JP3662715B2 - 導電性材料および導電ペーストと電子機器 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅粉末または銅基合金粉末を導電粒子として含む導電性材料および導電ペーストと、該導電ペーストを使用した電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、メンブレンスイッチ、回路基板、電子部品などの配線部または電極部を形成するのに使用される導電性材料としては、銅粉末または銅基合金粉末などの導電粒子と熱硬化性樹脂などのバインダから成るものが知られている。この場合、銅粉末または銅基合金粉末の調製に用いられる銅は、通常99.9%〜99.99%の純度を有しており、これらの純度では金属表面が酸化されやすいという問題が提起されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらの問題を解決するには、銅粉末または銅基合金粉末の一層の高純度化が望ましく、高純度の銅粉末または銅基合金粉末であっても、金属の表面での酸化をもっと防止することが望まれていた。本発明は、このような従来技術の現状に鑑みてなされたもので、目的は、金属表面の酸化が少なく、導電性材料において初期抵抗値が低く、しかも長期間使用しても抵抗値の上昇が少ない導電性材料を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る導電性材料は、99.9999%以上の純度を有する銅から調製される偏平状またはフレーク状の導電粒子と、銅に配位して導電粒子の表面を覆う表面処理剤からなる表面層とからなる導電性材料であって、前記表面処理剤は、キレート配位基を有する化合物からなることを特徴とする。
また、本発明は、99.9999%以上の純度を有する銅に金属を混入した合金から調製される銅基合金粉末の偏平状またはフレーク状の導電粒子と、銅基合金に配位して前記導電粒子の表面を覆う表面処理剤からなる表面層とからなる導電性材料であって、前記表面処理剤は、キレート配位基を有する化合物からなるものでも良い。
係る導電性材料によれば、高純度の銅から調整される偏平状またはフレーク状の導電粒子、あるいは、高純度の銅に金属を混入した合金から調整される銅基合金粉末の偏平状またはフレーク状の導電粒子を使用し、その表面にキレート配位基を有する表面処理剤を設けているので導電粒子表面が酸化しにくくなり、さらに、キレート配位基を有する表面処理剤が導電粒子の表面に配位し、これら導電粒子の金属表面の酸化を防止する作用を奏する。よって、初期抵抗値が低く、しかも長時間使用しても抵抗値の上昇が少なくなる。
【0005】
99.9999%以上の純度を有する銅粉末は、偏平状またはフレーク状の形態を持ち、その粒径は特に限定されないが、導電性付与の観点から0.1ないし40μmが望ましい。
【0006】
銅基合金粉末は、99.9999%以上の純度を有する銅に、銀、亜鉛、ハフニウム、チタン、タンタルなどの金属を混入した合金を原料とする金属粉末である。
これら銀などは合金を溶融させたとき、導電性を高くする、溶湯の粘度を低下させる、または銅中に微量存在する酸素を捕捉し、銅の酸化を防ぐという役割を持つ。
上記高純度銅と銀などの金属との比率は、重量比で98:2ないし80:20である。高純度銅の割合が80より低いと、導電性材料を形成したとき導電率が低くなりすぎ実用性に乏しくなり、銀などの割合が2より低いと、溶湯の粘度低下効果が不足する、または銅中酸素の捕捉効果が不十分となるので上記範囲とする。
銅基合金粉末は、上記銅粉末と同様な形態を持ち、その粒径は特に限定されないが、導電性付与の観点から0.1ないし40μmが望ましい。
【0007】
表面処理剤の分子量は、50以上200以下とする。表面処理剤の分子量が50より小さいと、導電粒子の表面を覆う保護膜が薄すぎて、酸化防止作用が少なくなり、表面処理剤の分子量が200より大きいと、導電粒子の表面が厚い保護膜で覆われて、導電粒子の間隔が、トンネル電流が流れることのできる距離より離れてしまい、抵抗値が増大してしまう。
この分子量は、50以下では表面処理剤の被覆効果が不足すること、および実用上、導電性材料として導電回路などに使用される際の導電性の観点から、50以上120以下であることがさらに好ましい。
【0008】
係る表面処理剤としては、銅粉末または銅基合金粉末表面の酸化膜生成防止、すなわち還元性の高い基を持つこと、これら粉末表面への吸着による保護、すなわちキレート配位基を有する化合物であること、および粉体接触の障害にならないこと、すなわち厚く強固過ぎる保護膜を形成しないことなどの観点から、パラアミノフェノール、アントラニール酸、モノエタノールアミンのいずれかから選択されることが好ましい。
【0009】
本発明に係る導電ペーストは、99.9999%以上の純度を有する銅から調製される偏平状またはフレーク状の銅粉末の導電粒子、または、高純度の銅に金属を混入した合金から調整される銅基合金粉末の偏平状またはフレーク状の導電粒子と、表面処理剤と、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂の少なくとも一つとを有する。係るペーストは、優れた導電性を持ち、かつ優れた耐熱性と耐湿性とを合わせ持つ。
【0010】
ペーストのバインダーをなす熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド、熱硬化性ポリエステル、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性変成フッ素樹脂、ポリアミドなどが挙げられる。
また、ペーストのバインダーをなす熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ブタジエン樹脂、可とう性エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
【0011】
これら熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂は、混合して使用してもよい。その比率は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との重量割合が20:80ないし90:10であることが好ましい。
また、高温焼成用の場合、バインダーとしては、ほう硅酸ガラスを単独で使用してもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に好適に用いられる銅粉末または銅基合金粉末を製造する方法の例として、二段急冷法を挙げることができる。この方法は、加熱溶融した原料の金属を滴下し、これにガスを高速で吹き付けて、溶融金属を冷却するとともに加速し、この液滴をさらに回転冷却体に衝突させて急速に冷却し、金属粉末を得るというものである。
図1は、二段急冷法に用いられる装置の概略構成図であり、図中符号1は二段急冷装置、符号2はるつぼ、符号3は熱電対、符号4はストッパー、符号5はノズル、符号6はガス噴射器、符号7はガス噴射口、符号8は回転冷却体、符号9は金属である。
【0013】
るつぼ2中には、熱電対3を内部に収納した筒状のストッパー4が設けられている。また、るつぼ2には、図示しない加熱源が設けられている。さらに、るつぼ2の底面の開口部には、ノズル5が取り付けられていて、ノズル5は筒状のストッパー4の下端壁4aで塞がれている。該ノズル5の下端部を囲むようにガス噴射器6が設けられている。該ガス噴射器6には図示しないガス供給源から、窒素、アルゴンなどの高圧ガスが供給されるようになっている。このガス噴射器6は箱状の構造体であり、中央部は円筒状の挿入部6aで仕切られ、この挿入部6aの下端部に、ガス噴射器6の内部空間に開口するガス噴出口7が形成されていて、この挿入部6aの中にノズル5が挿入され、ノズル先端部周囲にガス噴出口7が位置されている。また、ノズル5の下方には、円錐駒状の回転冷却体8が設けられている。
【0014】
次に、二段急冷装置を用いて本発明に適用される導電粒子を製造する方法について説明する。
最初に、原料の99.9999%以上の純度を有する銅またはこの銅と所定割合の銀などの金属9をるつぼ2に入れ、図示しない加熱源により加熱して、溶融状態とする。次に、るつぼ2の開口部を開き、溶融した金属9をノズル5から滴下する。同時に、高圧の不活性ガスを断熱膨張させて発生した高速ガスをガス噴射器6に供給し、ガス噴出口7から金属9の滴下融液に向かって噴出することにより、融液を冷却するとともに高速で下方に吹き付ける。加速された融液微粒子は、回転冷却体8に衝突して急冷凝固し、金属粉末となる。つまり、溶融状態の金属9は、ガス噴出口7から噴出したガスにより冷却され、さらに回転冷却器8に吹き付けられることにより急冷されることで、ごく短時間に固化することになる。また、回転冷却体8に衝突することで、金属粉末はおおよそ偏平状またはフレーク状のような、平たくつぶれた形状とされるようになっている。
これにより、本発明に好適に用いられる銅粉末または銅基合金粉末を製造することができる。
【0015】
こうして得られた銅粉末または銅基合金粉末を、分子量が50以上200以下のパラアミノフェノール、アントラニール酸、モノエタノールアミン、カテコール、L−アスコルビン酸などの表面処理剤で処理することで、金属表面の酸化を抑制する。この酸化抑制方法として、複数の方法を挙げることができる。
【0016】
まず、金属表面に還元性の高い基を有する化合物を吸着させておくことで、酸化被膜の生成を防止、あるいは抑制する方法が挙げられる。このような作用を有する化合物として、例えば、カテコール、L−アスコルビン酸などを挙げることができる。
【0017】
次に、キレート配位基を有する化合物、すなわちO、N、S、Pなどの孤立電子対を持つ化合物を金属表面に吸着させて表面を保護するという方法が挙げられる。
このような作用を有する化合物として、トリアジントリチオール、アントラニール酸、モノエタノールアミン、パラアミノフェノールなどを挙げることができる。
【0018】
ここで、トリアジントリチオールを例にとり、表面処理剤の金属表面への吸着について説明する。
図2は、トリアジントリチオールと銅の、銅表面での相互作用を示す模式図であり、図2(a)は、トリアジントリチオールが銅の表面に吸着する前、図2(b)は、トリアジントリチオールが銅の表面に吸着した後を示すものである。
【0019】
トリアジントリチオールが銅の表面に接近すると、トリアジントリチオールのチオール基の1つが銅原子により酸化を受け、S−Cu結合を生成する。次に、別のチオール基が酸化を受け、S−Cu結合を生成する。こうして、図2(b)のように、銅の表面にトリアジントリチオールの分子が吸着して表面層を構成していく。残った1つのチオール基は、そのままの状態で残存したり、隣の分子同士が結合してS−S結合を形成したりしている。
【0020】
銅粉末または銅基合金粉末を表面処理剤で処理するには、表面処理剤の溶液中に、銅粉末または銅基合金粉末を加える方法が簡便であり好ましい。
こうして得られた銅粉末または銅基合金粉末および表面処理剤にバインダーを加えて混練することで、導電ペーストを得ることができる。バインダーとしては、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂の少なくとも一つ、または高温焼成用としては、ほう硅酸ガラスを使用することができる。
あるいは、銅粉末または銅基合金粉末の表面にこれら表面処理剤を先に配位させておき、これにバインダーを加えて混練してもよい。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下に、表面処理剤の特性についての試験結果を説明する。まず、5種類の表面処理剤、パラアミノフェノール、アントラニール酸、モノエタノールアミン、カテコール、L−アスコルビン酸を、それぞれ1重量%添加処理した銅粉末を用いて作成した5種類の導電材について、比抵抗を測定した。この結果と、各表面処理剤の分子量との関係を図4に示す。
【0022】
これら5種類の表面処理剤を、それぞれ1重量%添加処理した銅粉末を用いて作成した5種類の導電材について、80℃での耐熱試験および60℃、湿度90%での耐湿試験結果を図5に示す。
80℃での耐熱試験(図5(a))では、各表面処理剤とも時間の経過に従って抵抗値が減少していく傾向がある。
60℃、湿度90%の耐湿試験(図5(b))では、表面処理剤によって大きな差が見られた。約1000時間後の抵抗値変化率を比較すると、L−アスコルビン酸とカテコールは50〜70%の増加に留まった。パラアミノフェノールとアントラニール酸は130〜150%の増加であった。しかし、モノエタノールアミンは480%もの増加であった。
これらの結果から、上記5種類の表面処理剤の中では、分子量が小さく、比抵抗が低く、耐熱性、耐湿性に優れている点から、カテコールが最も優れている。
【0023】
(実験例1)
99.9999%の純度を有する銅(以下、6N−銅と略記する)に銀を重量割合で10%混入した合金を原料とする金属粉末を、図1に示した二段急冷装置を使用して製造した。さらにフェノール樹脂に対して、製造した金属粉末を体積割合で30%、カテコールを0.1ないし2%混入して混練し、導電ペーストを製造した。この時、溶剤は、ターピネオール、ベンジルアルコール、カルビトールの3種類を1:2:2の割合で混合したものを使用した。得られた導電ペーストの抵抗率を測定したところ、1×10-4ないし2×10-4Ωcmであった。
【0024】
(実験例2)
6N−銅を原料とする金属粉末を、図1に示した二段急冷装置を使用して製造した。さらにフェノール樹脂に対して、製造した金属粉末を体積割合で45%、カテコールを0.1ないし1%混入して混練し、導電ペーストを製造した。この時、溶剤は、ターピネオール、ベンジルアルコール、カルビトールの3種類を1:2:2の割合で混合したものを使用した。得られた導電ペーストの抵抗率を測定したところ、1×10-4ないし4×10-4Ωcmであった。
【0025】
(比較例1)
99.99%以上の純度を有する銅(以下、4N−銅と略記する)に銀を重量割合で10%混入した合金を原料とする金属粉末を、図1に示した二段急冷装置を使用して製造した。さらにフェノール樹脂に対して、製造した金属粉末を体積割合で45%、カテコールを0.1ないし1%混入して混練し、導電ペーストを製造した。この時、溶剤は、ターピネオール、ベンジルアルコール、カルビトールの3種類を1:2:2の割合で混合したものを使用した。得られた導電ペーストの抵抗率を測定したところ、2×10-4ないし6×10-4Ωcmであった。
【0026】
得られた3種類の導電ペーストについて、80℃での耐熱試験および60℃、湿度90%での耐湿試験を行った。結果を図3に示す。
80℃での耐熱試験(図3(a))では、比較例1が約300時間後に約20%、約850時間後に約30%の抵抗値増加を認めたのに対し、実施例1、2はいずれも約1000時間後で約10%以下の抵抗値増加に留まり、耐熱性が向上した。
【0027】
60℃、湿度90%の耐湿試験(図3(b))では、比較例1が約300時間後に約40%、約750時間後に約60%の抵抗値増加を認めたのに対し、実施例1、2はいずれも約1000時間後で約30%以下の抵抗値増加に留まり、耐湿性が向上した。
【0028】
次に、本発明の導電ペーストを電子機器に適用した例について述べる。
(実験例3)
実験例1で製造した合金粉末と、フェノール樹脂/ポリエステル混合物を、重量比で90:10の割合で混合した。この混合物1に対してカルビトールを0.1ないし0.2の割合で加えて粘度調整することにより、印刷用ペーストを製造した。この印刷用ペーストを、スクリーン印刷機を用いてポリエステルフィルム22上に印刷、焼成することにより、図6に示すノートブック型パーソナルコンピューター用のポインティングデバイス用回路基板21を得た。この印刷された回路23の抵抗率は8×10-4Ωcmであり、80℃、500時間の耐熱試験および60℃、湿度90%、500時間の耐湿試験における抵抗率の変化はともに30%以下であった。
【0029】
得られたポインティングデバイス用回路基板21上の回路23に、集積回路24、コンデンサ25、抵抗器26、コネクタ27、ダイオードアレイ28、電解コンデンサ29をハンダ付けした。
図7は、集積回路24を回路23にハンダ付けした部分の拡大側面図である。ポリエステルフィルム22上の回路23のハンダ付け部分に、あらかじめハンダ付け用ペースト30を印刷しておき、この上に集積回路24のリード端子31を乗せ、ハンダ32で固定した。その他の部品においても同様の方法でハンダ付けを行うことで、ノートブック型パーソナルコンピューター用のポインティングデバイス用回路が得られた。
【0030】
【発明の効果】
上述のごとく、本発明の導電性材料は、99.9999%以上の純度を有する銅から調製される偏平状またはフレーク状の銅粉末の導電粒子、または、高純度の銅に金属を混入した合金から調整される銅基合金粉末の偏平状またはフレーク状の導電粒子を用い、これら導電粒子の表面をキレート配位を有する化合物の表面処理剤で覆っているので、導電粒子の表面の酸化を防止でき、初期抵抗値が低く、しかも長時間使用しても抵抗値の上昇を少なくすることができる。
次に本発明の導電材料において、前記表面処理剤の分子量は50以上200以下であることが好ましく、50以上であるならば導電粒子の表面を覆う保護膜が薄すぎて酸化防止作用が少なくなることがなく、200以下であるならば導電粒子の表面が厚い保護膜で覆われてしまうことがなく、導電粒子の間隔が、トンネル電流が流れることのできる距離より離れてしまうこともなく、抵抗値が増大してしまうこともない。
更に本発明の導電材料において、前記高純度銅に金属を混入した銅基合金粉末の導電粒子とする場合、銀を用い、銅と銀の比率を重量比で98:2乃至80:20の範囲とすることが好ましい。銀は合金を溶融させたとき、導電性を高くする、溶湯の粘度を低下させる、銅中に微量存在する酸素を捕捉し、銅の酸化を防ぐという効果を発揮する。高純度銅の割合が80より低いと、導電性材料を形成したとき導電率が低くなりすぎ実用性に乏しくなり、銀などの割合が2より低いと、溶湯の粘度低下効果が不足するとともに、銅中酸素の捕捉効果が不十分となるので上記範囲とすることが好ましい。
また、上述の優れた種々の効果を有する導電性材料とバインダーとからなる導電ペーストは、優れた導電性を与え、かつ優れた耐熱性と耐湿性とを与えることができる。
さらに、上述の優れた種々の効果を有する本発明の導電ペーストを電子機器に適用すると、抵抗率が低く、耐熱性、耐湿性に優れたファインパターンの回路などを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 二段急冷法に用いられる装置の概略構成図。
【図2】 トリアジントリチオールと銅の表面での相互作用を示す模式図。
【図3】 図3(a)は、3種類の導電ペーストの80℃での耐熱試験結果を示すグラフ。図3(b)は、3種類の導電ペーストの60℃、湿度90%での耐湿試験結果を示すグラフ。
【図4】 5種類の表面処理剤の分子量と比抵抗の関係を示すグラフ。
【図5】 図5(a)は、5種類の表面処理剤の80℃での耐熱試験結果を示すグラフ。図5(b)は、5種類の表面処理剤の60℃、湿度90%での耐湿試験結果を示すグラフ。
【図6】 本発明の導電ペーストを電子機器に適用して得られた回路図。
【図7】 集積回路24を回路23にハンダ付けした部分の拡大側面図。
【符号の説明】
1 二段急冷装置
2 るつぼ
3 熱電対
4 ストッパー
5 ノズル
6 ガス噴射器
7 ガス噴射口
8 回転冷却体
9 金属
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅粉末または銅基合金粉末を導電粒子として含む導電性材料および導電ペーストと、該導電ペーストを使用した電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、メンブレンスイッチ、回路基板、電子部品などの配線部または電極部を形成するのに使用される導電性材料としては、銅粉末または銅基合金粉末などの導電粒子と熱硬化性樹脂などのバインダから成るものが知られている。この場合、銅粉末または銅基合金粉末の調製に用いられる銅は、通常99.9%〜99.99%の純度を有しており、これらの純度では金属表面が酸化されやすいという問題が提起されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらの問題を解決するには、銅粉末または銅基合金粉末の一層の高純度化が望ましく、高純度の銅粉末または銅基合金粉末であっても、金属の表面での酸化をもっと防止することが望まれていた。本発明は、このような従来技術の現状に鑑みてなされたもので、目的は、金属表面の酸化が少なく、導電性材料において初期抵抗値が低く、しかも長期間使用しても抵抗値の上昇が少ない導電性材料を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る導電性材料は、99.9999%以上の純度を有する銅から調製される偏平状またはフレーク状の導電粒子と、銅に配位して導電粒子の表面を覆う表面処理剤からなる表面層とからなる導電性材料であって、前記表面処理剤は、キレート配位基を有する化合物からなることを特徴とする。
また、本発明は、99.9999%以上の純度を有する銅に金属を混入した合金から調製される銅基合金粉末の偏平状またはフレーク状の導電粒子と、銅基合金に配位して前記導電粒子の表面を覆う表面処理剤からなる表面層とからなる導電性材料であって、前記表面処理剤は、キレート配位基を有する化合物からなるものでも良い。
係る導電性材料によれば、高純度の銅から調整される偏平状またはフレーク状の導電粒子、あるいは、高純度の銅に金属を混入した合金から調整される銅基合金粉末の偏平状またはフレーク状の導電粒子を使用し、その表面にキレート配位基を有する表面処理剤を設けているので導電粒子表面が酸化しにくくなり、さらに、キレート配位基を有する表面処理剤が導電粒子の表面に配位し、これら導電粒子の金属表面の酸化を防止する作用を奏する。よって、初期抵抗値が低く、しかも長時間使用しても抵抗値の上昇が少なくなる。
【0005】
99.9999%以上の純度を有する銅粉末は、偏平状またはフレーク状の形態を持ち、その粒径は特に限定されないが、導電性付与の観点から0.1ないし40μmが望ましい。
【0006】
銅基合金粉末は、99.9999%以上の純度を有する銅に、銀、亜鉛、ハフニウム、チタン、タンタルなどの金属を混入した合金を原料とする金属粉末である。
これら銀などは合金を溶融させたとき、導電性を高くする、溶湯の粘度を低下させる、または銅中に微量存在する酸素を捕捉し、銅の酸化を防ぐという役割を持つ。
上記高純度銅と銀などの金属との比率は、重量比で98:2ないし80:20である。高純度銅の割合が80より低いと、導電性材料を形成したとき導電率が低くなりすぎ実用性に乏しくなり、銀などの割合が2より低いと、溶湯の粘度低下効果が不足する、または銅中酸素の捕捉効果が不十分となるので上記範囲とする。
銅基合金粉末は、上記銅粉末と同様な形態を持ち、その粒径は特に限定されないが、導電性付与の観点から0.1ないし40μmが望ましい。
【0007】
表面処理剤の分子量は、50以上200以下とする。表面処理剤の分子量が50より小さいと、導電粒子の表面を覆う保護膜が薄すぎて、酸化防止作用が少なくなり、表面処理剤の分子量が200より大きいと、導電粒子の表面が厚い保護膜で覆われて、導電粒子の間隔が、トンネル電流が流れることのできる距離より離れてしまい、抵抗値が増大してしまう。
この分子量は、50以下では表面処理剤の被覆効果が不足すること、および実用上、導電性材料として導電回路などに使用される際の導電性の観点から、50以上120以下であることがさらに好ましい。
【0008】
係る表面処理剤としては、銅粉末または銅基合金粉末表面の酸化膜生成防止、すなわち還元性の高い基を持つこと、これら粉末表面への吸着による保護、すなわちキレート配位基を有する化合物であること、および粉体接触の障害にならないこと、すなわち厚く強固過ぎる保護膜を形成しないことなどの観点から、パラアミノフェノール、アントラニール酸、モノエタノールアミンのいずれかから選択されることが好ましい。
【0009】
本発明に係る導電ペーストは、99.9999%以上の純度を有する銅から調製される偏平状またはフレーク状の銅粉末の導電粒子、または、高純度の銅に金属を混入した合金から調整される銅基合金粉末の偏平状またはフレーク状の導電粒子と、表面処理剤と、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂の少なくとも一つとを有する。係るペーストは、優れた導電性を持ち、かつ優れた耐熱性と耐湿性とを合わせ持つ。
【0010】
ペーストのバインダーをなす熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド、熱硬化性ポリエステル、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性変成フッ素樹脂、ポリアミドなどが挙げられる。
また、ペーストのバインダーをなす熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ブタジエン樹脂、可とう性エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
【0011】
これら熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂は、混合して使用してもよい。その比率は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との重量割合が20:80ないし90:10であることが好ましい。
また、高温焼成用の場合、バインダーとしては、ほう硅酸ガラスを単独で使用してもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に好適に用いられる銅粉末または銅基合金粉末を製造する方法の例として、二段急冷法を挙げることができる。この方法は、加熱溶融した原料の金属を滴下し、これにガスを高速で吹き付けて、溶融金属を冷却するとともに加速し、この液滴をさらに回転冷却体に衝突させて急速に冷却し、金属粉末を得るというものである。
図1は、二段急冷法に用いられる装置の概略構成図であり、図中符号1は二段急冷装置、符号2はるつぼ、符号3は熱電対、符号4はストッパー、符号5はノズル、符号6はガス噴射器、符号7はガス噴射口、符号8は回転冷却体、符号9は金属である。
【0013】
るつぼ2中には、熱電対3を内部に収納した筒状のストッパー4が設けられている。また、るつぼ2には、図示しない加熱源が設けられている。さらに、るつぼ2の底面の開口部には、ノズル5が取り付けられていて、ノズル5は筒状のストッパー4の下端壁4aで塞がれている。該ノズル5の下端部を囲むようにガス噴射器6が設けられている。該ガス噴射器6には図示しないガス供給源から、窒素、アルゴンなどの高圧ガスが供給されるようになっている。このガス噴射器6は箱状の構造体であり、中央部は円筒状の挿入部6aで仕切られ、この挿入部6aの下端部に、ガス噴射器6の内部空間に開口するガス噴出口7が形成されていて、この挿入部6aの中にノズル5が挿入され、ノズル先端部周囲にガス噴出口7が位置されている。また、ノズル5の下方には、円錐駒状の回転冷却体8が設けられている。
【0014】
次に、二段急冷装置を用いて本発明に適用される導電粒子を製造する方法について説明する。
最初に、原料の99.9999%以上の純度を有する銅またはこの銅と所定割合の銀などの金属9をるつぼ2に入れ、図示しない加熱源により加熱して、溶融状態とする。次に、るつぼ2の開口部を開き、溶融した金属9をノズル5から滴下する。同時に、高圧の不活性ガスを断熱膨張させて発生した高速ガスをガス噴射器6に供給し、ガス噴出口7から金属9の滴下融液に向かって噴出することにより、融液を冷却するとともに高速で下方に吹き付ける。加速された融液微粒子は、回転冷却体8に衝突して急冷凝固し、金属粉末となる。つまり、溶融状態の金属9は、ガス噴出口7から噴出したガスにより冷却され、さらに回転冷却器8に吹き付けられることにより急冷されることで、ごく短時間に固化することになる。また、回転冷却体8に衝突することで、金属粉末はおおよそ偏平状またはフレーク状のような、平たくつぶれた形状とされるようになっている。
これにより、本発明に好適に用いられる銅粉末または銅基合金粉末を製造することができる。
【0015】
こうして得られた銅粉末または銅基合金粉末を、分子量が50以上200以下のパラアミノフェノール、アントラニール酸、モノエタノールアミン、カテコール、L−アスコルビン酸などの表面処理剤で処理することで、金属表面の酸化を抑制する。この酸化抑制方法として、複数の方法を挙げることができる。
【0016】
まず、金属表面に還元性の高い基を有する化合物を吸着させておくことで、酸化被膜の生成を防止、あるいは抑制する方法が挙げられる。このような作用を有する化合物として、例えば、カテコール、L−アスコルビン酸などを挙げることができる。
【0017】
次に、キレート配位基を有する化合物、すなわちO、N、S、Pなどの孤立電子対を持つ化合物を金属表面に吸着させて表面を保護するという方法が挙げられる。
このような作用を有する化合物として、トリアジントリチオール、アントラニール酸、モノエタノールアミン、パラアミノフェノールなどを挙げることができる。
【0018】
ここで、トリアジントリチオールを例にとり、表面処理剤の金属表面への吸着について説明する。
図2は、トリアジントリチオールと銅の、銅表面での相互作用を示す模式図であり、図2(a)は、トリアジントリチオールが銅の表面に吸着する前、図2(b)は、トリアジントリチオールが銅の表面に吸着した後を示すものである。
【0019】
トリアジントリチオールが銅の表面に接近すると、トリアジントリチオールのチオール基の1つが銅原子により酸化を受け、S−Cu結合を生成する。次に、別のチオール基が酸化を受け、S−Cu結合を生成する。こうして、図2(b)のように、銅の表面にトリアジントリチオールの分子が吸着して表面層を構成していく。残った1つのチオール基は、そのままの状態で残存したり、隣の分子同士が結合してS−S結合を形成したりしている。
【0020】
銅粉末または銅基合金粉末を表面処理剤で処理するには、表面処理剤の溶液中に、銅粉末または銅基合金粉末を加える方法が簡便であり好ましい。
こうして得られた銅粉末または銅基合金粉末および表面処理剤にバインダーを加えて混練することで、導電ペーストを得ることができる。バインダーとしては、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂の少なくとも一つ、または高温焼成用としては、ほう硅酸ガラスを使用することができる。
あるいは、銅粉末または銅基合金粉末の表面にこれら表面処理剤を先に配位させておき、これにバインダーを加えて混練してもよい。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下に、表面処理剤の特性についての試験結果を説明する。まず、5種類の表面処理剤、パラアミノフェノール、アントラニール酸、モノエタノールアミン、カテコール、L−アスコルビン酸を、それぞれ1重量%添加処理した銅粉末を用いて作成した5種類の導電材について、比抵抗を測定した。この結果と、各表面処理剤の分子量との関係を図4に示す。
【0022】
これら5種類の表面処理剤を、それぞれ1重量%添加処理した銅粉末を用いて作成した5種類の導電材について、80℃での耐熱試験および60℃、湿度90%での耐湿試験結果を図5に示す。
80℃での耐熱試験(図5(a))では、各表面処理剤とも時間の経過に従って抵抗値が減少していく傾向がある。
60℃、湿度90%の耐湿試験(図5(b))では、表面処理剤によって大きな差が見られた。約1000時間後の抵抗値変化率を比較すると、L−アスコルビン酸とカテコールは50〜70%の増加に留まった。パラアミノフェノールとアントラニール酸は130〜150%の増加であった。しかし、モノエタノールアミンは480%もの増加であった。
これらの結果から、上記5種類の表面処理剤の中では、分子量が小さく、比抵抗が低く、耐熱性、耐湿性に優れている点から、カテコールが最も優れている。
【0023】
(実験例1)
99.9999%の純度を有する銅(以下、6N−銅と略記する)に銀を重量割合で10%混入した合金を原料とする金属粉末を、図1に示した二段急冷装置を使用して製造した。さらにフェノール樹脂に対して、製造した金属粉末を体積割合で30%、カテコールを0.1ないし2%混入して混練し、導電ペーストを製造した。この時、溶剤は、ターピネオール、ベンジルアルコール、カルビトールの3種類を1:2:2の割合で混合したものを使用した。得られた導電ペーストの抵抗率を測定したところ、1×10-4ないし2×10-4Ωcmであった。
【0024】
(実験例2)
6N−銅を原料とする金属粉末を、図1に示した二段急冷装置を使用して製造した。さらにフェノール樹脂に対して、製造した金属粉末を体積割合で45%、カテコールを0.1ないし1%混入して混練し、導電ペーストを製造した。この時、溶剤は、ターピネオール、ベンジルアルコール、カルビトールの3種類を1:2:2の割合で混合したものを使用した。得られた導電ペーストの抵抗率を測定したところ、1×10-4ないし4×10-4Ωcmであった。
【0025】
(比較例1)
99.99%以上の純度を有する銅(以下、4N−銅と略記する)に銀を重量割合で10%混入した合金を原料とする金属粉末を、図1に示した二段急冷装置を使用して製造した。さらにフェノール樹脂に対して、製造した金属粉末を体積割合で45%、カテコールを0.1ないし1%混入して混練し、導電ペーストを製造した。この時、溶剤は、ターピネオール、ベンジルアルコール、カルビトールの3種類を1:2:2の割合で混合したものを使用した。得られた導電ペーストの抵抗率を測定したところ、2×10-4ないし6×10-4Ωcmであった。
【0026】
得られた3種類の導電ペーストについて、80℃での耐熱試験および60℃、湿度90%での耐湿試験を行った。結果を図3に示す。
80℃での耐熱試験(図3(a))では、比較例1が約300時間後に約20%、約850時間後に約30%の抵抗値増加を認めたのに対し、実施例1、2はいずれも約1000時間後で約10%以下の抵抗値増加に留まり、耐熱性が向上した。
【0027】
60℃、湿度90%の耐湿試験(図3(b))では、比較例1が約300時間後に約40%、約750時間後に約60%の抵抗値増加を認めたのに対し、実施例1、2はいずれも約1000時間後で約30%以下の抵抗値増加に留まり、耐湿性が向上した。
【0028】
次に、本発明の導電ペーストを電子機器に適用した例について述べる。
(実験例3)
実験例1で製造した合金粉末と、フェノール樹脂/ポリエステル混合物を、重量比で90:10の割合で混合した。この混合物1に対してカルビトールを0.1ないし0.2の割合で加えて粘度調整することにより、印刷用ペーストを製造した。この印刷用ペーストを、スクリーン印刷機を用いてポリエステルフィルム22上に印刷、焼成することにより、図6に示すノートブック型パーソナルコンピューター用のポインティングデバイス用回路基板21を得た。この印刷された回路23の抵抗率は8×10-4Ωcmであり、80℃、500時間の耐熱試験および60℃、湿度90%、500時間の耐湿試験における抵抗率の変化はともに30%以下であった。
【0029】
得られたポインティングデバイス用回路基板21上の回路23に、集積回路24、コンデンサ25、抵抗器26、コネクタ27、ダイオードアレイ28、電解コンデンサ29をハンダ付けした。
図7は、集積回路24を回路23にハンダ付けした部分の拡大側面図である。ポリエステルフィルム22上の回路23のハンダ付け部分に、あらかじめハンダ付け用ペースト30を印刷しておき、この上に集積回路24のリード端子31を乗せ、ハンダ32で固定した。その他の部品においても同様の方法でハンダ付けを行うことで、ノートブック型パーソナルコンピューター用のポインティングデバイス用回路が得られた。
【0030】
【発明の効果】
上述のごとく、本発明の導電性材料は、99.9999%以上の純度を有する銅から調製される偏平状またはフレーク状の銅粉末の導電粒子、または、高純度の銅に金属を混入した合金から調整される銅基合金粉末の偏平状またはフレーク状の導電粒子を用い、これら導電粒子の表面をキレート配位を有する化合物の表面処理剤で覆っているので、導電粒子の表面の酸化を防止でき、初期抵抗値が低く、しかも長時間使用しても抵抗値の上昇を少なくすることができる。
次に本発明の導電材料において、前記表面処理剤の分子量は50以上200以下であることが好ましく、50以上であるならば導電粒子の表面を覆う保護膜が薄すぎて酸化防止作用が少なくなることがなく、200以下であるならば導電粒子の表面が厚い保護膜で覆われてしまうことがなく、導電粒子の間隔が、トンネル電流が流れることのできる距離より離れてしまうこともなく、抵抗値が増大してしまうこともない。
更に本発明の導電材料において、前記高純度銅に金属を混入した銅基合金粉末の導電粒子とする場合、銀を用い、銅と銀の比率を重量比で98:2乃至80:20の範囲とすることが好ましい。銀は合金を溶融させたとき、導電性を高くする、溶湯の粘度を低下させる、銅中に微量存在する酸素を捕捉し、銅の酸化を防ぐという効果を発揮する。高純度銅の割合が80より低いと、導電性材料を形成したとき導電率が低くなりすぎ実用性に乏しくなり、銀などの割合が2より低いと、溶湯の粘度低下効果が不足するとともに、銅中酸素の捕捉効果が不十分となるので上記範囲とすることが好ましい。
また、上述の優れた種々の効果を有する導電性材料とバインダーとからなる導電ペーストは、優れた導電性を与え、かつ優れた耐熱性と耐湿性とを与えることができる。
さらに、上述の優れた種々の効果を有する本発明の導電ペーストを電子機器に適用すると、抵抗率が低く、耐熱性、耐湿性に優れたファインパターンの回路などを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 二段急冷法に用いられる装置の概略構成図。
【図2】 トリアジントリチオールと銅の表面での相互作用を示す模式図。
【図3】 図3(a)は、3種類の導電ペーストの80℃での耐熱試験結果を示すグラフ。図3(b)は、3種類の導電ペーストの60℃、湿度90%での耐湿試験結果を示すグラフ。
【図4】 5種類の表面処理剤の分子量と比抵抗の関係を示すグラフ。
【図5】 図5(a)は、5種類の表面処理剤の80℃での耐熱試験結果を示すグラフ。図5(b)は、5種類の表面処理剤の60℃、湿度90%での耐湿試験結果を示すグラフ。
【図6】 本発明の導電ペーストを電子機器に適用して得られた回路図。
【図7】 集積回路24を回路23にハンダ付けした部分の拡大側面図。
【符号の説明】
1 二段急冷装置
2 るつぼ
3 熱電対
4 ストッパー
5 ノズル
6 ガス噴射器
7 ガス噴射口
8 回転冷却体
9 金属
Claims (8)
- 99.9999%以上の純度を有する銅から調製される偏平状またはフレーク状の導電粒子と、銅に配位して導電粒子の表面を覆う表面処理剤からなる表面層とからなる導電性材料であって、前記表面処理剤は、キレート配位基を有する化合物であることを特徴とする導電性材料。
- 前記表面処理剤は、その分子量が、50以上200以下であることを特徴とする請求項1記載の導電性材料。
- 99.9999%以上の純度を有する銅に金属を混入した合金から調製される銅基合金粉末の偏平状またはフレーク状の導電粒子と、銅基合金に配位して前記導電粒子の表面を覆う表面処理剤からなる表面層とからなる導電性材料であって、前記表面処理剤は、キレート配位基を有する化合物であることを特徴とする導電性材料。
- 前記金属が銀であり、前記銅基合金は、前記銅と銀の比率が重量比で98:2乃至80:20であることを特徴とする請求項3に記載の導電性材料。
- 前記表面処理剤は、その分子量が、50以上200以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の導電性材料。
- 請求項1あるいは請求項3に記載の導電性材料と、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂の少なくとも一つとを有することを特徴とする導電ペースト。
- 請求項1あるいは請求項3に記載の導電性材料と、ほう硅酸ガラスとを有することを特徴とする導電ペースト。
- 請求項6または7記載の導電ペーストにより形成した導体部を備えたことを特徴とする電子機器。
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