JP3666338B2 - 車両走行制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、追従対象車両を自動的に特定して安全車間距離を維持すべく自車速を制御する車両の走行制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
距離測定装置により前方車両までの車間距離を測定するとともに、撮像装置により車両前方を撮像し、車両前方画像の複数の先行車両の中から入力装置により追従を希望する車両を特定し、その特定車両が距離測定装置の測定範囲内に存在する限り追従対象車両とする車両走行制御装置が知られている(例えば、特開平10−86698号公報参照)。
【0003】
この装置によれば、自車の走行レーン(車線)上の先行車であっても、隣接レーンの先行車であっても特定車両に選択することができ、いったん車両を特定して追従制御を開始すると、その特定車両が距離測定装置の測定範囲内にある限り、自車走行レーン上にあっても隣接レーン上にあっても追従制御を継続するもので、この明細書ではこのような追従制御を”特定車両追従制御”または”ロックオン制御”と呼び、この特定車両を”ロックオン車両”と呼ぶ。
【0004】
また、距離測定装置により前方車両までの車間距離と方位を測定し、自車の操舵角などにより道路形状を推定して自車走行レーン上の先行車を検出し、自車走行レーン上に先行車がないときは、車速一定で走行するように定車速制御を行い、自車走行レーン上に先行車があるときは、先行車との間の車間距離を一定に保ちながら追従制御を行う車両走行制御装置が知られている(例えば、特開平6−191321号公報参照)。
【0005】
後者の装置では、自車走行レーン上に先行車があるときは、その先行車に追従を希望する、しないに拘わらず追従対象車両として車間距離制御を行うもので、先行車が増速したときは追従制御を行うが、自車走行レーン上の先行車が距離測定装置の測定範囲から外れると車速一定で走行する定車速制御に切り換わる。この明細書ではこのような追従制御を”車間距離制御型定速自動走行制御”または単に”ACC(Adaptive Cruise Control)制御”と呼ぶ。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した前者の車両走行制御装置では、運転中に入力装置により追従対象車両を特定しなければならないので、操作が煩雑であるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、追従目標とする車両を自動的に特定することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
一実施の形態を示す図1に対応づけて本発明を説明すると、
(1) 請求項1の発明は、自車前方の車両までの車間距離と方位を測定する測定手段1と、自車走行レーン上の先行車を検出する先行車検出手段8と、追従目標の特定車両が設定されていないときに自車走行レーン上で先行車を検出した場合は、その先行車を追従目標の特定車両に設定する車両特定手段8と、追従目標の特定車両が設定されているときは、車間距離および方位の測定結果に基づいて自車走行レーン上にいる追従目標の特定車両を追尾し、追従目標の特定車両が自車走行レーンから他のレーンに車線変更した場合でも、追従目標の特定車両が前記測定手段の測定範囲内にいる限り車間距離を一定に保ちながら追従目標の特定車両に追従する特定車両追従制御手段4とを備え、これにより上記目的を達成する。
(2) 請求項2の車両走行制御装置は、車両特定手段8によって、追尾中の追従目標の特定車両を見失ったときに自車走行レーン上で先行車を検出した場合は、その先行車を新しい追従目標の特定車両に設定するようにしたものである。
(3) 請求項3の車両走行制御装置は、追従目標の特定車両が設定されていないときに自車走行レーン上で先行車を検出した場合は、車間距離を一定に保ちながら自車走行レーン上の先行車に追従する先行車追従制御手段4を備え、車両特定手段8によって、追従目標の特定車両が設定されていないときに自車走行レーン上で先行車を検出した場合は、その先行車を直ちに追従目標の特定車両に設定せず、自車走行レーン上の同一の先行車に対して所定時間継続して先行車追従制御手段4による先行車追従制御が行われた場合に、その先行車を追従目標の特定車両に設定する。
(4) 請求項4の車両走行制御装置は、車両特定手段8によって、測定手段1の前回の測定結果に基づいて自車走行レーン上の先行車の現在位置を予測し、測定手段1の今回の測定時に予測位置周辺で先行車検出手段8により先行車が検出された場合に、前回と今回の測定時の先行車は同一であると判断するようにしたものである。
(5) 請求項5の車両走行制御装置は、特定車両追従制御手段4によって、追従目標の特定車両が自車走行レーンから外れており、かつ自車走行レーン上に他の先行車が存在する場合でも、追従目標の特定車両が前記測定手段の測定範囲内にいる限り車間距離を一定に保ちながら追従目標の特定車両に追従するようにしたものである。
(6) 請求項6の車両走行制御装置は、特定車両追従制御手段4によって、追従制御がオフになった場合は前記特定車両追従制御手段による特定車両追従制御を終了するようにしたものである。
【0009】
上述した課題を解決するための手段の項では、説明を分かりやすくするために一実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が一実施の形態に限定されるものではない。
【0010】
【発明の効果】
(1) 請求項1および2の発明によれば、追従目標の車両を自動的に特定することができ、従来の装置のように運転中に入力装置により追従目標車両を手動で特定するような煩雑な操作を不要にすることができる。
(2) 請求項3の発明によれば、屈曲路で隣の走行レーンを走る車両や道路脇の看板などの固定物に対して誤ってロックオンしたり、運転者の意に反して車速の遅い先行車両にロックオンすることが避けられ、適切な先行車両を追従対象としてロックオンすることができる。
(3) 請求項4の発明によれば、自車走行レーンの先行車両が車線変更した場合でも先行車両の入れ替わりを正確に検出でき、意図する先行車両に対して確実にロックオンすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
特定車両追従制御(ロックオン制御)と車間距離制御型定速自動走行制御(ACC制御)とを併用し、追従目標の車両を自動的に特定して追従制御を行い、追従目標の車両が特定できないときは定速制御を行う、一実施の形態を説明する。
【0012】
《発明の第1の実施の形態》
図1は第1の実施の形態の構成を示す図である。
距離測定装置1は、レーザーレーダーにより車両前方にある物体までの距離l(t)と方位φ(t)を測定する。なお、距離測定装置1はレーザーレーダーに限定されず、電波式レーダーやカメラなどを用いたものでもよい。車速検出装置2は車輪の回転速度を検出して自車の走行速度v(t)に変換する。操舵角検出装置3はステアリングの回転角度を検出して操舵角θに変換する。
【0013】
ACCコントローラー4はCPUとその周辺部品から構成され、追従対象車両がないときは設定車速Vsを目標車速として定速走行制御を行う。追従対象車両があるときは、設定車間距離および相対速度に基づいて適正車間距離Lsを算出し、適正車間距離Lsを維持するように設定車速Vsを上限として目標車速を決定し、車速制御を行う。
【0014】
なお、上述した特定車両追従制御(ロックオン制御)中は特定車両(ロックオン車両)が追従対象車両であり、上述した先行車追従制御(ACC制御)中は自車走行レーン上の先行車が追従対象車両である。
【0015】
ACCコントローラー4は、スロットルアクチュエーター5によりエンジン(不図示)の回転速度およびトルクを制御するとともに、変速機コントローラー6により有段または無段変速機の変速比を制御し、さらにブレーキアクチュエーター7により制動力を制御する。
【0016】
追従対象車両決定装置8はCPUとその周辺部品から構成され、車両前方物体までの測定距離l(t)と方位φ(t)、自車速v(t)および操舵角θに基づいて追従対象の車両を決定する。追従対象車両決定装置8は、マイクロコンピューターのソフトウエア形態による車両認識部8aと対象車両選択部8bを備えている。
【0017】
車両認識部8aは測定距離l(t)、自車速v(t)などにより自車前方の先行車両を識別し、各先行車両との相対速度を算出するとともに、操舵角θなどにより走行中の道路形状を検出し、検出方位φ(t)などにより各先行車両の走行レーンを検出する。これにより、自車の走行レーン上の先行車両を検出することができる。なお、道路形状の検出には、ナビゲーション装置からの現在地の道路情報を考慮してもよい。対象車両選択部8bは、車両識別部8aで検出された先行車両の情報に基づいて追従対象車両を決定する。
【0018】
状態報知装置9は、追従対象車両の認識状態、設定車間距離Ls、設定車速Vsなどを表示する。状態報知装置9は例えば図2aに示すようにインストルメントパネル内に設置され、図2bに示すように設定車速Vsの表示部9a、自車マーク表示部9b、設定車間距離Lsの表示部9c、および先行車両認識状態表示部9dを有する。設定車速表示部9aは運転者により設定された設定車速Vsを表示する。自車マーク表示部9bはACC制御中に点灯する。
【0019】
また、ステアリングホイールには設定車間距離Lsを設定するための”遠”、”中”、”近”の操作ボタン(不図示)があり、運転者により選択された操作ボタンとそのときの自車速v(t)に応じた車間距離Lsが設定される。設定車間距離表示部9cは、運転者により設定された車間距離Lsが”遠”のときは3個点灯し、”中”のときは2個点灯し、”近”のときは1個点灯する。
【0020】
さらに、先行車両認識状態表示部9dは追従目標の特定車両に対してロックオン制御中のときに点灯する。なお、状態報知装置9はナビゲーション装置(不図示)のディスプレイと共用化を図り、ナビゲーション装置のディスプレイに上記情報を表示するようにしてもよい。また、音声により運転者に報知してもよい。
【0021】
図3は車両走行制御を示すフローチャートである。このフローチャートにより第1の実施の形態の動作を説明する。
ACCコントローラー4および追従対象車両決定装置8は、車両走行制御装置の電源が投入されるとこの制御を実行し、ステップ1でACC制御を開始する。ステップ2において、特定車両に対して追従制御を行うロックオン制御中かどうかを確認し、ロックオン制御中のときはステップ3へ進み、そうでなければステップ6へ進む。
【0022】
ロックオン制御中でないときは、ステップ6で自車の走行レーンを先行する車両が検出されたかどうかを確認し、先行車両が検出されるとステップ7へ進み、そうでなければステップ8へ進む。
【0023】
ここで、先行車両の検出方法は、距離測定装置1による測定結果と、ナビゲーション装置からの現在地の道路情報とに基づいて、自車の走行レーン上に車両を検出したら直ちに先行車両ありとしてもよいし、車両前方の看板などの車両以外の物体を先行車両と誤認するのを防止するために、自車の走行レーン上に所定時間tS以上、つまり距離測定装置1の所定の測定回数以上継続して車両を検出した場合にそれを先行車両と認定し、先行車両ありとしてもよい。なお、先行車両の認定に判定時間tSを用いる場合は、先行車両を検出してから判定時間tSの間、暫定的にACC制御を行う。
【0024】
ロックオン制御中でないときに先行車両が検出されると、ステップ7で、検出された先行車両を追従対象に決定してロックオン制御を開始し、先行車両を追従目標の特定車両(ロックオン車両)とする。その後、ステップ4へ進む。一方、先行車両が検出されなかった場合はステップ8で追従対象車両なしとしてステップ4へ進む。
【0025】
ステップ4において、図4に示すACCコントロール・ルーチンを実行し、ACC制御を行う。図4のステップ11において、運転者が設定した設定車速Vsを入力する。続くステップ12では車速検出装置2により自車速v(t)を検出する。ステップ13で設定車速Vs、自車速v(t)、追従対象車両までの車間距離および追従対象車両との相対速度に基づいて自車の目標走行速度を決定する。そして、ステップ14で車速が目標車速となるようにスロットルアクチュエーター5、変速機コントローラー6およびブレーキアクチュエーター7を制御する。
【0026】
なお、このACC制御では、ロックオン制御中のときはロックオン車両を追従対象車両として上述した追従制御を行い、ロックオン制御中でないときは自車走行レーン上の先行車を追従対象車両として上述した追従制御を行う。ロックオン車両も自車走行レーン上の先行車もないときは、追従対象車両なしとして予め設定した車速一定で走行する定速走行制御を行う。
【0027】
ACC制御を実行した後に図3のステップ5へリターンし、ACC制御がオフされたかどうかを確認し、オフされたら車両走行制御の実行を終了し、オンされたままであればステップ2へ戻って上記処理を繰り返す。
【0028】
次に、ステップ2ですでにロックオン制御中のときは、ステップ3で図5に示すロックオン処理による追従対象車両決定ルーチンを実行する。図5のステップ21〜22において、前回の距離測定装置1による測定時(以下、測距時という)のロックオン車両を追尾する。
【0029】
まずステップ21で、前回の測距時のロックオン車両の位置、方位、相対速度などの情報に基づいて、ロックオン車両の現在位置を予測する。ロックオン車両の予測現在位置を、自車から横方向へx[m]、自車から前方へy[m]として(x、y)[m]で表す。予測現在位置(x、y)[m]は、前回の測距時のロックオン車両の位置(Xo、Yo)[m]およびロックオン車両との相対速度(VXo、VYo)[m/s]と、前回と今回の測距時間間隔Δt[s]とに基づいて次式により求められる。
【数1】
x=Xo+VXo・Δt,
y=Yo+VYo・Δt
【0030】
次に、ステップ22で、ロックオン車両の予測現在位置(x、y)を中心とする、x、y方向にそれぞれΔX、ΔYの大きさの領域を設定し、その領域内に検知された車両があるかどうかを検索する。
【0031】
このロックオン車両の追尾は、距離測定装置1による測定データに基づいて行うので、当然、追尾範囲は距離測定装置1の測定範囲(以下測距範囲と呼ぶ)内となり、その測距範囲内にロックオン車両が存在する限り追尾可能である。前回の測距データに基づいて予測したロックオン車両の予測現在位置周辺の所定領域内で車両が検知されたら、その車両は前回測距時のロックオン車両と同一車両であると判断する。
【0032】
一方、予測現在位置周辺の所定領域内で車両が検知されない場合は、前回測距時のロックオン車両を追尾できずに見失ったと判断する。ロックオン制御はロックオン車両が車線変更しても測距範囲内にいる限り継続されるので、ロックオン車両を見失うのはロックオン車両が測距範囲から外れた場合、あるいは、自車とロックオン車両との間に他の車両が割り込んで距離測定装置1による測定が不可能になった場合などが考えられる。
【0033】
なお、ロックオン制御中にロックオン車両が車線変更したときには、車間距離を一定に保ちながらロックオン車両を追従する追従制御を継続するが、ロックオン車両の後方へ移動するための自車の車線変更は運転者のステアリング操作による。
【0034】
ステップ23で検索結果を確認し、ロックオン車両の予測現在位置(x、y)周辺の所定領域内に検知車両があればステップ24へ進み、その車両は前回測距時のロックオン車両であるとする。例えば、図6aに示すように、前回測距時のロックオン車両913が自車911の走行レーンから外れており、さらに自車911の走行レーンに先行車両912が存在する場合でも、前回測距時のロックオン車両913が距離測定装置1の測距範囲内で追尾される限り、その車両913をロックオン車両とする。そして、ステップ25で発見したロックオン車両を追従対象車両とし、図3のステップ4へリターンして上述したACC制御を行う。
【0035】
一方、前回測距時のロックオン車両の予測現在位置(x、y)周辺の所定領域内に検知車両がない場合は、ステップ26で前回測距時のロックオン車両を今回は発見できなかったと判断する。そして、ステップ27で自車の走行レーンを先行する車両があるかどうかを確認する。
【0036】
先行車両の検出方法は、上述したしたように、距離測定装置1による測定結果と、ナビゲーション装置からの現在地の道路情報とに基づいて、自車の走行レーン上に車両を検出したら直ちに先行車両ありとしてもよいし、車両前方の看板などの車両以外の物体を先行車両と誤認するのを防止するために、自車の走行レーン上に所定時間tS以上、つまり距離測定装置1の所定の測定回数以上継続して車両を検出した場合にそれを先行車両と認定し、先行車両ありとしてもよい。なお、先行車両の認定に判定時間tSを用いる場合は、先行車両を検出してから判定時間tSの間、暫定的にACC制御を行う。
【0037】
前回測距時のロックオン車両は発見されなかったが、図6bに示すように自車911の走行レーン上に先行車両912を発見した場合はステップ28へ進み、発見した先行車両912を追従対象として新しいロックオン車両に設定し、図3のステップ4へリターンして上述したACC制御を行う。
【0038】
なお、図6cに示すように、前回測距時のロックオン車両も発見されず、且つまた自車911の走行レーン上に先行車両も発見されない場合は、ステップ29で追従対象車両なしとしてロックオン制御を解除する。
【0039】
上述した第1の実施の形態の車両走行制御結果を、図7に示すような状況を例に上げて説明する。
図7aにおいて、距離測定装置1の測距範囲920の中で自車921の走行レーンを先行する車両A922を検知したら、この先行車両A922を追従対象に決定してロックオン制御を開始し、先行車両A922をロックオン車両とする。この状態から、図7bに示すようにロックオン車両A922が車線変更を行った場合でも、ロックオン車両A922が測距範囲920の中で追尾される限り、ロックオン車両A922を引き続き追従対象のロックオン車両として扱う。
【0040】
しかし、図7cに示すようにロックオン車両A922がその予測現在位置周辺の所定領域から外れると、測距範囲920の中で自車921の走行レーンを先行する車両を検索する。測距範囲920の中で自車921の走行レーンを先行する車両B923を検知したら、その先行車両B923を追従対象に変更して新しいロックオン車両に設定する。その後、ロックオン車両B923が流出路方向に向かい、測距範囲920から外れると、測距範囲920の中に他に先行車両が検知されない場合は追従対象車両なしとしてロックオン制御を解除する。
【0041】
このように、第1の実施の形態では、ロックオン制御中でないときは、測距範囲内で自車の走行レーンを先行する車両があればその車両を追従対象としてロックオン制御を開始し、その先行車両をロックオン車両とする。一方、すでにロックオン制御中のときは、ロックオン車両に対して、前回の測距時における位置および相対速度と、前回と今回との測距時間間隔とに基づいてロックオン車両の現在位置を予測し、予測現在位置を中心とする所定領域内において車両を検索する。予測現在位置周辺の所定領域内で車両が検出された場合は、その車両をロックオン車両と認定してロックオン制御を継続する。予測現在位置周辺の所定領域内で車両が検出されなかった場合は、自車の走行レーンを先行する車両を検出し、先行車両があればそれを追従対象に決定して新しいロックオン車両に設定する。また、予測現在位置周辺の所定領域内で車両が検出されず、且つ自車の走行レーン上にも先行車両が検出されないときはロックオン制御を解除する。
【0042】
この第1の実施の形態によれば、追従目標の車両を自動的に特定することができ、従来の装置のように運転中に入力装置により追従目標車両を手動で特定するような煩雑な操作を不要にすることができる。
【0043】
また、この第1の実施の形態によれば、図8aまたは図8cに示すように追従対象の先行車両905にロックオンして追従制御を行っているときは、図8bおよび図8dに示すように屈曲路にさしかかっても、隣のレーンを走行している車両904を誤って追従対象に変更するような事態を防止できる。
【0044】
《発明の第2の実施の形態》
ところで、図9aおよび図9bに示すように、曲線路上で先行車両を検知して追従対象を決定する場合には、自車930の走行レーン上に先行車両932があるにもかかわらず、隣の走行レーンの先行車両931や道路周辺の看板934などを先行車両として検知して追従対象に決定し、ロックオン制御を開始してしまうことがある。また、図9cに示すように、自車935の走行レーンを先行する車両936であってもその車速が遅い場合には、追従対象としたくないことがある。
【0045】
このような事態を防止するために、先行車両を検知して追従対象に決定しても、直ちにロックオン制御を開始せずに、事前にロックオン可否を判断するようにした第2の実施の形態を説明する。
【0046】
図10は第2の実施の形態の構成を示す。なお、図1に示す機器と同様な機器に対しては同一の符号を付して相違点を中心に説明する。
ロックオン可否判断部8cはマイクロコンピューターのソフトウエア形態により形成され、追従対象に決定された先行車両にロックオンするかどうかを判断する。
【0047】
図11は車両走行制御を示すフローチャートである。なお、図3に示すフローチャートと同様な処理を行うステップに対しては同一のステップ番号を付して相違点を中心に説明する。
ステップ6において、ロックオン制御中でないときに上述した先行車両の検出方法によって自車の走行レーンを先行する車両が検出された場合はステップ7Aへ進み、検出された先行車両を追従対象に決定する。続くステップ7Bで図12に示すロックオン判断ルーチンを実行し、追従対象に決定した先行車両に対してロックオンするかどうかを判断する。
【0048】
図12のステップ31〜32において、前回測距時の自車走行レーン上の先行車両を追尾する。まず、ステップ31で、上述したように、前回の測距時に検出された自車走行レーン上の先行車両の位置や相対速度などの情報に基づいて、前回測距時に検出された先行車両の現在位置を予測する。続くステップ32で、今回の測距時に検出された自車走行レーン上の先行車両が予測現在位置周辺に存在するかどうかを確認する。具体的には、前回測距時の先行車両の予測現在位置を中心とする所定領域内に今回検出した先行車両があるかどうかを確認する。
【0049】
今回検出された自車走行レーン上の先行車両が前回検出された自車走行レーン上の先行車両の予測現在位置周辺にあるときはステップ33へ進み、両車が同一車両であるとして先行車両を変更しない。そして、ステップ34でソフトウエア・タイマーTをインクリメントする。ステップ35では、ソフトウエア・タイマーTが所定時間tDを越えたかどうかを確認する。
【0050】
ロックオン制御中でないときに、同一の先行車両に対して所定時間tDより長く先行車追従制御を続けた場合はステップ36へ進み、ロックオン制御を開始して先行車両をロックオン車両に設定する。その後、ステップ37でタイマーTをリセットして図11のステップ4へ進み、ロックオン車両に対して上述したACC制御を行う。一方、タイマーTの計時時間が所定時間tD以下の場合はロックオン制御を開始せずに図4の制御プログラムへリターンする。
【0051】
今回検出された自車走行レーン上の先行車両が前回検出された自車走行レーン上の先行車両の予測現在位置周辺にないと判断されたときはステップ38へ進み、前回検出された先行車両から今回検出された先行車両に変更する。そして、ステップ39でタイマーTをリセットして図4の制御プログラムへリターンする。
【0052】
なお、この先行車両の追尾は距離測定装置1の測定データに基づいて行うので、距離測定装置1の測距範囲内で追尾可能であるが、追尾しているのは自車の走行レーン上の先行車両であり、前回の先行車両が自車の走行レーンから車線変更した場合には、その時点で追尾対象の先行車両ではなくなる。
【0053】
上述した第2の実施の形態の車両走行制御結果を、図13に示すような状況を例に上げて説明する。
ロックオン制御中でないときに、図13aに示すように距離測定装置1の測距範囲940の中で自車941の走行レーンを先行する車両942を検出した場合は、とりあえずその先行車両942を追従対象とするが、その先行車両942に直ちにロックオンしない。先行車両942が検出されてから所定時間tDが経過しない内に、図13bに示すように先行車両942が走行レーンを変更した場合は、自車の走行レーンを先行する車両を検索し、自車の走行レーンを先行する車両B943が検出された場合はその車両B943を新しい先行車両とし、追従対象とする。
【0054】
図13cに示すように、同一の先行車両B943に対して所定時間tDより長く先行車両追従制御が続けられた場合は、ロックオン制御を開始してその先行車両B943をロックオン車両に設定する。その後、すでにロックオンした先行車両B943が車線を変更しても、そのまま追従対象とする。
【0055】
この第2の実施の形態において、同一の先行車両に対する先行車追従制御の継続時間が所定時間tDを越えるまでは、上述した状態報知装置9の先行車両認識状態表示部9dを点滅させ、所定時間tDが経過してその先行車両にロックオンしたら先行車両認識状態表示部9dを点灯するようにしてもよい。
【0056】
なお、図11のステップ6において、車両前方の看板などの車両以外の物体を先行車両と誤認するのを防止するために、自車の走行レーン上に所定時間tS以上、つまり距離測定装置1の所定の測定回数以上継続して車両を検出した場合にそれを先行車両と認定し、先行車両ありと判定する場合には、上記ロックオン車両設定時の判定時間tDに少なくとも先行車両の判定時間tSよりも長い時間を設定する。
【0057】
このように、第2の実施の形態によれば、ロックオン制御中でないときに自車の走行レーンを先行する車両を発見しても直ちにその車両にロックオンせず、所定時間tDより長く同一先行車両に対して先行車追従制御を継続した場合に限り、その先行車両を追従対象としてロックオン制御を開始し、ロックオン車両に設定するようにしたので、屈曲路で隣の走行レーンを走る車両や道路脇の看板などの固定物に対して誤ってロックオンしたり、運転者の意に反して車速の遅い先行車両にロックオンすることが避けられ、適切な先行車両を追従対象としてロックオンすることができる。
【0058】
以上の実施の形態の構成において、距離測定装置1が測定手段を、操舵角検出装置3が操舵角検出手段を、追従対象車両決定装置8が先行車検出手段および車両特定手段、ACCコントローラー4が特定車両追従制御手段、定速走行制御手段および先行車追従制御手段を、車速検出装置2が自車速検出手段をそれぞれ構成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の構成を示す図である。
【図2】 状態報知装置を示す図である。
【図3】 車両走行制御を示すフローチャートである。
【図4】 ACCコントロール・ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】 ロックオン処理による追従対象車両決定ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】 ロックオン車両の変更方法を説明する図である。
【図7】 第1の実施の形態の車両走行制御結果を説明する図である。
【図8】 第1の実施の形態の車両走行制御結果を説明する図である。
【図9】 先行車を発見してロックオン制御を開始するときの動作を説明する図である。
【図10】 第2の実施の形態の構成を示す図である。
【図11】 第2の実施の形態の車両走行制御を示すフローチャートである。
【図12】 ロックオン可否判断ルーチンを示すフローチャートである。
【図13】 第2の実施の形態の車両走行制御結果を説明する図である。
【符号の説明】
1 距離測定装置
2 車速検出装置
3 操舵角検出装置
4 ACCコントローラー
5 スロットルアクチュエーター
6 変速機コントローラー
7 ブレーキアクチュエーター
8 追従対象車両決定装置
8a 車両認識部
8b 対象車両選択部
8c ロックオン可否判断部
9 状態報知装置
Claims (6)
- 自車前方の車両までの車間距離と方位を測定する測定手段と、
自車走行レーン上の先行車を検出する先行車検出手段と、
追従目標の特定車両が設定されていないときに自車走行レーン上で先行車を検出した場合は、その先行車を追従目標の特定車両に設定する車両特定手段と、
追従目標の特定車両が設定されているときは、車間距離および方位の測定結果に基づいて自車走行レーン上にいる追従目標の特定車両を追尾し、追従目標の特定車両が自車走行レーンから他のレーンに車線変更した場合でも、追従目標の特定車両が前記測定手段の測定範囲内にいる限り車間距離を一定に保ちながら追従目標の特定車両に追従する特定車両追従制御手段とを備えることを特徴とする車両走行制御装置。 - 請求項1に記載の車両走行制御装置において、
前記車両特定手段は、追尾中の追従目標の特定車両を見失ったときに自車走行レーン上で先行車を検出した場合は、その先行車を新しい追従目標の特定車両に設定することを特徴とする車両走行制御装置。 - 請求項1に記載の車両走行制御装置において、
追従目標の特定車両が設定されていないときに自車走行レーン上で先行車を検出した場合は、車間距離を一定に保ちながら自車走行レーン上の先行車に追従する先行車追従制御手段を備え、
前記車両特定手段は、追従目標の特定車両が設定されていないときに自車走行レーン上で先行車を検出した場合は、その先行車を直ちに追従目標の特定車両に設定せず、自車走行レーン上の同一の先行車に対して所定時間継続して前記先行車追従制御手段による先行車追従制御が行われた場合に、その先行車を追従目標の特定車両に設定することを特徴とする車両走行制御装置。 - 請求項3に記載の車両走行制御装置において、
前記車両特定手段は、前記測定手段の前回の測定結果に基づいて自車走行レーン上の先行車の現在位置を予測し、前記測定手段の今回の測定時に前記予測位置周辺で前記先行車検出手段により先行車が検出された場合に、前回と今回の測定時の先行車は同一であると判断することを特徴とする車両走行制御装置。 - 請求項1〜4のいずれかの項に記載の車両走行制御装置において、
前記特定車両追従制御手段は、追従目標の特定車両が自車走行レーンから外れており、かつ自車走行レーン上に他の先行車が存在する場合でも、追従目標の特定車両が前記測定手段の測定範囲内にいる限り車間距離を一定に保ちながら追従目標の特定車両に追従することを特徴とする車両走行制御装置。 - 請求項1〜5のいずれかの項に記載の車両走行制御装置において、
前記特定車両追従制御手段は、追従制御がオフになった場合は前記特定車両追従制御手段による特定車両追従制御を終了することを特徴とする車両走行制御装置。
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