JP3672125B2 - 光学的素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的素子の製造方法に関し、例えば、自発光の平面型ディスプレイであって、特に、有機薄膜を電界発光層に用いる有機電界発光ディスプレイに好適な光学的素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、マルチメディア指向の商品を初めとして、人間と機械とのインターフェースの重要性が高まってきている。人間がより快適に効率良く機械操作するためには、操作される機械からの情報を誤りなく、簡潔に、瞬時に、充分な量で取り出す必要があり、そのために、ディスプレイを初めとする様々な表示素子について研究が行われている。
【0003】
また、機械の小型化に伴い、表示素子の小型化、薄型に対する要求も日々、高まっているのが現状である。
【0004】
例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、ノート型ワードプロセッサなどの、表示素子一体型であるラップトップ型情報処理機器の小型化には目を見張る進歩があり、それに伴い、その表示素子である液晶ディスプレイに関しての技術革新も素晴らしいものがある。
【0005】
今日、液晶ディスプレイは、様々な製品のインターフェースとして用いられており、ラップトップ型情報処理機器はもちろんのこと、小型テレビや時計、電卓を初めとして、我々の日常使用する製品に多く用いられている。
【0006】
これらの液晶ディスプレイは液晶が低電圧駆動、低消費電力であるという特徴を生かし、小型から大容量表示デバイスに至るまで、人間と機械のインターフェースとして、表示素子の中心として研究されてきた。
【0007】
しかし、この液晶ディスプレイは自発光性がないため、バックライトを必要とし、このバックライト駆動に、液晶を駆動するよりも大きな電力を必要とするため、結果的に内蔵蓄電池等では使用時間が短くなり、使用上の制限がある。
【0008】
さらに、液晶ディスプレイは視野角が狭いため、大型ディスプレイ等の大型表示素子には適していなく、また、液晶分子の配向状態による表示方法なので、視野角の中においても、角度によりコントラストが変化してしまうのも大きな問題である。
【0009】
また、駆動方式から考えれば、駆動方式の一つであるアクティブマトリクス方式は、動画を扱うに十分な応答速度を示すが、TFT駆動回路を用いるため、画素欠陥により画面サイズの大型化が困難である。TFT駆動回路を用いることは、コストダウンの点から考えても好ましくない。
【0010】
別の駆動方式である、単純マトリクス方式は低コストである上に画面サイズの大型化が比較的容易であるが、動画を扱うに十分な応答速度を有していないという問題がある。
【0011】
これに対し、自発光性表示素子は、プラズマ表示素子、無機電界発光素子、有機電界発光素子等が研究されている。
【0012】
プラズマ表示素子は低圧ガス中でのプラズマ発光を表示に用いたもので、大型化、大容量化に適しているものの、薄型化、コストの面での問題を抱えている。また、駆動に高電圧の交流バイアスを必要とし、携帯用デバイスには適していない。
【0013】
無機電界発光素子は、緑色発光ディスプレイ等が商品化されたが、プラズマ表示素子と同様に、交流バイアス駆動であり、駆動には数百V必要であり、またフルカラー化は困難であると思われる。
【0014】
一方、有機化合物による電界発光現象は、1960年代前半に、強く螢光を発生するアントラセン単結晶へのキャリア注入による発光現象が発見されて以来、長い期間、研究されてきたが、低輝度、単色で、しかも単結晶であったため、有機材料へのキャリア注入という基礎的研究として行われていた。
【0015】
しかし、1987年にEastman Kodak 社のTangらが低電圧駆動、高輝度発光が可能なアモルファス発光層を有する積層構造の有機薄膜電界発光素子を発表して以来、各方面で、R、G、Bの三原色の発光、安定性、輝度上昇、積層構造、作製方法等の研究開発が盛んに行われている。
【0016】
さらに、有機材料の特徴であるが、分子設計等により様々な新規材料が発明され、直流低電圧駆動、薄型、自発光性等の優れた特徴を有する、有機電界発光表示素子のカラーディスプレイへの応用研究も盛んに行われ始めている。
【0017】
有機電界発光素子(以下、有機EL素子と称することがある。)は、1μm以下の膜厚であり、電流を注入することにより電気エネルギーを光エネルギーに変換して面状に発光するなど、自発光型の表示デバイスとして理想的な特徴を有している。
【0018】
図13は、従来の有機EL素子10の一例を示す。この有機EL素子10は、透明基板(例えばガラス基板)6上に、ITO(Indium tin oxide)透明電極5、ホール輸送層4、発光層3、電子輸送層2、陰極(例えばアルミニウム電極)1を例えば真空蒸着法で順次製膜したものである。
【0019】
そして、陽極である透明電極5と陰極1との間に直流電圧7を選択的に印加することによって、透明電極5から注入されたキャリアとしてのホールがホール輸送層4を経て、また陰極1から注入された電子が電子輸送層2を経て、それぞれ発光層3に到達して電子−ホールの再結合が生じ、ここから所定波長の発光8が生じ、透明基板6の側から観察できる。
【0020】
発光層3には、例えば亜鉛錯体を含有させることもできるが、実質的に亜鉛錯体のみからなる層(但し、複数種の亜鉛錯体の併用が可能)であってよいし、或いは亜鉛錯体に螢光物質を添加した層であってもよい。また、亜鉛錯体と他の発光物質であるアントラセン、ナフタリン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン等を併用してよい。こうした亜鉛錯体又は螢光物質等との混合物は、電子輸送層2に含有させることができる。
【0021】
図14は、別の従来例を示すものであり、この例においては、発光層3を省略し、電子輸送層2に上記の亜鉛錯体又は螢光物質との混合物を含有させ、電子輸送層2とホール輸送層4との界面から所定波長の発光18が生じるように構成した有機EL素子20を示すものである。
【0022】
図15は、上記の有機EL素子の具体例を示す。即ち、各有機層(ホール輸送層4、発光層3又は電子輸送層2)の積層体を陰極1と陽極5との間に配するが、これらの電極をマトリクス状に交差させてストライプ状に設け、輝度信号回路30、シフトレジスタ内蔵の制御回路31によって時系列に信号電圧を印加し、多数の交差位置(画素)にてそれぞれ発光させるように構成している。
【0023】
従って、このような構成により、ディスプレイとして勿論、画像再生装置としても使用可能となる。なお、上記のストライプパターンを赤(R)、緑(G)、青(B)の各色毎に配し、フルカラー又はマルチカラー用として構成することができる。
【0024】
こうした有機EL素子を用いた、複数の画素からなる表示デバイスにおいて、発光する有機薄膜層2、3、4は一般に、透明電極5と金属電極1との間に挟まれており、透明電極5側に発光する。
【0025】
しかし、上記のような有機EL素子も、なお未解決の問題を有している。
【0026】
例えば、有機EL素子のカラーディスプレイへの応用を行う上で、R、G、Bの三原色の安定した発光は必要不可欠な条件である。しかし、現在の段階では、緑色発光材料以外には、ディスプレイに応用可能な十分な安定性、色度、輝度等を兼ね備えた赤色、及び青色材料についての報告はなく、各方面で検討されているのが実情である。また、緑色発光材料として有望なアルミニウム−キノリン錯体は色度が若干ずれているのが現状である。
【0027】
また、フルカラーディスプレイの応用を考えると、低電圧駆動は必要不可欠な条件であるが、R、G、Bの三原色の各色において改善の余地が残されている。
【0028】
しかしながら、R、G、Bの三原色の発光層を作製するためには、異なった発光材料を用いる必要があり、このことがR、G、Bの三原色の各色で有機EL素子の特性の違いをもたらしている。
【0029】
さらに、有機EL素子の特性向上のためには、真空一貫プロセスで素子の作製を行う必要があるが、カラーディスプレイへの応用を行う上で、各色で異なった層構造により低電圧駆動を実現することを考えると、作製装置である蒸着機等の設備の大幅な改良が必要になり、現実的に困難性がある。
【0030】
これらの問題点について考えると、カラーディスプレイへの応用を行う上で、低電圧駆動を達成するためには、各色で共通の処理を行い、その後に発光素子を作製し、そのR、G、Bの三原色の各色においては、共通の層構造及び材料を持ち、有機ホール輸送層、有機発光層、有機電子輸送層、金属電極が積層された構造を有することが望ましい。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、低電圧駆動が可能であり、しかも高輝度で発光して有機層の劣化も抑制されるような光学的素子の製造方法を提供することを目的としている。
【0032】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、電極上に有機層が設けられている光学的素子を製造するに際し超音波の作用下に、少なくとも疎水性側鎖部にリンを含むチタネート系カップリング剤によって前記電極表面処理、この処理表面上に前記有機層設ける光学的素子の製造方法に係るものである。
【0033】
本発明の製造方法によれば、上記のチタネート系カップリング剤の少なくとも疎水性側鎖部にリンを含んでいるため、超音波の作用下に、このようなチタネート系カップリング剤によってカップリング処理された電極を用いると、有機層の密着性が向上し、低電圧駆動に顕著な効果があることが判明したのである。
【0035】
本発明の製造方法によれば、電極を上記のチタネート系カップリング剤によって簡便に前処理を施しているので、ホール輸送層、発光層、電子輸送層という一般的に良く知られている単純な構造でも、特性の改善と、有機層の劣化抑制を効果的に実現できると共に、各層の特性が最も良くなるように有機層の多層構造を真空一貫プロセスで容易に作製することができる。
【0036】
本発明において、上記の「チタネート系カップリング剤」とは、チタンを中心金属として、一方に親水性主鎖部が、他方に疎水性側鎖部が結合されたものであって、主鎖部が対象物である電極と結合すると同時に側鎖部が有機層に親和することによって、電極を表面改質して電極−有機層間を良好にカップリングする作用のある化学物質である。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法において、
一般式:
X−Ti−Y
(但し、Xは主鎖部、Yはリンを含む側鎖部である。)
で表されるチタネート系カップリング剤使用ることが望ましい。
【0043】
本発明の製造方法においては、前記チタネート系カップリング剤の溶液中に電極を浸漬して表面処理を行うことが望ましい。
【0044】
そして、上記の処理剤としては、
一般式:
X−Ti−Y
(但し、Xは主鎖部、Yはリンを含む側鎖部である。)
で表されるチタネート系カップリング剤を使用することが望ましい。
【0045】
そして、上記のXは酸素原子を異種原子として有するヘテロ環からなり、Yはジアルキルピロホスフェートからなることが望ましく、又は、Xはテトラアルル基からなり、Yはジアルキルホスファイトからなる方法が望ましい。
【0046】
更に、上記したチタネート系カップリング剤の疎水性側鎖官能基に長鎖アルキル基を含ませるのがよい。
【0047】
また、疎水基の側鎖官能基にリンを含むチタネート系カップリング剤によって、光学的に透明な電極を表面処理し、この処理表面上に前記有機層を設ける方法が望ましい。
【0048】
そして、上記の素子は、光学的に透明な基体上に、チタネート系カップリング剤によって表面処理した光学的に透明な電極、有機ホール輸送層、有機発光層及び/又は有機電子輸送層、及び金属電極を順次積層することが望ましい。
【0049】
これにより、上記の素子は、好適な有機電界発光素子の製造方法となり、この素子はカラーディスプレイ用素子としても好適なものとなる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【0051】
図1は、第1の実施例によるチタネート系カップリング剤Iの構造式であり、主鎖部Xが酸素を異種原子(ヘテロ原子)として含む5員環からなり、側鎖部Yはリン酸残基及びこれとアルコキシ基(−OC8 17)との間にリン(P)又はリン酸残基を結合したものからなっている。
【0052】
このチタネート系カップリング剤Iを用いて、後述する製造方法において、例えばITOからなる透明電極を有するガラス基板の表面処理を行うことにより、このチタネート系カップリング剤Iを介して有機層が透明電極に密着し易くなる。
【0053】
図2は、第2の実施例によるチタネート系カップリング剤IIの構造式であり、主鎖部Xは酸素を異種原子(ヘテロ原子)として含みかつカルボニル基を有する5員環からなり、側鎖部Yは上記チタネート系カップリング剤Iと同様に、リン酸残基、及びこれとアルコキシ基との間にリン(P)を結合したものからなっている。
【0054】
このチタネート系カップリング剤IIを用いて、上記と同様にITO透明電極の表面処理を行うことによって、有機層が透明電極と密着し易くなる。
【0055】
図3は、第3の実施例によるチタネート系カップリング剤III の構造式であり、主鎖部Xはアルコキシ基(C8 17O−)からなっており、側鎖部Yは、アルコキシ基(−OC1327)を結合したリン(P)又はリン酸残基を有している。
【0056】
このチタネート系カップリング剤III を用いて、上記と同様にITO透明電極の表面処理を行うことによって、有機層が透明電極と密着し易くなる。
【0057】
図4は、上記のようにして表面処理したITO透明電極5上のチタネート系カップリング剤(ここでは「X−Ti−Y」と簡略に示す。)の作用を模式的に示した図である。
【0058】
図示のように、チタネート系カップリング剤で表面処理されたITO透明電極5の表面には、チタネート系カップリング剤の親水性の主鎖部Xが透明電極5の表面に結合し、チタン原子Tiに結合した他方の側鎖部Yが有機分子Qの側に向くことになる。
【0059】
こうしたチタンカップリング剤の結合状態は、特に単層で電極5上に付着したものであるが、X線光電子分光法(XPS)、走査電子顕微鏡(SEM)及びエネルギー分散X線分光法(EDX)等によって確認することができる。
【0060】
上記のチタネート系カップリング剤I〜III を使用した本実施例の有機EL素子は、図5に示す構造からなり、以下に述べる方法によって製造することができる。
【0061】
ガラス基板6上にITOからなる透明電極5(アノード)を真空蒸着法により形成し、そのITO透明電極5の表面を上記したチタネート系カップリング剤で処理した上に、図示のように順次、TPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)4,4’−ジアミノビフェニル)からなるホール輸送層4、Alq3 (トリス(8−キノリノール)アルミニウム)からなる発光層3及び/又は電子輸送層2、アルミニウム電極1(カソード)を真空蒸着法により積層し、有機EL素子9を作製する。もちろん、発光層3が電子輸送層2又はホール輸送層4としての作用を兼ね備えたシングルヘテロ型の有機EL素子(図14参照)としても有効である。
【0062】
この有機EL素子9のITO作製において、有機層(ホール輸送層4、発光層3、電子輸送層2)及びアルミニウム電極1の蒸着は、図6に示すような真空蒸着装置11を使用する。この装置の内部には、アーム12の下に固定された一対の支持手段13が設けられ、この双方の固定手段13、13の間には、透明ガラス基板6を下向きにし、マスク22をセットできるステージ機構(図示省略)が設けられている。そして、ガラス基板及びマスク22の下方には、所定個数の各種蒸着源28を配置する。蒸着源28は、電源29による抵抗加熱方式で加熱される。この加熱には、必要に応じてEB(電子線)加熱方式等も使用される。
【0063】
まず、ITO透明電極5を形成したガラス基板6に対しチタネート系カップリング剤でITO透明電極5を予め表面処理した。この透明ガラス基板6は、有機溶剤、紫外線(UV)オゾン処理により表面を十分に清浄した後、上記真空蒸着装置11により赤(R)、緑(G)、青(B)の3色を発光するストライプを隣接して形成するため、有機層及び金属電極を蒸着マスクを用いてそれぞれ蒸着している。
【0064】
図7は、上記の方法により作製した有機EL素子9の具体例を示す平面図である。即ち、サイズLが30mm×30mmのガラス基板6上に、サイズlが2mm×2mmのITO透明電極5を上記した蒸着装置により約 100nmの厚さで蒸着後に、全面にSiO2 30を蒸着し、これを所定の画素パターンにエッチングして多数の開口31を形成し、ここに透明電極5をそれぞれ露出させる。従って、SiO2 によって2mm×2mmの発光領域(画素)PX以外をマスクし、この状態で一旦、蒸着装置外に取り出し、チタネート系カップリング剤でITO透明電極5を表面処理した後、図6の蒸着装置11内に入れ、各画素に対し蒸着マスクを用いて各有機層4、3、2及びアルミニウム電極1を順次形成する。
【0065】
次に、具体的な例について、有機EL素子とその製造方法を説明する。但し、以下の例では、発光層を電子輸送層と兼用した素子を作製した。
【0066】
実施例1
この実施例による有機EL素子を作製するには、まず、図7に示したように、30mm×30mmのガラス基板6上にITO電極(膜厚約 100nm)5を設けたITO基板上に、SiO2 蒸着により2mm×2mmの発光領域以外をマスクした有機EL素子作製用のセルを作製した。そして、このITO透明電極5を有するガラス基板表面(具体的には、SiO2 間に露出したITO電極表面)を、図1に示した構造式の、末端疎水基にリン(P)を含むチタネート系カップリング剤Iであるビス(ジオクチルピロフォスフェート)エチレンチタネート(プレンアクトKR−238S、味の素(株)製)によって表面処理した。
【0067】
この表面処理においては、上記のKR−238Sをn−ヘキサン中に体積比で 0.5%になるように溶解させて処理(反応)溶液を作成し、この反応溶液中で超音波洗浄処理下で1時間以上、カップリング反応処理を行った。その後、n−ヘキサンによって未処理の(例えばSiO2 層上の)KR−238Sを洗い落とした後、減圧下に 120℃で乾燥処理を行い、アセトン、エタノールでそれぞれ10分間洗浄を行った後、UVオゾン洗浄を80℃で20分間行い、表面の有機物を十分に除去した。但し、上記の表面処理(以下、他の例についても同じ)は必ずしも超音波による洗浄処理下でなくても他の反応促進条件又は手段を採用してもよい。
【0068】
次に、この表面処理されたITO透明電極5を有するガラス基板6を図6に示した真空蒸着装置に入れ、蒸着マスクを用いて、図8に示すTPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)4,4’−ジアミノビフェニル)を真空蒸着法により真空下で約50nmの厚みに蒸着(蒸着速度2〜4Å/sec)してホール輸送層4を形成した。
【0069】
次に、蒸着マスクを用い、ホール輸送層4の上に、電子輸送性を持った図9に示す発光材料であるアルミニウム−キノリン錯体Alq3 (トリス(8−キノリノール)アルミニウム)を50nmの厚みに蒸着(蒸着速度2〜4Å/sec)して発光層(電子輸送層も兼ねるもの:以下、同様)3を形成した後、カソード電極としてアルミニウムを約2kÅの厚みに蒸着(蒸着速度11〜13Å/sec)して金属電極1を形成し、有機EL素子9を作製した。
【0070】
上記のようにして作製された有機EL素子の特性を測定したところ、印加電圧7Vの時に約700cd/m2の輝度を得ることができ、発光開始電圧(発光のしきい値電圧:以下、同様)は約 3.5Vであった。また、この有機EL素子は印加電圧 7.5Vで有機層が劣化を始め、輝度が低下したが、後述する比較例1に比べて有機層の劣化が抑制され、高輝度を低電圧で実現できた。
【0071】
実施例2
この実施例2においても、実施例1と同じく、図7の如きパターンにITO透明電極5を形成したガラス基板6の表面を、図2に示した構造式の、末端疎水基にリン(P)を含むチタネート系カップリング剤IIであるビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート(プレンアクトKR−138S、味の素(株)製)で表面処理した。
【0072】
この表面処理においては、上記のKR−138Sをn−ヘキサン中に体積比で 0.5%になるように溶解させて反応溶液を作成し、この反応溶液中で超音波洗浄処理下で1時間以上、カップリング反応処理を行った。その後、n−ヘキサンで未処理のKR−138Sを洗い落とした後、減圧下に 120℃で乾燥処理を行い、アセトン、エタノールでそれぞれ10分間洗浄を行った後、UVオゾン洗浄を20分間行った。
【0073】
次に、この表面処理されたITO透明電極5を有するガラス基板6を図6に示した真空蒸着装置に入れ、蒸着マスクを用いて、図8に示したTPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)4,4’−ジアミノビフェニル)を真空蒸着法により真空下で約50nmの厚みに蒸着(蒸着速度2〜4Å/sec)してホール輸送層4を形成した。
【0074】
次に、蒸着マスクを用い、ホール輸送層4の上に、電子輸送性を持った発光材料である図9のアルミニウム−キノリン錯体Alq3 (トリス(8−キノリノール)アルミニウム)を発光層3として50nmの厚みに蒸着(蒸着速度2〜4Å/sec)した後、カソード電極としてアルミニウムを約2kÅの厚みに蒸着(蒸着速度11〜13Å/sec)して金属電極1を形成し、有機EL素子9を作製した。
【0075】
上記のようにして作製された有機EL素子の特性を測定したところ、印加電圧9Vの時に約 1100cd/m2の輝度を得ることができ、発光開始電圧は約 3.5Vであった。この有機EL素子は印加電圧 9.5Vで有機層が劣化を始め、輝度が低下したが、後述する比較例1に比べて有機層の劣化が大幅に抑制され、高輝度を低電圧で実現することが可能であった。
【0076】
実施例3
この実施例3においても、実施例1と同じく、図7の如きパターンにITO透明電極5を形成したガラス基板6の表面を、図3に示した構造式の、末端疎水基にリン(P)と長鎖アルキル基を含むチタネート系カップリング剤III であるテトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート(プレンアクトKR−46B、味の素(株)製)で表面処理した。
【0077】
この表面処理においては、上記のKR−46Bをn−ヘキサン中に体積比で 0.5%になるように溶解させて反応溶液を作成し、この反応溶液中で超音波洗浄処理下で1時間以上、カップリング反応処理を行った。その後、n−ヘキサンで未処理のKR−46Bを洗い落とした後、減圧下に 120℃で乾燥処理を行い、アセトン、エタノールでそれぞれ10分間洗浄を行った後、UVオゾン洗浄を20分間行った。
【0078】
次に、この表面処理されたITO透明電極5を有するガラス基板6を図6に示した真空蒸着装置に入れ、蒸着マスクを用いて、図8に示したTPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)4,4’−ジアミノビフェニル)を真空蒸着法により真空下で約50nmの厚みに蒸着(蒸着速度2〜4Å/sec)してホール輸送層4を形成した。
【0079】
次に、蒸着マスクを用い、ホール輸送層4の上に、電子輸送性を持った発光材料である図9のアルミニウム−キノリン錯体Alq3 (トリス(8−キノリノール)アルミニウム)を発光層3として50nmの厚みに蒸着(蒸着速度2〜4Å/sec)した後、カソード電極としてアルミニウムを約2kÅの厚みに蒸着(蒸着速度11〜13Å/sec)して金属電極1を形成し、有機EL素子9を作製した。
【0080】
上記のようにして作製された有機EL素子の特性を測定したところ、印加電圧12Vの時に約 1000cd/m2の輝度を得ることができ、発光開始電圧は約 4.0Vであった。この有機EL素子は印加電圧12.5Vで素子がショートしてしまったが、この直前まで全く有機層の劣化が測定されなかった。従って、後述する比較例1に比べて有機層の劣化が全くなく、高電圧での駆動に好適な有機EL素子を実現することが可能であった。
【0081】
比較例1
この比較例1においても、前記した実施例1と同様に、図7の如きパターンにITO透明電極5を形成したガラス基板6を使用したが、チタネート系カップリング剤によってITO透明電極5を表面処理せず、その上に、図8に示したTPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)4,4’−ジアミノビフェニル)を図6の装置において真空蒸着法により真空下で約50nmの厚みに蒸着(蒸着速度2〜4Å/sec)してホール輸送層4を形成した。
【0082】
次に、蒸着マスクを用い、ホール輸送層4の上に、電子輸送性を持った発光材料である図9のアルミニウム−キノリン錯体Alq3 (トリス(8−キノリノール)アルミニウム)を発光層3として50nmの厚みに蒸着(蒸着速度2〜4Å/sec)した後、カソード電極としてアルミニウムを約2kÅの厚みに蒸着(蒸着速度11〜13Å/sec)して金属電極1を形成し、有機EL素子を作製した。
【0083】
上記のようにして作製された有機EL素子の特性を測定したところ、印加電圧8Vの時に約650cd/m2の輝度を得ることができ、発光開始電圧は約 4.5Vであった。この有機EL素子は印加電圧 8.5Vで有機層が劣化を始め、輝度が低下し、 8.5V以上で素子自体が溶けることがあった。また、前記した実施例1〜3に比べて電圧上昇時に急激に有機層が劣化し、その劣化が顕著であり、しかも劣化が実施例1〜3に比べて低電圧で早く生じた。
【0084】
比較例2
この比較例2の場合も、前記した実施例1と同じく、図7のパターンにITO透明電極5を形成したガラス基板6の表面を、図10に示す構造式の末端疎水基にベンゼン環を含むチタネート系カップリング剤であるイソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート(プレンアクトKR−9SA、味の素(株)製)で表面処理した。
【0085】
この表面処理においては、上記のKR−9SAをn−ヘキサン中に体積比で 0.5%になるように溶解させて反応溶液を作成し、この反応溶液中で超音波洗浄処理下で1時間以上、カップリング反応処理を行い、その後、n−ヘキサンで未処理のKR−9SAを洗い落とした後、減圧下に 120℃で乾燥処理を行い、アセトン、エタノールでそれぞれ10分間洗浄を行った後、UVオゾン洗浄を20分間行った。
【0086】
次に、この表面処理されたITO透明電極5を有するガラス基板6を図6に示した真空蒸着装置に入れ、蒸着マスクを用いて、図8に示したTPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)4,4’−ジアミノビフェニル)を真空蒸着法により真空下で約50nmの厚みに蒸着(蒸着速度2〜4Å/sec)してホール輸送層4を形成した。
【0087】
次に、蒸着マスクを用い、ホール輸送層4の上に、電子輸送性を持った発光材料である図9のアルミニウム−キノリン錯体Alq3 (トリス(8−キノリノール)アルミニウム)を発光層3として50nmの厚みに蒸着(蒸着速度2〜4Å/sec)した後、カソード電極としてアルミニウムを約2kÅの厚みに蒸着(蒸着速度11〜13Å/sec)して金属電極1を形成し、有機EL素子を作製した。
【0088】
上記のようにして作製された有機EL素子の特性を測定したところ、印加電圧 8.5Vの時に約700cd/m2の輝度を得ることができ、発光開始電圧は約 4.0Vであった。この有機EL素子は比較例1とほぼ特性が同じであり、低電圧駆動への寄与は見られなかった。
【0089】
次に、上記した各実施例及び各比較例による有機EL素子のそれぞれについて、ITO透明電極5の表面の表面エネルギーを接触角測定法により測定したところ、図11に示すように、チタネート系カップリング剤で表面処理した実施例1〜3の場合、表面処理していない比較例1に比べて表面エネルギーが低下する結果が得られたが、末端疎水基にリンが含まれていないチタネート系カップリング剤を用いた比較例2では比較例1に比べても表面エネルギーが増加していた。
【0090】
他のサンプルについても同様の測定を行ったが、低電圧駆動化に効果のある実施例1〜3のチタネート系カップリング剤を使用して表面処理を行ったものに関しては、ITO透明電極の表面エネルギーが低下する傾向が得られた。
【0091】
従って、表面エネルギーが低下することによって、透明電極に対する有機層の密着性が改善されたと考えられ、図1〜図3のチタネート系カップリング剤を用いると、透明電極の表面エネルギーを低下させ、低電圧駆動化に効果があると考えられる。このことは、図12に示すデータによって確認された。
【0092】
図12は、上記した各実施例及び各比較例による有機EL素子についての上記した特性の測定結果をまとめて示すグラフであり、それぞれの測定値をプロットして印加電圧と輝度との関係を表したものである。このグラフにおいて、符号15は第1の実施例、符号16は第2の実施例、符号17は第3の実施例、符号18、19はそれぞれ比較例1及び比較例2の測定値に基づく曲線である。
【0093】
この結果によれば、実施例1のデータ15は、約 3.5Vで発光し始め、発光開始時から高輝度性を示し、それ以後も低電圧で輝度の立ち上がりが良く、印加電圧7Vで約700cd/m2の輝度が得られる。但し、 7.5Vで劣化が始まるが、比較例に比べれば電圧上昇時の有機層の劣化は抑制された。
【0094】
これに比べて、実施例2のデータ16は、約 3.5Vで発光し始め、輝度の立ち上がりは劣るものの、約9Vの電圧時に約 1100cd/m2の輝度が得られ、実施例1以上の輝度を示す。但し、約 9.5Vで有機層が劣化し始めるが、後述の比較例よりは大幅に劣化が抑制できた。
【0095】
また、実施例3の場合は、データ17のように、約4Vで発光し始め、12V時には約 1000cd/m2の輝度が得られ、輝度の立ち上がりは上記した実施例1、2よりは遅いものの、より高電圧下でも高輝度を発揮し、有機層の劣化も後述する比較例に比べれば大幅に抑制された。
【0096】
一方、比較例の場合、比較例1は約 4.5V、比較例2は約4Vで発光し始め、輝度も比較例1は8Vで約650cd/m2、比較例2は 8.5Vで約700cd/m2を示しているが、比較例1は 8.5Vで有機層が劣化し始めしかも劣化が早く、劣化の度合いが顕著である(これは比較例2でも同様)。これは、ITO透明電極と有機層とが良好に密着していないこと(表面エネルギーの増加)に依るものと考えられる。
【0097】
従って、上記したように実施例1〜3の有機EL素子は、比較例1、2に比べて、低電圧駆動性及び高輝度性に優れ、有機層の劣化が少なく、信頼性の高いことが明らかである。中でも、実施例1の場合は、低電圧駆動性及び高輝度性、更には表面エネルギーの減少により、有機層の劣化も極めて少なく、優位性が顕著である。
【0098】
以上に示したように、本実施例によれば、チタネート系カップリング剤の側鎖部にリン(又はリン酸残基)を含有させることにより、ITO透明電極の表面エネルギーを低下させ、これによって有機層の成膜性が向上し、ITO透明電極とこの上に積層される有機層との結合状態が良くなる。従って、ITO透明電極からホールが効率よく注入され、発生のしきい値電圧が低く、低電圧駆動性、耐久性又は耐劣化性(耐電圧性)が向上すると共に、輝度性能が向上する。
【0099】
また、これまで、フルカラーディスプレイを作製する際に、各層の特性が最も良くなるような有機層の多層構造を真空での一貫プロセスで作製することは困難であり、設備投資の面を考えても不利であったが、透明電極を有するガラス基板に対し予め上記のチタネート系カップリング剤I〜III によって簡便に前処理を施しているので、電子輸送層、発光層、ホール輸送層の一般的に良く知られている単純な構造でも、特性の改善と、有機層の劣化抑制に効果があった。従って、有機層の各色用の多層構造を共通の構造で形成でき、真空での一貫プロセスが可能となった。
【0100】
以上、本発明の実施例を説明したが、上述の実施例によれば、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0101】
例えば、前述した一般式:X−Ti−Yにおいて、X(主鎖部)はITO透明電極と結合可能な親水性を有するものであればよく、またY(側鎖部)は有機物質と親和性のあるものであればよく、前述した以外のものでも採用することができる。
【0102】
また、側鎖部に含まれるリンの個数及び位置は、前述したもの以外にも例えば3個又はそれ以上であってもよく、位置も変更することができる。また、主鎖部にリンを導入して、側鎖部と同様の作用を生ぜしめることもできる。
【0103】
また、側鎖部の長鎖アルキル基の種類としては、例えば、その炭素数を6以上の範囲内で変え、疎水性等の物性をコントロールすることができる。
【0104】
また、チタンの原子価(結合種の数)は適宜に選ぶこともでき、上述したものに限定されない。
【0105】
また、チタネート系カップリング剤によるITO透明電極の表面処理は、ITO透明電極を蒸着したガラス基板を溶液に浸漬して表面処理する以外に、溶液をスプレー塗布するか又は蒸着等の方法も考えられる。この表面処理時には、超音波照射による外部エネルギーで、カップリング反応を促進する。
【0106】
また、アノード電極、電子輸送層、ホール輸送層、カソード電極の材料は上記に限るものではなく、例えばホール輸送層であるならば、ベンジジン誘導体、スチリルアミン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、ヒドラゾン誘導体等のホール輸送層性機物質を用いてもよい。同様に、電子輸送層には、ペリレン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体等の電子輸送性有機物質を用いてもよい。
【0107】
カソード電極材料については、効率良く電子を注入するために、電極材料の真空準位からの仕事関数の小さい金属を用いるのが好ましく、アルミニウム以外にも、例えば、インジウム、マグネシウム、銀、カルシウム、バリウム、リチウム等の低仕事関数金属を単体で、または他の金属との合金として安定性を高めて使用してもよい。
【0108】
本発明においてはアノード電極側から有機電界発光を取り出すため、アノード電極にはITOからなる透明電極を用いたが、もちろん効率良くホールを注入するために、アノード電極材料の真空準位からの仕事関数が大きいもの、例えば金、二酸化スズ−アンチモン混合物、酸化亜鉛−アルミニウム混合物等の電極を用いてもよい。
【0109】
なお、上述した実施例は、モノカラー用の有機EL素子を主として説明したが、発光材料を選択することによって、R、G、Bの三色を発光するフルカラー用、又はマルチカラー用の有機EL素子を上述した方法で作製することができる。その他、本発明はディスプレイ用としてだけでなく、光源用としても使用可能な有機EL素子に適用できると共に、他の光学的用途にも適用することができる。
【0110】
【発明の作用効果】
本発明は上述した如く、電極上に有機層が設けられている光学的素子を製造するに際し超音波の作用下に、少なくとも疎水性側鎖部にリンを含むチタネート系カップリング剤によって前記電極表面処理、この処理表面上に前記有機層設けているので、前記チタネート系カップリング剤の少なくとも疎水性側鎖部に含まれるリンにより、電極の表面エネルギーを低下させ、電極に対する有機層の密着性(従って、成膜性)が向上し、この電極と有機層とが密着し易くなる。この結果、電極からのホール等のキャリアの注入効率がよくなり、また電極上に積層する有機層の劣化を防止することができ、低電圧駆動及び高輝度化が可能となる。
【0111】
また、前記電極に対し予め上記のチタネート系カップリング剤によって簡便に前処理を施せるので、特性の改善と、有機層の劣化抑制に効果があり、従って、有機層の構造を共通の構造で形成でき、真空での一貫プロセスが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づくチタネート系カップリング剤Iの構造式である。
【図2】本発明に基づくチタネート系カップリング剤IIの構造式である。
【図3】本発明に基づくチタネート系カップリング剤III の構造式である。
【図4】同チタネート系カップリング剤の作用を示す模式図である。
【図5】同有機EL素子の概略断面図である。
【図6】真空蒸着装置の概略図である。
【図7】同ガラス基板上に多数の画素を形成した有機EL素子を示す平面図である。
【図8】同ホール輸送層材料であるTPDの構造式である。
【図9】同発光層材料であるアルミニウム−キノリン錯体の構造式である。
【図10】比較例に使用したチタネート系カップリング剤の構造式である。
【図11】同実施例及び比較例のITO透明電極の表面エネルギーに関する評価をまとめて示した図表である。
【図12】同実施例及び比較例の有機EL素子の特性を比較して示したグラフである。
【図13】従来例による有機EL素子を示す概略断面図である。
【図14】同有機EL素子の他の例を示す概略断面図である。
【図15】同有機EL素子の具体例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1・・・金属電極(カソード)
2・・・電子輸送層
3・・・発光層
4・・・ホール輸送層
5・・・ITO透明電極(アノード)
6・・・ガラス基板
7・・・直流電圧
8、18・・・発光
9、10、20・・・有機EL素子
11・・・真空蒸着装置
12・・・アーム
13・・・支持手段
28・・・蒸着源
29・・・電源
30・・・輝度信号回路
31・・・抑制回路
X・・・主鎖部
Y・・・側鎖部
Q・・・有機分子
PX・・・画素

Claims (10)

  1. 電極上に有機層が設けられている光学的素子を製造するに際し、超音波の作用下に、少なくとも疎水性側鎖部にリンを含むチタネート系カップリング剤によって前記電極を表面処理し、この処理表面上に前記有機層を設ける、光学的素子の製造方法。
  2. チタネート系カップリング剤の溶液中に電極を浸漬して表面処理を行う、請求項に記載した方法。
  3. 一般式:
    X−Ti−Y
    (但し、Xは主鎖部、Yはリンを含む側鎖部である。)
    で表されるチタネート系カップリング剤を使用する、請求項に記載した方法。
  4. Xは酸素原子を異種原子として有するヘテロ環からなり、Yはジアルキルピロホスフェートからなる、請求項に記載した方法。
  5. Xはテトラアルル基からなり、Yはジアルキルホスファイトからなる、請求項に記載した方法。
  6. チタネート系カップリング剤の疎水性側鎖官能基に長鎖アルキル基を含ませている、請求項に記載した方法。
  7. 疎水基の側鎖官能基にリンを含むチタネート系カップリング剤によって、光学的に透明な電極を表面処理し、この処理表面上に前記有機層を設ける、請求項に記載した方法。
  8. 光学的に透明な基体上に、チタネート系カップリング剤によって表面処理した光学的に透明な電極、有機ホール輸送層、有機発光層及び/又は有機電子輸送層、及び金属電極を順次積層する、請求項に記載した方法。
  9. 有機電界発光素子として構成する、請求項に記載した方法。
  10. 素子をカラーディスプレイ用素子として構成する、請求項に記載した方法。
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