JP3669261B2 - 雌コネクタ - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、雌コネクタに係り、特に、自動車や各種の機械、装置等における給油や給気のために配設される金属管或いは樹脂チューブ等の、挿入側端部の外周面上に環状突部を設けてなる管状の雄部材が、軸方向の一方の開口部を通じて挿入されて、固定されるようにした構造の雌コネクタに関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来より、この種の雌コネクタとして、各種の構造のものが提案されてきており、例えば、特開平3−219189号公報や米国特許第5154450号明細書等には、窓部が筒壁に設けられた筒状のハウジングと、筒状を呈し、径方向に内方に突出する係合突起が設けられた係合体とを有する雌コネクタが、明らかにされている。そして、この雌コネクタにおいては、ハウジングの窓部を通じて、係合体の係合突起をハウジング内に突入させて、該係合体をハウジングに挿着せしめた状態下で、ハウジングの一方の開口部内に、外周面に環状突部が設けられた管状の雄部材の端部を挿入せしめて、係合体の係合突起を該雄部材の環状突部に係合させることにより、該雄部材が、ハウジング内への挿入状態下で、軸方向への移動が阻止せしめられるようになっており、また、かかるハウジング内に、挿入される雄部材に接触するOリング等の漏れ防止様のシール部材が内挿されて、構成されているのである。
【0003】
かくして、かくの如き構造とされた雌コネクタにあっては、単に、外周面に環状突部が設けられた雄部材の端部をハウジング内に挿入せしめるだけのワンタッチの操作で、雄部材が接続、固定され得るようになっており、また、ハウジングに内挿されたOリングによって、挿入される雄部材とハウジングとの間がシールされて、雄部材内を流通せしめられる各種の液体や流体の漏れが阻止されるようになっているのであるが、例えば、雄部材が振動したり、該雄部材において内圧変動が惹起された場合等に、雄部材が挿入されるハウジングの開口部における雄部材の外周面との間に形成される隙間や、係合体の係合突起が突入せしめられるハウジングの窓部等を通じてハウジング内に入り込んだ塵や埃、或いは泥水等の異物が、Oリングと雄部材の間やOリングとハウジングとの間に巻き込まれ、それによって、該Oリングによる雄部材とハウジングとの間のシール性の低下が惹起されるといった問題が内在していたのである。
【0004】
かかる状況下、実開平6−45191号公報には、上述の如きハウジングと係合体とを含んでなる雌コネクタに、雄部材が挿入されるハウジングの開口部における該雄部材との間に形成される隙間やハウジングの窓部をシールして、ハウジング内におけるOリング等のシール部材の配設部位への異物の侵入を阻止する筒状のカバー部材を設けてなる構造が、開示されている。即ち、そこでは、かかる筒状のカバー部材が、その軸方向一方の端部に、該カバー部材の筒形状の底部を構成するように、内側に向かって突出し、且つ周方向に連続して延びる突出部が周設されて成っており、この突出部の先端面にて囲まれて形成される環状孔内に、雄部材が、その外周面を該環状孔の内周面、つまり、突出部の先端面に接触させた状態で挿通されることにより、カバー部材が、該雄部材が挿入されるハウジングの開口部における該雄部材との間の隙間や、ハウジングの窓部を覆うように配置されているのである。
【0005】
しかしながら、このようなカバー部材を備えた雌コネクタにあっては、カバー部材が、雌コネクタに対して外挿されて、取り付けられるようになっているところから、かかるカバー部材を含んだ雌コネクタ全体のサイズが大きくなってしまうことが避けられず、それが、比較的に狭い場所に配設される雌コネクタにとって、少なからぬ問題となっていたのである。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、全体のサイズの大型化を招くことなく、挿入固定される雄部材との間を通じて、外部から漏れ防止用のシール部材への異物の侵入を防止し得る雌コネクタを提供することにある。
【0007】
【解決手段】
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、(a)筒形状を呈し、軸方向の一方の側の入口部を通じて、挿入側端部の外周面上に環状突部を設けてなる管状の雄部材が挿入される雌コネクタ本体と、(b)弾性変形可能部分を有し、該雌コネクタ本体内に挿入された前記雄部材の環状突部にスナップ係合して、該雄部材が該雌コネクタ本体から外方に外れるのを阻止するために該雌コネクタ本体の一方の側に形成された第一の受入部に設けられた係合要素と、(c)該雌コネクタ本体内に挿入された前記雄部材の前記挿入側端部の先端側部の外周面と、該雌コネクタ本体の他方の側に、その挿入口部を介して形成された第二の受入部の内周面とに接触位置せしめられることにより、それら雄部材と雌コネクタ本体との間をシールして、該雄部材内を流通せしめられる流体の外部への漏れを阻止する環状乃至は筒状の第一のシール部材と、(d)筒形状を呈し、軸方向の他方の側に、前記雌コネクタ本体の前記第二の受入部の挿入口部の内周面に嵌着可能な嵌着部が設けられる一方、軸方向の一方の側に、前記雄部材の挿入側端部の外周面が挿嵌された際の弾性変形作用により、該挿入側端部の先端側の外周面に対して圧接可能とされた圧接部が設けられてなり、該圧接部で外部からの異物が前記第一のシール部材の挿着部への侵入を阻止する第二のシール部材とを有することを特徴とする雌コネクタを、その要旨とするものである。
【0008】
要するに、このような本発明に従う雌コネクタにあっては、雄部材と雌コネクタ本体との間をシールして、雄部材内を流通せしめられる流体の外部への漏れを阻止する第一のシール部材とは別に、それら雄部材と雌コネクタ本体との間を通じての外部からの異物の侵入を阻止するための、筒形状を呈する第二のシール部材が、軸方向の他方側に設けられた嵌着部において、雌コネクタ本体における第二の受入部の挿入口部に嵌着せしめられていると共に、軸方向一方側の部位に設けられた圧接部において、その弾性変形作用により、雄部材の挿入側端部に対して圧接せしめられているのである。
【0009】
それ故に、かかる雌コネクタにおいては、第二のシール部材が、嵌着部の外周面と圧接部の内周面とにおいて、雌コネクタ本体における第二の受入部の挿入口部の内周面と、雄部材の挿入側端部の外周面とに対して、それぞれ、密着せしめられる如き状態と為され得、それによって、塵や埃、或いは雄部材を伝って流れる泥水等が、それら雄部材の外周面と雌コネクタ本体の内周面との間を通じて、雌コネクタ本体における第一のシール部材の挿着部位に侵入することが、効果的且つ確実に防止され得るのである。
【0010】
そして、かかる本発明に従う雌コネクタにあっては、第二のシール部材が、その嵌着部において、雌コネクタ本体に嵌着されていることによって、該雌コネクタ本体に対して、その内部に挿入せしめられた状態で、取り付けられているのであり、そのため、かかる第二のシール部材の配設によって、該第二のシール部材を含んだ雌コネクタ全体のサイズが大きくなるようなことが、有利に回避され得るのである。
【0011】
従って、かくの如き本発明に従う雌コネクタにおいては、全体のサイズの大型化を招くことなく、挿入固定される雄部材内を雄部材との間を通じての異物の侵入が確実に防止され得るのであり、その結果として、雄部材と雌コネクタ本体との間のシール性が、より効果的に高められ得るばかりでなく、従来のカバー部材付き雌コネクタとは異なって、比較的に狭い場所等にも、問題なく、容易に配設され得ることとなったのである。
【0012】
なお、このような本発明に従う雌コネクタの有利な態様の一つによれば、前記圧接部の前記先端側の外表面が、前記雄部材の挿入側端部の外周面上に設けられた前記環状突部の先端側の環状表面に圧接されるように構成される。
【0013】
かくの如き構成を有する雌コネクタにあっては、例えば、上下方向に延びるように配設された雄部材が、その下端部において雌コネクタに挿入、固定される場合等において、雄部材の外周面を伝って流下せしめられる泥水等が、第二のシール部材の圧接部の内周面と雄部材の外周面との間に染み込んで、ハウジング部における第一のシール部材の挿着部位に侵入するようなことが効果的に阻止され得るのであり、それによって、かかるハウジング部における第一のシール部材の挿着部位への外部からの異物の侵入が、更に一層確実に防止され得ることとなるのである。
【0014】
また、かかる本発明に従う雌コネクタの別の好ましい態様の一つによれば、前記嵌着部が厚肉とされ、前記圧接部が薄肉とされる。これによって、第二のシール部材が、薄肉の圧接部において、より十分な弾性変形作用が発現され得て、第二のシール部材によるシール性が更に一層有利に確保され得るのである。
【0015】
さらに、本発明に従う雌コネクタの望ましい他の態様の一つによれば、前記圧接部の自由端にOリング状部が形成されることとなる。このような構成を採用することによって、雄部材の挿入側端部の外周面に対する圧接部の接触面積がより十分に確保され得て、第二のシール部材によるシール性が、更に効果的に確保され得るのであり、また、雄部材の挿入側端部の外周面への圧接による圧接部の破損乃至は損傷が、有利に防止され得るといった利点も得られるのである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために本発明に係る雌コネクタの構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0017】
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する雌コネクタの一実施形態が、縦断面形態において、概略的に示されている。そこにおいて、2は、管状の雄部材(パイプ4)の挿入側端部6を受け入れるのに適した筒状の受入部を有する雌コネクタ本体2である。この雌コネクタ本体2は、軸方向一方の開口部に、管状の雄部材たるパイプ4が、図1に示された矢印方向から、その挿入側端部6において挿入せしめられ、雌コネクタ本体2に形成された、後述する係合要素たる舌片部26により、固定されるようになっている。
【0018】
なお、このような雌コネクタ本体2は、ガラス繊維強化ナイロン樹脂等の硬質の樹脂材料を用いた一体的な成形品であって、一般に、射出成形操作によって成形されている。また、パイプ4は、ここでは、軟鋼製とされ、その挿入側端部6の外周面上における管端から所定距離隔てた位置に、環状突部8が、塑性加工によって形成されている。勿論、そのようなパイプ4は、樹脂製パイプ或いは樹脂製チューブで構成することも可能である。
【0019】
ところで、かかる雌コネクタ本体2は、図2および図3から明らかなように、全体として、略円筒形状を呈しており、軸方向一方側が、舌片部26を備えた第一の受入部10とされている一方、その他方側が、第二の受入部12とされている。
【0020】
そして、この雌コネクタ本体2の第一の受入部10は、パイプ4(雄部材)の挿入側端部6の外周面に設けられた前記環状突部8の外径よりも僅かに大きな内径を有しており、その入口部20を通じて、パイプ4の挿入側端部6が挿入せしめられるようになっている(図7参照)。なお、この入口部20から挿入せしめられたパイプ4は、その挿入側端部6の環状突部8が、前記第二の受入部12の、パイプ4の挿入側端部6が挿入される挿入口に形成された環状のフランジ形態を有する挿入口部16の入口側表面に当接することにより、パイプ4の挿入側端部6の挿入量が規制されるようになっている。
【0021】
また、この第一の受入部10には、図2〜図4に示されるように、コ字状の間隙24が形成されていることによって、係合要素としての、弾性変形可能な一対の舌片部26,26が、それぞれ周方向に一体的に延設されている。即ち、第一の受入部10は、筒状の入口部20と、該入口部20の筒壁と第二の受入部12の筒壁間を接続するようにして軸方向に延びる一対の平行梁部11,11とを備えており、この一対の平行梁部11,11から、それぞれ周方向に延びる舌片部26,26が、軸対称に一体的に形成されているのである。従って、コ字状の間隙24は、舌片部26の軸(幅)方向両側に周方向に延びる周方向間隙24a,24bを有してなり、特に、第二の受入部12側に位置する周方向間隙24bは、パイプ4の前記環状突部8を収容するのに足りる幅寸法を有している(図7参照)。
【0022】
また、そのような第一の受入部10に設けられた一対の舌片部26,26の自由端側端部の内面には、内方に突出した係合突部28が、それぞれ設けられており、またそれらの係合突部28は、図1及び図7から明らかなように、挿入せしめられるパイプ4に対向して拡開する傾斜面を有するように形成されている。
【0023】
一方、かかる第一の受入部10と共に雌コネクタ本体2を構成する第二の受入部12は、前述せる如く、パイプ4の挿入側端部6の挿入側に、径方向内方に突出する環状のフランジ形態を有する挿入口部16が形成されているものの、内周面が全長にわたって平坦な円筒面とされており、この内周面に、第一のシール部材14が挿着せしめられるようになっている(図1参照)。そして、このような第二の受入部12にあっては、その外周面に、傾斜面を付けた複数の環状突部18が設けられており、それらの環状突部18を乗り越えるようにして、図示しないホース等の他方の流路が嵌挿されて、連結せしめられるようになっているのである。
【0024】
なお、かかる第二の受入部12の平坦な内周面に挿着せしめられる第一のシール部材14は、図5に示される如く、全体として、略円筒形状を呈しており、シール性を発揮するのに有効な従来より公知の軟質樹脂材料等のエラストマを用いて、構成されている。そして、軸方向に等間隔をおいた四カ所には、断面略円形の膨出部34a〜34dが一体的に形成されている。つまり、第一のシール部材14は、円形断面のリング状の膨出部34a,34b間、34b,34c間、及び34c,34d間を、薄い厚さの筒壁にて連結してなるシール本体部が構成されて、それら4つの膨出部34a〜34dが、第一のシール部材14の筒壁部内周面と外周面に、それぞれ、所定高さにおいて膨出せしめられた構造とされているのである。また、この第一のシール部材14の軸方向他方側の端部には、該第一のシール部材14の筒壁部から径方向外方に折り返されるようにして、該軸方向一方側に向かって延びる折返し部36が、所定長さをもって一体形成されている。
【0025】
そして、このような第一のシール部材14が、図1に示される如く、雌コネクタ本体2の前記入口部20とは反対側の開口部を通じて、折返し部36とは反対側の端部から、第二の受入部12内に挿入されることにより、膨出部34a〜34dの外周面を、該第二の受入部12の平坦な円筒面とされた内周面に接触させた状態で、第二の受入部12内に挿着されているのである。なお、かかる装着状態下において、第一のシール部材14は、折返し部36が第二の受入部12の開口側端縁部を覆うように当接せしめられていることにより、第二の受入部12内への過剰な挿入が阻止され得るようになっている。
【0026】
而して、本実施形態の雌コネクタにおいては、特に、図1から明らかな如く、上述の如き構造とされた第一のシール部材14が取り付けられた第二の受入部12に対して、第一のシール部材14とは異なる構造を有する第二のシール部材38が、該第一のシール部材14とは別の目的をもって、更に挿着されているのである。
【0027】
すなわち、この第二のシール部材38は、図1及び図6に示される如く、全体として、略円筒形状を呈しており、軸方向一方側に設けられた圧接部46が、その他方側に設けられた嵌着部40に比して所定の厚さだけ薄肉化されて構成され、雌コネクタ本体2内に挿入されるパイプ4の挿入側端部6の先端側部6aの外周面に対して外挿可能な大きさとをもって、構成されている(図7参照)。また、かかる円筒状の第二のシール部材38は、比較的に安価な硬質の樹脂材料で、且つ樹脂バネ特性を備えた高密度ポリエチレン樹脂を用いてなる一体的な成形品であって、一般には、雌コネクタ本体2と同様に、射出成形操作によって成形されている。
【0028】
そして、このような第二のシール部材38にあっては、嵌着部40が、雌コネクタ本体2の第二の受入部12に設けられた前記フランジ状挿入口部16の内周面に対して嵌入保持され得るようになっている。また、この第二のシール部材38における厚肉の嵌着部40と薄肉の圧接部46との境界部位には、径方向外方に所定高さ突出し且つ周方向に連続して延びるフランジ突起42が一体的に設けられており、更に、かかる嵌着部40のフランジ突起42の形成側とは反対側の端部には、縦断面が比較的になだらかな山形状とされた山形突起44が、周設されている。
【0029】
一方、第二のシール部材38において実質的に薄肉に形成された圧接部46は、軸方向中央部において径方向外方に膨らんだ湾曲形態をもって、嵌着部40から軸方向一方の側に向かって延び、その自由端に、Oリング状部48が形成されている。そして、パイプ4の挿入側端部6が、この圧接部46の内側に挿通された際に、Oリング状部48の表面が、該挿入側端部6に形成された環状突部8の先端側の環状表面に圧接する(図8参照)か、或いは挿入端部6の先端側部6aの外周面に圧接する(図示せず)ように設計されている。
【0030】
そして、かくの如き構造とされた第二のシール部材38が、雌コネクタ本体2の第二の受入部12における前記第一のシール部材14が挿着される部位よりも第一の受入部10(入口部20)側に位置するフランジ状の挿入口部16の内周面に嵌着せしめられて、該雌コネクタ本体12内に挿着せしめられているのである。また、図8に示される如く、このような第二のシール部材38の雌コネクタ本体2内への挿着状態下では、嵌着部40のフランジ突起42と山形突起44とが、挿入口部16を挟んで位置せしめられて、該挿入口部16の内周面が、それらに対して軸方向に対向するフランジ突起42と山形突起44のそれぞれの側面に当接、係合せしめられており、以て、かかる第二のシール部材38の軸方向への移動が阻止されるようになっている。
【0031】
なお、この第二のシール部材38を雌コネクタ本体2内に挿着せしめる際には、例えば、パイプ4が挿入固定されていない雌コネクタ本体2に対して、入口部20を通じて、嵌着部40側から第一の受入部10内に挿入し、第二の受入部12に向かって前進移動させ、そして、嵌着部40を圧縮変形せしめて、第二の受入部12の挿入口部16に対して嵌着する方法が、採用される。
【0032】
ところで、このような構造とされた雌コネクタ本体2に対してパイプ4を接続、固定する際には、例えば、先ず、パイプ4を、図1に矢印で示される方向に移動させて、該パイプ4の挿入側端部6を、雌コネクタ本体2の入口部20を通じて第一の受入部10内に挿入する。そして、図7に示される如く、雌コネクタ本体2の入口部20内に挿入されたパイプ4を、環状突部8にて、舌片部26の自由端側部分に設けた係合突部28を径方向外方に押し出すように弾性変形せしめつつ、環状突部8が該係合突部28を乗り越えるまで前進させるのである。
【0033】
これによって、パイプ4の環状突部8が、第一の受入部10における舌片部26の側面と第二の受入部12における挿入口部16の側面との間に形成される前記周方向間隙24b内に嵌め込まれ、該舌片部26の係合突部28にてスナップ係合されて、パイプ4が、雌コネクタ本体2に対して位置固定に接続され得ることとなるのである。即ち、図7において、パイプ4が雌コネクタ本体2に対して相対的に右方向への前進作用を受けても、環状突部8が、第二の受入部12の挿入口部16に当接することとなるところから、パイプ4は、図7の状態から、最早、前進することが出来なくなるのであり、また雌コネクタ本体2に対して図7の左方向への引き抜き作用を受けた場合にあっても、環状突部8が舌片部26の係合突部28にスナップ係合していることによって、パイプ4が、図7の状態から左方向に移動して、引き抜かれるようなこともないのである。
【0034】
また、このとき、パイプ4の環状突部8よりも先端側部分は、第一の受入部10を通過し、第二の受入部12内に突入せしめられ、そしてその突入されたパイプ4の先端側部6aが、第一のシール部材14内に嵌入して、該第一のシール部材14を、第二の受入部12の内周面との間において押圧することとなる。これによって、第一のシール部材14が、その内周面と外周面とにおいて、パイプ4の先端側部6aの外周面と第二の受入部12の内周面とに対して、密着せしめられるように接触せしめられ、以て、それらパイプ4の先端側部6aと雌コネクタ本体2の第二の受入部12との間が、第一のシール部材14にてシールされて、パイプ4内を流通せしめられる各種の液体や気体等の流体の外部への漏れが、効果的に阻止され得ることとなるのである。
【0035】
なお、ここでは、かかるパイプ4と第二の受入部12との間のシール構造において、図5に示される如き四つの膨出部34a〜34dを有する第一のシール部材14が用いられているところから、それら膨出部34a〜34dの変形によるパイプ6の外周面に対する係合圧力が、軸方向に複数箇所で作用せしめられることとなり、それによって、シール効果がより一層高められている。
【0036】
また、前述の如く、パイプ4が雌コネクタ本体2内に挿入、固定された際には、上記のようにして、雌コネクタ本体2の第二の受入部12における第一のシール部材14の挿着部位において、該第一のシール部材14により、それらパイプ4と第二の受入部12との間がシールされる一方で、第二のシール部材38の挿着部位においても、該第二のシール部材38にて、パイプ4と第二の受入部12との間がシールされることとなる。
【0037】
すなわち、図8に示されるように、パイプ4の挿入側端部6における先端側部6aが第一の受入部10を通過し、第二の受入部12内に突入せしめられた際に、第二の受入部12の挿入口部16に嵌着された第二のシール部材38が、かかるパイプ4の先端側部6aに外挿されて、第二のシール部材38の圧接部46が、径方向外方に弾性変形せしめられた状態下で、膨大部48において接触せしめられる。そして、環状突部8が、雌コネクタ本体2に設けられた舌片部26の係合突部28を乗り越えるまで、パイプ4が前進せしめられると、径方向外方に弾性変形せしめられた圧接部46が、Oリング状部48において、パイプ4の環状突部8における挿入側端部6の先端側の側面(環状表面)に当接せしめられて、軸方向にも更に弾性変形せしめられ、以て、かかる圧接部46の弾性変形作用により、該圧接部46のOリング状部48が、該パイプ4の環状突部8における挿入側端部6の先端側の側面に圧接せしめられることとなるのである。
【0038】
かくして、第二のシール部材38が、嵌着部40の外周面と圧接部46におけるOリング状部48とにおいて、第二の受入部12における第一のシール部材14の挿着部位よりも入口部20側に位置する挿入口部16の内周面と、パイプ4の環状突部8における挿入側端部6の先端側の側面とに対して、それぞれ、密着するように接触せしめられ、以て、それらパイプ4の環状突部8の先端側側面と第二の受入部12の挿入口部16の内周面との間が、第二のシール部材38にてシールされて、塵や埃、或いはパイプ6を伝って流れる泥水等が第二の受入部12における第一のシール部材14の挿着部位に侵入することが、効果的且つ確実に防止され得るのこととなるのである。
【0039】
このように、本実施形態においては、ワンタッチの操作で、パイプ4を雌コネクタ本体2内に挿入固定すると同時に、第一のシール部材14にて、パイプ4内を流通せしめられる流体の外部への漏れが確実に阻止され得るようになっているばかりでなく、第二のシール部材38にて、雌コネクタ本体2内における第一のシール部材14の挿着部位への異物の侵入も、効果的に阻止され得るようになっているのである。
【0040】
それ故、かかる本実施形態によれば、塵や埃、泥水等の異物が、雌コネクタ本体2内に挿着される第一のシール部材14と雌コネクタ本体2との間や、該第一のシール部材14とパイプ4との間に巻き込まれて、第一のシール部材14によるパイプ4と雌コネクタ本体2との間のシール性が低下するようなことが、極めて効果的に、且つより確実に防止され得ることとなるのである。
【0041】
そして、本実施形態においては、このような第一のシール部材14によるシール性を有利に確保する第二のシール部材38が、雌コネクタ本体2の第二の受入部12における挿入口部16に対して嵌着されて、雌コネクタ本体2に取り付けられているところから、かかる第二のシール部材38の配設により、雌コネクタ本体2、ひいては雌コネクタ全体が大型化するようなことが、効果的に回避され得るのである。
【0042】
従って、かくの如き本実施形態の雌コネクタにあっては、全体のサイズの大型化を招くことなく、挿入固定されるパイプ4との間を通じての外部からの異物の侵入が確実に防止され得るのであり、その結果として、従来のカバー部材付き雌コネクタとは異なって、比較的に狭い場所等にも、問題なく、極めて簡単に配設され得ることとなるのである。
【0043】
また、本実施形態においては、第二のシール部材38が、比較的に安価な高密度ポリエチレンにて構成されているところから、第二のシール部材38の製作コストが可及的に低く抑えられ得、それによって、第二のシール部材38の配設による雌コネクタ全体の製作コストの高騰が、効果的に抑制され得るのである。
【0044】
さらに、本実施形態にあっては、第二のシール部材38が上述の如き硬質の樹脂材料から成っているものの、圧接部46が薄肉とされた部位にて構成されているところから、かかる圧接部46における弾性変形作用が十分に発現され得るように構成され得、それによって、第二のシール部材38によるシール性が、効果的に確保され得ているのである。
【0045】
更にまた、本実施形態においては、第二のシール部材38の圧接部46の先端にOリング状部48が設けられ、このOリング状部48において、雌コネクタ本体2内に挿入、固定されたパイプ4に対して圧接せしめられるようになっているところから、圧接部46が薄肉の部位にて構成されているにも拘わらず、パイプ4に対する圧接面積が十分に確保され得て、第二のシール部材38によるシール性が効果的に確保され得るのであり、また、パイプ4に対する圧接によって、薄肉の圧接部46が破損乃至は損傷するようなことが、有利に防止され得るのである。
【0046】
また、本実施形態において、第二のシール部材38における圧接部46のOリング状部48が、パイプ4の環状突部8における挿入側端部6の先端側の側面に圧接せしめられる場合には、例えば、上下方向に延びるパイプ4が、その下部側に位置する挿入側端部6おいて雌コネクタ本体2に挿入、固定される際等にあっても、かかるパイプ4の外周面を伝って流下せしめられる泥水等が、該パイプ4の環状突部8における先端側の側面と、それに圧接せしめられる第二のシール部材38のOリング状部48との間に染み込んで、雌コネクタ本体2における第一のシール部材14の挿着部位に侵入するようなことが効果的に阻止され得るのであり、それによって、かかる雌コネクタ本体2における第一のシール部材14の挿着部位への外部からの異物の侵入が、更に一層確実に防止され得ることとなるのである。
【0047】
なお、ここにおいて、本実施形態では、第一の受入部10において、前記周方向間隙24aを介して各舌片部26,26の自由端部に対向する入口部20の端面に、該端面から舌片部26側に向かって突出する第一の規制突起32が、該周方向間隙24a内位置するように一体形成されている一方、舌片部26の自由端部には、そのような第一の規制突起32の内周面に対して径方向において係合し、かかる舌片部26の径方向外方への過剰な変形を阻止する係合凹所35が、かかる第一の規制突起32に対向する側部を切り欠いて形成されている。そして、舌片部26に対して、パイプ4挿入方向とは反対方向(例えば、図2において左方)への押圧力が作用した場合において、第一の規制突起32は、舌片部26の自由端部に設けた係合凹所35に係合せしめられることにより、そのような舌片部26の自由端部が雌コネクタ本体2の径方向外方に過剰に変位するのを、効果的に阻止せしめ得るようになっている。
【0048】
また、第二の受入部12において、前記周方向間隙24bを介して各舌片部26、26の自由端部に対向する挿入口部16の端面には、該端面から舌片部26側に向かって突出する第二の規制突起30が、該周方向間隙24b内位置するように一体形成されている。そして、この第二の規制突起30に、舌片部26の自由端部の側部が当接することにより、舌片部26の軸方向への過剰な変形が阻止されて、その耐久性が保証され得ている。
【0049】
以上、本発明の代表的な具体例に基づいて、本発明を具体的に明らかにしてきたが、そのような具体例は、あくまでも、例示に過ぎないものであって、本発明が上記の記載によって何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
【0050】
例えば、前記実施形態では、第一のシール部材14として、円筒形状を呈するものが用いられていたが、そのような円筒状のものに代えて、断面円形のO−リングシールを用いることも、可能である。
【0051】
また、パイプ4の環状突部8に係合せしめられる舌片部26とそれに設けられる係合突部28の形状や配設個数、配設構造も、前記実施形態に示されるものに、特に限定されるものではない。
【0052】
さらに、前記実施形態では、雌コネクタが、雌コネクタ本体2に対して、係合要素としての舌片部26が一体形成されて、構成されていたが、例えば、特開平3−219189号公報や米国特許第5154450号明細書等に示される如く、雌コネクタが、雄部材たるパイプ4の挿入側端部6が挿入される筒状の雌コネクタ本体と、該パイプ4の環状突部8に係合する係合要素を備えた係合体の二つの独立した部材を有し、それらが互いに組み付けられてなる構造をもって構成しても、何等差し支えないのである。
【0053】
また、前記実施形態では、第二のシール部材38が、硬質の樹脂材料たる高密度ポリエチレンにて構成されていたが、この第二のシール部材38を与える材料は、圧接部46が弾性変形作用を発揮せしめ得るものであれば、特にこれに限定されるものではなく、従って、かかる第二のシール部材38の構成材料として、例えば、高密度ポリエチレン以外の樹脂バネ特性を有する公知の樹脂材料やエラストマ、あるいは適当なゴム材料等を用いることも可能である。
【0054】
さらに、前記実施形態では、第二のシール部材38が、軸方向の一方側と他方側とにおいて互いに厚さの異なる円筒形状とされて、その厚肉部位にて、嵌着部40が構成される一方、薄肉部位にて、圧接部46が構成されていたが、第二のシール部材38の構成材料等を適宜に選択すること等により、嵌着部40と圧接部46とを同一の厚さにおいて構成しても良い。
【0055】
更にまた、前記実施形態では、第二のシール部材38の圧接部46にOリング状部48が設けられ、このOリング状部48において、該圧接部46がパイプ4に圧接せしめられるようになっていたが、かかる圧接部46に対して、Oリング状部48を必ずしも設ける必要はない。尤も、圧接部46のパイプ4に対する接触面積(圧接面積)の増大等を図ること等を目的として、圧接部46のパイプ4に対する接触部位(圧接部位)に、Oリング状部48に代えて、フランジ部や適当な突起、或いは厚肉部等を設けても良いのである
【0056】
また、そのような第二のシール部材38の圧接部46や嵌着部40の形状も、前記実施形態に示されるものに、決して限定されるものではなく、それら圧接部46と嵌着部40を、それぞれ環状形状を呈するように構成し、該第二のシール部材38を、全体として筒形状と為すように構成しても、何等差し支えないのである。
【0057】
加えて、前記実施形態では、ストレートタイプの構造の雌コネクタに対して、本発明を適用したものの例が示されていたが、その他、本発明は、エルボタイプの構造の雌コネクタ対しても、有利に適用され得ることは、勿論である。
【0058】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、またそのような実施形態が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従う雌コネクタにあっては、全体のサイズの大型化を招くことなく、挿入固定される雄部材との間を通じての異物の侵入が確実に防止され得るのであり、その結果として、従来のカバー部材付き雌コネクタとは異なって、比較的に狭い場所等にも、問題なく、容易に配設され得ることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う雌コネクタの代表的な一例を示す縦断面説明図である。
【図2】図1に示される雌コネクタの本体を示す縦断面説明図である。
【図3】図2に示される雌コネクタ本体の横断面説明図である。
【図4】図3におけるIV−IV断面説明図である。
【図5】図1に示される雌コネクタに挿着される第一のシール部材の半截断面説明図である。
【図6】図1に示される雌コネクタに挿着される第二のシール部材の部分拡大断面説明図である。
【図7】図1に示される雌コネクタに対して雄部材を挿入、固定した状態を示す説明図である。
【図8】図7における部分拡大説明図である。
【符号の説明】
2 雌コネクタ本体 4 パイプ
6 挿入側端部 8 環状突部
14 第一のシール部材 16 挿入口部
20 入口部 26 舌片部
28 係合突部 38 第二のシール部材
40 嵌着部 46 圧接部
48 Oリング状部
Claims (4)
- 筒形状を呈し、軸方向の一方の側の入口部を通じて、挿入側端部の外周面上に環状突部を設けてなる管状の雄部材が挿入される雌コネクタ本体と、
弾性変形可能部分を有し、該雌コネクタ本体内に挿入された前記雄部材の環状突部にスナップ係合して、該雄部材が該雌コネクタ本体から外方に外れるのを阻止するために該雌コネクタ本体の一方の側に形成された第一の受入部に設けられた係合要素と、
該雌コネクタ本体内に挿入された前記雄部材の前記挿入側端部の先端側部の外周面と、該雌コネクタ本体の他方の側に、その挿入口部を介して形成された第二の受入部の内周面とに接触位置せしめられることにより、それら雄部材と雌コネクタ本体との間をシールして、該雄部材内を流通せしめられる流体の外部への漏れを阻止する環状乃至は筒状の第一のシール部材と、
筒形状を呈し、軸方向の他方の側に、前記雌コネクタ本体の前記第二の受入部の挿入口部の内周面に嵌着可能な嵌着部が設けられる一方、軸方向の一方の側に、前記雄部材の挿入側端部の外周面が挿嵌された際の弾性変形作用により、該挿入側端部の先端側の外周面に対して圧接可能とされた圧接部が設けられてなり、該圧接部で外部からの異物が前記第一のシール部材の挿着部への侵入を阻止する第二のシール部材とを、
有することを特徴とする雌コネクタ。 - 前記圧接部の前記先端側の外表面が、前記雄部材の挿入側端部の外周面上に設けられた前記環状突部の先端側の環状表面に圧接されるように構成されている請求項1に記載の雌コネクタ。
- 前記嵌着部が厚肉とされ、前記圧接部が薄肉とされている請求項1又は請求項2に記載の雌コネクタ。
- 前記圧接部の自由端にOリング状部が形成されている請求項2に記載の雌コネクタ。
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