JP7130967B2 - 積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、積層フィルム、詳しくは、貼着後に被着体から剥離することができる粘着層(「剥離可能な粘着層」と称する)を備えた表面保護用の積層フィルムに関する。
従来から、各種製品の加工時、搬送時、保管時並びに組立時などにおいて、その製品の表面を汚染、損傷等から保護するために、製品の表面に貼着して使用する表面保護フィルムが用いられている。
この種の表面保護フィルムは、基材の一方の面に、剥離可能な粘着層を備えており、粘着層を介して表面保護フィルムを製品に貼着することで、前記基材によって製品の表面を汚染、損傷等から保護する構成のものが一般的である。
この種の表面保護フィルムに関しては、粘着層の粘着力が低過ぎると、加工・運搬時に表面保護フィルムが浮き上がってしまい、不具合が生じる場合がある。そのため、被着体に貼付した表面保護フィルムは、その周辺部に作用する外力で不必要な剥離が生じないように、剥離時の剥離力が所定の値以上であることが要求される場合がある。
他方、剥離工程の自動化(機械化)による普及に伴い、機械による剥離がスムーズに行えることも要求特性となっている。よって、生産性向上のため、例えば剥離装置により、表面保護フィルムを剥離する場合、剥離力が低いことが要求される場合がある。
また、被着体から表面保護フィルムを剥離する際に、滑らかに剥離する部分と剥離しにくい部分とが生じてバリバリという音を立てながら剥離する現象、いわゆるジッピング剥離が発生する場合がある。そのため、上記の通り、製品の品質確保、剥離装置など、生産設備の点でも、剥離装置にかかる負荷を低減できることが好ましい。
上述の課題に対する対応策として、表面保護フィルムの剥離力調整手法に関して、各種提案がなされている。例えば、粘着層を構成する材料特性を調整する方法が提案されている。具体的には、粘着性を有する低Tgのポリマーと、粘着性が抑制された高Tgのポリマーとを混合することで、浮きや剥がれを起こさない粘着力を有し、かつ剥離性が良好な保護フィルム用の粘着剤が開示されている(特許文献1、特許文献2)。
また、別の手法として、粘着層を構成するポリマーに架橋剤や架橋触媒を組合せて架橋密度を上げることにより、粘着剤の剥離性を確保する保護フィルム用粘着剤が開示されている(特許文献3、特許文献4)。
特開2005-146151号公報 特開2009-221324号公報 特開2005-200540号公報 特開2016-199762号公報
従来開示されていた、剥離可能な粘着層を備えた表面保護用積層フィルムは、粘着性が低く、特に低温時の粘着性が十分でなかったため、被着体への貼り付きが不十分になる場合があった。ところが、これを解決するために、例えば粘着層を構成するポリマーの架橋密度を上げて粘着力を高めようとすると、微妙な粘着力調整が困難になったり、逆に経時的に架橋が進行して、被着体に貼り付かなったりする場合があった。
また、フィルムを剥離する時に発生する応力の強さによって、製品が破損する場合もあった。
そこで、本発明の解決課題は、各種被着体の表面保護用途に使用することができ、製品を搬送する際など、剥離する必要のない時には剥離せず、剥離装置などで製品から剥離する際や捲回状態から巻き戻す際など、必要がある時には、破損することなく円滑に剥離することができ、さらには、フィルムを剥離する時に発生する応力の強さによって、被着体が破損することのない、新たな剥離可能な粘着性を備えた表面保護用積層フィルムを提供することにある。
本発明は、ポリエステルフィルムの片面に粘着層が積層された積層フィルムであり、粘着層の厚みが100nm以上9000nm以下であり、且つ、粘着層表面の表面粗さ(S5p)が10nm以上1,000nm以下であり、粘着層表面における、剛体振り子型物性試験器により測定した30℃における対数減衰率が0.01以上0.10以下の範囲であることを特徴とする積層フィルムを提案する。
本発明が提案する積層フィルムは、粘着層を介してポリエステルフィルムを各種製品(「被着体」とも称する)に剥離可能に貼着することにより、当該製品の表面を汚染や損傷等からか保護することができる。
また、本発明が提案する積層フィルムは、粘着層の厚みが薄く、しかも、粘着層表面における対数減衰率(30℃)が0.01以上0.10以下の範囲であることにより、剥離装置などで一気に剥離する際や捲回状態から巻き戻す際など、必要がある時には、破損することなく円滑に剥離することができる。その一方、製品を搬送する際など、剥離する力が低速で掛るような場合には、被着体から剥離せず接着していることができる。
本発明が提案する積層フィルムはさらに、粘着層表面の表面粗さ(S5p)が10nm以上1,000nm以下であるため、フィルムを剥離する時に発生する応力の強さによって、被着体が破損することを防止することができる。よって、例えばガラス板、モスアイ構造を有するプリズムシートなどのように薄膜の光学部材の表面を保護するための積層フィルムとして有効に利用することができる。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本積層フィルム>
本発明の実施形態の一例に係る積層フィルム(「本積層フィルム」と称する)は、ポリエステルフィルムの片面に粘着層が積層された積層フィルムである。
本積層フィルムは、ポリエステルフィルムの片面に粘着層が積層されていれば、他の構成は任意である。例えば、当該ポリエステルフィルムの粘着層が積層された面とは反対側の片面に帯電防止層を積層することも可能である。
また、本積層フィルムは、例えば離型フィルムを積層しない構成、中でも粘着層の表面に離型フィルムを積層しない構成とすることができる。通常の表面保護フィルムは、粘着層を保護するために離型フィルムと貼り合わせるなど、粘着層の表面に離型フィルムを積層することが一般的である。これに対し、本積層フィルムは、前述のように、捲回状態から巻き戻す際など、必要がある時には、破損することなく円滑に剥離することができるから、粘着層の表面などに離型フィルムを積層しなくてもよく、例えばそのまま巻き取って捲回体とすることができる。
<ポリエステルフィルム>
本積層フィルムにおけるポリエステルフィルムは、製品の表面を保護することができる表面保護フィルムとして利用可能なものが好ましい。
(ポリエステルフィルム)
ポリエステルフィルムは、単層構成であっても多層構成であってもよく、2層、3層、4層又はそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
ポリエステルフィルムの主成分樹脂をなすポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。この際、「主成分樹脂」とは、ポリエステルフィルムを構成する樹脂のうち最も含有量の高い樹脂を示す。
ポリエステルフィルムの主成分樹脂をなすポリエステルが、ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等を例示することができる。
他方、共重合ポリエステルからなる場合、そのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、セバシン酸などの1種または2種以上を挙げることができ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールなどの1種または2種以上を挙げることができる。
上記ポリエステルの重合触媒としては、特に制限はなく、従来公知の化合物を使用することができ、例えば、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等を挙げることができる。その中でも、チタン化合物やゲルマニウム化合物は触媒活性が高く、少量で重合を行うことが可能であり、フィルム中に残留する金属量が少ないことから、フィルムの輝度が高くなるので好ましい。さらに、ゲルマニウム化合物は高価であることから、チタン化合物を用いることがより好ましい。
(粒子)
上記ポリエステルフィルムは、易滑性の付与、各工程での傷発生防止、さらには粘着層表面の表面粗さの調整などを主たる目的として、粒子を含有するのが好ましい。
当該粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等を挙げることができる。さらに、ポリエステル製造工程中に、触媒等の金属化合物の一部が沈殿乃至微分散した析出粒子を用いることもできる。
前記粒子の形状は、特に限定されるものではない。例えば球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれであってもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
粒子の平均粒径は、易滑性の付与、傷発生防止、粘着層表面の表面粗さの調整などの観点から、0.01μm~5μmであるのが好ましく、中でも0.1μm以上或いは4μm以下、その中でも1μm以上或いは3μm以下であるのがさらに好ましい。
なお、粒子の平均粒径は、10個以上の粒子をSEM観察して粒子の直径を測定し、その平均値として求めることができる。その際、非球状粒子の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定することができる。
ポリエステルフィルム中の粒子含有量は、フィルムの滑り性と透明性との両立を図る観点から、0.0003~5質量%であるのが好ましく、中でも0.1質量%以上或いは3質量%以下、その中でも0.3質量%以上或いは2質量%以下であるのがさらに好ましい。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができる。好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのが良い。
ポリエステルフィルムは、必要に応じて従来公知の添加剤を含有することができる。例えば酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料、紫外線吸収剤等を添加することができる。
(厚み)
ポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではない。9μm~100μmであるのが好ましく、中でも12μm以上或いは75μm以下、その中でも25μm以上或いは50μm以下であるのがさらに好ましい。
(延伸)
ポリエステルフィルムは、無延伸フィルムであっても、一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであってもよい。中でも、二軸延伸フィルムであるのが好ましい。
(製造方法)
次にポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明する。但し、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
先ず、ポリエステル原料を乾燥したペレットを、押出機を用いてダイから溶融シートとして押し出し、冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用することができる。
次に、得られた未延伸シートを二軸方向に延伸するのが好ましい。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70~120℃、好ましくは80~110℃であり、延伸倍率は通常2.5~7倍、好ましくは3.0~6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸する。その場合、延伸温度は通常70~170℃であり、延伸倍率は通常3.0~7倍、好ましくは3.5~6倍である。そして、引き続き180~270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
ポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70~120℃、好ましくは80~110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4~50倍、好ましくは7~35倍、さらに好ましくは10~25倍である。そして、引き続き、170~250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得ることができる。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
<粘着層>
粘着層は、基材としてのポリエステルフィルム或いは被着体との密着性向上のために、アクリレート化合物のうちの少なくとも1種類以上を主成分樹脂として含有するのが好ましい。
ここで、「主成分樹脂」とは、粘着層を構成する樹脂のうち最も含有量の高い樹脂を示す。
(アクリレート化合物)
上記アクリレート化合物としては、従来公知のものを使用することができる。例えば単官能(メタ)アクリレート基、二官能(メタ)アクリレート基、多官能(メタ)アクリレート基、ビニル基、アリル基等を有するアクリレート化合物を挙げることができる。
なお、「(メタ)アクリレート化合物」の表記は「アクリレート化合物およびメタクリレート化合物」を表す。
上記単官能(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記二官能(メタ)アクリレートとしては、例えば1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール変性ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、エポキシジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンエチレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等を挙げることができる。
上記単官能(メタ)アクリレート基、二官能(メタ)アクリレート基、多官能(メタ)アクリレート基、ビニル基、アリル基等を有する化合物は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。密着性向上の観点から、これらの(メタ)アクリレート化合物の中でも好ましくは二官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリレート、より好ましくは多官能(メタ)アクリレートがよい。
本積層フィルムの粘着層に含有されるアクリレート化合物としては、均一な分子量および組成を有しており、且つ低分子量成分の生成が抑えられているため、粘着層の凝集力が確保されて、糊残りによる汚染も低減されるという点などから、リビング重合により得られるアクリレート化合物を好ましい例として挙げることができる。
リビング重合により得られるアクリレート化合物としては、例えば、
一般式(I):A-B
(式中、Aはメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Bはアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。)で表されるアクリル系ジブロック共重合体や、
一般式(II);C1-D-C2
(式中、C1およびC2はそれぞれ独立してメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Dはアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。なお、重合体ブロックC1および重合体ブロックC2は、重量平均分子量、各重合体ブロックを形成するメタクリル酸アルキルエステルの組成などが同一でも、異なっていてもよい。)で表されるアクリル系トリブロック共重合体を挙げることができる。
本積層フィルムの粘着層に含有される、これらのアクリル系ジブロック共重合体および/またはアクリル系トリブロック共重合体は、1種単独でも、2種以上の混合物でもよい。
アクリル系ジブロック共重合体を構成する重合体ブロックAおよび重合体ブロックBや、アクリル系トリブロック共重合体を構成する重合体ブロックC1、重合体ブロックC2および重合体ブロックDには、本発明の効果を損なわない範囲で、他のモノマー単位が含まれてもよい。
本積層フィルムの粘着剤に用いることのできるアクリル系ジブロック共重合体およびアクリル系トリブロック共重合体の製法は特に限定されず、既知の方法に準じた製法を採用して製造できる。例えば、各重合体ブロックを構成するモノマーをリビング重合する方法が一般に使用される。
例えば、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法は、アクリル系ブロック共重合体の純度を高められるとともに、分子量や組成比の制御が容易であることから、好ましい製法として挙げることができる。
また、リビング重合により得られるアクリレート化合物のうち、有機テルル重合開始剤を用いたリビングラジカル重合により得られるアクリレート化合物も、均一な分子量および組成を有する点と、低分子量成分の生成が抑えられている点により、粘着層の凝集力が確保されて糊残りも低減されることから、本積層フィルムの粘着層に用いることのできるアクリレート化合物のうち好ましい例として挙げることができる。
粘着層には、塗布外観、透明性、密着性向上の観点から、バインダー樹脂を併用してもよい。
バインダー樹脂の具体例としては、例えばポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル共重合体等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等を挙げることができる。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。
ここで言う『バインダー樹脂』とは、高分子化合物安全性評価フロースキーム(昭和60年11月化学物質審議会主催)に準じて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量(Mn)が1000以上の高分子化合物で、かつ造膜性を有するポリマーであればよい。
粘着層中のバインダー樹脂の含有量は通常20質量%~80質量%、好ましくは30質量%~70質量%、さらに好ましくは40質量%~60質量%である。バインダー樹脂の含有量が上記範囲を満足することで被着体との良好な密着性と塗膜強度とを両立することが可能となる。
(架橋剤)
粘着層の粘着力調整を目的として、必要に応じて、粘着層は架橋剤を含有してもよい。
架橋剤の具体例として、例えばオキサゾリン化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン化合物、カルボジイミド化合物などを例示することができる。中でも密着性向上の観点から、オキサゾリン化合物またはイソシアネート化合物の少なくとも1種を使用することがより好ましい。
粘着層中の架橋剤の含有量は10質量%~70質量%であるのが好ましく、中でも20質量%以上或いは60質量%以下、その中でも25質量%以上或いは50質量%以下の範囲であるのがさらに好ましい。架橋剤の含有量が上記範囲であれば、相手方被着体との良好な密着性が得られる傾向にある。
(重合開始剤)
必要に応じて、重合開始剤(「架橋開始剤」とも称する)を併用してもよい。
重合開始剤としては、熱架橋開始剤(「熱硬化剤」とも称する)や光架橋開始剤などを例示することができる。中でも、紫外線を用いて光重合を促進させることができる光架橋開始剤は、高温加熱する必要がなく熱ダメージを受けることがないため、好ましい。
当該光架橋開始剤、中でも光重合開始剤としては、開裂することによりラジカル重合させるもの、水素を引抜くことによりラジカル重合させるもの、或いはイオンを発生させることによりカチオン重合させるものを挙げることができ、使用するプレポリマー及びモノマーに応じて適宜選択することができる。
ラジカル型の光重合開始剤としては、例えばベンゾインエーテル系、ケタール系、アセトフェノン系、チオキサントン系などを挙げることができる。
また、カチオン型の光重合開始剤として、例えばジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールビリリウム塩、ベンジルピリジニウムチオシアネート、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアルキルヒドロキシフェニルホスホニウム塩などを挙げることができる。
これらの光重合開始剤は、1種又は2種以上を併用することも可能である。
光重合開始剤の配合量は、通常アクリレート化合物100質量部に対して0.1~5質量部であるのが好ましく、中でも1質量部以上或いは5質量部以下、その中でも2質量部以上或いは5質量部以下であるのがさらに好ましい。
(粒子)
粘着層には、易滑性或いはブロッキング改良のため、粒子を併用してもよい。
当該粒子の平均粒径は、易滑性或いはブロッキング改良並びにフィルム透明性の観点から、0.01~1.0μmの範囲であるのが好ましく、中でも0.03μm以上或いは0.5μm以下、その中でも0.05μm以上或いは0.2μm以下の範囲であるのが好ましい。
当該粒子の具体例として、例えばシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、有機粒子等を挙げることができる。
(その他の成分)
粘着層には必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等が含有されてもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
オフラインコーティングによって粘着層を設ける場合は、上述の一連の化合物を有機溶媒中に溶解あるいは分散させ、固形分濃度が0.1~50質量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層フィルムを製造するのが好ましい。また、本発明の主旨を損なわない範囲において、分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には2種類以上の有機溶剤を使用してもよい。
(硬さ)
粘着層は、貯蔵弾性率(25℃)で示される硬さが1×10Pa以上1×10Pa以下であることが好ましい。
貯蔵弾性率が1×10Pa以下であれば、初期にはリワークできる適度な接着力を確保することができるので好ましい。一方、貯蔵弾性率が1×10Pa以上であれば、粘着層の凝集力が確保されて、糊残りによる汚染も低減できるので好ましい。
かかる観点から、粘着層の貯蔵弾性率は、1×10Pa以上1×10Pa以下であることが好ましく、中でも2×10Pa以上或いは7×10Pa以下、その中でも3×10Pa以上或いは5×10Pa以下であることがさらに好ましい。
ここで硬さを示す貯蔵弾性率は、後述する実施例に記載した方法で求められる25℃におけるせん断貯蔵弾性率の値である。
(表面粗さ)
本積層フィルムの粘着層表面の表面粗さ(S5p)は10nm以上1,000nm以下であるのが好ましい。
粘着層表面の表面粗さが上記範囲であれば、フィルムを剥離する時に発生する応力の強さによって、被着体が破損することを防止することができる。
かかる観点から、粘着層表面の表面粗さ(S5p)は10nm以上1,000nm以下であるのが好ましく、中でも15nm以上或いは900nm以下、その中でも20nm以上或いは700nm以下であるのがさらに好ましい。
よって、例えばガラス板、モスアイ構造を有するプリズムシートなどのように薄膜の光学部材の表面を保護するための積層フィルムとして有効に利用することができる。
粘着層表面の表面粗さ(S5p)を上記範囲に調整するには、例えば、ポリエステルフィルムに配合する粒子の平均粒径を調整したり、粘着層の厚みを調整したりすることによって調整することができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
(厚み)
粘着層の厚み(乾燥後)は100nm以上9000nm以下であるのが好ましく、中でも120nm以上或いは6,000nm以下、その中でも150nm以上或いは2,000nm以下であるのがさらに好ましい。
粘着層の厚みを上記範囲にすることで、例えば、薄肉のガラス板、モスアイ構造を有するプリズムシートなどの保護フィルムとして使用する場合に、これら被着体に関して、外部からの応力に対して、破損する懸念がある部材の表面保護用として好適である。また、これら被着体からの保護フィルムの剥離は滑らかに行われ、被着体の変形や破損を防ぐことができる点で好ましい。
粘着層の厚み(乾燥後)は、粘着層表面の表面粗さ(S5p)に対して0.1~1,000であるのが好ましい。
本積層フィルムは、粘着層の厚みが極めて小さくて、且つ、粘着層の表面が適度に粗いため、粘着層表面の表面粗さ(S5p)に対する粘着層の厚みの比は、本積層フィルムの特徴を効果的に表すことができる。
かかる観点から、粘着層の厚み(乾燥後)は、粘着層表面の表面粗さ(S5p)に対して0.1~1,000であるのが好ましく、中でも0.2以上或いは500以下、その中でも0.3以上或いは350以下、その中でも0.5以上或いは300以下であるのがさらに好ましい。
また、上記ポリエステルフィルムが粒子を含有する場合、粘着層の厚み(乾燥後)は、ポリエステルフィルム中の粒子の平均粒径に対して0.03(150/5,000)以上200(2,000/10)以下であるのが好ましい。
前述したように、ポリエステルフィルム中に粒子を配合することにより、粘着層表面の粗さを調整することができるため、ポリエステルフィルム中の粒子の平均粒径に対する粘着層の厚みの比は、本積層フィルムの特徴を効果的に表すことができる。
かかる観点から、粘着層の厚み(乾燥後)は、ポリエステルフィルム中の粒子の平均粒径に対して0.03以上200以下であるのが好ましく、中でも0.05以上或いは150以下、その中でも0.08以上或いは100以下であるのがさらに好ましい。
(積層方法)
粘着層を設ける方法としては、例えばリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を採用することができる。
ポリエステルフィルム上に粘着層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては特に限定されるわけではない。例えばオフラインコーティングにより粘着層を設ける場合、通常、80~180℃で3~40秒間、好ましくは100~160℃で3~40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
一方、インラインコーティングにより粘着層を設ける場合、通常、70~280℃で3~200秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本積層フィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
<帯電防止層>
上記の帯電防止層は、主として帯電防止性能を付与し、剥離帯電や摩擦帯電による周囲のゴミ等の付着を軽減させるために設けることができる。但し、帯電防止層は必ず設ける必要はない。
帯電防止層は、インラインコーティングにより設けられたものでも、オフラインコーティングにより設けられたものでもよい。製造コストやインラインの熱処理による帯電防止性能の安定化の観点から、インラインコーティングを採用するのが好ましい。
(帯電防止剤)
帯電防止層に含有する帯電防止剤としては、特に制限はなく、従来公知の帯電防止剤を使用することが可能である。中でも、耐熱性、耐湿熱性が良好であることから、高分子タイプの帯電防止剤であることが好ましい。高分子タイプの帯電防止剤としては、例えば、アンモニウム基を有する化合物、ポリエーテル化合物、スルホン酸基を有する化合物、ベタイン化合物、導電ポリマー等を挙げることができる。
(離型剤)
帯電防止層には、表面の汚染除去性、粘着層とのブロッキング軽減、耐擦傷性向上等のために、離型剤を含有させることも可能である。
離型剤としては、従来公知の材料を使用することが可能であり、例えば、長鎖アルキル基含有化合物、フッ素化合物、シリコーン化合物、ワックス等を挙げることができる。
帯電防止層には、塗布外観や透明性の向上、滑り性のコントロールために、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の各種のポリマーや、粘着層の形成に使用されうる架橋剤を含有させることも可能である。特に帯電防止層の耐久性向上の観点より、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物などの架橋剤を含有させることが好ましく、その中でも特にメラミン化合物が好ましい。
本発明の主旨を損なわない範囲において、帯電防止層の形成にも、ブロッキング性改良、或いは滑り性改良のために粒子を併用することも可能である。
さらに帯電防止層には、必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等を含有させることも可能である。
帯電防止層中の帯電防止剤の含有割合は、帯電防止効果を得るための観点から、0.5質量%以上であるのが好ましく、中でも3質量%以上或いは90質量%以下、その中でも5質量%以上或いは70質量%以下、その中でも8質量%以上或いは60質量%以下の範囲であるがさらに好ましい。
帯電防止層中の架橋剤の割合は、80質量%以下であるのが好ましく、中でも5質量%以上或いは60質量%以下、その中でも10質量%以上或いは50質量%以下の範囲であるのがさらに好ましい。
帯電防止層の形成に関して、上述の一連の化合物を溶液または溶媒の分散体として、固形分濃度が0.1~80質量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にてポリエステルフィルムを製造することが好ましい。特にインラインコーティングによって粘着層を設けるので、水溶液または水分散体であることがより好ましい。水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。また、有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
帯電防止層の厚み(乾燥後)は、0.001~1μmであるのが好ましく、中でも0.01μm以上或いは0.5μm以下、その中でも0.02μm以上或いは0.2μm以下であるのがさらに好ましい。帯電防止層の膜厚を上記範囲で使用することにより、帯電防止性の向上、良好な塗布外観を確保することが可能となる。
帯電防止層を形成する方法としては、例えばグラビアコート、リバースロールコート、ダイコート、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、カーテンコート、ナイフコート、トランスファロールコート、スクイズコート、含浸コート、キスコート、スプレーコート、カレンダコート、押出コート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
帯電防止層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては、特に限定されるわけではない。塗布液に使用している水等の溶媒の乾燥に関しては、好ましくは70~150℃、より好ましくは80~130℃、さらに好ましくは90~120℃の範囲である。乾燥の時間としては、目安として3~200秒、好ましくは5~120秒の範囲である。また、粘着層や帯電防止層の強度を向上させるため、フィルム製造工程において、好ましくは180~270℃、より好ましくは200~250℃、さらに好ましくは210~240℃の範囲の熱処理工程を経ることである。当該熱処理工程の時間としては、目安として3~200秒、好ましくは5~120秒の範囲である。
また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本積層フィルムを構成するポリエステルフィルムには、あらかじめコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
帯電防止層の表面抵抗値としては、好ましくは1×1012Ω以下であるのが好ましく、中でも1×1011Ω以下、その中でも5×1010Ω以下であるのがさらに好ましい。上記範囲内の場合、周囲のゴミ等の付着が少ないフィルムとすることができる。
<本積層フィルムの物性>
(剥離力)
本積層フィルムの粘着層の剥離力(Y1)としては、被着体に対して、10mN/cm以上であるのが好ましく、中でも20mN/cm以上或いは600mN/cm以下、その中でも40mN/cm以上或いは300mN/cm以下、さらには40mN/cm以上或いは100mN/cm以下であるのが特に好ましい。
本積層フィルムの粘着層の剥離力(Y1)が上記範囲であれば、例えば加工運搬時に本積層フィルムが被着体から浮き上がることなく、被着体の表面汚染や損傷等から保護することができるので好ましい。
なお、本積層フィルムの粘着層の剥離力(Y1)は、JIS K 6854-2に準じて、引張速度0.3m/minで測定した180°剥離力である。
本積層フィルムの粘着層の剥離力(Y1)は、粘着層表面の表面粗さ(S5p)、粘着層の硬さ、および粘着層の粘性挙動を調整することにより調整することができる。
本積層フィルムの粘着層の剥離力(Y2)としては、被着体に対して、5mN/cm以上であるのが好ましく、中でも10mN/cm以上或いは500mN/cm以下、その中でも20mN/cm以上或いは300mN/cm以下、さらには20mN/cm以上或いは100mN/cm以下であるのが特に好ましい。
本積層フィルムの粘着層の剥離力(Y2)が上記範囲であれば、例えば剥離装置により高速で剥離する場合にも、本積層フィルムでは被着体からの剥離はスムーズに行われて、被着体の変形や損傷等を防ぐことができるので好ましい。
なお、本積層フィルムの粘着層の剥離力(Y2)は、JIS K 6854-2に準じて、引張速度30m/minで測定した180°剥離力である。
本積層フィルムの粘着層の剥離力(Y2)は、粘着層表面の表面粗さ、粘着層の硬さ、および、粘着層の粘性挙動を調整することにより調整することができる。
(粘着層の粘性挙動;対数減衰率)
本積層フィルムの粘着層表面において、剛体振り子型物性試験器により測定した、30℃における対数減衰率は0.01以上0.1以下の範囲であることが好ましく、中でも0.02以上或いは0.08以下、その中でも0.03以上或いは0.05以下の範囲であるのがさらに好ましい。
上記の対数減衰率は、粘着層にせん断を与えたときの粘性挙動を表し、この数値が大きいほど、粘着層の粘性は大きいことを示唆する。従って、対数減衰率が上記範囲内にあれば、粘着層の粘性が適度に調整されて、例えば初期にはリワークが可能で、また加工運搬時に本積層フィルムが被着体から浮き上がることがない適度な接着力が確保されるので好ましい。また、例えば剥離装置により高速で剥離する場合にも、被着体からの本積層フィルムの剥離がスムーズに行われて、被着体の変形や損傷等を防ぐことができるので好ましい。
本積層フィルムの粘着層表面における対数減衰率は、粘着層の厚み及び硬さを調整することにより、上記範囲に調整することができる。
上記のとおり、本積層フィルムは上記対数減衰率の範囲を満足することにより、例えば、製造工程中の製品搬送工程などのように、本来剥離する必要のない場合には、被着体にしっかりと接着している一方、剥離装置を用いて、製品から表面保護フィルムを自動で剥離する場面ではスムーズに剥離することができる。さらに、表面保護フィルム剥離時に発生する応力の強さによっては破損の懸念がある被着体、例えば、薄膜のガラス板、モスアイ構造を有するプリズムシートなどのような薄膜の光学部材の表面保護に用いる場合であっても、スムーズに剥離可能な積層フィルムを提供することが可能である。
(対数減衰率比)
対数減衰率が上記範囲であり、かつ、同じく本積層フィルムの粘着層表面において、剛体振り子型物性試験器により測定した、30℃における対数減衰率比が0.10以上1.40以下の範囲であることが好ましく、中でも0.30以上或いは1.00以下、その中でも0.40以上或いは0.80以下の範囲であることがさらに好ましい。
上記の対数減衰率比は、粘着層にせん断を与え続けた時の粘性挙動の変化を表すもので、この数値が小さくなるほど、せん断とともに粘着層が硬くなっていくことを示唆するものである。従って、対数減衰率比が上記範囲内にあれば、例えば剥離装置により高速で剥離する場合にも、被着体からの本積層フィルムの剥離を、よりスムーズに行うことが可能になり、被着体の変形や損傷等を防ぐことができるので好ましい。
本積層フィルムの粘着層表面における対数減衰率比は、粘着層の厚み及び硬さを調整することにより、上記範囲に調整することができる。但し、これらの手段に限定するものではない。
<語句の説明>
本明細書において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの極限粘度(dl/g)
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製「SA-CP3型」)を使用して測定した等価球形分布における積算(質量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)表面粗さ(S5p)
下記測定装置を用いて、実施例・比較例で得られた積層フィルム(サンプル)の粘着層表面及びポリエステルフィルム表面の観察測定、解析を行い、表面粗さ(S5p;ISO25178「5点山領域高さ」)を求めた。また、粘着層表面の任意の3箇所について観察測定を行い、そのn=3の平均値を、表面粗さ(S5p)とした。
*装置:非接触表面形状計測システムバートスキャン2.0
R5300H型(菱化システム社製)
*観察測定条件
測定用CCDカメラ:1/3インチ
対物レンズ:×10
観察面積:469×351μm
視野サイズ:640×480pixels
測定モード:waveモード
測定波長:530nm
スキャンレンジ:±5μm
*解析条件
使用ソフト:VS-Viewer(最新バージョン)
補間条件:完全補間
面補正条件:4次多項式近似
(4)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)
GPC(東ソー株式会社製 HLC-8320GPC)を用いて重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。この際、各平均分子量はポリスチレン換算で算出した。
(5)粘着層、帯電防止層の塗膜厚み
粘着層の表面をRuOで染色し、エポキシ樹脂中に包埋した。その後、超薄切片法により作成した切片をRuOで染色し、粘着層断面をTEMを用いて測定した。
但し、粘着層の塗膜厚みが概ね3,000nm以上の場合は、粘着層断面をSEMを用いて測定した。その場合は、粘着層の表面を白金・パラジウムで蒸着処理し、エポキシ樹脂に包埋した後、その粘着層断面を観察用に調整したものを測定に用いた。
なお、膜厚は粒子の部分を含まない箇所で測定した。
(6)粘着層の貯蔵弾性率(25℃)
実施例および比較例で得られた積層フィルム(サンプル)の粘着層を形成する各粘着剤について、下記の装置を用いてJIS K 7244-10にしたがって動的粘弾性測定を行い、25℃におけるせん断貯蔵弾性率を読み取って、各粘着層の貯蔵弾性率とした。
測定装置:MARSII(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
測定法:せん断法
測定治具:φ20パラレルプレート
歪み:0.1%
温度範囲:-50℃~200℃
昇温速度:3℃/min
周波数:1Hz
なお、各粘着剤で、厚み約0.2mmのシートを形成させて、これを8枚重ねて圧着させて、厚み約1.6mmのシート状にしたものを、測定用サンプルに用いた。
また、各粘着剤で厚み約0.2mmのシートを形成させる際の乾燥条件、UV硬化条件は下記表4又は5のとおりとした。
また、シートの圧着は1.5kgのゴムローラー(手動式圧着装置)にて五往復させて行った。
(7)粘着層の粘性挙動(対数減衰率)
下記測定装置を用いて、実施例・比較例で得た積層フィルム(サンプル)の粘着層面における、対数減衰率および対数減衰率比を求めた。
ここで、「対数減衰率」は測定開始から7~9分までの平均値と定義した。
また、対数減衰率比は下記の式(III)により求めた。
対数減衰率比=(測定開始から7~9分までの平均値)/(測定開始から0~20秒までの平均値)・・式(III)
なお、実施例・比較例で得た積層フィルム(サンプル)について2回ずつ測定を行い、そのn=2の平均値を、粘着層の対数減衰率および対数減衰率比とした。
対数減衰率は、粘性要素に対する弾性要素の比率を表し、この数値が小さくなるほど、粘着層が硬いことを示唆するものである。
また、対数減衰率比も数値が小さくなるほど、せん断とともに粘着層が硬くなっていく性質を示唆するものである。
*装置:剛体振り子型物性試験器 RPT-3000W(エー・アンド・ディ社製)
*測定条件
測定用振り子:FRB-200
測定用エッジ:RBP-040
測定温度:30℃
測定時間:10分
測定間隔(データ取込み間隔):10秒
(判定基準)
○:30℃における対数減衰率が0.01以上0.10以下である。
×:30℃における対数減衰率が0.01未満あるいは0.10を超える。
(8)剥離力(Y1、Y2)評価
厚み1mmのアクリル板(クラレ社「コモグラス」)を被着体として、その表面に5cm幅の実施例・比較例で得た積層フィルム(サンプル)の粘着層面を5cm幅の2kgゴムローラー(手動式圧着装置)にて二往復圧着し、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。
剥離力(Y1)は、テスター産業製 高速剥離試験装置を使用し、JIS K 6854-2に準じて、引張速度0.3m/minの条件下、180°剥離を行った。
剥離力(Y2)は、テスター産業製 高速剥離試験装置を使用し、JIS K 6854-2に準じて、引張速度30m/minの条件下、180°剥離を行った。
(9)帯電防止層表面の表面抵抗
下記(9-1)の方法に基づき、帯電防止層の表面抵抗(Ω)を測定した。(9-1)の方法では、1×10Ωより低い表面抵抗率は十分に測定できないため、(9-1)で測定できなかったサンプルについては(9-2)の方法を用いた。
(9-1)日本ヒューレット・パッカード株式会社製高抵抗測定器:HP4339Bおよび測定電極:HP16008Bを使用し、23℃、50%RHの測定雰囲気下でポリエステルフィルムを十分調湿後、印可電圧100Vで1分後の帯電防止層の表面抵抗(Ω)を測定した。
(9-2)三菱化学株式会社製低抵抗計:ロレスタGP MCP-T600を使用し、23℃、50%RHの測定雰囲気でサンプルを30分間調湿後、帯電防止層の表面抵抗(Ω)を測定した。
(10)剥離性評価(実用特性代用評価)
厚み0.7mmの無アルカリガラス(アズワン社「EAGLEXG」;100×100mmサイズ)を被着体として、その表面に5cm幅短冊状の実施例・比較例で得た積層フィルム(サンプル)の粘着層面を貼り合わせ、手で積層フィルムを剥離した時の被着体の反り変形量を測定すると共に、剥離した時の剥離状況を観察した。
この際、上記貼り合わせは、ガラス表面に、各積層フィルムの粘着層面を合せて、その上から5cm幅の2kgゴムローラ(手動式圧着装置)を二往復圧着して行った。
また、被着体の反り変形量は、定盤に静置した被着体において、1辺10mm巾の部分を定盤に固定し、その辺と対向する側から本積層フィルムを剥がし始めたときの、固定辺と対向する側の辺が定盤から浮いた高さを測定して求めた。
剥離した時の剥離状況を、下記判定基準により判定を行った。ここで、△以上が実用レベル以上である。
(判定基準)
○:勢いよく剥がしても、剥離抵抗感が無く、スムーズに剥離が可能であった。
△:勢いよく剥がすと、剥離時の剥離抵抗感を感じた。
反り変形量は、2mm以下で、被着体の破損の虞はなかった。
×:勢いよく剥がすことは、剥離時の剥離抵抗感が重く困難であった。
また、反り変形量が5mm以上で、被着体の破損の虞があり、剥がす際にはジッピングが起こることがあった。
(11)総合評価
実施例および比較例で得られた、各積層フィルムについて、下記判定基準により、判定を行った。
(判定基準)
○:粘着層の粘性挙動、帯電防止性、剥離性について、すべての項目が○。
△:粘着層の粘性挙動、帯電防止性、剥離性の各項目について、少なくとも一つが△。 ×:粘着層の粘性挙動、帯電防止性。剥離性の各項目について、少なくとも一つが×。
<各種材料>
実施例および比較例において使用した各種材料は、以下のようにして準備したものである。
(ポリエステル(A)の製造方法)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール60質量部、エチルアシッドフォスフェートを生成ポリエステルに対して30ppm、触媒として酢酸マグネシウム・四水和物を生成ポリエステルに対して100ppmを窒素雰囲気下、260℃でエステル化反応をさせた。引き続いて、テトラブチルチタネートを生成ポリエステルに対して50ppm添加し、2時間30分かけて280℃まで昇温すると共に、絶対圧力0.3kPaまで減圧し、さらに80分、溶融重縮合させ、極限粘度0.63dl/g、ジエチレングリコール量が2モル%のポリエステル(A)を得た。
(ポリエステル(B)の製造方法)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール60質量部、触媒として酢酸マグネシウム・四水和物を生成ポリエステルに対して900ppmを窒素雰囲気下、225℃でエステル化反応をさせた。引き続いて、正リン酸を生成ポリエステルに対して3500ppm、二酸化ゲルマニウムを生成ポリエステルに対して70ppm添加し、2時間30分かけて280℃まで昇温すると共に、絶対圧力0.4kPaまで減圧し、さらに85分、溶融重縮合させ、極限粘度0.64dl/g、ジエチレングリコール量が2モル%のポリエステル(B)を得た。
(ポリエステル(C)の製造方法)
ポリエステル(A)の製造方法において、溶融重合前に、球状で平均粒径2.7μmのシリカ粒子を0.3質量部添加した以外はポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(C)を得た。
(ポリエステル(D)の製造方法)
ポリエステル(A)の製造方法において、溶融重合前に、球状で平均粒径3.2μmのシリカ粒子を0.6質量部添加した以外はポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(D)を得た。
(帯電防止層を構成する組成物:塗布液1)
帯電防止層を構成する組成物の原料は以下のとおりであり、帯電防止層を形成するための塗布液1の配合を下記表1に示した。
・ポリエステル樹脂(B1)
下記組成からなるポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5-ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4-ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(mol%)
・メラミン化合物(C1):ヘキサメトキシメチロールメラミン
・粒子(D1):球状で平均粒径0.07μmのシリカ粒子
・帯電防止剤(E1)(アンモニウム基を有する化合物)
下記式(2)の構成単位からなる、対イオンがメタンスルホン酸イオンである数平均分子量50000の高分子化合物。
Figure 0007130967000001
Figure 0007130967000002
(粘着層組成物(A)の製造方法)
アクリル酸エステル共重合体(酢酸ビニル(酢ビ):2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)=25質量%:75質量%、Mw=6.2×10、Mn=2.0×10)100質量部、及びトルエン3233質量部を、固型分濃度3質量%に調整して粘着層組成物(A)を作製した。
(粘着層組成物(B)の製造方法)
アクリル酸エステル共重合体(酢酸ビニル(酢ビ):2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)=25質量%:75質量%、Mw=6.2×10、Mn=2.0×10)100質量部、光重合開始剤としての1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(BASF社製、商品名「Irgacure184」)5質量部及びトルエン420質量部~3233質量部を、固型分濃度3~20質量%に調整して粘着層組成物(B)を作製した。
(粘着層組成物(C)の製造方法)
アクリル酸エステルトリブロック共重合体(メチル(メタ)アクリレート(MMA):n-ブチルアクリレート(BA)=40質量%:60質量%、Mw=5.2×10、Mn=4.8×10)100質量部、酢酸エチル1940質量部及びトルエン1293質量部を、固型分濃度3質量%に調整して粘着層組成物(C)を作製した。
(粘着層組成物(D)の製造方法)
アクリル酸エステルトリブロック共重合体(メチル(メタ)アクリレート(MMA):n-ブチルアクリレート(BA)=40質量%:60質量%、Mw=5.2×10、Mn=4.8×10)100質量部、光重合開始剤としての1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(BASF社製、商品名「Irgacure184」)0.5質量部及び酢酸エチル3233質量部を、固型分濃度3質量%に調整して粘着層組成物(D)を作製した。
(粘着層組成物(E)の製造方法)
アクリル酸エステル共重合体(2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA):4-ヒドロキシブチルアクリレート(4ヒドロキシBA)=95質量%:5質量%、Mw=1.2×10、Mn=5.4×10)100質量部、ポリイソシアネート4部及び酢酸エチル3233質量部を、固型分濃度3質量%に調整して粘着層組成物(E)を作製した。
<実施例1>
ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ80質量部、3質量部、17質量部の割合で混合した混合原料を基材最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ97質量部、3質量部の割合で混合した混合原料を基材中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層=3:19:3の吐出量)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。
次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸して縦延伸フィルムとした後、この縦延伸フィルムの片面に、上記表1に示す塗布液1を膜厚(乾燥後)が0.06μmになるように塗布し(帯電防止層)、テンターに導き、95℃で10秒間乾燥させた後、横方向に120℃で4.3倍延伸し、230℃で10秒間熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、厚み25μm、フィルム(基材)表面の表面粗さ(S5p)が51nmのポリエステルフィルム(基材)を得た。
得られたポリエステルフィルムの上記帯電防止層とは反対側の片面に、表2のバーコータを用いて、上記粘着層組成物(A)を厚み(乾燥後)が150nmになるように塗布し、100℃、1分間の熱処理した後、帯電防止層/ポリエステルフィルム(基材)/粘着層からなる積層フィルム(サンプル)を得た。当該積層フィルム(サンプル)は離型フィルムを積層していない。
<実施例2>
実施例1において、上記粘着層組成物(A)の代わりに粘着層組成物(B)を用いて厚み(乾燥後)が170nmになるように塗布し、100℃、1分間の熱処理した後、さらに、窒素置換した雰囲気において高圧水銀灯UV光で積算光量が200mJ/cmとなるように照射処理した以外は実施例1と同様にして製造し、積層フィルム(サンプル)を得た。
<実施例3~実施例8>
実施例1において、基材最外層、基材中間層及び粘着層の組成、並びに、製造条件(バーコータの種類による粘着層の厚み及びUV硬化の有無)を、表2又は3の通りに変更した以外は実施例1または2と同様にして製造し、積層フィルム(サンプル)を得た。
なお、粘着層厚みは、用いるバーコータを変えて調整した。
<比較例1~比較例3>
実施例2において、表2に示したバーコータを用いて粘着層厚みを表3の通りに変更した以外は実施例2と同様にして製造し、積層フィルム(サンプル)を得た。
上記実施例および比較例で得られた各積層フィルム(サンプル)の特性を下記表4~表5に示す。
Figure 0007130967000003
Figure 0007130967000004
Figure 0007130967000005
Figure 0007130967000006
上記実施例及びこれまで発明者が行ってきた各種試験の結果から、ポリエステルフィルムの片面に粘着層が積層された積層フィルムに関して、粘着層の厚みが100nm以上9000nm以下であり、且つ、粘着層表面の表面粗さ(S5p)が10nm以上1,000nm以下であり、且つ、粘着層表面における対数減衰率(30℃)が0.01以上0.10以下の範囲であれば、剥離装置などで一気に剥離する際や捲回状態から巻き戻す際など、必要がある時には、破損することなく円滑に剥離することができる一方、製品を搬送する際など、剥離する力が低速で掛るような場合には、被着体から剥離せず接着していることができることが分かった。
上記実施例及びこれまで発明者が行ってきた各種試験の結果から、粘着層を設ける際の下地であるポリエステルフィルム表面の粒子の硬さと、粘着層の硬さとの相乗効果によって、上記実施例の効果を得ることができるものと考えることができる。しかし、粘着層の厚みが大き過ぎると、粘着層の厚みで、前記粒子の硬さが吸収されてしまい、その影響が薄れると考えることができる。このような点と、上記実施例及びこれまで発明者が行ってきた各種試験結果とを考慮すると、粘着層の厚みが100nm以上9000nm以下であれば、上記実施例と同様の効果を得ることができると、考えることができる。
また、上記実施例及び比較例では、粒子の平均粒径としてd50を用いているが、これまでの試験結果から、前述したように、SEM観察により複数粒子の直径を測定し、その平均値を用いても同様である。
本発明の積層フィルムによれば、各種被着体の表面保護用として、例えば、本来剥離する必要のない製造工程中の製品搬送工程ではしっかりと接着しており、一方、剥離装置を用いて、製品から表面保護フィルムを自動で剥離する場合にはスムーズに剥離し、従来は両立が困難であった両者の特性を同時に満足することにより、良好な粘着特性を有する。 また、表面保護フィルム剥離時に発生する応力の強さによっては破損の懸念がある被着体、例えば、薄膜の光学部材(薄膜のガラス板、モスアイ構造を有するプリズムシートなど)の表面保護においても、スムーズに剥離可能な積層フィルムを提供可能である。さらにその用途展開として、ガラス、金属、樹脂板などの各種被着体の表面保護用としても好適であり、その工業的価値は高い。

Claims (7)

  1. ポリエステルフィルムの片面に、アクリル系ジブロック共重合体又はアクリル系トリブロック共重合体を含む粘着層が積層された積層フィルムであり、
    粘着層の厚みが150nm以上9000nm以下であり、且つ、粘着層表面の表面粗さ(S5p)が10nm以上1,000nm以下であり、粘着層の厚み(乾燥後)が、粘着層表面の表面粗さ(S5p)に対して0.1~9であり、
    粘着層表面における、剛体振り子型物性試験器により測定した30℃における対数減衰率が0.01以上0.10以下の範囲であり、
    前記ポリエステルフィルムは、平均粒径が0.1~4μmのシリカ粒子を含有する最外層を備えており、
    JIS K 6854-2に準じて引張速度0.3m/minで測定される180°剥離力としての粘着層の剥離力(Y1)が、被着体に対して、20mN/cm以上100mN/cm以下である、積層フィルム。
  2. 前記粘着層が積層された面とは反対側の前記ポリエステルフィルムの片面に帯電防止層が積層された構成を備えた請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 離型フィルムを積層しない構成からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 粘着層の貯蔵弾性率(25℃)で示される硬さが1×10Pa以上1×10Pa以下である、請求項1~3の何れかに記載の積層フィルム。
  5. 粘着層の厚み(乾燥後)が、ポリエステルフィルム中の粒子の平均粒径に対して0.03以上200以下である、請求項1~4の何れかに記載の積層フィルム。
  6. ポリエステルフィルムの片面に、下記一般式(1)で表されるアクリル系ジブロック共重合体又は下記一般式(II)で表されるアクリル系トリブロック共重合体を含む粘着層が積層された積層フィルムであり、
    粘着層の厚みが150nm以上9000nm以下であり、且つ、粘着層表面の表面粗さ(S5p)が10nm以上1,000nm以下であり、粘着層の厚み(乾燥後)が、粘着層表面の表面粗さ(S5p)に対して0.1~9であり、
    粘着層表面における、剛体振り子型物性試験器により測定した30℃における対数減衰率が0.01以上0.10以下の範囲であり、
    前記ポリエステルフィルムは、平均粒径が0.1~4μmのシリカ粒子を含有する最外層を備えており、
    JIS K 6854-2に準じて引張速度0.3m/minで測定される180°剥離力としての粘着層の剥離力(Y1)が、被着体に対して、20mN/cm以上100mN/cm以下である、積層フィルム。
    一般式(I):A-B
    (式中、Aはメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Bはアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。)
    一般式(II);C1-D-C2
    (式中、C1およびC2はそれぞれ独立してメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Dはアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。なお、重合体ブロックC1および重合体ブロックC2は、重量平均分子量、各重合体ブロックを形成するメタクリル酸アルキルエステルの組成が同一でも、異なっていてもよい。)
  7. JIS K 6854-2に準じて引張速度30m/minで測定される180°剥離力としての粘着層の剥離力(Y2)が、被着体に対して、10mN/cm以上或いは500mN/cm以下である、請求項1~6の何れかに記載の積層フィルム。
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