JP3664212B2 - 高減衰材料組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高減衰材料組成物に関し、更に詳しくは、音響ルームの遮音壁、建築構造体の遮音間仕切り、車両の防音壁等に適用される振動や騒音を吸収する制振材・防音材としての高減衰材料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の高減衰材料組成物としての高分子系材料は、典型的な粘弾性挙動を呈するものであり、その材料微小部が何等かの原因で振動すると、夫々の材料微小部に、複素正弦歪(ε)が発生し、これにより複素正弦応力(σ)が発生する。複素弾性係数(E)は、次式に示したように、これらの比をとったものである。
複素弾性係数(E)=複素正弦応力(σ)/複素正弦歪(ε
【0003】
この複素弾性係数(E)の実数部は、材料の弾性的な性質に係る貯蔵弾性係数(E’)と定義され、その虚数部は、材料の粘性的な性質に係る損失弾性係数(E”)と定義される。損失正接(tanδ)は、次式に示したように、これらの比をとったものである。
損失正接(tanδ)=損失弾性係数(E”)/貯蔵弾性係数(E’)
【0004】
この損失正接(以下、単に「tanδ」とする。)は、防音・制振特性を決定する因子の一つであり、この値が高いほど力学的エネルギーを電気或いは熱エネルギーとして吸収・放出して、優れた吸音性や制振性等の機械特性を示すことが知られている。従来、高減衰材料組成物のtanδとして求められていた値は、0.5以上である。
【0005】
この従来の要求特性を満たした高減衰材料組成物として、例えば、高分子系複合材料が知られている。この高分子系複合材料はポリマーアロイ或いは高分子網目構造(IPN技術)を有する高分子化合物をベースポリマーとしており、これに充填剤(マイカ等)や可塑剤を添加し、所定の製造工程を経て得られたものである。この場合に、ベースポリマーとしては各種ゴム、高分子樹脂材料の他に、エラストマー樹脂材料等が用いられている。
【0006】
また、他の高減衰材料としては、本出願人により特願平9−362125号に開示されたもので、極性側鎖を有するベースポリマーに、第2級アミン、第3級アミン及び含窒素複素環より選ばれた塩基を1分子中に2個以上含む塩基性物質を配合したものがある。具体的には、ベースポリマーとして塩素化ポリエチレンが、減衰性付与剤としては、N−シクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド等が用いられ、tanδピークが1.0を超えており、一応の成果が得られている。
【0007】
また、更にtanδを高め、経時変化を抑制する手段として、特願平9−362747号及び特願平9−362748号に、極性側鎖を有するベースポリマーに、第2級アミン、第3級アミン及び含窒素複素環より選ばれた塩基を1分子中に2個以上含む塩基性物質のみならず、酸性物質をも配合した材料が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した極性側鎖を有するベースポリマーを用いた高減衰材料組成物は、従来の要求特性(tanδ≧0.5)には応えてはいるものの、それらが使用される環境或いは用途等の要請から、現在では更に高いtanδ(tanδ≧2.0、更に好ましくはtanδ≧2.5)を発現するものが望まれている。
【0009】
そして更に、高減衰材料組成物の要求特性としては、高いtanδを発現するだけではなく、経時変化によるtanδの低下が抑制されることである。しかし、これら極性側鎖を有するベースポリマーを用いた高減衰材料は、成形直後のtanδは高くても、経時変化によりtanδが著しく低下し、その減衰性を保持することが困難なものとなっている。
【0010】
ちなみに、従来の減衰材料において、減衰性付与剤が結晶化しやすいのは、配合した塩基性の減衰性付与剤が剛直性、つまり分子結合の自由度が小さく立体的な構造の変化が少ないという性質があり、更に、それらは複素環式化合物であるために対称性を有していることから、分子同士が規則的な配列を形成しやすい状態にあることが原因である。更にまた、ベースポリマーがゴム状であった場合には、分子凝集エネルギーが小さく鎖が動きやすいため、減衰性付与剤がベースポリマー中にうまく分散しないために、結晶化してしまうというものである。
【0011】
上記した塩素化ポリエチレン等の極性側鎖を有するベースポリマーに減衰性付与剤として塩基性化合物を配合したものは、十分な減衰性が発揮されるように、減衰性付与剤として用いたものが上述したような結晶化しやすいものとなっているばかりでなく、その効果を得るためには添加量も増える(ベースポリマーと減衰性付与剤の配合比率が1:1)ことから、その組成を長期にわたって維持することは大変困難なものとなっている。
【0012】
このtanδの低下を抑制する手段として、上記したような極性側鎖を有するベースポリマーに、塩基性物質だけでなく、酸性物質をも配合したものが本出願人により既に出願されているが、これらはtanδの低下をある程度遅らせる効果を有してはいるものの、酸性物質を配合する前の材料のtanδ低下率が大きすぎるため、いずれ激しく経時変化をすることが避けられず、根本的な解決にはなっていない。
【0013】
つまり、従来の材料設計においては高い減衰性能を求めれば求める程、経時変化が激しいものとなり、これらに上述の遅延効果を施しても、元の材料組成が経時変化の激しいものであるため、実用化できるような材料にはなりえない。
【0014】
また、減衰性能の発現は温度に依存しているが、従来の塩素化ポリエチレン等の極性側鎖を有するベースポリマーを用いた材料は、そのピーク温度が室温よりも高い位置にあるので、最も使用頻度が高いと思われる室温環境(20℃前後)において、十分な減衰性能を発現することが困難なものとなっている。
【0015】
更に、塩素化ポリエチレン等の極性側鎖を有するベースポリマーは、その側鎖に、特に塩素を中心としたハロゲンを有するものが多く使用されており、これらを用いて合成した材料を使用・廃棄等する際には環境に与える影響が大きくなることから問題視されている。
【0016】
そこで、本出願人は、従来とは異なった観点からの材料設計として、極性側鎖を有するベースポリマーに、ヒンダードフェノール系化合物等の減衰性付与剤を配合したものを提唱している。この材料は、環境に与える影響が少ないばかりでなく、塩素化ポリエチレン等の極性側鎖を有するベースポリマーを用いた材料よりも、高いtanδを発現するものとなっている。また、この場合の減衰性付与剤の配合量は比較的少ない量で、優れた減衰性を発揮することができる。
【0017】
つまり、優れた経時変化抑制効果を有する材料の設計に際して、今後の方針としては、環境に対して影響が少なく、しかも塩素化ポリエチレン等の極性側鎖を有するベースポリマーよりも高い減衰性能を発現することができる極性側鎖を有するベースポリマーを中心に行われることが望まれている。
【0018】
本発明の解決しようとする課題は、極性側鎖を有するベースポリマーをベースとして、高い減衰特性(tanδ)を発現するだけでなく、経時的変化も少なく、しかも必要に応じて室温での使用環境にも適した高減衰材料組成物を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の高減衰材料組成物は、極性側鎖を有するベースポリマーが、減衰性付与剤と酸性有機化合物とを含有することを要旨とするものである。
【0020】
この場合に、「極性側鎖を有するベースポリマー」としては、アクリル系(この構造式を化1に示す。)、メタクリル系(この構造式を化2に示す。)、エチレン・アクリル系共重合体(この構造式を化3に示す。)、ポリ酢酸ビニル及びその共重合体より選ばれた1種又は2種以上を配合したものを用いる。
【0021】
【化1】
Figure 0003664212
【0022】
【化2】
Figure 0003664212
【0023】
【化3】
Figure 0003664212
【0024】
そして、「減衰性付与剤」としては、ヒンダードフェノール系化合物が挙げられ、「ヒンダードフェノール系化合物」の好適なものの一例として、酸化防止剤である1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン、紫外線吸収剤である1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)−ブタン、光安定剤である1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
【0025】
そして、「酸性有機化合物」としてはナフテン酸を用いる。また、上記高減衰材料組成物は、更に、ヒンダードアミン系化合物を含有していても良い。
【0026】
更にまた、ベースポリマーには必要に応じて、以下に掲げる種々の材料を添加することができる。その材料としては、まず、硬度、強度或いは加工性の向上、若しくは重量化等を図る場合に添加する充填剤が挙げられる。その充填剤としては、マイカ、タルク、クレー或いは炭酸カルシウム等の無機微粉末、若しくはセルロース粉末等の有機微粉末等が好適なものとして挙げられる。
【0027】
また、ベースポリマーに添加できる別の材料としては、tanδピーク温度の広域化を図る場合に添加する非結晶性樹脂が挙げられる。その非結晶性樹脂としてはクマロン樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、マレイン酸樹脂、エステル化ロジン、エポキシ樹脂、尿素樹脂或いはメラミン樹脂等が好適なものとして挙げられる。
【0028】
更に、ベースポリマーに添加できる別の材料としては、着色剤(顔料、染料)、光沢剤、老化防止剤、粘着付与剤、難燃剤、発泡剤、発砲助剤、加工助剤、オゾン劣化防止剤、ブロッキング防止剤、耐候剤、耐熱剤、架橋剤、架橋助剤、加硫剤、分散剤、相溶化剤、界面活性剤、帯電防止剤或いは滑剤等が好適なものとして挙げられる。
【0029】
上記構成を有する高減衰材料組成物は、極性側鎖を有する特定のベースポリマーが、減衰性付与剤であるヒンダードフェノール系化合物を含有することにより高い減衰性能を発現するばかりでなく、酸性有機化合物であるナフテン酸をも含有することにより、その配合成分の酸性度が調節され、経時変化の少ない高減衰材料が提供できる。したがって、本発明に係る高減衰材料組成物によれば、長期間にわたり安定して、振動や騒音が大幅に吸収できるものとなる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。まず、本発明の各実施例は種々の材料組成で作製したので、これについて説明する。尚、以下の説明において「phr」とは、「parts per hundred resin」の略で、ベースポリマー100重量部に対する配合成分(減衰性付与剤や酸性有機化合物)の重量部を意味するものである。また表1に示した材料組成の単位も「phr」で表している。
【0031】
初めに表1に記載した本発明品(実施例1〜4)の材料組成について説明する。実施例1乃至実施例4は、いずれもベースポリマーとしてアクリルゴムを用い、これに減衰性付与剤としてヒンダードフェノール系化合物を配合し、更に酸性有機化合物であるナフテン酸を配合している。この場合に実施例3及び実施例4は減衰性付与剤を2種類配合しており、実施例3はヒンダードアミン系化合物を付与し、実施例4は2種類のヒンダードフェノール系化合物を配合したものである。
【0032】
【表1】
Figure 0003664212
【0033】
具体的に説明すると本発明品の実施例1は、ベースポリマーとしてアクリルゴム(日本ゼオン(株)製:商品名「ニポールAR51」)を用い、これに減衰性付与剤としてヒンダードフェノール系化合物であるペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](旭電化工業(株)製:商品名「アデカスタブAO−60」:この構造式を化4に示す。)を40phr配合している。そして、酸性有機化合物としてナフテン酸(三共油化(株)製:商品名「SNA185」:この構造式を化5に示す。)を10phr配合している。
【0034】
【化4】
Figure 0003664212
【0035】
【化5】
Figure 0003664212
【0036】
実施例2の配合成分としては、同じくベースポリマーとしてニポールAR51を用い、減衰性付与剤としてヒンダードフェノール系化合物である3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(旭電化工業(株)製:商品名「アデカスタブAO−80」:この構造式を化6に示す。)を40phr配合している。更に酸性有機化合物としてSNA185を10phr配合している。
【0037】
【化6】
Figure 0003664212
【0038】
実施例3の配合成分としては、やはりベースポリマーとしてニポールAR51を用い、これに減衰性付与剤としてヒンダードフェノール系化合物であるアデカスタブAO−60を40phr配合し、そしてこれに酸性有機化合物としてSNA185を20phr配合している。そして更に、ヒンダードアミン系化合物である1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物(旭電化工業(株)製:商品名「アデカスタブLA−63P」:この構造式を化7に示す。)を5phr配合している。
【0039】
【化7】
Figure 0003664212
【0040】
実施例4の配合成分としては、同じくベースポリマーとしてニポールAR51を用い、これに減衰性付与剤としてヒンダードフェノール系化合物であるアデカスタブAO−80を40phrと、更に別の減衰性付与剤としてヒンダードフェノール系化合物であるp−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物(大内化学工業(株)製:商品名「ノクラックPBK」:この構造式を化8に示す。)を10phr配合している。そして、これに酸性有機化合物としてSNA185を25phr配合している。
【0041】
【化8】
Figure 0003664212
【0042】
尚、比較例1及び比較例2の配合成分としては、いずれもベースポリマーとしてニポールAR51を用いているが、比較例1はこのニポールAR51単独品としており、比較例2はこのニポールAR51に減衰性付与剤としてヒンダードフェノール系化合物であるアデカスタブAO−80を50phr配合しているが、酸性有機化合物は配合していない。
【0043】
次に、本発明品(実施例1〜4)及び比較品(比較例1及び2)の作製工程について説明する。まず、上述したベースポリマー(アクリルゴム)100phrに、各実施例の配合成分を配合する。これを、室温で約15〜20分程度、2本ロールで混練する。次に、この混練材料を、熱プレス機により所定の型枠内において170℃で、10分程度溶融プレス成形する。そして更に、0℃の温度条件下、これに130kgf/cmの面圧を掛けて冷却プレス成形し、これを2mmシートとする。
【0044】
次に、本発明品(実施例1〜4)及び比較品(比較例1及び比較例2)のtanδピーク値及びそのピーク温度を測定した。この測定には、株式会社ティー・エイ・インスツルメントジャパン社製の2980型DMAを用い、その測定条件を、歪が10μm、周波数を100Hz(一定)とした。
【0045】
以下、実施例1〜4の測定結果について説明する。表1に示したように、実施例1は成形直後において、要求特性(tanδ≧2.5)を遥かに超える高いtanδを発現している。そして、2週間後においても要求特性を超えるtanδを発現し、そのtanδ保持率は94%と極めて優秀な値を示した。また、ピーク温度が室温付近(20℃前後)にあることから、室温環境での使用に適したものであることが分かる。
【0046】
また、実施例2も成形直後において、要求特性を遥かに超える高いtanδを発現している。そして、2週間後におけるtanδは全く低下しておらず、その保持率は101%と極めて優れた値を示している。ピーク温度についても室温付近にあり、室温環境での使用に適したものといえる。
【0047】
実施例3は、成形直後において、要求特性を超えるtanδを発現することはもちろんのこと、その値が3.0を超える極めて高い値を示した。そして、2週間後のtanδも要求特性を超えており、そのtanδ保持率は96%と優れた値を示した。ピーク温度も室温付近にあり優れた結果を示している。
【0048】
実施例4は、成形直後において、要求特性を超える値を示しており、その2週間後のtanδは全く低下することなく、減衰性を完全に維持できているものとなっている。ピーク温度についても室温付近にあり、優れた結果を示した。
【0049】
そして、比較例1の結果としては、成形直後のtanδは高いものの、経時変化によって著しく低下してしまうことが分かる。また、ピーク温度が室温から離れたところにあり、室温環境において減衰性を発揮することが難しいものとなっている。また、比較例2は成形直後及び経時変化後のtanδは共に比較的良い結果を示しているものの、ピーク温度が室温から離れていまい、更に高温高湿下ではブリード現象が起きてしまい、減衰性を保持することが困難なものとなっている。
【0050】
この結果をみると実施例1及び2は、極性側鎖を有する特定のベースポリマーと減衰性付与剤であるヒンダードフェノール系化合物に酸性有機化合物であるナフテン酸をも配合していることから、その配合成分の酸性度が適切になり、高いtanδを発現するだけでなく、経時的変化も少ないという優れた結果を示している。また、実施例3は更に減衰性付与剤としてヒンダードアミン系化合物を少量配合しているので、高いtanδを発現することが可能となった。この場合に、配合するアミンは極々少量なので、減衰性付与剤が結晶することなく、優れたものとなっている。実施例4は、2種以上のヒンダードフェノール系化合物を減衰性付与剤として配合したものであるが、tanδの値だけでなく、ピーク温度のシフトに優れた効果があることが分かる。
【0051】
以上の結果から、実施例1〜4は全て、極めて優れている(◎印)と評価され、比較例1及び2は共に不良(×印)と評価された。
【0052】
次に、表2に記載した実施例5について説明する。実施例5はベースポリマーに、エチレン−アクリル酸メチル(昭和電工・デュポン製:商品名「ベイマックGLS」)を用い、これに減衰性付与剤としてヒンダードフェノール系化合物であるアデカスタブAO−80を50phr配合している。そして、これに酸性有機化合物としてナフテン酸であるSNA185を10phr配合している。
【0053】
【表2】
Figure 0003664212
【0054】
また、実施例5を評価するために、比較例3としてベースポリマーであるベイマックGLS単独品を、比較例4としてベースポリマーであるベイマックGLSに、減衰性付与剤であるアデカスタブAO−80を50phr配合したものを調整した。
【0055】
上述の実施例5、比較例3及び4の作製方法は、実施例1〜4と同様の方法を用いている。また、tanδの測定方法についても同様の方法を用いている。
【0056】
表2に示した結果について説明する。実施例5は成形直後において比較例3及び4より高いtanδを発現することはもちろん、要求特性を超える値を示し大変優れたものであるといえる。そして、比較例3及び4のtanδ保持率が共に80%台であるのに対し、実施例5はそのtanδ保持率が100%となっており、優れた経時変化抑制効果を有していることが分かる。また、実施例5のピーク温度は室温付近にあり、室温環境での使用に適したものとなっている。
【0057】
実施例5が高いtanδを発現するのは、ヒンダードフェノール系化合物の配合によるものであるが、ナフテン酸をも配合していることで、ピーク温度が室温に近づいており、更に優れた経時変化抑制効果を示すことから実用性の高いものとなっている。このことから実施例5は極めて良好(◎印)と評価された。また、比較例3及び4は共に不良(×印)と評価された。
【0058】
以上、本実施例について説明したが、要するに、本発明に係る高減衰材料組成物は、極性側鎖を有する特定のベースポリマーに、ヒンダードフェノール系化合物より選ばれた1種又は2種以上の減衰性付与剤を配合することにより高いtanδが発現され、更に酸性有機化合物であるナフテン酸を配合したことにより、材料そのものの酸性度が適切となって、材料の結晶化が抑制され、tanδが経時的変化することも抑制される。また、その酸性有機化合物の配合量の調整により室温付近にピーク値を有するものとなる。
【0059】
本発明は、上記した実施例に何等限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、ベースポリマーとしては、本発明で用いたアクリルゴムやエチレン−アクリル酸メチル等のアクリル系、エチレン・アクリル系共重合体の他にメタクリル系、ポリ酢酸ビニル及びその共重合体等のポリマーが適用できる。
【0060】
また、減衰性付与剤としては、上記実施例で用いたヒンダードフェノール系化合物とともにヒンダードアミン系化合物併用することができる
【0061】
【発明の効果】
本発明に係る高減衰材料組成物は、極性側鎖を有するアクリル系等の特定のベースポリマーにヒンダードフェノール系化合物よりなる減衰性付与剤を配合し、これに酸性有機化合物であるナフテン酸を配合したものであるから、高いtanδを発現する減衰特性を示すだけでなく、その配合成分の酸性度を適切なものとして経時変化によるtanδの低下を抑制することができ、しかも最も使用頻度が高いと思われる室温付近にピーク温度を有するものとなる。そして一般に、減衰性付与剤は高価であるが、比較的安価に入手できる酸性物質を配合することで、製造コストの低廉化をも図ることができる。したがって、本発明に係る高減衰材料組成物を、音響ルームの遮音壁、建築構造体の遮音間仕切り、車両の防音壁等、幅広い分野に適用することが期待されるものである。

Claims (3)

  1. アクリル系、メタクリル系、エチレン・アクリル系共重合体、ポリ酢酸ビニル及びその共重合体より選ばれた1種又は2種以上の極性側鎖を有するベースポリマーが、ヒンダードフェノール系化合物より選ばれた1種又は2種以上の減衰性付与剤と酸性有機化合物であるナフテン酸とを含有することを特徴とする高減衰材料組成物。
  2. 前記ヒンダードフェノール系化合物は、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)−ブタン、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンより選ばれた少なくとも1種又は2種以上の材料であることを特徴とする請求項に記載される高減衰材料組成物。
  3. 更に、ヒンダードアミン系化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載される高減衰材料組成物。
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