレン‐スチレン共重合体)、ACS樹脂(アクリロニトリル‐塩素化ポリエチレン‐スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル‐アクリル系弾性重合体‐スチレン共重合体)である。
【0039】
成分(B)の共重合体の製造法については、上記の(A)の(A-2) の共重合体と同様の方法が使用できる。
【0040】
上記の成分(B)は、成分(A)100 重量部に対して0.5 〜40重量部、好ましくは0.5 〜30重量部添加する。成分(B)の量が上記の範囲より少ないと、本発明の効果が発揮されず、上記の範囲より多いと剛性が低下する。
【0041】
次に、本発明で使用する成分(C)は、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが交互に絡み合って複合一体化されている構造を有する複合ゴムに、1種または2種以上のビニル系単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体である。
【0042】
このような複合ゴム系グラフト共重合体の製造は、例えば特開昭64-79257号公報明細書等に記載された方法を用いることができる。
【0043】
このような複合ゴムは、乳化重合法によって製造するのが適している。まずポリオルガノシロキサンゴムのラテックスを調製し、次にアルキル(メタ)アクリレートゴムの合成用単量体をポリオルガノシロキサンゴムラテックスのゴム粒子に含浸させてから、アルキル(メタ)アクリレートゴムの合成用単量体を重合させるのが好ましい。
【0044】
ポリオルガノシロキサンゴム成分は、例えば以下に示すオルガノシロキサンおよび架橋剤(I)を用いて乳化重合により調製することができ、その際、さらにグラフト交叉剤(I)を併用することができる。
【0045】
オルガノシロキサンとしては、例えば、ジメチルシロキサン等の鎖状オルガノシロキサンが挙げられる。また、3員環以上、好ましくは3〜6員環の各種の環状オルガノシロキサンを用いることもできる。例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。これらのオルガノシロキサンを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。これらの使用量は、好ましくはポリオルガノシロキサンゴム成分中50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。
【0046】
架橋剤(I)としては、3官能性または4官能性のシラン系架橋剤、例えばトリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n- プロポキシシラン、テトラブトキシシラン等を用いることができる。特に4官能性の架橋剤が好ましく、この中でもテトラエトキシシランが特に好ましい。架橋剤は単独で用いてもよく、また2種以上併用してもよい。架橋剤の使用量はポリオルガノシロキサンゴム成分中0.1〜30重量%が好ましい。
【0047】
グラフト交叉剤(I)としては、次式:
【0048】
【化8】
CH2 =C(R2 )−COO−(CH2 p −SiR1 n (3-n)/2 (I−1)
【0049】
【化9】
CH2 =CH−SiR1 n (3-n)/2 (I−2)
または
【0050】
【化10】
HS−(CH2 p −SiR1 n (3-n)/2 (I−3)
(上記式中、R1 は低級アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等またはフェニル基を表し、R2 は水素原子またはメチル基を表し、nは0、1または2を表し、pは1〜6の整数を表す)
で示される単位を形成し得る化合物が用いられる。上記式(I−1)の単位を形成し得る(メタ)アクリロイルオキシシロキサンはグラフト効率が高いため、有効なグラフト鎖を形成することが可能であり、高い耐衝撃性を発現するという点で有利である。なお、式(I−1)の単位を形成し得るものとしてメタクリロイルオキシシロキサンが特に好ましい。メタクリロイルオキシシロキサンの具体例としては、β‐メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ‐メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ‐メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ‐メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ‐メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ‐メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ‐メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また2種以上併用してもよい。グラフト交叉剤の使用量は、好ましくはポリオルガノシロキサンゴム成分中0〜10重量%である。
【0051】
このポリオルガノシロキサンゴム成分のラテックスの製造は、例えば米国特許第2891920 号明細書、同第3294725 号明細書等に記載された方法を用いることができる。本発明の実施では、例えばオルガノシロキサンと架橋剤(I)および所望によりグラフト交叉剤(I)の混合溶液とを、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸等のスルホン酸系乳化剤の存在下で、例えばホモジナイザー等を用いて水と剪断混合する方法により製造することが好ましい。アルキルベンゼンスルホン酸はオルガノシロキサンの乳化剤として作用すると同時に重合開始剤ともなるので好適である。この際、アルキルベンゼンスルホン酸の金属塩、アルキルスルホン酸の金属塩等を併用すると、グラフト重合を行う際にポリマーを安定に維持するのに効果があるので好ましい。
【0052】
次に、上記複合ゴムを構成するポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分は、以下に示すアルキル(メタ)アクリレート、架橋剤(II)およびグラフト交叉剤(II)を用いて合成することができる。
【0053】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートおよびヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられ、特にn-ブチルアクリレートの使用が好ましい。
【0054】
架橋剤(II)としては、例えばエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
【0055】
グラフト交叉剤(II)としては、例えばアリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。アリルメタクリレートは架橋剤として用いることもできる。これら架橋剤およびグラフト交叉剤は単独で用いてもよく、また2種以上併用しても良い。これら架橋剤およびグラフト交叉剤の合計の使用量は、好ましくはポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分中0.1〜20重量%である。
【0056】
ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分の重合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリの水溶液の添加により中和されたポリオルガノシロキサンゴム成分のラテックス中へ上記アルキル(メタ)アクリレート、架橋剤およびグラフト交叉剤を添加し、ポリオルガノシロキサンゴム粒子へ含浸させた後、通常のラジカル重合開始剤を作用させて行う。重合の進行と共にポリオルガノシロキサンゴムの架橋網目に相互に絡んだポリアルキル(メタ)アクリレートゴムの架橋網目が形成され、実質上分離できない、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分との複合ゴムのラテックスが得られる。なお、本発明の実施に際しては、この複合ゴムとしてポリオルガノシロキサンゴム成分の主骨格がジメチルシロキサンの繰り返し単位を有し、ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分の主骨格がn-ブチルアクリレートの繰り返し単位を有する複合ゴムが好ましく用いられる。
【0057】
この様にして乳化重合により調製された複合ゴムは、ビニル系単量体とグラフト共重合可能である。この複合ゴムをトルエンにより90℃で12時間抽出して測定したゲル含量は80重量%以上であると好ましい。
【0058】
また難燃性、耐衝撃性、外観等のバランスを満足させるためには、上記の複合ゴムにおけるポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分の割合は、前者が3〜90重量%に対して後者が97〜10重量%であるのが好ましく、また、複合ゴムの平均粒子径は0.08〜0.6μmであるのが好ましい。
【0059】
上記の複合ゴムにグラフト重合させるビニル系単量体としては、スチレン、α‐メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;メチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等の各種ビニル系単量体が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上組合せて用いることができる。特に好ましいビニル系単量体はメチルメタクリレートである。ビニル系単量体は、上記した複合ゴム30〜95重量%に対して5〜70重量%の割合で含まれると好ましい。
【0060】
複合ゴム系グラフト共重合体(C)は、上記ビニル系単量体を上記の複合ゴムのラテックスに加え、ラジカル重合技術によって一段または多段で重合させて得られる複合ゴム系グラフト共重合体ラテックスを、塩化カルシウムまたは硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固することにより分離、回収することができる。
【0061】
このような複合ゴム系グラフト共重合体(C)は、例えば三菱レイヨン株式会社より、メタブレンS−2001として商業的に入手可能である。
【0062】
成分(C)は、成分(A)100 重量部に対して0.5 〜40重量部、好ましくは0.5 〜 30 重量部使用する。上記の範囲より少ないと、本発明の効果が発揮されず、上記の範囲より多いと剛性が低下する。
【0063】
本発明で使用する成分(D)リン酸エステル系化合物としては、次式(化11):
【0064】
【化11】
Figure 0003675493
(ここで、R1 、R2 、R3 およびR4 は、それぞれ独立して、水素原子または有機基を表すが、R1 =R2 =R3 =R4 =Hの場合を除く。Xは2価以上の有機基を表し、pは0または1であり、qは1以上、例えば30以下の整数、rは0以上の整数を表す。)
で示されるリン酸エステル系化合物が挙げられる。しかし、これ等に限定されるものではない。
【0065】
上記式において、有機基とはたとえば、置換されていてもいなくてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基等が挙げられる。また、置換されている場合、置換基としては例えばアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ハロゲン化アリール基等が挙げられ、またこれ等の置換基を組合せた基(例えばアリールアルコキシアルキル基等)またはこれ等の置換基を酸素原子、イオウ原子、窒素原子等により結合して組合せた基(例えば、アリールスルホニルアリール基等)を置換基として用いてもよい。また、2価以上の有機基とは上記した有機基から、炭素原子に結合している水素原子の1個以上を除いてできる2価以上の基を意味する。例えばアルキレン基、および好ましくは(置換)フェニレン基、多核フェノール類例えばビスフェノール類から誘導されるものが挙げられ、2以上の遊離原子価の相対的位置は任意である。特に好ましいものとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジフェニロールメタン、ジフェニロールジメチルメタン、ジヒドロキシジフェニル、 p,p′- ジヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
【0066】
具体的なリン酸エステル系化合物の例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3-ジブロモプロピル)-2,3- ジクロロプロピルホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェートおよびビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート、R1 〜R4 がアルコキシ例えばメトキシ、エトキシおよびプロポキシ、または好ましくは(置換)フェノキシ例えばフェノキシ、メチル(置換)フェノキシであるところのビスフェノールAビスホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシンビスホスフェート、トリオキシベンゼントリホスフェート等のポリホスフェートが挙げられ、好ましくはトリフェニルホスフェートおよび各種ポリホスフェートである。
【0067】
上記の成分(D)は、成分(A)〜(C)の合計100 重量部に対して1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部添加する。成分(D)の量が上記の範囲より少ないと本発明の効果が十分発揮されず、上記の範囲より多いと耐熱性が損なわれる。
【0068】
本発明の樹脂組成物にはさらに、滴下防止剤を含むことができる。そのような滴下防止剤として使用することができるフッ素化ポリオレフィンは、商業的にも入手できるし、あるいは公知の方法によって製造することもできる。それは、たとえば、遊離基触媒(たとえばペルオキシ二硫酸ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム)を使用しながら水性媒質中において 100〜1000psi の圧力および0〜 200℃好ましくは20〜 100℃の温度下でテトラフルオロエチレンを重合させることによって得られる白色の固体である。詳しくは、ブルベーカー(Brubaker)の米国特許第 2,393,967号明細書を参照されたい。不可欠ではないが、比較的大きな粒子たとえば平均粒度 0.3〜 0.7mm(主として 0.5mm)の粒子の状態にある樹脂を使用することが好ましい。これは0.05〜 0.5mmの粒度を有する通常のポリテトラフルオロエチレン粉末よりも良好である。かかる比較的大きな粒度の物質が特に好ましい理由は、それが重合体中に容易に分散しかつ重合体同志を結合して繊維状材料を作る傾向を示すことにある。かかる好適なポリテトラフルオロエチレンはASTMによればタイプ3と呼ばれるもので、実際にはデュポン社(E.I.Dupont de Nemours and Company )からテフロン6(Teflon 6)として商業的に入手し得る。あるいは、三井デュポンフロロケミカル社のテフロン30Jとして商業的に入手し得る。フッ素化ポリオレフィンは、成分(A)100 重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.05〜1.0 重量部使用する。
【0069】
本発明の樹脂組成物には、上記の成分の他に、その物性を損なわない限りにおいて、その目的に応じて樹脂の混合時、成形時に、慣用の他の添加剤、例えば顔料、染料、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維など)、充填剤(カーボンブラック、シリカ、酸化チタンなど)、耐熱剤、酸化劣化防止剤、耐候剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、可塑剤、流動性改良剤、帯電防止剤等を添加することができる。
【0070】
本発明の樹脂組成物を製造するための方法に特に制限はなく、通常の方法が満足に使用できる。しかしながら一般に溶融混合法が望ましい。少量の溶剤の使用も可能であるが、一般に必要ない。装置としては特に押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を例として挙げることができ、これらを回分的または連続的に運転する。成分の混合順は特に限定されない。
【0071】
【実施例】
以下の実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例においては以下の成分を使用した。
成分 (A-1)
RS−PC:以下のようにして製造した共重合ポリカーボネート;
ビスフェノールA(日本ジーイープラスチックス株式会社製)0.22キロモル、レゾルシン0.22キロモルおよびジフェニルカーボネート(エニィ社製)0.44キロモルを、第1の槽型撹拌機(容量250リットル)に仕込み、140℃で溶融した。この温度に保持しながら、得られた混合物を、ビスフェノールA換算で毎時0.16キロモルの速度で、第2の槽型撹拌機(容量50リットル)に送液した。第2の槽型撹拌機の温度は180℃に保持した。
【0072】
ここに触媒として、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを毎時0.04モルおよび水酸化ナトリウムを毎時0.00016モル(1×10-6モル/モル‐ビスフェノールA)添加し、滞留時間が30分間となるように時間を調整し、撹拌した。
【0073】
次に、この反応液を、ビスフェノールA換算で毎時0.16キロモルの速度で、第3の槽型撹拌機(容量50リットル)に送液した。第3の槽型撹拌機の温度は210℃、圧力は200mmHgであった。滞留時間が30分間となるように時間を調整し、フェノールを抽出除去しながら撹拌した。
【0074】
次に、この反応液を、ビスフェノールA換算で毎時0.16キロモルの速度で、第4の槽型撹拌機(容量50リットル)に送液した。第4の槽型撹拌機の温度は240℃、圧力は15mmHgであった。滞留時間が30分間となるように時間を調整し、フェノールを抽出除去しながら撹拌した。反応が定常になって得られた反応物の極限粘度[η]は0.15dl/gであった。
【0075】
次に、この反応物をギアポンプで昇圧し、ビスフェノールA換算で毎時0.16キロモルの速度で、遠心式薄膜蒸発機に送入し、反応を進めた。薄膜蒸発機の温度および圧力はそれぞれ、270℃および2mmHgに制御した。反応物を、蒸発機下部よりギアポンプにて、290℃および0.2mmHgに制御された二軸横型撹拌重合槽(L/D=3、撹拌翼回転直径 220mm、内容積80リットル)に、ビスフェノールA換算で毎時0.16キロモルの速度(約40kg/ 時間)で送り込み、滞留時間30分間にて重合させた。このときの生成物の極限粘度[η]は0.49dl/gであった。生成物は、次式(化12)および(化13)をモル比50:50で有する共重合ポリカーボネートであった。以下ではこれをRS−PCと略記する。
【0076】
【化12】
Figure 0003675493
【0077】
【化13】
Figure 0003675493
PC(1):ビスフェノールAのポリカーボネート(商標;レキサン、日本ジーイープラスチックス株式会社製)、塩化メチレン中、25℃で測定した固有粘度0.56dl/g
PC(2):ビスフェノールAのポリカーボネート(商標;レキサン、日本ジーイープラスチックス株式会社製)、塩化メチレン中、25℃で測定した固有粘度0.50dl/g
PC(3):ビスフェノールAのポリカーボネート(商標;レキサン、日本ジーイープラスチックス株式会社製)、塩化メチレン中、25℃で測定した固有粘度0.44dl/g
成分 (A-2)
SAN樹脂:商標SR 30B(ウベサイコン株式会社製)
成分(B)
ABS樹脂:商標UX 050(ウベサイコン株式会社製)
成分(C)
メタブレン S−2001:商標、メチルメタクリレート‐ブチルアクリレート‐ジメチルシロキサンコポリマー、三菱レイヨン株式会社製
成分(D)
CR733S:商標、フェニルレゾルシンポリホスフェート、大八化学株式会社製
任意成分
テフロン30J :商標、ポリテトラフルオロエチレン、三井デュポンフロロケミカル社製
実施例1および比較例1〜4
各成分を表1に示す割合(重量比)で混合し、240 ℃、150rpm に設定した2軸押出機(30mm)で押出し、ペレットを作成した。次いで、このペレットを、設定温度250 ℃、金型温度60℃で射出成形した。得られた成形品についてアイゾット衝撃強度およびメルトインデックス(MI)を測定し、難燃性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0078】
なお、樹脂組成物の評価試験は、以下のようにして行った。
(1) アイゾット衝撃強度(Kg-cm/cm)
ASTM D 256に従って、厚み 1/8 インチ、ノッチ付で測定した。
(2) メルトインデックス(MI)
ASTM D 1238 に従って、温度260℃、5kg荷重の条件で測定した。
(3) 難燃性試験
UL94/V0,VI,VII試験
5個の試験棒をアンダーライターズラボラトリーズインコーポレーションのブレチン94”材料分類のための燃焼試験”(以下、UL−94という)に示される試験方法にしたがって、厚み1/16インチで試験した。この試験方法により、供試材料を、5個の試料の結果に基づいてUL−94 V−0、V−IおよびV−IIのいずれかの等級に評価した。UL−94についての各Vの等級の基準は概略次の通りである。
V−0:点火炎を取り除いた後の平均火炎保持時間が5秒以下であり、かつ全試料とも脱脂綿に着火する微粒炎を落下しない。
V−I:点火炎を取り除いた後の平均火炎保持時間が25秒以下であり、かつ全試料とも脱脂綿に着火する微粒炎を落下しない。
V−II:点火炎を取り除いた後の平均火炎保持時間が25秒以下であり、かつこれらの試料が脱脂綿に着火する微粒炎を落下する。
【0079】
また、UL−94は全試験棒が特定のV等級に合格しなければ、その等級に分類してはならない旨を規定している。この条件を満たさない場合には、その5個の試験棒は最も成績の悪い1個の試験棒の等級を与えられる。例えば1個の試験棒がV−IIに分類された場合には、5個の全試験棒に対する等級はV−IIである。
UL94/5V(5VB)試験(5インチフラムテスト)
A法(バー試験)により、試験片をバーナに5回あてて、(1) 燃焼時間とグローイングの時間、(2) 試験片の燃えた距離、(3) 滴下物(ドリップ)の有無、(4)変形と物理的強度の観察を行った。なお、試験片の厚みは2.5mmであった。5VB合格判定基準:どの試験片も試験炎を5回あてた後の燃焼時間および、またはグローイングは60秒を超えない。かつどの試験片も滴下物がない。
【0080】
【表1】
Figure 0003675493
【0081】
【発明の効果】
本発明により、薄く成形されても難燃性が著しく優れたポリカーボネート系樹脂組成物を提供することができる。本発明の樹脂組成物は特に、滴下物抑制効果が高い。よって、本発明の樹脂組成物は、工業的に非常に有用である。

Claims (5)

  1. (A)(A-1) 次式(化1):
    Figure 0003675493
    および次式(化2):
    Figure 0003675493
    (上記式中、R4 およびR5 はそれぞれ独立して、ハロゲン原子または一価の炭化水素基であり、Bは−(R1 −)C(−R2 )− [ここで、R1 およびR2 はそれぞれ独立して水素原子または1価の炭化水素基である]、−C(=R3 )− [ここでR3 は2価の炭化水素基である]、−O−、−S−、−SO−または−SO2 −であり、R6 は炭素数1〜10の炭化水素基もしくはそのハロゲン化物またはハロゲン原子であり、p、qおよびnはそれぞれ独立して0〜4の整数である)
    で示される構造単位を有し、かつ前記(化2)の構造単位の量は(化1)および(化2)の構造単位の合計量の2〜90モル%を占めるところの共重合ポリカーボネートまたはこれとポリカーボネート系樹脂1〜100 重量部、ならびに
    (A-2) (a) 芳香族ビニル単量体成分および(b) シアン化ビニル単量体成分を、共重合体の構成成分として含む共重合体99〜0重量部を含み、かつ、(A)100重量部に対して、
    (B)(a) 芳香族ビニル単量体成分、(b) シアン化ビニル単量体成分および(c) ゴム質重合体を、共重合体の構成成分として含む共重合体0.5 〜40重量部ならびに
    (C)ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴムにビニル系単量体がグラフトしてなる複合ゴム系グラフト共重合体0.5 〜40重量部を含み、さらに(A)〜(C)の合計100重量部に対して、
    (D)リン酸エステル系化合物1〜30重量部を含む難燃性樹脂組成物。
  2. 成分(A)の(A-1) において、式(化1)および(化2)中のBが−(R1 −)C(−R2 )− (R1 およびR2 は上記と同義である)で示される請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 成分(A)において、(A-1) 10〜99重量部に対して(A-2) が90〜1重量部配合される請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 成分(B)において、(b−1)がABS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂およびAAS樹脂から選択され、かつ(b−2)がSAN樹脂である請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂組成物。
  5. 成分(D)リン酸エステル系化合物が、次式(化3):
    Figure 0003675493
    (ここで、R1 、R2 、R3 およびR4 は、それぞれ独立して、水素原子または有機基を表すが、R1 =R2 =R3 =R4 =Hの場合を除く。Xは2価以上の有機基を表し、pは0または1であり、qは1以上の整数、rは0以上の整数を表す。)
    で示される化合物である請求項1〜4のいずれか1項記載の樹脂組成物。
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