JP3672847B2 - レーダ装置及びコヒーレント積分方法 - Google Patents

レーダ装置及びコヒーレント積分方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光波、電磁波、あるいは音波といった波動からなるパルスを送受信し、受信信号の周波数スペクトルから、計測対象の性状、例えば計測対象の形状や移動速度といったものを検出するレーダ装置及びコヒーレント積分方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のレーダ装置は、光波、電磁波あるいは音波等をパルス変調して送信し、計測の対象となる距離に相当する遅延時間をおいて計測対象からの反射信号を受信する。送信したパルスの時間幅に等しい時間の受信信号をフーリエ変換して周波数ごとに信号を積分することにより、計測対象の性状、例えば移動速度を計測するものであった。
【0003】
このような装置では、信号対雑音電力比(以下においてはSNRと称する)を向上させるための積分時間はパルス幅で制限されていた。SNRを向上させるには、パルス幅を拡大すること、もしくパルスを複数回送信することが考えられるが、計測対象からの反射信号がコヒーレンス時間(文献[1]、日置 隆一編、光用語辞典、オーム社、昭和56年11月30日発行、84頁)を持つことにより位相揺らぎが生じ、コヒーレント積分による十分なSNRの向上効果が得られなかった。
【0004】
この問題を解決するレーダ装置の一つは、特願平11−312876号(平成11年11月2日提出)に示されている。
【0005】
従来のレーダ装置について図面を参照しながら説明する。図3は、例えば特願平11−312876号に示された従来のレーダ装置の構成を示す図である。
【0006】
図3において、1は送受信機、3はA/D変換手段、4はゲート手段、5はデータ分割手段、6a及び6bはフーリエ変換手段、7は複素共役手段、8は複素乗算手段、9は複素加算手段である。
【0007】
つぎに、従来のレーダ装置の動作について図面を参照しながら説明する。
【0008】
送受信機1からのパルス変調された送信信号は、計測対象により反射されて送受信機1により受信される。この受信信号は、A/D変換手段3でA/D変換された後、ゲート手段4により受信信号中から、計測対象からの反射信号が含まれている時間ゲートを抽出する。
【0009】
ゲート内の受信信号は、データ分割手段5により偶奇もしくは前後半の2組のデータに分割される。この分割された各々のデータは、フーリエ変換手段6a及び6bによりフーリエ変換される。
【0010】
フーリエ変換された2つの結果の内の1つについて、複素共役手段7により複素共役が求められ、もう一つのフーリエ変換の結果との複素乗算を複素数乗算手段8で求める。送信信号を複数回送信して同じ計測を繰り返し、上記複素乗算の結果を複素加算手段9で積分する。これにより、送信信号を送信した毎に得られるデータの位相揺らぎを補償し、コヒーレント積分による十分なSNRの向上を図ることができた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のレーダ装置を用いて所望の信号をコヒーレント積分するには、送信パルス幅、及びゲートの時間幅が信号のコヒーレンス時間により決められてしまうという問題点があり、送信パルス幅を必要な時間分解能、もしくは距離分解能に応じて自在に決めることはできなかった。
【0012】
この発明は、前述した問題点を解決するためになされたもので、送信パルスの時間幅が、所望の信号のコヒーレンス時間よりも大きい場合においても、ゲート内において所望の信号のみを同相でコヒーレント積分し、システムノイズを抑圧して受信信号におけるSNRを向上することができるレーダ装置及びコヒーレント積分方法を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係るレーダ装置は、波動からなるパルスを送信するとともに、計測対象からの反射信号を受信する送受信機と、前記送受信機により受信された信号中から計測不要な周波数帯域の信号を除去するフィルタと、前記フィルタの出力を予め決められたサンプリング周期によりA/D変換するA/D変換手段と、前記A/D変換手段の出力に時間軸上でゲートをかけ、ゲート内の受信信号を抽出するゲート手段と、前記ゲート手段により抽出された受信信号を複数のデータに分割するデータ分割手段と、ゲート内の分割された複数のデータをフーリエ変換するフーリエ変換手段と、前記フーリエ変換手段の出力信号の複素共役を求める複素共役手段と、分割された複数のデータの内の時間的に隣り合う2つのデータについて、前半のデータに関する前記フーリエ変換手段の出力と、後半のデータに関する前記複素共役手段の出力との複素乗算を行う複素乗算手段と、前記複素乗算手段の出力信号を加算する複素加算手段とを備え、計測における必要周波数の下限値をfs、上限値をfeとし、前記A/D変換手段におけるサンプリング周期の逆数を2fe以上とし、前記フィルタの通過周波数範囲の下限値をfbs、上限値をfbeとし、前記計測対象の性質により決まる反射信号のコヒーレンス時間をτcとした場合、[1/(fbe−fbs)<τc/2]、[fbs<fs、fe<fbe]の関係を満足し、前記データ分割手段により分割されたデータの時間幅τaは、1/(fbe−fbs)<τa、τa<τc/2の関係を満足するものである。
【0016】
この発明の請求項2に係るコヒーレント積分方法は、受信された信号中からフィルタにより計測不要な周波数帯域の信号を除去するステップと、前記フィルタの出力に時間軸上でゲートをかけ、ゲート内の受信信号を抽出するステップと、前記抽出されたゲート内の受信信号を複数のデータに分割してそれぞれをフーリエ変換するステップと、前記フーリエ変換されたデータの複素共役を求めるステップと、前記分割された複数のデータの内の時間的に隣り合う2つのデータについて、前半のデータに関する前記フーリエ変換手段の出力と、後半のデータに関する前記複素共役手段の出力との複素乗算を行うステップと、前記複素乗算の結果を加算するステップとを含み、計測における必要周波数の下限値をfs、上限値をfeとし、前記フィルタの通過周波数範囲の下限値をfbs、上限値をfbeとし、計測対象の性質により決まる反射信号のコヒーレンス時間をτcとした場合、[1/(fbe−fbs)<τc/2]、[fbs<fs、fe<fbe]の関係を満足し、前記分割されたデータの時間幅τaは、1/(fbe−fbs)<τa、τa<τc/2の関係を満足するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係るレーダ装置について図面を参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の構成を示す図である。なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0019】
図1において、1は光波、電磁波、あるいは音波といった波動からなるパルスを送受信するための送受信機、2は受信信号中から計測不要な周波数帯域の信号を除去するためのフィルタ、3はA/D変換を行うA/D変換手段、4は受信信号に時間軸上でゲートをかけ、ゲート内の受信信号を抽出するゲート手段、5はゲート手段4により抽出された受信信号を複数のデータに分割するためのデータ分割手段である。
【0020】
また、同図において、6(6a、6b、6c、6d)はゲート内の分割されたデータをフーリエ変換するフーリエ変換手段、7(7a、7b、7c)はフーリエ変換手段6の出力信号の複素共役を求める複素共役手段、8(8a、8b、8c)は分割されたデータの内の時間的に隣り合う2つのデータについて、前半データに関するフーリエ変換手段6の出力と、後半データに関する複素共役手段8の出力との複素乗算を行う複素乗算手段、9は複素乗算手段8の出力信号を加算する複素加算手段である。なお、複素乗算手段8は、同一の周波数毎に複素乗算を行う。
【0021】
さらに、図1においては、データ分割手段5により分割されたデータの個数が4個で、複素乗算手段8の個数が3個である場合について示しているが、これらの個数は、送信パルスの時間幅と、データ分割手段5による分割数との関係により決まるものであり、特にこれらの個数に限ったものではない。
【0022】
つぎに、この実施の形態1に係るレーダ装置の動作について図面を参照しながら説明する。
【0023】
図2は、この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の送受信動作を示すタイミングチャートである。
【0024】
図2において、(a)は送信タイミングを、(b)は受信タイミングをそれぞれ示す。また、τは送信パルスの時間幅、τdは計測対象までの距離に相当する遅延時間である。さらに、τaはデータ分割手段5により分割されたデータの時間幅である。なお、τcはドップラー信号のコヒーレンス時間である。
【0025】
この実施の形態1に係るレーダ装置は、光波、電磁波、あるいは音波といった波動を送受信し、受信信号の周波数スペクトルから、計測対象の性状、例えば計測対象の形状や移動速度といったものを検出する装置に適用可能である。ここでは、その具体的例として、光波を大気中に送信し、大気中のエアロゾルから反射された反射信号をヘテロダイン検波してドップラースペクトルを求め、このドップラースペクトルから大気の風速を測定するケースについて説明する。
【0026】
送受信機1からの受信信号には、所望の信号であるドップラー信号と、不要信号であるレーダ装置内部のシステムノイズとが含まれている。
【0027】
ドップラー信号は、大気の性質により決まるコヒーレンス時間を持つ信号である。本明細書におけるコヒーレンス時間とは、信号の位相揺らぎが起こらない範囲の時間であり、信号の周波数スペクトル幅の逆数により与えられる。その定義は、上記の文献[1]に示されている。文献[1]では、光波の場合について記述されているが、使用する波動が電磁波、音波の場合においても同様の記述が可能であることは明らかである。
【0028】
また、レーダ装置内部におけるシステムノイズは、白色ランダムノイズであり、コヒーレンス時間を持たない信号である。
【0029】
図1において、計測における必要周波数の下限値をfs、上限値をfeとし、A/D変換手段3のA/D変換におけるサンプリング周期の逆数を2fe以上とする。また、フィルタ2の通過周波数範囲は、通過周波数範囲の下限値をfbs、上限値をfbeとする。さらに、ドップラー信号のコヒーレンス時間をτcとし、次の式(1)、及び式(2)を満足するように設定する。
【0030】
1/(fbe−fbs)<τc/2 (1)
【0031】
fbs<fs、fe<fbe (2)
【0032】
以下、図1、及び図2を参照してこの実施の形態1の動作を説明する。
【0033】
まず、図2(a)に示すように、送受信機1から時間幅τの送信パルスを送信する。この送信パルスは、大気中のエアロゾルにより反射され、この反射信号は、送受信機1により受信される。この送受信機1においては、この反射信号は、ヘテロダイン検波され(以下、ヘテロダイン検波された反射信号をドップラー信号と称する)、風速と光波の伝播速度とで決まるドップラースペクトルを持つ信号となる。なお、ドップラー信号は、フィルタ2の通過周波数帯域内の成分のみ持つ信号である。
【0034】
送受信機1からのドップラー信号、及びシステムノイズは、図1に示すフィルタ2を通過する。これにより計測不要な周波数帯域の成分が除去される。所望のドップラー信号は、フィルタ2の通過帯域内の成分のみ持つため、信号のレベル、及びコヒーレンス時間に変化はない。それに対し、システムノイズは、白色ランダムノイズなので、フィルタ2を通過することにより通過帯域以外の成分が除去されてノイズレベルが低減される。このように、フィルタ2を備えることで、受信信号におけるSNRが向上するという効果が生じる。
【0035】
また、システムノイズがフィルタ2を通過することにより、白色ランダムノイズから有色ノイズに変化し、フィルタ2の通過周波数帯域幅の逆数に相当するコヒーレンス時間を有するようになる。したがって、システムノイズのコヒーレンス時間は、1/(fbe−fbs)となる。
【0036】
このフィルタ2を通過したドップラー信号、及びシステムノイズは、A/D変換手段3によってデジタル信号に変換される。
【0037】
次に、計測対象の距離に応じた遅延時間τdをおいて送信パルスの時間幅と同じ時間幅τを持つ信号をゲート手段4により抽出する。これにより、計測対象からのドップラー信号が含まれているゲートが抽出される。
【0038】
このゲートの時間幅τは、システムノイズのコヒーレンス時間1/(fbe−fbs)、及びドップラー信号のコヒーレンス時間τcより大きい。したがって、ゲート内におけるドップラー信号、及びシステムノイズは、位相揺らぎのある信号となっている。
【0039】
次に、データ分割手段5によって、ゲート手段4から出力される時間幅τの信号を時間軸上で複数のデータに分割する。このとき、分割されたデータの時間幅τaは、次の式(3)を満たすように設定する。
【0040】
1/(fbe−fbs)<τa、τa<τc/2 (3)
【0041】
分割されたデータの時間幅τaは、システムノイズのコヒーレンス時間1/(fbe−fbs)より大きく、ドップラー信号のコヒーレンス時間τcより小さいので、分割されたデータ内におけるドップラー信号の位相揺らぎはなく、システムノイズは位相揺らぎのある信号となっている。
【0042】
これらの分割されたデータは、Nをデータ分割手段5により分割したゲートの分割数、nをデータ番号、Mを分割されたデータにおけるサンプル数、kをサンプル番号として、次のように表される。
【0043】
S(n,k)
k=0,1,2,…,M−1
n=0,1,2,…,N−1
【0044】
このとき、フィルタ2の通過周波数範囲が式(1)により設定されているので、時間的に隣り合うデータの時間差τaは、システムノイズのコヒーレント時間1/(fbe−fbs)よりも大きく、ドップラー信号のコヒーレンス時間τcよりも小さくなっている。
【0045】
分割された複数のデータは、ドップラー周波数軸上のサンプル番号をlとして、フーリエ変換手段6a、6b、6c、6dでそれぞれ次の式(4)のようにフーリエ変換される。
【0046】
【数1】
Figure 0003672847
【0047】
この演算は、分割された複数のデータをドップラー周波数毎に分解し、同一のドップラー周波数成分についてコヒーレント積分する演算に相当する。
【0048】
なお、本明細書におけるフーリエ変換とは、時間領域のデジタル信号のフーリエ変換という意味であり、DFT(Discrete Fourier Transform)、FFT(Fast Fourier Transform)のどちらでもよい。DFTを用いれば、ドップラー信号のコヒーレント時間τcに合わせてゲート時間を細かく設定できるという効果があり、また、FFTを用いれば計算時間が速くなるという効果が生じる。
【0049】
これらのフーリエ変換手段6a、6b、6c、6dにより求められるドップラースペクトルは、ゲート内において分割されたデータをドップラー周波数毎に分解し、同一のドップラー周波数成分についてコヒーレント積分されたものである。このとき、分割されたデータ内におけるドップラー信号の位相揺らぎはなく、システムノイズは位相揺らぎのある信号となっている。したがって、フーリエ変換手段6(6a、6b、6c、6d)により、ドップラー信号のみを同相でコヒーレント積分し、システムノイズをキャンセルすることができるので、SNRが向上する効果が生じる。
【0050】
次に、複素共役手段7(7a、7b、7c)は、フーリエ変換手段6(6b、6c、6d)の出力の複素共役を求める。このとき、データ分割手段5により分割されたデータの内、時間軸上における最初のデータについては複素共役を求める必要はない。
【0051】
次に、複素乗算手段8(8a、8b、8c)において、分割されたデータの内の時間的に隣り合う2つのデータについて、前半データに関するフーリエ変換手段6a、6b、6cの出力と、後半データに関する複素共役手段7a、7b、7cの出力との複素乗算を行う。この複素乗算は、次の式(5)のように同一のドップラー周波数成分毎に行う。
【0052】
【数2】
Figure 0003672847
【0053】
ここで、iは時間的に隣り合う2つのデータの組み合わせ番号、A(i,l)は複素乗算された結果の振幅項、φ(i,l)は複素乗算された結果の位相であり、時間的に隣り合う2つのデータにおける前半のデータと後半のデータの間の信号の位相差である。
【0054】
送信パルスの時間幅τがドップラー信号のコヒーレンス時間τcよりも大きい場合、ゲート内の分割されたデータ間におけるドップラー信号の位相は揺らいでいる。しかし、ゲート内における時間的に隣り合う2つのデータの時間差は、ドップラー信号のコヒーレンス時間τcより小さいので、ドップラー信号に関する時間的に隣り合う2つのデータの位相差は、ゲート内において一定である。それに対し、時間的に隣り合う2つのデータの時間差は、システムノイズのコヒーレンス時間1/(fbe−fbs)よりも大きいので、システムノイズに関する時間的に隣り合う2つのデータの位相差はゲート内でランダムな値をとる。
【0055】
次に、複素加算手段9は、ドップラースペクトルの複素共役、及び複素乗算によって得られた結果について、次の式(6)のように、複素加算処理を行う。
【0056】
【数3】
Figure 0003672847
【0057】
これにより、送信パルスの時間幅τがドップラー信号のコヒーレンス時間τcよりも大きく、ゲートにおいてドップラー信号の位相が揺らぐ場合であっても、ドップラー信号のみ同相でコヒーレント積分することができ、システムノイズについてはランダムな位相で積分することになるので、受信信号におけるSNRを向上させることが可能になる。
【0058】
この実施の形態1に係るレーダ装置では、受信信号を複数のデータに分割し、それぞれのドップラースペクトルを求め、時間的に隣り合う2つのデータの内の一方のドップラースペクトルの複素共役結果ともう一方のドップラースペクトルの複素乗算を行うように装置を構成したので、送信パルスの時間幅がドップラー信号のコヒーレンス時間より大きい場合であっても、ゲート内について同相でコヒーレント積分でき、十分なSNRの向上が得られるという効果がある。本レーダ装置を用いれば、送信パルスの時間幅τを必要な時間分解能、もしくは距離分解能に応じて自由に決めることができるという効果がさらに生じる。
【0059】
また、この実施の形態1に係るレーダ装置では、A/D変換手段3の前段階にフィルタ2を備えているので、不要周波数成分を除去し、従来装置よりもシステムノイズレベルを低減することができる。
【0060】
さらに、計測対象の性質により決まるコヒーレンス時間をτcとし、計測における必要周波数の下限値をfs、上限値をfeとし、フィルタ2の通過周波数範囲の下限値をfbs、上限値をfbeとした場合、式(1)及び式(2)を満足するように設定し、また、分割されたデータの時間幅τaを式(3)の範囲に設定しているので、分割した後の時間的に隣り合う2つのデータの時間間隔を、システムノイズのコヒーレンス時間より大きく、所望の信号のコヒーレンス時間より小さくすることができる。これにより、フィルタ2を備えることによりシステムノイズがコヒーレンス時間を持つ場合においても所望の信号のみを同相でコヒーレント積分し、システムノイズを抑圧して受信信号におけるSNRを向上する効果が生じる。
【0061】
なお、この実施の形態1においては、送信パルスの送信回数は1回であったが、この回数を多くしてもよい。このとき、各送信毎においてゲート内で時間的に隣り合う2つのデータのドップラー信号の位相差は一定である。したがって、各送信数毎に得られた複素加算結果についてさらに複素加算を行えば、この複素加算によりドップラー信号をコヒーレント積分することができ、SNRがさらに向上する効果が生じる。
【0062】
【発明の効果】
この発明の請求項1に係るレーダ装置は、以上説明したとおり、波動からなるパルスを送信するとともに、計測対象からの反射信号を受信する送受信機と、前記送受信機により受信された信号中から計測不要な周波数帯域の信号を除去するフィルタと、前記フィルタの出力を予め決められたサンプリング周期によりA/D変換するA/D変換手段と、前記A/D変換手段の出力に時間軸上でゲートをかけ、ゲート内の受信信号を抽出するゲート手段と、前記ゲート手段により抽出された受信信号を複数のデータに分割するデータ分割手段と、ゲート内の分割された複数のデータをフーリエ変換するフーリエ変換手段と、前記フーリエ変換手段の出力信号の複素共役を求める複素共役手段と、分割された複数のデータの内の時間的に隣り合う2つのデータについて、前半のデータに関する前記フーリエ変換手段の出力と、後半のデータに関する前記複素共役手段の出力との複素乗算を行う複素乗算手段と、前記複素乗算手段の出力信号を加算する複素加算手段とを備え、計測における必要周波数の下限値をfs、上限値をfeとし、前記A/D変換手段におけるサンプリング周期の逆数を2fe以上とし、前記フィルタの通過周波数範囲の下限値をfbs、上限値をfbeとし、前記計測対象の性質により決まる反射信号のコヒーレンス時間をτcとした場合、[1/(fbe−fbs)<τc/2]、[fbs<fs、fe<fbe]の関係を満足し、前記データ分割手段により分割されたデータの時間幅τaは、1/(fbe−fbs)<τa、τa<τc/2の関係を満足するので、送信パルスの時間幅が、所望の信号のコヒーレンス時間よりも大きい場合においても、ゲート内において所望の信号のみを同相でコヒーレント積分し、システムノイズを抑圧して受信信号におけるSNRを向上することができるという効果を奏する。
【0065】
この発明の請求項2に係るコヒーレント積分方法は、以上説明したとおり、受信された信号中からフィルタにより計測不要な周波数帯域の信号を除去するステップと、前記フィルタの出力に時間軸上でゲートをかけ、ゲート内の受信信号を抽出するステップと、前記抽出されたゲート内の受信信号を複数のデータに分割してそれぞれをフーリエ変換するステップと、前記フーリエ変換されたデータの複素共役を求めるステップと、前記分割された複数のデータの内の時間的に隣り合う2つのデータについて、前半のデータに関する前記フーリエ変換手段の出力と、後半のデータに関する前記複素共役手段の出力との複素乗算を行うステップと、前記複素乗算の結果を加算するステップとを含み、計測における必要周波数の下限値をfs、上限値をfeとし、前記フィルタの通過周波数範囲の下限値をfbs、上限値をfbeとし、計測対象の性質により決まる反射信号のコヒーレンス時間をτcとした場合、[1/(fbe−fbs)<τc/2]、[fbs<fs、fe<fbe]の関係を満足し、前記分割されたデータの時間幅τaは、1/(fbe−fbs)<τa、τa<τc/2の関係を満足するので、送信パルスの時間幅が、所望の信号のコヒーレンス時間よりも大きい場合においても、ゲート内において所望の信号のみを同相でコヒーレント積分し、システムノイズを抑圧して受信信号におけるSNRを向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の構成を示す図である。
【図2】 この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の送受信動作を示すタイミングチャートである。
【図3】 従来のレーダ装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 送受信機、2 フィルタ、3 A/D変換手段、4 ゲート手段、5 データ分割手段、6a、6b、6c、6d フーリエ変換手段、7a、7b、7c複素共役手段、8a、8b、8c 複素乗算手段、9 複素加算手段。

Claims (2)

  1. 波動からなるパルスを送信するとともに、計測対象からの反射信号を受信する送受信機と、
    前記送受信機により受信された信号中から計測不要な周波数帯域の信号を除去するフィルタと、
    前記フィルタの出力を予め決められたサンプリング周期によりA/D変換するA/D変換手段と、
    前記A/D変換手段の出力に時間軸上でゲートをかけ、ゲート内の受信信号を抽出するゲート手段と、
    前記ゲート手段により抽出された受信信号を複数のデータに分割するデータ分割手段と、
    ゲート内の分割された複数のデータをフーリエ変換するフーリエ変換手段と、
    前記フーリエ変換手段の出力信号の複素共役を求める複素共役手段と、
    分割された複数のデータの内の時間的に隣り合う2つのデータについて、前半のデータに関する前記フーリエ変換手段の出力と、後半のデータに関する前記複素共役手段の出力との複素乗算を行う複素乗算手段と、
    前記複素乗算手段の出力信号を加算する複素加算手段とを備え
    計測における必要周波数の下限値をfs、上限値をfeとし、前記A/D変換手段におけるサンプリング周期の逆数を2fe以上とし、前記フィルタの通過周波数範囲の下限値をfbs、上限値をfbeとし、前記計測対象の性質により決まる反射信号のコヒーレンス時間をτcとした場合、
    1/(fbe−fbs)<τc/2、
    fbs<fs、fe<fbe
    の関係を満足し、
    前記データ分割手段により分割されたデータの時間幅τaは、
    1/(fbe−fbs)<τa、τa<τc/2
    の関係を満足する
    ことを特徴とするレーダ装置。
  2. 受信された信号中からフィルタにより計測不要な周波数帯域の信号を除去するステップと、
    前記フィルタの出力に時間軸上でゲートをかけ、ゲート内の受信信号を抽出するステップと、
    前記抽出されたゲート内の受信信号を複数のデータに分割してそれぞれをフーリエ変換するステップと、
    前記フーリエ変換されたデータの複素共役を求めるステップと、
    前記分割された複数のデータの内の時間的に隣り合う2つのデータについて、前半のデータに関する前記フーリエ変換手段の出力と、後半のデータに関する前記複素共役手段の出力との複素乗算を行うステップと、
    前記複素乗算の結果を加算するステップとを含み、
    計測における必要周波数の下限値をfs、上限値をfeとし、前記フィルタの通過周波数範囲の下限値をfbs、上限値をfbeとし、計測対象の性質により決まる反射信号のコヒーレンス時間をτcとした場合、
    1/(fbe−fbs)<τc/2、
    fbs<fs、fe<fbe
    の関係を満足し、
    前記分割されたデータの時間幅τaは、
    1/(fbe−fbs)<τa、τa<τc/2
    の関係を満足する
    ことを特徴とするコヒーレント積分方法
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