JP3665607B2 - ポリウレタン樹脂系脆質フィルム、その製造方法および脆質接着シート - Google Patents

ポリウレタン樹脂系脆質フィルム、その製造方法および脆質接着シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は偽造、開封、改竄を防止するための偽造防止用ラベル、法定プレート、コーションラベル、意匠用マーキング等に使用する脆質接着ラベルに好適な脆質フィルムおよび脆質接着シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、偽造防止用ラベルおよび再使用防止用ラベルには、フィルム基材としてその脆く裂け易いという特徴を生かして、脆質フィルムが使用されている。脆質フィルムに要求される特性としては、単にその脆質性による偽造防止、再使用防止効果だけでなく、加工性(印刷性、形状カット性、不要部分のかす上げ性など)、保存性、貼り付け適性(曲面での追従性など)、耐久性(耐熱性、耐光性、耐水性、耐油性など)が要求される。
【0003】
従来、樹脂に対する可塑剤、無機フィラーの比率を調整することにより容易に要求される特性を持つ脆質フィルムが得られることから、塩化ビニル系樹脂を用いた脆質フィルムが使用されている。しかしながら、塩化ビニル系樹脂を用いた脆質フィルムは、塩化ビニル系樹脂の性質として、加熱により容易に軟化し、非常に伸び易くなるため、高温化での脆質性能が低下するという問題があった。
【0004】
また、このような塩化ビニル系樹脂を用いた脆質フィルムは、可塑剤を樹脂分に対し多量に(通常、樹脂100部に対して20部以上)配合させる必要があり、偽造防止用ラベルおよび再使用防止用ラベルの基材として用いた場合、可塑剤の移行による接着力の低下が起こり、場合によっては再使用防止性能への致命的な影響が生じるという問題があった。
【0005】
また、被着物を廃棄する必要が生じた場合、そのラベルの性質上剥がすことが容易ではないために、被着物とラベルを一体として処理される場合が多い。そのような場合、最終処分が焼却を伴うものであると、組成に多量の塩素を含むためダイオキシンの発生につながる恐れのある塩酸ガスが発生し、環境上好ましくないという問題もあった。
【0006】
これらの点を解決するものとして、塩化ビニル系樹脂以外の樹脂を用いた脆質フィルムが検討され、アクリル樹脂系およびポリオレフィン樹脂系の脆質フィルムが提案されている。例えば、特開平10−182917号公報には、破断時伸び率10〜180%のアクリル樹脂100重量部に対し、無機フィラー10〜70重量部および可塑剤0〜30部を配合した、引っ張り強度1.0〜3.0kg/mm2、かつ破断伸度2.0〜20%のアクリル樹脂系の脆質フィルムが開示されている。
【0007】
しかしながら、これら公報に記載のアクリル樹脂系の脆質フィルムは、芳香族系溶剤に容易に溶解し、耐ガソリン性等の耐溶剤性が劣るために、塩化ビニル系樹脂を用いた脆質ラベルの主用途の1つである自動車および自動二輪車用のコーションラベルまたはマーキング材には使用することができず、用途が限定されるという問題がある。また、強度を下げる目的で可塑剤の配合量を増加すると、塩化ビニル系樹脂を用いた場合と同様に、可塑剤の移行による粘着剤の劣化が生じるという問題もある。
【0008】
他方、特開2000−72910号公報には、無機フィラーが分散されたポリオレフィン樹脂製シートを少なくとも一軸方向に延伸した破断時伸び率20%以下、引っ張り強度30N/15mmの脆質フィルムが開示されている。また、特開2000−143835号公報には、結晶性のオレフィン系樹脂100重量部に、核剤を0.01〜5重量部、無機フィラーを5〜150重量部の割合で含有させた脆質フィルムが開示されている。これら公報に記載のポリオレフィン樹脂系の脆質フィルムは、その製膜が溶解押出法によるために、フィルムの等方性を確保することが困難であるという問題がある。また、ポリオレフィン樹脂は難接着性であるために、印刷加工を行なう場合、フィルム表面に、コロナ放電、プラズマ処理、プライマー処理、強酸による酸化処理などの表面処理を施して印刷適性を向上させる必要があり、塩化ビニル系樹脂を用いた脆質フィルムの場合と同様に加工性に劣るという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記のような問題点を改善することを目的としてなされたものであって、その目的は、偽造防止、再使用防止に十分な脆質性を有するともに、塩化ビニル系樹脂を用いた脆質フィルムと同等以上の加工性(印刷性、形状カット性、不要部分のかす上げ性等)、保存安定性、貼り付け適性(曲面への追従性など)、耐久性(耐熱性、耐光性、耐水性、耐油性など)を有する脆質フィルムを提供することにある。本発明の他の目的は、塩化ビニル系樹脂を用いた脆質フィルムとは異なり、加熱により脆質性能が極端に低下せず、かつ可塑剤移行による接着力の低下が起こらず、ダイオキシンの発生の問題もない脆質フィルムを提供することにある。本発明のさらに他の目的は、偽造防止用ラベル等に好適な、脆質接着シートを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、種々研究を重ねた結果、溶剤可溶な特定の特性を有する線状ポリウレタン樹脂と特定量の無機フィラーを併用すると、高温下での脆質性低下が少なく、塩素を含有しない脆質性フィルムが塩化ビニル系樹脂を用いると同様の工程で容易に作製し得るという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の脆質フィルムは、23℃における破断時伸び率が800%以下で、軟化点80℃以上のポリウレタン樹脂100重量部に対して無機フィラー200〜500重量部を含有する樹脂組成物からなることを特徴とする。本発明の上記脆質フィルムは、23℃における破断時伸び率が2〜20%で、破断時引っ張り強度が10N/10mm以下であり、70℃における破断時伸び率が100%以下で、破断時引っ張り強度が8.0N/10mm以下であることが好ましい。
【0012】
本発明の上記の脆質フィルムは、剥離性支持体上に、23℃における破断時伸び率が800%以下で、軟化点80℃以上のポリウレタン樹脂100重量部および無機フィラー200〜500重量部を含有する塗布液を溶液コーティング法により塗布して製膜することによって製造することができる。
また、本発明の脆質接着シートは、上記の脆質フィルム上に、接着剤層および剥離性シートが順次積層されてなることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の脆質フィルムの作製に使用されるポリウレタン樹脂は、23℃における破断時伸び率が800%以下で、軟化点が80℃以上の範囲にあることが必要である。好ましくは、破断時伸び率が100〜700%、特に200〜450%の範囲にあり、軟化点が80〜185℃の範囲にあるものである。23℃における破断時伸び率が上記範囲を逸脱すると、所望の破断時伸び率を有する脆質フィルムが得られなくなる。また、軟化点が上記範囲を逸脱すると、脆質フィルムにタック現象が発現し、剥離性支持体から容易に剥がれず、剥離性支持体を剥がす際にフィルムが破損して、フィルム化が困難になる。
【0014】
なお、破断時伸び率は、ポリウレタン樹脂または樹脂組成物について、厚さ60μmのフィルム状にしたサンプルを23℃で1時間以上放置した後、10×100mmの大きさの短冊型試験片とし、引張速度200mm/分、チャート速度400mm/分、チャック間隔50mmの条件でインストロンタイプの引張試験機により引張試験を6回行い、伸び率の平均値を算出して求めた値である。また、軟化点はギヤオーブンにおいて昇温3℃/分、荷重500gの条件で求めた値である。
【0015】
本発明において、上記の性質を有するポリウレタン樹脂としては、例えば、ソフトセグメントを構成する分子量400〜8000のポリオールと、ハードセグメントを構成する短鎖グリコールおよびジイソシアネートとの3つの成分からなる線状構造のものが好ましく使用される。このポリウレタン樹脂は、ハードセグメントの凝集により非架橋の線状ポリウレタン樹脂でも架橋高分子のような強靭な物性を示す。
【0016】
上記の線状ポリウレタン樹脂を構成するポリオールの成分としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテル系ポリオール、アジペート型、カプロラクトン型およびポリカーボネートジオ‐ル型のポリエステル系ポリオールが好ましく使用される。また、短鎖グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等が挙げられる。また、ジイソシアネート成分としては、無黄変性が要求される場合には、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の脂肪族および脂環族のイソシアネート、およびこれらの変性体、誘導体等が使用される。また、無黄変性が要求されない用途の場合には、より安価なパラフェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネートおよびそれらの変性体、誘導体を使用することができる。これらの成分は、許容コスト、使用環境により適宜選定される。屋外もしくは長期の耐熱性が要求される場合は、ポリオール成分としてポリエステル系ポリオールが、又イソシアネート成分として脂肪族および脂環族イソシアネートが好ましい。
また、上記線状ポリウレタン樹脂は、溶剤に可溶のものでなければならない。例えば、10%以上の濃度にて、好ましくは粘度500〜10000cps/25℃の塗布溶液が形成されるものが好ましく使用される。
【0017】
上記線状ポリウレタン樹脂は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合は、それぞれの樹脂の破断時伸び率が上記範囲以外のものであっても、それらを混合した樹脂混合物の破断時伸び率が800%以下の範囲にあれば、本発明において使用することができる。
【0018】
本発明において、無機フィラーとしては、公知のものならば如何なるものでも使用することができる。例えば、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、雲母、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム等があげられる。これらのものは単独、または2種以上混合して使用することができるが、特に、炭酸カルシウムが混合された混合フィラーが好適に使用される。これら無機フィラーは、総比重が2.0から3.8の範囲が好ましい。比重が上記の範囲を逸脱すると、無機フィラーの材質によっては脆質性付与効果が生じにくくなる。また、特に、総比重が3.8以上の場合、容易に沈降して均一な塗工液が得られにくい。
なお、総比重は次式で求められる。
例えば、A、B、Cの無機フィラーを配合する場合、
総比重=(Aの比重×Aの配合量+Bの比重×Bの配合量+Cの比重×Cの配合量)÷(Aの配合量+Bの配合量+Cの配合量)
【0019】
本発明において、上記無機フィラーは、ポリウレタン樹脂100重量部に対して200〜500重量部の範囲で含有させることが必要である。無機フィラーの含有量が上記の範囲より低くなると、脆質性が不充分で、再剥離防止性能が得られない。また、上記の範囲より高くなると、脆くなり過ぎてシート化し難くなる。
【0020】
また、本発明において、上記無機フィラーは、ポリウレタン樹脂中に、最大粒径が20μm以下の状態で分散されることが好ましい。粒径が20μmを超える粒子が多量に含まれる場合には、フィルム表面の平滑性が低下するので、無機フィラーとしては、上記の範囲の粒子径で分散されるものを選択し、適宜の分散手段を選択して分散させればよい。
【0021】
本発明の脆質フィルムには、ポリウレタン系樹脂が使用されるので、通常、軟化剤を用いる必要はないが、フィルムに微妙な柔軟性を持たせることが要求される場合には、軟化剤を添加してもよい。
【0022】
軟化剤としては、ポリウレタン樹脂と相溶性のあるものであれば特に制限はなく、例えば、オクチルベンジルフタレート、ミリスチルベンジルフタレート等のアルキルベンジルフタレート;ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート等のジアルキルフタレート;トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル;ジブチルセバケート、アセチルトリブチルシトレート等の脂肪酸エステル;アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステル等のポリエステル系;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコール(2−エチルヘキソエート)等のグリコール誘導体;グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレート等のグリセリン誘導体;エポキシ化大豆油等のエポキシ誘導体および低分子量のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等があげられる。これらの軟化剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いてもよい。
軟化剤の添加量は、ポリウレタン系樹脂100重量部に対し、30重量部以下の範囲で選ばれる。この含有量が30重量部を超えるとフィルムが軟らかくなり過ぎ、脆質性が低下するので好ましくない。
【0023】
本発明の脆質フィルムを構成する樹脂組成物には、上記の成分の他に、必要に応じて架橋剤を含有させることができる。また、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望に応じ、各種添加成分、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料などの着色剤などを適宜添加することができる。
【0024】
本発明の脆質性フィルムは、上記の成分よりなる樹脂組成物を構成成分とする塗布液を剥離性支持体の上に塗布することによって製造することができる。塗布液は、ポリウレタンの溶液に無機フィラーその他の成分を添加し、分散させることによって作製される。溶剤としては、上記ポリウレタン樹脂を溶解するものならば如何なるものでも使用することができ、例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、メタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン等を単独または混合して用いることができる。
【0025】
塗布液の作製に際して、分散方法は無機フィラーの分散の難易より適宜選択されるが、凝集性があり分散性の悪い無機フィラーについては樹脂溶液に一旦撹拌分散しロールミル、ボールミルなどにより剪断力をかけ粒子径を20μm以下になるように調整すればよい。なお、粒子径の確認はグラインドゲージにより行うことができる。
【0026】
塗布液は、例えば、ポリウレタン樹脂の濃度が10%以上であって、粘度が500〜10000cps/25℃の範囲に調整したものが好ましく使用される。特に自動車および自動二輪車向けのコーションラベルやマーキング材として耐ガソリン性等の耐溶剤性が要求されるラベル用途に用いる脆質フィルムを作製する場合には、ジメチルホルムアミド単独もしくは混合溶剤系、アルコールを含む混合溶剤系など、溶解能の高い溶剤系にのみ可溶な線状ポリウレタン樹脂が好ましく用いられる。
【0027】
脆質フィルムは、上記塗布液を剥離性支持体上に溶液コーティング法によって乾燥後の膜厚が30〜100μmになるように塗工し、その後溶剤が完全に揮発するまで乾燥することにより形成される。剥離性支持体は、使用に際しては剥離除去されるものであって、特に限定されるものではなく、形成される脆質フィルムが容易に剥離できるものであれば、如何なるものでも使用することができ、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等によって剥離処理された紙およびプラスチックシート、ポリエステル、ポリプロピレン等のプラスチックフィルム等を用いることができる。
【0028】
本発明の脆質フィルムの厚さは、用途を勘案すれば、取扱い性および経済性等のバランスの面から、30〜100μmの範囲が適当である。厚さが30μmより薄くなると、無機フィラーが多量に含まれているために、フィルムの表面性が悪くなり、または後加工、印刷工程、脆質シートの形成時における粘着層の形成工程等でフィルムが切断する等のトラブルが発生しやすくなる。厚さが100μmを超えるものは、溶液コーティング法では製膜が困難であり、塗り重ねを行う方法等、その作製工程が複雑になってコスト高となる。
【0029】
上記のようにして製造される本発明の脆質フィルムは、その特性として、破断時伸び率が23℃で2〜20%、70℃で100%以下、かつ破断時引っ張り強度が23℃で10N/10mm以下、70℃で8.0N/10mm以下であり、より好ましくは、破断時伸び率が23℃で2〜10%、70℃で10〜50%以下、かつ破断時引っ張り強度が23℃で3〜10N/10mm、70℃で2.0〜8.0N/10mmの範囲のものである。23℃での破断時伸び率が2%より低いと、柔軟性が低すぎて、取扱い性が劣り、20%を超えると、脆質性が低下する。また、23℃での破断時引っ張り強度が10N/10mmよりも大きいと、脆質性が低下する。また、破断時引っ張り強度があまりに低い値の場合は、フィルムが引き裂かれやすくなって取扱い性が悪くなるので、破断時引っ張り強度は23℃において3N/10mm以上であることが好ましい。また、70℃での破断時伸び率および破断時引っ張り強度が上記の範囲を逸脱すると、加熱時の脆質性が劣るものとなる。
【0030】
次に、本発明の脆質接着シートについて説明する。脆質接着シートは、本発明の上記脆質フィルム、接着剤層、および剥離性シートの3層から構成される。接着剤層は、脆質フィルムを被着体に貼りつけるためのもので、感圧接着剤、感温接着剤等、公知のものならば如何なるものでも使用することができる。また、剥離性シートとしては、上記脆質フィルムの製造に際して用いた剥離性支持体と同様のものを用いることができる。
【0031】
本発明の脆質接着シートは、例えば、次のようにして製造することができる。製造方法の一つは、上記のようにして得られた脆質フィルムの上に、接着剤を塗布して接着剤層を形成し、その上に剥離性シートを貼り合わせた後、脆質フィルム上の剥離性支持体を剥離する。他の方法は、剥離シートの上に接着剤を塗布して接着剤層を形成し、その上に上記のようにして得られた脆質フィルムを貼り合わせた後、脆質フィルム上の剥離性支持体を剥離する。それにより、本発明の脆質フィルム上に、接着剤層および剥離性シートが順次積層された3層構成の脆質接着シートが得られる。
【0032】
上記のようにして得られた脆質接着シートは、その脆質フィルム面上に、印字、印刷、箔押し等により意匠を施し、或いはまた、必要な形状に切断加工して、脆質接着ラベルを作製することができる。
【0033】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1〜3
(脆質フィルムの作製)
表1に示す物性を有する線状ポリウレタン樹脂および無機フィラーを、表1に示す混合割合(固形分)で混合し、一旦撹拌分散した後、グラインドゲージにて確認しながら、無機フィラーの最大粒径が20μm以下になるように3本ロールミルによって分散処理を行なった。得られた樹脂組成物よりなる塗布液を、剥離処理した支持体(DNTP−FL:DIC社製)上に塗布し、120℃に加熱して溶剤を揮散させ、乾燥して、表1に示す膜厚の脆質フィルムを製膜した。
【0034】
(脆質接着シートの作製)
ブチルアクリレート−アクリル酸(100:8)共重合体樹脂の30重量%酢酸エチル溶液(#4331:倉本産業社製)にイソシアネート化合物(コロネートL:日本ポリウレタン工業)を樹脂固形分100重量部に対し1重量部配合して得た接着剤溶液を、シリコーン処理された剥離紙上に塗布し、100℃に加熱して溶剤を揮散、乾燥させて剥離紙上に膜厚30μmの接着剤層を製膜した。得られた接着剤シートを、前記のようにして作製された脆質フィルム上に貼り合わせた後、脆質フィルム上の剥離処理した支持体を剥離して、脆質接着シートを作製した。
【0035】
得られた脆質接着シートについて、再剥離防止性を評価した。また、脆質フィルムについては、その破断時引っ張り強度および破断時伸び率を測定した。それらの結果を表1に示す。
なお、再剥離防止性の評価基準は次の通りである。各脆質接着シートを20mm×100mmの形状にカットし、6つの試験サンプルを作製した。得られた試験サンプルを、70mm×150mmのアクリル−メラミン塗料(ベルコートNo.100:日本油脂社製)塗装鋼板上に貼り付け、23℃×48時間放置した後、各温度条件下に1時間以上放置し、同温度条件下で剥離を試みた。6つの試験サンプルの全てが、剥離に際して切断された場合を「○」と評価し、一つでも切断されることなく剥離された場合を「×」と評価した。
【0036】
比較例1〜4
実施例1の場合と同様にして脆質フィルムおよび脆質接着シートを作製し、同様に評価および測定を行なった。但し、実施例1における線状ポリウレタン樹脂の代わりに、表1に示すポリウレタン樹脂を使用した。それらの結果を表1に示す。
【0037】
比較例5
重合度700の塩化ビニル樹脂(チッソ社製:ニッポリットSE)100重量部および可塑剤(旭電化社製:アデカサイザーPN−350)25重量部をシクロヘキサノンに溶解した樹脂液に、無機フィラーとして炭酸カルシュウム180重量部および酸化チタン20重量部を添加し、一旦撹拌分散した後、グラインドゲージにて確認しながら、無機フィラーの最大粒径が20μm以下になるように3本ロールミルによって分散処理を行なった。得られた樹脂組成物よりなる塗布液を、剥離処理した支持体(DNTP−FL:DIC社製)上に塗布し、120℃に加熱して溶剤を揮散した後、乾燥させて、膜厚60μmの脆質フィルムを製膜した。
【0038】
この脆質フィルムを用いて、実施例1と同様にして脆質接着シートを作製し、同様に評価および測定を行なった。その結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0003665607
【0039】
なお、表1に記載の各成分は次の通りである。
1)ニッポラン5196:日本ポリウレタン社製、ポリカーボネート系無黄変タイプ、メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1、固形分30%
2)ニッポラン5138:日本ポリウレタン社製、無黄変タイプ、メチルエチルケトン/トルエン/イソプロピルアルコール=5/4.5/0.5、固形分25%
3)ニッポラン5120:日本ポリウレタン社製、無黄変タイプ、酢酸エチル/トルエン/イソプロピルアルコール=3/4/3、固形分30%
4)ニッポラン2304:日本ポリウレタン社製、メチルエチルケトン、固形分35%
5)レザミンNE−302HV:大日精化工業社製、ポリエステル系無黄変タイプ、トルエン/イソプロピルアルコール=1/1、固形分35%
6)レザミンNE−8836:大日精化工業社製、ポリカーボネート系無黄変タイプ、ジメチルホルムアミド/トルエン/イソプロピルアルコール=1/1/1、固形分30%
7)炭酸カルシウム:白石カルシュウム社製、ホワイトン−SB、比重2.7
8)酸化チタン:石原産業社製、タイペークR−820、比重4.2
【0040】
表1から明らかなように、実施例1〜3の本発明の脆質フィルムはいずれも脆くて切れやすく、かつその脆質性の温度依存性がなかった。一方、比較例1および3のフィルムは、ポリウレタン樹脂の破断時伸び率が800%を超えるため十分な脆質性が得られなかった。比較例2のフィルムは、ポリウレタン樹脂の軟化点が低すぎるため、フィルムにタック性が発現し、剥離性支持体から容易に剥がれず、支持体を剥がす際にフィルムが破損してシート状のものとはならなかった。比較例4のフィルムは、ポリウレタン樹脂の破断時伸び率が800%を超え、また、無機フィラーの量が本発明の範囲よりも多いため、剥離性支持体から剥離する際に破損して、シート状のものとはならなかった。比較例5の場合は、樹脂成分として塩化ビニル系樹脂を用いているため、高温下で極端に破断時伸び率が大きくなり、十分な再使用防止効果が得られなかった。
【0041】
【発明の効果】
本発明の脆質性フィルムは、加工性、保存性、耐久性に優れ、焼却によりダイオキシンの発生がなく、また、熱により軟化して脆質性が極端に低下するという現象が生じない。したがって、それを用いた脆質接着シートは、加工性、印刷適性、保存性、貼り付け適性、耐久性に優れ、耐環境汚染の点でも優れている。また、被着物に一旦貼り付けた脆質接着シートは、剥離しようとすると、熱を加えた場合でも容易に破損するため、偽造、開封、改竄、再使用等の目的で使用することができ、偽造防止用ラベルおよび法定プレート、コーションラベル、意匠用マーキング等に使用するのに適している。

Claims (4)

  1. 23℃における破断時伸び率が800%以下で、軟化点80℃以上のポリウレタン樹脂100重量部に対して無機フィラー200〜500重量部を含有する樹脂組成物からなることを特徴とする脆質フィルム。
  2. 23℃における破断時伸び率が2〜20%で、破断時引っ張り強度が10N/10mm以下であり、70℃における破断時伸び率が100%以下で、破断時引っ張り強度が8.0N/10mm以下であることを特徴とする請求項1記載の脆質フィルム。
  3. 請求項1記載の脆質フィルム上に、接着剤層および剥離性シートが順次積層されてなることを特徴とする脆質接着シート。
  4. 剥離性支持体上に、23℃における破断時伸び率が800%以下で、軟化点80℃以上のポリウレタン樹脂100重量部および無機フィラー200〜500重量部を含有する塗布液を塗布して製膜することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の脆質フィルムの製造方法。
JP2001373592A 2001-12-07 2001-12-07 ポリウレタン樹脂系脆質フィルム、その製造方法および脆質接着シート Expired - Fee Related JP3665607B2 (ja)

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