JP3665517B2 - チップ型可変抵抗器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、音響機器等に使用して好適なチップ型可変抵抗器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のチップ型可変抵抗器の一形態として本願出願人が特願平11−104192号(出願中)で提案したものを図8〜図12に基づいて説明すると、図8〜図12は何れも従来のチップ型可変抵抗器を示し、図8は分解斜視図、図9は断面図、図10は要部の拡大斜視図、図11は要部の拡大断面図、図12はチップ型可変抵抗器のプリント基板への取付状態を示す断面図である。
【0003】
図8〜図12に示すように、絶縁基板31は、セラミック材から成り、略矩形に焼成加工され、約2mm角と極めて小型の大きさで構成され、上面31aから下面31bに貫通する中心部に設けられた円形の貫通孔31cと、貫通孔31cを囲むように上面31aに設けられたへこみ部31dと、側面31eから突出する一対の突部31fとを有している。
【0004】
抵抗体32は、例えば、サーメット系のペーストなどから成り、絶縁基板31の上面31aのへこみ部31dの周囲に略円弧状に印刷等によって形成されている。
一対の電極33は、例えば、銀とガラスフリットから成り、略矩形で、絶縁基板31の上面31aの突部31f上にわたって設けられ、抵抗体32の両端部にそれぞれ接続され、一対が印刷等によって形成されている。
【0005】
また、端子34は、金属板からなり、略矩形の底板34aと、底板34aと直交し、隣り合う2つの側縁からそれぞれ上方に折り曲げられた一対の脚部34bとを有する。
【0006】
そして、端子34は、底板34aが絶縁基板31の下面31bに当接され、脚部34bが絶縁基板31の角部に直交して、隣り合う2つの側面31eに沿って配置され、更に、脚部34bの先端部が、絶縁基板31の上面31a側に折り曲げられて、端子34が絶縁基板31に取り付けられている。
そして、電極33と端子34とを半田35付けして、互いに接続、固定している。
【0007】
また、中間端子36は、略長方形の底板36aと、底板36aの一方の端部に上方に切り起こされた折り曲げ部36bと、底板36aの中間部に上方に絞り加工にて設けられた円筒状の鳩目部36cとを有する。
また、中間端子36は、底板36aが絶縁基板31の下面31bに当接し、鳩目部36cが絶縁基板31の貫通孔31cに挿通され、折り曲げ部36bが絶縁基板31の側面31eに設けられた切り欠き部に沿って上面31a方向に延びた状態で配置されている。
【0008】
摺動子37は、金属板から成り、円板状部に絞り加工にて形成され、孔37aを設けた底壁部37bを有するお椀状の筒状部37cと、筒状部37cの上端の一部から折り曲げられて、筒状部37cの上方に配置された十字状のドライバー溝37dを有する操作部37eと、筒状部37cの外周から下方に延設された略U字状の摺動部37fとを有している。
【0009】
この摺動子37の筒状部37cは、図11に示すように、絶縁基板31のへこみ部31d内に配置されると共に、中間端子36の鳩目部36cが、絶縁基板31の貫通孔31cに挿通された状態で、鳩目部36cの先端部が摺動子37の孔37aに挿通されて、鳩目部36cの先端部36dがカシメ付けられ、平坦な先端部36dで摺動子37の底壁部37bを絶縁基板31に押し付けて、摺動子37は、絶縁基板31に対して回動可能に保持されている。
この時、中間端子36の底板36aは、絶縁基板31の下面31bに当接すると共に、摺動子37の摺動部37fは、絶縁基板31の上面31aに設けられた抵抗体32に弾接され、摺動子37の回動に対応して、摺動部37fが抵抗体32上を摺動するようになっている。
【0010】
そして、このような構成を有するチップ型可変抵抗器の動作は、ドライバー溝37dに操作具であるドライバー38(図11参照)を挿入して、操作部37eを回転すると、筒状部37cと摺動部37fが同時に回転して、摺動部37fが抵抗体32上を摺動して抵抗値の調整を行うようになっている。
しかし、平坦な先端部36dで摺動子37を取り付けた構成だと、摺動子37と先端部36dの摩擦力が弱く、ドライバー38の回転トルクが小さくなる。
また、このような構成だと、鳩目部36cの孔が小さく、このため、ドライバー38の先端部の挿入が浅くなって、ドライバー38とドライバー溝37dとの係合度合いが小さくなって、ドライバー38の回転時、ドライバー38がドライバー溝37dとの係合が外れて、調整作業に手間がかかるものであった。
【0011】
次に、従来のチップ型可変抵抗器のプリント配線基板への取付方法を図12に基づいて説明すると、プリント配線基板40は、例えば、ガラス入り合成樹脂材料などから成り平板状で、プリント配線基板40の少なくとも一方の面には、所望の導電パターン(図示せず)が形成されている。このプリント配線基板40の導電パターン(図示せず)上に上述のチップ型可変抵抗器を載置する。
この時、所定の導電パターン上にクリーム半田(図示せず)を塗布しておき、このクリーム半田に接続するようにチップ型可変抵抗器の端子34と中間端子36とを載置する。
【0012】
この状態で、チップ型可変抵抗器が載置されたプリント配線基板40をリフロー炉内に搬送して、チップ型可変抵抗器の端子34と中間端子36とプリント配線基板40の導電パターンとを半田41接続する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来のチップ型可変抵抗器は、鳩目部36cをカシメて平坦な先端部36dで、摺動子37を押し付けて取り付けるため、先端部36dと摺動子37との摩擦力が小さく、ドライバー38の回転トルクを大きくできないという問題がある。
また、鳩目部36cの孔が小さく、このため、ドライバー38の先端部の挿入が浅くなって、ドライバー38とドライバー溝37dとの係合度合いが小さくなって、ドライバー38の回転時、ドライバー38がドライバー溝37dとの係合が外れて、調整作業に手間がかかるという問題がある。
そこで、本発明は、ドライバーによる回転トルクが大きく、調整作業が容易なチップ型可変抵抗器を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための第1の解決手段として、中央部に貫通孔を有し、上面に抵抗体を形成した絶縁基板と、前記絶縁基板の上面に配設され、前記抵抗体上を摺動する摺動子と、前記絶縁基板に前記摺動子を回転可能に取り付ける鳩目部とを備え、前記摺動子は、略お椀状をなし、孔を設けた底壁部を有する筒状部と、ドライバー溝を備えた操作部とを有し、前記鳩目部には、その先端部に広がった傾斜状部が設けられており、前記摺動子は、前記鳩目部より硬い金属材で形成され、前記底壁部の前記孔には、前記鳩目部が挿入され、前記鳩目部の前記傾斜状部の外周面に前記底壁部の前記孔のエッジ部を食い込ませて、前記摺動子を回転可能に取り付けた構成とした。
【0015】
また、第2の解決手段として、前記傾斜状部の根本部が前記底壁部の前記絶縁基板への当接位置よりも前記絶縁基板の下面側に位置した構成とした。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のチップ型可変抵抗器を図1〜図7に基づいて説明する。
【0017】
図1〜図7は何れも本発明のチップ型可変抵抗器を示し、図1は斜視図、図2は平面図、図3は側面図、図4は下面図、図5は図2の5−5線における断面図、図6は要部の拡大断面図、図7はチップ型可変抵抗器のプリント基板への取付状態を示す断面図である。
【0018】
図1〜図7に示すように、絶縁基板1は、セラミック材から成り、略矩形に焼成加工され、約2mm角と極めて小型の大きさで構成され、上面1aから下面1bに貫通する中心部に設けられた円形の貫通孔1cと、側面1eから突出する一対の突部1fと、突部1fの下面に設けられた凹部1gと、貫通孔1cの位置を含んで下面1bに設けられた矩形状の凹部1hとを有している。
【0019】
抵抗体2は、例えば、サーメット系のペーストなどから成り、絶縁基板1の上面1aの貫通孔1cの周囲に略円弧状に印刷等によって形成されている。
一対の電極3は、例えば、銀とガラスフリットから成り、略矩形で、従来と同様に、絶縁基板1の上面1aの突部1f上にわたって設けられ、抵抗体2の両端部にそれぞれ接続され、一対が印刷等によって形成されている。
【0020】
また、端子4は、金属板からなり、略矩形の底板4aと、底板4aと直交し、隣り合う2つの側縁からそれぞれ上方に折り曲げられた一対の脚部4bとを有する。
【0021】
そして、端子4は、底板4aが絶縁基板1の凹部1gの下面1bに当接され、脚部4bが絶縁基板1の角部に直交して、隣り合う2つの側面1eに沿って配置され、更に、脚部4bの先端部が、絶縁基板1の上面1a側に折り曲げられて、端子4が絶縁基板1に取り付けられている。
そして、電極3と端子4とを半田5付けして、互いに接続、固定している。
【0022】
また、中間端子6は、比較的柔らかい鋼等の金属板からなり、たたき加工によって形成された薄肉部からなる略矩形のフランジ部6aと、このフランジ部6aに繋がって延出され、フランジ部6aよりも肉厚の接続部6bと、この接続部6bの一端から上方に切り起こされた折り曲げ部6cと、フランジ部6aの中間部に上方に絞り加工にて設けられた円筒状の鳩目部6dとを有する。
また、中間端子6は、フランジ部6aと接続部6bが絶縁基板1の下面1bの凹部1h内に位置して、下面1bに当接し、鳩目部6dが絶縁基板1の貫通孔1cに挿通され、折り曲げ部6cが絶縁基板1の側面1eに設けられた切り欠き部に沿って上面1a方向に延びた状態で配置されている。
【0023】
摺動子7は、中間端子6より硬いステンレス等の金属板から成り、円板状部に絞り加工にて形成され、孔7aを設けた底壁部7bを有するお椀状の筒状部7cと、筒状部7cの上端の一部から折り曲げられて、筒状部7cの上方に配置された十字状のドライバー溝7dを有する操作部7eと、筒状部7cの外周から下方に延設された略U字状の摺動部7fとを有している。
【0024】
この摺動子7の筒状部7cは、絶縁基板1の上面1aに配置されると共に、中間端子6の鳩目部6dが、絶縁基板1の貫通孔1cに挿通された状態で、鳩目部6dの先端部が摺動子7の孔7aに挿通されて、鳩目部6cの先端部を押し広げて傾斜状部6eを設ける。
すると、摺動子7より軟らかい材料からなる傾斜状部6eの外周面には、底壁部7bの孔7aのエッジ部が食い込んで、摺動子7は、絶縁基板1に対して回動可能に保持されている。
【0025】
そして、鳩目部6dの傾斜状部6eによって摺動子7が絶縁基板1に取り付けられた際、図6に示すように、傾斜状部6eの根本部6fは、底壁部7bの絶縁基板1への当接位置よりも、絶縁基板1の下面1b側に位置させて、鳩目部6dの孔6gの上方部を大きく、且つ深くすると共に、鳩目部6dの軸方向における操作部7eの上面と傾斜状部6eの頂部6hとの間の長さL1よりも、軸方向と直交する方向におけるドライバー溝7dの最外周部と傾斜状部6eの頂部6hとの間の長さL2を小さくして、ドライバー8のドライバー溝7dに対する係合度合いを良くしたものである。
【0026】
この時、中間端子6のフランジ部6aの薄肉部は、絶縁基板1の凹部1h内に位置して、薄肉部の表面が絶縁基板1の下面1bより凹部1h内側に凹んだ状態となると共に、摺動子7の摺動部7fは、絶縁基板1の上面1aに設けられた抵抗体2に弾接され、摺動子7の回動に対応して、摺動部7fが抵抗体2上を摺動するようになっている。
【0027】
そして、このような構成を有するチップ型可変抵抗器の動作は、ドライバー溝7dに操作具であるドライバー8(図6参照)を挿入して、操作部7eを回転すると、筒状部7cと摺動部7fが同時に回転して、摺動部7fが抵抗体2上を摺動して抵抗値の調整を行うようになっている。
この調整時、傾斜状部6eの外周面には、底壁部7bの孔7aのエッジ部が食い込んでいるため、ドライバー8の回転トルクを大きくできて、その調整が容易となるばかりか、傾斜状部6eの存在によって、鳩目部6dの孔6gの上方部が広く、且つ深くなって、ドライバー8の挿入を深くできて、ドライバー8とドライバー溝7dとの係合度合いを深くできると共に、長さL1を長さL2よりも大きくすることによって、頂部6hに当接することなくドライバー8の挿入を深くできて、ドライバー8とドライバー溝7dとの係合度合いを良好にできる。
【0028】
次に、本発明のチップ型可変抵抗器のプリント配線基板への取付方法を図7に基づいて説明すると、プリント配線基板10は、例えば、ガラス入り合成樹脂材料などから成り平板状で、プリント配線基板10の少なくとも一方の面には、所望の導電パターン(図示せず)が形成されている。このプリント配線基板10の導電パターン(図示せず)上に上述のチップ型可変抵抗器を載置する。
この時、所定の導電パターン上にクリーム半田(図示せず)を塗布しておき、このクリーム半田に接続するようにチップ型可変抵抗器の端子4と中間端子6とを載置する。
【0029】
この状態で、チップ型可変抵抗器が載置されたプリント配線基板10をリフロー炉内に搬送して、チップ型可変抵抗器の端子4と中間端子6とプリント配線基板10の導電パターンとを半田11接続する。
【0030】
なお、上記実施例においては、中間端子6と一体に鳩目部6dを設けたもので説明したが、鳩目部6dを中間端子6と別体に形成したものでも良い。
また、本実施例において、ドライバー溝7dを設けた操作部7eは、筒状部7cと一体の板材を折り曲げて形成したが、筒状部7cに直接ドライバー溝7dを設けて形成しても良い。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明のチップ型可変抵抗器において、摺動子7は、鳩目部6dより硬い金属材で形成され、底壁部7bの孔7aには、鳩目部6dが挿入され、鳩目部6dの外周面に底壁部7bの孔7aのエッジ部を食い込ませて、摺動子7を回転可能に取り付けたため、摺動子7と鳩目部6dとの間の摩擦力を大きくでき、ドライバー8の回転トルクが大きくなって、調整の容易なチップ型可変抵抗器を提供できる。
【0032】
また、鳩目部6dは、その先端部に広がった傾斜状部6eを設け、この傾斜状部6eの外周面に底壁部7bの孔7aのエッジ部を食い込ませたため、鳩目部6dの孔6gの上方部が広く、且つ深くなって、ドライバー8の挿入を深くできて、ドライバー8とドライバー溝7dとの係合度合いを深くできて、調整作業が容易で、確実なチップ型可変抵抗器を提供できる。
【0033】
また、傾斜状部6eの根本部6fが底壁部7bの絶縁基板1への当接位置よりも絶縁基板1の下面1b側に位置したため、ドライバー8の挿入を一層深くできて、一層調整作業が容易で、確実なチップ型可変抵抗器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のチップ型可変抵抗器の斜視図。
【図2】本発明のチップ型可変抵抗器の平面図。
【図3】本発明のチップ型可変抵抗器の側面図。
【図4】本発明のチップ型可変抵抗器の下面図。
【図5】図2の5−5線における断面図。
【図6】本発明のチップ型可変抵抗器の要部の拡大断面図。
【図7】本発明のチップ型可変抵抗器のプリント基板への取付状態を示す断面図。
【図8】従来のチップ型可変抵抗器の分解斜視図。
【図9】従来のチップ型可変抵抗器の要部断面図。
【図10】従来のチップ型可変抵抗器の要部の拡大斜視図。
【図11】従来のチップ型可変抵抗器の要部の拡大断面図。
【図12】従来のチップ型可変抵抗器のプリント基板への取付状態を示す断面図。
【符号の説明】
1 絶縁基板
1a 上面
1b 下面
1c 貫通孔
1e 側面
1f 突部
1g 凹部
1h 凹部
2 抵抗体
3 電極
4 端子
4a 底板
4b 脚部
5 半田
6 中間端子
6a フランジ部
6b 接続部
6c 折り曲げ部
6d 鳩目部
6e 傾斜状部
6f 根本部
6g 孔
6h 頂部
7 摺動子
7a 孔
7b 底壁部
7c 筒状部
7d ドライバー溝
7e 操作部
7f 摺動部
8 ドライバー
10 プリント基板
11 半田
Claims (2)
- 中央部に貫通孔を有し、上面に抵抗体を形成した絶縁基板と、前記絶縁基板の上面に配設され、前記抵抗体上を摺動する摺動子と、前記絶縁基板に前記摺動子を回転可能に取り付ける鳩目部とを備え、前記摺動子は、略お椀状をなし、孔を設けた底壁部を有する筒状部と、ドライバー溝を備えた操作部とを有し、前記鳩目部には、その先端部に広がった傾斜状部が設けられており、前記摺動子は、前記鳩目部より硬い金属材で形成され、前記底壁部の前記孔には、前記鳩目部が挿入され、前記鳩目部の前記傾斜状部の外周面に前記底壁部の前記孔のエッジ部を食い込ませて、前記摺動子を回転可能に取り付けたことを特徴とするチップ型可変抵抗器。
- 前記傾斜状部の根本部が前記底壁部の前記絶縁基板への当接位置よりも前記絶縁基板の下面側に位置したことを特徴とする請求項1記載のチップ型可変抵抗器。
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